その他用語

Last-modified: 2021-10-12 (火) 17:31:34

・MRE

アメリカ軍の戦闘糧食。いわゆるレーションだが、レーションと言うのは軍で支給される食事全般を指すことが多く、MREは個人で携行する野外戦闘時の食事にあたる。
兵士が携行して持ち運べる食事を目指して開発が進められ、ベジタリアン用メニューを含めると20以上の種類がある。
大抵は本土から輸送されてきた食材を使って後方で調理された食事が運ばれてきたり、給仕車なる動くキッチンが出向いて食事を作り、保温コンテナで出来立てを運ぶ事で兵士は前線でも基地にいる時と殆ど変わらない食事を摂るが、1食はこのMREが持たせられる。
世界一戦闘経験が豊富な米軍であるが、蓄積された経験と知識を総動員したにもかかわらず、このMREの味はひどいものとなっている。
多国籍軍やPKO等で他の軍のレーションと交換する機会が増える一方で、あまりのひどさにオチに使われるアメリカ軍のMREを嘆くものも増え続けている。
レーションは各国の文化が凝縮されているといってもよく、アメリカは「大雑把。味より何より栄養と実用性」、フランスは民生品を多用した美味しい「華やかなフランス料理。世界一の美食を戦場で」、イギリスはリットル単位で紅茶が付いてくる「ティータイム至上主義。もちろんお菓子も忘れるな」、日本は米を使ったご飯類の非常に充実した「米とおかずは日本だけ。日本人なら米を食え」、イタリアはワインとデザートが標準装備の「イタリアンワインはたしなみだ。戦場での飲み過ぎ注意」等、食文化だけでなくそれぞれの国の気候や事情もそっくりそのままパックされている。
ロイ・キャンベル大佐は各国のレーションの食べ比べをした際、アメリカ軍のレーションを見せるのが恥ずかしかったと語っている(それ程に酷い)。
ちなみに日本の自衛隊が採用しているⅡ型と呼ばれる糧食は、日本食らしいご飯とおかずという世界的に珍しい組み合わせで、クラッカーやパンを主食にしていた欧米の将兵達にとって衝撃的だったという。味も申し分なく、32カ国が参加したカンボジアでの任務では見事「現地開催、チキチキ世界のレーションどれが一番美味くてよく出来ているかコンテスト」1位を獲得した。ビリはアメリカ。
現在の米軍は1日2食を温かい食事、1食をMREなどのレーションを提供することをドクトリンとしており、UGRなど新しい形態の食事が開発されている。が、やはりおいしくないらしい。
兵士飽きないよう、新しいメニュー開発が続いており最近になって遂にアメリカ人の執念が実った結果、軍の要求する厳しい要求を満たした軍用ピザが開発されるに至った。
基地では常にケーキ、ドーナツ、コーラがオフィスに置いてあり、潜水艦でさえソーダとアイスクリームの製造マシンが設置され、これが故障すると士気が極端に低下し最悪反乱の原因となるため、故障を報告すると基地への帰還命令が出るとの噂まである。ちなみにケーキは大味で甘味が強くアメリカらしい色使いもあって、他国の人間からするとあまり美味しくない。

・UGR

グループ戦闘食。小隊規模での食事が提供できるもので、ヒーターと食事の入ったトレーに飲み物と食器がパックされていてひと箱で食事をすべて完結できる。野外キッチンで提供する事もある。
おかず、主食となるスターチ、デザート、野菜がそれぞれ入ったパックトレーを開けて兵士が紙製のトレーを食器に必要な分を取り分けて食べる。食べる量に融通が利いて、それぞれの兵士に最適な量を提供できるが時に人気のあるメニューの取り合いが起こることもある。
相変わらずヒーターは博打で均等に温まらない事もあるが、大人数で食べるという仕様上個人向けよりメニューが少ないものの味はMREよりややマシとの噂である。

・FSR

ファースト・ストライク・レーション。
現地に展開した兵士への食事を提供する体制が整うまでの繋ぎとして、簡単なサンドイッチや乾燥食品などをパックにして携行しやすく調理も不要なサバイバル食として開発されたレーション。
民生品の常温保存可能な食品を採用しているためか、正規のレーションより味の評判は良く補給体制が整うとどうにかFSRを食べてMRE等への移行を可能な限り遅らせようと頭を巡らせる兵士が続出する。

・ラムネ

日本の駄菓子、あるいは炭酸飲料。甘い味にわずかなフルーティーさを特徴とし、独特の形状をした瓶に詰めてビー玉で蓋をする。
飲み物の方は100年以上の伝統を誇る夏の定番で、値段が安く数少ない清涼飲料水として戦前から庶民に広く親しまれた。日本軍の軍艦では二酸化炭素を利用した消火装置を流用して、手元にあるラムネ瓶にシロップ水を入れて二酸化炭素を吹き込む事でラムネを作っていた。後に専用のラムネ製造機が積まれている。
米海軍の原子力潜水艦ミシシッピにもラムネ好きの艦長肝いりでコーラやサイダーを供給するサーバータイプではなく、瓶に入った瓶詰めラムネを作る製造機が設置され、空気中の二酸化炭素を分離する特殊なフィルターから取り出した二酸化炭素を液化してラムネ製造用に転用した事で、艦内でラムネを作る事に成功した。これにより、閉鎖空間でラムネを作っても空気中の二酸化炭素濃度を気にせずに済む。
瓶とビー玉は全て割れにくい強化ガラス製で使用後の洗浄、消毒も簡単にかつ衛生的に出来るため軍の規格も満たし、更に瓶もビー玉も何度でも再利用可能でゴミも出さず限られたスペースの有効利用に厳しい潜水艦でも積み込みが許可されている。
製造は専門の教育を受けた調理員がラムネ職人として行っており、ラムネ用シロップ水に炭酸を吹き込んで出来上がったラムネを瓶詰にしている。
シロップ水は長期航海でも切らさないよう、省スペースで大量生産出来るように水で薄めるとラムネの素になる濃縮シロップを作ってもらっている徹底ぶり。
コーラとはまた違った味を楽しむ事ができ、見た目にも涼しげで珍しい瓶は乗組員の気分転換に良いと評判は上々。
最近は暇を持て余した乗組員が瓶をインテリアにしたり、お土産で持ち帰ってしまって瓶が不足するのが悩み。
日本的な雰囲気を作るため、ラムネの提供窓口にはかき氷の暖簾がぶら下がる。

・サバイバル

文明社会の恩恵を受けられない状況に陥った時、無事に生還するための知恵や技術。
遭難や災害によってインフラが使えない場合、物資の補給が受けられない場合、救助がすぐに来ない場合など己の身ひとつで自活しなければならない。そんなときに必要なのがサバイバルとなる。
特に軍では、戦闘中に孤立したり航空機が撃墜された際に脱出する、敵地での作戦行動のようにサバイバルが必要とされる状況が発生しやすく、また過酷な戦場で生き延びるためにサバイバル訓練を行っている。
食糧と水を確保し、自分の位置を知って進むべき方角を割り出し、安全な地域へ生還するための講習のみならず応急処置や健康管理、ストレスへの対処など様々な知識と技術を身につけさせる訓練では、体や心の仕組みから学んで野生動物をナイフで捌いて食べる、星や太陽の位置から方角と現在位置を割り出す、野営地を作るといった実践的な事まで実際に野外へ放り出された中で行う。
特に精神的にきついのは食糧調達訓練で、肉を生で食べる習慣の少ない欧米では只でさえ空腹なのに食べられるものがゲテモノしかないという、非常に過酷な状態で数週間過ごさなければならない。
逆に、つばきやスミレのような日本人にとっては魚や肉を生で食べる事は珍しい事ではないため、普段の食生活の延長である魚や肉の生食に何ら抵抗はない。むしろ、飽きるほど刺身三昧な生活は贅沢ですらある。
その他にも、止血や異物の除去、傷の縫合や消毒といった応急処置を野外にある植物や手持ちの装備で行ったり、救難信号を様々な方法で送るなどの訓練が行われる。
今ではサバイバルナイフに釣りの仕掛けやちょっとした道具が組み込まれており、従来の生存自活に加えて娯楽として楽しめるストレス軽減の要素も込められる。

・風呂

命の洗濯を行う神聖なる場であり、同時に漢のロマンを秘めた聖域でもある。湯船につかり、一息つくのは日本の重要な文化であり単に衛生状態の向上やストレス解消と肉体の休息を得るだけではなく、魂そのものの浄化が行われる神秘の時間である。
集団生活を行うために公衆衛生に気を配る各国の軍隊にはトイレと共にシャワー設備も前線に配置されるが、自衛隊では風呂文化のためシャワー設備と共に自己完結式の大浴場を設営する野外浴場セット2型を配備して、いついかなる場所でもお風呂に入れる体制が整っている。しかし水を大量に使用するため水が貴重品となる場面では中々利用が難しい。
護衛艦などは当然貯水タンクの容量に限りがあるのと、真水製造機が作る水の量に限りがあるため真水の使用は厳しく制限されており、海水風呂でシャワーのみ真水という事が殆どである。潜水艦では現代でもシャワーのみである。
有り余るパワーで電力不足とは無縁の原子力潜水艦でも、真水の製造能力の限界から必要な時に真水が枯渇しないようシャワーは2日に1度(艦長は毎日OK、下士官以下は特別な例外を除いてお湯を使い放題の無制限シャワーは許可されない)とされているが、雛菊は水を使いすぎるお風呂に入るため、1日はシャワー用の水をドラム缶に貯めてその日は濡れタオルと水なしで使えるふき取る方式の特別な液体石鹸で済ませ、次の日にヒーターで湯を沸かしてお風呂にしている。
発電能力にはかなり余裕があるため、ヒーターについては特にお咎めは無いらしい。
一度沸かすと塩素消毒のタブレットを入れることで3日はお風呂が利用できる。尚、このドラム缶はドラム缶風呂のために水抜き穴の設置、内側の耐水コーティング、自然循環式電熱ヒーターを取り付ける改造が施されている。風呂掃除は自分でやっている。
雛菊の浴槽となるドラム缶はカーテンで仕切られた艦長用の個人シャワールームに置いてあるが、多人数シャワールームには乗組員が真似をして設置したドラム缶風呂コーナーがもう一つあり、事前に予約をした者が1日分のシャワーを貯めて次の日に入るシステムになっている。
次の段階として、小さめのビニールプールを持ってきて常設のお風呂として利用し、アクアリウム用のものを流用したろ過装置によって水を再利用することでシャワーを我慢することなく、毎日入浴できる設備を用意する「プロジェクト・ミシシッピの湯」が構想されている。

・スニーキングミッション

兵士と諜報員の役割を兼ね備えた要員を敵地に送り込み、敵に見つからず極秘裏に単独で作戦行動を行う任務形態。
痕跡を残さず、隠密に任務を遂行するため武器装備は現地調達し、送り込まれる要員も一人である。潜入した隊員はサポートチームが無線でバックアップするという形をとる。一人で全ての役割をこなせるようサポートチームは医療、武器装備、作戦指揮等の専門家がそろって兵士の状態をモニタリングしながら様々な助言を行う。
かつてゼロ少佐が設立したFOXがその実用性を証明し、ビッグボスが司令官を務めたFOXHOUNDに引き継がれた。

・CQC

近接格闘術を中心とした超近接状態における戦闘システム。ザ・ボスが第2次大戦中、敵を生かしたまま捕獲してくるスナッチミッションで目標の護衛の排除、本人の拘束など銃器を使えない状況で敵を無力化する必要があった経験から、無音で敵を無力化する技術の開発を始めたのが最初。
その後弟子のビッグボスと共に発展、完成されたのが現在のCQCと呼ばれる戦闘術である。
銃器が使用できない超近接状態で必要最小限の力で敵を倒し、素早く動きを封じて時には抹殺や武装解除を行うことが可能であり、必要ならばそのまま発砲に移行出来るよう手に銃火器を持ったままでも敵を拘束、無力化し首絞めや投げへと発展するなど多彩で臨機応変な変化が特徴。大雑把に言えば銃とナイフを状況に応じて使い分け、その双方を有効に活用する総合格闘術。特に多人数相手の遭遇戦や奇襲に対する備えをしつつ戦う場合において有効である。
時には銃を持って戦う技術であるため、銃のパーツにもCQCに対応したものが出回っている。
不意打ちだけでなく正面からの格闘も、相手の武装を無力化し更に敵の体の動きを制限させ、そのまま殺害や拘束など様々に発展できるよう、攻撃を捌く事に重点が置かれている。
勿論、銃を持たない状況で危険を回避する事も必要なので必ずしも銃が必要ではない。
近年までCQCの技術はビッグボスの情報と共に機密指定であったが、機密指定解除をきっかけに世界中に普及した。しかし体で覚えたものと教本で覚えたものでは違いが生じていて、スミレ曰く本物のCQCとは遠い変則的なものとなっている。
スミレはザンジバーランド時代に直接ボスから訓練を受けた数少ない人間で、持ち前のセンスでその技術を余す事無く吸収発展させて敵の銃器を分解して見せたというザ・ボスの境地に近づき、マガジンリリースボタンを操作して強制的に武装解除を行う、セイフティーを操作して発砲を封じる事で隙を作ることまでやってのける。

