メインストーリー/束の間の温もり

Last-modified: 2025-12-01 (月) 19:25:36

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暖かな夜

(目が覚めたし、瞬光に会いに行こう。)
(外から声が…オシシとシシオが
口喧嘩してるっぽい…?
ついでに様子を見てみよう。)

外に出よう
一夜が明けた。まずは瞬光の様子を見に行こう…外でボンプたちが喧嘩している声も聞こえるみたいだし、ついでに様子を見てみよう。

オシシ:ンナナ!(シシオ、お前さんが瞬光さんをそそのかすからだ!)
(オシシと話す)
オシシ:ンナ、ンナナ!
    (お前さんのせいだぞ、シシオ!
    お前さんがあんな前例を作ってしまったからだ!)
シシオ:ンナ、ンン!
    (異なことを!われをおとしめるでない!
    われに何の非があるというのだ!)
オシシ:ンナ、ンンンナ。
    (お前さんが前にこっそり山を下りて、
    「教えを破る」悪い手本を見せてしまったせいで、
    瞬光さんもそうやって冒険したいと思うようになったに違いない…!)
シシオ:ンナンナ、ンナ。
    (世迷言を!お前さんこそ何年も適当観に安穏と暮らし…
    山での日々も、光ちゃん先生の心の内も、知る由もないだろう!
    われに言わせれば、彼女は「本心に従った」までだ!)
シシオ:ンナ、ンナナ~
    (彼女はまるで、われが近頃学んだ中でも至高の書物、
    『九天に昇る剣』の主人公のようではないか!
    前途がいかに険しかろうと、剣と心を頼りに、ひたに進む…)
シシオ:ンナ!ンナ!
    (その覚悟たるや、「悟りを尋ね、試練を超越、勇んで山を下る」
    われになんと似ていることか!どちらも…そう、これはろまんなのだ!
    なんともはや、壮大なことよ、痛快なことよ!)
オシシ:ンナナンナ、ンナ!
    (瞬光さんが背負ってるものの重さを忘れたのか!?
    あの青溟剣は、人の記憶を呑み、五感をも喰らう、
    恐ろしい武器なんだぞ!)
シシオ:ンナ、ンナ…
    (…む、無論、知っておる…)
シシオ:ンナ、ンナナンナ。
    (ただ!世の美食、世の繁華を味わい尽くしてこそ、
    心は流水のごとくなり、剣の反動にも抗いうるというもの!
    すなわち…世俗にまみれてこそ、剣の道はず!)
オシシ:ンナ、ンナナ!
    (うえぇ…お前さん昔はそんな話し方じゃなかったろう…ネット小説に
    かぶれたと思ったら、揚げたての揚げパン以上に胸焼けするやつに
    なってしまって…聞くだけで、われのパーツに鳥肌が立ってくる!)
シシオ:ンナ?ンナ!
    (お、お、お前さんに何がわかる!これは…そう、風流だ!
    お前さんこそそんな…そんな…お爺ちゃんみたいな説教臭い話し方
    なんてしてなかっただろう!フン!)
2匹のボンプは互いに譲るまいと、
ムッと睨み合っている…
(口を挟みづらいし、瞬光を探しに行こう…)

瞬光と話そう
瞬光は色々悩んでいるみたい。一緒にどこか出かけて、気分転換させてあげよう…

(葉瞬光と話す)

気晴らしのお誘い

師匠が到着するまでの間、瞬光を少しでも落ち着かせるため、気分転換になればと、街での散歩に誘った。

瞬光はひとり静かに立ってた。
その赤い飾り紐は、
初めて適当観に現れたあの日と同じように、鮮やかに揺れてた。

ただ今の彼女は、あの頃よりもずっと、
多くの想いを胸に抱えてるように見えた。

》(「姉弟子」と呼んでみる)

リン:おはよ、姉弟子!
葉瞬光:お、おはよう…えっと、
    どうしたのよ、急に姉弟子だなんて…

》初めて会った時のことを思い出して

リン:初めて会ったとき、姉弟子って呼ばれて
   すっごく嬉しそうだったから。もう隠す必要もないんだし、
   これからは堂々と呼べるね?瞬光先輩!
葉瞬光:そう…そうよね。ありがとう、リン。

》どういたしまして!

リン:えへへ、どういたしまして!
瞬光の顔に淡い笑みが浮かんだ。

》(師匠が来るまで…)
》(一緒にいてあげたほうがよさそう…)

リン:(師匠が来るまでは、なるべく瞬光を
   一人にしないほうがいいよね。一緒にいてあげよっと…)

》一緒にお散歩行かない?

リン;今日はいい天気だし、
   可愛い妹弟子と散歩しない?
   瞬光先輩とは、まだ一度も一緒に街をぶらぶらしてないもん。
葉瞬光:そうね…じゃあ、案内はお願いするわ。
(通常会話へ)
葉瞬光:今すぐ出発する?何かまだ準備が必要かな?
(そういえばこの前、Fairyが「生活習慣のデータ」を参考に、
瞬光にカジュアルな服を用意してくれてたんだった。)
(気分転換にもなるだろうし、渡してみようか。)

》カジュアルな服装に興味はある?
》気分転換にどうかな?

葉瞬光:えっ、カジュアルな服って…い、今!?
事情を説明すると、瞬光は少し恥ずかしそうにしつつも、
小さく頷いて、部屋に着替えに戻った…
着替え終わった瞬光が出てきた――
もじもじと、その澄んだ瞳を泳がせながらも、同時に、
その目にはかすかな期待の色が浮かんでるようにも見えた。

》すっごく似合ってる!
》瞬光って何着ても似合うね!

葉瞬光:ほ、ほんと?よかった…
    ちょっとだけ、その…子供っぽく見えないかって心配だったの。
    姉弟子らしくないかなって…

》もっと親しみやすくなった!
》これで準備完了、出発しよっか!
瞬光と街を散策しよう
瞬光は新しい服に着替えた。その服が彼女の気分を一新してくれるといいな。一緒に街を散策しつつ、師匠が到着するまで、無闇に行動を起こさせないようにしよう。

(葉瞬光と話す)

特別な金木犀のケーキ

再び「飲茶仙」の店の前にやってくると、紅豆さんが限定の金木犀のケーキについて話していた。瞬光はそれにとても興味があるようで、一緒に食べてみることにした。

葉瞬光;これが「飲茶仙」?けっこう大きいお店なのね…?

》入ってみる?

リン;そ。ご飯が美味しくて人気のお店なの。
   おかげで色んな情報なんかも集まるんだよ。
   試しに入ってみる?
葉瞬光;うん、入ってみましょ!

》前はここの宴会に参加したの…

リン:ちょっと前にご縁があって、ここでパーティーに出席したことがあるんだ。
   ぶっちゃけちゃうけど、VIP用のより
   普段のほうが断然美味しいんだから!
葉瞬光:ええ、それ本当?
紅豆:こほん!

》聞こえちゃってた…?

リン:やばっ…聞こえちゃってたかな?
リン:えっと…こんにちは、紅豆さん!
   最近のおすすめを教えて欲しいな!
紅豆:いらっしゃい常連さん!
   そちらの上品なお嬢さんはお友達ですか?
   見るからに通だね~…新作の季節限定、試してみる?
葉瞬光:スンスン…なんか、金木犀の香りがするような…?
紅豆:ご名答!金木犀のケーキが焼きあがったばかりなの、
   その名も「月ほの香」。
   今朝摘んだばかりの金木犀をこれでもかと使った、
   お口の中でとろける一品ですよ!癖になること間違いなし!
紅豆:金木犀のケーキはね、いつだって特別な人のことを
   思い出させてくれるんだよ…!
   パーティーでは出してない特別…
   数量限定だから、お早めにね!

》やっぱり聞こえてたんだ

リン:アハハ…やっぱり聞こえちゃってた…?
葉瞬光:金木犀の、ケーキ…
葉瞬光:リン…食べてみる?

