*クアウテモク(元フレッチャー級駆逐艦ハリソン) [#Title]
#attachref(./Cuauhtemoc_top_img.jpg,nolink,30%)
#contents
*性能諸元 [#Ability]
RIGHT:&color(DarkGray){編集時 ver.15.9.0};
LEFT:・基本性能
|>|>|>|CENTER:SIZE(12):|c
|~Tier|8|~種別|ツリー艦艇|
|~艦種|[[駆逐艦]]|~派生元|''[[Marcílio Dias>Marcilio Dias]]''|
|~国家|[[パンアメリカ]]|~派生先|''[[Nueva Esparta]]''|
|>|>|CENTER:SIZE(12):|LEFT:SIZE(12):|c
|~生存性|>|継戦能力|(A) 14,400&br;(B) 16,700|
|~|装甲|艦首艦尾|19-20mm|
|~|~|中央甲板|19mm|
|~|~|中央側面|19mm|
|~|~|上部構造物|13mm|
|~|~|砲塔|20mm|
|~|対水雷防御|ダメージ低減|(A) 0%&br;(B) 0%|
|~機動性|>|機関出力|60,000馬力[hp]|
|~|>|最大速力|35.0ノット[kt]|
|~|>|旋回半径|560m|
|~|>|転舵所要時間|(A) 5.5秒&br;(B) 3.9秒|
&br;
|>|>|>|>|>|>|>|CENTER:SIZE(12):|c
|~隠蔽性|~ |~通常|~火災|~煙幕射撃|
|~|海面発見距離|7.5km|9.5km|2.9km|
|~|航空発見距離|2.9km|4.9km|-|
&br;
|>|>|>|CENTER:SIZE(12):|c
|~射撃管制装置|~モジュール|~主砲射程|~最大散布界|
|~|Mk8 mod.1|11.0km|98m|
|~|Mk8 mod.2|12.1km|106m|
&br;
|>|>|CENTER:SIZE(12):|SIZE(12):|>|CENTER:SIZE(12):|SIZE(12):|c
|~主砲|~口径|~基数×門数|~最大ダメージ|~装填|~180度旋回|~弾種|
|~|127 mm/38 Mk.12 (Mk.30 mod.0 砲座)|5基×1門|AP弾 2150|3.8秒|5.3秒|AP |
&br;
|>|>|>|>|>|>|>|CENTER:SIZE(12):|c
|~魚雷|~口径|~基数×門数(片舷)|~最大ダメージ|~装填|~射程|~雷速|~発見|
|~|533 mm Mk15|1基×5門(門)|15433|128秒|8.0km|61kt|1.3km|
&br;
|>|>|>|>|CENTER:SIZE(12):|c
|~爆雷|~最大ダメージ|~グループ数|~投下数|~装填時間|
|~|3,600|2|8|40秒|
&br;
|>|>|>|>|>|>|>|CENTER:SIZE(12):|c
|~対空砲|~船体|~距離|~口径|~基数×門数|~継続的秒間ダメージ&br;(爆発ダメージ((斉射1回あたりの爆発数×砲弾1発の爆発半径内秒間ダメージ)))|~命中精度|~有効ゾーン&br;0.1km - |
|~|A|中|40 mm Bofors|基×門| 116 |100.0%|3.5km|
|~|~|長|127 mm/38 Mk.12|基×門| 77&br;(4×1470)|100.0%|5.8km|
|~|B|中|40 mm Bofors|基×門| 186 |100.0%|3.5km|
|~|~|長|127 mm/38 Mk.12|基×門| 77&br;(4×1470)|100.0%|5.8km|
&br;
|>|>|>|CENTER:SIZE(12):|c
|~戦闘&br;命令|>|~メーター増加条件|~メーター増加量|
|~|>|敵艦艇に主砲弾を命中させる|4.8% / 発|
|~|>|~メーター減少条件|~メーター減少量|
|~|>|10秒間命中弾なし|20% / 秒|
|~|~ブースト内容|~ブースト効果|~効果時間|
|~|主砲AP弾のダメージ|+50%|10 秒|
&br;
・アップグレード
|>|>|>|>|>|CENTER:70|c
|BGCOLOR(#eeaaaa):スロット1|BGCOLOR(#eeaaaa):スロット2|BGCOLOR(#eeaaaa):スロット3|BGCOLOR(#aaccaa):スロット4|BGCOLOR(#aaccaa):スロット5|BGCOLOR(#aaccaa):スロット6|h
