モチーフ考察-サバイバー

Last-modified: 2021-10-02 (土) 23:04:29

当ページについて

  • このページはサバイバーのアイテム・名称・職業・経歴のモチーフになったものを考察をまとめたページです。
  • 公式からモチーフと発表されたものは表記しているのでそういった記載があるもの以外は全て予想にすぎません。
    一部独自解釈があるため、影響を受けたくない方は閲覧非推奨です。
  • 当サイトでは、特定の1人の人物からではなく、いくつかの要素が合わさり1人のキャラクターが出来ていると考えています。
    モチーフは人物だけでなく、物や宗教なども含まれます。
    また、モチーフはあくまでキャラクターデザインの参考になっているという意味なので野人のようにモチーフとなった人物もゲームで存在しているという可能性もあります。
  • 管理人のキャパにより全てのキャラクターに関する知識を理解しきれないため当ページの内容は誰でも編集・追加可能ですが、本人以外が書いた項目を消す時のみ必ずコメント欄で事前相談をしてください。
  • レイアウト関係で少し弄ることはあるかもしれませんが基本的に内容に対しては殆ど縛りをつけるつもりはないので自由に編集してください。

医師



職業医師名前エミリー・ダイアー
(Emily Dyer)
外在特質医薬精通、医術訓練、高飛車(旧称:中産階級)、荘園旧友
うわさこの狂った世界で生き残るには、ただ善行を積むだけでは足りないー
すべての患者が適切な処置を受けられるわけもなく、すべての医者に自愛の心があるとも限らない。

モチーフ考察

【アメリア・ダイアー(Amelia Elizabeth Dyer)/1837-1896】

【アメリア・ダイアー(Amelia Elizabeth Dyer)/1837-1896】
「エンジェルメーカー」と呼ばれた18世紀後半の殺人鬼で、少なくとも400人以上の子供を殺めたと言われている。
当時のイギリスでは未婚のまま子供を産んだ際、社会的にも金銭的にも一人で育てていくのが困難なため、報酬を払って子育てを代理してもらうことがあった。
そういう女性たちに向けてダイアーは前払いで金をもらうため、「代理」ではなく「養子」として引き取るという体で新聞広告を出していた。
引き取った赤子は殺害して遺体をテムズ川に捨てて証拠隠滅をしていたが、袋に入った子供の死体が川で発見されたことで1896年に逮捕され、絞首刑となった。
事件をきっかけに、このようなことが二度と起こらないよう養子縁組法が改正されることとなった。

医師の偽名は恐らくこの人物から来ている。
庭師の医師に対する天使という呼び名との繋がりがあり、医師は産婦人科医だったことから子供関係の仕事をしているという共通点がある。

【ナイチンゲール症候群(Florence Nightingale effect)】

【ナイチンゲール症候群(Florence Nightingale effect)】
名前の由来は19世紀の看護先駆者であるフローレンス・ナイチンゲール。
看護提供者が患者に対して、医者と患者の関係以上の関係がないにも関わらず恋愛感情や性的感情を抱いてしまう状況を指す。
その感情は、通常患者が回復したり助けを必要としなくなった段階で徐々に失せていく。
職業的な境界を越えて個人的な関係に及ぶことは、患者に対し害を及ぼし、看護職の信頼性を損ねるなどの理由で、看護倫理以前の基本的な職業モラル違反となる。
なお、ナイチンゲール症候群正式な病名ではなく、慢性疲労症候群によるものではないかと言われている。

医師と庭師の関係はこれに近いのではないかと考える。
この症状の由来であるナイチンゲールは「白衣の天使」と呼ばれており、庭師の「私の天使」という表現に繋がりを感じる。
アメリア・ダイアーは医者ではないので、職業に関しては看護師の手本とも言えるナイチンゲールから多く採用されているのではないかと思われる(エミリーは看護師でなく医者であるが、服装は看護師のものである)。

スキル考察

  • 鎮静剤
    DBDにおいて医師の持つ鎮静剤にあたるものは止血用注射器で、デザインはほぼ同じだが名称が異なる。
    性能はゲームの仕様の違いもあり少し異なるが、味方や自分を回復することができるアイテム。
    鎮静剤とは応急処置をする道具と言うよりは興奮する患者を抑えるために注射するものなので、この差異の理由はホワイトサンド精神病院あたりの出来事から影響されているように思う。

ストーリー考察

  • マーシャの死因
    背景推理に登場する報道「婦人がリディア・ジョーンズ診療所にて違法手術を受けている最中に、医師が患者を置き去りにしたまま診療所を去った」は、マーシャの恋人であった弁護士がリディア・ジョーンズ(荘園に隠された名前の主人、女、処刑人※英訳だとbutcher=肉屋、もしくは虐殺者)を探し出すことを目的としていることから、婦人=マーシャでほぼ確定と見ていい。
    医師は元々産婦人科医であることやアメリア・ダイアーが子供を殺していたことから、診療所の赤字をなくすために女性に行なっていた治療というのは当時違法であった堕胎手術である可能性が高い。
    そのため報道にある違法手術というのも堕胎手術を指すものであると考えられていたが、弁護士の手紙によればマーシャはお腹の子(アヌシー)について堕胎するどころか育てる気でいた。
    ではマーシャの直接の死因がなんだったのかというと、以下の説がある。
    • なんらかの理由でマーシャはアヌシーを産むのをやめ、堕胎手術をしている途中に置き去りにされた
      堕胎の方法として一番安全なのは「生んでからなかったことにする」ことだが、それではマーシャの死因になり得ない。
      考えられるのは毒や薬の服用・もしくは外科手術で、これらの影響で命を脅かされたマーシャを医師が放置したということになる。
      この場合疑問であるのはマーシャがなぜ突然アヌシーを産むのをやめたのかということである。
    • アヌシーを産むために帝王切開を行い、途中で置き去りにされた
      マーシャが受けていた手術というのがそもそも堕胎目的ではなく出産目的だったのではないかという説。
      帝王切開は古くから存在しているが、子宮を切り開くという方法であること・今ほど医学が発達しておらず手術の際に殺菌をする手段がなかったなどの都合から、当時母親の死亡率は非常に高かった。
      ただし帝王切開が違法手術かと言われるとそうではない。
    • 手術とは関係なくマーシャが殺され、状況証拠で濡れ衣を着せられた
      リッパーの記念日が8月7日であることから、史実においてこの日に殺されたマーサ・タブラム(Martha Tabram)とマーシャ(Martha)を関連付けて考えた説。
      切り裂きジャックの殺人の手口の1つに子宮を取り出すというものがあり、マーシャが診療所周辺でこういった殺され方をしたために医師が手術を行っている途中に放置したと勘違いされたのではないかというもの。
      ただしこれも前の説と同じく帝王切開が違法手術かと言われるとそうではないので少し疑問が残る。
  • 嫌いなものについて
    医師の嫌いなものであるコヨーテだが、これは医師の背景推理8に登場する「お腹を空かせた野良犬」から来ているものではないかという説がある。
    ただし、コヨーテとは北アメリカを中心に生息するイヌ科の動物で大都市に進出することもあるが、イギリスには生息していない。
    しかし生態は似ているところがあるのでこの2つが関係している可能性は十分にある。

歴史背景

  • 中世の堕胎について
    人間の定義というのは諸説あるが、キリスト教において胎児の時点で「魂」があると考えられていた。
    そのため宗教界において中絶は重罪と扱われ、教会と病院が関連付けられることの多い第五人格においてもそういった背景はあると考えられる。
    イギリスにおいて中絶が合法化されたのは1968年で、それまでは例え母体を救うためだったとしても禁忌だった。
    方法としては薬によるものが一般的で、その中でもDiachylonと呼ばれる鉛丹硬膏を使った鉛中毒で人工的に流産を引き起こす薬がよく使われていた。
    また、当時の医療技術的に殺菌が十分でなかったことから中絶のリスクは高かった模様。

参考文献

弁護士



職業弁護士名前フレディ・ライリー
(Freddy Riley)
外在特質深謀遠慮、無情な心、荘園旧友(現在は削除:蠱惑、高飛車)
うわさ例え全てを失ったあの訴訟で打ちのめされても、フレディは疑わなかったーー
法律は「しても良いこと」の許可でなく、「してはならないこと」の規定であると。
しかし今「してはならないこと」など残されているだろうか?

モチーフ考察

ミューズ9女神の1人で叙事詩を司る女神カリオペーは弁舌の女神とも呼ばれることから、現在は削除されている蠱惑スキルにある「彼は弁の立つ弁護士で…」という文と共通点が考えられる。
カリオペーはミューズの中で最も賢いとされ、描かれる際には書板と鉄筆を持っているが、弁護士の左ポケットにメモ帳と万年筆が入っており少し構図が似ている。
ちなみに、カリオペーの息子の名は「オルフェウス」である。
持ち物の地図はDBDにも同じようなアイテムが存在しており、こちらからきていると思われる。

歴史背景

  • イギリスの弁護士について
    日本では弁護士というと主に裁判での仕事のイメージになるが、イギリスでの弁護士職は「法廷弁護士(barrister)」と「実務弁護士(solicitor)」の2つに分かれる。
    法廷弁護士は主に法廷に立って弁護活動を行う法律専門職で、実務弁護士は行政機関への提出文書の作成・各種契約書の作成・不動産登記手続等も幅広く行う法律専門職とされている。
    第五人格の弁護士は軍需工場の債権をやりとりしていたため、実務弁護士である。

スキル考察

  • 無情な心
    中国版では「郎心似铁(彼の心は鉄のよう)」というスキル名で、中国では「妾意如绵(彼女の想いは棉のよう)」という言葉と合わせて男と女の心情を比べる四字熟語として使われている。

泥棒



職業泥棒名前クリーチャー・ピアソン
(Kreacher Pierson)
外在特質狡猾、機敏、収集癖、ピッキング
うわさ孤児院が協会によって運営されるようなって以来、クリーチャーが贅沢に浸ることはなかった。
彼はもっと多くの子供達を救えるかもしれないと思っていたからだ。
当然、その金は他人のポケットから頂く必要があるのだが。

モチーフ考察

【ジョージ・ミュラー(George Fredrick Müller)/1805-1898】

【ジョージ・ミュラー(George Fredrick Müller)/1805-1898】
イギリスで活躍した孤児院経営者、宗教家、説教家。
1805年にプロイセンで生まれる。
父に甘やかされて育った結果非行に走るようになり、10歳の時には泥棒をするようになった。
日常的に嘘をつき、悪友相手に賭け事をしたり酒を飲んだりと遊び呆け、ホテル代の未払いにより詐欺罪で牢獄に送られたこともあったという。
そんなならず者の模範のようなミュラーを心配した父は将来を心配し、安定した職業につけようとハレ大学の神学部に入れて牧師にしようとした。
大学でも性格はあまり変わらないままのミュラーだったが、ある時友人の誘いで聖書研究の集まりについて行った際に人が変わったように飲酒・賭博・盗みをやめてキリストを信じるようになる。
その結果彼は安定した収入を得るために希望していた牧師ではなく、海外で教えを広める宣教師としての道を希望してイギリスに渡った。
1832年にデボンで出会ったヘンリー・クラークと共にブリストルにある2つの礼拝堂の牧師となった。
また、1834には2人で国内外の宣教師を支援する機関、聖書知識協会(SKI)を設立した。
この機関の目標の中に孤児院を建てることも含まれており、1835年にコレラの流行により孤児の数が増大したことをきっかけに、ミュラーは孤児院を開くとことを目的とした公開会議を開いた。
孤児救済とは本来金はかかるがリターンは期待ができないもので、資金力がなければ成り立たない事業だった。
資金の後ろ盾が何もないミュラーは福祉的な目的で孤児院を作ろうとしたわけではく、神が裕福で物惜みをしないということ・神に頼ることが無意味でないことを証明するために孤児院を作ろうとしたのである。
そのため、ミュラーは決して特定の個人からの財政支援を求めず、借金もせず、祈りと寄付金と無償の親切のみで孤児院を建てて経営した。
ミュラーの自伝によれば、ある時朝食のパンがないような日があったが全ての孤児たちは孤児たちはテーブルについており、朝食に感謝し祈りを捧げた後、パン屋が皆を養うのに十分な数の焼きたてのパンを持って孤児院にやってきて、牛乳屋は孤児院の前でカートが壊れたので沢山の新鮮な牛乳を寄付してくれたという。
彼は5つの孤児院を建て方針を変えないまま経営し、宣教師としての活動も続けながら1898年には92際でブリストルで亡くなった。
彼の葬式には沢山の人が集まり、ブリストルの街を停止させた。
彼は孤児院にいた養子たちやブリストルの街の人々にとっての「偉大な信仰の男」というだけでない。
彼の祈りのみで孤児を救うという試みは世界の人々にとって偉業と呼べるものだった。

過去に詐欺や泥棒を働いたことがあり逮捕歴があること、慈善事業をしていること、教会との関わりがあること、孤児院を複数開設したことなどが共通点としてあげられる。
また、ジョージ・ミュラーの友人であったアーサー・タッパン・ピアソン(Arthur Tappan Pierson)は後に彼の伝記を書いており、泥棒のピアソン性はこの人物から来ている可能性がある。
ミュラー姓はホワイトサンド精神病院に務めるシスター、ロレーヌに引き継がれている?