・Secret soldier infiltration system

SSIS。スミレの提唱する歩兵の空挺降下とは違ったアプローチで敵地への浸透、潜入を行うシステム。
従来の空挺降下では軽装備の歩兵が中心で重火器の携行も制限され、火力不足が問題となっている。橋頭堡確保のための降下などでは敵が装甲車両を用意している事もあり、対抗手段として車両を投下するとしても隠密性が下がるため待ち伏せの危険が高まる上に、MBT相手では分が悪い。
この欠点を解消するべく、BTMWを使って降下する方法がSSISである。
具体的にはBTMWのバックパック内部を3層に分けてそれぞれを座席にし、6人ずつ歩兵を座らせてASと共に降下する。
こうする事で、強力な火力支援を受けながら作戦が可能となり、尚且つ隠密潜入を実現しながら大型バックパックによる大量の歩兵の輸送も同時に実現する事が出来るとされる。
まだ構想段階ではあるが、ギャラクシー輸送機での降下が実現すれば3機のASで構成される1個小隊と60人の歩兵部隊を一箇所に投入することが可能となり、完璧で大きなダメージが期待できる効果的な奇襲と歩兵による円滑かつスピーディな占領を両立することで後続部隊の投入が容易になり、敵の攻撃もないため被害が少なく出来る。
現在はコンテナの衝撃を人間が耐えられるレベルにするための、緩衝装置の研究が進んでおり実用化まであと一歩まで来ている。

・チャイルドエラー

原則として学園都市では子供を学園に入学させた場合寮生活をさせることになるが、その時学園へ入学金を支払って子供を入学させ、そのまま両親が行方をくらます場合がある。その場合置き去りの子供は「チャイルドエラー」とされ学園の運営する施設で生活することになるが、入浴の制限や能力開発の研究対象としてモルモットのような扱いを受けることもある。

・能力者

MAGIによって解明された「超能力」の素質を持つ者を指す。
市内の中学校で行われるシステムスキャン(身体検査)で測定された結果によりレベル分けされている。
レベル0の無能力者も多くいるが、その後の能力開発や教育によってレベルが上がる事も普通にあるのでレベルに関係なく皆同じ教室で学び、同じ授業を受ける。尚、養成学校と入っても一般の学校と違うのは能力関係の授業や訓練があるだけで一般教養(国語や数学など)は他の学校と変わらない。なのでたとえレベル0でも進級や卒業に問題は無い。
学び舎の園と呼ばれる関係者専用の街の中では能力を使うものを見ることができる。能力開発を受けるとまったく何も持っていなかった人でも能力が現れる可能性がある。
能力開発を行う学校には得体の知れない人間や明らかに小学生のような見た目の職員も存在し、アンチスキルを兼任する人も多い。
能力は脳の演算によって発揮するため、それを妨害される(集中力を乱す)と能力は使えない。
能力開発は裏で日本政府が関わっているとされ、軍事転用の噂もある。
超能力のみならず、エヴァからコフィン戦闘機まであらゆる兵器への適応の調査と開発も行っている。

・傭兵

狭義には国家の軍隊に属さず金銭を受け取りながら戦争に参加する兵士を指すが、広義には正規軍以外で戦争に参加する人間の多くが当てはまる。現地武装勢力に参加する第3勢力や中立の立場にいる人間もこれにあたる。
古来国家が必要時に兵士を集めていた頃は、正規軍という存在は少なく多くが雇われて参加する傭兵であった。近代になって国軍が戦争に参加していた頃から警備会社の警備員という名目で戦場に派遣された人間が報酬を貰いながら戦闘行為を行ったり、個人で戦争している当事者の仲間に入って戦争に参加するといった形で戦場に姿を見せていた。
本来はジュネーブ条約違反の存在であり、身分の保証や法的な保護を求める事が出来ないなど決して良いとはいえない環境で戦闘に参加している(違法な存在なので、戦争行為によって相手兵士を殺害した場合殺人罪で逮捕される恐れもある) 。
しかし軍の負担が減ること、傭兵は死亡しても戦死者としてカウントされないなど戦争をしている当事国にとってはありがたい存在であったりする。
報酬は危険と福利厚生のない代わりに高いが、軍に勤務した経験の無いものや通常の兵士だったものは一般的なイメージより多くは貰えない。しかし元特殊部隊所属などの肩書きを持つものは1日で10万円近い報酬を受け取る事が可能な事もある。
参加形態は様々で現地の前線で、現地人兵士と共に直接戦闘に参加する一般的にイメージされる傭兵もいれば訓練教官として軍事訓練を施す者、エンジニアとして兵器の修理や改造を行う者、参謀として指揮を執ったり助言を与える者もいる。指揮官には元特殊部隊隊員等の優れた経歴の持ち主や、政治的理由で裏で介入する他国の正規軍の将校がいることもある。
個人で戦場に飛び込むパターンは殆どなく、多くはPMCや警備会社という組織に属している会社員と言う身分で派遣され、警備や護衛などの仕事に当たる。指揮官クラスはともかく、末端の警備員等は現地人を雇用する事も多いがよくフィクションで見られる食い詰めて仕事を求めて傭兵になった、というのは傭兵を派遣する側には少なくどちらかといえば、雇用される現地人に多い。
あくまで部外者であり、正規軍のような重火器も豊富ではないため直接敵軍と戦う事は滅多になく、まして正規軍に混じって最前線で正式な作戦の中心に参加する事はない。
軍を動かす事に世論が大きく反発するようになってからは傭兵の需要が増え始め、傭兵を活用したいアメリカをはじめとする各国の思惑と事業拡大を目指したい大手PMCの利害が一致。SOPシステムの完成によってPMCは正規軍並みの、正式な戦力として戦争に参加するようになる。
時代がPMC中心になってからは正規軍が減り、傭兵と呼ばれた人間の方がごく当たり前に、正規軍以上の数で戦争に参加するようになったため逆に正規軍の方が特異な存在で見られる事すらあった。
SOPシステムが崩壊した現代においては貴重な即戦力として認知され、国連の指揮下で報酬を貰う事で正式な職業軍人となった者が多い。
陸上兵力だけでなく空軍兵力も弱体化したため、待遇に不満を持って退職したのちアルバイトのようにフリーランスとして戦闘機に乗るパイロットも多数存在する。
自前の戦闘機を持って戦闘に参加するパイロットの傭兵版が活躍する事は今や珍しい事ではなく、システム崩壊で著しく弱体化した各国正規軍やPMCの航空戦力を補う形で、オリジナルのカスタマイズやペイントを施した戦闘機を駆って世界中の空を飛ぶ。
このような現状に合わせて軍需産業を担う企業は、大口の顧客であった正規軍が機能しなくなって減った分の需要を傭兵に対する武器装備の供与という形で埋め合わせるようになったため、紛争地帯や各国の街では各企業が「支店」を出して兵士に対して様々なサービス提供(修理、オーダーメイドの武器の製造)や武器装備の販売、個人個人に合わせたカスタマイズを施したりサイトやグリップのような各種アクセサリー等の販売を行う光景が当たり前になっている。
航空分野でも同じことが起きていて、戦闘機のカスタマイズや塗装、果ては戦闘機そのものの販売まで行う。異種間混合の機体編成の整備を支えるバラエティに富んだサービスパーツとスタッフ、航空管制と指揮を一元化する戦闘航空航法管理システム等も積極的に展開される。
戦闘機を販売する際はメンテナンスを会社に任せ、武器は国連や現地で依頼を出した国や企業から供与するという形で費用を抑える事が一般的で、購入した自前の戦闘機で国連軍の戦闘に参加し、帰還後に会社にメンテナンスと修理を依頼するというスタイルが大半。
販売数が増えた事で価格は低下する傾向にある。
正規軍でも一部のベテランパイロットに対し、低下した戦力を先進的な戦闘支援システムやそれによる能力強化で補うべく個人に最適化した機体を専用機としてあてがう事例が増えており、 このような場合正規軍でもこういった「支店」を利用する者もいる。
現在、世界中の紛争地帯で活動する傭兵には国連軍所属の者、国連軍には所属しないが不定期にアルバイトとして国連軍に参加する者、個人で顧客を相手に仕事をするもの、海賊や山賊行為を行う無法者に分かれている。どこにも所属せず、依頼者に応じて戦う傭兵は自分たちと同じやり方で仕事をしている者同士で集まってグループを形成していて、同じようなグループが仕事をするうえで交戦することもある。
紛争地帯では、各軍需産業の出すサービスの提供を行っている出店が彼らの活動を支えているが、最近はそこに非正規の武器商人も多く存在する。

・少年兵

戦場で兵士として訓練され、戦いに身を投じる子供。
有史以来戦争には必ず子供が戦いに参加しているが、近年は将来を担う子供を戦争に送ることは人道的にも国家の利益を考えた上でも否定される。しかし、紛争地帯では往々にして特に不利な戦況に置かれた組織において兵力不足を補うため、また敵に攻撃を躊躇させ子供という油断を誘える存在を戦略的に活用するために子供を兵士として戦場に投入する事例が見られる。
特に悪質なのは、何の関係も無い村で大人を殺害した上で子供を強制的に拉致して薬物や暴力、脅迫などで洗脳して兵士に仕立て上げるもので、一般に少年兵と言うとこちらの方が有名である。しかし、武装組織のキャンプで兵士の看護要員や性的な慰み者になる少女も少年兵に分類され、こちらも問題である。
ビッグボスは傭兵として戦場を渡り歩いた時、これらの少年兵の現実を目の当たりにして兵士になるべきでない子供達が兵士として戦いに借り出されている現状を憂い、兵士として戦う志を持つ者のみが戦場で戦い、充足を得る世界を構築する事を目指した。
懸賞金付きで指名手配されているテロリストにはLRA司令官のように、少年兵を使役した事で罪に問われている者も大勢いる。
現在、世界的な兵力不足による兵士の低年齢化が進んでおり、未成年で戦場に向かう者も少なくない。秀でた能力を持つ子供を、将来的に兵士として軍に入るように勧めるべくサバイバルゲームなどの形で才能の発掘と軍への勧誘のため、各地で軍や政府が主催する陸上、海上、空中とあらゆる面で遊びとして整備されたバトルゲームが開催されている。

・戦闘機の自由化

軍を維持できない程の国家の疲弊、それに伴う軍需産業の散逸が相次いで発生した事と国連軍の名のもとに便宜上とは言え世界各国の軍が顔を合わせるようになり、各国の戦闘機の生産を担う企業が需要を求めて他国の軍へ戦闘機を販売するようになっていった。
結果、最先端の技術が除かれた戦闘機が国をまたいで保守サービスごと販売されるようになり、多種多様な戦闘機が市場に出回るようになった。
特に顕著なのはロシア製の戦闘機で、研究や低コストを生かした自国への装備のため様々な国がロシア製の戦闘機を買い入れている。今では西側の国々でもロシア製の戦闘機と自国が持つ戦闘機との混成は珍しくなく、F22とフランカーが並んで飛行する光景も見られる。
自衛隊が研究とアグレッサーのために買い入れた戦闘機は、美希のコフィン搭載実験にも回された。

・第6世代戦闘機

まだ概念上の呼び名でしかない、未来の戦闘機の総称。
新素材や技術革新でステルスやスーパークルーズは当たり前になると言われており、戦闘を決定付けるのは多数の無人機や地上レーダー、AWACSなどのが集めた情報を統合分析するネットワーク化された監視網とレーダーに頼らない光学センサーによるステルスの無効化と、敵の情報や攻撃などを統合して処理する戦闘支援システムになると予想されている。

・使徒

異なる次元から「堕ちてきたモノ」。
その正体、構成物質、出現地域などは一切不明ながら、人類に敵意を持っている事は明らかなグノーシスに似た存在。
エヴァシリーズ開発の本来の目的がこの使徒を倒すためであり、第3新東京市の重装備も使徒撃退のため。出現の際には強大なエネルギー反応があり、粒子の偏向から空間を歪めて現れる事が確かめられており別な次元からやってくるとされる。形態は様々であるが一様にATフィールドと呼ばれる特殊なエネルギーによる壁を持ち、その絶対的な防御力ゆえ同じATフィールドを展開、敵のフィールドの侵蝕が可能なエヴァシリーズか、別な方向から干渉する事でフィールドを無効化するヒルベルトエフェクトの展開エリア内でなければ物理的に殲滅できない。
日本が最も出現数が多いが海外でも出現の報告があるため、各地域にはNERVの支部が置かれる。
後の解析で第3新東京市初の実戦で侵攻したASは使徒に寄生されていたことが判明している。
理由は不明だが第3新東京市の地下にある大深度施設の更に下、ヘブンズ・ドアと呼ばれる防護扉の向こうに置かれているエヴァ開発中に突如生成された巨大な「ヒト」を目指して侵攻する個体が非常にが多く、接触した場合何が起きるか分からないためNERVの専らの任務はエヴァを使っての侵攻阻止となっている。

・CAS

近接航空支援。作戦行動中の地上部隊を航空機が支援することを言う。
JDAMのような誘導爆弾の発達で、B-52のように大量の爆弾をばら撒く目的で開発された大型爆撃機でも可能となってきている。地上からレーザー照準器を使って目標をターゲットし続けて爆弾や機銃の誘導を行ったり、座標をGPSで測定して誘導する方法の2種類が最もよく用いられる。建物に潜むスナイパーやテロリストが脅威となる市街戦において、建物ごと脅威を排除することができる航空支援の役割は大きい。
反面、一般市民の巻き添えが後を絶たず、座標の送信ミスで味方の頭上に爆弾を誘導してしまう事故も発生している。
空爆に限らず、攻撃ヘリによる地上攻撃やヘリ搭載のミニガンによる火力支援、A-10のような攻撃機では機銃掃射も近接航空支援に入る。中でもガンシップの支援は最強クラスの火力を誇る。

