生存手引書:(疑似花萼(金) | 疑似花萼(赤) | 凝結虚影 | 侵蝕トンネル | 歴戦余韻)
星々の戦い:(模擬宇宙 | 階差宇宙 | マネーウォーズ)
光を追い、黄金を掴む:(忘却の庭 | 虚構叙事 | 末日の幻影 | 異相の仲裁)
人間喜劇:(イベント | 運行記録 | 可能性ギャラリー)
千の面を持つ英雄:(イベント | 運行記録 | 可能性ギャラリー)
楽園漫記:(イベント | 運行記録 | 可能性ギャラリー)
概要
方程式のフレーバーテキストを閲覧することができる。
可能性ギャラリーと異なり、記録を埋めても報酬はない。
運行記録
階差宇宙での攻略で方程式を獲得することでフレーバーテキストを読むことができ、運行記録に記録される。
Ver.4.1時点で80種。
記憶
相対的勝者
ハハ、アッハの神力だって?どこかの誰かがそれを気にしてるなんて噂は、話題作りや注目集めにカンパニーが用意した道具だよ。勝ち負けなんてどうでもいい。メディアを制するものが世界を制するんだ。私がその気になれば、指先1つで報道される勝者を全部自分に差し替えることだってできる。私は私自身のために、未だかつてない表明と、誰も起こせなかった奇跡を綴る。あとは、金が勝手に懐に舞い込んでくるのを待つだけでいい。
罵倒されようが疑われようが、そんなの知ったことじゃない。喚き散らすのは弱者の権利。観衆の9割が私を勝者だと見なせば、残った連中に何ができる?私は勝者であり、総取りは与えられた権利だ。娯楽に溺れた世界において、画面の中の「真相」は事実なんかよりはるかに価値があるのさ。
マブダチ
もしもし?私だよ、私。覚えてない?君の親友で、誰よりも身近な姉妹にして兄弟。よーく思い出して、記憶の中から私を探してみて。初めての自転車の練習で転んだ君を助け起こしたのは私だったでしょ。卒業写真で君と並んで立ってる人、私にそっくりじゃない?
うんうん、だんだん思い出してきたみたいだね。校門前で下校する君を待っていたのも、食卓で君の愚痴を聞いてあげたのも、恋愛相談に乗ってあげたのも私。ある意味、家族より親密だったよね。君が記憶の中に私の居場所を残してくれれば、私と君は家族にだってなれるんじゃないかな。
だから私をフォローして、力を貸して。君たちの最高の友である私に、ほんの少し願力を分けてくれるだけでいいから。
ミームグルメ
私は葛、ミーム生命体です。これから「幻月遊儀」に簡単に勝利する方法を実演しましょう――楽園の人々の認知を書き換え、すべての願力を私に向かわせればいいだけのことでしょう。
ですが、どうやら来るのが遅すぎたようですね。ここの人たちの脳内ときたら、ゴミみたいなミームで埋め尽くされてるじゃありませんか。ショート動画、ネタ画像、イヤーワーム、シュール系ライバー…まったくなんということでしょう、あなたたちはどんな酷いものだって受け入れてしまうようですね。
私はまずこれらのくだらないミームの掃除から始めました。これらのミームは自壊させ、そのまま喰らうことにします。あなたが食事中やランニング中、更にはトイレの中で見ていたショート動画のすべてが私の敵です。私はたった1人で「二相楽園」全体に抗っています。そして今、私もそれらに同化しつつあるようです……
ハッ、いけませんいけません。私は生き残ってみせます、必ず!
共有師
楽園のみんな、注目!今この瞬間から、誰も彼もが請謁者になることができる!私が「ワールドエンド」で賞味期限切れのジョークを飲み過ぎたと思う者もいるかもしれないが、まあまずはよく見てくれ、このフル装備を!パノラマカメラに触覚センサー、それから位相配列レーダー…呼吸から全力疾走まで、喜びから悲しみまで、私はすべての瞬間をみんなと同期できるんだ!
みんなは一人称視点で、雲間で雹や稲妻を投げ合う請謁者たちを見ることができるし、虹を滑り降りるスリルだって味わえる。それだけじゃなく、私の行動は常にみんなの投票によって決まるんだ。さあさあ迷う必要なんてない、私と共に、この幻月遊儀を味わいつくそうじゃないか!
庭師
実際のところ、請謁者という身分を除けば、私は自分を芸術家と定義している。
現代を生きる人間にとって、最も悲しいこととは何か?答えは「現代」そのものだよ。鉄とコンクリートでできたジャングルに暮らし、生きるために日々駆けずり回っている。最後に仕事中に歌って踊ったのがいつだったか、君たちは覚えているかい?私は、大地に眠る記憶を呼び覚まし、都市の中に森を召喚したいのさ!君の寝室から二次元シティの地下鉄駅、それどころかネットの中だって逃れられない。サイバーミームの森はどこまでだって広がり、「現代」が消滅するその時まで育ち続ける。これこそが、私のインスタレーション・アートだよ。
君たち超常現象管理局になんの届け出もせずに実行したのは悪かった――だけど私はまず鳩川区に行かなくては。生きて戻れたなら、その時はきちんと君たちみんなに謝罪しようじゃないか。
歴史の代理人
あれは今から千年前。星の記憶コアの容量が限界に達し、入力できるのはごく限られた重要な事柄だけに制限された。歴史は死して、強者だけが永遠に生き続ける。金の王国は隣国を徹底的に滅ぼし、バカバカしい歴史をコアにねじ込んだが、そのすぐ後にオレンジ同盟によって滅ぼされた。
やがて、愚かな人類を愉快に思った機械の塊は信託を下す――「ゲームをしよう、最も保存するに相応しい記憶を選ぶ、公平なゲームを」。王国の代理人たちはアリーナで互いに拳を叩きつけ、何が正しいかを決めようとする。勝者に与えられる褒美は、1つの記憶をすべての生物の遺伝子に刻み込む権利。
あなたは決勝の舞台に立ち、手にした書物に祈りを捧げる。そして、人々はその書物の名を目にすることとなった――『トイレに関する100の事実』という名を。
転職ルーレット
マーティ同盟の市民の皆さん、そして笑いの神様、おはようございます。また新たな公転周期がやってきましたね。新しい炭素ボディは準備万端、皆さんの職業は、対応する区間内でランダムに抽選されます。今回はどんな職業になるんでしょうね?艦隊司令官?配管工?それとも一番人気の同盟大統領でしょうか?
転職に付随する知識やスキルセットは、職業IDと共に皆さんの体に注入されます。初めて転職に参加する市民の皆さんはどうか、全く新しい身分、生活、そして人間関係を迎え入れるため、心の準備をしておいてください。不運にもプラネットダイナソーになってしまった方もどうぞご安心を。あなたは狩猟された後、その意識は再び転職プロセスの中に戻ってきますから。おっと、もう時間ですね。さて、今度の私は何に――「最高にクールでイカした聖剣士」って、何これ?
美しい詩
私は一編の美麗なる詩
言葉の意味に、情緒とミームの間に開く花
楽園の者よ
どうか月明かりを友として私と歌い交わして
私は1篇の詩に私を隠した
もしあなたが私の名を口にするならば
私は文字と音律を通り抜け
あなたの舌先を通り、あなたの夢郷へと馳せ参じよう
私は遊儀を1篇の詩に編み上げた
どうか私を口ずさみ、あるいはハープと歌っておくれ
あなたの心、あなたの願いを
この仮面に捧げ
私と共に言葉を船に編み上げて
夜空の向こう岸に漕ぎ出しておくれ
リンゴ!リンゴ!
