こだわりポイント

Last-modified: 2016-09-18 (日) 12:42:22

ゲーム開発者がこだわってるポイント

ゲーム開始メニューにある、開発者からの解説をまとめてみました。
ここを読むとこのゲームに関するこだわりが伝わってきます。ゲームに興味を持った方はぜひ一度ご覧下さい。
またゲーム当初のデータなので、アップデートを繰り返した現在のゲームと異なる場合があります。

ゲーム内の解説のテキスト

開発者が語ったこのゲームの解説。メニューの中にある開発者の解説に出てくるテキストです。

ご挨拶 [Gabe Newell]

Team Fortress 2 へようこそ。 この作品は開発に 9 年を要した。待った甲斐があったと思ってもらえることを願っているよ。 解説を聴くには、吹き出しのアイコンに照準を合わせて「アイテムを使う」キーを押す。 解説を中止するには、吹き出しのアイコンに照準を合わせて「アイテムを使う」キーをもう一度押す。 解説によっては、プレイヤーに何かを見せるためにゲームが制御されてしまう場合がある。 そんなときは、「アイテムを使う」キーを押せば解説を中止できる。 プレイ後の感想をぜひ聞かせてほしい。 感想は、(メールアドレスは削除しました。) まで。ちなみに僕のお気に入りのクラスはスパイだ。 それじゃ、楽しんでくれ!

MAPが6つって少なくない?

開発者は他のFPSも調べ、最終的にMAPはどのゲームも4-6つの面白いマップしかやっていないってことに気づいた。なので6つのMAPを徹底的に精錬し、遊べるマップを作ったということです。
(現在カスタムマップなどの追加も含めマップ数は20以上にもなります)

強敵あらわるって?

ゲーム内で同じ相手に4連敗するとその相手は登場の音楽(デッデデー!)が流れ強敵になります。アイコンでも表示されますのでリベンジをしやすくなります。
また強敵を倒すとリベンジ成功になり、また音楽が流れます。
上級者と対戦すると始めたばかりの人はかなり倒されるでしょうが、このシステムでリベンジを狙わせるという目的を作ったようです。
ちなみに強敵マークが付いている相手にはクリティカルヒットが出やすいということです。
kyouteki_mark.jpg
左側のパンチマーク

グレネード(手榴弾)ってないの?

FPSの初心者とっては、「グレネードの爆死はどこから殺されたか?」が分かりにくい点がある。
こう着状態になるとグレネードの投げ合いになりつまらなくなることも危惧していた。
これを無くし、代わりにMedicのユーバーチャージによる無敵状態にその役目を担わせたことで、ゲーム性とチーム連携の重要性が上がった。

色わけ(赤、青)って意味があるの?

クラスキャラそれぞれ赤、青の色で分かれているが、よく見るとMAPもそれぞれ各陣営赤、青に分かれていて対称のMAPが多い割りに今どこらへんにいるか、わかりやすくなっている。

セントリーガンが強すぎない?

セントリーガンのバランスは非常に考えられて作られている。このバランスはセントリーガンの前に簡単に姿を晒すような人には脅威になり、影に隠れセントリーガンから見えないところから攻撃すれば容易く壊すことが出来る。このバランスを最終的に行き着いた。セントリーガンが強いという人はここを考えてみてはどうだろうか?また無敵状態で壊すこともできるので打開策はいくらでもある。

倒された相手のフリーズカムショット[Jeremy Stone]

マルチプレイヤーゲームでは、プレイヤーが使うコンテンツの大部分は他のプレイヤーによって作り出される。 この効果を高めるために、プレイヤー同士の関係を深める機能を追加したんだ。
たとえば、倒された側に倒した側のフリーズカムショットを表示して、その厄介な対戦相手のことが記憶に残るようにした。 「強敵」機能も、特定の対戦相手が他の対戦相手に比べて要注意だってことを思い出させてくれる。 その相手に復讐して追加ポイントを獲得するチャンスを与えることで、苦手な相手の克服を促してるんだ。

マップの境界線[Laura Dubuk]

マップには、その先には行けないという境界線が必要だけど、環境を屋内や切り立った峡谷に制限しない限り、境界線があっても、プレイヤーには境界外の到達できないエリアが見えてしまうことがあるの。 HL2 みたいに、もっとリアルなタイトルでは、これらの境界線を、ストーリーに沿って、ビジュアル的に説明しなきゃならない場合が多かったわ。 でも、かなり定型化されている Team Fortress の世界では、極めて人工的な感じがデザインの基本になっているから、こういう説明を単純化したり完全に無視しても、ゲームプレイには影響がなかった。 プレイテストでは、たとえば、何もない広がりへと続くこの低いフェンスによって、フェンスの先は境界線外で、進入しても意味がないというメッセージがうまく伝わることが分かったの。

コントロールポイントについて [Ariel Diaz]

Team Fortress の各クラスは、それぞれが独自の方法で攻撃と防御に貢献する。そして、コントロールポイントは基本的に、プレイヤーの注意を中心的な攻撃活動や防御活動に向けさせる方法なんだ。 それに、プレイヤーをマップ上の別のポイントに引き付けるのにも有効だ。

コントロールポイントの奪取について [Jeff Lane]