スキル考察

  • 懐中電灯
    持ちアイテムの懐中電灯に関しては実際に懐中電灯に関するエピソードが泥棒にあるのかは不明だが、そもそも懐中電灯自体が登場したのが1899年にアメリカの会社がイギリスの発明家のデヴィット・ミゼルから特許を取得したのが最初で、泥棒の参加したゲームは1898年に行われたものである。
    もし歴史が間違っていなければ、荘園で泥棒が持っている懐中電灯は開発中のものを盗んだかもらったかということになる。
    ちなみにDBDにも懐中電灯に対応するアイテムが存在しており、デザインや機能もおおよそ同じものである。

参考文献

庭師



職業庭師名前エマ・ウッズ
(Emma Woods)
外在特質匠の技、守護、機械熟知(アプデ前)、安心感、荘園旧友
うわさ彼女の完璧な園芸技術は、ただ愛するカカシ様をお世話するためのものである。
ほら、夢の中の恋人を着飾らせるのに、何の問題もないでしょう?
ただ十分な金さえあればいい。

モチーフ考察

庭師はメインストーリーに深く関わっているため、庭師自身には他のキャラクターのように明確な元ネタはいない可能性がある。

スキル考察

  • 工具箱
    庭師の代名詞である椅子壊しの由来として考えられるのは、庭師の背景推理に登場する電気療法の際の椅子。
    背景推理にある「誰かが(椅子から)助けてくれたらよかったのに」「今の私は、誰かを助けることができるのかな?」という文章がそのまま能力に反映されているのではないかと考えられる。
    工具箱というアイテム自体はDBDにも存在しており、第五人格のものと似たようなデザインである。
    DBDの工具箱は肉フック(ロケットチェア)だけでなく発電機(暗号機)の修理速度(解読速度)を上げたりハンターの罠を解除したりといったこともでき、第五人格の工具箱は椅子壊しに特化している。

マジシャン



職業マジシャン名前セルヴェ・ル・ロイ
(Servais Le Roy)
外在特質マジック、機敏な腕、真偽不明
うわさ人体消失マジックを得意とするこのマジシャンは、まだ世間にその名を知られていなかった。
もしかしたら、かつて無数の芸術家を輩出したエウリュディケ荘園で、彼は新しい公演の霊感を得ることができるかもしれない。

モチーフ考察

【セルヴェ・ル・ロイ(Servais Le Roy)/1865-1953】

【セルヴェ・ル・ロイ(Servais Le Roy)/1865-1953】
ベルギー出身のマジシャンで、人体消失のマジックの発明者として知られている。
1902年に彼の妻をアシスタントとして発表した「アスターの空中浮遊」が有名。

名前の由来・得意マジックが共通している。

歴史背景

  • 背景推理の用語
    • サーストン原則
      正しくはサーストンの三原則。
      ハワード・サーストンというアメリカのマジシャンの名を冠したマジックにおけるルールのようなもの。
      1.予め起こる現象を説明してはならない
      2.同じマジックを繰り返してはならない
      3.タネ明かしをしてはならない
    • アスターの空中浮揚
      セルヴェ・ル・ロイが考案したマジック。
      マジシャンがアシスタントにテーブルやソファに寝転ぶよう指示し、アシスタントの上に布をかぶせる。
      布に覆われたアシスタントは布ごと空中に浮かび上がる。
      マジシャンが布を引き剥がすとアシスタントは消え、突然別の場所にアシスタントが現れる。

冒険家



職業冒険家名前カート・フランク
(Kurt Frank)
外在特質探検の空想、探検、好奇心、実力蓄積
うわさ彼は帆船でイギリス海峡を横断し、熱気球に乗って森林を飛び越え、たくさんの奇妙な国々を訪れた…
カート・フランクの生活は、旅行記と同じくらい素晴らしい!

スキル考察

  • ガリヴァー旅行記
    冒険家の能力である小人化は、この作品において主人公であるガリヴァーが「小人の国」で冒険を繰り広げた次に訪れたのが「巨人の国(自らが小人として扱われる国)」であることからと思われる。
    ガリヴァー旅行記はアイルランドの作家であるジョナサン・スウィフトの作品。
    レミュエル・ガリヴァーという名の医師が執筆した旅行記、という体裁の冒険小説だが、当時のイギリス社会等を痛烈に皮肉った風刺小説でもある。
    作品は四篇構成となっており、最も有名な小人の国での冒険は第一篇である。

歴史背景

  • 不思議の国のアリス症候群
    1922年にイギリスの精神科医トッドにより名付けられた。
    目に障害がなく、外界が通常と同じように見えているのにもかかわらず、物体の大きさや距離感などを正しく認識できなくなってしまうという精神病。
    自分や他人の身体の一部が肥大化して見えたり、逆に小さくなったように見えたりという症状が発作的に現れる。
    ウイルス感染による脳神経の炎症や偏頭痛、向精神薬の服用などが原因になることが判明しているが、具体的なメカニズムなど不明な点も多い。
    冒険家は妄言癖が原因で過去にホワイトサンド精神病院に入っており、背景推理12の「1篇の日記:不思議な光景だ…この本を読んでいると、周りのすべてが拡大したように見える。」と言う表現は冒険家が不思議の国のアリス症候群も併発していたのではないかという説がある。

傭兵



職業傭兵名前ナワーブ・サベダー
(Naib Subedar)
外在特質ダッシュ、長期訓練、頑健、戦争後遺症
うわさ退役した一傭兵として、ナワーブ・サベダーは銃弾の降り注ぐ生活に慣れていた。
この危険なゲームは、彼を戦場と同じような体験をさせてくれるかもしれない。

モチーフ考察

  • 名前の由来
    • ヒンドゥー語などで「副」「代行者」などを意味する「Naib(ナワーブ)」と英領インド陸軍時代に使われていた階級で、現代でいう大尉の階級である「Subedar(サベダー)」を合わせた名前である説。
    • 1960年代以降にインドで使われている階級で、英領インド陸軍時代ではJemadar(中尉)と呼ばれていた「Naib subedar(ナワーブサベダー)」である説。

歴史背景

  • グルカ兵とは
    ネパールの山岳民族(グルカ族という民族は存在せず、この戦闘集団を構成する複数の民族をグルカと呼ぶ)で構成される戦闘集団、もしくはグルカ出身の傭兵のことを指す。
    グルカという呼び名はGauraksha(ゴルカ)の英語訛りであり、イギリスがそう呼んでいたことからきている。
    山岳民族特有の小柄な体格(150cm前後)で白兵戦に優れ、特に傾斜地での戦いでは白人兵がグルカ兵に歯が立たなかったという。
    性格は非常に勇敢なことで知られ、「If a man says he is not afraid of dying,he is either lying or he is a Gurkha.(死を恐れない男がいるなら、その男は嘘をついているかグルカ兵かのどちらかだ)」という言葉が残っているほど。
    18世紀のグルカ誕生当時にはネパールという国家は存在しておらず、1814年に起こったグルカ戦争で東インド社(イギリス)とグルカ王朝(後のネパール)の和平交渉中にグルカの雇用を要求する項目があったことから始まる。
    これにはグルカ王朝の勢力を削ぐことも理由の一つとしてあった。
    グルカ兵の有用性に目をつけた英国軍は戦時中からゴルカ軍脱落者を雇い入れており、1816年にイギリスの勝利で停戦条約が結ばれた際は5000人のグルカ族が英国軍に入隊した。
    1857年にインドで起こった独立戦争「セポイの乱」において投入された14000人のグルカ兵は鎮圧に多大な貢献をし、これをきっかけにイギリスはネパールとグルカに関する協定を新たに結び、ネパールはイギリスに兵を輸出することでイギリスからの植民地支配を逃れた。
    セポイの乱後の東インド会社事実上の解散、さらに1874年に東インド会社が正式解散後も現代に至るまで、多くのグルカ兵がイギリスやイギリス連邦諸国にて従軍している。
  • 東インド社
    東インド社とはアジア貿易を目的としたイギリスの商社ではあるが、実質的には植民地主義国家のイギリスによる統治機構である。
    ネパールはイギリスの支配から逃れるために隣国の独立を助けるよりも、イギリスへの貢献を選ぶ政策を取った。
    背景に東インド社に勤めていたとあることから傭兵がイギリスに所属していたのはグルカ戦争後である。

参考文献

空軍



職業空軍名前マーサ・べハムフィール
(Martha Behamfil)
外在特質精確打撃、頑強、仲間思い、長期訓練
うわさ地上で着陸誘導を行う日々にうんざりし、マーサは自分の飛行機を操縦してみたくなった。
もしこのゲームに勝利したら、彼女の願いは叶うのだろうか?

モチーフ考察

‪【マルト・リシャール(Marthe Richard)/1889-1982】‬

【マルト・リシャール(Marthe Richard)/1889-1982】
旧姓ベタンフェルド(Betenfeld)。フランスのスパイであり政治家。
ロレーヌ地方のナンシーの貧しい一家で双子として生まれるが、生後間もなく姉妹は死亡。
女工および娼婦として働いていたが、貧しい生活やその中でも女性として搾取される生活に不満を持ち、感化院(現代で言う児童養護施設)に入れられたことがきっかけでパリへと出奔。そこで出会った実業家のアンリ・リシャール(Henry Richer)と結婚する。
アンリとの結婚後に夫の援助により女性パイロットとなるが、第一次世界大戦により夫が戦死。
これをきっかけにマドリードにあったドイツの秘密情報本部にスパイとして潜入・活動し、第一次世界大戦後にはこの活動が評価されレギオン・ドヌールを受勲した。
第二次世界大戦においてもレジスタンスとして活動。
戦後は政治家となり、公娼制度の撤廃を目的とした「マルト・リシャール法」の制定に尽力した。
なおスパイ時代の彼女は数回映画化されている。

‪【マーサ・リッシャー(马尔塔·里舍)/1895-不詳】‬

【マーサ・リッシャー(马尔塔·里舍)/1895-不詳】
フランス騎兵隊長の娘として生まれ、フランスのスパイとして「雲雀」というコードネームを持ち、ドイツでは「C-32」と呼ばれていた。
幼い頃から剣を持ち馬に乗ったり射撃をするなど類稀なスポーツの才能を発揮していた。
大人になってからは飛行に夢中になり、いつか青空を自由に飛びたいと願ったマーサにヘンリー・リッシャーという裕福な実業家が応えた。
1912年に彼女はフランスで2番目のパイロットとなった。
2年後に二人は結婚したが、新婚早々第一次政界大戦が勃発し、ヘンリーは徴兵に応じて前線へと向かった。
一方でマーサは対スパイ部門の指導者のラドゥ大尉に誘われる。
マーサは愛するスポーツ人生に別れを告げることを躊躇ったが、その時に夫のヘンリーが戦死したというニュースがあった。
マーサは悲しみに暮れ、夫の仇を打つ決心をし、ラドゥ大尉の誘いに乗ることに決めた。

旧姓の中国表記「马尔塔·贝坦菲尔徳」は空軍の中国表記である「玛尔塔·贝坦菲尔」と非常に名前が似ている。
また、女性としてのあり方に不満を持っていることや恋人であるアンリ・リシャールはイギリス表記だとヘンリーになるなど他にも共通点が多い。
※百度百科にある「马尔塔·里舍」と自伝を書いた「マルト・リシャール(Marthe Richard)」は別物である可能性がある。
马尔塔·里舍は1895年にフランス騎兵隊長の娘として生まれたとされ、マルト・リシャールは当記事の通り1889年に生まれ軍人の家系ではない。
しかし、尔塔·里舍の旧姓とマルト・リシャールの旧姓は同じであり、2人もヘンリーという恋人がいたことから別人ではない。
この差異はマルト・リシャールの伝説が中国に伝わった際に信ぴょう性のない噂や誤った情報が混ざったことが原因の可能性があり、つまりは马尔塔·里舍とはマルト・リシャールを元ネタにした人物ということである。
詳しくはこの記事を参照。

【ナジェージダ・ドゥーロワ(Nadezhda Andreyevna Durova)/1789(1790)-1866】

【ナジェージダ・ドゥーロワ(Nadezhda Andreyevna Durova)/1789(1790)-1866】
ロシア初の女性将校でキエフの軽騎兵の地方貴族に生まれるが、男児を期待していた母には失望され、軽騎兵たちに育てられる。
その後男と偽り軍隊に入り軽騎兵として名を馳せたが、編物や家事・結婚など当時の一般的な女性であることを薦めてくる母とはそりがあわなかった。

モチーフ候補。母の性格や境遇がマーサと似ている。

【アメリア・イアハート(Amelia Mary Earhart)/1897-1937?】

【アメリア・イアハート(Amelia Mary Earhart)/1897-1937?】
パイロット。アメリカを代表する女性英雄であり、ナイト・ミュージアム2など様々な映画にも登場している。
カンザス州の裕福な家庭に生まれ、女性初の単独太平洋横断飛行など、数々の記録を打ち立てた。
1937年、赤道上世界一周への挑戦中にニューギニア島付近にて行方不明となり、その最期は現代に至るまで多くの人々の関心を寄せる歴史のミステリーの1つとなった。
(なお2018年の調査の結果、1940年にキリバスで発見された人骨の一部が、彼女自身のものである可能性が非常に高いという結果が出ている)

モチーフ候補。
第一次大戦中に陸軍病院で看護助手として働いており、空軍の衣装に看護婦をモチーフとした衣装があるのはここらか来ているのではないかと思われる。

【マーサ・ジェーン・カナリー(Martha Jane Cannary)/1856(1852)-1903】

【マーサ・ジェーン・カナリー(Martha Jane Cannary)/1856(1852)-1903】
カラミティ・ジェーン(Clamity Jane)の名で知られるアメリカ西部開拓時代の女性ガンマンで「平原の女王」とも呼ばれた。
アメリカのミズーリ州で生まれ、14歳の時に家族でモンタナ州に引っ越したが道中で母が当時流行していた肺炎にかかってしまい、亡くなってしまう。
1867年には父も失い、家督を継いだ彼女は6人兄妹の長女として家族を養うためにどんな仕事でも引き受けた。
皿洗い、コック、ウェイトレス、踊り子、看護婦、牛飼いなどを経て、最終的にはラッセル砦で軍人となり斥候の仕事を得た。
その中で彼女はインディアンとの戦争に関わり、自伝ではこの際に味方の大尉を助けてカラミティ・ジェーンのあだ名をつけられたと書いているがこのエピソードは作り話ではないかと言われている。