》一緒に食べてみよ!

リン:(大切な人を思い出させてくれるお菓子、か
   瞬光、きっと釈淵さんのことを考えてるよね…)
リン:食べよ!まだお店に入ってないのに、
   すっごくいい香りがしてくるもん!
   紅豆さんの話を聞いてたら、
   居ても立っても居られなくなっちゃった!
紅豆:ふふん、ガッカリさせないよ~!
   二名様、お二階へご案内~

飲茶仙に入ろう
瞬光は飲茶仙の金木犀のケーキに興味津々みたい。紅豆さんのおすすめでもあるし、一緒に飲茶仙の二階で一休みするのも悪くないかも。

(宴会場へ)
紅豆:二階はすっごく賑わってるよ!
   どう?寄っていかない?

》(2階に行ってみる)
》(今はやめておく)
瞬光と話そう
瞬光は講談師の前で、目を輝かせながら話に聞き入っている。どんな逸話が語られているのか、彼女と一緒に聞いてみよう。

葉瞬光:こっちこっち、早く!見てみて!

(講古の台本を調べる)

楷のおじさんが書いた、講古の台本っぽいね。
これは、瞬光の話…?

皆々様!ここまで話したのは、雲嶽山の儀玄先生の物語でした。
天地をも揺るがすその力は、虚狩りにも勝るとも劣らず。
衛非地区の安寧を守護せんとする彼女は、まさに仙人の如し!

しかし――皆様はこう考えていませんか?
かの広大な雲嶽山を、儀玄先生がたった一人で支えていると…
さにあらず!

雲嶽山の次世代とくれば…
天真爛漫で、天賦の才に恵まれた弟子――
葉瞬光をあげずにはいられない!

この瞬光嬢、歳がいくつかは聞いて驚くなかれ。
彼女はまだ年端もいかぬ少女の頃、
すでに天下にその名を轟かす青溟剣を継承したのです!
その才はまさに前代未聞の逸材…

聞くところによれば、あの儀玄先生でさえ、
稽古をつける際には油断できないのだとか。少しでも気を抜けば…
おっと、自由奔放な弟子に翻弄され、つい本気を出してしまいそうに
なるではないか!

そんなことから、雲嶽山のあちこちで
彼女の将来は前途洋々、時が経てば師をも超えると噂されている…
まさに後世畏るべし!

さて瞬光嬢を語るに、もちろん忘れてはならない存在がいる。
彼女の兄にして、雲嶽山の若い世代の大兄弟子、
臥竜鳳雛(がりょうほうすう)と言うべき逸材…

ここまで話せば、皆様も気になるところでしょう。
兄妹が揃って引き取られたのなら、
本来はこの大兄弟子の次に、瞬光嬢が来るはずでは?と。

ところがどっこい…二人の間には、
藩引壺という弟子が挟まっているのです。

これには面白い話がありまして…
当時、雲嶽山は山門を広く開き、孤児を保護、
才ある者たちがここに集っていた。

なんという偶然か、葉兄妹と藩引壺、
三人はほぼ同時に山門をくぐったのであった!
いずれも将来有望、儀玄先生に弟子入りしにきたのだが、
序列はどうしたものか――

当の儀玄先生はというと、
これまた細かいことを気にしない率直なお方…
考えるのも億劫だからと、手を一振りして――
さっと取り出したるは、くじ引き!

瞬光嬢は姉弟子にならんと、躍起。
兄の釈淵に順番を譲ってもらい、くじを引くもその運は…
ほんの少し…惜しいと言いますか、結果は「幼」の字

》その場にいるかのような臨場感…
》この辺にしとこっか…

(葉瞬光と話す)
講談師が朗々とした張りのある声で、
物語のクライマックスを語っている…

よく聞けば、
この講談の主人公はまさかの――瞬光?
葉瞬光:…えっ、ワタシ?

》一緒に聞いてみよう

講談師は瞬光の雲嶽山での逸話を語っている。
その声は生き生きとしており、言葉が次々とあふれてくる。
まるで、その場にいたかのように…
葉瞬光:ちょ、ちょっと大げさすぎ…!
    こんなに誇張されるなんて、恥ずかしすぎるよぉ…
葉瞬光:…って、そうだった!
    紅豆が言ってた金木犀のケーキを食べに行きましょ!
    早くしないと売り切れちゃう――
饒舌に語り続けている講談師は、
物語の主人公が逃げ去ったことに気づかなかった…

葉瞬光:この金木犀の香り、すごく上品ね…
(葉瞬光と話す)

物事の軽重

私は瞬光と金木犀のケーキを分け合った。
瞬光は自身と釈淵さんにまつわる出来事を語った後、皆への感謝を伝えるため、宴会を開きたいと申し出た。

瞬光と金木犀のケーキを分け合った…
葉瞬光:どう?おいしい?

》常連の私から聞こうと思ってた

リン:あ、私が聞こうと思ったのに。おいしいよね!
   甘くていい香りがするし、おまけにふわふわ!
   ほら瞬光先輩、もっと食べなきゃ!
葉瞬光:これ、お茶がすっごく合うわね。
    一緒に食べると、さっきまではすごく甘かった口の中が
    もう思い出せないくらいさっぱりするの…ふしぎ。
葉瞬光:…ねぇ。いちど思い出せなくなっちゃったことは、
    もうずっとそのままなのかな?
    なんていうか…お茶の底に沈んだ茶葉が、
    もう浮かんでこないみたいに。
瞬光の瞳の奥深くには、
意味深な期待と緊張が潜んでた。

》何か気になることがあるの?

リン:その例えで言うなら…沈んだ茶葉は、コップをかき混ぜたら
   また浮かんでくるでしょ?記憶や思い出だってきっとそうだよ。
   瞬光、何か気になることがあるの?
葉瞬光:…なんでもないわ。ただ…
    時間が過ぎるのって、本当に早いなって。
紅豆:お客さん、「月ほの香」はお気に召した?
   初めて来てくれたんだし、お店のサービスで何かあったら
   遠慮なく言ってね!
葉瞬光:わざわざありがとう、紅豆。すっごく美味しかったわよ。
    上品な甘さで、金木犀の香りと
    お米の風味がどっちも感じられたもの。
    きっと焼き加減が絶妙なのね。
紅豆:おお、なんて的確なレビュー!
   お客さん、やっぱり通だね。
葉瞬光:別に、たいしたことじゃないわよ。
    自分でもたまにお菓子を作るから。
葉瞬光:あくまで勘だけど…この餡、蜂蜜に漬けた金木犀のほかに、
    加熱した白玉粉も入ってるでしょう?
    もちもち具合がそんな感じだわ。
葉瞬光:それに、後味の爽やかな果実の酸味は…金柑の皮?
紅豆:すご~い、大正解だよ!
紅豆:白玉粉を入れると、もっちりしつつコシが出るの。
   金柑の皮も、砂糖漬けにしたやつを細かく刻んで加えるのが
   仕上げの決め手。
   お嬢さん、ほんとに舌が肥えてるよ~!感心、感心!
紅豆:あなたみたく通なお客様なら、うちはいつでも大歓迎だからっ!
   じゃあわたしはこれで。何かあったらまた呼んでね!
紅豆さんは急須を持ったまま、
満面の笑みを浮かべて離れていった。

》瞬光、プロみたいなこと言うね

リン:おお…な、なんかプロの会話だったね…!
葉瞬光:プロだなんて、そんな。
    むかし、藩さんが料理してるのを見るのが好きだったから…
    いろいろ教わるうちに、自分でも作ってみるようになったのよ。
葉瞬光:でも、最初のころは本当にうまくいかなくて…
    お兄ちゃんも、師匠も、福姐さんも、藩さんも…
    みんな一回はワタシの「犠牲者」になったわ。
葉瞬光:お兄ちゃんなんて、
    「瞬光の料理も修行のうち」とか、「精神が鍛えられる」とか…
    好き放題言ってくれちゃってたわね。