当初のデザインでは、攻撃側がポイントから撃退されると、ポイント奪取のためにやってきたことが全部失われるようになっていた。 単独で敵のコントロールポイント付近にいるプレイヤーは、そのエリアに敵がいると、コントロールポイントを奪取しようという気になれないことがプレイテストで明らかになったんだ。 しかも、あるチームが最後の 1 つのコントロールポイントの防御に追い込まれると、攻撃チームが優勢でも、時間内に最終ポイントの襲撃に成功しないことがたびたびあった。そのせいでドローに終わるゲームが多すぎたんだ。 そこで、攻撃側がポイントから撃退された後も奪取の進捗が完全に失われないように、奪取の仕組みを変更した。この改良で、当初のデザインの問題が両方とも解決されたよ。

マップルート [Jim Hughes]

プレイヤーがルートの決定を楽しめるようにするには、プレイヤーの現在のクラスとマップの状態に応じて、マップのルートの効果を変えなきゃならない。 水を配置することで、そのルートをとる代償を大きくすることができるんだ。泳ぐ方が走るよりも遅くなるからね。 スパイは、気付かれずに潜入するためにその代償を払うことが多い。 パイロは、水中では主力武器が役に立たなくなるから水を避ける。 敵の防御が固いときに、防御側を背後から襲おうとする場合は、どのクラスにとっても、水路を通るという代償を払うだけの価値がある。

スカイボックス [Iikka Keranen]

スカイボックス内の広大な空間に使われるメモリを節約するために、3D スカイボックスを 1/16 のスケールで作成したんだ。 ということは、Skybox とプレイヤーがいる場所の間を移動する列車の処理がちょっと厄介になる。 実際に、移動する列車にはそれぞれ 2 つのバージョンがあるんだ。実際のゲームプレイ空間用のプレイヤーサイズのものと、スカイボックス側の小さいものだ。 中央の建物の両側にある小さな修理小屋は、2 つの列車を入れ替えるポイントを隠してくれているんだ。

ドローを少なくする方法 [Andrea Wicklund]

対戦の結果、一方のチームが勝ってもう一方が負けるというのが理想よ。 ドローは実質、どっちのチームにとっても損失なの。 ドローを避けるために、マップのデザインでは 2 つの重要な変数を考慮したわ。チームの復活時間と、復活ポイントから前線への移動時間よ。 勝っているチームは復活時間が少し早まり、復活ポイントも前線に近くなる。優勢なチームが、さらに有利な条件を得るってわけよ。

別ルートの活用 [Bay Raitt]

ドローになるのはたいていドアの周辺だ。どのチームもドアの両側で防御を固めているからね。 これに対抗できるように、別のルートを用意したんだ。移動面の代償が大きくて、メインルートの先で敵が防御を固めているときにだけ使いたくなるようなやつをね。 エリアへの敵の侵入ポイントの数は、エリアのデザイン上すごく重要だ。敵が複数の戦線から接近した場合、エリアを守り抜くのはとても困難だからね。 だから、一方通行の出口はデザイン的に便利なんだ。これのおかげで、敵の侵入ポイントの数を味方の攻撃ルートの数と切り離して考えることができるからね。

セットアップタイム [Jamaal Bradley]

ゲームプレイ上の目的のために、時には各クラスのスピードの差が出ないような仕組みを考える必要がある。 たとえば、これらの中央のドアタイマーは、実際の戦闘開始時間までに全クラスがマップの中央部に到達できるようにするために作成されたものだ。 両チームをグループとして待機させておいて、ドアが開くと同時に一気に衝突させた方が面白いってことがプレイテストで分かったんだ。 戦闘開始前のドキドキ感と、危険な移動する列車の相乗効果で、中央のコントロールポイントをめぐる出会い頭の衝突が劇的なものになっているよ。

防弾ガラス [Matt Boone]

防弾ガラスは、コントロールポイント周辺のような防御が固いエリアには便利だ。 攻撃側のチームには、敵の防御体制やセントリーガンの位置が見えるし、防御側のチームには、攻撃側が集結している様子がよく見える。 攻撃側がメディックの不死身チャージを待っている場合は、防御側にとってこの防弾ガラスが重要になることが多いんだ。

時間の延長 [Matthew Russell]

攻防マップでドローになるときは、劣勢の攻撃チームが無理な戦いに挑み、そのまま時間切れになるというケースが多い。 これを避けるために、負けそうなときは雪だるま式にできるだけ早く実際の負けに発展するような仕組みにしたんだ。 開始時は制限時間が短く、攻撃側のチームがポイントの奪取に成功するたびに時間が追加されていく。 この方法なら、できるだけ短時間でラウンドが展開され、緊迫感がずっと保たれる。 ラウンド時間が長いと、緊迫感を出したくてもうまくいかないんだ。

建物デザイン [John Cook]

防御可能な建物をデザインするときは、高さを利用すると便利だ。 たとえば、奪取ポイント B は、全方向から防御する必要がある。 建物内からロケット弾やグレネード(手榴弾)を発射する場合は、この建物内の防御陣にとって高さと四方の窓が利点となる。 一部の窓は防弾ガラスになっていて、敵の接近を安全に見ることができるんだ。

スナイパーについて① [Dave RIller]

スナイパーを考慮すると、マップには広いオープンスペース、長い照準線、身を隠す場所が必要になる。 スナイパーのターゲットには、スナイパーの照準線を回避する別のルートが必要だ。移動時間が増えるとか、その代償は高くつくのが通常だけど。 これによってプレイヤーに選択肢が残される。直接的だけど危険なルートをとるか、安全だが時間のかかるルートをとるか。 また、スナイパーには通常、対応する敵のスナイパーがいて、アリーナ(戦いの舞台)の反対側に陣取っている。だから、一方のスナイパーが他方を迎え撃ち、身を隠す場所のない所で戦っている味方を援護することができるんだ。

スナイパーについて② [Charlie Brown]

