蒼龍:決戦仕様

Last-modified: 2011-06-18 (土) 22:39:27

仮称→蒼龍卿:決戦型舞踏装備(ドレス)

プロジェクト・コード:\../Knight Dress/

 

――我は“剣”である。
――かつて、蒼龍卿が、伴侶と認めた者へ贈った言葉。

 

 

 

=開発経緯=

 

この機体は、帝國“最後の剣”である、蒼龍卿(註)の決戦用兵装として開発された。

 
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蒼龍卿…機体名称・蒼龍は、帝國における最強の自立思考型戦闘機である。

 

元はわんわん帝國天領製試作戦闘機“蒼穹号”に端を発し、その後、数々の紆余曲折を経て、
現在は唯一伴侶と認められた“ポレポレ・キブルゥ”氏と共に、
宰相府に籍を置き、帝國の空を守り続けている。

 

宰相府の最新技術を導入した幾度の改修を経て、既に原型機の面影は無く、
帝國の空の守り手に相応しい威容は、幾多の戦役で語り草となっている。

 

そんな蒼龍卿に持ち上がったのは、そのリファイン計画――というより、
“蒼龍卿の為の新たな機体の建造計画”、という方が近いと言える大規模開発計画であった。

 

その主旨は単純明快。
帝國“最後の剣”を、それに相応しく研ぎ澄ます…という物である。

 

蒼龍卿が現行仕様となって既に久しく。
その力は衰えるどころか、ますます盛んではあったけれど。
後発機が一つ開発される毎に、その性能を向上させていく中にあって、
ハード面での差は、少しずつではあっても埋められて行っていたのである。

 

だが、蒼龍卿が“剣”としての役目を果たし終えるには、まだ時期が早かった。
帝國から戦の灯が消え、全ての勢力が銃を置くには、まだ努力が必要だったのである。

 

――それと時を同じくして。

 

ポレポレ氏は、一つの噂を耳にした。
曰く、“星鋼京にて、決戦号の再建計画が進められている”、と。

 

決戦号。
それは、かつて蒼龍卿がポレポレ氏と共に歩む事となる以前、
蒼龍卿が纏う事になるであろうとされた、帝國天領謹製戦闘騎であった。

 

紆余曲折を経た今の立場ではあるが、
蒼龍卿と決戦号は、言わば“姉妹機”と言える存在であったのである。

 

そして、それはポレポレ氏の胸にある日の約束を去来させるものであった。

 

それは、言葉を交わす事のない…否、言葉など最初から必要無いとでも言うかのような、
信義と信頼だけを証として交わした、約定であった。

 

“いつか、この二人を共に飛ばせよう”

 

今こそ、その約定を果たす時と見定めたポレポレ氏は、
即時に星鋼京にアクセスし、姉妹機である蒼龍卿を、決戦号のテストベットとする案を提言。
星鋼京藩王、セタ・ロスティフンケ・フシミはこれを快諾、
吾妻個人工廠を通じて、決戦号再建計画の担当者の一人である吾妻 勲の計画参加が決定した。

 

かくて、従来型の仕様においては、非人型・巨大航空機として設計されていた蒼龍卿が、
今回のリファインにおいて、仕様を一新、帝國製I=D増加装備に対応すべく、
その性能を維持・向上させた人型I=Dとして再設計される事が決定したのである。

 

また、宰相府謹製である利点を活かし、
“その豊かな人脈”を以て、共和国・帝國の垣根を越えた、
最高峰の技術を集約させた開発計画が実現する事となったのである。

 
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機体仮称・蒼龍決戦仕様。
プロジェクト・コード:“Knight Dress”
――それは、“騎士”が決戦に赴くにあたって纏う“衣”であり、
大切な人へ贈る“夜会服”であるという意味が込められている。

 

註:
機体開発者の一人である吾妻 勲の国元である星鋼京では、帝國騎士の一員として、
敬称である“卿”を以て、蒼龍を称するのが通例とされ、ここでの記述はそれに倣った。

 

=機体概説=

 

蒼龍卿は、従来より唯一機であった事に倣い、この機体もまた唯一機である事から、
ウルトラハイエンド・ワンオフモデルI=Dとして設計されている。

 