》釈淵さんって優しいし
》瞬光には甘かったのかと

リン:釈淵さんってほんと面倒見がいいし…
   実の妹の瞬光には、過保護なくらいだったんじゃない?
葉瞬光:そうだよ!お兄ちゃんは小さい頃から、何かにつけて
    ワタシをかばってくれた。自分だってまだ子供だったのにね…
    どんなわがままにも付き合ってくれたし、
    滅多なことじゃ怒らなかった。
葉瞬光:教えてもらったことだって数えきれないよ。
    雲嶽山に来たばっかの頃、ワタシは手に負えない問題児で、
    とんでもないことをして隠れてた時があるんだけど…
葉瞬光:お兄ちゃんはワタシを見つけたときも、怒ったりしないで
    ただ…真剣な目をしてこう聞いてきたの。
葉瞬光:「瞬光。老いた命と若い命、
    どちらか一つしか救えないとしたら、どちらを選ぶ?」
葉瞬光:「飢餓の時代、命を繋げる穀物の袋と、千年の知恵を継ぐ書物、
    どちらか一つしか守れないとしたら、どちらを選ぶ?」
葉瞬光:「そして…災いに直面したとき、自分自身を救うために逃げ出すか、
    それとも世を救うために、不可能だと知りつつも戦うか」…
葉瞬光:「どちらを選ぶ?」

》決まった答えがあるようには…

リン:ほんとに、釈淵さんがそんなことを?
   聞いた感じ、答えがあるような問いかけには思えないけど…
葉瞬光:うん…当然、その時のワタシには何も言えなかった。
    なんだか悔しくて、どうしてそんな残酷なことを聞くんだろう…
    って気持ちと混ざって、泣きたくなったわ。
葉瞬光:でも、そんなワタシにお兄ちゃんは言った。
    「正解を言い当てるための問いじゃない。考えるなかで、
    瞬光が本当に守りたいものと…その重さを知ることが大事なんだ」。
葉瞬光:お父さんとお母さんもよくお兄ちゃんに言い聞かせてたみたい。
    本当に難しいのは「選択」したそのあと…
    「その選択と生きていく」ことなんだって。
葉瞬光:何もかも手に入る選択肢なんてそうそうない。
    でも、選ばなきゃいけない時が来たら、勇気を出して選ぶ…
    ちゃんと選んだことに向き合う。
    そうやってみんな、自分の道を歩いていくんだって。
葉瞬光:…あの時はよくわからなかった。
    …今でもちゃんとわかってるかは、自信ないけどね…

》釈淵さん、いろいろ考えたんだね

リン:釈淵さんなりに、すっごく考えた問いかけだったんだね。
   瞬光が今、こうやって落ち着いて向き合おうとしてるって知ったら…
   きっと喜んでくれるんじゃないかな。
葉瞬光:うん。お兄ちゃんは、ワタシならその意味がきっとわかるって
    信じてくれたんだもん。だからワタシも信じる。
    お兄ちゃんにはやらなきゃいけないことがあるって。
    妹のワタシにだって、あの人を見つけなきゃいけない理由があるみたいに。
葉瞬光:って…なんかすっかり愚痴っちゃったわね。ごめん。

》いつでもウェルカムだよ

リン:いいのいいの、いつでも話してくれていいからね!
   妹弟子をもっと頼って!
葉瞬光:うーん…これじゃどっちが姉弟子かわからないじゃない。
    ワタシもしっかりしなきゃよね!
葉瞬光:ちょっと肩の力を抜いて、明るい話をしましょ!
    最近はみんなすごく頑張ってくれてるわよね。
    盤岳先生にダイアリン、アナタや寧謙さん、適当観の同門たちも…
葉瞬光:だからどうかな?この機会に、
    みんなで火でも囲んでパーっとやりましょ!
    ワタシがお礼の手料理をごちそうしちゃうから。どう?

》楽しそうだね!
》楽しみだよ

リン:わあ、楽しそう!瞬光の手料理なんて、みんな絶対喜ぶよ!
   じゃあ、ダイアリンと盤岳先生、それと寧謙さんは私から誘っとくね。
   松涛先輩たちも戻ってきたら知らせなきゃ。
葉瞬光:うん!やっとみんなにお礼ができるわ。

松涛先輩に話を聞こう
飲茶仙の二階から出ると、情報を探りに行った松涛先輩と清源先輩の姿が見えた。早速、何か新しい情報がないか話を聞こう。

瞬光と飲茶仙を離れ、適当観に戻ろうとした時…
葉瞬光:あそこ、清源先輩と松祷先輩たちだわ!
葉瞬光:もしかして調査が進んだのかな。
    聞きに行きましょ!

(松涛と話す)

同門の絆

適当観の修行者である松涛先輩と清源先輩は当番のため宴会には参加できなかった。でもミアズマ異常の調査についてはすでに目途が立ったと伝えてきた。

松涛:リンちゃん、光ちゃん!
葉瞬光:二人ともおかえり!みんな大丈夫だった?
    それと調査は進んだの?
松涛:安心しろ!全員無事だよ。
   途中で少し手間取ったけど、それなりに成果はあった。
葉瞬光:みんな、本当にお疲れさま。
松涛:なに…適当観の修行者たるもの、これも責任だ。
   光ちゃんのほうは顔色もよくなったみたいだし、ひと安心だな。
   リンちゃんに任せてよかったよ。

》みんなのおかげだよ

リン:これもみんなのおかげだよ。ところでね、
   瞬光がみんなにちゃんとお礼がしたいらしくて…
   今夜、適当観でちょっとした宴会をする予定なの。
   瞬光の手料理つきだよ!二人もどう?
松涛:おお、光ちゃんの手料理か…!
葉瞬光:うん…別に、そんな期待してもらうほどじゃないんだけど…
    来てくれたら嬉しいなって。
清源:そうね…せっかくのお誘いなのに申し訳ないんだけど、
   今夜はちょっと参加できないの。
葉瞬光:そうなの?…
松涛:ああ、勘違いしないでくれ。行きたいのは山々なんだが、
   我々にはまだすべきことがあるんだ。
松涛:君たちがくれた情報のおかげで、
   ミアズマの異常にとってカギとなりそうな地点がいくつか特定できた。
   それに、例の古い陣についても手がかりが見つかってね…
   鉱区跡地はいま、弟子を数人残して警戒にあたらせてる。
松涛:詳しい状況は師匠にも報告済みだから、
   きっとすぐこちらに駆けつけてくれるだろう。
清源:そういうこと。みんなの安全のためにも、
   見張りは弟子たちで交代しながらやることになったの。
   他にもおかしなことが起きないか注意しておかないと。
清源:けど光ちゃん、青溟剣の使い手として…
   あなたに万が一のことがあってはいけないから。
   師匠が来るまでは、窮屈だろうけど適当観で持ちこたえてね。
   外のことはわたしたちに任せて…
清源:だから今夜くらいは肩の力を抜いて楽しむといいわ
   全部終わったら、あとでわたし達ともお祝いしましょ。
葉瞬光:でも…
清源:大丈夫。あなたが重荷を感じる必要はないわ。
   わたしたちにはみんな、それぞれ守りたいものがある。
   衛非地区の平和や、弟子たちとの絆…
清源:そのためにもあなたには無事でいてほしいの。
   あなたを守ることは、みんなの未来を守ることでもある。
   だから、そんな顔しないで。
葉瞬光:うん、分かった…
松涛:じゃあ俺たちとシシオは交代に行ってくるから、またな!
松涛先輩と清源先輩はシシオを連れて、意気揚々と去っていった。

