文化祭イベで雪にぼだよ~

Last-modified: 2017-09-10 (日) 19:45:42

文化祭幕間 後編一話と二話の間位だと思われます

 

何故それを選んだかを聞かれたら、強いて言うなら消去法。
食材、調理、被服(当日の給仕係)と分かれた文化祭の担当を受け持つならば
是非、食材以外の所で手を上げたい気分だったのだ。
山の中を行く食糧調達は体力的にしんどいと言う事も有るのだけれど
より直接的な理由としては、何よりも深刻なボケ分過剰。
密かに突っ込み側の人間として期待していた棗さんまでもがボケに回ると言う
まさかの事態を招いた前回の山登り。
それを一日通して実感したのです。あれをもう一度は私には無理だって。
右手をご覧ください。銀球ペアです。左手をご覧ください。園子ちゃんです。
前には若葉で後ろはえっ、何でどんぐりを見つめてるの棗さん。
と言うか松茸を食べているバーテックスは味が違ったりするのだろうかって何なの若葉。乃木つえー。
東西南北中央私。これは実質包囲網。兵法で言う所のまさに死地。
死中に活を求めるなんて言葉も有るけれど、雪花ちゃんのメンタルは文化部です。
元々出来る事には限界があるって考えだし。そんなに四方八方からボケを投げられても処理限界があるのです。
限界を越えてもぽこぽこ投げられると、頭が暴走しちゃいます。ぐるぐるおめめです。
新しく語尾だって生まれちゃう。にゃあ。

 

そう言う訳で、君子でなくとも危うきに近付きたくない私は頑張りました。
ファッションが好きで洋裁も行ける秋原雪花です。希望は特にありませんが、洋裁が出来ます。秋原雪花です。
大事な事は繰り返し。これは勉強から役割の志望を聞かれた時まで広く応用の利く不変の真理。
見事被服係を勝ち取って、その思いは強くなる一方。気分も右肩上がりで、服飾作りを軽く請け負います。
採寸、裁断、裁縫だって、ファッション関係なら何でもござれ。
そう言う訳で早速将来のウェイトレスを掴んだ巻き尺で測り出す。
手始めに結城っちを万歳させて背丈行丈腰丈その他。はいオッケーもういいよ。
かつて習い覚えた慣習通り。流れ作業でこなして行って、最後の一人を前にはたと手が止まる。
そう言えば夏凛も給仕担当だっけ。確かに完成型勇者の五感的に、現場で動き回るウェイトレスは適職だろう。
当然それ用に制服を作らなければいけないのだけれども。ふと私の手を止めさせたのは、馬鹿みたいな考えだった。
あれ、体の数字測ったり知ったりするのって、何かあれじゃない。えろい。
いや、いやいや。結城っちとかだって採寸したし。それとこれとは別なんだけど。
でもそれにしたってほら今までに家に上がったり、泊まったりしたけど何ともなかったし。
具体的な数字って何か生々しくない?いやそんな事はあるけれど。
くっ鎮まれ私のメジャー…なんて、躊躇ってるのは私の手の方だ。
妙な葛藤に翻弄されて、ふるり、ふるり。迷惑なのはと言えば万歳の格好のまま一向に作業に進捗の無い夏凛の方で。
その恰好のまま訝し気な視線を送って来た。すいませんそれもう売り切れなんですよ。また明日来てください。
昔は腕のいい洋裁職人だったのだが、両腕に震えが来てしまってな。駄目だいい言い訳が思い浮かばない。
いいいいわけ?いいいいいわけ?ああややこしい。

 

そうして沈黙と間に耐え切れなくなった私に日頃の行いだろうか、良さそうな解決策が降って湧く。
誤魔化そうとするから墓穴を振る訳で、いっそ開き直ってしまえばいいんじゃない?
いやー体のサイズ図るのって何かエロいよねとか。
それで馬鹿じゃないの?って駄目な物を見る様なジト目で言葉の一つも貰えば笑ってこの問題は終了。終了です。
自分で考えても、今掛けている眼鏡に恥じなければいけない位知性とは縁遠い解決策だけれども。うん、それで行こう。

 

待って夏凛。頑張って、色んな物を総動員して、なるべく頑張って冗談めかして言ったのに。
馬鹿じゃないのって言ってくれないと。その反応は、本当に、心臓に悪い。