|○|○|○|○|○||
#fold(搭載可能アップグレード){{
搭載可能アップグレード
|BGCOLOR(#eeaaaa):1|&attachref(アップグレード/Icon_modernization_PCM030_MainWeapon_Mod_I.png,nolink,70%);|主砲兵装改良1|主砲および魚雷発射管の機能停止発生率 -20%&br;主砲および魚雷発射管の抗堪性 +50%&br;主砲および魚雷発射管の修理時間 -20%|
|~|&attachref(アップグレード/Wows_icon_modernization_PCM031_SecondaryWeapon_Mod_I.png,nolink,70%);|副兵装改良1|副砲の抗堪性 +100%&br;対空砲座の抗堪性 +100%|
|~|&attachref(アップグレード/Wows_icon_modernization_PCM039_CrashCrew_Mod_I.png,nolink,70%);|応急工作班改良1|応急工作班の有効時間 +40%|
|BGCOLOR(#eeaaaa):2|&attachref(アップグレード/Wows_icon_modernization_PCM020_DamageControl_Mod_I.png,nolink,70%);|ダメージコントロールシステム改良1|浸水発生率 -3%&br;火災発生率 -5%|
|~|&attachref(アップグレード/Icon_modernization_PCM069_Movement_Mod_I.png,nolink,70%);|機関室防御|主機損傷確率 -20%&br;主機修理時間 -20%&br;操舵装置損傷確率 -20%&br;操舵装置修理時間 -20%|
|~|&attachref(アップグレード/Wows_icon_modernization_PCM036_SpeedBooster_Mod_I.png,nolink,70%);|エンジンブースト改良1|エンジンブーストの有効時間 +30%|
|~|&attachref(アップグレード/Wows_icon_modernization_PCM040_AirDefenseDisp_Mod_I.png,nolink,70%);|対空防御砲火改良1|対空防御砲火の有効時間 +20%&br;消耗品「対空防御砲火」の準備時間 -10%|
|BGCOLOR(#eeaaaa):3|&attachref(アップグレード/Wows_icon_modernization_PCM006_MainGun_Mod_II.png,nolink,70%);|主砲改良2|主砲装填時間 主砲旋回速度 +15%|
|~|&attachref(アップグレード/Wows_icon_modernization_PCM018_AirDefense_Mod_III.png,nolink,70%);|対空砲改良1|優先対空セクターの準備時間 -20%|
|~|&attachref(アップグレード/Wows_icon_modernization_PCM033_Guidance_Mod_I.png,nolink,70%);|射撃システム改良1|主砲弾の最大散布界 -7%&br;魚雷発射管旋回速度 +20%&br;副砲最大射程 +5%&br;副砲弾の最大散布界 -5%|
|~|&attachref(アップグレード/Icon_modernization_PCM070_Torpedo_Mod_IV.png,nolink,70%);|魚雷発射管改良1|魚雷発射管の旋回速度 +20%&br;魚雷発射管に甚大な損傷を受ける可能性 -40%&br;艦載魚雷の雷速(他の補正を考慮しない値) +5%|
|BGCOLOR(#aaccaa):4|&attachref(アップグレード/Wows_icon_modernization_PCM023_DamageControl_Mod_II.png,nolink,70%);|ダメージコントロールシステム改良2|浸水復旧時間 -15%&br;消火時間 -15%|
|~|&attachref(アップグレード/Wows_icon_modernization_PCM024_Engine_Mod_II.png,nolink,70%);|推力改良1|最大出力への到達時間 -50%&br;艦が移動を開始する際のエンジン出力を向上|
