装甲

Last-modified: 2022-10-02 (日) 11:20:05

【目次】

装甲

装甲とは敵弾を防ぐために車体に取り付けられた鉄鋼板の事で、車輌の生存性に大きく関わるもの。ゲーム内でも車輌の生存性に非常に重要な役割を果たします。砲弾の記述も合わせて参考にしてもらえると理解しやすくなると思います。

装甲効果

装甲は幾らか計算が簡略化されているものの、現実に近い装甲効果を得ることが出来る。
有効装甲厚=装甲厚/cos(装甲傾斜角)x装甲材防弾倍率
例えばパンターD型は厚さ80mm、傾斜角55°の前面装甲を持つ。これを計算式に当てはめると
有効装甲厚=80/cos(55°)×1.0=80/0.574×1.0=139.37mm
つまり垂直装甲換算で約140mm相当の厚みを持っているということになる。更に砲弾には角度による貫徹力の減衰があり、APCBC弾は角度55°で入射すると約50%の貫徹力しか発揮できなくなる。そのためT-44の85mm BR-367弾は100m先の155mmの垂直装甲を撃ち抜ける貫徹力があってもパンターの前面装甲を凹ませる事しかできない。
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しかしKV-2の152mm PB-35弾は130mmの貫徹力しか持っていないにも関わらずパンターの前面装甲を撃ち抜くことができた。
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何故85mm砲よりも貫徹力の低い152mm砲がパンターの車体正面を撃ち抜くことが出来たのか。実は実装甲厚より1.3倍以上口径の大きい砲弾は傾斜による増厚効果を2/3無効化する事が出来る。パンターの車体正面の実装甲は80mmしかないため、1.3倍(104mm)以上の口径を持つKV-2の152mm砲の前ではこの効果が適用されてしまい、更にAPCBC弾の標準化と撃ち下しの傾斜相殺が合わさって*155°の80mm装甲に対して65mmの貫徹力しか発揮できないPB-35弾に撃ち抜かれてしまった。
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但し相手の装甲が極端に薄くない限りは角度次第で跳弾するため、大口径砲を使っているからと言って過信は禁物。

中空装甲

中空装甲はドイツの戦中戦車*2、や一部ソ連戦中戦車、西側諸国MBTが装備している。空間装甲とも
HEAT(FS)弾やHESH弾は、外側の装甲に命中した際に起爆する為、2枚の装甲の間の空間によって衝撃波と破片が受け止められ、破壊効果が弱められる。HEAT弾は外側の装甲での起爆により適切なスタンドオフ距離を保つことが出来ず、結果貫徹力が低下する*3
飽くまで敵弾の破壊力を下げる事しか出来ず(無効化はほぼ出来ない)、敵車輌がどんな弾種を使うのかも分からない中態々脆弱な車体側面を晒すのは自殺行為に近いので頼りにしない方が賢明。側面攻撃を受けた時位にしか効果を発揮する機会はないだろう。因みに榴弾には信管延期距離が設けられている為榴弾及びその破片を防ぐ事は出来ない。
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Pz.IV Hのシュルツェン
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T-34-85Eのメッシュスクリーン
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LeopardA1A1のサイドスカート

避弾径始

避弾経始とは、戦車などの装甲を傾斜させる事により、徹甲弾などの対戦車砲弾の運動エネルギーを分散させ逸らして弾く(跳弾させる)という概念。傾斜装甲のもう一つの利点。ゲーム内では確率で跳弾(一定以上の角度になると確実に跳弾する)するようになっており、衝突角が大きければ大きいほど跳弾する確率は高くなる。ただし一部の戦後弾(APDSやAPFSDS)は跳弾率が低く設定されており、弾くといった事はまず出来ないので敵弾を防ぐ/避ける事が必要となる。また飽くまで跳弾は確率で起こるものなので過信は禁物。

装甲材

WarThunderでは車輌のパーツ毎に装甲の材質が決められており、装甲材毎に防弾効果に倍率が掛けられている。

High hardness rolled armor/高硬度圧延装甲(防弾倍率1.05)

均質圧延鋼装甲より硬度を高めた装甲。現在はⅢ号戦車L,M,N型の正面追加装甲や独ソ伊瑞MBTの複合装甲材に使用されている。

Rolled homogeneous armor(RHA)(modern)/均質圧延鋼装甲(近代)(防弾倍率1.01)

ランク6MBTの装甲に用いられる装甲材。わずか1%だけだが装甲厚に倍率が加算される。

Rolled homogeneous armor(RHA)/均質圧延鋼装甲(防弾倍率1.00)

均質圧延鋼装甲とは全体が均質な圧延鋼板で作られた装甲。品質管理が容易である程度の強度があり、量産に向いて安価だった為にゲーム内に登場する戦車の大半がこの材質で出来た装甲を装備している。

Cast homogeneous armor(CHA)(modern)/鋳造装甲(近代)(防弾倍率0.98)

