著作権法まとめ/著作権について

Last-modified: 2023-06-03 (土) 15:11:58
 

著作権とは

「著作権(copyright)」とは、「著作物(作品)を独占的に使用する権利」のことで、
著作者(クリエイター)の創作意欲を高め、創作環境を守り、文化を発展させる目的で作られた「財産権」の一種「知的財産権」に分類されます。

「財産」とは、人が「自分だけのものにしたい」と思うもののことで、それを独占することを認めるのが「財産権」です。
財産権は家や土地、宝石など「有体物」に認められていますが、
デザイン、メロディ、発明、情報など、目に見えず、触れることも出来ない「無体物」に対しても認められています。
これを「無体財産権」といい、一般的には「知的財産権」と呼ばれます。

著作権は、著作者が著作物を作成した瞬間に自動的に発生し、その権利は死後70年間*1保持されます。
その後、著作権は消滅し、著作物は全人類共通の財産「パブリックドメイン(public domain)」となります。
そして、一度消滅した著作権が復活することはありません。

また、著作権は「財産」ですから、他人に譲渡したり、放棄したりすることができます。
その場合、前者は譲渡された人が「著作権者」となり、著作者と著作権者が別に存在することになります。
後者の場合は、著作物はパブリックドメインとなります。

 

著作権の中身

著作権には大きく分けて二つの権利があります。
著作者の人格を守るための「著作者人格権」と、財産権である「著作権」そのものです。

 

著作者人格権

著作物は、文化の発展のためにも、著作者のためにどんどん利用されるべきです。
ですが、不特定多数の人に利用されると、時には著作者の意図しない使われ方をされたり、理不尽な誹謗中傷を浴びてしまう危険性もあります。
そうした悪質な行為から著作者の心を守るのが著作人格権です。
著作人格権では、著作者に以下の権利を認めています。

 
著作者人格権説明
公表権著作物を発表するのかしないのか、どこで、どのような方法で公表するのかを決める権利
氏名表示権著作物に自分の名前を表示するのかしないのか、
表示する場合はどんな名前(本名かペンネームなのか)を決められる権利
同一性保持権著作物のタイトルや内容を、他人によって勝手に変更されない権利
 

著作権は財産ですから譲渡出来ますが、著作者人格権は著作者本人を守るための権利なので、譲渡はできません。
そして、ゲームを遊んだり、作ったりする場合に目を通すことになる「利用規約」を
作者が自由に決めることが出来るのは、著作者人格権で認められているためです。

 

著作者人格権にも保護期間があり、それは基本的に著作者の生存中です。
ただし、著作者が亡くなった後でも著作者人格権を侵害してはいけません。
破った場合の罰則も定められています。

 

著作権

著作物には、音楽、演劇、映画、小説など、さまざまなものがあり、それぞれに利用方法が異なります。
著作権はそれらに合わせて細かく権利が定められています。
著作権の保護期間内にある著作物は、利用する前に著作権者の許可を取らなくてはなりません。
これを専門用語で「許諾を受ける」といい、著作権者が定めた規定の範囲内で著作物を利用することができます。
つまり、著作権とは「許諾権」だと言い換えられます。

 

※ 表の説明は「みんなのための著作権教室」を参考に斜体は引用)しています。

 
権利関連説明
複製権著作権法の基本。
印刷、写真、コピー、録音、録画など様々な方法で著作物を複製する権利
著作権=CopyRight。複製(Copy)に関する権利(Right)
上演権・演奏権演劇
演奏
演劇の上演や音楽の演奏会、さらに音楽CDを
多くの人に聴かせたり、見せたりする権利
演奏を収録したCDなどを多くの人に聞かせることも含まれます
上映権映画
写真
絵画
映画の他、写真や絵画を、スクリーンやディスプレイ画面で上映し、
多くの人に見せる権利
公衆送信権
公の伝達権
テレビ
ラジオ
インターネット
通信カラオケ
テレビ・ラジオ・有線放送、インターネットなどによる
著作物の送信に関する権利。
ホームページに著作物をのせて、だれかからアクセスがあれば、
いつでも送信できる状態にすることは
「送信可能化権」として、この権利に含まれます
口述権小説
小説や詩など「言語著作物」を朗読など口頭で多くの人に伝える権利
口述の録音を再生して聴かせることも含まれます
展示権絵画
写真
絵画や写真(未発行)を、多くの人に見せるために展示する(展覧会)権利
頒布権映画多くの人に見せるために作られた
娯楽映画などの複製物を販売したり、貸与したりする権利
譲渡権映画以外映画以外の著作物またはその複製物を、多くの人に販売などで提供する権利
貸与権映画以外の著作物の複製物を多くの人に貸し出しする権利
翻訳権・翻案権等著作物の翻訳、編曲、変形、脚色、映画化などの方法で
二次的著作物を作る権利
二次的著作物利用権自分の著作物(原作)から創られた二次的著作物の利用について
原作者も同様の権利を持つ
 

以上のように、著作権は1つの権利ではなく複数の権利の集合体ですので、「権利の束」であると言われます。
最初に作られた「複製権」は古くからある権利ですが、時代が下がると共に「公衆送信権」や「譲渡権」など、新しい権利も生まれています。
著作権は不変ではなく、時代や世界情勢などに合わせて変化し続けています。

 

著作権の保護期間について

日本の保護期間は、著作者の死亡から70年です。
ごく最近まで50年でしたが、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定に著作権についての規定が盛り込まれており、
効力が生じた2018年12月30日から変更されています。
その期間を過ぎると著作物は全世界共通の財産(public domain、パブリックドメイン)の扱いになり、
誰もが何の制限もなく自由に利用できるようになります。

 

参考サイト
著作権のひろば
みんなのための著作権教室
※公益社団法人著作権情報センターサイト内の子ども向けコンテンツです。


*1 国によって期間にはバラつきがあるので注意が必要です。