・IED

即席路肩爆弾。砲弾や地雷、手榴弾を改造して爆弾とし、携帯電話による遠隔操作やスイッチ、センサーやタイマーによって起爆する。爆弾の種類も起爆の方法も様々なものが存在するため無力化するのは非常に難しい。また巧妙に隠されているため発見できないまま車列が通過するところを狙われることもあり、中東での米軍の死者の多くはこの爆発物によるものである。
対戦車地雷の積み重ね、自走砲の砲弾を使うといった工夫によりエイブラムス戦車まで破壊できるほどの威力を誇る爆弾もあるため、車両の被害はあとを絶たない。
現在携帯電話を使った無線式の爆弾を無力化するために妨害電波を出すなどの対策が採られているものの、無線式以外は防げないので気休め程度にしかならない。
強力なマイクロ波を使って爆弾を遠距離から破壊する装置も研究が進んでいるが、未だ実用の域には達していないため、怪しいものを見つけたらロボットによる遠隔処理を行うかその怪しいもの(動物の死体や瓦礫)ごと機関銃で粉砕する方法がとられる。

・EMP

電磁パルス。核爆発などで見られる現象で、サージ電流を発生させて対策のされていない電子機器をほぼ完全に破壊する。
コンデンサなどを使って再現が可能だが、兵器として実用的なものは今のところ一部先進国でしか配備されていない。
765小隊で運用されているものは、任意のタイミングと距離で発生させることが出来る。
多くの兵器は電装系に対策が施されている事が多く、インフラへの攻撃が最も効果的と言われる。

・SOP症候群

SOPシステムによる保護を失った結果発症する様々な症状の総称。
システムにおいて脳内への分泌物の投与、痛覚神経への投薬による痛覚コントロール、リンクしたナノマシンによる感覚制御などの各種制御が行われていたが、その制御が停止したため今まで薬剤によって意識されない状態にあったものの、記憶としては残っている仲間の死や殺傷行為への躊躇いが一気に解放された事で巨大なストレスで精神を病む者が続出した。
感情の制御を受けていなくとも、アルコールの強制分解機能を始めとするコンディション調整機能が身体に過度の負担をかけているのでこの病気を発症する。
素人同然の兵士が銃を握れるように感情を制御したPMCの兵士の間で、特に酷い症状が目立つのは彼らが殺傷する事などに慣れていないためだが、既に戦闘を経験し、感情を制御される前から殺傷行為や仲間の死に慣れた (制御がなくなっても精神的ダメージはPMC兵より小さい)正規軍兵士でも発症者が多数見られるのはこのコンディション調整機能が破綻した事が大きい。
主な症状は頭痛、吐き気、嘔吐、食欲不振、倦怠感、発熱といった風邪にも似た症状を示す。
精神面では、統合失調症や解離性障害、PTSD、錯乱状態、また人によっては言語障害なども現れる。
これらは長期的に治療を続ける事で症状の改善が見られるが、中にはあまりのショックの大きさで心停止に陥ったり、急激な分泌物のバランスの悪化やナノマシンの暴走によって脳(特に前頭葉)にダメージを負う者がいるなど、症状の強さにはバラつきが見られる。
この病気による軍の人手不足は深刻化していて、傭兵の需要は高まる一方である。

・パイロットチルドレン

アメリカ空軍で10歳のパイロットが生まれた事を発端に世界中に見られ始めた子供の軍用機パイロット。各地で続発するテロや紛争といった目の前の恐怖から国民を守れるだけの戦力が確保できなかった事から始まった、子供達の中で適性を持つ者をパイロット養成学校に入れると言う苦肉の策で生まれた。
SOP症候群によってパイロットが不足しているが、紛争に立ち向かわなければ国民が危険に曝されると言った軍の人手不足と倫理問題との葛藤が背景にある。
人権団体からの抗議もあるが、戦力の不足で国家そのものが危険に曝される事もあって比較的安全な空ならばと容認する流れが強い。
大人よりも子供の方が柔軟性があり、早期にパイロットが育成できるとされる。
現在は一般化しつつあり、戦闘機に乗る事を売りにする俳優やアイドルも増えつつある。ちなみに戦闘機のペイントの自由化のきっかけにもなった。
現在、戦闘機の低価格化によって個人の所有する戦闘機が急増しスポーツとしての「空中戦」が世界各地で行われており、ルールが定められ正式化された「Air・Fight・Sport」の同盟発足を契機に急速に競技人口が増加したことで低年齢化が進んでいる。

・グノーシス

近年活発に活動を始めた謎の生命体。
ASの類とも宇宙からの生命体だとも言われていたが、研究が進んだ結果別次元に本体を隠した生命体である事が判明した。
別次元に本体があるため見た目は半透明で、攻撃は一切通用しない。しかしヒルベルトエフェクトを用いて干渉し、こちらの次元に本体を引きずり出す事で実体化する。この特性によって百式レアリエンヒルベルト実装型の量産、配備が急ピッチで進んでいる。
構成素材はNacl、NaoHといったごくありふれたものであるため、なぜこのような生物に変化するのかは全くもって不明であるが人類に対して敵意を持っている事は明らかである。

・分隊支援火器

野戦において敵に猛烈な火力をぶつけて弾幕を張ることで敵の頭を上げさせず、味方の行動の自由を確保すると共に攻撃を抑制することや、敵の強襲に対して防御を行うことを目的とした銃火器。軽機関銃や汎用機関銃より軽く、兵士一人で持ち運びができる反面、安定性と堅牢性に劣る。
死角が多く、突然攻撃されることの多い市街戦が戦争の主な形となった現代において、突如現れた敵を圧倒的な火力で吹き飛ばす分隊支援火器の持つ意義は大きい。

・LZ

Landing Zoneの略。着陸場所のこと。

・KIA

Killed in action。作戦(戦闘)行動中死亡。つまり戦死。

・MIA

Missing In Action。こちらは作戦行動中行方不明をさす。戦闘中に捕虜にとられる、または進軍中に道を間違えて味方と集合できないなど、あらゆる理由で軍がその兵士の居場所や安否を確認できない状態になると宣告される。

・ETA

目標地点への到着予定時刻。

・Danger Close

友軍から600m以内の至近距離への爆撃、支援砲撃という状況を示す用語。危険を知らせるために味方に伝えられる事もある。

・捕虜

戦闘中に敵に捕まった、投降した兵士を言う。ジュネーヴ条約では捕虜は人道的に扱って、拷問ならびにむやみな処刑、虐待を禁じている。しかしこれはあくまでジュネーヴ条約批准国間の戦争で規定されたもので、非対称戦争(いわゆるテロリスト対正規軍)が戦争の主な形となった現代では正規軍側、テロリスト側の双方で捕虜の扱いは保障されていない。現にイラク、アフガンではテロリストが米軍兵士の捕虜を何ヶ月にも渡って拘束したり、カメラの前で処刑するなどの行為が後を絶たない。しかし正規軍側も捕えたテロリストは尋問(あくまで名目上で、実際は拷問に近い)して情報を吐かせるか、その場で殺すかの2択でテロリストに対処している。テロリストは国際法上「犯罪者」であり正規の戦闘員ではないため、これらの行為が批判の的になることは少ない。収容所でイラク軍兵士の捕虜の扱いが非人道的だと批判を受けたのは相手が正規軍兵士であったからで、テロリストはどんな扱いを受けようが(問答無用で殺害、過酷な尋問など)話題にすら上がらないことが多い。
しかしこうした流れの中で相手が本当に殺害すべき人間なのかを判別しないまま、航空機などによる攻撃で一般市民まで殺害してしまう事例が増加の一途をたどっている。
ただしNATO軍はテロリストが一般市民に紛れている事、一見普通に市民に見えるものが突然豹変してテロを起こすことなどを理由に誤爆は仕方がないとの見解を示している。

・武器商人

死の商人とも言って、特に紛争や動乱の裏で武器を敵味方関係なく非合法組織やテロリストに販売することで利益を上げる組織や企業を指す。
GOP後の軍事の民営化に歯止めをかける動きによって、国連主導の元武器販売が制限され、許可を受けた企業のみ武器の製造と販売が認められるようになった。
その結果、合法的な武器商人が傭兵や軍に武器を販売するようになり、表向きはある程度の秩序が築かれた。
一方で紛争の拡大に伴って、国連も把握しきれない程の非合法な武装組織が乱立しており、それに伴って非合法の武器商人も急増している。こうした非合法な武器商人は、無政府状態にあるソマリアやアフガニスタンの一部、ロシアや中国の国境地帯に財力のある者が工場を作り、表向きは工業を生業とする会社を偽って武器を生産していることが多い。
小さな町工場で弾丸を作っている程度の物から、街ぐるみで小銃から戦車まで製造、修理などを行っているところまである。
武装勢力が資金を得るために武器の密造を行っていることもあり、各国のマフィアやギャングも混ざってあらゆる武器が取引されている。
利潤追求や新兵器のテスト、パワーバランスの操作を目的とする国連の依頼、企業ごとの顧客保護や目的の達成のため、表向きは合法な企業が非合法な武器の販売を行うこともあって、市場は荒れに荒れている。
製造を手掛ける企業が直接武器を売り捌いたり、個人がグループで密造した武器を売る製造者を兼ねた武器商人と、武器の確保と運搬、売却のみで生産は行っていない調達専門の武器商人、更に武器装備の修理や整備を請け負う業者に大別される。
調達専門の武器商人は大手企業から買い付けたり、不要となった在庫を軍から引き受けたりして正規ルートを通すことがある一方、出所の分からない武器を集めたりして商品を確保するグレーな商売を行うことも多い。また、表立って行えない革命の後押しなどの裏工作の一環として国家が武器を売る際の仲介役もこなす。
現地での販売を生業とする武器商人は現地情報に詳しく、そこで活動する非合法組織とのつながりも深いため現行犯でもない限り逮捕が難しい。現地政府にとっては情報提供や敵対組織のコントロールをするうえでありがたい存在であるため、逮捕されても即釈放される(ただし便宜を要求されたり、口止め料は必要だが)ことも多く、特に大手となればその傾向は顕著。更にCIAを始めとする各国政府の諜報機関が背後に控えている事もままあり、厄介事を避けるべく見て見ぬふりをする事も。
このことが取締りに影響を与えており、非合法な武器商人の中でもマフィアやテロリストといった、逮捕や身柄引き渡しが当然視される体裁が整う者しか訴追されることはまずない。
現在はロシア、中国、アフリカ大陸のソマリアから南の一帯、南米が世界有数の武器市場で違法合法区別なく、世界中の武器商人が武器の製造販売、密造密売を行い、多くの金が取引されている。
尚、武器は売る相手によっては非合法な取引になる事が多く、必然として密売と言う形を取るケースがある事と非正規戦のど真ん中に顧客がいるような、ATMや銀行のようなインフラはおろか治安のかけらも無い様な場所での取引が多いため伝統的に現物の存在による信用性と出所を隠す目的から、ほとんどの場合現金取引が行われる。そのため「AKと米ドル紙幣」が武器商人の象徴とも言われており、大口の取引に売り上げの現金の両替や洗浄、送金のため銀行マンや両替商がついてくる事も多い。キャッシュレスは資金の流れを追跡されやすく、避けられる。
このような事情から麻薬以上にマネーロンダリング、地下銀行による不正送金、タックスヘイブンを経由した課税の回避(もっとも汚れたお金に税金もへちまもないが、合法的な取引では問題になる)が問題視されているものの、アメリカの外交政策で特定の国や組織への武器供与が日常的に行われている事もあって対策は進んでいるとは言い難い。
紛争を助長するという声がある一方で、武装解除した現地民兵の武器弾薬を買い付けて民兵に今後の生活の元手となる資金を提供しながら、再武装を防ぐ役目を果たす事もある。武器は現金で買い付けられる事が殆どであるため、明日の生活をその場で保証する事で紛争の再燃を抑える効果があると言われているがそもそも表に出る事が少ない武器商人の活動は秘密が多く、実証するデータはない。
武器を売る武器商人がいる一方で、武器を資源とみて買い取る商人もいて鉄くず等の金属資源にするため、あるいは解体して出たパーツを売却するために様々な武器を武器以外のものにして売り物とする、一風変わった商人も武器を扱うため武器商人として扱われる。戦火の拡大に伴って現地住民が自然発生的に武器を現金化するにあたり、転売と並んで最も行いやすい商売のひとつであり、そういった意味では武器商人の数は激増したと言える。

・新世代の武器商人

通常の銃火器や航空機と言った武器の販売ではなく、サイバー攻撃用のコンピュータウイルスやマルウェアといったソフトウェアを販売する業者。
高度にネットワーク化された社会が当たり前となった現代において、それを攻撃するサイバー攻撃は有効な攻撃手段として認知されておりそのための手段を「武器」として販売する武器商人が現れた。彼らは従来の武器商人とは違い、実体のないデジタルデータを商品として扱っており身なりも普通のサラリーマンの格好をしていることが多く、取引をネット上で行って姿を見せない者さえいる。
こうした特徴から摘発も難しく、一見どこにでもいる普通の会社員が有名な武器商人という場合もありUSBメモリやCDを持ち歩き、合法的なサラリーマンを装ってビジネスを行って莫大な金を稼ぐ彼らをデジタル世代の武器商人、あるいはサイバー空間での戦争に武器を売る新世代の武器商人と呼ぶ。
今までの武器と違って製造に大きな設備投資も必要なく、知識とパソコンさえあればどこでも「武器」を隠密に製造できるため個人単位での参入も多い。
商品の販売のみならず、目標とするネットワークの脆弱性や構造の調査、攻撃用の踏台の提供、中には金で「戦闘員」として雇われて攻撃に参加する者もいる。
サイバー戦争そのものがまだ"生まれたて"の戦争で、今後の展望や戦争の戦い方すら未だ模索され発展している最中であり、世界の軍関係者のみならず、民間企業でも常に話題に上がるのは彼らの動向とネットワーク上の戦場である。
GOPの顛末を知る一部の政府関係者の間では、AIを活用した超大規模な情報処理システムを検閲ではなく攻撃の検知、防御、反撃などに活用しようとする動きがある。

