目次
はじめに
こんな動画も出ています。
動画の内容は、簡単にいうとSound Engineなどの音声編集ソフトでの音圧・リバーブ・音量調整と若干のVOCALOIDのパラメータの調整を行なうだけのものです。
こんなお手軽な調教だけでも、充分響きの良いものになりますが、これでは物足りない方のみ、以下に進んでください。
工程順に書き連ねてみて、自分が苦戦したところを重点的に書いてみようと思います。
「ここがしりたい!」というところがありましたらばコメントにてお教えください。
参考程度に、当wiki管理者はこのような順で歌を仕上げています。(VOCALOID全般共通)
コーラスの場合もこのような順番です。
※予め曲・詞は作っておきます。
- 歌となるメロディのMIDIを作成
- VOCALOID2 Editorにてデフォルト歌唱スタイルを設定
- VOCALOID2 EditorにMIDIを読み込む(直接VOCALOID2 Editorにメロディを設定することも有)
- 歌詞を流し込ませ、歌の原型を作る
- Singerを選択
管理者の環境では「Rin」か「Len」(VOCALOID2シリーズでは鏡音オンリーのため)
初音ミクがインストールされていれば、「Miku」も選べるはずです。 - 声質の調整
- GENやOPEなどを変更することで幼くしたり大人っぽくしたり...
- ブレスを入れる
- VEL・発音記号・またはサ行補完のためのBREを調整
- 滑舌の調整
- 音の繋ぎ・響きの調整
- 音を追加したり分けてみたり
- DYNを調整
- 音量調整
- GENを調整
- 音が高すぎる部分・低すぎる部分の補完のため
- 何度か聞きなおしておかしなところがないか確認、あれば再調整
- おかしなところがなければWAV出力
- Sound Engineで調整
- リバーブ・ノーマライズ(またはマキシマイズ)・コンプレッサーまたはリミッター・イコライザーの機能のソフトウェアで調整
「VEL」「DYN」「音の繋ぎ」「GEN」は気になれば随時調整します。
何度も聞き直して調整し違和感がなくなった後に、オケに合わせています。
以下より仕上げの詳細を挙げていきます。
デフォルト歌唱スタイルを設定
まずはデフォルト歌唱スタイルについてです。
- やさしい感じにしたいとき:ディケイを70~80%・アクセント0~20%
- 元気よくしたいとき:ディケイ50%以下・アクセント30~50%くらい
歌の途中でニュアンス変えたいときも上記パラを参考にしてみてください。
(「ボカロ互助会 @ ウィキ - 鏡音リン・レン調教メモ」より引用・一部改変させていただきました)
声質を調整
パラメータの調整により、歌い手の声質の変更が可能です。
たとえば、GENを低くすると幼くなり、高くすると大人…というか男の人っぽい声になります。
これについての詳細はVOCALOID @wiki - 歌手リストが詳しいです。
いろいろいじると面白いです。いじらずオリジナルを楽しむのもまた一興です。
BRIを調整してみる
BRIを32~48に調整すると、滑舌がよくなるようです。
参考:BRIを下げて子音を改善
ブレスを入れる
息継ぎをしないと苦しそうなので、ブレス(息継ぎのこと)を入れてあげます。
敢えて入れないのも一つの選択かも。
ちなみにブレスは
br1 br2 br3 br4 br5
の5種類あり、それぞれ異なります。
発音記号で設定できます。
前後の音と32分音符3つ分は離しておかないと前後の音がうまく発音されないようです。
どうしても音を離せない場合は別トラックに作成してみるのも一つの手です。
VEL・発音記号・サ行限定でBREを調整
滑舌の調整を行ないます。
リンの場合、VEL100の設定では特に「カ行」「サ行」「タ行」「ハ行」「バ行」の子音が弱く、「ラ行」「ワ行」がなんとなく強くなる感じがします。
リズムが速い歌だと割りとごまかせてしまいますが、それでも「サ行」の発音の悪さは目立ちます。
以下、文章だと長くなるので、分かりやすいように箇条書きに致します。
- 「カ行」「サ行」など弱くなる場合
- VELを0付近にしてみる
- 上を行なっても「サ行」などが弱い場合
- アクセントの設定を50から80くらいにしてみる
- 「シ」の場合は前の音に64部音符・VEL1の「S i S i s i S」などを追加してみる(発音記号・追記を参照)
- BREを64くらいにしてみる(大きめに設定してみる・サ行のみ有効)
- 「ラ行」「ワ行」の場合
- VELを64付近にしてみると安定する…気がする(汗
- 子音が弱い場合
