地獄ドラフト

Last-modified: 2025-08-17 (日) 09:25:12
  1. 2018年阪神のドラフトに対するネット上での評価の通称。
    主に阪神ファンの自虐だが、他球団ファンからも揶揄されるほど当初は低評価だった。
  2. 1.から派生して、阪神に限らず当該球団の歴史に名を刻むレベルの外れドラフトを指す。


概要・経緯

2018年ドラフトで阪神は1位候補として藤原恭大(大阪桐蔭高)が有力視されていたが、吉田輝星(金足農業高)や甲斐野央(東洋大)という報道も同時にあり抽選直前まで読めない状態であった。
そんな中、ドラフト前日にID:rX0t0IU90は、「藤原を抽選で外す→辰己涼介(立命館大)も外す→近本」という最悪のケースを想定した書き込みをする。

【緊急】阪神ファン集合
https://swallow.5ch.net/test/read.cgi/livejupiter/1540370728/


228 :風吹けば名無し:2018/10/24(水) 17:59:01.61 ID:rX0t0IU90
藤原いって外れたら悲劇やわw

絶対に辰巳も重複して

1位近本あるわw

また、この夜放送された『戦え!スポーツ内閣』(MBSテレビ:関西ローカル)では「近本光司の上位指名、1位指名まであるかも」とも放送されていた。
そして迎えたドラフト会議当日だったが…

【阪神の実際の指名】

1位:藤原恭大を指名したが、ロッテ・楽天・阪神の3球団競合の末にロッテが交渉権を獲得。

外れ1位:辰己涼介を指名したが、巨人・ソフトバンク・楽天・阪神の4球団競合の末に楽天が交渉権を獲得。

外れ外れ1位:近本光司を単独指名

なんとID:rX0t0IU90の書き込みにおける最悪のケースが現実となってしまった

最初に藤原を外した時点で阪神ファンの間には悲壮感が漂い始めていたが、その後のドラフトでもファンの期待を裏切るような指名が続いたことで荒れに荒れる。特に1位の近本、2位の小幡竜平(延岡学園高)、3位の木浪聖也(ホンダ)の上位3人の指名に非難が集中*1。4位で好投手と評された斎藤友貴哉(ホンダ)が指名されたことで「実質1位は斎藤」「今年のドラフトは4位から始まった」などと言われるようになった*2

このドラフト指名に激怒した阪神ファンにより、同年の阪神ドラフトスレは

  • 「史上最悪のドラフト」
  • 「異次元ドラフト」
  • 「超絶負け組ドラフト」
  • 「ゴミ拾いドラフト」

などの蔑称が飛び交い、他球団が比較的平穏な中で阪神のドラフトスレのみが地獄となり「地獄ドラフト」と呼ばれるようになった。

転じて、過去の大ハズレドラフトも「地獄ドラフト」と呼ばれるようになった。


指名選手一覧

 順位  名前  守備位置 出身          備考        
1近本光司外野手大阪ガス
2小幡竜平内野手延岡学園高
3木浪聖也内野手Honda
4齋藤友貴哉投手Honda2022年オフに日本ハムにトレード。
5川原陸投手創成館高
6湯浅京己投手BC・富山
育成1片山雄哉捕手BC・福井2019年に支配下登録を勝ち取るも、2024年限りで戦力外。


阪神ファンがブチギレた理由

近本の1位指名で阪神ファンがキレた理由の一つとして、当時の阪神には小技や巧打に長けた小兵タイプの選手が多く、一発や長打に期待できる大砲タイプの選手が少なかったことが挙げられる*3

2012年に金本知憲が引退した後、中距離・長距離砲タイプの外野手はFAで加入した糸井やメジャー帰りの福留がいたものの、既に年齢が若くない事もありフル出場はしづらかった。2017年に20本塁打を放った中谷将大や、2016年新人王の髙山俊は後釜の若手外野手として期待されたが、2018年は両者とも不甲斐ない成績だったこともチームの打力不足に拍車をかけた。
その一方、2009年に赤星憲広が引退した後、センターには平野恵一やマット・マートンをはじめ俊介伊藤隼太・福留・大和・髙山・糸井・中谷・江越大賀らが入ったが、いずれも不振、年齢的限界、力不足等で長続きせず。センターにはレギュラーが不在であり、センターを張れる人材が求められた。
このため将来的に俊介や伊藤らを凌駕し、福留や糸井の後継として期待できる人材として藤原に期待する阪神ファンが多かった。