|~|&attachref(アップグレード/Wows_icon_modernization_PCM025_SteeringGear_Mod_II.png,nolink,70%);|操舵装置改良1|転舵所要時間 -20%|
|~|&attachref(アップグレード/爆雷改良1.png,nolink,70%);|爆雷改良1|爆雷数 +2|
|BGCOLOR(#aaccaa):5|&attachref(アップグレード/Icon_modernization_PCM026_LookoutStation_Mod_I.png,nolink,70%);|魚雷発見システム|魚雷の強制捕捉範囲を 1.8km という固定値に向上|
|~|&attachref(アップグレード/Wows_icon_modernization_PCM027_ConcealmentMeasures_Mod_I.png,nolink,70%);|隠蔽システム改良1|発見距離 -10%&br;空母中隊の発見距離 -10%&br;自艦を攻撃中の敵が射撃した砲弾の最大散布界 +5%|
|~|&attachref(アップグレード/Wows_icon_modernization_PCM035_SteeringGear_Mod_III.png,nolink,70%);|操舵装置改良2|転舵所要時間 -40%&br;操舵装置修理時間 -80%|
|~|&attachref(アップグレード/Icon_modernization_PCM072_AbilityWorktimeBoost_Mod_I.png,nolink,70%);|艦艇消耗品改良1|艦艇の消耗品の動作時間 +10%|
}}
・消耗品
#fold(搭載可能 消耗品){{
搭載可能 消耗品
|CENTER:36|CENTER:48|CENTER:64|CENTER:36|CENTER:36|CENTER:36|LEFT:420|c
|~スロ&br;ット|消耗品|名称|使用&br;回数|準備&br;時間|有効&br;時間| 効果|h
|~R|&attachref(消耗品/consumable_PCY009_CrashCrewPremium.png,nolink,70%);|応急&br;工作班|∞|40|5|火災を消化し、浸水を復旧し、損傷したモジュールを修理する。また敵潜水艦の魚雷誘導を阻止する。|
|~T|&attachref(消耗品/Consumable_PCY015_SpeedBoosterPremium.png,nolink,70%);|エンジン&br;ブースト|3|120|120|艦艇の最大速度を一時的に向上させる&br;最大速度の上昇率:8 [%]|
|~Y|&attachref(消耗品/Consumable_PCY010_RegenCrewPremium.png,nolink,70%);|修理班|3|80|14|自艦のHPを回復する&br;回復量:最大HPの 1.0 [%/秒]|
|~U|&attachref(消耗品/Consumable_PCY022_ArtilleryBoosterPremium.png,nolink,70%);|[[主砲装填&br;ブースター>消耗品#MainGunReloadBooster]]|80秒&br;&size(8){(合計使用時間)};|5|1秒&br;&size(8){(最小動作時間)};|主砲の装填時間を一時的に-50%にする|
}}
**ゲーム内説明 [#Explain]
元フレッチャー級駆逐艦ハリソンは第二次世界大戦を通じて攻撃作戦に参加し、主要な島々へ向かう空母や水陸両用強襲部隊を護衛すると共に、陸上部隊への火力支援も行いました。本艦は戦中の功績により、従軍星章を11個受章しています。1946年に退役して予備艦となった後、1970年にメキシコ海軍に売却され、クアウテモクと改名されて1982年まで運用されました。
**解説 [#Manual]
パンアメリカのTier8駆逐艦、ツリー艦艇。
本艦から戦闘命令が搭載され、パンアメリカ駆逐艦としての本領を発揮できるようになる。また、アメリカが誇るフレッチャー級駆逐艦らしく、全体的に高性能な艦となっている。
-''抗堪性''
HPは順当に増加しており、日本やイギリス駆逐艦のような雷駆のHPよりも多少勝るようになった。修理班も3回使用できるようになったため、粘り強く戦えるだろう。
-''主砲''
単装砲5基5門を搭載している。前級と同じ砲門数だが、装填時間がわずかに延長されたことで、DPMは低下している。しかし、後述する戦闘命令が使用可能になったため、これを活用すれば前級を上回る火力を発揮できる。
