阪神タイガース・梅野隆太郎の蔑称。
【目次】 |
概要
阪神は矢野監督時代は優勝こそ出来なかったが、就任4年連続Aクラス入りと安定した成績を収め*1、2018年の悪夢の最下位転落を完全に過去のものにした。
2014年にプロ入りした梅野は金本政権下で力をつけ始め正捕手といえる立ち位置を手に入れると、2019年よりスタートした矢野政権下において攻守ともに大活躍した。中でも2019年は打撃においてサイクル安打を達成するなど打率.266、9本とキャリアハイの数字を残し、守備においてもシーズン123捕殺という日本記録を樹立、盗塁阻止率も.370と「梅ちゃんバズーカ」と称される強肩をいかんなく発揮し、2年連続となるゴールデングラブ賞を獲得するなど、セ・リーグを代表する捕手となっていた。
しかし、背番号を44から2に変更した2021年あたりから打撃成績に翳りが見え始め*2、2022年に複数年契約でFA権を行使せずに残留してからは守備面でも衰えを指摘されるようになってきた*3。
そんな中、2022年オフに矢野監督が辞任し、新たに岡田監督が就任。すると、梅野は以下のような発言をした。
発言内容
「ぬるま湯につかっていて勝てなかった」
https://news.yahoo.co.jp/articles/e345423719d5bfd37051cebed1efc412300c48dd (リンク切れ)
梅野は今季までのチームの雰囲気を「ぬるま湯につかっていて勝てなかった」とピシャリ。
秋季キャンプを振り返り、「一つのノックからピリピリして、いい環境だった」と経験、実績ともに豊富な新監督効果を力説する。
確かに矢野は監督としては毀誉褒貶の激しい人ではあったし、選手の自主性を重んじる方針の負の側面として、秋山拓巳などチーム内の雰囲気のたるみを指摘するベテランもいたが、梅野の発言は前監督そのものを批判しているととられかねない発言内容であったため、梅野自身の近年の成績低迷も相まって「お前の打撃成績が一番のぬるま湯」「複数年契約というぬるま湯につかっていて成績を残せていないくせに」と一気にヘイトを買い、いつしか「ぬるま湯」が梅野の蔑称として定着してしまった。
その後、当該記事の「ぬるま湯」部分は以下のように修正された。
「いつになったら正捕手と言われるのだろう」
https://news.yahoo.co.jp/articles/e345423719d5bfd37051cebed1efc412300c48dd (リンク切れ)
今季は100試合に出場し、打率・228、4本塁打、25打点。坂本、長坂との併用で先発マスクは80試合にとどまった。既に岡田監督が梅野を正捕手で固定する方針を明言。「本当にうれしい。いつになったら正捕手と言われるのだろうと思っていた」と意気に感じ、モチベーションも上がっている。
すると今度は「いつになったら正捕手と言われるのだろうと思っていた」という発言が「どこまで傲慢なんだ」とヘイトを買い、梅野叩きは加速。そしていざ2023年シーズンインすると、開幕から他の打者が軒並み打撃好調の中、一人だけ打率1割台と低迷し、さっそく「ぬるま湯」煽りが苛烈を極めるようになる。そんな中、梅野はさらに火に油を注ぐ発言をやらかすことになる。
「あとどれだけ打席に立つと思ってるんですか。500打席ぐらいありますよ。」
【虎になれ】1人打撃不振の梅野隆太郎、雨天中止で志願特打「うん。いいことよ」岡田監督ニヤリ - 虎だ虎だ虎になれ! - 野球コラム : 日刊スポーツ(リンク先会員記事)
岡田から正捕手としての立場をしっかり与えられ、それを意気に感じて「守備の要」としてチームを支える状況。打撃がいまひとつ奮わなくても無理はないのかな、と水を向けたのだ。
「それは関係ないです。打席でも集中していかないといけない。でも、まだ4試合でしょ。あとどれだけ打席に立つと思ってるんですか。500打席ぐらいありますよ。今なんて1本打てば1分ぐらい変わるんじゃないですか?」
「開幕直後の打撃の数字に一喜一憂していても仕方がない」という意図の発言であったと思われるが、「あとどれだけ打席に立つと思ってるんですか。500打席ぐらいありますよ。」という発言に対し、「その体たらくで500打席も与えられると思っているならぬるま湯が過ぎる」と批判が殺到。第二捕手であった坂本誠志郎のリード面の評価も高まっていたこともあり、「500打席」も梅野の蔑称として使われるようになり、推定年俸1億6000万円の複数年契約という高給取りなのも相まって、すっかり名誉外様のような扱いを受けるようになった。
その後