・BOL

ミサイルの発射方式の一つ。
方角のみのデータ入力で発射し、飛翔しながらレーダーによってミサイルが自動的に目標を捜索、追尾する。
レーダー波を自ら発するため探知されやすいが、即時発射が可能だったり未発見の敵にも有効などの利点がある。
精密な誘導が間に合わない程接近したミサイルの迎撃のため、迎撃にもこの誘導方式が存在する。

・DEFCON

米軍の戦闘態勢を示す警戒レベル。5段階あって数字が減るごとに状況が緊迫化する。
5は平時、4は警戒、3は戦闘準備、2は核兵器使用準備と戦略哨戒に爆撃機滑走路待機、1は全軍の即時戦闘開始可能状態での待機と核兵器の安全装置一部解除。2以上で合衆国大統領の公務は非公表となり、一般向けの会見以外のやり取りは機密情報隔離施設に限定される。また、空母打撃群は一部が洋上待機となりE-4は退避チームが国外の基地へと移動する。
デフコン1・オプションブラボーでは通常兵器の使用許可権限が現場へ任されるが、オプションアルファでは現場司令官で留められ前線での火器の使用は制限される。逆にオプションチャーリーが宣言されると、核兵器の使用許可申請が許され核兵器使用のための敷居が下がる。
中国の内戦勃発とロシアの内戦の悪化でデフコン3まで引き上げられ、極東戦線での核ミサイル発射準備を確認した際は後のミサイル関連施設への核攻撃までデフコン1が宣言された。

・懸賞金

戦場で戦う兵士にかけられる報奨金。かけられる主な理由は、1 その人物が敵対組織にとって重要である(司令官などはこれ)、2 優秀で持つ技能が組織の弱体化につながる(スナイパー、工作員)、3 犯罪行為を犯して手配される(海賊やテロリスト)などがある。
一般に犯罪者は在歴や凶悪さ、技能系はその技能の優秀さや殺害した敵の数、司令官系は属する組織の強さやその司令官の地位によって賞金額は上げられる。国連軍、中立の雇われ傭兵、テロリストがそれぞれの組織の人物に対して懸賞金をかけるため、各自の組織のサイトに公表したり、チラシやポスターで懸賞金をかけた相手の情報や生け捕り、殺害の報告を募る手配書を作ったりと、今や新しい形の「戦場広告」が戦争を彩るようになっている。
特にテロリストの懸賞金が群を抜いて多く、アメリカの殺害許可リストに名を連ねる連中の名前が多数手配書に書かれている。懸賞金がかけられた人物は、米軍と国連の捜索の対象となり逮捕されると、活動地域の国家か国連の設置した特別法廷に引きずり出されて裁判を受ける。アメリカへの攻撃や重大な人道的に懸念される案件、テロリストが関係している案件の場合は対テロ戦争の一環として処理され、合衆国の法廷に立たされることになる。
そのため、総じて生け捕りの方が懸賞金は高くなるが対象の危険度から殺害を厭わない場合は証拠があれば抹殺しても満額支払われる。
現在最も懸賞金をかけられているのは、旧中国共産党の幹部で人道に対する罪、ジェノサイドなど網羅出来るだけの罪を網羅した1000万ドルクラスの人物複数がいる。中でもトップは北京軍区の元トップで、内戦勃発の際に外国人観光客を人質に取って海外からの介入を防ぎ、交渉の材料とした共産党の指示で観光客や北京周辺に在住していた外国人を狩り出して連行した際に、暴行や虐殺を指示した罪と内戦中に中立地帯への攻撃指示をした罪などで、1800万ドルの賞金がかけられている他アメリカは捕縛後の人権剥奪、非人道的扱いを黙認するとされる最高ランクのオプション・J逮捕命令を出している。

・逮捕命令

便宜上の呼び名で、テロリストの捕獲と裁判を目的にしてアメリカ国務省から発表される。危険排除のために抹殺も許される非公開の殺害許可リストとは違って、あくまで逮捕して法廷に立たせて罪を裁くために発表されるため公の場に向けても公表される。
アメリカとアメリカ人に対する直接の被害をもたらした人物のうち、特に重大な事件にかかわる人物は報復の意味合いを兼ねて逮捕後に人間として扱わず、いかなる抗議や権利の行使も許さない、ただ情報提供と証言のためだけに喋ることを許されると言われる処遇のもとに管理するオプションが存在するとされる。ただし合衆国内では違法なので当然非公式。
逮捕された容疑者は裁判所で裁判を受けるか、軍の管理する収容所へ収監され尋問されるかCIA管理の秘密収容所での尋問、処刑の道をたどる。運が良ければADXフローレンス刑務所で余生を過ごせる。

・化学兵器

条約で禁止された化学物質を使った兵器。特に毒ガスが取り上げられる。
分類上は催涙ガスもあてはまる。
原料が入手しやすく製造が簡単で、大規模な攻撃が容易に出来るが費用は安く済むためテロリストによるテロ攻撃によく利用される。最も毒性が強いのはVXに代表される神経ガスで、呼吸のみならず皮膚や粘膜からも毒性を発揮して呼吸停止を招く。
この場合、全身を完全に覆う化学防護服が必要となる。
現時点で発生した人口密集地での化学テロは日本の地下鉄サリン事件のみで、陸上自衛隊は世界で唯一化学テロにおける救助、分析、除染活動の実戦経験を持つ。

・生物兵器

病原体を使った大量破壊兵器。動物兵器とは区別され、感染力が強い病原体を用いた場合その攻撃は国境を越えて世界規模のダメージを引き起こしうる。また、製造には専門知識と設備が必要なもののそれほど手間がかからない。
特に危険視されているのは、既に免疫の持ち主がいない上に感染力が非常に強い天然痘、同じく感染力が強く死亡率が高い炭疽菌、遺伝子操作された新型の病原体である。
また、著しい発展を続ける遺伝子工学、ゲノム編集技術、ウイルス学を利用したエボラなどの死亡率が高いながらも、感染手段が接触感染のみで爆発的な拡大を起こしていないウイルスや細菌を、空気感染が可能な様に改造する可能性もあり、その場合の被害は計り知れない。

・核兵器

人類史上最強の兵器。
質量を欠損させることで莫大なエネルギーを産みだし、それを軍事利用したもの。
核分裂によって出たエネルギーは爆風、熱線、放射線などになって周辺を破壊する。
都市を丸ごと吹き飛ばすような戦略核兵器は廃れて殆ど使われず、局地的な攻撃に用いる戦術核兵器が多数配備されている。
実戦での使用は第2次大戦以来なかったが、極東戦線では戦術核が国連決議に基づいて使用され、中東ではテロリストがロシア製の核兵器を持っている疑いがあり、近い将来使われるのではないかと危惧されている。
N2兵器の登場で過去のものとなりつつあるが、それでも中堅国家でも製造できる強力な兵器としての地位は揺らいでいない。

・ケムチュリオン・スーツ

アメリカの国家規格を満たしたバイオハザード用防護服。CDCやUSMRIIDでの病原体の研究、特にBSL4に分類されるエボラ出血熱、マールブルグ、天然痘といった感染力が非常に強い、もしくは治療法が存在しない致死性の極めて高い感染症を扱う際に着用することが義務付けられている。
全身をすっぽり覆うビニール製で、外界と完全に遮断された環境を作ることができる。
陽圧式で、エアホースをつないでスーツを膨らませることで外部の空気が入り込まないようになっていて、万が一スーツに穴が開いても空気中に飛散している病原体が侵入しないようになっている。基本的には研究所でエアホースを使うことが前提だが、バッテリーで濾過した空気を取り込み同じようにスーツ内部の陽圧を保つ事で野外で活動できるラカル・スーツもある。別名宇宙服。
似たような見た目と役割の化学防護服もあり、NBC防護服としてレスキュー部隊や軍のNBC対応部隊で運用されている。

・バイオハザード

生物災害。有害な病原体が漏洩、感染することだけではなく使用済み注射針を指に刺してしまうような事も含まれる。
一般的には生物兵器の使用、パンデミックといった感染症の大規模な流行というイメージが強い。
テロの危険が拡大してからは、生物兵器を使ったテロ対策やその開発施設の捜索などを行うため、兵士には対NBC兵器対応訓練が活発に行われている。
汚染された地域へは宇宙服と呼ばれるもっこりとした全身を覆う防護服でなければ入れず、作業後は全身を5分以上かけて除染しなければならないなど、化学兵器による汚染並みに対策が難しい災害である。

・ガスマスク

有毒ガス下で活動するためのマスク。呼吸を通じてガスを吸い込むことが防げるだけで、皮膚からも浸透する有毒物質には効果が無い。その場合、全身を完全に覆う防護服が必要になる。
基本的には一般的なマスクと同じで、フィルターや化学薬品を使って空気中のガスを無毒化もしくは濾過することで、有毒物質をシャットアウトして呼吸する。そのため酸素そのものが存在しない環境では濾過タイプのガスマスクは意味が無く、またあまりに有毒物質の濃度が高いとフィルターの処理能力を超えてしまうため効果が薄れる。
フィルターは吸収缶と呼ばれる缶の中に入っていて、それを取り換える事で様々なガスに対応できるようになっている物が主流。フィルターが抵抗になるので呼吸は苦しいが、今は声をよく通す為のマイクや外の音を伝えるアンプリファイヤー、飲み物のためのストロー穴などがついていてかなり快適になった。
軍では銃を構えた時に缶が邪魔にならないよう、利き腕に応じて缶を左右どちらか選んで装着できる物が殆ど。
フィルターによってはウイルスのようなナノレベルの粒子も阻止できるので、病原体から身を守るために使用することもできる。
扱いを知らないまま装着すると、ガスを防ぐためのマスクという特性上しかるべき場所以外からは空気が入らないため、最悪の場合窒息死することもある。

・気化爆弾

可燃性の液体を散布して周辺の空気と混合させ、着火する事で一気に燃焼させて爆風と圧力を発生させる爆弾。
核兵器と見間違うほどの猛烈な爆風と衝撃波を伴い、周辺の酸素を焼き尽くして窒息と圧死の危険があるが、気密扉のある装甲車や戦車には効果が薄い。
サーモバリック爆薬に取って代わられつつある。

・原子力潜水艦

その名の通り原子力を動力とする潜水艦。
小型原子炉を艦内に持っており、原子力発電の要領で蒸気タービンを回してそれを減速ギアを介したスクリューに繋ぐ事で推進力を得る。
最大の利点は航続距離が無限であること。核燃料棒は旧式艦で10年、新型では30年以上交換しないで済む上、その間ずっと出力を保つことができるため無限にスクリューを回し続けることができる。通常の潜水艦と違って電力は無尽蔵に存在するため、有り余る電力で海水を電気分解することで酸素を得て数十年以上潜ったまま航行することすら可能である。しかし乗組員の健康状態や精神衛生上の問題、食糧や生活物資の補給などがあるため実際は3か月程度で基地に帰投する。
一般に潜水艦の生活設備は任務中のストレスの対価として、海軍の中でもランクの高いものがあるが原子力潜水艦では特に電気と水に関する制約がないため、シャワーなど水回りに関しては充実している。尚、それを利用してドラム缶風呂があるとかないとか。
一方で原子力潜水艦ならではの問題も抱えており、原子炉を利用することによる放射線防護で艦が大型化すること、原子炉そのものの運用や安全性確保のために高度な技術と多くの資金がいること、退役後に解体ができない(原子炉が汚染しているため)などがある。
最も大きな欠点は騒音の発生で、これは通常動力(ディーゼルエンジンやスターリングエンジン)を使った潜水艦がエンジンを切って乗組員が音を立てなければ完全な無音状態にできることに対して、原子力潜水艦は搭載する原子炉の冷却ポンプを止めることができないため、どうやっても音が出続けることが原因である。短時間ならポンプを止めることはできても、そのまま止めていればメルトダウンを起こし、爆発してしまうので冷却ポンプは止められない。
バージニア級のような最新鋭の原子力潜水艦では、この騒音の問題もかなり解決されていて冷却ポンプを止めても原子炉がアイドリング状態ならば自然循環のみで冷却が出来るとのうわさもある。

・ぜんまい

つばきの得意とする独自の戦闘機の機動。
双発機のエンジン推力とノズルをマニュアル操作し、推力に差を生み出しながら機体を上昇若しくは下降させながらロールを行うことで、らせん状の機動を描く。バレルロールより急激で軸線を大きく動かす事が出来る。
回転を始めてすぐに姿勢を戻し、急減速することでドッグファイトで後ろを取った敵機にカウンターを行うことが出来、ミサイル相手でも命中直前にこの機動を取ることで急旋回よりも素早く視界から消えることが出来る。そのため、推力偏向ノズルを持つ第5世代戦闘機ともドッグファイトが成立する。
しかし、マニュアル操作の難しさや回転のタイミング、繊細な操縦技術を要することもあって、誰もやらない(やりたがらない)。
単発機でも、機体を急に起こしてエンジンをふかしながらロールとヨーを組み合わせることで似たような機動ができるが、スピードは落ちる。

