第4回あおこんぺ

Last-modified: 2017-06-11 (日) 18:09:13
好きだから、地獄だって飛び込んでしまう  Pumpkin氏

【作品集】第4回あおこんぺ
【タイトル】好きだから、地獄だって飛び込んでしまう  【書いた人】Pumpkin 氏
【URL】 ttp://thssc4.s2.xrea.com/bluecompe04/1/1495909188
【あらすじ】
数日前、魔法探偵マリサシリーズの末尾を書き終えたアガサクリスQは執筆の習慣から開放されずにいた。
自分の執筆依存性に苦笑して朝一の珈琲を口にする阿求の元に、来客を知らせる声が届く。
来訪者は新聞記者の姫海棠はたて――要件を察することは、そう難しいことではなかった。

 

「そこで是非、私の花果子念報にも連載をと」

 

その依頼に、アガサクリスQは休止期間を置きたいとして断りを入れるのだが……
【感想】
記者の急な思いつきで取材を受けることになった阿礼乙女と、初々しく未熟で身勝手な新聞記者のSS。
デートのプロで、ベテランで、玄人でプロフェッショナルなはたてのエスコートはなかなか純朴で良かったです。
文体は阿求の一人称で続いていきますが、わりと身につまされる内容が多く、こちとら"つらたん"でした。
個人的には、阿求がさらっと草間彌生の画集を見ていたところで吹き出しました。あの水暴走メルヘンは幻想郷にまで届いてんですねえ。

凍てつく海に消ゆ  K.M氏

【作品集】第4回あおこんぺ
【タイトル】凍てつく海に消ゆ  【書いた人】K.M 氏
【URL】 ttp://thssc4.s2.xrea.com/bluecompe04/1/1495982707
【あらすじ】
東風谷早苗が世話をしている外来者は外国人の幽霊だった。
彼は『自分ではない自分』の昔話を早苗に語り、そのくせ自分の正体を明かそうとしない。
やがて彼は早苗の前から姿を消してしまう。どうやら村紗水蜜に会いに行ったらしいのだが……

 

「水難事故を引き起こす程度の能力を持つという君の存在自体が許せないのだよ」
「……悪行三昧だった過去は自覚していますが、予想外のところから因縁が来ましたね」

 

豪華客船を舞台とした"八つ当たり"が、今、幕を開ける。
【感想】
大西洋の敵を幻想郷で討たんとする男と、水難事故の念縛霊たる村紗のSS。
タイタニック号の中での弾幕ごっこはなかなか想像を掻き立ててくれます。
全体的な表現としては、もう少しタイタニック号の内部の描写が欲しかったと、そんな気がしました。
このSS自体はハッピーエンドですが、果して、根本的に村紗が許される日は来るのでしょうか。

旅行土産  ガニメデ氏

【作品集】第4回あおこんぺ
【タイトル】旅行土産  【書いた人】ガニメデ 氏
【URL】 ttp://thssc4.s2.xrea.com/bluecompe04/1/1495897061
【あらすじ】
四季映姫が公務を兼ねた旅行に出かけていた。
残された小野塚小町は、最初こそその気楽さを満喫していたものの、三日目を過ぎた辺りから物淋しさを膨らませ始めた。
やがて任されていた仕事のノルマを終えてしまった小町の元に、映姫から電話がくる。

 

『今日の夕方には帰ります。適当に夕食の材料を見積もって買っておいてください。お土産の海老フライを食べさせてあげましょう』

 

海老フライ? さて、海老フライとは何であろうか?
【感想】
小町が海老フライに思いを巡らせるSS。
氏が仰っているように、『帰りを待つ』描写によって『旅』を呈示しており、大変興味深い内容でした。
掌編であり、文章も小町の視点を中心とした淡々としたものなので、すぐに読むことができると思います。
お土産を色々と空想していたものの、小町はきっと海老フライ以上に映姫の帰りを待っていたことでしょう。

明日の空模様  てんのうみ氏

【作品集】第4回あおこんぺ
【タイトル】明日の空模様  【書いた人】てんのうみ 氏
【URL】 ttp://thssc4.s2.xrea.com/bluecompe04/1/1495960859
【あらすじ】
ある日、彼女の自宅のポストに謎の乗車券が投函されていた。記載はバス停の場所のみで、他には何も書かれていない。
この簡素な乗車券に、何やら招待状めいた雰囲気を感じ取った彼女は、そのバス停に赴くことにした。
天気は生憎の雨模様で、バスの時間すら明示されていない停留場に佇んでいると、ふと、誰かの視線を感じた。

 

「貴女は人間?」
「……じゃあ貴女は人間じゃないのね」
「うん。人間じゃないよ」

 

当然のように告げて、少女はクスクスと笑う。雨音が強さを増していた。
【感想】
ふとしたことから幻想郷を訪れることとなった『女性』のSS。
登場人物の名前が最後まで明示されないものの、特に違和感を覚えることは無かったです。
文体は淡白に過ぎて、解釈が揺らいでしまう箇所が幾つか見受けられるものの、文章そのものはスッと頭に入ってくるものでした。
彼女の明日の空模様は、きっと、雲間を穿つ快晴となるに違いありません。

地の底の地獄で極楽を  仲村アペンド氏

【作品集】第4回あおこんぺ
【タイトル】地の底の地獄で極楽を  【書いた人】仲村アペンド 氏
【URL】 ttp://thssc4.s2.xrea.com/bluecompe04/1/1494409563
【あらすじ】
地霊殿の経済状況は逼迫していた。開設して今や三ヶ月ほど経った温泉の利用客が少ないのだ。
何せ想定されていた2%にしか届いておらず、現時点で温泉の欠損金は坂道の雪だるま状態である。
それをどうにか改善するために、さとりは地霊殿の面々を招集し、旅行客誘致戦略会議の開始を宣言した!

 

「では、当『暗黒地獄極楽温泉』の旅行客誘致戦略会議を始めます」
「まず温泉の名前を変えませんか?」

 

果して、温泉のリニューアルオープンは無事に成功するのか――?!
【感想】
温泉について頭を悩ませる地霊殿の面々のSS。
実に純粋なコミックリリーフであったと思われます。
コミックリリーフなので、掛け合いが殆んどであり、地の分は限りなく少なく抑えられています。
個人的にはこいしの存在感が物凄かったです。言葉のキャッチボールどころか、とにかく言葉で殴りに行ってますね、この子。