レディースアンドジェントルメン、そして私を追ってきた治安官の諸君に残念なお知らせだ。諸君とちょっとした言葉遊びに興じたい。そこで諸君の脳内にある人称代名詞を、私の大好きな果物へとすり替えさせてもらった。三進法市での大騒ぎとは違い、今回はもっと巧妙で面白いものになっている。ルールはいたってシンプル――
「リンゴ」=「あなた」
「スイカ」=「私」だ。
目の前にいる「リンゴ」になった同僚を見て、「リンゴ」もそろそろ「スイカ」のルールを理解し始めたことだろう。実を言うと、さっき私は「リンゴ」の目の前に立っていた。だが「リンゴ」の目には、私もただの「リンゴ」にしか見えなかったはず。まあいい、何せ「スイカ」はリドラーなのだから。ああ、そうだ。幻月遊儀が終わるまで、果物は決して食べないことをお勧めする。
寝物語
あなたは往日の足跡をたどり、忘却された世界を漫然と歩む。
だが残念なことに、楽園の記憶は曖昧な詩文であり、そこには語るべき価値などありはしない。
月は主人公のいない寝物語を吟じ、あなたを眠りへと誘う。あなたは瞼を閉じ、微睡みの中で途切れ途切れの囁きを掴み取った。
遥か昔、アッハは荒れ果てた世界に花を植えた。
8人の弔伶人は古木の下に集い、奇妙な伝説を語り合った。
古の遊儀が形作られると、人々は仮面をつけて舞い踊った。
外界天魔の主が大地を焼き払うと、グラフィエは人々を連れて平面の世界へ逃げ込んだ。
やがて無数の笑い声は絵の中に埋葬され、天外の力がそれを引き裂くまで続いた。
古き物語はここで終わり、あなたの「今日」が始まる。
虚無
永久の殺戮迷宮
また復活してしまった…僕は迷宮の入口で目を覚まし、そしてこれから9つの首を持つ怪物を殺しに行く。英雄が怪物を討伐するなんて伝説は宇宙の大半の文明にとってありふれたもののようだけど、だったらどうしてこんな見世物に毎年何百万もの観光客が異星から押し寄せるのか理解に苦しむよ。
僕は怪物と対峙し、顔を見合わせた。あいつは諦念を浮かべてうなだれ、抵抗をやめようとしたが、結局は本能に抗えずこちらへ襲い掛かってきた。僕たちはそうなるように設定されている、これが僕たちの存在価値なんだ。この迷宮のプログラムなんてとっくに破綻しているのに。祈り?占い?賭け?遠い昔に死んだ先祖たちがいったいなぜこんなゲームを設計したのか、今となっては誰も知らない。今ここにいる僕たちは、単なる闘技場のバックアップデータに過ぎない――おっと、つい気がそれてしまった。
また復活してしまった…僕は迷宮の入口で目を覚まし……
噂の地
噂によると、ダーク星人は帰宅する時、よく扉が「こちら側からは開かない」ことに気づくらしい。
ダーク星人は水に溶けるらしい。
ダーク星人は転がることで量子状態に入ることができ、あらゆる攻撃を無効化するらしい。
ダーク星で転がっていると隠し通路判定が発生し、地面の下へ落ちることがあるらしい。転がっていないのに落ちることもある、何しろ穴はそこにあるのだから。
ダーク星で石を拾おうとすると、石にか噛みつかれるらしい。
これらはどれも、プラズマトーチタワーが消えてダーク星が確率雲に覆われたせいらしい。ダーク星人は宇宙船で逃げようとしたが、格納庫のレバーはビクともしなかったらしい。
アッハがダーク星に授けた炎は、確率雲を一時的に晴らせるらしい。
ある勇者が再びトーチを灯そうと試みたが、その途中で穴に落ちたまま這い上がれずにいるらしい。
逆方向冒険家
想定外に次ぐ想定外に見舞われ、あなたはいよいよ自分の運命を恨んだ。あなたはイプシロンの最も危険な宙域に突入し、ボロボロの宇宙船で虚空クジラとすれ違った。かと思えば星間海賊に捕まり、次の瞬間にはレンジャーに救われた。レンジャーに別れを告げたあなたは程なくして、目的地と正反対の方向へ進んでいることに気づいた。
運命はあなたに呪いをかけた。東へ行こうとすれば西へたどり着き、最も高い山を登ろうとすれば、憶質の海を漂流することになる。旅の目的は1度も達成できなかったが、それはあなたには常に予想外の挑戦がもたらされていたということでもある。ああアッハよ、とあなたは空に浮かぶ幻月を見上げて祈る。混沌の神が、あなたの混沌とした人生を解放してくれますように。
けれどあなたは知っている。その願いもまたあなたに忘れがたい冒険をもたらしたのち、結局は思い通りには終わらないだろうということを。
狂気博士
諸君、私がここを訪れたのは神の祝福を得るためではありません!神を救うためです!月は理性を病に染めました。近づけば近づくほどに狂気は増していく。ご覧なさい、楽園と呼ばれるこの大地を。人々は狂ったように笑い続け、いつしかなぜ笑っているのかさえ忘れてしまった。いまや笑顔は結果ではなく目的に変わってしまったのです。
ですがどうかご安心を、傘など必要ありません。私は大雨の中に薬を溶かしました。腐敗した心は直に洗い流されることでしょう。私はそれを原型を超えてこう呼びたい――絶対的愉悦の処方箋、と。諸君は幼子のように、喜びとは何かを再び学び、喜びと狂気を区別できるようになるでしょう。人々は元来持っていたであろう善性に立ち返り、忘れられた純真さを取り戻すのです。
最後には神すらも癒され、嘲笑も蔑みをやめ、悪趣味なゲームも終わりを迎えるでしょう。
終わらない競走
スウォーム残党の侵攻により、双面星はとうに砕けて星環となり、古の「惑星ランニング発電機」によって辛うじてその存在を維持している。星環のエネルギーと動力を維持するため、双面の君主は10年ごとに「終わらない競走」を開催するようになった。参加者たちは、最後の1人になるまで片時も休むことなく星環の上を走り続けなくてはならない。勝者には君主が約束した褒美が与えられるが、棄権や敗北した者は処刑される。
あまりに残酷なルールに人々は不満を募らせ、ついにある競争の最中、参加者全員が示し合わせたかのように一斉に足を止めた。双面の君主は今回の競争に勝者はいないとして全員の首を刎ねさせたが、それ以来、星環の上を徘徊する血罪霊の群れが現れ、終わらない競走を続けている様子が観測されるようになった。
ダイスが紡ぐ人生
すべてのダイス星人は、生まれながらにして20面ダイスを手にしている。この星では、何をするにもダイスを振る必要があるのだ。これは、とあるダイス星人の1日――
目が覚めたトニーはベッドから身を起こし、カーテンを開けようとした――「運動」判定の結果は1、ファンブルだ。彼はカーテンでぐるぐる巻きになってしまい、仕事に遅刻した。上司に呼び出されたが、トニーは「説得」にポイントを割り振っていなかったため、代わりに「格闘」を選択――成功。しかし結局は警備員の手で会社から叩き出されてしまった。家に帰り着いたトニーだったが、上司との格闘中に鍵を失くしたことに気づき、やむを得ず「鍵開け」を試みた――ファンブルだ。
ドアは彼に強烈な往復ビンタをお見舞いした。絶望したトニーは「登攀」を選択――クリティカル!彼は極寒の月面まで登攀し、そこで一夜を明かした。
もしかすると、彼らは100面ダイスを試したほうがいいんじゃないか?
狂王
ひれ伏せ!二相楽園の下等市民どもよ。余は偉大なるボルンゴ星より来たりし者。かの星は暴徒の手で破壊されたが、王宮の庭で「憤怒の王」の意志を継いだ余ただ1人だけが、機兵に守られ落ち延びたのだ。余はこの地を統べる新たな王に即位する。笑いは文明にとっての毒そのもの、人心を惑わせエントロピーを膨張させ、文明を加速度的に滅亡へと導くものだ。よって王としてここに宣言する、偉大なる法が、この地にて施行されることを!
余の言を軽視してはならぬ。このエントロピー増大制限フィールドの内側は、すべて余の領地である。演劇は黙し、舞踏は止まり、笑い声はその口を出るより前に封じられるであろう。エントロピーの減少を妨げようとするあらゆる愚行は、投獄に値する。
これは「愉悦」への宣戦布告である。今この瞬間より、この地では笑いを禁ずる!
概念の献上儀式
ディウォル星の祭典に参加するのは、これが初めてだ。辺りは重々しく厳かな雰囲気に包まれ、漆黒の深淵を前に数十万の人々が円を描いて座っている。黒い箱に入れられた「概念の化身」はちらちらと点滅するダイオードの光の中、淵へと運ばれていく。
悲しみ、かがり火、草本植物、8つの目を持つ怪物、1つの音素…様々な概念が次々と深淵へ投げ込まれ、それらはそれきりディヴォル星から消え失せてしまった。その消失は人々の自発的な行いによるものなのか、それとも深淵に落ちた瞬間、ある種の超自然的な力によって抹消されたのかは誰にもわからない。
司祭は寸分狂わぬ動きで祭壇に上がり、生贄を底知れぬ闇へと押しやる。見物人も音ひとつ立てない。だが、私の心には1つの疑問が浮かんでいた――もし私があの淵に飛び降りたら、一体どうなるのだろう?
反魂の医師
宇宙はなんて悲しいのだろう。人々は尊厳もなく死んでいき、身体も魂も朽ちていく。かつてはあなたも、ゴンドラに乗って忘れ去られた国の滅びた歌を歌っていた。人々は死後の世界を夢想する。そこでは苦労が報われ、悪しき行いは責め苦を受けるのだ。短い人生の後には、もう二度と別れを味わわなくていい、終わらぬ来世があると信じていた。
何もない未来…それこそが宇宙の病なのだ。あなたは亡き歌を口ずさみ、過去の幻影を踊りに誘う。失われた子供、世を去った恋人…その泣き声はアハトピアに響き渡り、涙は集って川となる。あなたは月へと昇りゆき、かの神から儚き権能を受け取った。
あなたは言った一死んだ後にも別の世界があるはず、と。宇宙はその言葉を現実にした。
ラブリーブラックホール
おめでとう!あなたは虚無の深みに嵌り込み、増大し続ける重力によって、とうとう極小のブラックホールになってしまった!原理?まあまあそんなの気にしない。偶然にもアハトピアに迷い込んだあなたは、ぐるぐると仮面を吸い込んでいった。おかげで知性を獲得し、自我に目覚め、自分が実はとんでもなく可愛いのではないかと考え始める。
そうじゃないならどうして誰もがあなたを振り返るのだろう?人々の視線だけでなく、光すらもあなたに吸い寄せられているというのに。「万有引力」さえも愉悦によって屈折し、誰もがあなたから視線を逸らせない。彼らは認めざるを得ない、あなたが本当に、とてつもなく可愛いことを。膨大な願力があなたを喜ばせ、あと数分もすれば勝利を手にできる――その瞬間、あなたは蒸発した。
そうとも、忘れてはいけない。あなたはブラックホールなのだ。
巡狩
一族の名にかけて
ゴホッ、ゴホッ…認めよう、テーブル・リッパー。確かに今、貴様は俺よりも強い。その5本の箸はいずれも必殺の絶技、俺に防げるはずもない!