・第2次有事法制制定

福岡市へ北朝鮮の工作員が上陸し、市民を殺害した事件をきっかけにこれまでの自衛隊の在り方、国の国防方針、憲法など様々な問題が国民の目に晒されることになり、更なる有事法制の整備が叫ばれることとなった。そして「日本は外国と戦争になり得る」という現実を知った世論の後押しにより、政府は本格的な改革案を模索したものの現行憲法下では十分な対処ができないため憲法改正手続きを敢行、制定から半世紀以上経って憲法改正のための国民投票が行われ、国防の最大の論争の的になっていた9条を各界からの反対や圧力を押し切って改正した。これにより自衛隊の位置づけが正式に国防軍になり、「日本国の財産、領土、領空、領海、その他国益に関わるものを脅威から防護する組織」とされることとなった。同時に国防の基本方針を専守防衛とすることが盛り込まれたが、集団的自衛権の行使と武力攻撃が予想される国外勢力への対処を例外とする旨も併記された。
この改正によって防衛出動が認められた際の敵基地への攻撃が容認され、それに対応するため中央即応集団を強化、新たに戦略自衛隊が国外勢力への能動的排除のための専門部隊として組織される。この後、相次いで自衛隊関連の法律の改正が行われたが、中国、韓国の反発は根強く半ば断交状態となった。しかし日本では実際に国民の血が流れたことによる世論の流れは変わらず、逆に日本との経済的な繋がりが途切れたことで国内からの反発を招いた。

・第2次有事法制

2003年に行われた法整備に続いて、憲法改正後に行われた新しい法整備。
戦略自衛隊を視野に入れ、戦略自衛隊の活動の方針とその制限、国外の活動に関する国会手続きなどを定めた戦略自衛隊法、緊急時における自衛隊やその他国防に関わる組織による有事の際の施設や物資の徴発を定めた武力攻撃対処支援法、NERV設立及びそれに伴う関連法、NERVによる防衛活動の円滑化を図る特務機関法、全国基幹都市防衛システム整備法、自衛隊法改正などが行われた。防衛システムの整備によって全国の主要な都市には対地対空迎撃システムを備えた兵装ビルが作られることになった。また有事法制の整備に伴って政府機能の分散化による防衛力向上、及び過密化の対処として首都機能の分散を行うために第2東京、第3東京市の設立を目的とした首都法の整備も行われた。
この法改正に伴って自衛隊の総合的な大幅強化と、新興敵対勢力対処法に基づくメタルギアなどの新しい脅威への対応を行う防衛整備計画が本格的に進みだした。

・特定警備業に関する特別措置法

警察機関へSOPを導入していた国を中心に、PMCへ警察業務の委託が進む現状と極度に悪化した世界情勢にともなうテロ、外国人犯罪の増加を受けて制定された法律。
GOPで麻痺した警察力の補充、PMCの持つ経験と軍事力を警察の補助として利用し、武装したテロリストや凶悪犯の直接的な制圧やそのための訓練を行える権限を与えている。
警備業を行う業者は通常警察とは違って特別な権限を持たず、携帯できる装備などに制限が課せられているがこの法律で定めるところの特定警備業を行っている企業のうち、国が定める業者に警察活動の補助として武器の携帯や使用、情報収集や調査活動など本来警察官に認められている権限の行使を、限定的に可能とすると定められている。
SSSの一部職員が日本国内で拳銃を携帯できる法的根拠であり、ドローンなどを使った偵察のような軍事的な色合いの強い活動をするための装備の保有と使用が可能となった。そのかわり権限を有する職員の身辺調査や健康診断、活動報告などを厳しく求めており、必要に応じて警察による会社への立ち入り調査が可能である。また武器弾薬の管理記録、その保管方法等まで細かく定められ、重火器については持ち出す前に許可を求める必要がある。

・ブロークン・アロー

米軍内で核兵器紛失を示す符丁。

・PMC企業改革法

GOP後のPMC規制を行うためにアメリカ政府が施行した、改革のひとつ。
過度のPMCの介入による戦争経済の過熱、それによる環境破壊、反人道的行為、戦争犯罪の反省を踏まえ、PMCの活動や起業に制限を設ける目的で制定された。
しかし、戦争経済による莫大な資金によって後ろ盾を得ていた多数の議員や、政府に関係の深い軍需産業、戦争経済に依存する各国の圧力によって、不完全なものとなってしまった。
結局、政府も弱体化した戦力の補充を行う間のPMCの活動を認める必要があったこともあって、以前ほどではないが再びPMCが戦場で幅を利かせるようになる。

・バーゼル条約

GOPを受けて、戦争経済の破綻に伴う諸問題の解決とPMCの活動制限を定めた条約。
経済破綻した各国の支援、負債処理、PMCの保有兵器、活動内容の制限が盛り込まれ、国連加盟国全ての国が加入した最大規模の条約となる。

・戦争経済

「戦争」そのものをビジネスとした人類史上例を見ない巨大経済。
拡大を続ける非対称戦争の折、正規軍を動かしたくない様々な事情からPMCの戦場への派遣は増え続けPMCは利益を上げる。そしてその収益はアメリカへ流れ込み、その収益を元にアメリカ政府が更にPMCを派遣、派遣先ではアメリカ資本流入が活発化するため結果としてアメリカの市場が潤う。
こうして完成された戦争を商品として金が流れるシステムがアメリカの軍需産業の一つ、アームズ・テック社を前身とするATセキュリティ社が開発した戦場管理システム「SOP」による兵士と戦場の管理の実現により、急速に規模を拡大した。
PMCに雇われた傭兵と無人兵器の代理戦争、そしてそれらを全て監視、統制するSOPと、それによる戦場の制御が実現すると、軍事の民営化によって軍需産業やPMC同士の激しいシェア争いを招いた。そして、競争とライバルの潰しあいの結果大手5社による戦場の掌握によって、それに伴う兵站、物流サービス、石油、食料、戦場での武器装備の利用などが絡み合う巨大市場が誕生した。戦場に広告が貼られ、各軍需産業は新兵器の開発と投入によってシェア拡大を目論み、PMCは紛争地帯の受注をめぐってしのぎを削り合い、投資家は高騰する一方の戦争経済に対する投資を行う、こうして戦争は合理的なビジネスへと変貌を遂げ、莫大な金が動く世界経済の基盤となるまでに成長した。
それまでのテロリスト抹殺、政府の転覆、領土や資源の奪い合いが目的だった戦場はPMCの介入によって「市場」として生まれ変わり、どちらの勝利に終わる事も無く長引く事で金を生む場所として安定した利益の追求が目的となるビジネスの場へと変貌する。
しかし、一方で過度な競争による戦場の取り合いは企業同士の抗争を招き、紛争地帯は利益を食い合うPMCや国同士の代理戦争によって荒廃の一途を辿り、利潤を追求した企業の暴走による環境破壊や非人道的な兵器開発、資源の独占による燃料価格の暴騰など問題も多発した。
2014年になって、リキッドによるAI掌握事件であるGOPによってSOPは機能停止、そのため戦場の制御が崩壊してPMC、正規軍の兵士がSOP症候群を発症する事態に陥る。結果地球上から銃声が消え、同時に世界中の軍事力が完全に沈黙する人類史上例を見ない日を迎えた。
その後PMC、正規軍が軒並み機能を停止した世界各地の戦場で、今まで劣勢だった反政府勢力やテロ組織が息を吹き返し、クーデターや革命が頻発、世界中が打って変わって戦火に包まれる。
システムを導入していたPMCは全て倒産、戦争経済関連の株は暴落し、戦争経済は大手5社の破産によって終焉を迎えた。
この事件により、数十もの国が経済が破綻または著しい停滞を起こし、各国の証券取引所は為替と株価の暴落と異常なまでの変動で続々とパニックが発生し、取引システムは取引量の多さに耐えかねてダウンした。加えて、戦争経済の破綻によって暴動や略奪が発生、同時にストッパーがなくなったテロ組織がテロ行為を働いた事が混乱を助長した。
かつて、戦争の存在が国家の経済に欠かせないと言われていたのがただの机上の空論から、次元を超えて現実世界に実現した瞬間だった。

・戦争価格

PMC、軍需産業、それらを取り巻く生産、物流、エネルギーなどの需要によって変動する市場価格。
戦争経済の発展に伴って高騰する一方で、投資家からの視線も熱い。
現地の戦闘が激化、或いは長引くと価格が上がる。
戦争経済の破綻と共に暴落したが、再びPMCが活動を始めると価格が上昇し始めた。
紛争が起きている現地に出ている各企業の支店、兵站サービス業、流通サービス業は、仕事の報酬をこの戦争価格と連動させている事が殆ど。
一般に紛争が激化すると危険が増すと言う事でこの価格は上がり、武器取引や護衛などの戦場での仕事にかかるお金は増える。

・ウォー・ビジネス

戦争経済に代わる、新しい戦争経済。紛争解決を目的とした武力攻撃、軍隊による治安維持、紛争の後処理として行われる復興作業などへ行われる投資と、関連した事業の発注といったビジネスの総称。
予算不足に悩む各国軍を取りまとめ、紛争解決を促すべく国連が始めた平和のための軍事行動へのスポンサー募集が始まりで、軍の活動資金を出資すると感謝広告に名前が出たり復興の際に優先的な進出が認められるなど、恩恵を受けられるものだった。
従来の戦争経済とは違い、国連の依頼による軍の出動や再建事業のような利益のみを追求した紛争一辺倒から脱却した、平和への投資という名目で拡大しつつある。
ただ、紛争があれば儲かるという前提は崩れておらず依頼主が表に出て、慈善事業の側面が大きく取り扱われるようになっただけとの指摘もある。

・ドラッグ革命

違法薬物、特に覚せい剤とコカインで起きた技術と流通体制の変革。最先端の科学技術とその手法を、違法薬物の研究開発につぎ込んだ。
発端は中国の内戦と北朝鮮の南下政策で、戦費を稼ぐため麻薬や覚せい剤の生産と世界各地への密売を拡大させた事による。
その際、国家事業として先端科学を用いて薬物の改良を行って純度や生産効率を引き上げた事で、大量生産と人体実験に裏打ちされた従来にない中毒性で世界の市場を席巻した。また、カルテルにコカインの改良された精製法を輸出したり処方医薬品の違法コピーなど、麻薬産業に現代科学の製薬技術、植物学、化学などを持ち込んで近代化された事でこれらの地下産業は更に大きな問題となった。
この革命は原材料を供給する非合法組織にも恩恵をもたらし、増加する需要に応えて無政府状態の地域にケシ畑やコカ畑の面積が大幅に増加しており、作付される植物も品種改良によってより大量生産に向く性質を持つ新種が増えつつある。
不安定化した中東の黄金の三日月地帯、破産した国家の連なる東南アジアの黄金の三角地帯、伝統的な南米の麻薬密造と並んで北朝鮮ブランドの薬物工場が世界のドラッグシェアを急速に奪って発展している。

・出店

戦争経済の破綻後、SOPの影響を受けなかった傭兵による軍備の増強と、それによるテロ組織の掃討が活発化した。同時に、正規軍やPMCからの大幅な発注の減少を受けた軍需産業は、こうした傭兵相手の商売にシフトしていった。その結果各地の紛争地帯に兵站、物流サービス提供、武器販売を行う企業が拠点を構えるようになった。
これらの拠点は出店、或いは単にショップとも呼ばれる。
武器の販売、カスタマイズ、整備やパーツの販売、オリジナル武器の製作、弾薬の販売などサービスは多岐にわたり、如何に顧客を獲得するかをめぐってサービスや品揃えなどで激しい競争が行われている。
物流サービス企業は基地のPXのような売店の経営と兵士の手紙や荷物の預かりと配達を行い、銃器メーカーは銃の整備と販売を、自動車メーカーは現地で手に入る車の改造や修理などと言った、一般メーカーの進出も目立つ。
中には戦闘機の販売や整備を行う大手航空企業まで存在し、中でも紛争の多発する中東の玄関口である、エジプトの国連軍基地(別名傭兵の街)は世界最大規模の店の数を誇る巨大マーケットが形成されており、そこでは核兵器、生物兵器、化学兵器と最先端の武器装備以外のあらゆるものが買える。
出店を出すには国連とその国の政府が発行する許可証が必要だが、政情の不安定な国では、武装組織が資金を得るために店を構えている場合があり、度々抜き打ち査察が行われ、店員が軍の情報部に連行される事もしばしばある。
銃規制が厳しい日本は武器本体の販売は禁止されており、パーツと許可を得て持ち込んだ銃のカスタマイズのみが許されている。特に精度が求められるパーツや、狙撃銃のカスタマイズが多い。

・CID

国連傘下のPMC内部監査機関。PMCが世界の軍事力の6割に達する状況を危惧した各国政府(特に先進国以外の中堅国家)から、システムの監視だけでは不十分との声が上がり、それに答える形でアメリカ陸軍に設置された、システムの補助を任務とする査察部隊。
PMCに社員として潜り込み、現場レベルのトラブルの解決を図る査察部隊と、その捜査を行う捜査機関が存在する。
SOP崩壊後はPMCの戦争犯罪や条約違反を監視するため、NSOPのバックアップとして社員に紛れて査察を行っている。
PMC上層部から特権を与えられるため、権限は大きい。