モチーフ候補。
名前がマーサであること、銃の扱いに長けていたこと(空軍の精確打撃)などが共通点としてあげられる。
また、過去に看護婦をしていており、空軍の衣装にも看護婦をモチーフとした衣装がある。

スキル考察

  • 信号銃

    【マーサ・コストン(Martha Coston)/1826-1904】

    【マーサ・コストン(Martha Coston)/1826-1904】
    コストン・フレアと呼ばれる信号システム(信号弾)を発明したことで有名な女性実業家。
    アメリカで生まれ、15~6歳の頃に21歳のベンジャミン・フランクリン・コストンと駆け落ちする。
    ベンジャミンは有望な発明家であり、ワシントンにある米国海軍の科学研究所の所長となった。
    彼は海軍造船所で信号用のロケットや色分けされた夜間用の信号などを開発したが、これらの開発に関する仕事への支払いを巡るトラブルにより海軍を辞め、自分の会社を立ち上げて社長となった。
    しかし、造船所と会社の両方で使っていた科学煙が彼の健康を損なわせたことで1848年に亡くなってしまう。
    ベンジャミンの死後、妻のマーサと2人の子供が残されマーサは精神的にも財政的にも苦しい状態になった。
    そんなマーサが夫の書類の整理をしている時、夫の未完成な信号システムに関するメモを見つけた。
    完成には10年もの時間がかかったが、彼女は夫の研究に基づいて伝達システムの開発に取り組んだ。
    1859年には特許を取得し、彼女の完成させたシステムは南北戦争中にアメリカ海軍に広く使用された。

    彼女の手持ちアイテムである「信号銃」はマーサつながりでこの人物から来ていると考えられる。

歴史背景

航空機の発明は1903年で、航空機が一般的に軍事目的で利用されるようになったのは1914年の第一次世界大戦以降。現時点で実装されている役職の中でも、最も新しい役職である。
ちなみに彼女の服装は、第二次世界大戦中の婦人補助空軍(Women's Auxiliary Air Force, WAAF)に酷似している。ただし第五人格の空軍の服はベージュだが此方の服は紺色。
婦人補助空軍は第一次世界大戦末期の1918年から1920年にかけて組織された王立婦人空軍(Women's Royal Air Force、WRAF)を前身としている。
こちらの制服も婦人補助空軍とほぼ同じであるが、スカートの裾が広く作られており、スカートがよりタイトな婦人補助空軍の制服の方が第五人格の空軍のデザインに近い。

参考文献

機械技師



職業機械技師名前トレイシー・レズニック
(Tracy Reznik)
外在特質機械操縦、虚弱、機械マスター、臆病
うわさ招待状には巨額の賞金が約束されていたが、トレイシーの興味を引いたのは、
むしろ荘園に隠された秘密の装置だった。
機械技師に金は必要だが、より必要なのはインスピレーションだ!

モチーフ考察

不明

オフェンス

職業オフェンス名前ウィリアム・エリス
(William Ellis)
外在特質ラグビー、運動天賦、機械音痴、強い抵抗
うわさラグビーが注目を集める中、この新しいスポーツの創始者を自認するウィリアム・エリスのことは忘れられつつある。
エウリュディケ荘園の主人は、そんな彼に救いの手を差し伸べてくれるかもしれない。

モチーフ考察

【ウィリアム・ウェッブ・エリス(William Webb Ellis)/1806-1872】

【ウィリアム・ウェッブ・エリス(William Webb Ellis)/1806-1872】
ラグビーの発明者として扱われている人物。
「1823年、イングランドの有名なパブリックスクールのラグビー校でフットボールの試合中、ウィリアムがボールを抱えたままゴール目指して走り出した」という証言があり、これがラグビーの起源とされている。ラグビーの起源であるボールを持って走った行為の第1号がエリス少年なのかは諸説あるが、起源たる発明者の対象として名前が分かっている人物はウィリアム・ウェッブ・エリスただ一人である。


1806年、イングランドにて将校の父の次男として生まれ、1812年に父がアルブエラの戦いで戦死した後、ウィリアムの母はウィリアムと兄トマスに無償で高い教育を施せるラグビー校に通わせるためウォリックシャー州ラグビーに移り住む。
ウィリアムは優秀なクリケット選手であったとされているが、フットボールにおいては不正をしがちであったと言われている。
前述のラグビーの起源となったとされる出来事もその一環であった。
ラグビー校を卒業した後、1826年にオックスフォード大学に入学してクリケット選手となる。
大学卒業後は牧師となり、65歳で亡くなった。

ほぼモチーフで確定と思われる人物。
しかし大きな相違点として、史実のウィリアムは裕福な家庭であるが第五人格のウィリアムは労働階級という点が挙げられる。

歴史背景

  • 階級とラグビーの話
    後記の論文ではエリス少年が在学した1800-1850年におけるパブリックスクール名門8校の出身階級について述べているが、中産階級以下は3.7%しかいなく、未詳の25%を除けば分かっているだけでも70%が上流階級出身だった。
    この中でも中産階級が多かったのは通学制のセントポールぐらいで、寄宿制のラグビー校では1820-1830年において未詳のものを除き中産階級出身は3%で下層階級出身は0%だった。
    同じ寄宿制のイートンやハローにおいては中産階級ですら0%である。
    このことから寄宿制の名門校には中産階級ですら通うのは困難なので、彼の出身階級である下層階級ではかなり難しい。
    このあたりの差異は彼の過去に関係しているのだろうか?

参考文献

心眼

職業心眼名前ヘレナ・アダムス
(Helena Adams)
外在特質反響定位、心眼、虚弱
うわさヘレナは病に視力を奪われたが、聴覚によって外界の様子を感知することができる。
彼女はこのゲームで杖を固く握りしめ、勝利を手にする方法を考えている。

モチーフ考察

【ヘレン・アダムス・ケラー(Helen Adams Keller)/1880-1968】

【ヘレン・アダムス・ケラー(Helen Adams Keller)/1880-1968】
アメリカの社会福祉活動家で、視覚と聴覚が使えないながらも障がい者の教育・福祉の発展に尽くした女性。
1歳の時に高熱に伴う髄膜炎に掛かってしまい、一命は取り留めるものの聴力と視力を失い話すことができなくなってしまった。
そのため親からしつけが受けられず非常にわがままに育つが、7歳の時に出会った家庭教師のアン・サリヴァンにより指文字や言葉などを習い、コミュニケーションをとることができるようになった。
その後ヘレンの努力と才能により20歳にはラドクリフ・カレッジに入学し、卒業後は目が見えない人に向けた記事を書いたり、自身の体験をもとにした本を出版したりと様々な活躍をして勲章を幾つか贈られた。
また、福祉活動だけでなく政治活動も行なっており、婦人参政権への賛成・人種差別や死刑制度などに反対しており、これらの活動からFBIの要調査人物に挙げられていた。
目・口・耳全てが使えなかったが口に関してはある程度克服し、抑揚はないものの話すことができたという。

生まれ、名前、家庭教師の名前が共通している。
ヘレナとの相違点としては、杖を使っていないこと、聴力にも障害を抱えていたこと、父が大工ではないことが挙げられる。
第五人格のヘレナは19歳で進学費用の援助を望んでいたが、これはヘレナの家が史実のヘレンと異なり違い裕福な家庭でなかったことから起こったバタフライエフェクトの結果のようなもので、ラドクリフ・カレッジへの入学が難しかったためではないかと考えられる。

参考文献

祭司



職業祭司名前フィオナ・ジルマン
(Fiona Gilman)
外来特質扉の鍵、虚弱、唯心、神の保護
うわさフィオナ・ジルマンは神秘主義者だ。
彼女は神秘学と地理学に興味を抱いており、クトゥルフ神話に出てくる時空の支配者ヨグ=ソトースの忠実な信者と自称している。
自分がこの荘園にやってきたのは神の導きによるものだと主張するが、彼女の言葉を信じる者はいない。

モチーフ考察

【シャーロット・パーキンス・ギルマン(Charlotte Perkins Gilman)/1860-1935】

【シャーロット・パーキンス・ギルマン(Charlotte Perkins Gilman)/1860-1935】
アメリカの著名な小説家、社会活動家の女性。
幼少期に父が妻と子供を置いて引っ越し、子供時代の多くは貧困に費やされた。
シャーロットの学校教育は不安定であり、7つの異なる学校に通っていたが合計わずか4年(15歳)で終わったという。
母は子供を愛していなかったが、自身の体験から子供達に強い友情やフィクション小説を読むことを禁じた。
彼女は孤立した貧しい孤独の子供時代を過ごしたが、自身の将来に備えるため公共図書館を頻繁に訪れ古代文明を独自に研究した。
シャーロットの父の文学への愛情は彼女に影響を与え、数年後に彼はシャーロットに対して推薦本のリストを渡したという。
彼女の好きな主題は「自然哲学」であり、特に後に物理学として知られるようになるものだった。


1878年に18歳のシャーロットは父親の金銭的援助を受けてロードアイランド大学に入学し、その後名刺デザイナーとして活動した。
彼女は家庭教師も務め、生徒に芸術的創造性を広げるように勧めた。
1884年に芸術家のチャールズ・ウォルター・ステットソンと結婚し翌年に第一子を出産するが、産後うつ病の深刻な症状に苦しんだ。
しかし当時この症状は病気として認識されておらず、「ヒステリック」として扱われていたため彼女の主張は却下された。
この際の出来事は後に半自伝「黄色の壁紙」として書き残され、多くの賛否を得た。

名字が同じギルマンであり、父と母が別居していることと母がフィクションを嫌っていることなど祭司の子供時代と幾つか共通点があるのでこの人物から来ているのではないかと思われる。

【「魔女の家の夢」/ラヴクラフト全集より】

【「魔女の家の夢」/ラヴクラフト全集より】
1692年のセイレム魔女裁判において、キザイア・メイスンはある直線と曲線をもってすれば壁を無視し、異次元を通じて宇宙のいかなる場所へも移動できると豪語していた。
また、「暗黒の男」と契約してナハヴという新たな名前をもらったことも語り、キザイアは自身の理論を実証するかのように誰にも説明できないルートで獄中から脱出し、アーカムへと逃げ延びた。
その後そこで暮らし始めたキザイアは「アーカムの魔女」と呼ばれ、彼女の住処であった特殊な角度を持った部屋がある屋敷は「魔女の家」と呼ばれるようになった。
アーカムのミストカニック大学の学生ウォルター・ギルマンはキザイアの理論と自身の学ぶ数学との関連性に興味を持ったため、下宿所となっている魔女の家の特殊な角度を持った部屋に住み始めるのだった。


下宿所で暮らし始めたギルマンは奇妙な夢を見るようになる。
夢に出てくるのは理解不能の空間とキザイア・メイスンとその使い魔ブラウン・ジェンキン、魔女の象徴である菫色の光、怪しげなサバトの詠唱の独特なリズム。
ギルマンはその夢を見ることによってキザイアの理論の真相に近づいていくが、常に頭に微熱を帯びるようになり、夢遊病を患うようになった。
ある時夢の中でギルマンはキザイアに「暗黒の男」に会い、アザトースの玉座にいかなければならないと脅される。
大学で読んだネクロノミコンにより、アザトースが邪神であることを知っていたギルマンはそれを断った。
ギルマンはだんだん夢と現実の境界が曖昧になり、精神的に消耗していった。


ある夜ギルマンは突然叫び声を上げ始め、一緒に寝ていた下宿人や近所の人たちが集まる中、この世のものと思えぬ音を発しながら身悶えしていた。
叫び声が収まった時、寝具には大きなシミができ、中からは大きなネズミのような生き物が飛び出してきた。
ギルマンは身体中にトンネル状に穴が開き、心臓がなくなって死んでいた。
屋敷の管理人は下宿人たちを引き連れて別の下宿所に引っ越すこととなり、魔女の家は空き家となりやがて廃れていくのだった。

扉の鍵(ワープ)の元ネタはヨグソトースに至るために必要な銀の鍵であると思われるが銀の鍵自体にはあくまでヨグ=ソトースの座への門を解錠する鍵としての機能しかないので、壁を無視して移動できる能力自体は「魔女の家の夢」のキザイアの魔術から来ている可能性が高い。
祭司のジルマン姓はおそらくこの作品の主人公、ウォルター・ギルマン(Walter Gilman)からきていると思われる。

【ヘレナ・P・ブラヴァッキー(Helena Petrovna Blavatsky)/1831-1891】

【ヘレナ・P・ブラヴァッキー(Helena Petrovna Blavatsky)/1831-1891】
占星術や魔術といった神秘を解明することを目的とした神智学協会の設立者の1人。
ドイツ系貴族の軍人の父とロシアの名門出身で女権主義者の小説家の母の間に生まれる。
母は若くして亡くなり父は軍務で落ち着かず、幼少期の実質的な家は母方の祖母の家だった。
18歳の時にアルメニアのエレヴァン市で副知事を務めるブラヴァッキー氏と結婚するが、折り合いが悪く、ヘレナは婚家から家出して消息を絶ってしまう。
家出後の24年間のヘレナの足取りは謎に包まれているが、神秘思想に関する知識を深めていたのだと考えられている。
自伝によれば世界を旅して秘境を学び、エジプト、ジャワ、日本まで訪問しインドのラダックからチベットから入国しようとしたという(チベット辺りの記述は矛盾があるため正確でないとされている)。
アメリカで出会った新たなパートナー、オルコット大佐と共に神智学協会を設立し、著書などのヒットを経て知名度を上げていった。
著書後はインドの神秘に興味を持ち、協会の本部と共にインドへと移転した。

ヴィクトリア朝時代のイギリスに滞在していたこと、オカルトに傾倒していること、祭司の背景推理に登場するインドと日本どちらにも訪問していることから祭司にこのモチーフが含まれる・もしくは祭司はヘレナの関係者なのではないかと考えられる。
また、祭司のワープのマークに出てくる目のマークは彼女が親交があったフリーメイソンのマークから来ているのではないかと思われる。
ちなみに湖景村の元ネタではないかと言われているインスマスの村にはダゴン教団がのさばる前にフリーメイソンの館もあった模様。