但し、蒼龍卿の性能を維持・向上させるという目標から、
その機体サイズは50m級の大型I=Dをベースとして設計されている事が、
大型I=Dの希少な帝國I=Dとしては稀有な例となっている。

 

これは、蒼龍卿の現行フォルムが全長50m級の巨人機として設計されており、
性能ベースや戦術思考の面から考えると、サイズの変更は好ましくないと判断された為である。

 

特に、大気圏内での最大速度とされるマッハ25(秒速約8.5km)をクリアする出力を得るには、
現行の帝國製I=Dにおける標準サイズである6~9m前後では、かなりの難題であると言えた。

 

故に、大型I=Dとして設計する事による積載容量の確保する事に加えて、
今回のリファイン計画では、
機密とされる蒼龍卿から培われたノウハウをデータとして採用する許可が下りた事から、
目標とする出力を持つ大型ジェネレーターを積載する事が可能となった。

 

しかしその反面、大型であるが故の空力設計が、大きな難題として持ち上がる事となった。
従来の蒼龍卿であれば、その流麗なフォルムは、
そのまま理想的な空力設計を持つ外装として機能していた為、
特段問題視される事は無かったのであるが、
今回のリファイン最大の目標である人型I=Dとしての外観が、
最大の壁となって立ち塞がる事となったのである。

 
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そこで活用される事となったのが、RTRこと、
リファイントモエリバーにも採用されたエアインテーク方式である。

 

これは、主に装甲部から発生する大きな空気抵抗に対し、
空気流入口(=エアインテーク)を設定、内部にコンプレッサーを搭載し、
圧搾した空気を一気に吸入・排出する事によって、高速飛行時の空気抵抗を抑制、
更に、空気抵抗によって生じるエネルギー分の推進力に添加する事を考慮した物である。

 

加えて、この時に発生する圧搾空気を補助空冷システムとする事で、
主に内部駆動系から発生する熱を排出する機能を併せ持つ。
これによって、RTRは高速移動時の空気抵抗を減殺しつつ、
全開戦闘による機体排熱等から機体を保護する事で、
最大出力に近い高出力帯での航続時間が飛躍的に増大する事になったという経緯がある。

 

蒼龍卿の機体構築に際しても、この思想を反映する事によって、
大型の人型I=Dでありながら、
大気圏内を高速度で飛行するという仕様を可能とする原動力の一つとなっている。

 
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しかし、このような設備を以てしても蒼龍卿の限界速度を引き出すにはまだ不足があった。
蒼龍卿の性能が、想定外のレベルである事は予見されていたものの、
量産機であるRTRと、唯一機である蒼龍卿の間を隔てる絶対的な領域の差、
とでも言うべきような物が、シュミレーションを通してでもはっきりと表れたのである。

 

そこで、苦肉の策とでも言うような形で発案されたのが、
高速巡航形態と戦闘機動形態を切り分ける、という発想であった。

 

広義においては、変形と言えなくもない仕様であるが、
それ程大仰な機構を必要とする物ではなく、
戦闘機動時は、I=Dとしての性能を遺憾無く発揮できるよう、
各駆動部の可動性を無制限に設定、運用可能状態にするのに対し、
高速巡航時は、飛行に適した姿勢に固定し、
駆動部の可動性を制限・固定する事によって、空気抵抗を抑えた状態とする事で、
その飛行速度を最大限に発揮する事を目指す、と言った物である。

 

この機体を象徴するパーツである、両肩部に搭載された“大型シールドバインダー”は、
この仕様に合わせて可動式となっており、
高速巡航時には、進行方向にウインドシールドとして展開し、
空気抵抗を抑える役目を果たす事となった。

 

これによって、当初目標となっていた、
“大気圏内巡航速度マッハ25”の壁は、クリアする事が可能となったのである。

 

/機体フレーム/

 

機体フレームには、帝國製I=Dの基礎技術として徐々に浸透しつつある、
“モジュール交換型”の思想が反映されている。

 

生産力強化を柱の一つとして掲げられて始まったモジュール交換型の思想は、
ワンオフモデルである蒼龍卿には必要無いのではないかとする向きもあろう。

 

しかし、モジュール交換型にはもう一つの大きな柱がある。
それは、整備性・実質稼働効率の向上である。

 