・PMC

戦争を生業とする企業。戦場における戦闘、兵站、物流サービス提供、戦闘員の訓練などを業務としており、いわばこれまで国家の軍隊が行ってきた業務を民間委託された、民営化された軍の総称。
高度にハイテク化した兵器の整備や兵站、物流、生活環境の提供と言った、戦闘とは関わりのない業務から、戦場での人員や輸送物資の警護、情報収集といった場合によっては戦闘に参加する事になる従来の傭兵と呼ばれた業務まで、様々な形態でPMCが参加している。
国際法上傭兵は違法な存在であり、派遣先での犯罪行為や監視の行き届かない環境でのモラル低下によって規制が強化されるなど、マイナスイメージが大きいため表舞台に名前が出る事は少なかった。しかしATセキュリティのSOPが完成した事で、ジュネーブ条約を回避しながらほぼ合法的に戦闘員を大量派遣できる環境が整うと、正規軍を動かしたくない先進国からの、戦争委託という需要が爆発的に表に飛び出した。
コスト削減と国内世論のために軍を動かしたくない各国の政府(主にアメリカ)と業務拡大によって利益を増やしたいPMCとの利害が一致したため、軍関連の業務の民間委託がどんどん進み世界中の地域紛争でPMCが正規軍に代わって戦闘を行うようになり、イラク戦争で正規軍兵士10人に対して1人のPMCがいると言われた状況が1:10にまで変化して遂に戦争は民間企業が主導するものとなった。
こうして戦争経済の中心を占める存在となったPMCだが、戦争を金に換えるということで、反戦団体や平和団体に批判されていた事、利益を追求した新兵器の開発と投入による環境破壊が問題になっていた事から、GOPを契機にPMCの活動に制限を設けることが安保理で決議され、保有兵器や活動内容に一定の規制が造られた。
しかし、戦争経済の後遺症によって正規軍の軍事力が不足し、その結果各地でテロが激化した事から再び無傷な戦力として旧PMCに参加していなかった傭兵の集まるPMCが脚光を浴び、市場を得た事で新たなPMCが続々と誕生している。
戦場での警備や護衛を担うPMCの場合、基本的に指揮官クラスはPMCの正社員が務めるが、末端の"警備員"は現地雇用や貧困国から安く雇い入れて派遣する形で構成される事が多く、これはSOP時代以前今日に至るまでから変わっていない。全ての人員をPMCの正社員で構成する事は世界的な大手であっても難しく、コスト面でも不利であり無人機の操縦や兵器システムの運用のような専門知識が要求される業務以外のパトロール、警護といった簡単な銃器の操作と有事の際の動き方さえ覚えていればこなせる業務では、武器装備のみ会社が用意して現地雇用や近隣諸国からの派遣という形を取る事が一般的である。
このシステムによって子供が雇われ、戦場に身を置くケースが後を絶たないが元々監視の行き届かない僻地で活動する事が多く、正確な情報が少ない事もありSOP時代から少年兵の問題は指摘されていたものの実態の解明もままならず、有効な対策は出ていない。

・恐るべき子供達計画

史上最高の兵士の素質を最も受け継ぎ、伝説の傭兵と呼ばれたビッグボスのコピーを作る計画。
ゼロ少佐が指揮を執り、偶像としてビッグボスを生み出すためビッグボスの細胞からクローンを作成しそれを間引いて能力を増大させながら、2つの胚をEVAの子宮に移植してソリッド、リキッドの2人が作られた。
また、作成するする際に愛国者達の制御下に置くための様々な首輪代わりの遺伝子操作を施されており、生殖能力の停止や寿命の短命化がその代表格。
計画の中心となったのはクラーク博士で、スネークイーター作戦終了後に賢者の遺産を用いて始まった遺伝子とクローン技術の研究によりソルジャー遺伝子と呼ばれる体力や視力、聴覚などの身体能力やストレスへの対応能力のような兵士としての素質に繋がる遺伝子、人間の生殖や組織、器官に関わる機能を持つ遺伝子が特定された。更に成功率が非常に低い未確立な技術ながら、体細胞の核を未受精卵に移植するクローン技術も生み出されたがこれは単に核を移植するだけで、培養やクローンの個体の生存性などは検討されないうちに利用されている。
最後に遺伝子の導入、発現の停止や改変といった遺伝子工学の確立により計画は開始され、ビッグボスの子供たちが生まれる事となった。
しかしこの強引かつ異常な形で自分のコピーを作り、それを利用しようとしたゼロにビッグボスは激しく反発してアメリカから姿を消し、南米で傭兵業を立ち上げた。
ゼロはザ・ボスの遺志を継いで世界を一つにするため、ビッグボスと言う存在を利用しただけであってビッグボス自身には何ら恨みなどは無く、自分の元から去った時は良き友人を失ってしまった事を悲しんでいた。
尚、この計画とは別に保存されていたビッグボスの体細胞を使って完璧なクローンを作り出し、そこから採取した遺伝子を人為的に兵士へ導入する事で最強の兵士を生み出すゲノム兵計画が立ち上がった際に、研究開発が進んだクローン技術によってソリダスが作られている。他にもAIのカギとして、様々な遺伝子治療や研究に利用するためビッグボスのコピーが材料になった。
計画に利用されたビッグボスの細胞は現在でもアメリカ政府が極秘裏に保管しており、TF20はこれを奪還し開放すべく手を回しているが実現していない。

・アップグレートパッケージ

旧式と化した兵器を現代の技術で改造、強化するサービス一式をパックした商品。
現在の武器商人のトレンドであり地域紛争で使用される兵器を、安く手軽に強力な兵器に作りかえるパーツを販売したり改造を引き受けたりする。
高性能な現代兵器を売りつけることもあるが、大抵の場合は高度な訓練が必要で価格も跳ね上がる事が多い電子化された兵器よりも、今手持ちの武器を手軽に強化する方が安上がりで且つすぐに戦闘に投入できる、メンテナンスに手間がかからないなどのメリットが大きいため、武装の強化を目的とする取引は多くの場合アップグレードが選択される。
しかし個人で扱うレベルの兵器に関しては、スティンガーなど新型が好まれることも多い。
戦闘機、ヘリコプター、戦闘車両を中心に多数の企業がさまざまな兵器のアップグレードパッケージを販売しており、ただのエンジンの換装から電子化に至るまであらゆるレベルのカスタマイズが行われている。
中にはアップグレードによって、現代兵器と戦えるまでになる兵器もあり紛争の終結を難しくしている。

・アフターサービスパッケージ

アップグレードではなく、武器装備の整備や修理、欠陥の修復と言ったアフターサービスを提供する商品。
消耗品の交換、グリスアップ、清掃などの基本的な整備からオーバーホールのような大掛かりな整備、破損したパーツの交換、OSのアップデート、欠陥品の交換といった武器の作られた世代によっては後々改善されている部分の補填までカバーしてくれる。

・ワンマン・ストライク・ウェポンシステム

パイロット不足を補うべく、2人で運用する戦闘機を1人で運用できるように改良したFCS。
レーダー情報、武装選択、攻撃のタイミング等をサポートする戦闘最適化システムを実装しており、パイロットが操縦しながらでも敵の情報や武装にアクセスできるよう、最低限の操作と判断のみで攻撃するためのAIがアビオニクスと一体化している。
このFCSを搭載した戦闘機は一人のパイロットが飛行、索敵、対空戦闘、爆撃まで無理なくこなす。

・アフリカ成長開発計画

低迷する世界経済の影響を受けて、紛争解決や治安維持、交通路の安全確保に国が資金を出す事が難しくなり、その結果物流や経済活動が紛争の影響を受けて滞り、更に経済が悪化する悪循環が始まりつつある事を危惧したG7が音頭を取って、国連主導で進める事になった世界規模の経済政策。
個々の国が別個に行うのではなく、あらゆる国が一つの場所、一つの目標に資金を投じる大規模なものである。
伸びしろの大きなアフリカでの資源開発、産業育成、インフラ整備を推し進める公共事業で経済効果を発生させる事を目標に、先ずG7で資金と軍を出して拠点となる国へ向かう海上、航空路の安全確保を行い、そこから軍とセットで治安を回復させつつ様々な事業を展開する。
これにより景気回復の起爆剤を作り、事業に参入する各国の経済を立て直しながら、G7は技術指導や貿易の活発化で景気の刺激を図る。経済の立て直しに成功したら、地域の安定や治安維持に出せる予算も増えるだろうという予測の元で作られた。
第1段階として既に大型船舶の寄港が可能なベルベラ、各国の軍が駐屯地を置くジブチに拠点を設営し、農地開拓と機械化を進めて食糧難の解決を図りつつ、内陸の開発や物資輸送を行うための鉄道建設が始まっている。
治安維持に関してはソマリアでの失敗を教訓に、地元の事を知る現地軍や民兵組織に出来る限り任せて直接乗り込んで敵対される事を避ける方法が選択され、特に強固な場所や海賊の取り締まりに先進国の軍が乗り出す。
アフリカを横断する鉄道輸送の大動脈を建設は、紛争地帯を避けるという名目で、路線の殆どを地下トンネルとするため難航を予想する声が上がっている。
更に地質調査も紛争が多発する影響で進まず、調査自体を地下資源の探査目的と疑って許可しない国や他国にいいように国土を開発される事を良しとしない国もあり規模の縮小が検討されている。

・ネイティブ フードファースト

食料資源の確保、安定を目指す上で提唱された新しい概念。特に紛争によって海の治安維持が崩壊した地域での漁業の衰退、それによる水産資源の奪い合いを発端として多発する魚介類目当ての海賊行為の取り締まりと同時に、新しい食の保護の形が模索される中で生まれた。
各国の古来からの食文化を尊重して、その食文化を守るために他国への食料資源の一定の制限を設けるもの。
旗振り役は日本政府で和食の広がりに伴って世界中で需要が高まったマグロの漁獲高に制限が加えられた事をきっかけに、古来から食べられてきた食材を他国が奪ってはならないとして、例えばマグロでは元々食べる習慣があった国に優先的に漁獲枠を割り当てて他国が需要のままにその枠を奪って、昔から食べていた国で食べられなくなる食文化の破壊を防ぐ事とした。

・ガン・マーケット

世界中に存在する武器専門店の集まった場所。アメリカのテネシー州、エジプトのカイロが世界2大マーケットとして知られる。
特にアメリカのユナイテッド・ガンマートは戦闘機から戦車、重火器、銃砲、爆弾、ミサイル、戦闘艦に至るまであらゆるものが販売され、専用の射爆場まで併設された世界最大のマーケットとして知られており、世界中の傭兵や武器商人、軍の高官が集結している。仕事依頼が集まるとして仕事のあっせんも行われる。
大型の取引がある日は1兆円以上が1日の取引で動くこともある。
日本のマーケットは発砲が厳禁であり、実弾は販売もされていない。その代り、高精度な工作機械や職人技の冶金、金属加工の技術を生かしたカスタムショップが充実しており国内の企業から世界中のメーカーの日本支部まで、多くのカスタム専門店が軒を連ねている。
海外メーカーも日本人の職人を雇い入れており、本国より精度の高いカスタマイズができると評判が良い。
中でも、鉄砲鍛冶の伝統の技によって作られるカスタムパーツや、様々な銃本体の改造は世界中のスナイパーがこぞって仕事を依頼する屈指の仕上がり。オリジナルパーツの販売も有名。

・ユナイテッド・グリーン

世界規模で事業を展開する廃棄物処理業者。元は国連の委託で主に紛争跡地での汚染除去や環境整備を行っていた、、通称戦場のリサイクル屋。
廃棄された武器弾薬、薬物、爆薬といった紛争ゴミの処理を専門に請け負い、自前の警備員も保有する。回収した武器の転売で儲けていた武器商人だったが、取り締まりが厳しくなった事で武器を資源に変えて売る合法企業へ鞍替えした。国連から紛争地の再生化事業を請け負った事で急成長する。
銃は勿論弾薬や重火器、軍用車からテクニカルまで集めては解体してパーツ、有害物質、スクラップに仕分けした後パーツは武器メーカーへ、スクラップは資源として売却される。古い兵器や銃のパーツを多く抱えているためマニア御用達の企業としても知られる。
正規品から手作りの品物、果てはよく分からないパーツまであらゆるものを販売するリサイクルショップとしての顔も持っていて、雑多な品揃えとたまに掘り出し物もある軍事用品のジャンク屋という知名度の方が大きい。

・ヘクマティアル・グローバル・グリッド

HCLIの打ち出す新しい流通システム。世界で初めて、軍隊の兵站を民営化しようとする試み。
衛星測位補助システムによるリアルタイムな位置情報、HCLIの培った海上コンテナ輸送システムを生かして必要な場所に、必要な分だけ、必要な時に物資を供給するシステムで、通常の軍隊が行う兵站より安く的確な兵站の提供を目的としている。
流通に関して、軍隊が民間に勝るのはスピードだけでありコストも物流網の構築も、適切な必要量の供給もほぼすべてが民間企業の方がはるかに効率よく実現している。そのため、その利を生かして世界中の軍隊に兵站を提供しようと言うのがこのパッケージのキモとなる。
実現すれば、満足な輸送艦や輸送機を持たない国でも海外展開能力を格安で得られる上既にそういった設備が整った国では、現行の予算を大幅に減らしながら更に迅速な展開能力を保持できるようになるとされる。

・TFワールドネットワーク

TF20が独自に運営する戦略ネットワーク。
インターネットからも隔離され、TF20の情報通信専用に整備された地球規模のネットワークで各種通信事業を手掛ける子会社の持つデータセンターや通信ケーブル等に隠れる形で、あらゆる国と地域に通信網を提供している。
自前で打ち上げた衛星、一般の光ファイバー海底ケーブルに潜ませたり独自で敷設した有線通信ケーブル、移動式基地局で構成される。
通信衛星は衛星測位システムも兼ねており、一般には提供されていない位置情報もTF20の隊員は取得できる。