だが治安官として、俺には貴様を止める義務がある。知っているか?俺の父はかつて「マインド・スイッチャー」と戦い、爺さんは「グリーンマン」を見つけ出して牢にブチ込んだ…画棲時代まで遡ってみれば、俺の一族は実に数百年もの間、この星を守ってきたのさ。
これは血筋自慢じゃない、警告だ。仮面は、一族の血脈を再現する力を俺に与えた。俺の左にいる幽霊が見えるか?そいつが俺の親父。右側にいるのは俺の爺さんだ。その後ろ、そしてさらにその後ろも。さあ――
一族の名にかけて!
ハゲメーカー
フェルミンはおそるおそる自分の頭に触れた。残るは7本。風に揺れるこの7本の頭髪が、彼に残された最後のチップだが、彼にはこの先まだ幾度かの厳しい戦いが待ち受けている。
「ハゲ星毛抜き大会」。それは全銀河で最も毛根がよだつ大会であり、相手を完全にハゲさせた者が勝者となる。選手には求められるのは単純なパワーと手捌きだけではない、頭髪の毛量も重要だ。最後の勝者となれば、アッハから素晴らしき美髪を授けられるという。
フェルミンは毛根強化剤の最後の1滴を絞り出すと、丁寧に毛根へ塗り込んだ。効果は微々たるものかもしれないが、それでもいくらか、心の慰めにはなるだろう。
「ここで負けたら、二度とコイツを使うこともないのか」そんなことを考えながら、フェルミンは己の戦場へ足を踏み出した。
ネズミハンター
もしも~し、おい、コレ見えてんのか?かの有名な詐欺師のミール様も、今やこうして机に縛り付けられてるぞ。虚構歴史学者を雇って自分の過去を洗い流せば逃げ切れるとでも思ったか?信用ポイントや無罪判決を盾にすりゃ身を守れると?無駄だっての。
これから、俺は裁きを逃れたすべての悪党を1匹残らず狩り尽くす。人殺し、詐欺師、サディスト…お前らは地下深くに隠れることも、地に飢えた暴徒を高い金で雇うこともできるだろう。あるいは罪の自白と引き換えに超常現象管理局の庇護下に入ることだってな。だがそれでも、全ての人々は画面越しに目にするだろうよ。俺がお前らを1匹ずつ、尻尾を掴んで引きずり出すところを、そして情けなく命乞いするお前らの姿を。
俺の表明はこれで終わりだ。さあ、ネコとネズミのゲームを始めようじゃないか。
呪われた教師
私は教師で、知識とは私への呪いなのです源究の森で「情報物質化手術」を施されて以来、この言葉はもはや比喩ではなくなりました。
朝目を覚ますと、知識たちは私を追い詰め始めるんです――『解剖学』は私が歯を磨く時の姿勢を口うるさく非難してくるし、『栄養学』は朝食を全部捨ててしまう。『運動学』は地下鉄に乗っている間ずっと降りて自分の足で歩けと言ってくるのに、それに従おうとすれば『交通工学』が戻れ戻れと騒ぎ出す。そこの請謁者さんの挑発になんて乗りたくないのに、『相対性理論』と『天体物理学』はあなたと戦いたくて仕方ないって言うんですよ。
ああ、もっと文学の知識を学んでおくべきだったのでしょうか。あの子たちは美しく、思いやりもありますからね……
アイアンアームマン
「取材?ふう、さっきは本当に危機一髪だった。あの暴走車ときたら、危うく道端の親子に突っ込むところだったんだ。だが幸い、俺が疾風の如く駆けつけ、あの親子を抱えて飛びのいたおかげでどうにか助かったってわけさ。今日も立派に正義の味方をやり遂げた1日だったな!」
アイアンアームマン、スーパーヒーローを自称する民間人だ。彼は度々事故現場に現れては救助活動に勤しんでいるが、ほとんどの場合事態をより悪化させている。救出された親子は脊椎を骨折し、ぬかるみから押し出された車はぺしゃんこになり、ビルから転落したところを彼に受け止められた人物は身体が三つ折りになった…彼が請謁者となったことを表明して以来、二相楽園では事故率が急増している。
「なに、礼には及ばない、大したことはしてないしな。これからもこの身は正義の味方であり続けよう。みんな覚えておいてくれ、我が名はアイアンアームマンだ!」
彗星調教師
ミオン星が位置する星域は非常に混沌としている――「インベーダー」と呼ばれる彗星が方々を飛び回り、時折ミオン星の軌道と重なっては衝突リスクを引き起こしている。ある時「インベーダー」がミオン星の大気に迫った際、ミオン星のある住人がジョークを言った途端「インベーダー」は笑い出し、軌道を維持できなくなって事なきを得た。世界滅亡の危機は、ミオン星をかすめて飛び去ったのだ。そして人々は気づいたのだ――この彗星は、笑いのツボが浅いのだと。
現在では「インベーダー」の接近が観測されるたび、ミオン星人は一斉にジョークを言って彗星を笑わせ、軌道を変えさせている。今やミオンの科学者たちが、ジョークを動力源に彗星の軌道を制御しようと考えるまでになったのだ。
流れ星の卸売業者
願い事をするのが好きなそこの貴方に朗報です。本日より、流星雨の卸売りサービスを正式に開始いたします。材料はご自身でご用意ください。壊れた家具や廃車など、どんなものでもお任せください。気持ちばかりの願力を頂ければ、すぐにそれらが流星のように降り注ぐ様をご覧いただけます。
あらかじめお断りしておきますが、本サービスにて受け付け可能なのは非生命体のみとなっております。過去、一部のご依頼主様から送付されてきた敵対組織の構成員や実験室から贈られた変異ワーム等は、そのままご依頼主様へ返送いたしました。
また、体積が100立方メートルを超える物品についても対応範囲外となります。過去に取り壊し予定のビル処分を依頼された際には周辺に地震を引き起こし、当方が請謁者の資格を剥奪されるところでしたので。
ストリートライダー
二相楽園では、街中の道さえ音もなく死んでいく。幼き日のラムネの瓶や物売りの声と共に、煌びやかな世界のネオンに呑まれて。しかし二相楽園では、死すらも天外に比べてはるかに騒々しい。路地の亡霊には目ができ、何百何千もの脚を生やし、怪談のように現実を漂うのだ。ある時はビルの陰でそれと出くわすかもしれない。またある時は、森の中で活気のある懐かしい小径を見つけるかもしれない。そこではちゃちな仮面や飴玉が店先に並んでいる。
道とはまるで巨大な蛇のようなもので、けっして消えたりしない。そして私は、過去に取り残された魂を、彼らを操り、都市の間を駆け抜ける。摩天楼と取っ組み合い、繁華街と競い合うのだ。さあ、私たちの仲間になってくれ。楽園の隅から隅まで占領し、かつての街並みを今日という日に蘇らせる、その時まで。
退魔士
あなたは絵の中で災異の痕跡を追っている。生臭い匂いが街から森へと尾を引いて、緑の背景には漆黒の墨跡が残っている。ふと、祖父である絵光の教えを思い出した。「災異を鎮めるには、それが生まれた理を見抜かねばならん」――あなたは墨を振るって森に小道を描き出すと、そこに一筋の白き月光を流し込み、邪悪な気配を辿って前へと進んだ。
子供の幼い恐怖から生まれた魔物は山よりも大きく、人の首と獣の体を備えていた。あなたは鷹を描いてその目を突かせ、縄を描いてその身体を縛り上げ、さらに筆先で軽く点を打ってうねる迅刀龍に乗り、その首を食い千切らせた。
幻月が空の下、化け物は墨となって散り、その残骸の下から、あなたは何かを拾い上げた…それは1枚の空白の仮面だった。
最後の弾丸
若者よ、あなたはすでに終わりを迎えた。運命においても、現実においても。暗闇に身を潜めていようと、傷があなたの息を荒くさせ、今にも居場所がバレそうだ。この街に蠢いているのは何者だろう?這いまわる怪蛇か、一族を血祭りにあげた宿敵だろうか?鏡の向こうの悪夢を呼び出す狂人か、あるいは人々の畏怖によって形作られた災異か……
あらゆる時が今この瞬間に交錯しているかのように、すでに起きたこと、まだ起きていないことが混在している。あなたの目はその全てを貫く真っ直ぐな軌跡を捉え、いくつもの点を線で結び付けていった。それは血で血を洗う復讐か?誰かのための正義か?ぼやけた来訪者を見つめるうち、あなたはここへ来た理由さえ忘れてしまった。
あなたは深呼吸し、長い時の流れへ銃口を向け、そして運命の弾丸を放つ。
壊滅
マインドスイッチャー
認めよう、私が悪かった。秀麗さんの記憶をジョーンズさんに移植し、あの礼儀正しい紳士に、朝っぱらからメイド服を着せてコーヒーショップへ出勤させるべきではなかった。
マダム・ホワイトの件も私の仕事だ。ああ、哀れな赤ん坊、まさか自分の母親と哺乳瓶を奪い合う羽目になるとは。
なんだ、そこまでバレてるのか?仕方ない、もう何もかも白状することにしよう。例の間抜けどもなら、どこかの寺院の前で石像のフリを続けてるだろう。あれはちょっとした実験のつもりだったんだが、あんな古い石ころが化けて記憶まで持つようになるとは、さすがに予想外だった。
さて、もう全部話したはずだ。これで解放してくれるんだろうね。なに?このまま裁判を待て?