- BRIを40くらいに下げてみる(※下げすぎると声が篭ってしまいます)
- 上を行なっても滑舌がおかしい場合
- 音編集ソフトに任せてみる(汗
- 別トラックに作成してみる
- 子音を初音ミクで補完(初音ミクをインストールしている場合)
箇条書きは以上です。
発音記号は結構自由(スペース空けを忘れずに)
VOCALOID2は、発音記号を自由に設定できます。
「VELを調整」で挙げたように、「シ」を「S S i」で発音させることができます。
「S S S i」で発音させることも出来ます。
ですが、実用的なものは「発音記号・追記」に記しています。
発音記号を扱う際の注意点として
- スペースを空けるのを忘れない
ということを挙げておきます。
スペースを空けずに「SSi」などと入力しても、VOCALOIDは何も発音してくれませんので(´・ω・`)
※自分が その間違いを 犯してしまい それになかなか 気付かなかったので…。
ブレスの発音記号にはスペースを空ける必要はありません。[b r 5]では何も発音されないかと…
発音記号・追記
基本的に子音単体だけでは発音されないそうです。
[S S S i]で発音されるのは最後の「S i」の部分だけで、頭の「S S」の部分は発音されていないようです。
ですので、
[S i S i s i s i S] (VEL1)
というような発音記号の64分音符などを「シ」の前に補うと、力強い「シ」の音が出ます。(検証済み)
ボーカロイドにゃっぽん内コミュニティ【鏡音リン 調教技術共有コミュ-リンちゃんと遊ぼう♪-】の、【調教・調律の質問や技術交換はこちらで♪】を参考にさせていただきました。
ちなみに発音記号の編集は、入力された歌詞をダブルクリックしてから、Altキーを押しながら「↓」キーを押すとできるようになります。
発音記号・動画紹介
発音記号については、こちらの動画が詳しいです。
初音ミクがベースになっているのでパラメータ関係はリンを扱うにあたりいろいろ異なるのですが、VOCALOID2 Editorの扱い方の点でかなり勉強になります。
音の繋ぎ・響きの調整
聞こえが良いように、「ガ行」の前に「ん(発音記号:N\)」を32分音符で入れてみるなど、声楽の技術を取り入れることもございます。
歌うときの口の形を考慮してみるとより良い仕上がりになるようです。
たとえば、人間の場合、「ナ行」「マ行」を発音するときには、その直前に「ン」が自然と入ります。
(ナ行では舌で息を止め、マ行では口を閉じて息を止めます)
「ワ行」を発音するときには「ウ」が直前に入ります。
そういったことも考慮すると自然な仕上がりに近づくと思われます。
以上を箇条書きにしてみます。
- 「ガ行」「ナ行」「マ行」
- 1/64または1/32の「ン」を直前に入れると綺麗な聞こえになる
- 「ガ行」の発音記号を [N\ a]などにすると綺麗な聞こえになる
- 「ワ行」「オ」
- 1/64または1/32の「ウ」を直前に入れると綺麗な聞こえになる
- 「ヤ行」
- 1/64または1/32の「イ」を直前に入れると綺麗な聞こえになる
また、滑舌に分類されるかもしれませんが、リンは、音の長い場合に別の音に聞こえてしまうものがあることをここで述べておきます。
たとえば「ラ」は、伸ばすと「ル」に聞こえてきます。
個性として敢えて「ル」に近い「ラ」を使うのもいいと思います。
実際、その個性を生かした歌は多いです。
しかし、管理者はそれが気になるので、「ラ ア」というように音を分離してしまっています。
どちらを選ぶかは、リンのマスター次第だと思います。
DYNを調整
さて、DYNの調整ですが、ここでは音の盛り上がり部分・盛り下がり部分に気をつけてDYNを調整します。
音が小さくなってしまっている部分・大きくなってしまっている部分など、むらの調整も行ないます。
コンプレッサーでは補えないことがあるので極力やってしまいましょう。
伸ばしの音のある場合は、その音の終わりになるにつれてDYNを下げると自然になると思います。
GENを調整
声の高いところや低いところは、苦しそうに歌ってしまったり、変に音量が小さくなってしまうことがあります。
そういったときは、多少GENを調整すると良いです。
例えば初期のGEN設定が64で高音域を歌わせたい場合には40くらいに下げてみたり、低音域を歌わせたい場合には80くらいに上げてみてください。
あまり極端にGENを変化させてしまうと声質が変わってしまいますので控えめにしましょう…。
何度も聞きなおして違和感がなければWAV出力、違和感があればパラメータを再調整