アメリカ駆逐艦でおなじみの127mm単装砲を搭載したことで、砲塔の旋回性能が大幅に向上している。転舵を繰り返しても砲塔が追従しやすく、機動戦を仕掛けやすい。また、砲弾の弾道は山なりの弾道を描きやすいアメリカ駆逐艦の砲弾と異なり、平たんに飛ぶため偏差射撃を行いやすい点も長所と言える。
-''魚雷''
魚雷発射管を1基5門搭載している。前級から1門増加した一方、再装填時間はさらに延長され、2分以上を要するようになった。気軽に射撃できるものではないため、牽制に使うのか、敵駆逐艦への不意打ちを狙うのか、状況に応じて運用を考える必要があるだろう。
威力・射程・雷速は前級から据え置き。射角は前級より悪化しており、やや後方寄りにしか発射できない点には注意が必要。
-''爆雷''
前級から爆雷1発あたりの威力はわずかに低下したものの、投下数は2個増加している。
-''対空火力''
元アメリカ駆逐艦になったことで、対空兵装は前級から強化されている。特に長距離対空兵装は爆発数が1個から4個に増加しており、ある程度の対空弾幕を展開できるようになった。
とはいえ、空母に対する抑止力としては依然心もとない。航空機に発見されるリスクを抑えるため、必要な場面以外では対空砲を停止し、航空発見距離に注意しながら立ち回る運用も引き続き有効だろう。
-''機動性''
速力は前級の36.5ノットから35ノットに低下している。一方、転舵所要時間と旋回半径は前級からわずかに改善しており、操艦性は向上している。
同格のアメリカ駆逐艦[[Benson]]や[[Kidd]]より舵が悪めのため、先の艦の扱いに慣れている艦長にとっては、やや舵が重く感じられる可能性があるため注意しよう。
-''隠蔽性''
最良隠蔽距離は6.1km。
アップグレード5枠目が解禁され、「隠蔽システム改良1」を搭載できるようになったものの、元アメリカ駆逐艦としてはやや物足りない数値である((Tier8の米駆は大体隠蔽距離が5.8kmの艦が多いため。[[Fletcher]]組の中では[[Halford]]と並んで最悪。))。同Tier帯には隠蔽距離が5.2~5.8km程度の高隠蔽駆逐艦も多く、発見距離の差を意識した立ち回りが求められる。
隠蔽差のある相手に不用意に接近すると、こちらが発見できないまま一方的に発見され、敵の集中砲撃を受ける危険もある。島を利用して接近したり、敵から集中砲火を受けない状況を見極めて前進したりするなど、ファーストコンタクトの際には工夫して戦いたい。
-''消耗品''
--''エンジンブースト''
低Tierからおなじみのエンジンブースト。本艦では性能が向上しており、前級までの速力向上効果が+8%だったのに対し、本艦からは''&color(red){+15%};''に強化されている。素の速力が低下していることに加え、隠蔽差を意識した立ち回りが必要になる本艦にとって、速力を大きく引き上げられるのはありがたい強化と言える。
--''修理班''
前級から使用回数が1回増加している。艦長スキル「管理」も取得すれば、最大4回まで使用可能となる。持ち前のHPと合わせて、粘り強く戦おう。
--''主砲装填ブースター''
前級から性能に大きな変更はない。後述する戦闘命令と組み合わせることで、短時間に凄まじい火力を叩き込めるため、発動のタイミングを見極めて敵艦を削りたい。
-''戦闘命令''
''本艦から搭載される最大のセールスポイント。''
戦闘命令を発動すると、10秒間にわたって主砲ダメージが+50%される。効果時間こそ短いものの、本艦は主砲の装填時間が短く、主砲装填ブースターも搭載しているため、効果中に大きなダメージを与えられる。
主砲装填ブースターを開幕から使用し、戦闘命令を1回発動させた場合、最初の1分間で与えられる理論ダメージは約37万に達する((砲弾が全弾命中し、最短で戦闘命令を発動させたうえで、戦闘命令を1回だけ使用して1分間砲撃した場合の計算値。))。これは戦闘命令の発動タイミングと主砲装填ブースターの併用を考慮した数値であり、通常時のDPMとは異なる。
AP弾は過貫通すると1発あたりのダメージが砲弾ダメージの10%に低下するが、それでも全弾が過貫通した場合、最初の1分間で約3.7万ダメージを与えられる計算となる。敵駆逐艦に対しても、短時間で致命的なダメージを与えられる可能性が高いだろう。