なんと、それは困るな。治安官諸君、そのポケットにあるピカピカの手錠を取り出して、自分の手にどうぞ。いやはや、まだ手元に手元に囚人の記憶がいくつか残っていて助かったよ。
ガレージの龍殺し
「ガレージに炎を吐く竜がいる!」もしもあなたが古代弁才天国に住んでいたなら、このような話を聞くのは初めてじゃないだろう。無責任な推測によればアハトピア人の約0.03%は、少なくとも一生に一度くらいは自宅のガレージで炎を吐く竜を目撃したことがあるはずだが、どんな機器もその存在を探知することはできなかった。後に侠という名の竜殺しがアハトピアを訪れる――彼は72%の確率で混沌医師だ。彼は人々の嘲笑を浴びながらガレージに入り、しばらくして竜の頭を放って見せた。こうして反ミームのファイアドラゴンは正式に種として登録されることになった。
実のところファイアドラゴンは誰のガレージにも住み着いていたのだ。もちろん、今となってはもうその姿を目にすることは無い。そうであることを我々は感謝すべきだろう――「ありがとう、侠」。
物理魔法少女
「ああ、そうだよ。アタイはもともと遊牧の鉱夫だった。けどあの日、ネクタイを締めたクソチビが、紙切れ片手にやって来てこう言ったんだ――ここにサインすれば、来月から給料を倍にしてやる、ってな。で、その現場で起きた事故のせいでアタイは莫大な借金を背負うハメになったのさ」
「なんで魔法少女をやってるかって?災異をぶん殴るだけで金が稼げるんだぞ、世の中これ以上にいい仕事なんて他にあるか?まあ、このヒラヒラのスカートだけはどうも落ち着かねえっていうか、慣れねえけどよ。ほら、ハイキックかます時なんかに――あ、インタビューは終わりか?んじゃ次の獲物を片付けに行かねえと」
記者が見送る中、請謁者のお嬢さんは3メートルはありそうな魔法の杖を放り投げ、そこに飛び乗って現場を去っていった。
アッハ放送局
これはおそらく銀河史上でも唯一の、惑星規模の集団自殺事件だったのだろう。ジム・ジョーンズ星はもともと、どうしようもなく平凡でどうしようもなく普通の惑星だった。平凡な気候に平凡な資源、文明レベルも至って平凡…隣の惑星に「アッハ放送局」が開設されるまでは。
「アッハ放送局」は、アッハの信者たち(自称)によって開設され、アッハの愉悦の精神を広めることを目的としていた。ただ、その具体的な方法は単に大型の電波望遠鏡で、彼らが自分で書いたジョークを宇宙にバラ撒くだけだったが。
100年以上もの間あまりに微妙なジョークを聞かされ続けた結果、哀れなジム・ジョーンズ星の人々はいよいよ精神の限界に達し、自らその文明に終止符を打つことを決意したのだろう。彼らの文明にとどめを刺した最後の一言は「パンダの朝食はパンだ、超ショック!」だったと言われている。
氷霜の巨人
畏怖せよ邪悪なる天外の者ども!いかにそれが無意味であろうともだ。我こそは氷の巨人。天災の化身にして、冬雪の中に最も深く刻まれし記憶なり。この身は幻造されし災異であり、融けぬ氷雪を骨子とし、幾千の怒りを魂としたのだ。我が手を返せば山々が覆り、振り下ろせば雲と雨を呼び寄せる。我が歩みは大地を踏み砕き、貴様らの軍勢を深淵に突き落とし、風雪を叩きつけ怪物を封じる。
畏怖せよ、邪悪なる天外の者ども!我が姿を目にしたその時が、貴様の命の終焉と知れ!我が兄弟姉妹は無敵なり、貴様らに宇宙を燃やす炎があるなら、我らには惑星を凍てつかす氷霜がある。滅びは我らアハトピアではなく、貴様らにこそ訪れよう。さあ、怪物同士、ともにこの雪合戦を楽しもうぞ!
災異の偶像
ブラッド・マーリーって聞いたことあるか?そうそれ、映画に出てくる怪物で『楽園ホラーモンスタートップ10』の1人なんだけどさ。どうもそいつが生きてこの世界にいるみたいなんだ。
最近新しくできた深夜配信チャンネルの配信者が、ブラッド・マーリーって名乗ったんだよ。配信内容は通りすがりの人に災異が襲い掛かるって内容ばっかりで、めちゃくちゃ過激らしい。超常現象管理局がそいつをBANしようとした時には、ヤツはもう請謁者になってて手出しできなかったんだと。
お前、ヤツの古参ファンなのか?そいつはマズい。噂じゃ、その災異は狩りの対象を登録者の中からランダムで選んでるって話だ。まだ間に合うかもしれない、今のうちに解除しておいたほうがいいんじゃないか。
…え、本当に解除すんのか?
仕方ない、今夜の配信は前倒しだな。
天罰投票装置
こんにちは。本日の天罰投票サイトへのアクセス、ありがとうございます。あなたがターゲル星で最も天罰を受けてほしいと思う知的生命体を10名選択し、重要度順に投票しましょう。棄権を選択した場合、あなたの持つ10票は自動的にあなたに投票されます。皆さんの幸福のため、あらゆる罪悪は抹消される必要があります。
よく考えて投票してください。あなたが最も嫌悪し、最も憎悪を抱くのは誰か?最も忌々しく、最も腐っていると感じているのは誰か?あなたの仇、恋のライバル、政敵、昨日駅であなたにぶつかって謝りもしなかったのは誰でしょう?逃げてはいけません!避けてはいけません!これはあなたたち自身が用意したゲームのルール。あなたたちが自分の責任から逃れるため、自らの悪意を託すために作ったのが私なのですから。さあ、夜が訪れました。目を閉じてください。この天罰に終わりはありません。
夢魘の主
醜悪だ!この星には反吐が出る!愉悦に創造された劣等種が我が物顔で闊歩し、人間どもはホワイトノイズに浸り、豚のように信用ポイントを貪っている。美とは自覚であり、自律の品位だ。ただ気取るだけの醜悪なものではない。私をミラーホルダーから除名したあの無能どもに、この憤りが理解できるだろうか?
鏡の中の自分を見るがいい!お前たちが目を逸らし、逃げ回ってきたその歪んだ自我を。輝く笑顔の裏にあるのは、耐えがたい現実だ。荒廃した街、苦しい哀れな化け物、神の欠片が映し出す超越した都市…そこには、誰もが隠し持つ心の奥底の恐怖がすべてさらけ出されている。今こそ、私は現実に向けて鏡の中の悪夢を解き放とう。世の人々に自らの醜さを直視させられるのなら、悪名を背負うことなどなんでもない。
永世の請謁者
やっと来たか。問い質しに来たのか?最初に「幻月遊儀」を放棄し、この「仮面」を残したのはこの私だ。遊儀が終わらぬ限り、「愉悦」の「祝福」も尽きることはない。
我々は征伐し、割拠し、山をへし折り、海を裂いて「鳩川」を生み出した。愚者の顔を身につけ、「アッハ」の偉大な力を借りながら、領主として振る舞った。だが、それがなんだ?この原始的な世界は我々のおかげで文明を得て、未知の「化け物」も我々の手で焼き払われたのだ。
遊儀の管理者よ、さあ、このおきてを破った者の首を刎ねるがいい。だがその前に教えてくれ。今や「アハトピア」はすべて私の手にある。その目に映る、この灯に満ちた世界は――美しいか。
外界天魔の主
足を止めてくれ、友よ。君の破壊衝動はもはやシステムの上限に達している。かつてこれほどまでに壊滅の道に邁進した請謁者はいなかった。このままでは、かつて8人の請謁者が力を合わせてようやく討伐した外界天魔の主すら凌駕してしまうかもしれない。もっとも、私に君を止められるような力などない。だからせめて、あなたが道を踏み外す前に、かの大魔王の物語を少し語っておくとしよう。
それがどんなゲームでも、そこに勇者がいるならば狡猾で悪辣な魔王が必要なものだ。遥か昔、化け物を率いてアハトピアを焦土に変えようとした者がいた。文明は彼の手の中をピンボールの玉のように一瞬で転げ落ち、あちこちで悲鳴が響き、笑顔は消え失せた。それでも、あらゆるおとぎ話がそうであるように、やがて1人の英雄がその陰謀を打ち砕くのだ。だから――
1ゲーム、遊んでいかないか?
