排気の流れを利用してコンプレッサ(圧縮機)を駆動し、内燃機関が吸入する空気の密度を高くする過給機の事。
湾岸マキシではNA(自然吸気)車やスーパーチャージャー装着車は最初のチューニングで必ずターボ化される。
ターボチャージャーは主に、排気ガスの流れを受けて回転するタービンと、タービンの回転を伝達するシャフト、タービンのトルクを利用して空気を取り込んで圧縮するコンプレッサー、そして、タービンやコンプレッサーの周辺の流れを制御するハウジングで構成される。コンプレッサーには遠心式圧縮機が利用され、タービンとコンプレッサーは1本のシャフトの両端に固定されていて、タービンとコンプレッサーは同じ回転速度で回転する。
エンジンが吸入する空気の密度を高めて、より多くの酸素を燃焼室に送り、より高い燃焼エネルギーを得るのが過給機であるが、コンプレッサーの動力をエンジンの出力軸から得る機械式過給機に比べ、通常は廃棄される排気ガスの運動エネルギーを回収して駆動されるため効率が高い。
タービンの回転速度は自動車用など小型のものの場合、20万rpmを超えるものもあり、高温の排気ガス800 - 900℃)を直接受ける。軸受はエンジンオイルで潤滑される場合が多く、エンジンには高温環境に耐える性能が求められる。また、エンジンを停止するとオイルポンプによる循環が止まるため、高負荷運転によって高温になった状態でエンジンを停止すると軸受の焼きつきや、滞留したオイルがスラッジを発生する原因となる。これを防ぐために自動車の取扱説明書などではエンジンを停止する前に、アイドリングを続けて熱を冷ますことが推奨されている。
また、軸受けにボールベアリングを使用することもあるが、かなり珍しい。
ターボチャージャーはスイスの蒸気タービン技術者であるアルフレッド・ビュッヒによって発明され*1、1905年に特許が取得された。1912年にドイツのルドルフ・ディーゼルがディーゼル機関車の低回転域のトルクを向上させるために、ビュッヒの在籍していたスルザー社と提携し、ターボチャージャーを導入しようと試みた。ビュッヒのターボディーゼルエンジンは1925年には完成し、船舶を中心に広く普及した。
自動車などではディーゼルエンジンを搭載したトラックのほか、モータースポーツ用車両やスポーツカーなどでも一般的に用いられる。路線バス用の車種は2005年後半からダウンサイジングによって燃費や排出ガスを低減するためにターボチャージャーを搭載する例が増えてきている。
F1では、かつてターボエンジンが全盛だったが、ホンダがウィリアムズに供給していたエンジン(RA166E)でも1,500cc V型6気筒ツインターボの構成によりレース中で776kW(1055馬力)を発生したと言われ、安全性を理由に1987年からレギュレーションにより過給圧制限が加えられ(1987年は最大4bar、1988年は最大2.5bar)、1988年シーズンを最後に過給機の使用が禁止された。そして、2014年からは1,600cc V型6気筒エンジンにシングルターボとMGU-KとMGU-HとERSを組み合わせたハイブリッド・パワーユニットとして、ターボエンジンが復活することとなった。現代のF1ターボはフェラーリのパワーユニットは1000馬力を上回るものも。このパワーユニットは、世界最高峰であり、将来の自動車開発における存在である。1988年は、マクラーレン・ホンダが16戦中15勝で、勝率は今も破られていない93%超を誇った。2014年にF1でターボエンジンが復活して以来、メルセデスが6年連続のダブルタイトルを獲得している。
2010年代以降、欧州メーカーの乗用車では小排気量のガソリン直噴エンジンを採用してエンジンを小型軽量化しながらターボチャージャーにより出力を補うダウンサイジングコンセプトを採用する車種が増え、ターボチャージャーの搭載車種が増えつつある。ロープレッシャーターボやツインスクロールターボ*2を採用し、低回転から中・高回転までフラットな特性で大きなトルクを発生させている。日本の乗用車では軽自動車にターボチャージャーが採用されるケースが多い。また、かつては自動車税の税額が3ナンバーと5ナンバーで大きく異なっていたため、5ナンバーボディには排気量2,000cc以下のエンジンにターボチャージャーが利用されるケースが多かった。
車両の高性能化が進むとターボチャージャーのラグを軽減するために様々な手法が考案された。アンチラグシステムのように外部から過給遅れを低減したり、タービンの軽量化などが行われた。
現在では一部の市販車にもチタンアルミ合金製のタービンが使われるなどしておりレスポンスの向上が図られている。しかし、軽量で高温域での耐久性に優れてはいるが価格が高価になったり、異物を吸い込んだ際の耐久性等が低かったりと弱点も多い。
因みに最初に市販車に搭載されたのは湾岸マキシにも登場するBMW・2002 turbo (E20)である。