ただし、これらは全弾命中を前提とした理論値であり、実戦では命中率や敵艦の装甲、射撃中の状況などによって与ダメージは大きく変化する。戦闘命令と主砲装填ブースターをどのタイミングで併用するかが、本艦の火力を引き出すうえで重要となる。
-''総評''
本艦は戦闘命令を獲得したことで、パンアメリカ駆逐艦としての強みを本格的に発揮できるようになる。
アメリカ駆逐艦らしい良好な砲塔旋回性能と扱いやすい機動性を備え、戦闘命令と主砲装填ブースターを組み合わせれば、瞬間火力は非常に高い。敵駆逐艦との遭遇戦では相手のHPを一気に削り、大型艦に対しても短時間で大きなダメージを与えられる。この瞬間火力をいかに活用するかが、本艦を使いこなすうえで最大のポイントとなるだろう。
一方、隠蔽性は同Tier帯の高隠蔽駆逐艦に劣るため、敵駆逐艦との索敵合戦では不利になりやすい。積極的に姿を見せてくる相手には高い火力を押し付けられるが、隠蔽性を活かして立ち回る相手には苦戦を強いられることもある。
艦長スキルには主砲の強みを伸ばす構成を採用するのが理想的だが、高隠蔽艦への対策を重視するなら、無線方向探知を取得するなど、プレイスタイルや想定する相手に合わせたビルドを選ぶのもよいだろう。
**史実 [#History]
-''建造''
USS Harrison(DD-573)は、アメリカ海軍のフレッチャー級駆逐艦として、テキサス州オレンジのコンソリデーテッド・スチール社で建造された艦艇である。1941年6月25日に起工、1942年5月4日に進水し、1943年1月25日に就役した。
艦名は、19世紀のアメリカ海軍士官ナポレオン・ボナパルト・ハリソン(Napoleon Bonaparte Harrison)に由来する。彼は米墨戦争や南北戦争に従軍した経歴を持ち、南北戦争ではニューオーリンズ攻略作戦にも参加した人物である。
フレッチャー級は、第二次世界大戦中のアメリカ海軍を代表する駆逐艦の一つであり、最終的に175隻が建造された。従来の駆逐艦と比較して船体が大型化し、強力な主砲と対空兵装、魚雷発射管を備えていたほか、対潜戦闘や艦隊護衛、上陸作戦の支援などにも対応できる汎用性を備えていた。
また、戦争の進展に伴って航空攻撃の脅威が増大すると、対空兵装の増強やレーダーを利用した防空戦闘も重要になった。Harrisonもこうしたフレッチャー級の一隻として、太平洋戦争後半の主要な作戦に投入されることになる。
-''Harrisonとしての戦歴''
#fold(''解説を開く''){{
就役後のHarrisonは、まずメキシコ湾やカリブ海で慣熟訓練を実施した。その後、商船の護衛任務に従事し、パナマ運河地帯を経由してニューヨークへ向かった。さらに、カサブランカへ向かう船団の護衛にも参加しており、就役当初は大西洋方面で活動していた。
1943年7月、Harrisonは空母[[Lexington]]とともにノーフォークを出港し、太平洋方面へ向かった。8月に真珠湾へ到着した後、太平洋戦線での作戦に備えて訓練を実施。以後は、アメリカ軍が日本軍の占領地域を攻略していく一連の島嶼作戦に投入された。
太平洋戦線における駆逐艦の任務は、単に敵艦と交戦することだけではない。空母機動部隊に随伴して敵航空機の攻撃から空母を守り、上陸部隊を輸送する艦艇を護衛し、必要に応じて陸上の敵陣地を砲撃するなど、作戦全体を支える役割を担っていた。Harrisonもこうした任務を繰り返しながら、前進するアメリカ軍の作戦を支援した。
1943年秋にはソロモン諸島方面へ進出し、哨戒や護衛任務に従事した。この海域では、それまで長期間にわたって日米両軍の激しい航空戦・海上戦が続いていた。アメリカ軍は航空基地や泊地を確保しながら北西方向への進撃を進めており、駆逐艦による護衛や警戒活動は、空母や輸送船団を安全に行動させるうえで重要だった。
1944年にはニューギニア方面の作戦にも参加した。4月にはフンボルト湾方面からホーランディア攻略作戦を支援し、空母部隊による航空攻撃や上陸部隊の行動を支えた。さらに、9月15日のモロタイ島上陸作戦では、ロバート・L・カーニー提督ではなく、トーマス・C・キンケイド提督の指揮系統とは別のニューギニア方面上陸作戦を担当したダニエル・E・バーベイ少将の部隊による上陸を艦砲射撃で支援した。
モロタイ島は、フィリピン攻略作戦に向けた航空基地の確保という点で重要な島だった。日本軍の勢力圏に近い場所に航空基地を設けることで、連合軍は航空機の活動範囲を広げ、後続の作戦を支援する態勢を整えることができた。Harrisonは上陸部隊に対する砲撃支援を実施した後、哨戒や護衛任務を続けた。