》きっと大丈夫

リン:きっと大丈夫だよ、瞬光。
   どんどん状況は良くなってきてる…いい流れなんじゃないかな。
葉瞬光:うん、そうよね。
    じゃあそろそろ戻りましょ。
    さーて今夜は何を作ろうかな…えへへ、実はまだ考え中なのよね!
瞬光が先に歩き出し、背筋をまっすぐに伸ばし、
適当観の方へと足を向けた。
それでも夕陽が引き延ばした真っ黒な影は、
その複雑な胸の内を映し出しているようでもあった。

一石二鳥

ダイアリンと照は情報を交換している。照ちゃんは、盤岳を「ミアズマを鎮める陣法を起動する鍵」にすれば、任務も異常ミアズマも一度に解決できると促すも、ダイアリンは自分の求める「真実」のために、彼に選択肢をあげると答えた。

澄輝坪のとある人目につかない場所で、
ダイアリンと照が情報を交換していた…
照:ほらダイアちゃん、サラのことは調べといたよお。
照:えーと…ホロウの近くにあった孤児院の出身だけど、
  市政が施設を閉鎖させたあと、数年は行方不明だったみたい。
  数か月だけ姿を現したタイミングがあったけど、
  そこからまたいなくなって…
照:その次に公の場で観測された時点では、
  もう讃頌会の力を借りて活動してた…って感じだねえ。
ダイアリン:数年行方不明だったってとこ…気になりますね。
照:ウン、それが面白くてね…彼女が再び姿を現してからの数ヶ月間、
  何度もH.A.N.D.の本部に乗り込んでは
  「自分は対ホロウ行動部の特別調査小隊にいた」、
  って言い張って騒ぎを起こしてたんだって。
照:他のメンバーはみんな殉職しちゃったっていうのが、
  彼女の言い分だったみたい。
照:でも、H.A.N.D.はそれを突っぱねたの。
  そんな小隊は存在しないし、
  なんならサラなんて名前も名簿にはない…ってねえ。
ダイアリン:はっ、いわゆる「存在しない部隊」ってやつですか…
      クレームの電話を取るたびに、
      その手の噂が聞けないかワクワクしてるんですけどねぇ。
ダイアリン:まあ大体こういうのは二つに一つですよ。
      そもそもが頭のおかしい女の狂言か、
      部隊の存在が何かしらの不都合で抹消されたか…
照:ふーん、ダイアちゃんも怪しいって思うの?
ダイアリン;いえいえ、ただの当て推量ですよ?
      それに市政を悪く言うのもあれですし…
      だいいちこの情報って、あたしたちが知りたいこととは
      ほとんど関係ないですよね?
照:ま、それもそうだねえ。
  「居場所」に恵まれなかった人が行くとこまで行って、
  妄想と現実の区別がつかなくなっちゃいました…
  そんなのよくあるお話だもん。
照:注目しなきゃいけないのは、
  そんなサラが執着してる「始まりの主」のほう。
  今ある証拠はどれも、ザオちゃんたちも知らない何かが
  あのホロウにあるって言ってる…
照:ボスにはもう報告したし、
  これからどうするかはあっちが決めることかなあ…
照:あ、そうそう…これもダイアちゃんに言っとかなきゃ。
  例の異常なミアズマのこと、上の人たちも気づいたみたい。
照:お偉いさん的に、
  まだまだ衛非地区は価値のある場所だからねえ。
  ってことで、この混乱をなんとかするのも
  ダイアちゃんのお仕事だよお。
ダイアリン:はあー?あたしの仕事は、
      例の物を回収するだけだったはずですよね!?
      ほんっとに、TOPSのボケジジイ達ときたら
      人使いが荒いんですから…
照:ウンウン、どういたしまして。
  それと例の古書にあった陣法だけど…
  ミアズマを鎮める手段として
  100年以上は遡れる由緒あるものみたいだよお。
照:陣の中心部に
  大量のエーテルエネルギーをつぎ込めば、
  ミアズマを吸収することができるんだって。
照:でも、ほとんどの人が知らないワナがあって…
  封印するエーテリアスが逃げ出さないように、
  陣を開いた人もろとも結界に閉じ込めないといけないんだよねえ。
照:誰が陣を開く「鍵」になるにせよ、
  その人は基本的にイケニエってこと。
ダイアリン:ひょっとしてサラは、葉釈淵をその「鍵」にするつもりでは?
      彼の両親も過去にあの陣法について調べてたわけですし、
      知識なら妹さんよりも豊富なはずです。
照:ありえない話じゃないと思うよお。
  だからこの件、ダイアちゃんの任務と
  いい感じにくっつけられると思うんだよねえ。
  まぁ、とっくに気づいてるかもだけど…
照:なんとかして、あの盤岳先生を「鍵」にするのはどお?
  ミアズマは鎮められるし、
  知能構造体のエネルギーも消耗させられて一石二鳥!
照:最後にへろへろになった彼から、
  ダイアちゃんがコアを「もらって」お仕事はおわり…
  ね?簡単でしょお。
照:あの葉瞬光って子がキミのお気に入りなのは、
  ザオちゃんにもお見通しだからねえ。
  お兄さんが危ない橋を渡らなくて済むかもだし、
  いいことづくめだと思わない?
ダイアリン:……
照:いいことづくめ…だよね?ダイアちゃん。
ダイアリン:あたしはただ…コアの回収にあたっては、
      いかなるリスクも看過できないってだけです。
      あんまり傷モノにはしたくないですからね。
照:そうなんだあ~…それで?何が問題なの?
  回収できない場合は、その場で処分してもいい…
  そういう指示だったもんね?
照:まあ、ここ最近はずっと一緒に戦ってたみたいだし、
  情が移っちゃうのも仕方がないのかなあ~
ダイアリン:…聞き捨てなりませんね。
      こちとら生きてる人間にだって滅多に情けをかけないんです。
      「禁断の果実」テストをパスしてない殺戮兵器なんて
      もってのほかですから。
照:そうだよ。あれはミアズマを制圧するために兵器として造られたもの――
  なんて名前で呼ばれてても、その本質は変わらない。
照:黒枝の裁決官として、それは忘れて欲しくないなあ。
ダイアリン:あくまでこのダイアリンが情に流されると思ってるんですね?
      照ちゃん先輩、ちょっとあたしをナメすぎですよ。
ダイアリン:あたしはただ、「ミアズマを鎮める」ってこと自体、
      なんらかのカバーストーリーなんじゃないかと思ってるんです。
      だってそう思いませんか?ラマニアンのミアズマが、「引き潮」みたいに
      なってるなら…どこに「引いた」んですかって話ですよ。
ダイアリン:それに鉱区跡地で亡くなった人たちの言葉の中に、
      とある名前を見つけたんです。
      ここ最近、よく聞くようになった名前が…
ダイアリン:どうもあたしたち以上に、盤岳先生の破滅を願ってる
      誰かさんがいるみたいですよ?
照:ふ~ん?だあれ?
ダイアリン:それはですね…ナイショですっ!とにかく、
      漁夫の利を得ようとしてるやつを突き止めるまでは、
      盤岳先生を死なせちゃだめなんです。
      彼を犠牲にするなら、あたしたちの計画に則ったものじゃないと。
ダイアリン:そのうえで、あたしが知りたい「真実」について…
      彼には選択肢をあげようと思います。
      嘘や言い訳の余地もない、選択肢を。

決意の宴

宴会が近づく中、決心を固めたのは、一人だけではないようだった。

それから間もなく、
宴会に招待されたダイアリンは、
ある決意を固めた…

やがて衛非地区にひとつ、またひとつと明かりがついていく。
適当観の小さな中庭にも火がともされ、
あたたかな料理の香りが空気に広がっていった。
盤岳先生やダイアリンたちも到着し、
瞬光の思いを込めた晩餐が、今まさに始まろうとしてた。

食卓を見てみよう
瞬光は瞬く間に、テーブルいっぱいのご馳走を用意してくれた。どんな料理があるのか、こっそり覗いてみよう。

宴会の準備はもう始まっている。
瞬光が何を用意したのか、見に行ってみよう。

寧謙:瞬光先生、さすがだ…

オシシ:ンナンナー(シシオが知ったら羨ましがるだろうな!)