ストーリー考察

  • ヨグ=ソトースについて
    クトゥルフ神話系列である「銀の鍵」「銀の鍵を越えて」に登場する架空の神性で、外なる神の副王とされている。
    無定形の怪物とされ、時空間の底の底、混沌の只中で永遠に泡立ち続けており触覚があるが、その装いは太陽のように強烈な光を放つ玉虫色の集積物であるという。
    外なる神の住まう外宇宙への門こそがヨグ=ソトースであり、宇宙の秘密そのものだという。
    時空連続体の外側すべてに隣接するがどこにも行けない場所に追いやられており、ヨグ=ソトースを目指す者はウムル・アト=タウィルに案内を受けながら第一の門から窮極の門への手順を踏む必要がある。
    また、ヨグ=ソトースの化身はウムル・アト=タウィルといい、ヴェールをまとう人間の姿をしており、「銀の鍵」を持つ者を窮極の門へと案内する。

参考文献

調香師



職業調香師名前ウィラ・ナイエル
(Vera Nair)
外在特質忘却の香、記憶喪失、敏感
うわさ闇市で手に入れた神秘的な香水のレシピにインスピレーションを得て、独特の「忘却の香水」を調合した。
しかし香水はまだ不完全なため、彼女はそのレシピの由来を追って荘園に来た。

モチーフ考察

【映画「パフューム ある人殺しの物語」】

【映画「パフューム ある人殺しの物語」】
18世紀のフランス。
パリの悪臭漂う魚市場で生まれ、間もなく劣悪な孤児院へ引き取られたジャン=バティスト・グルヌイユは、生まれながらに人並み外れた嗅覚の持ち主であった。
皮鞣し職人に売られた彼は、ある日仕事の為に連れていかれた街で、素晴らしい芳香の持ち主の女性と出会う。
その体臭に惹かれたジャンは彼女を追いかけるが、悲鳴を上げられ口を塞いだ際に勢い余って殺害してしまう。


彼女の香りが忘れられないジャンは「香りを保存する方法」を求め、パリの調香師のもとを訪れる。
彼の目の前で当時流行していた香水「愛と精霊」、そしてそれを超える香水を見事に作り上げ、彼の元へ引き取られることとなった。
香水の作り方を教わる中で調香師から香水の街グラースと、その街で学ぶことができるという香りを保存する冷浸法を知る。
冷浸法を学ぶためにグラースに向かったジャンはその道中、自分には体臭が存在しないことに気づいた。
香りの都グラースで冷侵法を学んだ彼は、人間の香りを収拾するために次々と街の女性を殺害していく。
グラースの街をパニックに落とし込んだがやがて逮捕され、彼には死刑宣告が下された。


処刑の日、群衆の前に正装で現れたジャンは自らが完成させた香水を振りまいた。
すると、香りを嗅いだ群衆が恍惚に包まれていく。
死刑執行人は「彼は潔白である」とひざまずき、ジャンに娘を殺された父親ですら、彼を自分の息子であると錯覚するほどの有様である。
完成された香水の香りに包まれた人々は愛に満ち足りた心地となり、自らの服を脱ぎ捨ててまぐわっていく。
そしてその情景を前にしたジャンは、自分自身は誰からも愛されず、そして誰も愛することが出来ないことを理解する。 絶望した彼は自らが生まれた魚市場に戻り、完成させた香水を自ら被る。
ジャンの芳香を嗅いだ人々は、彼を天使だと思い込み次々と縋りついていく。
彼に縋る人々はジャンに口づけをし、肌を舐め、遂には食らいつく。
そして彼の肉体は失われ、最後に残ったのは彼の衣服だけであった。

香水にまつわる映画であること、舞台が同じグラースであること、人間の脂肪を香水に使っていることなどが共通点としてあげられる。
ただし主人公の過去やストーリーは調香師と異なるところが多く、公式から元ネタだと明言されているわけではない。
調香師とこの主人公が使用した脂肪を香水に使う技法は「アンフルラージュ法」と呼ばれ、現在では芳香成分が油脂に吸収されやすいという性質を利用して花などから香料を抽出する方法である。
本名であるクロエ(Chloe)の名前の由来として考えられるのはパリ出身の香水メーカーであるクロエ(Chloé)。
偽名であり姉の名前であるウィラ(Vera)の名前の由来は、「致命的な優しさ」衣装の元ネタではないかと言われているヴェラ・レンツィ(Vera Renczi)が候補として挙げられる。

歴史考察

  • プルースト効果
    特定の香りを嗅ぐことでその香りに結びついている記憶や感情が呼び起こされるという現象を指す。
    語源は小説家マルセル・プルーストからで、彼の作品において主人公が紅茶に入ったマドレーヌの味覚から過去の記憶を思い出した描写から名付けられた。
    嗅覚は記憶や感情・自律神経などを司る大脳辺縁系機能に作用し、記憶の保持や想起を助けることができ、調香師の忘却の香もこの辺りの話が関係している可能性がある。

カウボーイ

職業カウボーイ名前カヴィン・アユソ
(Kevin Ayuso)
外在特質投げ縄、馬上英雄、自由奔放、庇護欲
うわさアメリカ大陸から来た冒険家のカウボーイ。
彼はかつて神秘的なインディアン部族と共に生活し、驚くべき投げ縄の技術を習得した

モチーフ考察

【映画「ダンス・ウィズ・ウルブズ(Dances with Wolves)」】

【映画「ダンス・ウィズ・ウルブズ(Dances with Wolves)」】
1963年、テネシー州は南北戦争の渦中にあり、北軍側の中尉であった主人公ジョン・ダンバーはその際に右足に重傷を負う。
ダンバーは治療を拒んで最前線に単騎で突っ込み南軍の気を逸らし、その隙をついた北軍側は勝利を収めた。
囮としての功績を称えられ一躍英雄となり、勤務地の選択権を与えられた彼は「失われる前にフロンティア(開拓地)」を見ておきたいと言い、サウスダコタ州のセッジウィック砦への赴任を選択する。
見渡す限りの荒野と厳しい自然の中で自給自足の生活を始めるのだった。


開拓と食事、愛馬シスコと時々現れる狼「トゥー・ソックス(2つの靴下)」と戯れる生活が続く中、スー族インディアンが愛馬を盗みにきたところに出くわして銃で威嚇し追い払った。
その出来事をきっかけにインディアンとの接触を考えたダンバーは軍服に身を包み星条旗を掲げてインディアの集落へ向かうが、道中で大怪我を負って倒れている女性と遭遇した。
インディアンの服装を身に纏った彼女の目はよく見ると青く(白人の血を引いているという意味)、助けようとするが彼女は必死に抵抗した。
しかし怪我が悪化し意識を失ってしまったため、ダンバーがスー族の集落へと彼女を送り届けた。
当初集落の者たちは白人への先入観からダンバーへ不信感を持っていたが、彼の人柄を見込んだ酋長の計らいで数日後に何人かのインディアンを連れてダンバーの野営地に訪問する。
以前にダンバーの愛馬を盗みにきたインディアンの男「風にたなびく髪」と集落の中心人物である「蹴る鳥」を始めとして、ダンバーとインディアンたちの友好は深まっていった。
また、ダンバーが助けた女性「拳を握って立つ女」は幼い頃にスー族と敵対するポーニー族に家族を殺され逃げ延びたところをスー族に拾われ育てられた過去があり、幼い頃に身につけていた英語はたどたどしくはなっていたが、養父の「蹴る鳥」とダンバーの助けにより意思疎通を計れるようになった。


紆余曲折を経て、ダンバーはトゥーソックスと遊んでいるところを見られたことをきっかけに「狼と踊る男」というインディアンの名を名付けられ、「拳を握って立つ女」とは結婚して住居を得ることになった。
しかし、ダンバーが砦に戻るとそこには米軍の騎兵隊が大挙しており、インディアンの服装を見に纏っていたダンバーは狙撃されて捕虜になってしまう。
騎兵隊出身であるということを明かしたダンバーに対し騎兵隊は反逆者として処刑を宣告する。
なかなか帰って来ないダンバーの身を案じたスー族の戦士たちがダンバーを捜索すると、彼を護送する馬車を発見。
奇襲攻撃を仕掛け、ダンバーの命は救われた。
しかし、インディアンの大量虐殺を目論む合衆国軍は目前まで迫っていた。これ以上仲間たちに迷惑をかけるわけにはいかないと感じたダンバーは、別れを惜しむスー族に背を向けながら愛する妻を伴って雪山の奥深くへと分け入っていった。

元ネタと思われる映画。
馬上英雄とはこの映画内で主人公のダンバーが馬に乗って敵の気を引いたことから来ていると考えられる。
手紙にある「部族の勇士は野牛と共に暴れ、荒狼と共に舞い、大鷹と共に高みを競う」という文章の中にある「荒狼と共に舞い」というのはこの映画の中で主人公がスー族と親交を持った際に名付けられた「狼と踊る男」からきているのではないかと考えられる。
ちなみに野牛はスー族が食料としていたバッファローで、大鷹は恐らくスー族がたびたび頭につけている羽の飾りが元になっていると思われる。
また、手紙にある皮を剥がされた野牛というのも映画内に登場し、主人公の最後は合衆国軍と部族の衝突間際にインディアンに別れを告げるというものである。
また、カウボーイの名前である「Kevin」は監督である「ケビン・コスナー」から来ていると思われ、彼はカウボーイのストーリーにも登場するチェロキー族の血を引いている。

歴史考察

  • スー族
    誕生日手紙に登場するインディアンの部族で元ネタ候補のダンス・ウィズ・ウルブズで取り上げられている。
    アメリカ北部中西部に先住するインディアン部族であり、ダコタ族、ラコタ族、ナコタ族を総称したインディアン部族。‬
    1862年のミネソタ大騒動や1876年のリトルビッグホーンの戦い、1890年のウーンデット・ニーの戦い或いは虐殺などで幾度となく白人と対立した部族として知られる。フィクションでも度々取り扱われ、映画「ダンス・ウィズ・ウルブズ」に登場するのもスー族である。
    かつては米やコーンなどの作物を栽培する農耕部族であったがヨーロッパ人の流入に伴って17世紀から18世紀にかけて平原部へと追いやられる中で狩猟民族へと変化し、更に19世紀末には居留地への定住を強制され狩猟文化も失うこととなる。
    信仰面においては飢餓に苦しむスー族を救った女神「白いバッファローの乙女」や蜘蛛の神にしてトリックスター「イクトミ」などの伝承を持つ。
    また、踊りや儀式などを多く行う部族として知られ、精霊への祈りを込めた踊りを日常的に行う。
  • チェロキー族
    かつては北米大陸の東部から南東部にかけたミシシッピ川の流域に住んでいたインディアンの部族。
    1776年から1794年にかけて行われたチカマウガ戦争でスペインやイギリスなどの支援の下アメリカ政府と戦った後に休戦協定を結び、プランテーション農業や文字など白人社会の文化を受け入れ、合衆国の裁判所から「国家内の従属国家」として認められた。
    しかし1829年にジョージア州で金鉱が発見されゴールドラッシュが起きたことがきっかけで多くの白人が流入し、チェロキー族を含むこの地域に居住していた多くのインディアンは、遠く離れた西部のインディアン準州(現在のオクラホマ州)へ徒歩による移住を米国政府から武力により強制された。
    多くの犠牲者を出したこの強制移住は「涙の道」と呼ばれ、特に1838年にチェロキー族に対して行われたものは移動途中に全体の3割以上が死亡することとなった。
    チェロキー族が進んだジョージア州からインディアン準州までは1900kmもの距離があったという。
    カウボーイが二回目に出会ったインディアンがチェロキー族ということから、別れることになった原因の背景にこの涙の道が関係する可能性がある。

参考文献

踊り子



職業踊り子名前マルガレータ・ツェレ
(Margaretha Zelle)
外在特質二重奏、舞者、曲芸、恐れ(アプデ前)
うわさ感情的なもつれから夫と離婚して以来、経済的に安定したことがなかった。
マルガレータは、「自由」には別の一面があることを理解した。
億万長者になれるチャンスを、彼女は当然逃したりはしなかった。

モチーフ考察

【ナタリア(Natalia)/映画「気狂いピエロの決闘」より】

【ナタリア(Natalia)/映画「気狂いピエロの決闘」より】
「気狂いピエロの決闘」のヒロインで曲芸師(リボンアクロバット)。
主人公ハビエルはサーカス団に入団した際にナタリアに一目惚れするが既にセルヒオという恋人がいた。
しかしセルヒオは一番の稼ぎ頭であることを笠に着てやりたい放題をし、ナタリアに対しても暴力を振るっていた。
ハビエルは怪我をしたナタリアを心配し、ナタリアはハビエルに興味を持って彼を外出に誘い二人の距離は少しずつ縮まっていく。
しかしセルヒオにデート中の姿が発見されたことをきっかけに二人の男は正気を失くした凄惨な争いを始め、ハビエルに襲撃され顔に大怪我を負ったセルヒオも、父の仇に酷い扱いを受けたことで精神の均衡を崩し自らの顔を道化師としようとしたハビエルも、かつての面影を残さない醜い容貌へ変わり果ててしまう。
完全に正気を失った二人の間で板挟みになったナタリアは一度はセルヒオに味方するが、やがて職業にしがみつき自分のことを慮らないセルヒオに愛想を尽かしてしまう。
最後にはセルヒオとハビエルの血みどろの決闘の中でハビエルに惹かれるが、逃げ込んだ塔からリボンアクロバットの要領で降りようと腰に布を巻き付けた状態でセルヒオの襲撃を受ける。
ナタリアは自分の腰に巻き付いた布をセルヒオの脚に絡み付かせて自ら飛び降りることで彼を塔から落とそうとするが、落下の勢いを殺し切れずに宙吊り状態になった際に腰の骨が砕け、亡くなってしまう。