スナイパーのスナイパーライフルにも、デザイン上厄介な問題があったよ。 プレイヤーの期待に応えるには、頭部への 1 発で敵を仕留められるようにしなきゃならない。 その一方で、腰の位置からすばやく撃っても同じ効果が得られないようにしないといけない。これができてしまうと、経験豊富なプレイヤーの手にかかったら、ゲームで一番殺傷力の高い短距離武器にもなって、スナイパーの最大の弱点がなくなってしまうからね。 この問題を解決するために、スナイパーのズーム時にだけ表示される、パワーチャージメーターを導入したんだ。 この解決策には思いもよらない良い効果がいくつかあったよ。
ズームしていないときや、ズームしたばかりのときに銃のパワーを落とすことで、スナイパーがぶっつけの速撃ちでは敵を倒せないようにすることができた。 チャージに時間を要するということは、つまり、ダメージの低いショットを短い間隔で放つか、ダメージの大きいショットを長い間隔で放つか、ということになる。うまく突進すれば、敵にもスナイパーを圧倒するチャンスがあるんだ。 十分にチャージすれば、スナイパーらしく行動できる。そこそこ見晴らしのきくポイントに陣取り、じっくりと狙いを定めて撃つ、ってようにね。

ソルジャーについて① [Jake Nicholson ]

ソルジャーのために、高さには特に注意を払って空間をデザインしたよ。 通常ソルジャーは、ロケットランチャーの爆風によるダメージを最大限に活かすために、敵を上から撃つことを好む。 ここでは屋根の上がそのポイントだ。 それに、ここはソルジャーのロケットジャンプでしかたどり着けない場所でもある。普通は他のクラスが利用することはできないんだ。 ソルジャーは自分のロケットジャンプの爆風によってダメージを受けるから、高さというメリットをヘルスと引き換えにしなくてはならない。 このメリットを、ヘルスの欠乏というデメリットと組み合わせることで、マップのバランスを崩すことなく、屋根を有効なスポットにすることができた。ソルジャーは、ヘルスを維持するために屋根から下りてメディックに頼る必要があるからだ。

ソルジャーについて② [Dhabih Eng]

ソルジャーは、中心的な戦闘クラスだ。動きが万能で、遠くからものすごいダメージを与えることができる。 ソルジャーは、ほぼどんな戦闘にも対応できるようになっている。そして遠距離からセントリーガンに対処するという点においては最も優れたクラスだ。 主な弱点は、主力武器のロケットランチャーによるものだ。 ロケットランチャーのクリップは小さいから、ソルジャーはリロード時に注意しなきゃならない。しかも、発射したロケット弾の速度は比較的遅いから、近距離以外では、スカウトのような動きの速い敵には効果がないんだ。

スカウトについて① [Dave Riller]

スカウトのクラスを考慮すると、マップにオープンスペースが必要なんだ。それがあることで、他のクラスには不可能なルートをスカウトはダブルジャンプで進める。 このエリアにはいろんな屋根や岩がある。スカウトはそれらを渡ることでスカウト以外の敵の頭上を行くことができるんだ。 スカウトはよく、スピードのメリットを活かして逃げ、ヘルスを取り戻す。だからここでは、狭く閉鎖的なエリアにヘルスを配置することで、スカウトが多少のリスクを犯さざるを得ないようにしたんだ。こういう所では移動の自由が制限されるからね。

スカウトについて② [Andrew Burke]

スカウトは、ターゲットを追跡しながらすばやく動き回りたいプレイヤーのためにデザインされた。 他の戦闘クラスが武器に頼るような場面でも、スカウトは、敵の砲火から身をかわすため、移動速度の速さとダブルジャンプの能力に頼る。 スカウトの戦闘スタイルは、主力武器の散弾銃によるところが大きい。 散弾銃は大打撃を与えることができるけど、弾が広く飛び散るんだ。その威力を最大限に発揮するには敵に近付かなければならない。敵に近付けばスカウトが負傷するリスクもかなり大きくなる。 散弾銃は連射できないから、立ち止まって発射し、敵の攻撃をかわして、また立ち止まる、の繰り返しなんだ。だから、その間に敵に殺られる確率も高くなる。 おまけに、散弾銃には小さなクリップが付いていて、リロードに時間がかかる。たいてい、スカウトは戦線から離脱してリロードしなくちゃならない。スカウトのスピードがあれば離脱は簡単だけど、戦線復帰するまでに負傷した敵を逃してしまう可能性があるんだ。

スパイについて [Matt Boone]

スパイは、敵の裏をかくのが好きなプレイヤーのためにデザインされたんだ。 ハイレベルなプレイヤーなら、敵チームに潜入し、変装して動き回り、敵を即死させることができる背後からの一撃で主な敵(たいていはスナイパー、エンジニア、メディック)を排除する、という流れのプレイになる。 スパイの透明マントは、主に 2 つの状況で役に立つようになっている。 1 つは、前線を通過する場合だ。前線は、敵に対する警戒が一番厳しく、あらぬ方向に向かう味方が最も疑われる場所だ。 2 つ目は、敵陣にいるときに敵に変装を見破られて逃げる場合だ。 スパイのサッパーは、敵のセントリーガンを無人で簡単に破壊できるようにとデザインされた。こいつのおかげで敵のエンジニアは、自分が作った装置に目を光らせてないといけなくなるんだ。

エンジニアについて [Eric Kirchmer]