(アキラと話す)
アキラ:リンから、みんなで集まると聞いた時には、
    てっきり各自で適当なものを見つくろって、
    つまみ食いしながら団欒する程度かと思っていたのだけれど…
    瞬光が、ここまで豪華な食事を用意してくれていたとは。

》みんなにお礼をしたいって!
》この時間でここまで…

アキラ:テーブル一面に、これほどの料理が整然と並ぶと…
    流石に、この買ってきたお惣菜はやや出しづらいか…
    いや、なんでもない、気にしないでくれ。
    今夜は思う存分、瞬光の手料理を堪能させてもらうとしよう。

葉瞬光:みんなの好み、ちゃんと覚えなきゃ…間違えちゃダメだよ、ワタシ…
(葉瞬光と話す)
葉瞬光:リン、いいところに!
    ちょっとこっち来て、足りないものがないか見てほしいの!

》何か手伝えることはない?

葉瞬光:いいのいいの
    みんなにいっぱいお世話になったんだから、
    今日はワタシがもてなすって話だったじゃない。
葉瞬光:大丈夫、ゆっくりしてて!
    それにアナタには、役目があるでしょ――
    出されたお皿は、残さず食べる、っていうね!

》つまみ食いするのはダメ?
》(つまみ食いするふりをする)

瞬光は大きな目をぱちくりさせながら、
怒ったふりをしてほっぺを膨らませたものの、
その目元には隠しきれない笑みが浮かんでた。
葉瞬光:ダメダメ!今食べちゃうと、
    後のワクワクがなくなっちゃうでしょ!
    もうちょっとだから、待ってて、ね?

》(落ち込むふりをする)

葉瞬光:こほん…
ふと、温かなものが――
手のひらに、丸いものがころんと押し込まれる感触がした。
見てみるとそこには…綺麗にキャラメリゼされた、焼き栗があった。
葉瞬光:し一っ…――これだけよ!味見は、こっそりね…
    これは…「試食係」のアナタだけの特権なんだから。
葉瞬光:宴会が始まったら、ちゃんと初めて食べたフリをすること!
    じゃないと、この「厳格な料理長」の威厳がなくなっちゃうから!
瞬光はまた準備に取りかかったが、
このささやかなやりとりで気分がよくなったのか、
口ずさむような鼻歌までかすかに聞こえてきた。

こっそり分けてくれた栗のその甘みは、
このひとときの、二人だけの静かな、小さな秘密になった。

(準備中の宴席を調べる)
大きな円卓の真ん中、小さな炉の上で暖かなオレンジ色の炭火が
揺らめく。果物やナッツがじゅう…と音を立てながら炙られ、
香ばしい香りとともに、その表面に黄金色の焦げ目がつき始めていた。

粗陶の急須からお茶の香りがふわりと広がり、
ふっくらとした白いチャーシューまんからは、
琥珀色の脂がにじみ出ている。

その中でも――
お皿に丁寧に盛りつけられた金木犀のケーキは、
静かに込められた想いのようで、特別、目を惹かれるものだった。

盤岳先生と話そう
盤岳先生とダイアリンは何かを話し合っているみたいで、その場の空気は、少し重苦しく感じる…

盤岳:こちらに参られよ

盤岳:瞬光、これほどの宴席を設けたとは…
ダイアリン:さてと…あんたが次、どうするか…
(盤岳と話す)

裁決官

瞬光が無茶をしようとしていると察した盤岳先生は、彼女を引き止めることを私に頼んだ。そこでダイアリンは、盤岳先生は過去にミアズマ鎮圧用の兵器として造られ、十年前のミアズマ大量発生で民間人を見殺しにした件に触れ、「心」があるかどうかは彼自身がはっきりさせてくれると話した。

盤岳:実は…おぬしに、
   折り入って相談したき事があるのだが。

》相談?

リン:相談?どうしたの、盤岳先生。
盤岳:瞬光のことだ。何やら思い悩んでいるようだったが
   このような宴を設けたということは、
   覚悟を決めたのであろう。
盤岳:とはいえ、此度の異変はただごとではない。
   危険が待ち受けていると知りながら、
   あの子を行かせるのは…あまりに忍びないのだ。
盤岳:故に、おぬしと瞬光の絆を見込んで頼みがある。
   どうか適当観に残るよう、
   あの子を説得してはくれぬだろうか。

》もう一度話してみることはできるよ

リン:もう一回、ちゃんと話してみることはできると思う…
   でもね盤岳先生…みんな、あの子のことを
   ガラスでできた置物みたいに扱うでしょ?落としちゃいけない、
   割っちゃいけないってふうに…それって、本当にいいことなのかな?
リン:青溟剣にしたって、私たちにしたって、
   本当は瞬光の力になってあげなきゃいけないのに…
   逆にあの子を縛りつけてるだけに思えてきて
盤岳:…すべては青溟剣が尋常ならざる剣であるがゆえのこと。
   おぬしにしか頼めぬのも、そのためだ。
ダイアリン:おやおや、なんだかマジメな場面に出くわしちゃいましたね。
ダイアリンはうっすら笑みを浮かべたまま、
どこか棘を含んだ声で会話を遮った。
ダイアリン:「盤岳先生」、ちょっと興味があるので伺っても?
      かつてミアズマに呑まれていく大勢を、「取るに足らない」と
      判断したアルゴリズムが…いまさら、その生き残りである
      瞬光ちゃんを気に掛けるようになったのは、どういうロジックですか?

》……!?

リン:……!?
ダイアリン:おっと、まだご存知ないんでしたっけ?
      では、ド派手にご紹介しちゃいますね…こちらの盤岳先生、
      あらため、「パージユニット・ゼロ」は、
      かつてTOPSがミアズマを鎮圧するために造り上げた、秘密兵器です。
ダイアリン:では一番効率的な「鎮圧」とは?そう。
      何もかも見境なくぶっ壊しちゃうことですね。
      こうして無害な善人の仮面をつける前は、
      TOPSが運用できる、最も致命的で無慈悲な掃除屋でした。
ダイアリン:とある任務でヘマをしたので、
      TOPSは彼をホロウへ廃棄したんですが…
      どこぞのお節介が修理しちゃったうえに
      余計な入れ知恵をしたみたいで。
ダイアリン:爪を隠して社会に溶け込んじゃったんですねぇ。
      人々はそんな彼を信じ、
      「心」ある仲間として扱ってくれました。
      ここまでは、いいお話だと思いますよね?
ダイアリン:にもかかわらず…10年前に鉱区跡地を大量のミアズマが襲ったとき、
      彼は自分を受け入れてくれた人たちに対して、何もしませんでした。
      救えたかもしれない命の中には、当然
      瞬光ちゃんのご両親も含まれます。
ダイアリン:泗瓏囲に当時の生存者を探しに行ったとき、
      盤岳先生に対する態度がみんなおかしかったのは
      そういうわけです。

》(盤岳先生に聞く)

リン:盤岳先生…その、ダイアリンが言ってることは…
盤岳:…我輩は、今もこの背に過去を負っている。
   消えることなどけしてない。
ダイアリン:消えないのは過去だけですか?
      あのとき人々に手を差し伸べられなかったのは、
      あんたのアルゴリズムがそれを合理的だと判断したからですよね?
ダイアリン:「いかなる代償を払ってもミアズマを鎮圧せよ」…
      それは今でも、あんたのコアに
      絶対的な指令として君臨したままなんじゃ?
ダイアリン:そうやって善人ぶってるのも、
      これまでの「業」から目をそらすためじゃないって…
      言い切れますか?
盤岳:……
ダイアリン:はあ
      「だんまり」が一番嫌いなんですよねぇ。
ダイアリン:後悔から贖罪の念に駆られた人を
      問い詰めてるつもりだったんですが…
      「禁断の果実」テストをパスできなかった機械に
      独り言をぶつけてるだけだったのかもしれません。
押しつぶされそうな重苦しい静寂が訪れかけたとき、
瞬光の明るい声が、空気を変えてくれた。

「あ、いたいた…盤岳先生!
古いかまどがちっとも言うこと聞いてくれなくて――」
盤岳:…いま、ゆこう。
背を向けた盤岳先生の姿は、
相変わらず山のようにどっしりとしていて、
その歩みに迷いはないように見えた。
ダイアリン:安心してください、瞬光ちゃんにはチクったりしませんよ。
      とんでもないことになるのは目に見えてますから。
      …まあ、ほんとはそうすべきなんですけどね…
ダイアリン:黒枝としては、「パージユニット・ゼロ」が持ってる
      とあるものが欲しいんです。そのためには、
      このまま彼をいい感じに孤立させて、
      「鍵」になってもらうのがいちばん手っ取り早いですから。

》…「鍵」?