整備性向上とは、文字通り整備における作業工数等の効率化であるが、
モジュール交換の仕様によって、機体を各パーツ毎にバラバラに生産、
最終的に組み上げる事で完成する仕様とした事から、
オーバーホール等で分解・再度組み上げする際の手間を大幅に軽減、
また、部分メンテナンス等においても、該当パーツのみを取り外す事によって、
精密な点検を行いやすくする事が可能となったのである。

 

実質稼働効率の向上とは、例えば戦場において、部分的にパーツが損壊した場合、
損壊したパーツを切り離す事によって、
パーツ損耗による不具合や、行動への影響を極限する事が出来る、という物である。
更に加えるなら、換装用の予備パーツさえ用意しておけば、
損耗部分を換装する事による素早い復旧も可能となるというメリットもあった。

 

唯一機であるが故に“再生産による機体交換”という手段が困難な蒼龍卿にとって、
これらのメリットは採用するに価値のある物であった。

 
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無論、その性能要求に合わせて、
基本的な性能や、フレーム剛性、特に各部パーツの接合強度等は、
現行技術における最高水準の仕様がふんだんに盛り込まれており、
使用されている素材等も、精錬技術を始めとした加工技術の粋を凝らした精度の素材を、
惜しげも無く使用している。

 

これによって、帝國製I=Dの標準サイズである6m級の10倍近いサイズでありながら、
十分な剛性としなやかな可動性、無駄の無い動力伝達を可能とした。
更に、サイズ比が同じであれば、フレーム重量は10%程度軽減されている。

 

無論、マッハ25によって発生するGも考慮に含まれており、
理論上はマッハ25から完全静止する事による衝撃にも耐えられる構造計算が弾き出されている。

 

これらの仕様によって、完全にコスト度外視となっているフレームは、
正に唯一機の面目躍如と言って良い所であろう。

 
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機体フレームにおいて、特徴となっているのが脚部の構造である。
トモエリバー系列の思想を色濃く反映した他部位とは異なり、
どちらかと言えば、エバーライトを彷彿とさせる簡略化されたデザインを採用している。

 

これは、この機体が主な戦場として定めるのが空中~大気圏外であり、
航空機・宇宙機としての構想を色濃く反映した事に理由が求められる。

 

その為、基本的には現状、
そして今後開発が想定される帝國共通のI=Dオプションパーツ用ステーションとしての用途と、
限られた範囲での陸上移動・機体固定用としての用途が果たせる最低限の機能に留められている。
よって、陸上での戦闘機動は事実上、ほぼ不可能であり、大気圏内では空中戦を基本とする。

 

これによって、機体の大きなウエイトを占めるパーツである脚部の整備効率が向上し、
結果として全体的な整備効率の向上に一役買うという、メリットを生んでいる。

 

/ジェネレーター/

 

機体内部仕様の内、まず以て重要となるのがエネルギー産生機関…ジェネレーターである。
従来の蒼龍卿に搭載されていたエンジンは、
そのエネルギーの大部分を飛行に集中させる事が出来た為、
実は現行技術での最高水準の物と比較して、やや出力が低いという分析結果が弾き出された。

 

これを最高効率で運用していたのは、一重に蒼龍卿のエネルギー効率調整能力と、
ブースターの出力バランスの賜物であった、という結論である。

 

その為、今回のリファインに際して、ジェネレーターのデザインも合わせて行う必要があった。
I=Dは、飛行のみならず、機体駆動や戦闘に際しても駆動エネルギーが必要であり、
蒼龍卿に言わせるなら“効率が悪い”とでも言われそうな物だった為である。

 

その分、ジェネレーター出力とエネルギー産生効率は、現行の最高水準にまで引き上げ、
想定される全装備重量に対しても、100%の機体駆動、
及び常時戦闘機動が可能なエネルギーが産生可能なジェネレーターとなっている。

 

また、大規模なスペースを確保出来る事も幸いした。
大型機の少ない帝國I=Dは、少ないスペースでいかに巨大な出力を得るか、
という方向性の技術研鑽が進んでおり、
大型化する事による出力強化は、非常にスムーズに進める事が出来る分野だったのである。

 