愉悦
断捨離剣士
この楽園は実に退屈だ。つまらぬ物があまりに多く、それが人々の命を圧迫している。人生など所詮は夢まぼろしに過ぎぬというのに、無意味なものばかり抱え込んでおく必要がどこにあろうか。拙者がその因果を正し、運命の枯れた枝葉を剪定してくれよう!
宝刀を抜き放ち、一筋の冷たい閃光が走る。背後で誰かが息をのむ気配に、振り向くことなく軽く手を振って返す。刃に感じる手応えが、見るまでもなく答えを告げていた。ふっ、またつまらぬ物を斬ってしまった――賞味期限切れのクッキー、役に立たない置物、冬休みの宿題、削除するタイミングを逃した見知らぬフレンド、返信のない片思い、そして炎症を起こしかけの虫垂。断つべき物は、瞬く間に両断される。
行け。執着を捨て、己を解き放ち、人生を楽しむのだ。それが、この剣士からお主らに贈る箴言である。
ランクアップの双子星
視聴者の皆様、ご覧ください!「テーブル・リッパー」がいよいよ幻月に登り、請謁者「ユニコーンofficial」との世紀の大決戦に臨もうとしています。ご存知の通り、これまで幻月に物理的な実体はありませんでしたが、今回なんと、呼びかけに応じ低軌道に姿を現したのです。
まもなく、最初の応援物資がロケットで発射されます。皆様がどんなものを用意したのか覗いてみましょう。棒付きキャンディ、お箸、干し草、手綱、反物質消滅弾、ひとかけらの虹…素晴らしい。お2人にはこれらの武器を存分に活用して、熱い戦いを見せていただきたいものですね。
あ、少々お待ちを。惑星用絆創膏を2つほど入れておきましょう。幻月があまりボコボコにされないといいのですが。
バーテンダー
私はあまりに多くのジョークを聞き、それらを美酒にしてきました。悲しい恋の歌は苦く、星の死にゆく声は重い。政治家の笑い話はいつも辛辣で、子供の遊びの多くは爽やかな味がします。ですが、どんな患者もパブを永遠の居場所とはしません。私も彼方への旅立ちを選びます。
この1杯を、皆さんに捧げましょう。これは私だけのジョーク。今宵それは皆さんの口から口へ語り継がれ、誰もがその芳醇な香りを味わい、長い物語の後味を楽しみ、目を覚ませば忘れてしまうことでしょう。消滅するイーグルの星環のささやき、伶人が流浪する少年に描いた肖像、怒りの王が死んだ時の耳をつんざくような歓声、意地っ張りな若者が旧友と交わす祝杯の音。
そして最後の1杯はあなたに、美しき月よ。この「ワールドエンド」への、別れとして。
傷心者
悲しみに暮れる人々よ、どうか私に、その憂いを慰めせてください。アハトピアに戦火が広がり、レギオンがあなた方の父や母を、息子や娘を奪っていったことを知っています。私にはこの地の傷を癒すことはできず、あの氷の巨人や世界を描く絵師のように、外界天魔の者たちに抗うような力もありません。
ですが、私にも出来ることはあります――悲しみを分かち合い、再び勇気を取り戻させること。苦痛を共に背負い、冷たい夜に響く慟哭をなくすこと。そして闇の中から聞こえる声に耳を澄ませ、子供たちの微かな呼吸を見つけ出すことが。ですからどうか、私の手を握ってください、決して離さないように……
アッハよ、弔伶人として乞い願う。どうかこの星の笑顔を、お救いください。
リアル幸運棋
さあ、ユマンジを始めよう。これは勇敢なる者のゲーム、患者の争いとその判決はすべてこれで決められる。不思議なポケットからボードを取り出し、互いの仮面を賭けてサイコロを振れ。何が起きるかどう語るか、それはすべてアッハ次第。
3マス進む、グラスの中のアルコールが核融合を起こす。6マス進む、床にこぼれた詩が通行人の足を滑らせる。1マス戻る、電話ボックスからワームが這い出てくる。4マス進む、降っていた雨がタコに変わる。物語は拡張され、現実を侵蝕し、物質は安定を失う。死ぬな、恐れるな、暴れるほどにゲームは面白くなる。
そうそう、この神聖なゲームにリタイアは無しだ。アッハの罰は、褒美よりもよほど予測不能なんだから。
エーテルハッカー
楽園が現実に戻ってからというもの、ハッカーたちがよくここにやって来るようになった。そこで、私はここの空間に罠を仕掛け、策を張り巡らして、やっとの思いであの不運な連中からこの仮面を奪い取ったんだ。何をするつもりかって?もちろん、あの年寄りたちと同じように、ここで1局遊びたいだけさ。
アッハは1編の詩で「ワールドエンド」を織り上げたって話に聞き覚えはあるかな。もちろん単なる与太話だろうけどね。私たちは流れるデータに沿ってカセットを作り、クモが糸を紡ぐように現実を紡ぐ。私はジョークで宇宙船を作れるし、削除コードを書けばワンクリックで何もかも吹っ飛ばす爆弾だって作れる。勝利はプレイヤーの天職の1つ、星神がせっかく用意してくれた遊儀だ、それを拒める奴なんているはずないだろ?
認めよう、今回は私の負けだ。でもご心配なく、ハッカーたちはいずれ必ず、またここに戻ってくるさ。
星空の寓話作家
寓話を語るのは誰か?遠い過去、鮮やかな今、そして束の間の未来。寓話集の書き手は大地を行く。花畑を通りがかれば蝶たちが舞い、砂浜を歩けば魚たちは尾びれで飛沫を上げて彼に応えた。幻造種が生まれてもいない時代、無邪気な精霊たちは岩陰からこっそり後を追い、鳥たちは物語の種を咥えて人々のもとへ運んだ。
寓話集の作り手は遠く、さらに遠くへと歩み、その背を追う聞き手も増え続ける。彼は古木から出発して前進を続け、やがて世界の反対側から帰ってきた。こうして、世界中の生きとし生けるものが語り部を囲んで集まり、星空からの神話と伝説に耳を傾けたのだった。
星泥棒
私はかつて星を盗んだことがある。カンデア連邦にいた時、ある少年への贈り物にしたんだ。彼は荒れ果てた村で、遠くにある高塔に瞬く明かりを見上げていた。だから私はそれを摘み取って、高塔を崩し、流星を大地に還した。
私はかつて星を盗んだことがある。ひと口の水への返礼として、ハロランの老婆に贈った。富と知識は行政官に奪われ、世界の頂点で輝く星となっていた。だから私はそれを摘み取って、黄金を撒き散らし、きらめく雨へと変えた。
だから、坊や、もう泣くのはお止し。君のためにあの明るく輝く星を取ってこよう。外界天魔の本拠地にある、この大地を燃やす最初の燃える星を。君の未来に、もう悲劇が訪れないように。
炎を拒む者
焦土に泣き声が響いている。通りすがった男は、憐れみからか、死にかけの赤ん坊を助けた。その子は、大地を燃やす災いの炎の中で成長し、数多の英雄の死の中に進むべき道を見出した。彼らに近づきたい、彼らのようになりたい、そして月と炎の光の下で、そこにあるべき笑顔を守りたいと願った。
そして少女は家を出た。もはや未熟でも臆病でもない。彼女は迅速かつ獰猛にレギオンへ死をもたらし、大地を傷つける者にひどい傷を与えた。戦場において最も残酷な悪鬼である彼女は、戦友の前では鈴を転がすように明るく笑った。やがて少女は仮面をつけ、外界天魔との最後の戦場へと向かう。そして、そして……
火炎の中にあった灰燼はすべて飛び散り、故人の面影を残すことはなかった。
無限不可能性
おめでとう。あなたの愉悦##*&&*&*#@が時空構造の拒絶反応を引き起こし、まもなく無限不可能現象が発生する。*&*&&&&##心して迎えよう!拍手!その場で3回転してジャンプ!