元ネタでほぼ確定と思われる。
ナタリーという名前の愛称形のひとつにナターシャというものがあり、これは踊り子の村娘時代の呼び名と一致する。
作中でサーカスの目玉のセルヒオが顔に大怪我を失いピエロを続けられなくなってしまったためサーカスを閉めることとなり、その後セルジオと別れて独立した際に曲芸師から酒場の踊り子に転職している。
また、サーカス所属時は調教師であったと思われる踊り子が「高いところから落ちた際に移動速度が上昇する」という曲芸の能力を持つのは、作中のナタリアがリボンアクロバットを行う曲芸師であったこと、更に死因が落下死であることから取られている可能性がある。

【マルガレータ・ヘールトロイダ・ツェレ(Margaretha Geertruida Zelle)/1876-1917】

【マルガレータ・ヘールトロイダ・ツェレ(Margaretha Geertruida Zelle)/1876-1917】
マタ・ハリの芸名で1905年頃にフランスのパリを中心として活躍したオランダ人の人気の踊り子。
裕福な家庭の四人兄弟の長女として生まれ不自由ない生活を送るが、ある時父の事業の失敗により一家は離散してしまう。
19歳の時にオランダ軍の将校と結婚するが、夫の女癖の悪さや暴力から夫婦仲はすぐに悪化してしまった。
その後息子の死亡をきっかけに離婚をし、マルガレータはフランスでダンサーとしての活動を始める。
エキゾチックな容姿を活かし、「インドネシア・ジャワ島からやって来た王女」ないしは「インド寺院の踊り巫女」という触れ込みでダンサーとしてデビューし人気のダンサーとなる。
また、ダンサーとしての活動とは別に高級娼婦としての活動もしており、やがて国際的な陰謀の道具となっていった。
1917年、彼女はフランスにおいて二重スパイとして起訴され死刑となった。

踊り子の偽名であるマルガレータの元ネタと思われるもの。
ストーリーの表記が時々「夫との感情的なもつれにより離婚」となっているのは、恐らくマタハリの経歴を反映したため。
踊り子がこの名を使った理由としては、育て親であるマージョリー(Marjory)から取ったことが考えられる(メタ的に言うなら踊り子の偽名がマルガレータであるため叔母の名前はマルガレータの異形であるマージョリーになった)。
真珠を意味するMarjoryは異形としてMargaretが存在し、更にMargaretに対応する名前としてMargarethaが存在する。

参考文献

占い師

職業占い師名前イライ・クラーク
(Eli Clark)
外在特質使い鳥、予言、天眼、心労
うわさイライ・クラークは天眼を持つ占い師だが、この不思議な能力は彼の従える使い鳥と密接に関連しているのは明らかだ。

モチーフ考察

イライ(Eli)の名前の由来の候補としては、旧約聖書の預言者エリヤ(Elijah)。
また、苗字のClarkは秘書や事務官などを意味する英語圏の職業姓だが、この苗字の由来はcleric(聖職者)から来ているので占い師がドルイドもしくはケルト系キリスト教に連なる家系であった可能性がある。

名前に関する引用元:昏井アイ様

歴史背景

  • ドルイド
    ドルイドとはケルト民族にあった土着のスピリチュアル信仰のこと。
    古代ローマのガリア占領の際のキリスト教伝来(ローマ化)により迫害を受けてその数は大きく減ったが、ドルイドが率先してキリスト改宗を進め「ケルト系キリスト教」としてドルイドとキリストの共存を図った地域もある。
    教義が文字に表せないという性質のために、教説の内容は輪廻転生の概念が含まれていたことと、聖樹崇拝(主にオークとヤドリギ)があったことなど断片的にしか残されていない。
    ドルイドは当時のケルト人社会における知識層で、祭司のような役職である一方、法を作ったり国王を選出するなどの政治的な役割も果たしており強大な影響力を持っていた。
    しかし占いや治療から始まり政治や歴史の記録まで業務が幅広く、後にドルイド・ウァテス・バードの三つに分かれた(ただしこの3つは業務が一部重なり合っているため関係には諸説ある)。
    ドルイドとはガリアの知識層の中でも最高位を占める階層で、主に予言や政治を司る。
    ウァテスは占い師や予言者といった表現もされ、自然科学や天文学を司り、予言も行う。
    人身御供の儀式の際に生贄に直接手を下すのはウァテスだったという説がある。
    バードは吟遊詩人ともいい、宗教の教義や伝承・歴史などの様々な出来事を詩にして後世へ語り継ぐ役職。
    ドルイドになることで様々な特権を得ることができたようだが、ドルイドになるためには20数年にも及ぶ修行をしなければならず、教義が全て暗唱できるまで覚えなくてはならなかったそう。
    11月1日はケルト暦で一年の始まりで、ドルイドの収穫祭サウィンが行われる占い師の誕生日である10月31日はサウィンの前夜祭となる。
    これはのちのハロウィンの原型とも言われ、死者の魂が現世に帰ってくる日だともされた。
  • 出身地
    占い師の出身地に関しては「イングランド南西部の小さな町」という表現の後に「ケルト文明と密接に関連した場所で…」とぼかした表現がある。
    ケルト文明が占い師の出身地にかかっているのか、出身地とは別にケルト文明が関連した場所で何があったのかは判別できない。
    もし前者であればケルトの地として有名なコーンウォール、後者であればルース・タンの出身地であるサマセットとも考えられる。
  • ケルト神話について
    ケルトとは地名ではなく民族の名前で、諸説あるが、元は大陸移動をしていたがブリテンに定住してブリテンの先住民族と戦争や婚姻をしたとされている。
    ケルト神話とはこのケルト人たちから生まれた神話である。
    ローマによる征服後の支配地のローマ化によりキリスト教への改宗が行われたこと、一般ケルト人は読み書きができず数少ない識字層であるドルイドは宗教秘儀を文字に表すことが禁止されていたことから、後世に残っている史料というのはキリスト教徒から見た「野蛮人たちの異教」として描かれたものが多い。
    現在でいうブリテン諸島のアイルランド、ウェールズ、スコットランド(イングランド以外の幾つかの地域)の伝承で、量は圧倒的にアイルランドのものが多い。
    大きな特徴として、あくまでケルト民族に伝わっていた伝承を総称したものなのでギリシャ神話や聖書などとは違い、それぞれの神話に繋がりがあるとは限らない。
    例えばケルト神話のくくりであるアイルランド神話の最高神はダグザだが、同じケルト神話のウェールズ神話にダグザは登場しない。

ストーリー考察

  • 占い師の特殊能力について
    占い師は「予言能力」「幻影(幽霊?)を見る能力」「使い鳥と意思疎通する能力」を持っている。
    他のサバイバーの能力は探偵のガバ推理の賜物説があるが、占い師に関しては手紙がメタ視点のため実際になんらかの能力を持っていた可能性が高い。
    これらが何を由来としているかは以下の説がある。
    • 予言能力はフクロウがしている説
      使い鳥(フクロウ)は背景推理で輪廻の器~という話があったことから中の人がいるのではないかという意見があり、背景推理に過去の時代のドルイドに関して言及する文章があることから、フクロウの中の人は過去の時代に生きていたドルイド(ローマの征服とドルイドが絡むことからガリア戦記の時代である可能性が高い)で、使い鳥が占い師に予言を教えているという説。
      予言能力が使えなくなったのはドルイドの「秘儀を文字に表してはいけない掟」を破ったため。
      ちなみに占い師の初期衣装の顔布・フクロウの額にあるマークは、よく見るとウロボロスのような形状をしている。
    • ゲッシュを立てることで占い師が能力を得ていた説
      ゲッシュとはアイルランド語で、ケルト神話の主にアルスター伝説等で登場する「~の時は決して~してはならない」という制約のこと。
      この制約を課すことで神の祝福を得られるが、一度破れば禍が降りかかるとされた。
      ケルト神話に登場する概念で、背景推理でゲキウが言ったウェールズの英雄の話は母から与えられた三つの呪い(ゲッシュ)を乗り越えていくという内容の物語である。
      予言能力が使えなくなったのは占い師がなんらかの制約を破ってしまったため。
    • 幻影を見る能力と使い鳥と意思疎通する能力は占い師自身の能力だった説

      【チャイムアワーズ(Chime hours)】

      【チャイムアワーズ(Chime hours)】
      チャイムアワーズとはイングランド北部で始まった出生に関する伝承を指す言葉である。
      真夜中から夜明けの間は幽霊が見える不思議な時間帯であり、この時間に生まれた子供は特別な能力を獲得するというもので、この特定の時間のことを「チャイムアワーズ」と呼び、チャイムアワーズに生まれ能力を持った子供のことを「チャイム・チャイルド」と呼ぶ。
      チャイムアワーズの力を持った者が利己的な理由で能力を利用するとき、「悲惨かつ神秘的な」滅びを迎えると言われている。
      得ることのできる能力は「幽霊や妖精を見ることができ、話せる能力」「音楽的才能」「動物を操る能力」「怪我をした動植物の治癒」「他人の秘密にアクセスする能力」「聖職者の多くがそうであるようにすべての悪意から免疫を得る」などさまざま。
      全ての動物を愛しコントロールできるため、しばしば牧夫や獣医に就くという。
      チャイムアワーズという言葉を生み出したルース・タン(Ruth Lyndall Tongue)は自身と仲間をチャイムチャイルドの一人だと主張し、この能力をリスト化しようとした。

      チャイムアワーズが何時かというのは諸説あるが、時間は問わず「幽霊が見える(死者が現れる)時間帯」に生まれることが重要なようなので、占い師が生まれた日が10月31日なことはそういった意味があるのではないかという説。
      ルース・タンは民俗学者であると同時に民間伝承の語り手でもあり、占い師が手紙や背景推理でケルトの伝承をたびたび例に出してくることや、ルースの父は牧師であること=占い師の姓は聖職者であるなど人物設定の方にも幾らか反映しているのではないかと考える。
      予言能力が使えなくなったのは私利私欲のために能力を使ったからということになる。

参考文献

納棺師

職業納棺師名前イソップ・カール
(Aesop Carl)
外在特質納棺、化粧術、生死超越、社交恐怖
うわさ人生という旅の終点に然程の差はない。
しかしイソップ・カールは多くの者が理想としている送り人だろう。
彼は一歩一歩の過程を厳密に守り、終点へ辿り着いた旅の客に最大の尊敬を抱いている。

モチーフとして考えられるもの

【エリオット・ディーコン及びジャック/映画「アフターライフ」より】

【エリオット・ディーコン及びジャック/映画「アフターライフ」より】
小学校教師のアンナは恋人のポールとのデート中に喧嘩をし、嵐の中を車で飛び出したことで交通事故に遭ってしまう。
目を覚ますと彼女は、葬儀場のエンバーミング・テーブルの上にいた。
彼女の処理をしていた葬儀屋エリオット・ディーコンは、助けを求めるアンナに対し「自分は死者と話す能力を持つ人間であり、あなたは交通事故で死亡している」と告げる。
抵抗するアンナに対してエリオットは「筋肉を弛緩させて死後硬直を防ぐ」臭化水和物なる薬品を注射し、彼女は再び意識を失う。

アンナの教え子の1人の少年ジャックは学校で飼育しているヒヨコが怯えて動けない様子を見て「このヒヨコは死んでいる」とアンナに言い出すなど独特の感性を持つ子供であった。
彼は葬儀に対して強い執着を持ち、地元の葬儀屋であるエリオットの元を度々訪れては葬儀の様子を見ていた。
家族からネグレクトを受けているらしいジャックのことをエリオットは気に入り、彼に「教えを授ける」として生きたヒヨコを箱に入れて埋めることを勧め、ジャックは喜んでそれに応えた。

ポールはアンナの家族から、彼女が交通事故に遭い死亡したことを告げられた。
嵐の中で飛び出させたことを悔いた彼は恋人の死を信じられず、彼女の遺体を確認したいと葬儀の日まで管理している葬儀屋のエリオットの元を訪ねる。
ちょうどその時、薬品の効果が切れてたアンナは目を覚まし、脱出を試みている最中であった。
エリオットはポールがアンナの婚約者であり正式な家族でないことを理由に遺体との面会を拒絶する。
ポールは葬儀屋のガレージにあった事故で大きく損傷したアンナの車を見ると、彼女の生存は絶望的だと考えて帰ってしまう。

アンナは葬儀場の電話からポールに対して電話をかけるが、絶望の底に沈むポールはそれもいたずら電話だと考えて電話を切る。‬
葬儀場を度々訪れていたジャックはポールに対し「葬儀場で赤いドレスを着たアンナ先生が立ってこちらを見ていた」ことを教えるが、ポールはアンナが赤いドレスを持っているなど聞いたことがない。
彼に馬鹿にされたと感じたポールはジャックを罵倒した。

全てを諦め、自らが死んでいることを受け入れたアンナは葬儀の最終準備中、もう一度自分の顔を見せて欲しいとエリオットにせがむ。
エリオットが鏡をアンナの顔に近づけると、彼女の吐く息で鏡の表面が曇った。
自分が呼吸していることに気づいたアンナはやはり自分は生きており、エリオットは人間を生き埋めにする狂人であると確信するが、抵抗虚しく再び臭化水和物が注射されて彼女の葬儀と埋葬は執り行われてしまう。

葬儀の後。ポールはアンナが以前ドレスのような赤いネグリジェに興味を示してたことを思い出した。あのネグリジェを買った彼女がデートの日に着てきていた可能性があることに気づいたポールは自動車を飛ばし、彼女が埋葬された墓地へと向かう。
途中危うく事故に遭いかけるがすんでのところでかわし、墓地にたどり着いたポール。
埋葬されたアンナの棺桶を掘り返すと、まだ息のあった彼女を抱きしめる。
恋人を助けることができたことに安堵するポールに、アンナは「あなたをずっと愛している」と囁いた。