しかし、結果的に1位指名できたのは小兵タイプかつ大卒社会人の近本だったので、大きな不満を抱いた阪神ファンはなぜかフロントや監督ではなく近本を批判の矛先に向け、大阪ガス出身であることから近本には「ガス本」という蔑称が付けられてしまった。


評論家の評価も

ファンだけではなく各評論家も今ドラフトを軒並み低評価し、中でも徹底的に酷評したのは元ヤクルトスカウト・片岡宏雄だった。

片岡氏が「最悪」と厳しく採点したのは阪神だ

外れ1位で辰己を外して、大阪ガスの橋戸賞受賞の俊足外野手、近本光司を指名、2位に延岡学園の遊撃手、小幡竜平、3位でも内野はどこでも守れるHondaの木浪聖也を指名した。

「阪神は上位3人を野手で占めたが、本来上位3人で獲得すべき野手は、将来、ソフトバンクの柳田悠岐のようになれるチームの主軸に座る可能性のある素材だ。今回、指名したようなタイプではなかったと思う。近本は1位でなくとも獲れただろうし、いくらスピードがあっても、プロではパワー不足。脇役タイプの選手は、大学、社会人で探せば、毎年のように出てくる。もし競合を避けることが狙いで藤原を1位指名したのならば、辰己を単独で行ってもよかったし、チーム状況を考えると、甲斐野もいけた。Hondaの齋藤友貴哉を4位で獲得できたのは救いだろうが、バラつきがあって、まだ発展途上。ヤクルト*4もそうだが、こういうドラフトになるのなら、思い切って吉田の将来性にかける手があってもよかった。チームビジョンがよく見えない最悪のドラフトになった

名スカウトのドラフト採点「成功は中日、育成の日ハム、広島、最悪は阪神」(THE PAGE) - Yahoo!ニュース


2019年シーズンの実際の成績

近本はオープン戦から存在感を示し、開幕戦から2番センターのポジションを掴む。シーズンに入るとそのまま1番センターに定着し、好不調の波はあったが長嶋茂雄がマークしたセ・リーグ新人最多安打記録を61年ぶりに塗り替えるなど獅子奮迅の働きでチームを牽引。オールスターゲームでも目覚ましい活躍を見せた。最終的に打率.271(581-159)、9本塁打、42打点、36盗塁の好成績を残し、新人王こそ村上宗隆(ヤクルト)に譲ったものの新人特別賞を獲得したほか、盗塁王にも輝いた。
さらに、近本と同様に非難され守備難から「黄色い倉本」扱いされていた木浪は途中入団のヤンハービス・ソラーテとの兼ね合いで一度二軍に降格したが、ソラーテの不振もあり再昇格した後は降格前と攻守に渡って別人のような働きを見せ、一時期は不調が長引いた近本に代わって一番に座るなどの活躍を見せた。

一方、藤原はこの年たった6試合の出場で2安打、その後数年にわたって一軍定着には至らず。
辰己も2021年から4年連続ゴールデングラブ賞を受賞し、侍ジャパンに選出されるまでに成長したが、ルーキーイヤーの時点では打率.229など打撃面では近本に及ばない面が多かった。

更に、上記の通り「実質1位」等高く評価されていた4位指名の齋藤友貴哉もルーキーイヤーの一軍戦登板は1回のみにとどまった。その後も阪神では才能が目に見えて開花することはなく、本格的な活躍を見せるのは日本ハムにトレード移籍後、勝ちパターン中心で起用されるようになる2024年後半になってからであった。

結果として、よりにもよって散々に酷評した近本が即戦力として大活躍してしまった上に、高く評価していた斎藤は阪神ではあまり活躍できなかったことで「4位赤星、ハア?」や「大山重複しろ!」などと並ぶドラフト評価の見る目のなさを物語る正岡民ネタの1つとなってしまった。


関連項目



Tag: なんJ ドラフト 阪神


*1 近本や小幡については中位~下位指名で十分という評価、木浪については指名すら予想していないファンが大多数であり、当時指名漏れした逢沢峻介(現トヨタ、当時明大)や米満凪(現北海道ガス、当時奈良産大)より評価が低かった。
*2 1位指名の段階では、梅津晃大(東洋大、中日2位)や生田目翼(日本通運、日本ハム3位)らの有力投手が他にも残っていたが、豊富な阪神の投手陣に食い込めるかは疑問視されており、矢野燿大監督は「投手を3位以内で取るつもりはない」と明言していたため、ほとんど話題に挙がらなかった。
*3 甲子園の本塁打の出にくさや右打ち教も一因ではあるが、2018年に2桁本塁打を打ったのは糸井嘉男福留孝介大山悠輔のみである。
*4 外れ外れ1位で清水昇を指名。