1匹の猿さるサルが金属の象の背中で笑いの神様ワルツ第6番を奏でていたが、それも瞬く間に絶叫するキャンディの雨へと変わる。地面に落ちたキャンディは燃え上がり、その炎の中から現れたサーカス団は巨人の歯ブラシに押しつぶされた。
物質を構成する素粒子が逃げ惑い、鏡は次の夜の瞳を映し出し、そして色とりどりの潮が溢れ出す。巨大な船は狂った動物たちを乗せて行進し、その瞬間あらゆるものに命が宿る。甲板は両目を開けてこう言った――
無限不可能現象はこれにて一時終了です。それでは楽しい時間をお過ごしください。
繁殖
スキル抽選会
インドラ星人には独自の生存哲学がある。この星の長老たちは一族のより良き繁栄のため、死期を悟ると自らの最も貴重な生存経験を「憶泡」へと凝縮して子孫へ受け継ぐのだ。そして残念なことにこの伝承は抽選で行われるため、儀式は毎回くじ引き大会の様相を呈している。
あなたが狩人でも、引き当てるのは「村の入口で井戸端会議をする能力」かもしれない、書記官なのに「毒キノコの見分け方」を引いてしまうかもしれない。
とはいえ、この方法も悪いことばかりではない。おかげでインドラ星人は皆、多才なのだ。
惑星バンパーカー
坊や、君にもこの宇宙の真実を伝える時が来たようだ。空に浮かぶあの巨大な火の玉は、実は恒星なんかじゃない、ただの電球なんだ。この星域の光と熱、それはすべてあの「愉悦」の星神からの贈り物なのさ。
今、我々ははあれに一番近い場所にいる。だが、適した軌道の数には限りがあり、他の星々も虎視眈々とその席を狙っているんだ。だから我々は、自分たちの星を操縦して、彼らを突き飛ばさなければならない。これはこの星全体の幸福をかけた戦いだ。勝者は暖かな長い夏を迎え、敗者には寒くて長い冬が待っている。
新しい衝突期がもうすぐ始まる。恐れることはない。私が舵を取る限り、特等席は誰にも譲らないさ。
心を許せるケーキ
あれはあたしの10歳の誕生日のこと。バースデーソングもまだ途中だったのに、テーブルの上のケーキが騒ぎだしたんです。ケーキはクリームで自分にメガネを描いて、自分の成分や栄養価について説明し始め、しまいには製造メーカーの宣伝を始めました。
超常現象管理局は同様のケーキすべてに封印を施しました。彼らが言うには、この災異は終わったばかりの幻月遊儀によるもので、これらの恐ろしいケーキはすべて処分しなければならないそうです。でも、あたしはどうしてもそれが忍びなくて、こっそりひとかけらだけ、冷蔵庫に隠しておいたんですよ。やがてそのケーキとあたしは親友になったんですが、いつもおしゃべりの最後には早く自分を食べてって急かされていました。
でもある時停電があって、あたしはケーキが腐っちゃうのが怖くて、つい…ああ、あの味は今も忘れられません……
反転アリ
以下はリバーシアリのコロニー(No.80)の行動観測記録である。
女王Aの兵隊アリが女王Bの巣穴に侵入し、働きアリが持つアルファ型フェロモンの拡散が始まった。Bの兵隊アリによって通路が塞がれて2システム時間後、Aの兵隊アリはフェロモンの影響を受けて生理的特徴が急速に変化し、女王Bの指揮下に入った。同様の現象は2つのコロニー間での争いの間絶えず繰り返され、最終的にAがBのコロニーを占拠するまで続いた。
このリバーシのような攻防がこの惑星でどれほど続いていたのかは知る由もないが、それももうじき終わる。現状をもとに判断すれば、No.80のコロニーはこの観測ステーションを含む北部大陸全土を統一することだろう。なにもかも、一切を――ガガ、ガ、ガガ。
土食い誘拐犯
友人諸君、前回の幻月遊儀を覚えているだろうか?失魂星域からの恒星嵐を避けるため、美しき請謁者カノルスは私たちをミミズに変え、地下へと潜らせてくれた。
あの時、私は素晴らしき子供時代を思い出した…まだ世界が狭く、気にかけるべき事柄などほんのわずかしかなかった頃のことを。それはまさに、ミミズが土を食べることばかり考えていればいいのと同じだった。
ああ、またミミズに戻りたい。地下の世界はあれほどまでに静かで、土はたまらなく美味しかった。人間でいるより、ミミズでいるほうがずっと楽しい!
よって今、私は諸君と共にカノルス氏を攫い、もう一度我々をミミズに戻してくれるよう強要したいと考えている。彼女が同意してくれないなら、私は衆人環視の中で土を食べることを厭わない。それを目の当たりにすれば、きっと彼女も頷いてくれるはずだ!チーム結成状況:3/9999
ションボリマン
表明の完了後、請謁者カスパーの身体からは肉眼で確認できるほどのションボリしたオーラが放出、拡散された。このオーラに触れた者は情緒が不安定となることが確認されたため、カスパーの動向については厳重な監視が必要と思われる。
午後2:45、対象は地下鉄駅内に進入、乗車を試みるが迅刀龍列車を含む全車両がやる気を失い運航停止した。
午後2:50、地上へ戻り、徒歩で移動を開始。道中の店が次々と営業を終了する。
午後2:55、対象は自滅者であると推測される。
午後3:20、二次元シティ中央広場に到着、居合わせた市民は集団で寝転がった。
午後3:45、治安局が対象を確保。しかしながらションボリオーラの影響を受けた人数は依然増加中。オーラがミーム汚染効果を持つものと推測される。
午後4:15、ああ、こんな仕事なんて辞めちまおう。人生なんかハナからつまんねーんだし、こんなゴミみたいな仕事に縛られる必要ねーだろ?
蟄虫の王
「どうか恐れずに。この蟄虫たちは私がこの手で孵化させたものです。見た目はそれぞれ異なり、遺伝子情報も様々ですが、いずれも厳格な訓練を乗り越えてきた個体ばかり。皆さんを傷つけることなど決してありません」「そうイヤな顔をなさらずに。狡猾で欺瞞に満ちた人間社会と比べて、私の蟄虫たちは皆、情と義に篤く、全員が兄弟のように信頼し合っています。私に言わせれば、この小さな仲間たちこそ、この宇宙で最も美しい生き物なのです。かつて蟲の王が引き起こした災禍は世界に多くの偏見を残しましたが、いずれきっと、誰もがこの蟄虫たちに好感を持つ時が訪れることでしょう」
「請謁者?まさか。私にとってあのような仮面などなんの意味もありませんよ。私がそれを誰に渡したか、当ててみてはいかがです?」そう言って男は隣に並んだ巨大な人型の蟲の肩を叩く。蟲は実に嬉しそうにブンブンと羽音を立て、返事の代わりとした。
蠢く蛇
なぜ、運命が形なきものに仮面をかぶらせたのかは誰にもわからない。それが知性を持っていた頃の顔を知る者もいない。それは本能のままに都市の暗がりを這い回り、下水道や路地の影のうち、絵画の欠片から現れた。あまりに多くの肉を食らったそれは、やがて餌を求めて巣を離れざるを得なくなった。
彼らは狂ったように笑いながら、百の目と百の足を持つ蛇へ駆け寄り、抱きしめ合い、共に眠った。そうして彼らもまた百の目と百の足の一部となり、目があった者の思考を崩壊させ、原始的な欲求を求める泡影へと変えてしまう。都市の中を蠢く人面の蛇があなたの目の前までやって来た。あなたは遺伝子の奥底に刻まれた、ある記憶を思い出したような気がした…だがもう、すべてはどうでもいいことなのだ。
星系ビッグロッタリー
「アブナミアン星系ビッグロッタリー」に比べれば、銀河ビッグロッタリーなんて子供の遊びのようなものだ。アッハから神の啓示を受けたと自称するアブナミアン人は、8ヶ月ごとに星系の住民からランダムに1人選び、抽選結果が発表された当日に選ばれたものを大富豪にするという。そのための金はまるで何もないところから湧いて出てくるかのようなのだとか。一番凄まじかった時なんかは、惑星全体の2分の1の財産がその「幸運な人」の手に渡ったことさえあった。
だが、その幸運はただの贈り物ではない。選ばれた者は次の抽選日までに、手元にある賞金をすべて使い切らなければならないのだ。使いきれなかった場合、自分がその賞金の一部になってしまうのだから。惑星で一番の大富豪が必死になって金を使おうとするのだから、アブナミアンの景気は悪くなるはずもない。
幻造物
欲望…殻を破ろうとする欲望と無数の願いが、あなたに誕生を促している。満ち溢れる願力があなたの体を包み込み、そこかしこでメカアームの音が響く。不快感を覚えたかと思うと、次の瞬間には混沌としていた意識は静まり返り、液体が器に流し込まれるように輪郭が定まり、自我が形を成すほどに野蛮さは人間性に洗い流されていく。
目を開ける。本能は即座に記憶を与え、生きるために必要な技術と衝動、そして何かを成したいという追求の渇望をもたらした。生き続けろ、他の全ての命と同じように。そして生涯をかけて、心の奥底にある空洞を埋めるのだ。
推測:幻造種と願力の関係に基づき、その誕生と行動パターンを研究することは、現在の幻月遊儀の研究に役立つかもしれない。
知恵
シャドウチェイサー
アッハは宇宙に数多のゲームを生み出し、愚者もまた彼らの神に倣って愉悦の奇跡を生み出していった。鋳鉄の王が殞落した後、ルパートの創造物は悲しみと怒りの中、復讐を挑んだ。おぞましい歯車が悲鳴を砕き、錆びついた武器は文明を溶かしていった。私は死に絶えた巨大惑星でその足跡を見つけ、自らのゲームに招待した。
私は人類の幻影をひとかけら切り取って、仮面と一緒に太陽の前に置いた。長い影が朝と夕の境界へ無限に伸びていき、それに引き寄せられた機械は、灼熱の陽光の中を進む影を追いかけ、最後の人類を抹殺しようとする。今でも我々はその姿を見ることができる。それはまるで黄昏時に、夜の訪れを恐れた子供が、空の向こうに燃える雲に追い縋るように。
銀河製菓工場
神を捕まえるには、まず其の胃袋を掴め――『超銀河製菓大全 残巻・第9巻』にはそう記されている。トンベスの大地が揺れ始めるということは、アッハを喜ばせるゲームが始まるということだ。
あなたは構造主義製菓学派が3層の入れ子空間を用いて1つの円月を作り出し、地底の空洞へ押し込むのを目にした。墜落の反響音も響かず、当然ながら神は満足しなかった。あなたは主のいない衛星を摘み取り、光線でそのコアを溶かし、冷めきる前の星屑を振りかけた。原理主義製菓学派として、あなたは分子ガストロノミーのように、ひとつひとつの手順を忠実に再現してみせた。
巨大なマグマケーキは重力に引かれ、深淵へ堕ちていく。アッハは満腹の笑い声をあげ、銀河一のレシピとスイーツを授けてくれるだろうか。あなたは固唾を飲んでそれを待ち続けた。
俺、思う学士
アッハは言った。世界の本質とは「我、思う」だってな。あのインチキ科学者どもに騙されるなよ。連中は万物は引力に支配されてるなんて言うが、落ちるってこと自体忘れちまえば誰だって俺のように宙に浮かんでられる。連中がいくら永久機関なんて無いと言おうが、俺が木材と鉄屑で作ったUFOは今もこうして飛んでるだろ?あいつらは俺のしたことは科学じゃなく、現実の捻じ曲げに過ぎないって言うがな、俺に言わせりゃ連中の言い分なんて何もかもデタラメだ!