同年10月にはフィリピン攻略作戦に参加した。Harrisonは10月20日にレイテ島沖へ到着し、上陸作戦の初期段階において陸上の目標に対する艦砲射撃を実施した。その後はレイテ湾周辺で護衛任務に従事し、輸送船や作戦部隊の行動を支援した。
レイテ島攻略は、アメリカ軍がフィリピン奪還を本格化させるうえで重要な作戦だった。日本側もフィリピン方面の戦局を決定づけるべく大規模な海軍部隊を投入し、レイテ沖海戦が発生した時期でもある。ただし、Harrisonの艦歴において確認できる主要な任務は、上陸部隊への砲撃支援や湾内の護衛であり、同海戦における個別の水上戦闘への参加と混同しないよう注意が必要である。
1944年11月にはアメリカ本土へ帰還し、カリフォルニア州メア・アイランド海軍造船所で整備を受けた。1945年1月に再び真珠湾方面へ向かい、2月にはウルシー環礁に到着。ここでマーク・ミッチャー中将が率いる第58任務部隊に加わった。
第58任務部隊は、アメリカ海軍の高速空母機動部隊の中核であり、空母を中心に戦艦・巡洋艦・駆逐艦などを組み合わせて運用された。駆逐艦は空母の周囲に防空・対潜の警戒網を形成するだけでなく、洋上補給時の護衛や、敵の反撃を受けた際の防御にも欠かせない存在だった。
2月中旬、Harrisonは空母[[Hornet]]やWaspなどとともに日本本土への空襲作戦に参加した。これは1942年のドーリットル空襲以来となる、日本本土に対する大規模な空母機動部隊の攻撃の一つである。艦隊は日本近海へ進出し、東京周辺の飛行場などを攻撃する空母航空隊を支援した。
その後、部隊は硫黄島攻略作戦の支援に向かった。硫黄島は日本本土とマリアナ諸島の中間に位置し、日本本土への空襲や連合軍航空機の活動をめぐる重要な拠点だった。Harrisonは空母部隊の護衛を続け、作戦終了後には再び日本本土への空襲を支援した。
3月には沖縄攻略作戦の準備に加わり、14日にウルシーを出撃した。沖縄戦は、日本本土への侵攻を見据えた連合軍にとって極めて重要な作戦であり、日本側も航空機や特攻機を投入して激しく抵抗した。
4月1日の沖縄本島上陸後、Harrisonは空母機動部隊に随伴し、上陸部隊への航空支援を行う空母を護衛した。4月6日には日本軍の特攻機による攻撃を受け、Harrisonの対空砲火はそのうち2機を撃墜したと記録されている。以後も同艦は、沖縄周辺で繰り返される航空攻撃から空母部隊を守る任務に従事した。
沖縄戦では、特攻機による攻撃がアメリカ艦隊にとって深刻な脅威となった。駆逐艦はレーダーによる早期警戒や対空射撃を担い、空母の周囲で敵機を迎撃する重要な役割を果たした。Harrisonが撃墜した2機という記録は、同艦が実際にこうした激しい航空戦の渦中にあったことを示している。
4月末にウルシーへ戻ったHarrisonは、5月に再び沖縄方面へ向かった。その後も第3艦隊に編入された空母機動部隊の一員として、沖縄への支援と日本本土への空襲に従事した。
6月5日には台風に遭遇した。太平洋で活動する艦隊にとって、台風は航空攻撃とは別の重大な脅威だった。波浪や強風によって艦艇が損傷し、洋上補給や航空作戦にも支障が生じるためである。この際、重巡洋艦Pittsburghは艦首部分を失うほどの損傷を受けた。Harrisonもこの嵐を経験し、艦隊は損傷修理のためレイテ湾へ向かった。
7月には再び日本本土近海へ進出し、空母部隊の護衛を続けた。この時期のアメリカ海軍は、日本の航空戦力や海上交通を徹底的に攻撃しており、Harrisonも対空警戒や艦隊護衛に従事した。また、巡洋艦4隻と駆逐艦5隻からなる部隊に加わり、本州北岸で日本の海上交通を捜索する作戦にも参加した。しかし、この掃討では攻撃目標となる敵艦船を発見できなかった。
7月30日から31日にかけての夜間には、駆逐隊とともに駿河湾へ進出し、鉄道施設やアルミニウム工場に対する艦砲射撃を実施した。日本本土への直接攻撃が続くなかで、Harrisonは空母の護衛だけでなく、沿岸部の目標に対する砲撃にも投入されたのである。
日本の降伏後、Harrisonは8月26日にグアムへ到着し、9月には真珠湾へ向かった。その後、空母[[Enterprise]]とともにパナマ運河地帯を経由してアメリカ東海岸へ帰還し、10月17日にボストンへ到着した。11月にはチャールストンへ移動し、1946年4月1日に退役した。