エンジニアが作る AI 制御のセントリーガンの威力のバランスをとることは、Team Fortress 2 のデザインにおける難問の 1 つだったよ。 セントリーガンが強力すぎると、それに対抗できるのはよっぽど腕の立つプレイヤーだけになってしまう。 弱すぎると、エンジニアは腕の立つプレイヤーに歯が立たない。そもそも、セントリーガンを作る理由が事実上なくなってしまうんだ。 この解決策は、セントリーガンに本質的に 2 つの要素を持たせることだった。つまり、物陰に隠れていない敵には死をもたらすけれども、物陰から出たり隠れたりする敵に対応できるほど賢くないものにしたんだ。 だからエンジニアは、コーナーというセントリーガンの弱点を補うために別の武器の腕を発揮しなきゃならない。単純に傍を駆け抜けようとする敵に対しては、セントリーガンは依然として大きな効果を発揮するけどね。

パイロについて [Marc Scaparro]

パイロは、接近戦に最適なクラスになっている。待ち伏せというプレイスタイルをプレイヤーに促す狙いだ。 これを実現するために、パイロをオープンスペースに弱くし、プレイヤーが閉鎖的なエリアや出入口付近を探さなければならないようにしたよ。 接近戦でのパイロの優位性に加えて、火炎放射器の効果を見た目に派手なものにした。この視覚効果は、焼き尽くすまでの間、敵を混乱させるのに役立つんだ。

デモマンについて [Wade Schin]

デモマンは、最も万能な戦闘クラスだ。激しく攻撃していたかと思うと、さっと切り替えて防御エリアで敵を撃退することができる。 ゲーム内で唯一、間接攻撃の能力を持ち、物陰からセントリーガンを破壊できる。さらに、デモマンの粘着爆弾は、ソルジャーのロケットジャンプに匹敵するグレネードジャンプを可能にする。 粘着爆弾は、デモマンが別の場所にいるときでも、出入口付近で敵の侵入を防いだり、退却を援護したり、コントロールポイントを防御したりできるんだ。

ヘビーについて [Keith Huggins]

ヘビーのミニガンは射界が広いから、すばやく照準を合わせるスキルがないプレイヤーでも、戦闘の真っ只中に加わることができる。 このことで、プレイヤーの照準スキルの価値が低下するから、それを埋め合わせるために他のスキルの重要性を高くした。 たとえば、ミニガンは発射までに時間がかかるし、発射中は移動の速度が落ちるから、プレイヤーは、戦闘の開始と敵の襲来の両方を予測する方法を学ばざるを得ないんだ。

メディックについて① [John Morello]

メディックは、主要なサポートクラスだ。 前作のサポートクラスのデザインにはいろんな問題があった。 防御エリアに引っ込んでいたからあまりスキルがいらなかったし、そのことでゲームで一番面白い部分から締め出されてもいたんだ。 最悪なことに、これは前作のメディックが大して役に立たなかったことを意味する。一番回復を必要としているプレイヤーの近くにいないのが普通だったからだ。 Team Fortress 2 のメディックは、これらの問題を解決するために戦闘の真っ只中に身を置くことを最も重視してデザインしたよ。 さらに、メディックがチームメイトを回復させている間、自分が生き残ることに集中できるように、メディガンをできるだけ使いやすくしたんだ。 実質的に狙いを定める必要がないから、メディックは回復させるターゲットを追うことに集中できるし、ターゲットの方には、メディックという恩人を守る動機が大いにあるのさ。

メディックについて② [Aaron Halifax]

メディガンのデザインの目標は、メディックと回復させるターゲットとの絆を深めることだった。 単純にもっと大きなチームを連携させる代わりに、2 人のプレイヤー間に親密な関係を作ることに力を注いだらどうなるか、見てみたかったんだ。 メディガンのデザイン上、メディックとそのターゲットは互いを十分に意識して、ヘルスと相対位置を見守り、慎重に戦術的な選択ができるようになっている。 優れた回復のターゲットとなることにスキルをからめたかったから、メディックがそのスキルのあるターゲットを探し出して密着するようにしたよ。 こんな風に、僕たちが求めていた関係が育まれるのさ。

不死身について [Jakob Jungels]

不死身によって、マルチプレイヤーゲームにテンポの要素が加わる。この要素がないと、よくできたシングルプレイヤーゲームよりも感情の起伏がなくなってしまいがちなんだ。 メディックが仲間に不死身チャージを行うとき、2 人の気分は最高潮に達している。 不死身の効力が消えるまでの 10 秒間だけ持ちこたえればいいとわかっている防御側も盛り上がる。 敵チームが引きこもって自陣から出てこようとしない場合は、不死身になって、ドローに持ち込むための敵の防御をチームが突破できるように助けることでゲームのテンポが良くなるんだ。 防衛の小競り合いがあっても、攻撃側は邪魔されることなく不死身チャージを簡単に行うことができる。 それに、ゲーム上、不死身チャージはメディックの大きな役目であり、ヒーラーとしての腕の見せ所でもある。 負傷したチームメイトを回復させているときの方が、すでにヘルスが十分なプレイヤーのチャージを続けているときよりも追加されるチャージ量が増えるようにすることで、メディックの回復行為を推奨しているんだ。

マップ数について [Jeff Lane]