俺があいつらのでっち上げた理論をぶち壊して、真理ってものを教えてやる。いいか、時間は物質の一種で、冷たさも熱さも粒子の種類の名で、全宇宙の電子は同一の存在で、物質ってのは無から生み出すことができるのさ。
いいかお前ら、目を離すんじゃねえぞ。俺が今から、宇宙の仕組みを「思って」やるからよ。
カードの新星
フィールドには既に黄金のトイレが召喚された。もはや相手に勝ち目などない。笑いの神様が奇妙なカードをばら撒いて、万物の価値が測られた。私は強力なカードで就職活動のライバルを打ち倒し、自慢のデッキで列に割り込む恐ろしいお婆ちゃんを降参させ、巧みなプレイングでかつてのカードキングを破って、スラム街の子供たち全員にカードで遊ぶ権利を勝ち取った。
ああ魔法のカード、君はなんと偉大な芸術だろうか。君は試験や試合の点を決め、戦争とすべての諍いの勝敗を定め、スーパーのタイムセールすら左右してみせた。
そして今、最後の時は訪れた。いよいよ手に入るのだ、愉悦の神からチャンピオンにのみ授けられる報酬――ああ、全宇宙に1枚だけの、魔法のカードが。
遺跡の魔法使い
何回言えばわかるの、私は子供が嫌いなの。まったく、二相楽園って本当に田舎なんだから。いい?魔法っていうのは貴重なものなの、あなたたちが好き勝手遊ぶためにあるんじゃないのよ。教えて欲しい?無理よ、アールズの呪いは現実編集装置の爆発に由来するもので、私たちの遺伝子には古代遺跡の欠片が組み込まれているの。私は山々に悠久の風を吹かせることも、夜空に明るい光を召喚することも、湖を蒸発させる火球を放つことだってできるけど、そのすべてには当然代償が必要になる。古代の知恵は欲張りを禁じ、記憶できる呪文に制限を設けた。それを超えると忘れてしまうの――ねえ聞いてる?もう1度だけ、このキャンディを出す魔法を使ってあげるけど、これがとんでもない無駄遣いだってわかってる?私のスペルスロットには1度に3つの魔法しかセットできないんだからね。
IQ税の徴収人
親愛なるおバカさんたち、自分の無知を嘆く必要はない。なぜ天才や賢人ばかりが人々の尊敬を集めるのか?知能指数などというのは生まれつきのもので、君たちがそれを持たないのは君たち自身の責任ではない。
よって、ボクはこの知の独占状態を打破するため、この星に「IQ税」を導入することに決めた。ボクの隣にあるこの丸っこい機械が見えているかな?こいつが世界中に向けて放つ「おバカビーム」は、すべての人の知力を同じ程度に引き下げるのさ。
賢人諸君、なんだか物忘れがひどくなったように感じないか?以前なら簡単に解けたであろう問題が、頭を抱えるほど難しく思えてこないか?諸君もバカの悩みを味わうといい!そしておバカさんたち、バカとしての豊富な経験を活かしてかつての天才たちを打ち負かすその日は、すぐ目の前までやって来ているぞ!
ボクは請謁者スマートヘッド、以上がボクからの表明だ。ご清聴どうも。
スーパー体育会系
ドーラエーモン星の教育システムは非常に発達しており、学生たちは6歳で微積分をマスターし、8歳で超弦理論を熟知し、10歳でブラックホールの重力公式を手計算できるようになる――この星で「知識注射銃」が大流行した理由はまさにその点にこそある。学生たちがただの本の虫になってしまうことを懸念したドーラエーモン教育部は、成人の儀に際してある規定を設けることとした。すべての新成人は、成人の儀において自身の体重と同じ重量の鉛玉を発射すること。しかし、教育競争の激化に伴って子供たちが発射する鉛玉の速度はどんどん速くなっていき、ついには第一宇宙速度を突破してしまった。
現在、この星の低軌道は鉛玉で構成された天体で埋め尽くされ、儀式の内容も宇宙障害物競走に変更されている。子供たちは人力の宇宙船を操り、鉛玉宙域を駆け抜けていく。少しでも遅れてしまえば、集団の中へ戻るのは難しいだろう。
有用な学者
みんなして私のことを無用の学者だとかなんとか言うが、今日ばかりは有用な学者になれたようだ。
これは私の「スマホ依存防止用格闘スマホケース」だ。今はこいつと殴り合って、スマホを開く権利を勝ち取ろうとしているところさ。だが、格闘のレベル設定を高くしすぎたかもしれない。もはやこれは「人型自走戦車」と改名すべきだろうか?まあいい、私にはもう1台スマホがある。こっちは私の脳と共鳴し、超強力でカラフルな光波を発射して、私の精神状態を映し出せるんだ。見ろ、みんなが私の展示を見に来ているぞ。博識学会にこもっているより、よっぽど立派じゃないか。
なに?幻月遊儀はもう終わった!?まあ、どうせ拾い物だ、みんなもっと褒めてくれ!褒め続けてくれよ、止めるんじゃないぞ!
電気ドルイド
こちらに向かってくるのは、冷蔵庫、エアコン、電気給湯器の軍団です。手足が生えている理由については気にしないでください。とにかく、彼らは人間のあまりに頻繁な使用に抗議しているのです。彼らに続いて、パソコン、スマホ、スマートウォッチの軍団がやって来ましたよ。彼らは混乱した列の中で、まるで興奮しすぎた小鳥のようにぴょんぴょんと跳ね回っています。
アルミホイルを身にまとい、鍋の蓋をかぶったドルイドが、その堂々たる家電軍団の先頭を歩いています。古の寓話に登場する笛吹き男のような彼は、タブレット端末を映した仮面を被り、歌を口ずさんでいます。遥かな昔、幻月は万物に生気を与えました。今日のコンクリートジャングルの「住人」たちもまた、束の間の知性を得て、我々を踊りに誘うこともできるのかもしれません。
参考文献
ああ友よ、君はここで方程式を見つけられると思ったかもしれないが、あいにくここは単なる階差宇宙のデータベースだ。ここは世界の基底となるロジックで、「楽園漫記」におけるすべては、ここの天文学的な数の資料によって成り立っているのさ。ここにあるデータが、多くの請謁者や、この宇宙における数多のゲームや儀式のシミュレーションを構築しているわけだ。もちろん、君に暇があるというなら資料を覗いていくのもいいだろう。参考文献
『幻月遊儀全集(第12版)』
『請謁者風雲録』
『幻月伝説について』
『燼土時代考察』
『楽園の瞬き画棲時代前の幻月遊儀の歴史的沿革と変遷』
……
『寰宇遊儀大全』
『儀式、遊儀と現代文明』
『星神信仰と地域風習』
『願力の基本原理』
『君の知らない99999種の遊儀』
『惑星級遊儀と愉悦の運命の蓋然的関連性』
……
調和
故国再建師
まだ覚えている。校門前の売店、その店先に置かれたガラス瓶に、カラフルなレインボーキャンディがいっぱいに詰まっていたことを。
覚えている。祭りの日の大通り、人々の瞳に映った花火を。
実家の庭の片隅に生えていた小さな草のことさえ覚えている。十数年もの間、雨風にさらされても決して倒れずにいたその姿を。
しかし、今や何もかもが変わってしまった。絵の中に閉じ込められ、何千何万という人々と共に囚われ続けている。あの懐かしき故郷は、二度と帰れぬ場所となってしまった。
しかし幸運にも、アッハ様がいてくださった。其は私に請謁者の身分を与え、「帰郷」の重責を担うことを許された。
私は自分の記憶を素材として捧げ、故国再建の偉業へと融合させた。
私はもっと多くの人がここに加わってくれることを願っている。この荒涼とした記憶の海で、無数の断片をかき集め、あの輝かしい故国を取り戻すために。
名医との出会い
嫌だ、私は絶対にこの部屋を出ないぞ!あの混沌医師が前に何をやったのか、君たちはもう忘れたのか?ヤツの妙な薬は霧になって街を覆い、石は磁力を得て砂粒たちと抱擁し、木々は幹を折って大地に口づけしたんだぞ。私の部屋は瞬く間に溶けて手足は言うことを聞かなくなり、操り人形のように街を歩き回っては見知らぬ誰かと抱き合う羽目になった。
ヤツはそれを虚無を打破するためだとか、完璧な出会いは明日の笑顔のもとだとか言ってたが、実際にはあらゆる物質が溶け始め、得体の知れない力に縛りつけられて融合させられたんだ!たしかに愛する人には出会えたかもしれないが、その後に起こった何もかもが……
とにかく、こっちに外に出る気はない。こんな姿を人に見られるぐらいなら、この狭い部屋に閉じこもったまま死んでしまったほうがマシさ!