ふと、ポールの耳に奇妙な音が響く。
その音の正体をアンナに問うと彼女は「エリオットがエンバーミング・テーブルの上であなたの遺体を処理しようと準備している音だ」と答えた。
次の瞬間、ポールは葬儀場のエンバーミング・テーブルの上で眼を覚ました。
エリオットはポールに「あなたは墓地に向かう途中に交通事故に遭い、そこで死亡した」と告げる。
彼は必死に自分がまだ生きていると訴えるが、それも虚しく彼の胸部には薬品を注入するためのトロカールが挿入されていくのだった。

映画「アフターライフ(中国版タイトルは身后事)」が元ネタであると原案者が名言している。
アフターライフは2009年に公開されたアメリカ映画。
背景推理に同名の薬物が出てくる点などから、正式実装版でもこの作品をモチーフにしているキャラクターである点は引き継がれているものと思われる。

【カール・フォン・コーゼル(Carl von Cosel)/1877-1952】

【カール・フォン・コーゼル(Carl von Cosel)/1877-1952】
本名カール・テンツラー(Carl Tanzler)。
病院でエレナ・オヨスという結核を患っていた女性に一目惚れした彼は、医師を自称して(カールは医師免許を持っていない)彼女に近づき我流の治療法で彼女の治療を試みた。
エレナの結核は治ることなく2年後に死亡したが、この際深く悲しんだカールは貧しい彼女の家族の代わりに葬儀代を支払い、彼女のための霊廟を作った。
更にその約2年後、エレナの墓を暴き死体を回収した彼は、彼女の遺体に独自のエンバーミングを施すとその遺体と共に暮らすようになる。
7年後に墓暴きなどの容疑で逮捕されるが、発覚時点で時効が成立していた為に罪に問われることはなかった。その後もカールは、自身の死の瞬間までエレナの遺体を傍らに置いていた。
彼の行為は当時、死ですらも分かたれることのなかった愛の美談であると持て囃された。
(ただしこのエレナの遺体には性行為ができるような細工が施されていたことは、当時報道されていなかったようだ)

公式などから発表はないが、原案でのナイジェル姓から実装に際して変更されたカール姓の由来になっている人物の候補。

歴史背景

  • 納棺師について
    納棺師またはおくりびとは、遺体の湯灌や身支度、死化粧を含めた納棺を専門とした業務。
    エンバーマーは遺体の防腐及び衛生管理を主とした仕事であり、損傷の激しい遺体の修復や処理後の遺体の納棺も業務に含まれる。
    遺体の防腐処理は日本では一般的ではないが、土葬が主流の米国や現在は火葬が主流ながらも死亡から葬儀まで基本的に10日ほどかける英国などではエンバーミングはポピュラー。
    州によっては公衆衛生の面からエンバーミングが義務付けられている場所もある。
    葬儀屋(funeral directer)は基本的に地域ごとに担当が割り振られ、連絡を受けた遺族との相談を経て、葬儀までの遺体の管理や棺桶や斎場の手配など葬儀一般を執り行う仕事である。
    エンバーミングや納棺も業務に含まれる。
    米国や英国などでは基本的に資格制の仕事であり、かつ同じく基本的に資格制であるエンバーマーとはそれぞれ独立した資格であるが、両方を取得している者も珍しくはない(実際の業務においては分業していることが多いが、葬儀屋資格の取得条件としてエンバーマーとしての知識が求められる州もある)。
    余談であるがアフターライフのエリオットはエンバーマーを兼任している葬儀屋である。
  • ジェイについて
    原案の養父は独身であるような描写があるが、イギリスでは第二次世界大戦直後までは性別問わず独身者が養子を引き取ることも可能であった。
    A Child for Keeps: the History of Adoption in England, 1918-45
    ※第二次世界大戦直後のイギリスでは独身者も子供を引取れたという話のソースはこちら

参考文献

探鉱者



職業探鉱者名前ノートン・キャンベル
(Norton Campbell)
外在特質隕石の磁石、生存力、磁場妨害、磁力吸引
うわさ恐ろしい落盤事故から奇跡的に生存したキャンベルは、それまで以上に暗く寡黙になった。
落盤事故のさなかに手に入れた隕石磁石をもとに、坑道の深い闇から遠ざかるべく、彼は地質探鉱者へと変貌を遂げる。

モチーフ考察

【「ファン・ロメロの変容」/ラブクラフト全集より】

【「ファン・ロメロの変容」/ラブクラフト全集より】
過去にインドで軍役をしていた「わたし」は同僚の将校と一緒にいるよりも、白い顎鬚をたくわえた現地人に混じるのが好きだった。
しかし、その中で奇妙な東洋の伝承に対して探りを入れていた時に不幸な目にあい、アメリカでの西部で生活を送るようになってしまった。
そしてわたしはカクタス山脈の世に知られたノートン鉱山で普通の作業員として働くことになった。
ノートン鉱山は数年前、年老いた探鉱者が金の洞窟を発見したことを発端として強欲が煮えたぎる大釜と化し、広範囲な添削作業の本拠地となったのだ。


わたしが採用されて間もなく、ファン・ロメロという青年がメキシコ人労働者に混じって鉱山にやってきた。
顔立ちは整っているが白人には見えず、一方でメキシコ人にしては白い肌を持つ不思議な青年は、わたしが指にはめていた古びたヒンドゥの指輪をきっかけに、わたしを慕うようになる。
わたしにとってその指輪はとても大切なもので渡すことはできなかったが、どうやらロメロは指輪をただ欲しがっているわけではないようだった。


ある時、地下の鉱脈を探し当てるために大量のダイナマイトが仕掛けられたが、作業員の発注ミスにより予定よりも多いダイナマイトを爆発させてしまう。
その時の衝撃は、山腹の飯屋の窓が割れるとともに山全体が揺らいだような、とても大きなものだった。
調査すると爆発箇所の下に、どこまで落ち込んでいるとも知れない深淵が口を開けていることが判明し、作業は一旦中断となった。


その日の深夜二時、嵐の中、山でコヨーテがわびしく遠吠えを始めた頃、わたしはロメロの声によって起こされた。
ロメロは畏れているかのような囁き声で、爆発事故による大穴から鼓動のような音が聞こえることを告げた。
わたしの持っていた指輪は稲妻の閃きとともに輝き出し、わたしとロメロをあの亀裂へと導いていく。
立坑をくだるにつれて太鼓のような、数多くの声が詠唱する儀式を思わせるような音が大きくなっていく。
そして数多くある荒削りの梯子を下り終えた後、ロメロは突然走り出して深淵の中に飛び込んで行ってしまった。
ロメロは「ウィツィロポチトリ」と叫び立てながらどんどん下に行ってしまう。
わたしはその言葉の意味するところを悟り身を震わせながら見守っていると、ロメロの断末魔の悲鳴とともに凶々しい声が沸き立つのを聞いた。
ロメロは何らかの光に呑み込まれ、やがてロメロはとても記せない、忘れた方が幸せと思えるような姿になってしまったのである。


気がつくとわたしは何事もなかったように寝床にいたが、ロメロは原因不明の死体となっていた。
同僚によれば、昨夜はわたしもロメロもずっと寝床におり、爆発事故の穴は嵐によって陥没が起こり、完全に埋もれてしまったという。
また、わたしの指輪はどこかに行ってしまったようで、探したがどこにもなかった。
この経験について、わたしは夢だったと思いたいが、ふとした時にファン・ロメロの恐ろしい変容を思い出すのである。

背景推理のところどころがリンクしている。作中に登場するファン・ロメロは「メキシコ育ちだがメキシコ人にしては肌の色が白い、黒髪の青年」とされており、探鉱者の容姿との類似点が見られる他、探鉱者の衣装「死者を導く者」のモチーフと思われる「死者の日」はラテンアメリカ諸国の中でも特にメキシコで盛んなイベントである。
また、探鉱者の鼻にあるピアスと思しきものだが、アステカ文明の「鷲の戦士」の像の中には鼻の部分に似た装飾をしたものも見られ、アステカ文明の太陽神である「ウィツィロポチトリ」の名を叫び続けていたロメロとの類似点が見える。
名前のノートン(Norton)はこの作品のノートン鉱山から来ていると思われる。
苗字であるキャンベル(Campbell)に関してはゲール語で「歪んだ口」、もしくは作家のラムジー・キャンベルという説がある。

【映画「血のバレンタイン」】

【映画「血のバレンタイン」】
アメリカ東部の小さな炭鉱町・ハニガー。
20年前のバレンタインデーの夜に世にも恐ろしい事件が起きた。
2人の鉱夫がメタンガスの量を調査し忘れたため、鉱内で爆発事故が起き、数人の鉱夫が生き埋めになってしまったのである。
6週間にもわたる救出作業の結果ハリー・ウォーデンという鉱夫が一人だけ救出されたが、彼は生き延びるために同僚の肉を食べており気が狂ってしまっていた。
1年後のバレンタインデー、ハリーは精神病院から脱走し、爆発事故の原因を作った2人の鉱夫をつるはしで殺害した。
鉱夫達の心臓はハート型のキャンディー箱に納められ、「二度とバレンタインデーを祝うな」という警告を残して姿を消したという。
この事件により、ハニガーではバレンタインデーを祝うことはなくなってしまった。
そして20年の月日が流れ、事件を知らない若者の手でバレンタインパーティーが復活したが鉱山服に身を包んだ謎の人物が現れ、彼らを次々に殺害していく。

二次創作等で探鉱者が人肉を食べている描写の元ネタ。
あくまでこの映画(もしくは似た事件)が元になっているのなら人肉を食べたのでは?という考察なので、実際にそういった出来事があったという文章は公式からは出ていない。

ストーリー考察

  • 探鉱者が遭った神話生物
    探鉱者の事件がファン・ロメロの変容ががベースになっていることを前提に、ファン・ロメロポジションの探鉱者が遭った謎の生き物(ファン・ロメロの変容では特徴的にヨグ=ソトースである)は何だったのかという考察。

    【グラーキ(Glaaki)/クトゥルフ神話より】

    【グラーキ(Glaaki)/クトゥルフ神話より】
    ラムジー・キャンベルの作品「湖畔の住人」で登場する架空の神性。
    主に湖を住処にして潜んでいるとされ、隕石と共に移動することが可能で地球に来る際には隕石と共に飛来したとされている。
    ナメクジのような外見で背中には金属のトゲが生えており、人間にこのトゲを刺して血液に化学物質を注入することで「グラーキの従者」とすることができる。
    グラーキの脳から発生する電波・磁力の働きにより、従者となった人間は生きながらグラーキに操られてしまうようになるという。
    従者となった直後は容姿は人間とほとんど変わらないが、時間が経つにつれ死人のように変化していき、60年経った後は日光に当たると崩壊するようになる。

    苗字のキャンベル(Campbell)の由来と思われるラムジー・キャンベル(John Ramsey Campbell)の作品。
    探鉱者の磁石関連の設定はファン・ロメロの変容との関連性が低く、その部分の穴埋めとしてグラーキを加工したのではないかという説が候補になっている。
    ただし、黄金の石窟にある緑色の目自体はグラーキとは考えにくい。

    【シアエガ(Cyaegha)/クトゥルフ神話より】

    【シアエガ(Cyaegha)/クトゥルフ神話より】
    クトゥルフ神話などに登場する架空の神性で旧支配者。
    外見は緑色の目玉が中央にある巨大な黒い触手の塊で、洞窟と暗黒の神とされている。
    ドイツの小さな町にある「暗黒の丘」に封印されており、封印が解けて目覚めるとシアエガの復讐が始まるという。
    この町ではシアエガを崇拝しており、年に一度若い娘を「生ける祭壇」として用いる儀式によってシアエガを讃えているが、これはこの儀式を通じてシアエガの復活を阻止するためである。

    黄金の石窟にいる緑色の目はシアエガではないかという説があり、ノートンの遭った災難に関わっている可能性がある。
    ただし、ノートンの能力である隕石磁石との関連性は低い。
    黄金の石窟は落盤事故にあたる穴がないためゲームで登場する黄金の石窟は「事故が起こる前」であることが考えられ、シアエガは事故が起こる前から石窟におり事故の際にグラーキが来た・もしくはハスターのように幾つかの無関係のクトゥルフの物語が一つの神話生物に混ざっていることも考えられる。
  • 黄金の石窟がドリームランドに関係している説
    現在は削除されている第三陣営のグールだが、クトゥルフ神話系統の小説では「未知なるカダスを求めて」にてドリームランドの住人としてグールが登場する。
    黄金の石窟実装時前後にはちょうどCOA3のイベントが開催しており、ガチャの目玉として同作品でグールとして登場する「ピックマン」を元ネタにした衣装が販売されている。
    COA3のイベントページにはシアエガを思わせる彫像があったことからCOA3と黄金の石窟には設定的にリンクがあり、巡り巡って黄金の石窟はドリームランドに関係する場所なのではないかという考察。

参考文献

呪術師

職業呪術師名前パトリシア・ドーヴァル
(Patricia Dorival)
外在特質猿の魔像、魔像守護、魔力庇護、魔像反動
うわさ血の中に隠された呪いはパトリシア・ドーヴァルに限りない苦痛と強大な力をもたらす。
力には代償がともなうものーー彼女はそれを痛感している。

モチーフとして考えられるもの

名前であるパトリシア(Patricia)は、タンブラに対応するキリスト教の登場人物として聖パトリック(Saint Patrick)がおり、パトリックの女性名であるパトリシア(Patricia)が名前の由来という説がある。