マルチプレイヤーのコミュニティには、少数のマップに集中し、それらを繰り返しプレイする傾向がある。 だから、ほとんどプレイされないマップを大量に作成する代わりに、これまでに作成したどんなマップよりも本質的に繰り返し楽しめるマップを 1 つ作ろうと決心したんだ。 ほとんどのマルチプレイヤーマップでは、マップのロードが完了すらしないうちに何をやるかが分かる。 僕らの場合、そのマップの戦闘がどう展開するかは言うまでもなく、スタート地点のような基本的なことですら予測できないマップにしたかったんだ。 だから Hydro は、スタート状態がランダムに選ばれて始まるんだ。 常に変動するテリトリーの占領に重点を置いたから、このマップのプレイが前と似たような感じになることはまずないね。 一方、ラウンド構造が明確だから、チームの集中力は維持されるし、チームがテリトリーを獲得したり失ったりすると、普通に士気が上がったり下がったりするんだ。

個人データーシステムについて [Kerry Davis]

ゲームでは通常、該当プレイヤーをその他の全員と比較することで、プレイヤーデータを作成する。 でもこれを本当に面白いと思うのは、上位のプレイヤーだけだ。 TF2 では、データをプレイヤーの以前の成功と比較する方がいいと判断して、世界規模の比較システムから、モチベーションが上がる個人比較システムに変えたんだ。 初心者は、スキルはまだ高くないけれども、ずっと上達し続けているという励ましと確信を得られる。 ベテランは、何とか前回の記録に迫ることができたときにそのことが表示されるから、その記録を破ろうという気にさせられる。 個人データシステムは、検証システムとしても機能するんだ。 本当にいいプレイをしたという感触をプレイヤーが得たときは、データシステムがポップアップ表示されて、「そのとおり。すばらしいプレイでした」といったメッセージを受け取るのさ。

キャラクターアート① [Andrea Wicklund]

アートの演出で分かりやすいビジュアル表現が多ければ、それだけゲームの要素を説明する作業が少なくてすむ。 TF2 の初期バージョンでは、うんとリアルなアートの演出が行われたの。 時間が経つにつれ、私たちはこれが多くの問題の原因になっていることに気付いたわ。 プレイヤークラス間の違いを存分に出しきれていなかった。 弾丸以外のものを発射する武器は、視覚化が難しかった。 マップは、現実世界ではかなり不自然なものだった。2 つの対立する勢力が互いに 15 メートル以内の距離に基地を築くなんてまずありえないでしょ。 それに、ゲームの見た目ではうちの他の製品と区別がつかなかったし。 でも、この世界を定型化したら、こうした問題がなくなったわ。巨漢のヘビーと、ピンストライプのスーツを着たスパイを比べれば、両クラスの間にはヘルスの違いがあり、ゲームプレイスタイルも全く異なることをプレイヤーは理解する。 プレイテスターは、赤十字のマークがターゲットに向かって流れるのを見て、メディックの回復ビームだと簡単に理解したわ。 定型化されたフィクションでは、なぜチームの基地が隣り合って築かれるのかを簡単に説明できるの。 最後に、TF2 のスクリーンショットは一目でわかるの。うちの他のゲームと見間違う人は誰もいないわ。

キャラクターアート② [Moby Francke]

定型化というアートの方向性が定まってから、いろんなスタイルを試して、J.C. Leyendecker を手本にすることに決定した。 Leyendecker は、1900 年代初頭に絶大な人気を誇ったイラストレーターだ。 Leyendecker の衣類や素材の表現は、クラスを見分けるのに重要なすっきりとシャープなシルエット形状を保ちながら、いかにキャラクターの細部を描き込むかの格好の手本となったよ。 衣類のしわは、通常のマップで描いたんだ。間近で見ると、細部まできれいに表示されていたよ。プレイヤーの目を重要な武器に引き付ける色合いを損なうことなくね。

キャラクターアート③ [Ariel Diaz]

キャラクターは、マルチプレイヤーゲームのアートの中で一番重要な部分だから、一番力を入れたよ。 僕たちは、プレイヤーモデルの読み取り階層を作り、プレイヤーがモデルを見るだけで読み取れなければならない情報に優先順位を付けたんだ。 その階層はこうだ。第一に、プレイヤーがどのチームにいるのか、第二に、プレイしているクラスはどれか、第三に、使っている武器は何か。 チームの外観については、各チームにカラーパレット全体を取り入れ、赤チームには暖色を、青チームには寒色を選ぶことで、区別できるようにした。 クラスは、キャラクターのシルエットで区別できるようにした。 独自のシルエットとアニメーションの形状で、遠くからでも、どんな照明レベルでも見分けが付き、モデルのその他の視覚的な細部をどんなに描くよりも効果的なんだ。 最後に、武器はテクスチャで強調した。 プレイヤーの目を引き付ける、コントラストが最も強いエリアでは全部、キャラクターモデルの胸部付近、つまり武器を持つ位置にピントが合わせられている。 さらに、キャラクターの脚付近の暗闇から胸部付近の明るい部分にかけての微妙なグラデーションも、プレイヤーの目を武器に向けさせるのに一役買っているんだ。

プレイヤークラス [Charlie Brown]

プレイヤークラスは、TF2 のゲームプレイの中軸を成しているんだ。 デザイン上、クラスがなぜ便利なのか、理由は山ほどあるよ。 クラスは経験を詰め込んだもので、ゲーム内で他のクラスと比較してユニークになるようにデザインされている。 あるクラスに飽きたプレイヤーは、別のクラスに切り替えて新たな経験ができる。 クラスのおかげで、さまざまなスキルや欲求を持つプレイヤーを満足させることができるんだ。 初心者も上級者も、一緒に楽しめるってこと。 慎重で知的な思想家も、戦略に長けた防御者も、早撃ちのアドレナリンジャンキーも、誰もが自分にふさわしい場所を見つけることができる。 Team Fortress 2 のクラスデザインの決定によって、ゲーム内でプレイヤーができることを増やす一方で、プレイヤー単独の決断は管理可能なレベルに抑えることができた。