リン:…「鍵」?
ダイアリン:はい、「鍵」です。
      例の陣法を起動して、ミアズマを封じ込めるには
      陣の中心部に絶えずエーテルエネルギーを
      供給し続ける必要があります。
ダイアリン:その点、彼はおあつらえ向きだと思いませんか?
      元々兵器として造られただけあって、
      バケモノじみたエネルギーを内蔵してます。
      「禁断の果実」テストもパスしてませんから、みんなの心も痛みません。
ダイアリン:まあ、今はちょっとあれですけど…

》今?
》なんで、そんなことを?

リン:まさか、盤岳先生の罪悪感を煽るために
   わざわざ私たちの前であんな話をしたの?
   あの人の良心を、黒枝の計画に利用するために…
ダイアリン:良心はともかく、「心」があるかどうかは
      これから彼自身がはっきりさせてくれますよ。
      あたしは前に言いましたね?
      「真実」を確かめたいって。
ダイアリン:黒枝の裁決官として、真実を明るみに引きずり出すのが
      あたしの仕事ですから。
      たとえ隠されていようと、偽られていようと、
      歪められていようと…どんな手を使ってでも。
ダイアリン:それがこの世の地獄みたいな真実だったとしても…
      居心地のいい泥のなかで溺れてるよりは
      ずっとずっとマシです。

》それは、そうかもしれないけど…
》その「真実」が正しい保証は…

リン:…それは、そうかもしれないけど…
リン:でもダイアリン、ここ数日あんた自身が見たこと、
   聞いたことはどうなるの?
   あんた以外の人が明らかにした真実を伝えてるだけなら、
   それが捻じ曲げられたものじゃない保証はどこにもないんだよ。
リン:そうでしょ?「これが真実だったらいいな」っていう
   誰かの片棒を担がされて、
   あんた自身は遠回りさせられてるかもしんないんだから。
ダイアリン:やれやれ、「パエトーン」相手にお説教を垂れようなんて、
      ちょっと思いあがってたかもしれませんね。
ダイアリン:ひとまず「彼」については心配しなくていいですよ…
      最終的な評価が終わるまでは、現状維持で行きますから。
      ここでは依然、「盤岳先生」のままです。

瞬光ともう一度話そう
盤岳先生は、瞬光がみんなの望まない決断を下すことを心配しているけど、当の瞬光はすでに何らかの決意を固めているのかもしれない…改めて、本人の考えを聞いてみた方がよさそう。

(さっきの盤岳先生とダイアリンの話で、
頭の中ぐちゃぐちゃだけど…)
(…今は瞬光に、彼女自身のことを
話したほうがよさそう…)

(葉瞬光と話す)

一緒に向き合う約束

私はあらためて瞬光と話すことにした。瞬光は、誰かが自分を故郷の奥へ誘おうとしているという手紙を見せ、青溟剣に選ばれて以降の出来事を語った。私は彼女と一緒に立ち向かい、この道の先を見届けることを決意した。
》(もう一度瞬光と話してみよう)

リン:瞬光…
葉瞬光:どしたの?お腹すいちゃった?
    もう少しだけ待っててよね!

》この集まりを開いたのって…
》もう覚悟を決めてるから?

リン:ねぇ瞬光…この集まりを開いたのはさ、
   もう瞬光の中で、こうしよう…って何かが
   決まったからだったりするの?
葉瞬光:……
葉瞬光:えーと…やっぱり、わかっちゃった?
葉瞬光:ほんとは、ちゃんと話すつもりだったんだ。
    前に約束したもんね?
葉瞬光:でも昨日の夜、みんなが寝たあと…
    扉のすき間にこんなのがあったの。
瞬光は、一度ぐしゃぐしゃに握りしめられた跡のある
紙切れをそっと取り出した。

「瞬光、君と青溟剣との繋がりを断つ方法を
やっと見つけたんだ」

「始まりの主の力は、僕の想像を超えるものだった。
そしてその力を呼び起こす鍵は、
僕らがよく知る、あの場所の奥に眠っている」

「始まりの主を呼び出すことができれば、
僕の悲願は、ようやく叶うだろう」

「どんな代償を払うことになろうとも…
必ず君を自由にしてみせる」

》この手紙、釈淵さんから?
》この手紙、釈淵さんから?

リン:この手紙…釈淵さんから?

》偽者じゃないだろうね
》偽者じゃないだろうね

リン:本当に釈淵さんから?
   それとも、誰かがなりすまして書いてるんじゃ――

葉瞬光:パッと見はお兄ちゃんの書いた字に見えるよ…
    けど、ちょっとした癖がなかったり、
    それに書いてあることだって…

》釈淵さんがこんな内容を書くはずが…
》ずっと連絡がなかったのに、いきなり…

リン:うん、瞬光のほうから衛非地区にいるって
   言ったわけでもないのに、
   急に手紙がくるなんて変だし…
リン:それに、妹思いの釈淵さんなら、
   わざわざこんな不安にさせるようなこと
   書いて送ってきたりしないと思う…やっぱ変だよ。
葉瞬光:ワタシを誘い出したいんだろうけど…
    青溟剣との繋がりは、そう簡単に断ち切れるものじゃないって
    ワタシが一番よくわかってるもの。
葉瞬光:でも、お兄ちゃんは…
    ワタシが青溟剣に選ばれたとき、
    まだ代償を知らなかったお兄ちゃんは、
    すっごく喜んでくれた。
葉瞬光:ワタシの頭をくしゃくしゃに撫でながら
    「瞬光はすごいな、これからは兄さんにも頼らせてくれ」…って。
葉瞬光:きっと、ワタシが雲嶽山っていう新しい「家」に認められて、
    居場所ができたことが嬉しかったんだよね。
葉瞬光:それからお兄ちゃんは、青溟剣の裏にあるものや、
    代々の剣主たちが迎えた運命を知ってしまったけど…

》釈淵さんにとっては…
》辛かっただろうね

リン:釈淵さん…それを知ってショックだったろうね
葉瞬光:お父さんとお母さんがもう帰ってこないって
    わかったときだって、ワタシの前では
    涙を見せなかったお兄ちゃんが…
葉瞬光:あの日だけは、堪えられなかった。
葉瞬光:目を赤くしながら、「きっと方法はある、見つけてみせる」って
    それはワタシに言ってるみたいで、
    自分に言い聞かせてる風にも感じたわ。
葉瞬光:だからその「方法」を見つけることが、お兄ちゃんの執念になった。
    青溟剣の代償を、自分に移すために
    ワタシや師匠に内緒で禁術を試したりなんかして…

》……!?