歴史考察

  • ブードゥー教とは
    ブードゥー教とはアフリカのベナンやハイチ、ニューオリンズなどで信仰されている民間信仰。
    ルイジアナ・ブードゥーとはルイジアナ州ニューオリンズで一般的なブードゥー教のことである。
    ブードゥーは植民地時代の奴隷貿易で強制連行されたダホメ王国(ベナン)のフォン人達の伝承・信仰がキリスト教と習合したことにより成立し、ブードゥーの中には聖母マリアやキリスト教の聖人などが登場する。
    しかし、あくまで白人からの弾圧を逃れるためにアフリカの民間信仰の中にガワとしてキリスト教の登場人物を当てはめただけにすぎないので信仰の主意などは元の信仰から外れていない。
    ブードゥーの語源は西アフリカのフォン語で「精霊」の意味で、その名の通り精霊(ロア)に力を借りるというもの。
    主に太鼓を使ったダンスや動物の生贄、トランス(憑依)からなっている。
  • カートライト博士
    おそらくルイジアナ州で活動していた医者のサミュエル・A・カートライト(Samuel Adolphus Cartwright)のこと。
    1851年に彼の書いた「Report on Diseases and Peculiarities of the Negro Race(黒人種の病気と特殊性)」という論文は奴隷たちの「奉仕から逃げたがる」性格などを2つの遺伝的な疾患であると捉え、その対応策として「親切に扱い服を着せた上で主人に従わない者は病気なのでそれを治すために鞭を打つ」ことが良いというもの。
    現在では否定されているが、当時は信じられていた説だった。
  • 呪術師の出身など
    呪術師の生まれたニューオリンズは物語の舞台であると思われる18世紀はフランス領であり、フランス革命に影響されて1791年-1804年に起きたハイチ革命(白人に対する奴隷の蜂起)によって多くの解放奴隷やクレオール(フランス人と奴隷の混血の人々)が移住した。
    呪術師の母親の崇拝していたジャック1世というのはハイチの独立運動の指導者の一人であり、革命によって建国されたハイチの父とも呼ばれる。

参考文献

野人

職業野人名前モウロ
(Murro)
外在特質野生の絆(旧称:野生の相棒)、自然の守護、野生の直感、機械音痴
うわさ裏切りと足掻きをその身で受けたモウロは、いわゆる文明社会に溶け込むことを諦めた。
エウリュディケ荘園が新の解決の道をもたらしてくれるだろうか?

モチーフ考察

【カスパー・ハウザー(Kaspar Hauser)/1812?-1833】

【カスパー・ハウザー(Kaspar Hauser)/1812?-1833】
1828年、バイエルンの街中にニュルンベルク駐屯第6軽騎兵隊第4中隊所属の大尉宛ての手紙を持って現れた謎の男。
大尉自身とは面識がなく、文字の読み書きなどといった教育はおろか、喋ることや歩くことすらままならなかったという。
保護された後に教育を受け、その際に自身は16歳まで2頭の木馬とともに監禁されていたと語った。
特異な環境で一般的な教育を受けずに育ったことから、野生児として分類されることが多い。
教育を受けるまで日常会話はおろかパンと水以外を口にできなかった一方で、視覚や触覚が異常なほど発達していたとも伝えられる。
彼の出自は現在に至るまで謎に包まれており、最期は何者かに2度に渡る襲撃を受け暗殺されたことや、顔立ちが似ているとも言われたことから、バーデン公国(現在のドイツ南東部に存在した公国)の君主後継者説などが流れた。

野人の背景推理に名前が登場しており、服装や姿勢がモウロと似ている。
史実のカスパー・ハウザーは1888年12月14日に亡くなっているが第五人格ではこの日に生まれており、第五人格世界にはモウロとは別にカスパー・ハウザーも存在していた模様。

【補足】
野人の連れているイノシシだが、カスパー・ハウザーがそのような動物を連れている記録はない。
道化師の元ネタ候補である「気狂いピエロの決闘」では主人公ハビエルが警察から逃げている途中に森で野生児同然の生活をしていた場面があり、その際にイノシシに襲われたところを森の持ち主に助けられるという話がある。
野人のストーリーにこれらの出来事が反映されているかは分からないが、イノシシという着想はここから来ているのではないかと考える。

曲芸師

職業曲芸師名前マイク・モートン
(Mike Morton)
外在特質危険な雑技、即興演出、優柔不断
うわさマイク・モートンはサーカス旅団「ノイジーサーカス」で大人気だった。
あの災難で生き残ったマイク・モートンは、実家を壊した元凶を探し求めている事だけ考えていました。

モチーフとして考えられる考察

【アルレッキーノ(Arlecchino)/コメディア・デラルテ、小説「絵のない絵本」など】

【アルレッキーノ(Arlecchino)/コメディア・デラルテ、小説「絵のない絵本」など】
イタリアの即興喜劇コメディア・デラルテ中のキャラクター。
コメディア・デラルテとは演劇の一種で、ジャグリングやパントマイムなどを交えて漫才のような劇を行うもの。
大きな特徴として「ストック・キャラクター」という制度が存在し、これはある程度決まった名前と特徴を持ったキャラクターがあり、そのキャラクターを使ってストーリーを作る。
アルレッキーノはストック・キャラクターの一人である道化師・軽業師で、主にトリックスターとしての役割を担う。
他の登場人物を打ち据えるためのバトンを持っている。
赤・緑・青のひし形の模様のついた衣装で全身を包み、ずる賢く、人気者として登場することが多い。
欧米ではこの衣装のデザインが道化役者の代名詞となっており、芸術作品や映画にも採用され、アンデルセンの短編小説集「絵のない絵本」では恋するピエロとして登場する。

曲芸師の服装はそのままアルレッキーノから来ている。
それ以外の部分については、人気者というところは曲芸師と共通しており、「サーカスがすべて」「美しいものが好き」という部分は「絵のない絵本」のアルレッキーノに似ているところがあるが、曲芸師の背景にはそこまで重なる部分はないのでこちらには別のモチーフが存在する可能性が高い。

スキル考察

  • 爆弾
    背景推理に登場する物質は曲芸師の爆弾の材料になっているのではないかという説がある。
    バーナードをからかうのに使っていた硝酸アンモニウムは瞬間冷却剤や爆弾の材料となる。
    硫酸アンモニウムは窒素肥料・冷却剤などで、ラクダの糞は砂漠などで燃料として使われる。
    ジョーカーの顔を潰した硝強酸水は爆弾とはあまり関係ないが、強酸であるということから硝酸の水溶液と思われる。

一等航海士

職業一等航海士名前ホセ・バーデン
(Jose Baden)
外在特質海神の懐中時計、消えた、自己暗示、睡眠打破
うわさ家族を探し出して、名誉を挽回するために海上騎士ホセ・バーデンはエウリュディケ荘園と名乗る呪いの地に足を踏み入れると決めた。
今回もこの不思議な懐中時計は、彼を順風満帆へと導いてくれるのだろうか?

モチーフ考察

【ホセ・カストデイオ・デ・ファリア(Abade José Custódio de Faria)/1756-1819】

【ホセ・カストデイオ・デ・ファリア(Abade José Custódio de Faria)/1756-1819】
ファリア神父として知られるカトリック教会の聖職者で、催眠が動物磁気と言われていた頃の最初期の研究家。
ポルトガル領インドの植民地ゴアで生まれ、先祖はバラモンでありアフリカ人の血も継いでいたが、16世紀にはキリスト教に改宗した。
25歳の時にローマで神学を学び、博士号を得たファリアはシスティーナ礼拝堂で説教を行う栄誉を得て、その後ポルトガル女王のマリア一世の礼拝堂でも説教を行うように促された。
マリア一世の礼拝堂での説教で、ファリアは緊張のあまりにしたが回らなくなってしまった。
この時、壇下にいた父親が「あれは野菜だ。野菜を切れ」と囁き、それを聞いたファリアは緊張が解けて流暢に話すことが出来た。
この際の出来事が影響し、パリで「超覚醒睡眠」に関する公開講義を行った。


昔から医療に催眠を使っていた術師は多くおり、彼らは磁気術師と呼ばれ、その1人であるメスメル医師は「宇宙には生命現象を司る物理的流体(動物磁気)がが存在し、術師はこの流体を操作することで痛みをとることができる」という説を唱えた。
後にこの説は調査委員会が発足し、物理学的に検出できないゆえに存在しないとされたが、メルメルの弟子のピュイセギュールはメスメルの治療の際に磁気催眠(催眠中に患者が知性を示したり病気の箇所を透視したりする現象)に入るということを発見した。
ピュイセギュールは磁気催眠に陥ることで術師と患者の間で動物磁気が循環する交流状態であり、この状態の間は術師は患者を自由に操作できるというという節を唱え、当時の業界での中心となっていた。


ファリアの唱える説はこれを批判し、催眠が起こるのは物理的現象ではなく患者側の心理状態に基づくものではないかという説を唱えた。
ファリアの唱える説は近代のものに近く、催眠暗示に関しても完璧な知識を持ち、技術もあったがフランス語が下手だったためパリでは大成しなかった。

名前のホセ(Jose)と催眠能力はこの人物から発想を得ているのではないかと思われる。
また、この人物は小説「モンテ・クリスト伯」に登場するファリア神父の元になっており、この作品の主人公の職業は元一等航海士である。
一等航海士の「椅子から救助した味方と姿が同じになる」能力は作中で主人公がファリア神父の遺体と入れ替わって脱獄したところから来ている?

【ホレーショ・ネルソン(Horatio Nelson)/1758-1805】

【ホレーショ・ネルソン(Horatio Nelson)/1758-1805】
アメリカ独立戦争やナポレオン戦争で活躍した海軍提督で、イギリス最大の英雄とされる。
イギリスのノーフォークの教区牧師の第六子として生まれ、1770年(12歳)の時に父が病床で家計が切迫していたことを理由に戦列艦の艦長だった母方の叔父を頼り、海軍に入る。


1779年には海尉艦長として戦艦の指揮を執るようになり、その後未亡人のフランシス・ニズベットと結婚する。
1793年、フランス革命の勃発によりフランス艦との戦闘を初めて経験する。
1794年にはコルシカ島で指揮をしており、カルヴィ攻略戦の際に砂礫が目に入ったことにより右目の視力を失った。
1797年にネルソンが参加したポルトガル沖のサン・ビンセンテ岬の海戦では、濃霧で敵の数が把握出来ない状態の中、味方の半数以上の数の敵に対し持ち前の勇敢さで先陣を切って、敵艦長を降伏させた。
しかしこの性格が裏目に出てしまい、同年にスペイン海軍との戦闘で銃弾を右腕に受けて隻眼隻腕の提督となる。
1798年のナイル海戦においてはフランスのナポレオン将軍を発見することに成功し、イギリスの勝利に貢献した。
この戦いの後、ネルソンはエマ・ハミルトンという既婚の女性と不倫をしていたが、エマの夫の公認の仲であり、ネルソンとハミルトン卿自体も仲がよかったという。


1801年のコペンハーゲンの海戦では副司令官として指揮を行うが、その際にあまりの激戦に司令官が「戦闘中止」を命じた信号旗を、見えない右目に望遠鏡を当てて黙殺した逸話が有名である。
これは「必要なら戦闘中止せよ」の信号を、副司令官のネルソンがその必要なしと判断し各艦に転送しなかったということである(黙殺したネルソンをパーカーが庇った、という説もある)。
ともあれ、それほどの激闘を辛くも制し、ネルソンは戦功によってネルソン子爵に叙せられる。


1805年、トラファルガーの海戦では、ネルソンが提案した戦術で二列の縦陣で敵艦隊に接近戦を挑む「ネルソン・タッチ」によって勝利を収める。
この戦いの前にネルソンが味方を鼓舞した信号旗の掲揚「英国は各員がその義務を尽くすことを期待する(England expects that every man will do his duty)」は有名な言葉として後世に残っている。
しかし、ネルソンはこの戦いの中でマスケット銃の弾を胸に受けたことが原因でなくなってしまう。
銃撃を受けたネルソンは「義務を果たした」と言い残して息を引き取った。
イギリス海軍では戦死者の遺骸は水葬にする慣習があったが、彼の場合はコニャック(ブランデーの1種)に付けられて本国へと運ばれた。
水平たちにはコニャックではなく、当時水平に支給されていたラム酒であると誤伝され、「その勇敢さにあやかりたい」とこっそりと飲まれていたために中身がかなり減っていたという。
この出来事が由来となった「ネルソンの血」という酒がイギリスでは売られている。

子爵位であること、海軍の所属であること、勇敢さが強調されているなどが共通点として挙げられる。
父が船長であったということから、ネルソンが副司令官を務めたコペンハーゲンの海戦以降のネルソンを参考にしているのではないかと考える。
また、ネルソンは隻眼隻腕であり、一等航海士も目が片方傷つき腕に義腕のようなものがついているが、ネルソンの無くした目と腕はどちらも右である。

【 リターン・オブ・ザ・オブラ・ディン(Return of the Obra Dinn)】

【リターン・オブ・ザ・オブラ・ディン(Return of the Obra Dinn)】
2018年にリリースされた推理ゲーム。
1807年イングランド、東インド社で主任調査官として勤める主人公は同社のとある船が全滅した原因について調査するよう命令される。
その船「オブラ・ディン号」は当初東方に向かうはずだったが、中継地である喜望峰に時間通り到着せず、消息を絶ってしまったという。
主人公は派遣の際に渡されたトランクに入っていた二つのアイテム、「死体に反応して死体の死因を見ることができる懐中時計」と航海記録の手記を使って事件の謎を解いていく。

一等航海士の懐中時計の元ネタ候補。
全滅した船の原因を探るというのは一等航海士の目的と似ており、貨物リストに中国由来の骨董品の傘があったことから一等航海士の父たちも中国(東方)と取引があったのではないかと考えられる。
また、このゲームでは船員たちの死因としてクラーケンや人魚が登場し、一等航海士登場時のガチャではピーターパンの人魚の泉の存在が示唆されていることや謎の触手(イラストにのみ登場する)があることに共通点を感じる。