Harrisonは第二次世界大戦中の功績により、11個のバトルスターを授与された。これは同艦が太平洋戦争後半の主要な作戦に数多く参加したことを示している。
}}
-''Cuauhtémocとしての艦歴''
#fold(''解説を開く''){{
第二次世界大戦の終結後、アメリカ海軍は大規模な動員解除を進め、戦時中に大量建造された艦艇の多くを予備役へ編入した。Harrisonも1946年に退役し、テキサス州オレンジで保管された。
しかし、退役は直ちに解体を意味するものではなかった。大戦中に建造された駆逐艦は、戦後も必要に応じて再就役させられる予備戦力として保管され、同盟国や友好国への供与・売却の対象にもなった。フレッチャー級は大量生産されたことに加え、十分な航洋性と兵装を備えていたため、戦後も各国海軍で長期間使用されることになる。
Harrisonは1968年5月1日付でアメリカ海軍の艦艇登録から抹消された後、1970年8月19日にメキシコへ移管された。メキシコ海軍ではCuauhtémoc(クアウテモック)と改名され、艦番号E-01を与えられた。
この移管は、第二次世界大戦時のアメリカ海軍艦艇が戦後も他国の海軍で利用された事例の一つである。アメリカ海軍にとっては旧式化した艦艇を整理する一方、メキシコ海軍にとっては、すでに完成された大型駆逐艦を取得することで、一定の水上戦闘能力を確保できるという利点があった。
ただし、移管後のCuauhtémocが、第二次世界大戦中と同じ装備・戦闘能力を完全に維持していたと断定することはできない。戦後の艦艇は、電子機器や対空兵装などの更新状況、整備部品の供給、乗員の訓練体制によって実際の能力が左右されるためである。少なくとも、アメリカ海軍時代のHarrisonの戦歴と、メキシコ海軍時代の運用実態は分けて考える必要がある。
メキシコ海軍での艦名となったCuauhtémocは、16世紀初頭にスペインによる征服に抵抗したアステカ帝国最後の皇帝に由来する。クアウテモックは1521年にスペイン軍に捕らえられ、1525年に処刑された人物であり、現在のメキシコでは征服に対する抵抗や民族的な誇りを象徴する歴史的人物として知られている。
その名をアメリカ製の駆逐艦に与えたことは、単なる艦名の変更にとどまらず、メキシコ海軍の艦艇として新たな位置づけを与えるものだった。アメリカ海軍で用いられたHarrisonという艦名は、19世紀のアメリカ海軍士官に由来するものだったが、メキシコ海軍への移管に伴い、艦名はメキシコの歴史と国家的象徴に結びついたものへと変わった。
一方、Cuauhtémocは帆走訓練艦として建造された後継艦と混同しないよう注意が必要である。現在知られるメキシコ海軍の練習帆船Cuauhtémoc(BE-01)は、1982年に進水した別の艦艇であり、旧Harrisonとは艦種も用途も異なる。旧Harrisonは駆逐艦として運用された艦艇であり、両者は艦名を共有する別個の艦である。
}}
-''最後''
Cuauhtémocはメキシコ海軍で運用された後、1982年に退役し、解体された。
Harrisonとして1943年に就役してから、メキシコ海軍での退役までを通算すると、艦としての経歴は約39年に及ぶ。そのうち、アメリカ海軍で実際に現役艦として運用された期間は第二次世界大戦期を中心とする約3年間であり、その後は長期間にわたって予備役として保管され、最終的にメキシコ海軍で再び使用されたことになる。
この艦歴は、第二次世界大戦中に大量建造された駆逐艦が、戦争終結とともに役割を終えたわけではないことを示す事例である。フレッチャー級の一部は、戦後のアメリカ海軍で再就役したほか、外国海軍へ移管され、冷戦期にも運用が続けられた。
Harrison/Cuauhtémocもまた、太平洋戦争の激戦を経験した艦艇が、戦後の国際的な艦艇移管を経て別の国の海軍に引き継がれた一例である。第二次世界大戦中の空母護衛、沖縄戦での対空戦闘、日本本土への艦砲射撃、そして戦後のメキシコ海軍での運用という経歴を持つ本艦は、フレッチャー級駆逐艦の長い戦後史を物語る艦艇の一隻といえる。
**小ネタ [#Digression]
*編集用コメント [#EditorialComment]
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#pcomment(./編集用,reply,5)
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