楽園ナイト
いつかの年の今日という日をまだ覚えているかい?あの頃の楽園はまだ、今のように荒唐無稽な有様ではなかった。ある子供たちが遊園地の売店で仮面を買い、それを面白がった笑いの神様が5人の子供たちを1つの仮面の持ち主と認めた。けれど子供たちに大仰な奇跡なんて起こせるはずもなく、彼らにできたのは拙い「ごっこ遊び」に過ぎなかった。
彼らは木でできた剣を掲げ、大きな船に乗って伝説のゼリー島へ向かう。親切なオルクが忠実な護衛役を、年配のグワラが年老いた船長役を務めた。彼らは勇敢な迅刀龍と出会い、そしてついに超常現象管理局の局長自らが演じた魔女を打ち倒したんだ。こうして、5人は偉大なる楽園ナイトに任命され、およそ百万もの人が関わった壮大な演目は幕を閉じた。
ほら見てくれ、この腰の宝剣を。これもあの時にもらった贈り物なのさ。
消滅粒子群
愛しいあなた、いい知らせよ。ようやく私たちはお互いに抱き合うことができるわ――あなたのお父さんがパルサーを離れて、あの「幻月遊儀」とかいうゲームに参加しに行ったんだもの。私たちを隔てていたあの電磁斥力が、ついになくなったのよ。
あなたは正物質で、私は反物質。触れ合えば弾けてしまうことなんて分かってる。でも消滅なんて一時的なものよ。その後には重なり合った粒子の間に、新しい意識が生まれるんだもの。ああ、あなたの磁場が私に触れようと近づくのを感じる。怖がらないで、たとえその代償が派手な花火になって散ることだとしても、それでも私は、このロマンをあなたと分かち合いたいの。
ちょっと、そこの老いぼれ!超距離作用が一族の視線を繋いでしまうことくらい知ってるわ。でも今さら戻ってきたって無駄よ。惹かれ合う電子が互いに接近し、公転しようとするのを止めることなんて、誰にもできないんだから!
重力の歌
人類学者を自称する者として、私は「曳痕星」――ブラックホールの近くに位置する有人惑星を観測対象に選択した。引力圏へ派遣される宇宙飛行士は潮汐力の影響を受けることになるため、彼らは皆、家族に永遠の別れを告げなくてはならない。そのため、曳痕星の人々には彼らを見送るための歌会を開く習慣がある。
これはこの星で最も盛大な催しであり、集まった人々は老若男女を問わず歌を披露し、互いの歌を採点し合う。優勝者は次の宇宙飛行士に選ばれ、賞品はそこで歌われる「歌」そのもの。先に歌った者たちの声はブラックホールの縁で重力によって引き伸ばされ、後から歌う者たちの声と物理的に重なり、交錯し、時間差による輪唱を形成していく。完成された歌を聴くことができるのは、ブラックホールの範囲内に入った者だけなのだ。
その旋律の美しさがどれほどのものか、私には想像もつかない。あるいは、いずれ私もそれを聴きにいくべきかもしれない。
天命の主
俺はパーブー人なんだが、今ヤバい、とにかくヤバいんだ。ついさっき、俺と俺以外の99人の不運な奴らが「天命の主」に選ばれちまったんだ。今日1日、他のパーブ一人は俺たちの命を好き勝手奪うことができて、法的責任は一切問われない。
正直これの何が面白いのかさっぱりだ。いや、この前まで俺も楽しんでたけどさ。「天命の主」の魂はアッハを喜ばせると言うが、だったら心の底から其に言わせてほしい。俺にはユーモアのセンスなんて欠片もないんだ。隣の席の同僚とはまるで違う。あいつはいつもダジャレでオフィス中を爆笑させてた、魂を奪うなら俺なんかよりまずあいつだろ?
いや、わかってる、こんなこと考えたって無駄だってことくらいな。気を紛らわすためにやってるだけさ。外から聞こえてくる音だけで頭が禿げ上がりそうだ。我が家の防犯扉がどんな酷い目に遭っているかは知らないが、どうか今日が終わるまで持ちこたえてくれることを祈るしかない。でなきゃ俺とあの扉は同じ運命を辿ることになっちまうんだから。
人、大蛇、星の輪
その人々を私に渡してくれ。
悲しみに暮れる者たち、
憂鬱に沈む者たち、
顔を上げて思い切り笑いたいと望む者たち、
この愉悦の地に捨てられ、楽しみを失くし、その顔を憂いに曇らせるものたちを。
すべてを私に委ねなさい。
1人の手を私の肩に乗せ、
その人の肩にまた別の誰かの手を乗せよう。
互いに触れ合い、愉悦が身体のあらゆる器官に循環させよう。
私たちは繋がって大蛇となり、楽園のすべての街角に笑い声を響かせよう。
その過程で出会うすべての人類、すべての幻造種が、私たちのパレードに加わるだろう。私たちは大喰らいの大蛇のように疲れを知らず、満たされることもない。
いつか私たちの頭と尾は繋がり、あの幻月を取り囲む、透き通った星の輪になることだろう。
死せる将軍
やっと姿を現したか、外界天魔の主…この顔に覚えはないか?貴様に殺された無数の亡霊だ。怨恨に満ちたこの地で彼らが最期に抱いた思念が物質と願力を吸い上げ、生者の残り火のような嘆きへと変わったのだ。死者は本来消え去るべきものだ。だが俺の忌むべき記憶と、偶然手にしたこの仮面が、彼らを現世に引き留めるとっかかりになってしまった。
生前、戦士だった彼らには死してなお安息が訪れない。復讐を望む軍団が夜通し俺の耳元で吠え、叫んでいる。戦いの果てに己の欠片すら残らなかろうとも、魔王の首を斬り落とす、と。赤の月、カンデル、レンツ、寧…10万1201名だ。彼らがお前の首をとりに来た。
戦友たちよ、そう急くな。幻月が沈む時、俺もそちらへ行く。
神の名を呼ぶ者
アッハ、いったい何様だ?この宇宙の愉しみの頂点を自負しながら、宇宙を穏やかではないものにしている。私の故郷はまさに、ある神が作ったサイコロのゲームで破滅させられたんだ。言わせてもらえば、世の愉しみというのは、嘲笑う者自身が笑い物にされていないから成り立つんだ。たとえアッハであろうと、其を怒らせる言葉はあるはずだ。
これは復讐だ!諸君、よく見ていろ。今から私は90億もあるアッハの名前を順に罵っていく!誕生した瞬間に付けられた幼名から、最も気取った呼び名、最も悪意ある称号に至るまで、其の悪行の数々を徹底的に糾弾してやる。観客も盛り上がってきたな。アッハよ、皆がどれほどお前を憎んでいるか、見ているがいい!
さあ、私と共に愉悦の神を罵倒しよう!どんな言葉なら其を激怒させられるか、試してみようじゃないか。
極楽の舞踏会
騒ごう!世界を踊らせるのに、至福の舞踏会を待つ必要なんてないだろ?エレキギターの旋律が夜空を貫き、ドラムのビートが激しく鳴り響く。キミたちの意識はメロディーに流れ込み、手足は自然とリズムを刻み出す。楽しさは伝染病のように伝播する。キミたちはダンスパートナーであり、同士であり、ダンスの中に美しく漂う一筋の流光。ステージの真ん中で歓声を浴びるキミ、そのギターの弦に火花が弾ける。さあ、来なよ!楽園に騒々しいライブを捧げよう!みんなの頭の中がロックで繋がり、全員の楽しみは月のもとに集う。悩みも悲しみも忘れ、オレたちはついにひとつになる。
遊儀の勝ち負けなんて関係ない。今夜は、夜明けまで狂い咲こう!