・サポートハウス

SSSが持つ支援用施設の総称。様々な裏工作、諜報活動をサポートするための通信や分析、物資や資金提供等が行える。
秘匿回線を用いた情報のやり取りや捕獲したターゲットの身柄の隠蔽、工作活動の後始末、避難、変装や武器の調達まであらゆる支援を受けられる。
普段は近くのメンテナンス要員が一般市民として生活しながら維持していて、必要時に稼働させる。

・パニックルーム

緊急事態に逃げ込む室内の避難所。セーフルーム、日本語では緊急避難室とも。グレードは様々で、完全機密状態を保てる装甲で覆われたカプセル式は外気すらシャットアウト出来るため火災は勿論、NBC兵器からも守られる。治安の悪い地域では強盗等から身を守るために自宅に設置している事もある他、紛争を抱えるイスラエルのような国では設置が義務付けられている事まである。
防弾ガラスで覆われて内部から施錠できるもの、鉄格子だけで作られた簡易的なもの、部屋丸ごと改造してシェルターのように複数人で生活が可能な大型のものまで多種多様。地下にあるものはシェルターと呼ばれる事が多く、パニックルームは建物内部の一時避難施設と扱われるが基本的にどちらも避難所である。
個人用の物はロッカーやクローゼットサイズの強化プラスチックのボックスが普及している。このパニックボックスは携帯電話を持ち込めない状況でも通報が可能なように、内部に電話が設置されているタイプが主流。
危険地域の大使館にも設置されており、万が一襲撃を受けたりテロ攻撃が発生した際には大使館そのものを閉鎖して要塞とした上で、職員を避難させる。

・極東戦線

南京を拠点とする中華連邦とそれを後押しする各国の軍、共産党による独裁の維持を掲げる中華人民共和国の人民解放軍が戦う黄海から洛陽、荊州、雲南省近辺までを結んだ戦線での戦いをこう呼ぶ。
血の日の出事件後の大暴動が北京で起きた後、民主国家の独立を宣言した民主化勢力と共産党への反乱を企てた人民解放軍、それに同調する民衆が南京を中心に共産党の勢力との戦闘を行った。それに対して共産党は軍を動員して鎮圧に乗り出すも、さらなる反乱と民衆の抵抗によって思うように足を進めることが出来ず、中華連邦の建国宣言を許す形になる頃にはほぼ現在の状態になった。
独立宣言後、本格的な攻勢が始まるとチャンスと見た欧米諸国が弾圧の阻止と外国人の退避を名目に、諜報機関を通じての武器提供や軍の派遣等で中華連邦への助力を開始したため内戦の激化が決定的となる。
しかし介入開始から2週間後、投降した人民解放軍の将校からの情報で山東省微山湖の山中に極秘裏に建設されたミサイルサイロが発見された。調査の結果DF-5が核弾頭搭載で発射準備中であることが判明したため、これを破壊するべく「東の盾作戦」を決行、開戦以来最大の戦力を投入した連邦・国連の連合軍と戦局の好転と人心の繋ぎ止めを狙って必死の抵抗を行った人民解放軍との大規模な地上戦は、第2次世界大戦以来史上最大の作戦行動と言われる。
サイロのミサイルは発射が阻止されたが、隠されていた移動式発射台からミサイルが発射され、日米のイージス艦が撃墜した。
現在は戦線が膠着しており、済南市をめぐる攻防が続いている。
東の盾作戦後、作戦中に発射したミサイルが核弾頭搭載だった事、更に未だ活発な動きを見せるミサイル部隊を事実上の核攻撃とみなしたアメリカによって観光客殺害への報復と追加攻撃を阻止する先制攻撃のため、威嚇目的に作られたミサイル基地のひとつと物資集積基地に核攻撃が行われ、中国政府は本当に核攻撃を行うと思っていなかったため動揺し、核の脅威から離反する軍や都市が出ることを恐れて弾道ミサイルと核兵器の使用を禁止する戦時条約が再び締結されることとなった。
現在泥沼化する戦況に巻き込まれ、戦力と予算を果てしなく消耗する事を避けたいアメリカ政府によって米軍は外国人の避難と中華連邦の後方支援を行うに留まり、中国大陸は管区ごとの独立採算制をとっていた人民解放軍が独立したもの、有力者が武器を集めて組織した民兵組織といった武力を持つ者が率いる軍閥が乱立して激戦を繰り広げている。中東やアフリカなどと並ぶ巨大な武器マーケットでもある。

・東の盾作戦

北米大陸を狙う核弾頭搭載ICBMのサイロを破壊するために決行された、史上最大の地上決戦。
サイロが発見された人民解放軍は周囲の戦力を集中、更に増援も加えてサイロを防衛する構えを見せていたため、国連・中華連邦連合軍は活動可能な全戦力を投入してこれを破ろうと試みた。
小細工なしの正面からのぶつかり合いで、敵地上部隊を突破後基地周辺の飛行場を制圧して航空優勢を確保し、レンジャー、第101空挺師団の支援を受けてグリーンベレー、SEALs、SAS、デルタフォースからなる工作チームがサイロにパラシュート降下してミサイルを無力化するという計画だった。
Hunter分隊はSASとして、つばきはワイルドウィーゼルに乗り込んでのDEADと敵地上部隊の支援のため作戦に参加。
戦車50両、その他車輌250台、ヘリ50機、戦闘機70機が直接参加し、後方まで含めると数万とも言われる人員と車両や航空機が参加した。損害は20%にも及んだと言われる。飛行場併設の巨大なレーダーサイトの影響でステルス機による攻撃もリスクが高く、巡航ミサイルによる攻撃も長距離対空ミサイルによる迎撃網と地下要塞化した強固なミサイルサイロを破壊するには威力不足であり、弾道ミサイルによる核攻撃も報復攻撃と不確実性の問題から却下となった事で地上部隊による直接制圧が選択された事、先行投入されたJ-20、北京周辺の配備されていたJ-10、J-11などの戦闘機が多数迎撃に出ていたため真っ向からの空中戦が繰り広げられた。
つばきはワイルドウィーゼルのため出撃し、戦端を開いて友軍地上部隊と攻撃部隊が進撃を始めたところで、敵地上部隊の排除と戦闘機の排除に向かう2面作戦を敢行している。
敵の必死の抵抗とJ-20、物量で押す戦法に次々と友軍が撃墜され、最後の敵陣地を破壊して飛行場とサイロへの道が開けた頃には行動可能な戦闘機は51機まで減っていた。つばき自身も地上部隊への支援の途中に撃墜され、救助されている。この時、ギリギリまで操縦して機体を陣地に向け、乗っていた機体ごと敵の戦車を爆破したことで友軍地上部隊の被害を最小限に抑え、作戦の成功に貢献したと言うことで勲章をもらった。
敵味方双方に大きな損害を出したが、第301飛行隊による連続支援とSEAD、敵戦闘機の排除によって数の不利を覆し、ICBM発射基地へ無事部隊を降下させることに成功している。
サイロの制圧には成功したものの、隠蔽されていた移動式発射機から弾道ミサイルが発射されてしまうが自衛隊とアメリカ海軍のイージス艦が撃墜した事で難を逃れた。
ミサイルサイロ近辺に野戦飛行場が存在し、そこに設営された対空陣地と戦闘機部隊の存在で、直接の爆撃や部隊の降下が出来なかった事が地上戦の拡大の原因とされる。
加えて、ミサイル破壊後の調査によって中国側の軍事機密や内部情報が基地から発見されたことから、重要拠点であったことも伺え、共産党が必死に抵抗したことも影響している。
ミサイルサイロも、アメリカとの競争を念頭に置いた中国政府の意向によって地中貫通弾が通用しない堅牢な作りであり、直接部隊が突入するほか無力化する術がなかった。
この戦いにおける第301飛行隊の戦果は特筆すべきもので、実に敵地上戦力の5%に何らかのダメージを与え、内1%近くを撃破した。この徹底的な攻撃は、味方から「アテナの雷霆(らいてい)」と呼ばれ畏敬の念を抱かれている。

・核のボタン

所謂核ミサイルの発射ボタン。実際はブラックケースと呼ばれる大統領の側近の持つ黒い鞄のことで、中には核兵器の使用手続きや国家の非常事態の際の緊急マニュアル、避難所の位置などが入っている。
米海軍では演習の際にこの大統領命令を受け取ってから発射するまでの訓練も公開しており、海軍の司令部から暗号化された大統領命令を受け取り、暗号のキーを艦長と副長がそれぞれ復唱して確認する。
その後、ミサイル発射装置の(物理的な)鍵をとりだす許可が出され、それをミサイル発射管制官の所に持って行って、再度艦長に命令を下すよう要請。
最後に艦長が最終決断することで攻撃となる。
潜水艦では、核攻撃許可を示す暗号文を暗号化して送信、それを受信した潜水艦は艦長と副長が手持ちの機密文書に記載された命令書の暗号解読手順に従い、送られてきた電文の内容を解析する。
暗号文は宛先の潜水艦、機密文書金庫の開封を必要とするかどうか、命令内容、大統領命令を証明する認証コードが含まれていて、間違った相手への命令でない事を証明する。
そして、命令内容を含むいくつかのアルファベットと数字の組み合わせを艦長と副長が持つ機密文書と照合、極秘認証コードど文書にある照合コードが一致する事で本物の命令である証明がされ、目標の座標が復号される。送られてくる暗号文は、艦長と副長それぞれに宛てた文章があって命令が本物ならば、2人が解析した命令が合致する。また同時に、その潜水艦の中で権限を与えられた2人が命令内容の確認を行う。
文書はそれぞれだけが知る隠し場所にある金庫に入っていて、生体認証とキーを使って開封される。
艦長と副長、権限を持つ他2人の士官が解析した内容を復唱して確認する。間違いがないことを確認し、艦長と副長がそれぞれ持つ鍵を使ってキーを金庫から取り出して、そのキーで核弾頭の安全装置が解除される。
最後に目標の情報をミサイル発射管制官へ通達、発射管制官は射撃諸元を入力し封印されている核弾頭搭載のミサイルが収められた発射管の発射キーを金庫から取り出し、再度命令を待つ。そこで艦長が発射命令を下すとキーが回されミサイルが発射される。
発射キーは2か所以上を南京錠でロックされていて、鍵を複数の発射管制官が同時に解除しないと開けられない。
SLBMではまた少し違う手順を取るが、巡航ミサイルではこの方法をとる。

・冬季遊撃レンジャー

レンジャー課程の一つで、夏のレンジャーをクリアした者だけに参加資格が与えられる。
通常のレンジャー訓練と違い、戦闘はもちろん真冬の北海道の雪山という極限環境でのサバイバル訓練、スキー、雪上へのロープ降下などを行う。
スキー板を履いてのロープ降下は怪我人は当たり前、食事は凍ったレーション、30kgを超える背嚢を背負って2mを超える積雪と、零下13度の中50kmを行軍する訓練は過酷を極め、参加した隊員は冬季戦技教育隊によって叩きあげられる。
スミレ曰くめちゃくちゃ寒いはずなのに寒さを感じなくなり、防寒着なしで過ごせると思えるような「寒さを忘れる極限の体験ができる」とのこと。

・夏季レンジャー

所謂レンジャー訓練課程として名が上がる訓練。
最大80kgの背嚢の装備を背負って山中での12時間に及ぶ行軍、制限された食事に水と戦闘訓練によって極限まで肉体を酷使して任務を完遂させる。
サバイバル訓練では野生の蛇、カエルといった動物をさばいて食べることもするが、許される食事の量が少ないため骨の髄まで食べ尽くす。
肉体に要求されるスペック以上に、日本の高温多湿の山の中での訓練ということで精神面での強さも問われ、睡眠不足と空腹、水不足でどこまで頭を働かせることが出来るかがキモ。

・NMCC

国家軍事指揮センター。国家指揮権限を持つ人間の命令を前線部隊へ伝える他、ホットラインの管理などを行う部署。
核兵器の使用命令は大統領によって発令され、直接命令を受けたNMCCが緊急行動メッセージの電文を生成、攻撃を行う部隊へと命令が伝えられる。

・統合特殊作戦計画

世界中でテロや紛争が起きるようになった情勢に合わせるように、特殊部隊の出動数も飛躍的に増加したがその内に陸の作戦を遂行したいのに陸の部隊がおらず海の部隊が暇を持て余す、あるいはその逆と言った事態が起こる様になり、場所を問わずどんな場所のどんな作戦でもこなせる部隊を作り、その部隊で特化し過ぎた今までの特殊部隊にはできない、流動的な作戦の遂行を可能とさせることを目的とした計画。
SEALsがイラクで陸上での走破能力に劣る部分を露呈させたり、デルタフォースをSEALと同じような使い方が出来ないかと言う疑問が呈されたころから計画が始まり、陸海空の全てに置いて専門部隊に劣らない活動が可能な部隊編成を目的として、既にその部隊としての要求を満たしたスミレ率いるHunter2-3を筆頭に特殊作戦を担う部隊の垣根を越えて人材を集めた2-1から2-6まで6個分隊が編成された。
位置づけはデルタフォース内部の一部門であるが、その活動と自由度は今までのどの部隊にもない特異的なものとなっている。より少人数で、より多くのことをこなせる様に部隊編成も一新しており、小隊規模の作戦を分隊で行う高い能力が求められた。
尚、Hunter2-3はSSSのもう一つの顔であるTF20で編成されていた部隊だが、そのまま新しい部隊に名称と編成が流用されている。そのため、Hunter2-3はTF20でもデルタでも同じメンバーで仕事の発注元が政府かどうか位の違いしかない。
結局既存の特殊部隊への追加訓練で補うこととなり、計画自体は高い作戦遂行能力によって政府が活用していたHunter2-3を除いて部隊を解散させ、元の所属へと戻している

