著作権の保護期間
著作権による著作物(作品)の保護は、期間が定められています。
その期間は国によって違いますが、近年は作品が創作された時点から作者の死後50年だったのが70年に伸びるケースが増えています。
日本もごく最近、70年に延びましたので、原則は70年です。
そして、ここでいう「死後」は、著作者が死亡した翌年の1月1日から始まります。
何故そんなに長い期間保護されているのかというと、創作者の周囲、例えば家族や出版社を守るためです。
例えば、一家の大黒柱が夭折してしまったら、家族は路頭に迷うでしょう。
人気作家の作品を一手に扱っていた出版社は、新しい作品を得られなくなり、経営に支障が出るでしょう。
そのような状況に陥らないために、「保護期間」が設けられているのです。
では、何故永遠に保護されないのかというと、
「人類は先駆者の英知をもとに文化を発展させてきた歴史がある。先駆者に敬意を払うと共に、さらなる文化の発展を目指し、
一定期間後は全人類共通の財産として、自由に使えるようにしよう。」
という理念に基づいているためです。
著作権が消滅した著作物は、世界中の誰でもが自由に使える「パブリックドメイン(public domain)」となります。
尚、パブリックドメインには、著作者が著作権を放棄した著作物、著作権者が死亡(法人などの場合は解散)した際に、
相続人がおらず、著作権が消滅した著作物も含まれます。
保護期間の例外
著作権の保護期間についての原則ですが、例外もあります。
1.著作者が不明または著作者が団体名義の場合
著作物の中には、
- 著作者不明のもの
- 著作物が本名以外で発表されていて、著作者の本人が不明のもの
- 著作者が会社など団体名義のもの
があります。
このような場合は保護期間の計算が出来ませんので、「著作物が公表されてから70年」が保護期間となります。
2.映画の著作物
映画の著作物は、「映画が公表されてから70年間」です。
映画は、多くの人によって作られる著作物です。
原作者と脚本家、音楽家と作詞家、実演家、演出家、映画監督……全て列挙すれば大変なことになります。
映画を利用する際に、これらの人全てから利用の許可を取らなければならないとしたら、大変な作業になります。
最悪の場合は、著作権者の一人でも「不可」を出した場合、その映画は利用出来なくなります。
そういう事態を避けるため、映画の場合は、映画会社(映画制作者)が著作権をもつと定められています。
そして、映画の原作者、脚本家、映画音楽家など制作に関わった人々は、映画会社に著作物の使用を許可したということになります。
3.著作権法改正前に著作権が消滅した著作物
著作権法は、時代と共に改正されていますが、保護期間も徐々に延びています。
ですが、改正された著作権法が施工される前に著作権が消滅していた著作物は、改正前と同じくパブリックドメインとして扱います。
4.戦時加算
国内で著作物を利用する時は、日本の著作権法に従います。
が、外国の著作物には特別な保護期間があてはまることがあります。
時代を少し遡った第二次世界大戦中、日本は敵国であった連合国国民の著作権を保護していませんでした。
しかし、終戦後に締結されたサンフランシスコ平和条約にて、この期間を保護期間として加えるというルールが課されることになったのです。
それを「戦時加算」といい、その対象は平和条約締結前に公表された著作物です。
加算期間は国によって異なりますが、概ね10年5ヶ月程度のようです。
保護期間の計算方法
通常は、著作物の創作時~著作者の死後70年が保護期間となります。
この時、注意しなければならないのが「死後」の考え方です。
著作権法では著作者が亡くなった翌年からカウントされると規定されています。
ですので、亡くなった年がカウントの起点ではありません。
また、計算時にカウントが始まった年を「1」として計算することにも注意がいります。
例えば、2000年2月28日に亡くなった場合、「死後」のカウントは2001年1月1日からです。
この年を1としてカウントすると、2070年12月31までの期間が保護期間になります。
戦時加算が必要な著作物は、それに加算しますので、さらに保護期間が延びます。
以下のサイトにて著作権の保護期間を計算するシステムがありますので、不安な場合は利用してみると良いでしょう。
こちらです→「渋谷カケル法律事務所」
参考サイト
著作権のネタ帳
著作権のひろば
公益社団法人著作権情報センター
みんなのための著作権教室
※公益社団法人著作権情報センターサイト内の子ども向けコンテンツです。