リン:…えぇ!?じ、自分に移す!?
葉瞬光:幸い、師匠がすぐ気づいてくれたからよかったけど…
    あの人が本気で怒るところを初めて見たよ。
    禁術に触れたからじゃない、
    自分の犠牲と引き換えにしようとしたから…
葉瞬光:でも、罰を言いつけたりはしなかったんだ。
    ひとしきり怒って…ため息をついたあと、
    お兄ちゃんの肩を叩いただけ。
    それから夜が明けるまで、裏山に二人で座ってた。

》釈淵さんの気持ちは…
》きっと師匠も理解できたんだろうね…

リン:師匠は誰かが犠牲になる痛みも、
   残された人の苦しみも知ってるから、
   釈淵さんの気持ちが理解できたんだろうね。
   その背中にのしかかってる重みも…
葉瞬光:うん。その後、お兄ちゃんは師匠に約束した。
    ワタシのために自分を追い詰めたり、
    後戻りのできない道を行ったりしないって…
葉瞬光:青溟剣の剣棺はね、師匠が先代を亡くしたあとに
    心血を注いで作り上げたものなの。
    ちゃんと修行して封印を強固なものにすれば、
    ワタシも普通の人と変わりなく暮らせるって…
葉瞬光:剣棺が守ってくれてても、お兄ちゃんと師匠は
    ずっと気遣ってくれた。この封印のひとつひとつが、
    師匠の痛みと、お兄ちゃんの恐れを思い出させてくれる…
    ワタシもひと時だって、それを忘れたことなんてない。
葉瞬光:だから…だからこそ、今回はワタシ、行かなきゃ。
葉瞬光:冷静に考えれば分かるよ?あのときでさえ、お兄ちゃんは
    誰かを犠牲にするんじゃなくて
    自分で青溟剣の代償を一身に受けようとした…
葉瞬光:そんなお兄ちゃんが始まりの主に寝返るなんて…信じられない。
    きっと別の目的があると思ってる…

》私も釈淵さんを信じてる

リン:うん。私も、
   釈淵さんが裏切るはずなんてないって信じてる!
葉瞬光:でも…もし、違ったら?って
    思わずにはいられないのも本当。
葉瞬光:罠でもいい、たとえこの先が片道切符だって
    お兄ちゃんを一人にはできない。そばにいてあげなきゃ!
葉瞬光:すごくわがままを言ってるし、危ないことも分かってるけど…
    どうしてかな…?アナタの前だと、
    いつもみたいに「しっかりしなきゃ」って
    気を張らなくてもいい気がしちゃって…
葉瞬光:ワタシは、自分で選んだ道を、
    背負うべきものをちゃんと背負いながら歩きたい。
葉瞬光:だから…もうワタシのことは止められないと思って…
    お願い!あともう一回だけ、内緒にするのを手伝ってくれない?
葉瞬光;ワタシが「観主代理」なんて名乗ってたときも、
    しっかり気を遣って
    秘密にしてくれた…あの時みたいに。

》止めたりなんてしないよ
》一緒に向き合うためにここにいるんだから

リン:止めたりなんてしないよ。
   私がここにいるのは、瞬光と一緒に立ち向かってあげたいからだもん。
   危ないことしちゃダメ!なんて叱る、お目付け役なんかじゃなくてね。
リン:先にあるのが罠でも、希望でも…
   瞬光が信頼してくれた仲間として、プロキシとして、
   一緒にこの道の先を見届けさせて
葉瞬光:えへへ…どうしよう、
    すっごく辛い話をしてるはずなのに…
    胸があったかくて、涙が出てきちゃいそう。

》涙は釈淵さんに会えた時に取っとこ
》今夜はみんなでわいわいやろ!

リン:うんうん、涙は釈淵さんに会えた時に取っとこ。
   今夜はみんなでわいわいやるってことで!
葉瞬光:うん!じゃあ…ワタシ、料理ができ上がったか見てくるわ!
    みんなには食べて欲しいものが山ほどあるんだから!
香辛料の香りが、彼女の弾むような足取りを追いかけ、
小さな中庭に瞬く間に広がっていく。
暖かな焚き火がパチパチと音を立て、
オレンジ色の炎を夜の深みに向かって揺らめかせる…
まるで、つかの間のぬくもりと集いを、
もっと明るく、もっと熱く燃やし尽くそうとしているかのように。

宴会を始めよう
瞬光は確かに覚悟を決めた。それなら、彼女の覚悟を守る鎧になろう。明日何が起ころうと、今夜はみんなと一緒に、目の前の宴席を楽しもう!

(盤岳と話す)
泗瓏囲で聞いたあの訴える声が、
氷のように冷たい過去の出来事が…
今、押し寄せる波のように脳裏に蘇ってきた…
(泗瓏囲にいた時、盤岳先生の話してくれた過去が…
こんなにも重たいものだったなんて…)
盤岳:…何やら、言えぬ言葉が胸を衝いているようだ。
   遠慮はいらぬ、何であろうと、この盤岳…すべて受け止めよう。
(ここ数日、私たちが見てきたのは、
心を持たない石でもない、冷徹な兵器でもない…
黙々とみんなを守りながら、危機に瀕したら率先して身を挺す、
「盤岳先生」の姿だった。)
(瞬光が心から信頼する、あの盤岳先生だった。
その信頼も、その責任感も…
冷たいアルゴリズムが駆り立ててるものなんかじゃない。)

》過去のことでどう言われようと
》今ここにいる盤岳先生を信じるよ

盤岳:…その言葉の重み、しかと受け取った。
   まことに…まことに、痛み入る…!
盤岳:その言葉を得た今、この盤岳に一片の憂いなしと言えよう。
   間もなく宴が始まる。今宵はただ、
   皆が安らぎを得られるよう、祈るばかりであるな…

(ダイアリンと話す)
(ダイアリンが言ってた「最終的な評価」つて…
一体何のこと?)
ダイアリン:どうしました?
      あたしが盤岳先生の過去を暴いたことが、まだショックですか?
      ご心配なく、あんたの優しさを裁決に利用する気はありませんよ。
ダイアリン:今日これを伝えたのは、
      あんたが信じようとしてる仲間が一体何を背負ってるのか、
      知らせておく必要があると思ったから、それだけです。

》あんたの「任務」って…
》あんたの「裁決」って…

ダイアリン:今教えられるのは、あたしの任務も、裁決も、
      あんたと瞬光ちゃんの利益を損なうことはない…
      ってことだけですかね。
ダイアリン:結局、真実が壊すのは、信頼に満たないものだけですよ。
      そして、その瓦礫の上にこそ…本当の芽吹きが訪れるってもんです。

》もし、あんたを止めたら…
》もし私が、これを瞬光に伝えたら…

ダイアリン:自分の意志を貫く勇気があるって証明には、なるでしょうね――
      でもわかってますよ、あんたからは敵意が感じられません…
      これって、まだあたしのこと、信頼してくれてるってことですよね。
ダイアリン:だったら…今の信頼関係をキープしてみませんか、プロキシさん?
      瞬光ちゃんにはすぐ伝えちゃうかなって思ってたんですが…
      ちょっと、嬉しい誤算でした。
ダイアリン:盤岳先生も…あんたたちの信頼を裏切るような選択、
      しないといいですね…
ダイアリン:さーて重たい話はこれで終わりですかね、
      もう宴が始まっちゃいますよ。
ダイアリン:今夜のあたしは、あくまで適当観の客人、
      あんたたちの…友達として、ここにいるだけですから。
      くれぐれも、忘れないでくださいよ?

(着席)
宴会の準備はばっちりみたい。さ、始めちゃお!