これによって、従来機よりジェネレーターの基本的な性能を向上させながら、
排熱や振動は小さい、という悪影響の極小化にも成功し、
両面での強化が成立する事になったのである。

 

/コックピット/

 

コックピットは、フレームの中央部…胸部から胴体部の中間に存在するスペースに取られている。
基本的にバディであるポレポレ氏専用のスペースとして設計されたこのコックピットは、
氏のサイズにフィットするように設計されている。

 

シートは、蒼龍卿に従来セッティングされていた対Gシートをフィードバックした物となっている。
これは、内部に装甲部材の一つとして使用されている機能性高分子ゲルと同様の物を定圧で循環させ、
計測されるGに対応して、その循環圧を変更、シートの緩衝性を上下させ、
パイロットの体に掛るGを分散させる仕様となっている。

 

また、並行して開発された対Gスーツにも同様の仕様が盛り込まれており、
使用時は機体と接続する事で、連動する仕様となっている為、
併用すればかなりのGを軽減する事が出来るようになっている。

 

他にも、対Gスーツには、吾妻個人工廠独自開発の“比翼・連理”に、
盛り込まれた医療用システムを応用・小型化した簡易ライフシステムも組み込まれており、
バイタルサイン等のデータを蒼龍卿に転送、
緊急時等には生命維持を行うシステムも組み込まれている。

 

蒼龍卿との対話インターフェースとしては、
ダイレクトインタフェース、HMDによる視線誘導式等、
従来のI=Dに搭載された物が導入されている他、
デフォルトでは最優先インターフェースとして、
ポレポレ氏の所有する直通携帯電話をセットするスロットが搭載されている。
これをセットする事によって、コックピット内では蒼龍卿と直接対話する事が可能となる。
これによって、音声命令での操縦も可能となる。

 

その他の機能として、
コックピットには全天式ディスプレイを採用し、
蒼龍卿が捉えた外部の様子を一望する事が出来、
パイロットとの共闘を前提とした仕様である事が伺える。

 

しかし、驚くべき事に、一見最新鋭の装備がふんだんに導入されているパイロットインターフェースであるが、
この全天式ディスプレイを始めとして、実は旧態依然としたシステムが多数導入されている。
全天式ディスプレイは、実はCRT方式によって構築されている他、
ダイレクトインターフェースには、キーボード式の物も採用されており、
緊急時のシステム復旧等は、手動でのバックアップも可能な仕様となっている。

 

無人でも戦う事を可能としたのが蒼龍卿の特徴であったが、
バディであるポレポレ氏と共に戦場を駆ける時、
それは新たなる可能性を呼び込む事になるかもしれない。

 

/駆動部/

 

機体フレームの各部…関節部等の駆動部の要所となる部分には、
それぞれサブコンピューターが内蔵されている。

 

これは、従来は航空機であった蒼龍卿が、人型機であるI=Dを操縦するに際し、
駆動系の運用に際して余剰な処理を必要としないよう、
従来のI=Dから得られたデータを元に、
基本的な駆動動作等をパッキングして処理を簡便に行えるように措置を行った物である。

 

これによって、機体駆動に関する蒼龍卿の処理は、大幅に軽減されると見られている。
無論、外部からのハッキングルートとならないよう、これらのサブコンピューターは、
DAIANインターフェースのダイレクトアクセス以外は、全てスタンドアローンとなっており、
機体そのものにも厳重なソフトキル対策としての対磁性、絶縁性等が確保されている為、
万が一にもハッキング等の心配は無いような構造となっている。

 

これらの処理分散は、その他火器管制、索敵等のコントロールにも施されており、
蒼龍卿の処理は戦術思考等に集中出来る仕様となっている。

 

もちろん、これらの処理分散は、蒼龍卿のアクセスによって遮断、
蒼龍卿自身での処理や、コックピットのポレポレ氏に移管する事も可能となっている。

 

/各種電子装備/

 

索敵系は、積載容量と相談の結果ではあったが、
火器管制系ともども、通常の大型I=Dでも考えられない程の大盤振る舞いとなっている。

 

基本的な思想としては、フェイクトモエリバー3から受け継がれる、
背景輻射ソナー、スペクトル偏移観測機、電波式レーダーによる3次元複合レーダー、
という信頼性の高いシステムを踏襲しているが、
処理能力が桁違いに強化された現行システム、
しかもその中でも最高峰とされる蒼龍卿による情報処理が加味された結果、
その精度は段違いに強化された物となっている。