ランク6MBTの装甲に用いられる装甲材。3%程通常のCHAより倍率が強化されている。

Cast homogeneous armor(CHA)/鋳造装甲(防弾倍率0.95)

鋳造装甲とは炭素を豊富に含む事で融点を高め流動性を確保した鋳鉄を、砂などで作った型に流し込んで造る鋳造によって造られる装甲。曲面や複雑な形状の装甲を簡単に造れる為防楯や湾曲砲塔の大半はこの鋳造装甲で出来ている。鍛造に比べると不純物が入りやすく、硬くなりすぎ脆くなってしまうという欠点があり、ゲーム内でもRHAより防弾倍率で若干劣っている。アメリカは鋳造生産によって大量の戦車を製造した事で有名。それ故に鋳造装甲で装甲を構成された車輌が多く、RHAを採用した他国戦車よりも防弾性能で劣っている。元の装甲厚自体が薄いのであまり関係はないが

Aluminium alloy 7017/アルミニウム合金7017(防弾倍率0.80)

1.71アップデートで追加された装甲。アルミ合金にしては高い倍率を持つ。

Alloy ABT-101/アルミニウム合金ABT-101(防弾倍率0.53)

アルミニウム合金で出来た装甲。防弾性能は構造用鋼等よりは高いものの、RHAや鋳造装甲には遠く及ばない。BMD-1等のソ連の戦闘車輌に用いられており、ゲーム内ではObjcet 906の車体がこの装甲で出来ている。

Aluminium alloy AMS 4050A/アルミニウム合金AMS 4050A(防弾倍率0.50)

こちらもアルミニウム合金で出来た装甲。防弾性能はABT-101と7039の中間。Type 87 SPAAGの砲塔装甲に用いられている。

Aluminium alloy 7039/アルミニウム合金7039(防弾倍率0.47)

こちらもアルミニウム合金で出来た装甲。防弾性能はアルミニウム装甲の中で最も低い。この装甲を装備しているのはM551シェリダンとM163 VADSのみである。

Structural steel/構造用鋼(防弾倍率0.45)

構造用鋼とは車輌に用いる為に強度を高めた鋼。つまり只の構造部品であり装甲ですらない。それ故に防弾性能はRHAや鋳造装甲にかなり劣る。OVM(車外装備品)や空挺戦車の車体、T26E1-1の増加装甲が構造用鋼となっている。

Structural steel of chassis/転造鋼(防弾倍率0.45)

転造鋼とは車体の足回りに用いられる鋼の事。サスペンションや転輪が転造鋼となっている。強度は構造用鋼と変わらない。

Tracks/履帯(防弾倍率0.40)

履帯とは金属の板を帯状に連結した装軌車両の走行装置の一部となる物。高い防弾効果は期待できなかったものの、最も簡単に手に入る防弾板として増加装甲によく用いられた。防弾倍率は0.40

Aluminium/アルミニウム(防弾倍率0.20)

1.71アップデートで追加された装甲。合金ではないので倍率はかなり低い0.20

Rubber/ゴム(防弾倍率0.05)

1.71アップデートで追加された装甲。倍率はとても低い0.05だが、二次飛散を発生させない。Chieftain Mk.10のスティルブリュー追加装甲に用いられる。

NBC liner/対NBCライナー(防弾倍率0.05/対2次飛散防弾倍率0.30)

1.71アップデートで追加された装甲。内張りライナーである。倍率はとても低い0.05だが、二次飛散を発生させず、二次飛散に対して0.30の防弾倍率を持つ。T-55Aの内張り装甲が構造用鋼からこれに置き換えられた他、T-64A内部にも存在する。


*1 砲弾には目標に衝突した際、装甲面に対して垂直になろうとする力が働く。詳しくは砲弾の頁を確認。APCBC弾の場合、55°の装甲に対して約7°の標準化がなされるためPantherの正面装甲傾斜は48°相当になってしまう。更に撃ち下しの角度も考慮すると実際の装甲傾斜は42°程度に過ぎず、実際の有効装甲厚は約108mm程度にしか満たない。実装甲は80mmなので傾斜による装甲増加分は28mm、その内の2/3が無効化されるため152mm APCBC弾に対する有効装甲厚は80+28×1/3=89mmとなる。砲弾の貫徹力も同じように標準化と傾斜相殺の恩恵を受けるため、砲弾の傾斜による貫徹力減衰は55°時のものではなく42°時のものになり、約88mmの貫徹力を持つことになる。砲弾の貫徹力には若干の上振れ下振れがあるので、場合によってはPantherの正面装甲を撃ち抜く事が出来る。
*2 ドイツの戦中戦車が搭載しているシュルツェンは、厳密には対戦車歩兵火器である対戦車ライフルから脆弱な側面部分を守る為の増加装甲であり、中空装甲効果を狙って装備され始めたものではない
*3 一部のサイドスカートは逆に中空装甲によってスタンドオフ距離を作ってしまい、HEAT弾の威力を上げてしまっていたりする