・スペシャルコンバットメディック

コンバットメディックの更に上に位置するメディック。
米陸軍のレンジャーに配備され、後送が困難な地域で任務を行うため部隊に帯同して現地で高度な処置を行えるコンバットメディックよりも高度な訓練を受ける。
主にSEALsやデルタフォースのような特殊部隊に医療隊員として配備されており、単独の部隊ではない。彼らは敵地に潜入しての特殊作戦でPJの派遣も後送もほぼ不可能な状況にも対応し、空軍のPJと同等かそれ以上の知識と技術を備え特例として医師が従事する事すらもある。
特殊部隊では任務の特性上後送出来るまでの時間が非常に長くなる事も想定され、通常の応急処置では対応できないため現地で手術を行い命を繋ぐ事すら求められる。医療技術において、PJと後方の医師を除いて並ぶものはない精鋭で最低でもアメリカの最上位救急救命士、トップクラスに立つものともなれば外傷治療や救急医の経験、専門資格まで持つ。

・BBメモリーライブラリ

SSSが管理するいくつものAIのうち、バーチャスミッションからスネークイーター作戦、サンヒエロニモ半島、マザーベースなどビッグボスが辿った軌跡を記録した書庫。過去の戦闘記録や人員の詳細な履歴と分析結果、技術記録といった過去のボスが築いたすべてのモノが納められたまさにビッグボスの遺産とも言うべきものである。
CIAを始め各政府機関の記録や、ロシアに残された旧ソ連時代の資料などから文書や写真、映像記録、音声記録を合法非合法問わず収集し、更にこれまでに作られた組織の基地から襲撃を逃れ脈々と受け継がれたデータベースを取り込む事で、世界で唯一ビッグボスとその仲間たちの真相と足跡を全て記録したデータベースになった。
リキッド、ソリッド、ソリダスの3人の記録、愛国者達の詳細まで収められたこのデータベースはアメリカ最悪の歴史であり世界の裏を記録したものであるため、AIはウイルスやマルウェア、不正アクセスを学習して排除する次世代型自己学習セキュリティシステムと何重ものファイアーウォール、SOPを模したナノマシンとDNAコードによる強固なアクセス制限がかけられている。
アクセスできるのはTF20の中心人物のみで、ボスと共に戦ってきた古参の兵士が多い。歴史には記録されないボスの足跡、意思、そしてボスと戦った仲間達の無念と願いを忘れないための慰霊碑であり、戦死しても公にされず墓もない兵士達の墓標ともなる心の拠り所として整備された。
所在地も極秘であり、ひとつが衛星軌道上の人工衛星に、もう一つがSSSの本拠地に、更にバックアップは石英の内部にレーザーでデータを書き込んだものがある山地のトンネルの中に保管されている。
尚、アクセス権限を持つ人間には機密保持のためライブラリの場所やアクセス方法、記録内容等について喋れないようナノマシンによる言語規制がかけられる。

・レーザーデジグネーター

兵士が持ってレーザーで標的をロックする道具。爆撃やミサイルの誘導に使われる。プロジェクターほどのサイズのものから、双眼鏡のような形のものまで様々ある。
単純に位置を指し示すだけのポインターのような使い方から、レーザー誘導爆弾やミサイルの誘導、レーザーのポイントした場所の位置情報の取得まで出来る。IRレーザーが多い。

・黄金の三角地帯

ミャンマー、タイ、ラオスの3か国がメコン川で隣接する山岳地帯の通称。
険しい地形で立ち入ることが難しく、尚且つ貧しい農家の多い地域だったことから政情不安なども手伝って瞬く間に世界最大の麻薬生産地となった。
しかし経済発展や取締り強化、自国への麻薬流入を良しとしないアメリカによる麻薬ビジネス対策強化によって徐々に規模を縮小することとなり、今では中東の黄金の三日月地帯に麻薬・覚せい剤生産地の座を明け渡した。
ミャンマー政府の民主化に伴い、先進各国のミャンマー軍への援助や取締り支援が行われるようになるとケシに代わってコーヒーなどの作物の栽培が始まり、同時に隣接する2か国による越境攻撃もあって更に規模の縮小が加速しており、20年までには生産量が2トンを切ると予測されている。

・黄金の三日月地帯

三角地帯に代わる世界最大の麻薬生産地域。アフガニスタンから複数の国境をまたぐ山岳地帯で、貧しい農家、資金源を欲するテロ組織、政府の目の届かない現地部族、三角地帯を追われた世界中のマフィアや地下組織の利害が一致した結果急成長した。
テロ組織が資金源のために農家に麻薬の原料を栽培させ、それを各国のマフィアやカルテルが買い上げて代金を支払う事で農家とテロ組織が潤い、安く原料を手に入れたマフィア達が麻薬を自前のプラントで精製して売り捌いて莫大な資金を得るというサイクルが完成しており、栽培している畑をテロ組織や現地部族が警備している。
動乱で政府の力が弱まっている上、元々部族の力が強い地域であったため取締りが追い付いておらず、今も栽培が続いているが米軍による空爆や焼夷弾による焼却作戦によって度々畑が破壊されており、勢いはある程度衰えている。
現在は内戦中の中国と、朝鮮半島の3分の2を支配して戦闘継続中の北朝鮮が軍資金確保のために進出しており、混乱が続いている。

・空戦競技

スポーツとしての「空中戦」を行う競技。レシプロ機、ジェット機など機種ごとの階級があり、その中でも時代や世代別に分かれている。
パイロット不足を補うフリーランスのパイロットの増強に伴う戦闘機の大量生産により、戦闘機の価格が大幅に下がった事によって民間人にも手が届く価格となった戦闘機で、模擬的な空中戦を行ったことが始まりとなった。
最初は愛好家同士の遊びだったが、徐々に参加者が増加しアメリカで優れたパイロットを発掘するため、政府が軍と共同で公式ルールを定め、空中戦技競技連盟の発足を契機にスポーツとして普及し始めた。
現在はコックピットをカプセル化して、重量増加と引き換えにパイロットを堅牢なケースに入れて保護することで緊急脱出での負傷を防ぎ、更に模擬ミサイルと弾丸によって機体の破損を極力避けつつリアルな戦闘を行う事の出来るシステムの整備によって学生の部活動レベルまで普遍化しつつある。
遠隔操作による脱出や操縦補助、キャノピーを破らない機関砲と銃弾、機体のダメージ計算に連動するペイントが仕込まれた模擬ミサイル、ダメージを計算して制御系にフィードバックするスポーツマニューバシステム、撃墜判定と同時に武装をロックして撃墜を示す信号を発する審判システムの整備が行われた機体で競技が行われる。
軍での訓練も同様のシステムで行うこともあり、ミサイルから放たれたペイントの付着によってダメージを計測すると言っても、かなりリアルな戦闘が楽しめる。
練習機レベルからステップアップして、おおよそ1年でレシプロ戦闘機を操る事になる。
現在、人手不足に悩む各国軍隊の後押しを受けてパイロット候補の養成の意味も込め、政府が普及の音頭を取っている。

・電子模擬戦システム

元は限られた予算と国土で訓練を行う自衛隊で模擬的な演習を行うために考案されたシステムで、ナノマシンのない兵士の仮想訓練を行うことが出来る。
弾丸は導電性のある特殊なウレタンスポンジで作られ、着弾するとバラバラに弾けて衝撃を分散させて殺傷力を失う。そして戦闘服には2層構造の導電繊維が織り込まれており、弾丸が当たると微弱な電流が流れてキルサインを出す。
これにより撃たれた部位ごとにダメージを算出して個々の兵士の生死を判定、腰につけたユニットから中央のコンピュータにデータを送ることで戦況に反映させる。
露出した肌に当たった場合は皮膚表面の電位変化をキャッチするセンサーが反応する。
死亡判定は長いブザーが鳴って退場を促し、負傷判定は断続的にブザーが鳴る。衛生兵役の兵士の持つ端末で胸のバッジにかざすと治療を行ったとみなして再び行動が可能になるが、一定回数負傷するか重傷の治療を受けないまま時間が経過すると死亡判定となる。被弾による身体能力の制限は、服に仕込まれた人工筋肉を収縮させて、関節の動きを阻害することで再現する。
実銃を使い、射程も実弾とほぼ同じで非常にリアルな訓練を少ない危険で行うことが出来るメリットによって爆発的に普及している。
兵士の持つユニットにはGPSもあるため、運営側で兵士の監視もできる。
同じ弾丸の素材を使った手榴弾や炸薬を抜いたロケット弾の弾頭などに使うことで、あらゆる武器をシステムで運用可能となる上に、システムとリンクした戦闘機から攻撃を行えば着弾地点から加害範囲にいる兵士に死亡判定や負傷判定を出すことで、疑似的な空爆の再現も出来る非常に拡張性の高い訓練システムである。
コストは高いがレンタル制度が始まったことで民間のサバイバルゲームでも利用が広がっている。
弾丸の安全規格は、150mの距離で12.7mm弾と同等の初速で発射された弾丸が人体を模擬したゼラチンブロックに着弾したとき、5mm以上の回復不能なへこみを生じず軌道がそれること、人体に着弾した際に出血しないこと、可逆的な痛みのみで後遺症や跡が残るあざなどが残らないことと定められている。
それでも危険を回避するため、ゴーグルの着用が義務付けられる。
戦車、装甲車などにも応用できるため、めっきり減った戦車同士の戦闘も安全に訓練可能である。また手に入りやすい払下げた戦車や大戦中の戦車を使い、愛好家が集まってゲームをしている。
個々の兵士のリアルタイム監視、ダメージ判定などある種のSOPシステムに近い。

  • 雑記メモ

・前進 最微速(3kt、6分の1)→微速(6kt、3分の1)→半速(9kt、2分の1)→原速(12kt、3分の2)(巡航)→強速(15kt、6分の5)→→一戦速(18kt、1)→二戦速(21kt、6分の7or2)→三戦速(24kt、3分の4or2)→四戦速(27kt、2分の3or3)→最大戦速(30kt、3分の5)→一杯
・停止
・後進 最微速→微速→半速→原速→一杯


Full Ahead
最大戦速
Half Ahead
半速
Slow Ahead
微速
Dead Slow Ahead
最微速
Stop
停止
Dead Slow Astern
後進最微速
Slow Astern
微速
Half Astern
半速
Full Astern
原速

精密射撃の基本は、両目を開ける。

人間の眼は、周囲が明るいと瞳孔を絞り、暗いと瞳孔を開きます。(カメラの絞りと同じ)
そうやって、視界の明るさの調整をする。
明るい環境で瞳孔を開いてしまうと、眼神経に対して光が多くなりすぎるので、眩しく、視界が白っぽくなってしまいます。

人間の眼が左右別々に瞳孔を調整できるなら、逆目を閉じてもかまいません。
もちろん、ある程度は別々に調整できるのですが、反対の目に影響される部分もあります。
左目を閉じていると、左目は明るさゼロなので、瞳孔は最大まで開きます。
すると右目も、左目につられて、適正よりも余計に瞳孔が開いてしまうのです。
瞳孔が開きすぎると、前述の通り、視界が白っぽくなり、コントラストが低下してしまいます。

また、片目を閉じると顔の筋肉が強く緊張するので、逆目の視界に歪みも出ます。
これもけっこう大きな問題です。

このあたりが「逆目を閉じてはいけない理由」です。
ただし、逆目の視界に余計な動きがあると、人間はどうしても気が散ってしまいます。(逆目を閉じる人の理由です)
集中力が途切れるのも、精密射撃にとっては致命的です。
なので精密射撃では、目をつぶらずに逆目の視界をふさぐ特殊な射撃眼鏡(逆目に遮蔽板が付いている)を使ったりもします。
(遮蔽板は半透明だったり、周囲の明るさに合わせた色が塗ってあったりする)

素早くスコープに敵を捉えるためにも、逆目は開けておきます。
高倍率のスコープを使っていると、標的を視野内に捕らえるのに多少手間取ることがあるが、これはスナイパーとしては致命的です。
この対策として、訓練すると、逆目の肉眼視野にスコープのヘアクロスを重ねることができるようになります。
この状態で肉眼視野で標的にヘアクロスを重ね、主視界を効き目に移すと、スコープの視野内に標的が自然と入っているのです。
あとはスコープの中で正確に照準を合わせ、射撃するだけです。(状況によっては、集中力を高めるため、この最後の瞬間だけ逆目を閉じることも)

ゴーグルを改造した射撃眼鏡(ゴーグルの左目に開閉式の遮蔽板が付いている)を使う。

  • 復讐が悲しみの連鎖を生むなら、悲しむ者を皆殺しにすればいい。生き残る者がいるから復讐が起こる、禍根が残る。ならば復讐しようと企てる者を殺してしまえば連鎖は止まる。一族郎党皆殺しには意味がある。

復讐しても殺されたものは喜ばない、浮かばれないなどと言う陳腐なご高説には反吐が出る。喜ぶに決まっているだろう?自分を殺した奴が復讐によって仲間に殺され、自分のいるあの世に来ればこの手で復讐を果たす事が出来るのだ。ただ苦しんで死ぬのはつまらない。苦しんで死ぬのを見届けたら今度は自分の番だ。あの世に行っても自分が殺した奴に苦しめられる絶望を味わわせろ。そいつを思う存分痛めつけ、地獄へ蹴落とせ。死ねば楽になると思わせるな。自分を殺した奴に、自分の手で復讐する機会をもらって喜ばない人間はいるのか?