歴史背景

出身階級である新貴族とは、古代ローマで使われていた用語で平民から階級が上がった貴族のことである。
彼が仕えていたイギリス女王だが、候補として最も有力なのはやはり第五人格に多く出てくるヴィクトリア朝を治めたヴィクトリア女王だろうか。

ストーリー考察

  • ホセの悪魔の血
    よそ者という表現からイギリス外から来たと思われるが、どの国から来たかということはホセを由来とするか、バーデンを由来とするかによって変わる。
    ホセの方をを採用するのであれば、背景推理に出てくる「バーデン家の血に流れる悪魔」という表現も合わせて当時イギリスと仲の悪かったスペインの可能性が高い。
    バーデンの方を採用するのであれば、ドイツには実際にバーデンという地名が存在し、野人の背景推理にも少し登場しているが、こちらでのバーデンという苗字は主に地主のものになる。
    また、湖景村の元ネタがインスマス(黄衣の王モチーフ考察参照)であることを前提に「悪魔の血筋」とは深き者どもとの混血を指し、海神の懐中時計とは第五人格世界における深き者どもの主人「クトゥルフ」ポジであるハスターの加護(もしくは深き者ども)ではないかという説がある。

バーメイド

職業バーメイド名前デミ・バーボン
(‪Demi Bourbon‬)
外在特質ドーフリン酒、酒の調合、ほろ酔い、二日酔い
うわさ奇跡の酒ドーフリンのカクテルが作れる明るい少女は失踪した兄を探すため、荘園にやってきた。

スキル考察

  • ドーフリン酒
    ドーフリン酒は色が黄色いことが特徴。
    リキュールというのは蒸留酒に果実やハーブを混ぜた混成酒のことで、ドーフリンリキュールは赤い。
    ドーフリンのモチーフの候補としては名前や出身がアメリカの開拓民を連想させることから蒸留酒の「バーボン」を連想させるが、登場時のUR衣装「裁決の酒」で元ネタ候補に蜂蜜酒の材料ともなる西洋菩提樹があること・フレーバーテキストに蜜という単語があることから酒の種類についてはこれではないかという説がある。
    蜂蜜酒にもリキュールのようなものが存在し、リトアニアの国家遺産であるスクティニスという酒には蜂蜜薬草酒という酒種の赤い酒が存在している。
    具体的にどの蜂蜜酒がドーフリンのモデルであるかいう候補としては、マジシャンのストーリーで「かつて無数の芸術家を輩出したエウリュディケ荘園」という文章があることから北欧神話に登場する飲めば誰でも詩人や学者になれるという「詩の蜜酒」、クトゥルフ神話に登場する「黄金の蜂蜜酒」、蜂蜜酒ではないが、ギリシャ神話に登場する蜜のように甘く、味わう者を不死にするという「ネクター」などが挙げられる。

参考文献

ポストマン

職業ポストマン名前ビクター・グランツ
(Victor Grantz)
外在特質メール、配達犬、共感、期待
うわさ人々がポストマンに抱く印象とは違い、ビクターは口下手で、人とコミュニケーションを取ることが苦手だ。
生まれて初めて手紙を受け取ったあの日から、彼はパートナーである配達犬のウィックを連れて、荘園へと旅立った。

モチーフ考察

※ポストマンは原案者が運営ではないので、モチーフを考えるなら公式発表版に際しての追加設定の部分になります。
原案者から元ネタがあると明言されない限り、原案からの変更がない部分に関しては考察は一切しません。
たまに出ている女の子の画像はたまたま職業の発想が被ってしまっただけのお互い全く無関係の画像です。

墓守

職業墓守名前アンドルー・クレス
(Andrew Kress)
外在特質穴掘り、幽閉の恐怖、安心、機械音痴
うわさアンドルーにとって病魔以上に恐ろしいものは、世間のうわさだ。
荘園からの招待状は、長年墓守を努めてきたアンドルーに、他人に理解される希望を与えてくれた。

スキル考察

「幽閉の恐怖」はハンターのスキルに同名のものが存在する。

歴史背景

18世紀から19世紀のイギリスでは、解剖学の研究や教育目的で死んで日の浅い死体の需要が増えた。
しかし、需要に関わらず合法的に死体を得ることができる刑死者は、厳しくなった法律の抑止力によって減ってしまったために供給が全く追いつかなかった。
そのため墓を掘り起こし医学校に売りさばく「死体盗掘人」が横行し、問題となった。
医学が進歩するにつれて死体の需要は急上昇し、死体盗掘だけでなく売りさばくために人を殺すなどの手段を問わない犯罪者集団が絡むようになった。
墓荒らしと死体盗掘人は大衆から恐れられ、埋葬された者の親類や彼らに雇われた者がしばらくの間新しい墓を守ったという。

参考文献

「囚人」

職業「囚人」名前ルカ・バルサー
(Luca Balsa)
外在特質電気回路、「導体」、スーパー回路、過度な集中
うわさルカ・バルサーは世間が注目する天才発明家だった。
監獄に閉じ込められていた間でさえ、心に秘めた願いを諦めることはなかった。
再び自由を手に入れた今、彼はずっと思い描いていた偉業を成し遂げると決めた。それを止められる者はいないだろう。

モチーフとして考えられるもの

【ニコラ・テスラ(Nikola Tesla)/1856-1943】

【ニコラ・テスラ(Nikola Tesla)/1856-1943】
交流電気方式、世界システム、空中放電実験で有名なテスラコイルなど多数の発明で名を残した電気技師、もしくは発明家。
8つの言語に堪能で詩作、音楽、哲学にも精通し、電力事業黎明期には直流式と交流式の優劣を争いトーマス・エジソンと争っていた。
出生地は現在のクロアチア西部のリカ=セニ郡(当時のオーストリア帝国の一部)であるが、両親はセルビア人である。テスラは母の驚くべき暗記能力を受け継ぎ、幼少の頃から異彩を放っていた。
しかしそんなテスラよりも優秀だった兄は「テスラ以上の神童」と呼ばれ、兄を5歳の時に失ってからは兄を上回ることが彼の人生の目標となり、勉学に一層打ち込むようになったという。
19歳でオーストラリアの名門であるグラーツ工科大学に入学したテスラは「発電機」に出会い、交流モーターを発明した。
その後「交流」を実用化するためにアメリカへと渡り、著名な発明家だったエジソンの経営する会社に採用されるが、当時エジソンの会社ではエジソンの開発した「直流」による電力事業を展開しようとしていたため最終的に対立する事となり、数ヶ月で失職した。
独立したテスラは3年後にテスラ電灯社を設立して交流による電力事業展開を推進し、エジソンの会社と対立していたウェスティングハウスがテスラの交流に関する特許を買い取ったことで人々の生活の発電・送電は直流から交流へと主役の座が交代されることとなった。
この交流と直流の争いは後に「電流戦争」と呼ばれ、エジソンはウェスティングハウスやテスラとの戦いにおいて「交流電流は危険」というイメージを持たせるためにプロパガンダ工作を行ったという。
また、テスラとエジソンの対立は直流と交流が理由でもあるが、エジソンが「99%の汗を重視する努力の人」であったことに対し、テスラは実験の積み重ねよりも数学的理論を信じており、研究手法が水と油であったことが理由の一つとしてある。(なお、大学で高等教育を受けたテスラに対して、エジソンは正規の教育を受けず叩き上げで実業家・発明家となっており、テスラはエジソンについて「本での学習や数学的知識を軽視し、発明家としての直感や実践的な感覚のみを信じていた」と評している)
彼らの確執は電流戦争後も続き、後にテスラはエジソンの名を冠した勲章の授与を知らされたが断った。
なおニコラ・テスラは、H.P.ラヴクラフトの創作したクトゥルフ神話の旧支配者の一つであるニャルラトホテプのモデルになったとも言われている。

ストーリーに内に出てくる大発明家と囚人の関係はテスラとエジソンの関係に似ている。
また、スキルである回路接続と接続中に発生する放電はニコラ・テスラの考案した「テスラコイル」に似ている。
テスラコイルとは簡単に説明すると2つのコイルを共振させることで高周波、高電圧を発生させ、この際に放電現象が起きるというものである。

ストーリー考察

彼の偉大な発明というのはテスラコイルの事も考えられるが、「青い電気の光」という文章からチェレンコフ光を示すものではないかという説がある。
チェレンコフ光とはこの場合、主に臨界事故(詳しくはデーモン・コアを検索)によって起きたものと考えられ、囚人と大発明家が研究していたのはこれに関するものだったのではないかというもの。
囚人は電気事故により記憶力と集中力が悪くなるという症状を抱えているが、これは臨界事故で発生した放射線による脳神経への損傷の可能性が考えられる。

参考文献

昆虫学者

職業昆虫学者名前メリー・プリニウス
(Melly Plinius)
外在特質昆虫研究、調整試薬、香り
うわさ事件が発生してから、人類は昆虫と何の違いも無いことをメリーは悟った。
彼らが忠実心を見せるのは、決まってあなたを必要としている時だけだ。

モチーフ考察

【マリア・ジビーラ・メーリアン(Anna Maria Sibylla Merian)/1647-1717】

【マリア・ジビーラ・メーリアン(Anna Maria Sibylla Merian)/1647-1717】
ドイツ出身の植物や昆虫を描いた画家であり自然科学者でもある。
版画工の娘に生まれ、生まれてすぐに父が亡くなり母の再婚相手である義父の影響を受けて絵画に興味を持って彼から指導を受ける。
幼い頃から昆虫を調べるのが好きで、彼女が描いた最初の水彩画も虫と植物を題材とするものだったという。
1665年に義父の従弟と結婚し、刺しゅうの図案などを請け負ったり絵の指導をすることで知名度を押し上げる。
その中で裕福な階級と交流が生まれ彼らの美しい庭園を見る機会を得て、庭園に住む昆虫の観察を始める。
この昆虫たちを描いたスケッチブックは「Neues Blumenbuch」という本として発売した。
1681年には義父が亡くなったことで相続争いに巻き込まれ、関係がこじれたの夫の元を去り娘とともに当時オランダ領であったスリナムに移り住んだ。
オランダでマリアのスケッチは同時代の科学者に注目されており、そのつてからアムステルダムで多くの昆虫のコレクション閲覧の機会を得て昆虫の発生や生殖に興味を持つ。
1691年には当時泥から生まれる悪魔の動物とされていた昆虫の生態に着目し、彼女が昆虫の変態の様子などを観察して描いた「ヨーロッパ産鱗翅類-その変態と食草」は、それまで未知だった昆虫のライフサイクルの常識を覆し貴族を中心に広く知れ渡った。
1699年に娘が結婚したことをきっかけにスリナムに戻り、熱帯雨林などの動植物をスケッチし1705年には「スリナム産昆虫変態図譜」を出版した。
しかし1715年、脳梗塞が彼女を襲ったことで仕事に支障をきたすようになり、その2年後に世を去った。

女性・昆虫学者という条件から考えられる候補。
プリニウス姓に関しては大プリニウスとも呼ばれるガイウス・プリニウス・セクンドゥスという人物がおり、「博物誌」という自然と芸術についての百科全書のような著作を残している。
この中に昆虫学も含まれているが、彼の生きていた時代は古代ローマであること・男性であることから、昆虫学者の夫が彼をモチーフにしているかプリニウス姓が大プリニウスにちなんでつけた偽名であることなどが考えられる。
スキルについては女王蜂をイメージしていると明言されており、2周年記念生放送にあった昆虫学者~画家までの予告画像にあったキーワードに「変態」というワードがあることから鯉の滝登りのような経歴は昆虫の変態を参考にしている説がある。

歴史考察

  • 昆虫について
    マリア・ジビーラ・メーリアンの項でも触れているが、19世紀ごろまでのヨーロッパでは昆虫は基本的に「悪魔の生き物」とされていた。
    例外として蜜蜂は盛んに研究されていたものの、彼女が専門とする有翅昆虫には蝶なども含まれるため、その偏見の影響を受けている可能性がある。

参考文献

画家

職業画家名前エドガー・ワルデン
(Edgar Valden)
外在特質芸術センス、センス共鳴、感性の直感、有我の境地
うわさエドガーはとうに人間の喧噪と偽善に嫌気がさしていた。
この世で追求するに値するものは、もはや真の芸術と創作のインスピレーションしかない。

モチーフ考察

※画家は原案者が運営ではないので、モチーフを考えるなら公式発表版に際しての追加設定の部分になります。

バッツマン

職業バッツマン名前ガンジ・グプタ
(Ganji Gupta)
外在特質クリケットバット、運動天賦、使命感、機械音痴
うわさ度重なる欺瞞はいかに温厚な人間でも耐えられない。
親衛の家から逃げた後、この世界にガンジの居場所はどこにもなかった。

モチーフ考察

玩具職人

職業玩具職人名前アニー・レスター
(Anne Lester)
外在特質精巧な玩具、慰めの物、遠望、コレクター
うわさ羞恥と欺瞞から逃げ出した後、アニーはついに自分の力を発見し、小さな玩具店で真の安心感を得た。
今度こそ彼女は自分の力で、彼女が持つべきものを取り戻す。

モチーフ考察

患者

職業患者名前エミール
(Emil)
外在特質鉤爪逃走、愛着、絆
うわさ精神病院から脱出した後、エミールはエダの「付属品」となった。
バラバラな欠片のような苦々しい記憶より、彼はエダの治療を受け入れることを選んだ。
無条件な服従、守護、依存……それが彼が愛する者と築く独特な関係だ。

モチーフ考察

「心理学者」

職業「心理学者」名前エダ・メスマー
(Ada Mesmer)
外在特質感情転移、ストレス反応、絆
うわさあの精神病院を離れた後、エミールを治療することだけがエダの重要な目標となった。
エミールの「愛」を呼び起こすため、そしてより有効な治療方法を見つけるため、
彼女はあの知人が持ちかけた招待を受け入れることにした。

モチーフ考察

コメント