これの繰り返しです。自分が納得するまで再調整です。
気にしすぎるとその繰り返しから抜け出せなくなりますので、2・3回程度聞き直して違和感がなければいいと思います。
また、聞きすぎると耳が慣れてしまうので一晩明けてからまた聞きなおすのも効果的だと思われます。
Sound Engineで調整
とりあえずコンプレッサー(またはリミッター)・イコライザー・リバーブ・ノーマライズ(またはマキシマイズ)・(ディエッサ)の機能があれば、Sound Engine以外のソフトウェアで大丈夫です。
コンプレッサーとリミッターは厳密には異なりますが管理者は違いを把握できていないので説明は省略します。(すみません)
VOCALOID(初音ミク,鏡音リン・レン)の上手な歌わせ方教えます! - OSTER projectによりますと、この後は
(ノーマライズ)→イコライザ→コンプレッサー→ノーマライズ→ディエッサ→リバーブ→リミッター
と行うようです。
自分の場合ディエッサがないのですが、そこまで気にならないので気にしてません。。。あったほうがいいとは思います。
管理者は以下のようにやっています。
イコライザーの1ポイントイコライザーの周波数6000Hzバンド幅0.25ゲイン3.00dBボリューム0.00dB→ コンプレッサーのピークコンプレッサーのリミッター→コンプレッサーのRMSコンプレッサーのボーカル→ ノーマライズ→ディエッサ飛ばしてシンプルリバーブのプレート→コンプレッサーのピークコンプレッサーのリミッター
尚、イコライザーの設定内容については鏡音リン鼻声対策サンプルや、鏡音レン籠もり声サンプルなどを参考にしてみてください。
これでオケにあわせられるようになります。
ちょっと頭に響きますが…。
ひとまず調教はこれで終了です。
用語について管理者の認識をご紹介いたします。誤っているところは多いと思われますのでご指摘くださると嬉しいです。
- ノーマライズ…音の平均化を行なう。
- 音量の調整ができる
- マキシマイズ…音の最大値を設定し、それに合わせて平均化する
- 音量の調整ができる
- イコライザ…周波数帯で不要な部分を切ったり、要る部分の音量を調整したりできる
- イコライザーによって籠もり声・鼻声を軽減させることが出来る。
- コンプレッサー…音圧を上げる
- 音がしっかりする
- リミッター…コンプレッサーの一種…?
- リバーブ…音を響かせることでオケからボーカルが浮かないようになる
より良い調教を行なうために【参考】
より良い調教を行なうために、一つの指南を置いておきます。
歌って話せるVOCALOID!トピック トーカロイド研究所
※SNS内コミュニティのためIDが必要となると思われます。
こちらで紹介されております、WallToneおよびWaveToneです。
WallToneとは、WaveToneで解析した音データを色別でVOCALOID2 Editorに表示させるものです。
WaveToneとは、入力された音声の音の高さを解析できるソフトウェアです。
こちらのコミュニティでは「VOCALOIDに人のように話をさせるため」に利用されていますが、これは歌にも応用できそうです。
歌に応用することで、より人間のような歌に仕上げられる…かもしれません。
ただ、難点はかなり手間がかかるということです…。
根性のある方、挑戦してみてください!
コメント欄
アドバイス等ございましたらどうぞ
- わかりやすいご説明ありがとうございます!参考にさせていただきました。ちなみに、「リミッター」はその名の通り、音量に制限を加えるエフェクトです。設定した音量値(=スレッショルド)より大きな音の音量が小さくなるというものです。ご参考になれば幸いです。 -- 苫? 2011-08-12 (金) 22:54:06
- 初音ミクなんですが、「の」を発音させると音が割れてしまうんです。「の」単独じゃなくて「の」の前に「る」をおいて発音させるとそうなってしまいます。どうしたらよいでしょうか? -- 新人ボカロp? 2012-11-19 (月) 13:01:56
- ↑書き込み場所間違えました。申し訳ございません -- 2012-11-19 (月) 13:03:06
- 調教関係ないと思いますが、最近GUMIを買いました。なぜかエコーみたいになってしますのですが、どうすればよいですか? -- リム? 2013-01-04 (金) 17:09:46
- 何卒開発コードMikiちゃんを……使っている人少ないけど……お願いします…… -- 2021-08-04 (水) 00:17:51