TF2について [Robin Walker]

TF2 を初披露したのは 1999 年の E3(ゲームの国際見本市)で、今は 2007 年だ。 どうしてこれほど時間がかかったかって? 簡単に答えると、納得がいくものを作るためにこんなに時間がかかってしまったんだ。 詳しく説明するには、開発プロセスに目を向けてもらわないといけない。 根底には、何が面白くなるか実際には前もって分からないという前提がある。 過去に面白かったものは分かっている。 でも、3 つのアイデアが候補になった場合、どれが一番面白くなるか断言することはできないんだ。 だから、それを解明する繰り返し可能なプロセスを開発することに専念したんだ。 絶え間ない繰り返しのサイクルに基づいたもので、そのプロセスでは、できるだけ多くの人のゲームプレイを観察することで評価が行われる。 TF2 の開発中は、実に多くの機能を試したよ。最終的に採用されたのはその中のごく少数で、ほとんどはカットされたんだ。 たとえば、初期バージョンの TF2 では、指揮官(つまり戦場をリアルタイム戦略の観点でで見ることができる 1 人のプレイヤー)のコンセプトを中心にゲームを組み立てることに重点が置かれていた。 指揮官には、組織を作り、チームに統一的な戦略を提供する責任があった。 でもそこには重大なデザインの課題が含まれていたんだ。 たとえば、指揮官も楽しめて、同時に現場のプレイヤーも確実に楽しめるようなゲームをデザインするにはどうすればいいのか? プレイヤーと指揮官に他者の働きを重視させるにはどうすればいいのか? ダメな指揮官に当たった場合や、逆に有能な指揮官がダメチームを率いる場合でもゲームを楽しめるようにするにはどうしたらいいのか? 何ヶ月もかけてこれらの問題やその他の問題に取り組んだけれど、納得できるところまで行かなかった。 おまけに、ゲームがあまりにも複雑になってしまっていた。これは、指揮官の追加を十分に正当化するほど奥が深い戦略レイヤを追加しようとしたせいだ。 結局、ゲームから指揮官をなくすという厳しい決断を下して先に進んだんだ。

クリティカルヒット [Kelly Thornton]

クリティカルヒットは、テンポを重視した結果生まれた機能の 1 つさ。 クリティカルヒットシステムは、プレイヤーの直前のパフォーマンスに基づいてクリティカルヒットのチャンスを高めることで、ゲームの士気の上下に多少の影響を及ぼそうとするものだ。 要するに、パフォーマンスが良ければ良いほど、成功し続ける可能性が高くなる。 これは、1 人のプレイヤーが暴れ回って立て続けに 3 または 4 キルを挙げるというような、滅多にないハイな瞬間を作り出すのに一役買っているんだ。

手榴弾 [Adrian Finol]

Team Fortress Classic と Team Fortress 2 の間の主な変更の 1 つは、手榴弾をなくしたことだ。
ほとんどのクラスが、よりクラスに密接に結び付けられている補助手榴弾と一緒に、通常の手榴弾を携帯できたんだ。 Team Fortress 2 ではクラス独自の役割を重視したおかげで、通常の手榴弾が一部の主力武器よりも強力な決め手となることに気付かされたよ。 この通常の手榴弾のせいで、戦闘ではどのクラスも変わり映えがしなくなっていたんだ。 さらに、Team Fortress Classic のマップのドローをいくつか調べてみると、手榴弾の乱発が原因になっていることが多かった。 特に問題なのは、次の 2 つのケースだ。出入り口を通過するときに、そこにいるかもしれない敵を無差別に倒そうとして繰り返し手榴弾を投げるプレイヤーと、死の間際にありったけの手榴弾を矢継ぎ早に投げて、自分の死後にキルを稼ごうとするプレイヤーだ。 こうした手榴弾をなくしたとたんに、ゲームがもっと楽しくなったんだ。特に、手榴弾が足元で爆発したときに、なぜ自分が死んだのわからず混乱することが多かった新参のプレイヤーにとってはね。 クラス固有の手榴弾を検証したときも、同様の問題が見つかった。 それらをプレイテストから排除したことで、ゲームをもっと面白くすることにますます意欲的になれたよ。 排除を決定した後、この決定の結果どの機能が失われる可能性があるかを調べるために各クラスを分析したんだ。 特殊な手榴弾タイプを使えなくなったことで面白い決断ができなくなったと判断した場合には、そのクラスに別の機能を追加したりもしたよ。

罵倒 [Hamish McKenzie]

プロジェクトの終盤で、ゲームの他の部分が完成しつつあるときに、アニメーションを追加する時間が残っていることに気付いたんだ。 武器固有の「罵倒」アニメーションなどのアイデアがいくつも検討されたよ。 機能を評価するときに、それがどれだけ多くの他の機能に関連しているかを調べたところ、「罵倒」が圧勝だった。 倒した側のフリーズカムにぴったりで、強敵とその犠牲者の間の関係を深めるものだったからね。 「罵倒」アニメーションは、Valve の新しいフェイシャルアニメーションテクノロジを見せ付ける格好の場となったし、プレイヤーがあらゆる角度から検証できるようになっている。 結局、TF2 のキャラクターの個性はさまざまだから、「罵倒」は、アニメーションと声の演技でその個性を表現する完璧な方法だったんだ。

応答ルール [Eric Smith]