》「宴会」を始める
》もう少し待ってからにする

火を囲む宴会

皆で火を囲み、食事を楽しみ、語り合い、星を眺めるうちに、
複雑な思いはひとまず脇へ置かれ、胸の奥に沈んでいた重さも、焚き火のぬくもりに溶けていった。

葉瞬光:よし、準備はバッチリよ。
    オシシにイアス、それと盤岳先生にはお礼を言わなきゃ!
    ワタシひとりじゃ手に負えなかったわね。
    手伝ってくれてありがと!
オシシ:ンナ、ンナナ!
    (われ、力になれた!)
イアス:ンナ!
    (えへへ、いいよ!お礼なんて!)
葉瞬光:ダイアリン、これ食べてみてちょうだい!
    ハチミツを多めにしてみたのよ、
    アナタの好みの甘さになってるんじゃないかなと思って!
ダイアリン:おっ、あたしが甘党だと見抜くなんてやりますねえ。
      お気遣いに感謝します!
ダイアリン:あれ、オシシくん。お手手が油まみれになってますよ。
      ご自分をカラッと揚げちゃうつもりですか?
ダイアリン:ほら、火の粉が跳ねたら…
      外はカリカリ、中はフワフワな
      「シシ肉団子」になっちゃいますよ?
ダイアリン:おっと失礼、
      ここにはもう一人「シシ」がいたんでしたね~
盤岳:……
オシシ:ンナナ、ンナ!
    (ダイアリンさん、いじわるではないか!)
葉瞬光:盤岳先生にはチャーシューまんを作ってみたよ。
    油っこいのは苦手って聞いたから、藩さんのマネして、
    陳皮を加えたタレに漬けこんでみたんだ。
    口に合うといいんだけど
盤岳:うむ、よく火が通っており申し分ない。
葉瞬光:みんな気に入ってくれたみたいで嬉しいわ!
    まあ、どれも至って普通の家庭料理だけど…
寧謙:瞬光先生は謙虚だな…
   なんだか子供の頃を思い出す、懐かしい味だよ。
   この腕前なら店を開いてもやってけるだろう!
リン:瞬光の手料理で体の芯まであったまったよ!
   元気がみなぎってきた~!
アキラ:ああ、こんなご馳走は久々だな。
ダイアリン:瞬光ちゃん、
      さっきはお鍋の底を焦がしかけてバタバタしてたのに…
      ずいぶん順応が早いですね!
葉瞬光:ダイアリン、それは言わない約束だったわよね!
    …コホン。あれは古いかまどの勝手がわからなかったのっ!
    火加減がコロコロ変わって大変だったんだから…
    盤岳先生がいてくれて助かったわ。
葉瞬光:さて、みんな火の傍に集まってることだし
    このまま少しおしゃべりでもしない?
ダイアリン:お喋りは大好きですよ。
      せっかくなら何かテーマを決めませんか?
葉瞬光:うーん、テーマねえ…
    じゃあこうしましょ!最近あった恥ずかしいこととか、
    面白かったことを一人ずつ話していくの!
    じゃあ…まずはダイアリンからよ!
炉の炎がパチパチと音を立て、星のように火の粉が舞う。
談笑の声冗談の応酬、食器が触れ合う澄んだ音。
ふだんはなかなか見られない、
気楽なにぎわいがあたりを包み込む。

張りつめていた心の糸もいつのまにか緩み、
胸に秘めた重たい秘密さえも、
このあたたかさの中ではひとときだけ姿を見せていた。

夜の帳はぬくもりに照らされてそっと引き伸ばされ、
その静かなひとときの流れのなか、ふと笑い声が途切れたとき、
気づけば、満天の星だった。
葉瞬光:わあ、みんな見て!
    なんだか星がさっきより明るくない?
葉瞬光:思い出すなぁ。お兄ちゃんと福姐さんたちで
    雲嶽山の裏に集まって、天燈を飛ばしたことがあったの。
    風がすごかったせいで、全然火がつかなくて…
葉瞬光:ワタシ、途中で天燈なんてどうでもよくなっちゃったから、
    草の上で寝ころんだのよね。そしたら、
    天燈よりもずっと眩しい星たちが、目の前に広がってた。
葉瞬光:一緒に寝転んだお兄ちゃんが、
    「天燈より、星に願いを託そうか」なんて言って…
    あのときのワタシは…なんて願いごとをしたんだっけな…
葉瞬光:ふう。こうやって頭を空っぽにして、星を眺めながら
    ただおしゃべりする…
    そんな時間、ずいぶん久しぶりな気がするわ…
誰もが黙って耳を傾けていた。
静寂の中で、木炭が燃えるぱちぱちの音だけが鮮やかに響く。
火の粉は蛍のように舞い上がる、
まるで夜空の星々へ溶けていくかのように。

そして、青溟剣の剣棺が、
星明かりの下で、わずかに光を放っていた…
(通常会話へ)
寧謙:選択というものは、残酷だ。
   一度の決定は、まるで湖に投げ込まれた石のよう…
   広がる波紋に、ただ前へと押し流されていく…
寧謙:なのに振り返れば、
   さざ波はいつの間にか荒波になっていて…
   引き返すこともできないんだから…
眠くなったのか、寧謙さんは小声で
とりとめのない言葉を呟き続けている。

みんなともう一度話そう
ダイアリンと話そう(0/1)
(任意)瞬光と話そう(0/1)
説明文記録漏れ

イアス:ンナ、ンナ!(もうシシオに自慢してきたって、オシシが言ってた!)

盤岳:時は来たり…今は、為すべきことを為すまで。

葉瞬光:いつぶりだろう、こんなに楽しかったの…
(葉瞬光と話す)
葉瞬光:みんなといるの、ほんとに楽しいな…
葉瞬光:今夜は、きっといい夢が見れるわ。

》良い夢見てね
》夢で会おうね

ダイアリン:こういう時間って…やっぱりちょっと惜しいですね。
(ダイアリンと話す)
ダイアリン:ありがたいですねぇ、こう静かだと。
      やまないクレーム、報告書、催促の連絡…ぜーんぶなくて…
      あの声も…
ダイアリン:ただ…座ってるだけ。
      火や星を眺めながら、
      他愛のないおしゃべりに耳を傾けて…
ダイアリン:こうやって、何もしないでいるのも、
      確かに…悪くないもんですね…
ダイアリンは珍しく安らいだ表情をしてる。
普段ならはぐらかされるような質問も、今なら聞ける気がした。

》そんなに面倒な事が多いなら…
》どうしてカスタマーサポートを?

ダイアリン:そりゃもちろん、人が言葉に詰まって
      ぐぬぬってなるのが面白いからですよ~
ダイアリン:それに、生きてる人間なら何言っても返事がありますからね。
ダイアリン:逆上して問い詰めてきたとしても、
      諦めてため息を吐いてたとしても、
      おバカさんが何もわかってない質問をしてきたとしても、
      どれも…「返事」ではあります。
ダイアリン:ホロウで聞こえる死者の声は違います。
      あれは、ただ聞いて、聞いて、聞き続けるしかなくって…
ダイアリン:恨みも、後悔も、哀願も…
      なのに、あたしは永遠に…
      本当の意味での「返事」はできないんです。
      もちろん、向こうに返事してもらうことも。
ダイアリン:どれだけ言葉を重ねたって、
      深い井戸に石ころを落っことすのと同じ、
      反響ひとつ聞こえやしない…
ダイアリン:ずっとそんな感じでいると、まるであたしも、
      その声の一部になってるんじゃないかって気分になるんですよね。
ダイアリン:さてと!
      夜もだいぶ更けちゃいましたね、お開きにしましょうか!
ダイアリン:静かなのも…久々にたっぷり楽しめましたし。
      明日は…また面倒な一日になりますよ。

ベッドで休もう
長い一日が終わった。明日はどんな一日になるのかな。

(ベッドを調べる)
重く、鋭い、心をかき乱す千々の思いが、
日常のあたたかさに満ちた、人のいる空気と、
ベッドの柔らかさによって、少しずつ和らいでいく。

もつれた思考もやがて緩んでゆき、
炉端に集うみんなの、静かに寄り添う気配が紡ぐ、
穏やかな闇の中へと沈んでいく。
仲間たちの集うその温もりに守られ、
静けさの中、深く、夢のない眠りへと落ちていった…


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