梅野は2023年8月13日の対ヤクルト戦(京セラドーム大阪)5回裏の打席で今野龍太から死球を受け左尺骨骨折、そのままシーズンを終えることになった。結局500打席の半分の251打席しか立てず、打率.194とレギュラー定着後ではワーストの成績となった。すると、残りの試合をほとんど坂本がスタメンでマスクをかぶり、皮肉にもここから阪神は9月に11連勝するなど一気に独走態勢となり、そのままセ・リーグ優勝を達成。更にはシェルドン・ノイジーの覚醒もあって日本シリーズも突破し、球団史上2度目の日本一を梅野抜きで成就することになった。そのため坂本の評価は急上昇、中には「今野が梅野に怪我させたおかげで日本一になれた」とネタにするファンすら発生した。
翌2024年も梅野は相変わらず不調をかこい、打率.209、0本、盗塁阻止率.216と完全にお荷物状態*4。チームも球団初のリーグ連覇を期待されたが、巨人に躱され惜しくも2位フィニッシュ。CSではレギュラーシーズン3位のDeNAに2タテされて終戦と相成った。岡田監督は2年契約の最終年であり、このCS敗退を以って監督を勇退したので、これが岡田監督の最終試合となったわけだが…
「普通やったら梅野使わん」
負ければ終わりの試合、先発・髙橋遥人が5回4失点と打ち込まれ劣勢に立たされたが、岡田監督はなんと3回の守備から梅野を懲罰交代。この2年間で一度も見せたことのない非情采配にファンやネット上ではどよめきが起こった。そのまま阪神は3-10で敗れCS敗退が決定したが、試合後の監督インタビューで大事件が起こる。
阪神・岡田監督 梅野「普通やったら使わへん」佐藤輝「大事なところで大きい1本とか打たれへん」/阪神タイガース/デイリースポーツ online
ー梅野は代えた
「まあ、普通やったら使わへんけど。最後やからのう」
ーあそこは投手を代えずに流れを変えるために
「いや、普通やったら梅野使わへんいうてるやん。それだけのことやん。来年のためやったらのう」
-集大成を選手に見せてほしかった
「なあ。やっぱりおんなじことばっかりやった。最後まで。そういうことやん。初球ばっかり。え? 止めようがない」
なんと岡田監督は「普通やったら梅野使わん」「来年のためやったらのう」と、梅野との契約に何か裏事情があるかのような含みを持たせたコメントをぶちかましたのである。あまつさえ2023年の監督就任時に「梅野を正捕手に固定」という方針を示しておきながらのこの発言。梅野は最後の最後で梯子を外された形となった。
「力がないベテランは必要ない」
その後、勇退した岡田監督に代わり、藤川球児が2024年オフに新監督に就任。藤川新監督は就任会見で以下のような発言をした。
【記事全文】阪神・藤川新監督「力がないベテランは必要ない」 就任会見で超実力主義宣言「相手を倒す絶対的力が必要」 - スポニチ Sponichi Annex 野球
力なき者は去れ――。藤川新監督が立て板に水の会見で、強烈なメッセージを発信した。
「ファンの方には選手の名前、顔、背番号が大切かもしれない。ただ、相手を倒す意味では絶対的な力が必要。(期待するのは)どんな選手と聞かれたら、能力ある選手を数字とともに見たい」
(中略)
チームに埋もれる新しい戦力の台頭を望むように、こんな厳しい言葉も発した。
「プレーヤー個人に力がないベテランは、僕は必要ない」
裏返せば、年齢も実績もフラットにして選手の力量を見極めるということ。チームビジョンや期待する選手の個人名を伏せて独自色を打ち消す一方で、実力主義を強く訴えた。
藤川の発言はあくまでも、「フラットな視点で使う選手を実力で判断する」「ベテランの優遇はしない」以外の他意は無いと思われるが、ここ数年の体たらくから「力がないベテラン」の代表格が梅野であるとされ、また翌2025年は梅野の複数年契約最終年*5であることから、「藤川監督は本格的に梅野を干すのではないか」と話題になった。
そして2025年シーズンイン後、梅野は100試合消化時点で出場39試合、先発マスクに至っては26試合と、答え合わせかのように出番が激減。正捕手の座を完全に坂本に取って代わられた。
項目 | 坂本 | 梅野 |
---|---|---|
先発出場 | 72 | 26 |
打率 | .249 | .191 |
打点 | 19 | 2 |
HR | 2 | 0 |
出塁率 | .364*6 | .248 |
OPS | .703 | .460 |
得点圏打率 | .189 | .050 |
捕手別防御率 | 1.75*7 | 2.42*8 |
捕手別WHIP | 0.99*9 | 1.26*10 |
盗塁阻止率 | .390*11 | .409*12 |
推定年俸 | 1億 | 1億6000万 |
※100試合消化時点
もともとリードや配球、投手への声掛けが非常に高く評価されていた坂本だが、2025年シーズンには打率.249、2本、OPS.703と、31歳にして唯一の課題ともいえた打撃まで覚醒。対して梅野は打率.191、0本、OPS.460と相変わらずの自動アウトで、おまけに守備指標もほとんどが坂本の後塵を拝しており*13、こうなるのも残当といえる。