Half-Life 2 では、「応答ルール」ってのを開発した。完全に予測することが不可能なゲームイベントに応じてキャラクターのセリフの話し方を微調整できるシステムだ。 Team Fortress 2 では、「応答ルール」を初めてマルチプレイヤー環境に拡張したんだ。 「応答ルール」システムは、単純なテキストファイルにスピーチコンセプトを列挙することで機能する。ゲームの中でテキストファイルに定義されたルールまたは条件に一致すると、ゲームコードによってキャラクターがしゃべる仕組みだ。 たとえば、プレイヤーが武器をリロードすると、リロードに関するセリフを言うのは今だ、という信号が「応答ルール」システムに送られる。 「応答ルール」システムは、ゲーム世界の情勢をチェックし、そのスピーチコンセプトに最適なセリフを決定する一連のルールと照合する。 プレイヤーのヘルスが低下している場合は、完全に良好な状態のときとは違ったリロードのセリフをしゃべるかもしれない。 最後の 20 秒で敵を 3 人以上倒した場合は特別なセリフをしゃべり、水中にいるときは別のセリフをしゃべる、といった具合だ。 会話とルールがスクリプトファイルに保存されているから、ゲームのライターは、コードのサポートを受けることなくゲームにスピーチを追加できるんだ。

キャラクターのレンダリングスタイル [Moby Francke]

キャラクターのレンダリングスタイルについては、大多数のトゥーンシェーダーのような極端な方法は使わずに、イラストっぽい、または定型化された外見にしようと当初の議論で決定していた。 シェーディングについては、この種のレンダリングの典型的なものよりもソフトなラインが好みだった。 だから、2D テクスチャを使ってキャラクターの照明を定義し、光と影が交わるポイントでは、色の変わり目で色に勢いを与えるために若干暖かみを加えた。 適切なシェーディングモデルを完成させた後、キャラクターに縁の境界線を追加して、シルエットの縁にいい感じでハイライトがつくようにした。おかげでキャラクターが周囲の 3D 世界から浮き出て見えるんだ。

パーティクル(粒子)システム [Dhabih Eng]

パーティクル(粒子)システムの課題は、面白くて視覚的にエキサイティングな効果を作り出すことだった。大げさすぎてゲーム内でその意味が誰にも理解できないようなものになってもいけない。 通常の対戦では、あまりに多くの効果が画面上に同時に表示されるから、一番危険なのは見た目の混乱だ。 だから効果は、すっきりシンプルなものになるよう洗練されたんだ。 ゲームプレイにとって最も重要なものは見やすくなったし、主に見ていて楽しいものは背景に下げることができた。

クラスについて [Robin Walker]

9 クラスのキャラクターがあり、武器や特殊能力も盛りだくさんだから、最大の課題の 1 つは、混乱させることなく、これらの組み合わせをすべてプレイヤーに知ってもらうことだった。 マップの目的、味方の消息、その武器で撃ってくるのは誰か、など基本的な情報を厳選したリストでさえ、混乱を生じさせる可能性があるからね。 こうした情報をすべて視覚化する方法はなかった。だからまず優先順位を付けて、単純に楽しむためにプレイヤー全員が知る必要があることを基本的なリストにまとめる必要があった。 マップのレイアウトとか、ゲームをプレイすれば分かる情報は二の次だけど、メディックの不死身チャージのように、明確に示さなければ全く見えない情報もある。 プレイヤーには、抽象的な表現よりも僕たちが構築した 3D の世界を見て欲しかったから、HUD に 2D の要素を追加することはできるだけ避けた。 たとえば、プレイヤーは常に自分のチームのスパイをスパイだと思っているけど、スパイがいかに敵チームに変装するのかを知る必要がある。 僕らは試しにちょっと、スパイの現在の変装を表すアイコンをスパイの頭上に表示してみた。 でもこのアイコンは、プレイテスターには訳のわからないものだったんだ。 この問題に対処するために紙を切り抜いたマスクをスパイに付けさせたところ、ゲームのユーモラスなスタイルにぴったりはまったんだ。さらに、それだけじゃなくて、プレイヤーはスパイのモデルをぱっと見ただけですべての関連情報を得ることができ、キャラクターやゲームのアクションに集中し続けることができたんだ。 このことは、教訓になったよ。強力なデザイン原理に忠実に作業することで、楽な方法を選んだ場合よりも、良い解決策を見つけ出さざるを得なくなることがいかに多いかっていうね。

アート演出 [Jason Mitchell]

TF2 のアートの演出に影響を与えた 20 世紀初期の広告イラストと一致するキャラクターのシェーディングスタイルを実現するために、キャラクターの拡散照明を変更したよ。 これは、Team Fortress 2 に登場する、イラストっぽいシェーディング スタイルを使ったソルジャーだ。 隣の部屋のライトに照らされているときのソルジャーの明部と暗部の間の絶妙な推移に注目してほしい。 ここに表示されているような従来の照明を使用すると、キャラクターの照明がソフトすぎて、イラストっぽいスタイルには合わない。 キャラクターには、アートスタイル全体に合った方法で光が当たるようになっている。 イラストっぽいシェーディングには、縁のハイライトを使用してキャラクターのシルエットを強調することで、キャラクターが背景に溶け込んでしまうのを防ぐという一面もあるんだ。 逆光照明を使わないと、キャラクターは背景に溶け込んでしまう。 逆光照明を使えば、背景に対してキャラクターが際立ち、Team Fortress 2 のアートスタイルにもぴったり合うんだ。

HUD [Alden Kroll]

2D の HUD 要素は、特定のアートの問題を引き起こす。ユーザーがどんな解像度でゲームを実行しているかに関係なく、きれいでシャープに見えなければならないからね。 現在は高解像度のワイドスクリーンディスプレイが入手可能なことを考えると、2D の HUD 要素には、異なるディスプレイ解像度を見越して、大量のテクスチャメモリと膨大な作業が必要になる可能性がある。 TF2 の問題は、さらに手強かった。HUD に滑らかな曲線の要素をたくさん入れたかったからだ。 僕らは、「線画」イメージを描画するための新しいシェーダーシステムを開発した。 このシステムでは、超高解像度に拡大しても滑らかなシルエットを描くイメージを固定解像度で作成することができる。 輪郭やドロップシャドウも処理できるし、3D 空間では標識なんかのゲーム世界の要素にも適用できるんだ。

構成ブロック [Chris Green]

Team Fortress 2 には、さまざまな武器やクラスの能力を強化する特殊なパーティクル効果をたくさん取り込みたかった。 以前のバージョンの Source エンジンでは、どんなパーティクル効果も、プログラマーがカスタムコードを作成しなくちゃならなかった。 Team Fortress 2 では、プログラマーが介入しなくてもデザイナーが迅速に新しいパーティクルシステムを作成し、既存のものを繰り返し改良できるシステムを作成したんだ。 デザイナーはゲーム内のエディタでパーティクルシステムの定義を編集し、ゲームそのもので効果をすぐにプレビューできる。 このエディタでは、アーティストがモジュール式の効果の「構成ブロック」を結合して複雑なビジュアル効果を作成することもできる。 パーティクルシステムそのものについて言うと、システム計算の多くは、グラフィックアクセラレータにオフロードしたんだ。おかげでフレームレートを落とすことなく画面上のパーティクル数を増やすことができるのさ。

ゲームデザイン [Eric Kirchmer]

ゲームの世界とキャラクターのアートの演出を把握した後は、武器や装置に目を向けた。 これらは、一部現実のものを下地にしつつ、たいていは大幅に異なるものになっている。 たとえば、ソルジャーのロケットランチャーは、肩に担ぐ通常型のロケットランチャーだけど、クリップに 4 発装弾することができる。 これを正当化し、TF2 の定型化されたスパイテクフィクションを強調するために、武器のデザインは、各キャラクターが自分の目的に合わせて専用に改良した、カスタマイズ武器に見えるようにしたんだ。 ゲームの産業テーマに沿って、主力武器については 60 年代の製品のデザイン原理に倣った。補助武器および接近戦用武器については楽器に注目したんだけど、これは補助アイテムと各キャラクターの個性との関係が強化されると考えてのことだ。

マップデザイン① [Jim Hughes]

ハイレベルな戦闘を繰り広げるエリアをデザインするときは、複雑さと混乱を避ける努力をしたよ。 複雑なジオメトリはプレイヤーを混乱させ、敵の追跡を困難にするし、戦闘中は動きや照準の妨げになる。 戦闘が最も混乱するのは、部屋が狭くてそこで戦っているプレイヤーを収容しきれないときだ。 マップのこの最終エリアでは、誰かが決定的な勝利を達成するまでしばらくの間、自由形式で激戦が繰り広げられるようにしたかった。 これを実現するために、入口が複数ある広いオープンエリアを構築し、プレイヤーがさまざまな高さで、多様な攻撃方法、防御方法をとれるようにした。 エレベーターやハシゴよりもむしろ、スロープに頼ったのは、プレイヤーを閉じ込めたりせずに常に自由な動きを可能にするからだ。 プレイテストを通して、部屋の寸法、遮蔽物のサイズ、入口のサイズを何度も変更し、大人数の戦闘が可能なエリアに仕上げたんだ。

マップデザイン② [Aaron Barber]

青チームと赤チームで徐々にエリアを奪い合う 2fort や Well といった TF のマップとは違って、Hydro の主な 4 つのアリーナは、どちらか一方のチームが所有することになる。 僕らには、岩の壁やトンネルのような構造を正当化しつつも、中間色も配色できる全体的なテーマが必要だった。 選択したのは、赤褐色の岩、涼しげな青空、周囲を引き立たせる明るい中間色、という配色の砂漠のテーマだった。 各エリアの色は若干異っていても、互いに調和しているんだ。

アナウンサー [Chet Faliszek]

Team Fortress 2 のアナウンサー役を務めた Ellen McLain は、稀な存在だ。The Orange Box(オレンジボックス)のすべてのゲームに出演している声優は、彼女だけだからね。 Team Fortress 2 では、Ellen には同じセリフに対していろんな読み方を試してもらった。アドリブを交えて、それぞれ違った個性を出してもらったんだ。 そして、5 回目のトライで、満足のいくものができた。 落胆して、少し怒りも入った、彼女の悪の支配者的な声を聞けば、Team Fortress の世界では、ドローは勝ちではなく、負けを意味するんだということが分かるはずだ。

照明 [Laura Dubuk]

このエリアは難問だったわ。 アリーナは主に屋内だから、基本構造を変更するためにできることはあまりなかった。だから屋内の形状を慎重に管理して類型的な空間を作ることに専念したの。 建物は基本的に、大きな長方形の窓を持つ箱で、中央の丸い要素(発電機)と対比されている。 深度と視差を作るために、手すりやケーブルといった線形要素を追加したわ。 通路の床には明暗の対照的な値を使用して、面白い値のパターンを作り出している。 これらの要素がすべて連動して、プレイヤーの目を旗に引き付けるの。この旗が常にアリーナの中心じゃなきゃならないから。

以上。TeamFortress2ゲーム内から直接取得したテキストデータから