 

更に、処理能力に加え、記憶装置の容量、読み込み・書き出し速度も桁外れに強化されている為、
ほぼリアルタイムでの観測データを収集する事が出来、
合成開口レーダーとしての機能を持つに至っている。

 

これに加え、大気圏内でも十分な索敵性能を持たすべく、
高精度ドップラーレーダーを併せて搭載している。
これによって、わずかな空間の揺らぎ等も見逃さずに索敵する事が可能となっている。

 

火器管制系は、これらから得られた索敵データを元にリアルタイム解析を行い、
必要であれば仮想全天式ディスプレイにデータ画面をノンリニア合成する事による、
仮想戦闘用インターフェースとする事も可能となっている。

 
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蒼龍卿の代名詞の一つともなっている電子戦装備についても、
ハードウェアからソフトウェアまで最新鋭の装備で固められており、一部の隙も無い。

 

あらゆる周波数帯の電磁波を送受信する機能はもちろん、
送受信した信号をリアルタイム解析、逆探知による測位点割り出し、
ハッキングからソフトキルまで、
基本的に無線通信であればあらゆる経路からの情報戦を可能な装備が取り揃えられている。

 

逆に、防御に関しても鉄壁となっており、
あらゆる形での欺瞞や偽装が、蒼龍卿への侵入ルート上に仕掛けられており、
暗号化も、量子暗号や複素数暗号が組み合わされた、
現行の軍用暗号よりも強固なロジックで構成されている為、
並みの相手では侵入路を見つける事すら出来ないであろう。

 

その中の一つ、組み込まれているツールの一例を挙げる。

 

・抗ソフトキルプロテクション

 

特に不正アクセス(情報戦)に対する仕様。
オフェンシブシフトとディフェンシブシフトが存在する。
3層のロジックウォール(論理防壁)を基本とし、侵食速度や指向性を分析、瞬時にシフトを決定する。

 

オフェンシブシフトの場合、
危険性が無い領域へ侵攻させ、相手側アクセスをデッドロックへ追い込み、逆侵攻を仕掛ける。

 

ディフェンシブシフトは、DAIANが戦闘機動に入っている場合等、
オフェンシブシフトが要求するシステムリソースが確保出来ないと判断した場合に発動する。
不正アクセスのブロックと機能保全を最優先とし、
可能な限りにおいてバックログの形成とシステムの回復を行う。

 

…これらは、基本的にDAIANインターフェース、
即ち、蒼龍卿自身の手によって直接コントロールされており、
許可無くして外部からの閲覧は不可能となっている。

 
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このように、至れり尽くせりといった様相を呈している内部装置であったが、
これだけ詰め込むと、さしもの“巨人機”も、積載容量ギリギリになったとされる。

 

むしろ、これだけの性能をギリギリまでよく詰め込んだ、と言うべきであろうか。

 

/機体装甲/

 

機体フレームを覆う外装部は、鎧を纏う騎士を模した姿となっており、
蒼龍卿の“帝國騎士”としての出で立ちとして相応しい物であると言える。

 

当然ながら、これも装甲の一環として開発された物であり、
見た目のみならず、対弾入射角調整による防御仕様や鏡面加工による対光学兵器防御を始め、
耐腐食、絶縁性、対磁性コート等、ありとあらゆる防護措置を施した、
最新鋭の装甲となっている。

 

その頑強な装甲を実現させているのが、
兼ねてより帝國製I=Dを始め、各種機動兵器等の分野で研鑽を積んできた、
“複合ラミネート装甲”の真価であった。

 

これは、装甲の材質を単一の素材で構築するのではなく、
剛柔、熱、磁性、絶縁、腐食…etc、凡そ機体駆動の妨げとなるあらゆる要素と、
戦闘時の装甲に求められるあらゆる要素、
それぞれに強力な耐性を持つ素材を複数組み合わせる事で、
あらゆる被害から機体を防護する事を目論んだものである。

 

現在では、外装~構造材としてセラミックやチタンを配する事で、耐熱性、絶縁性、抗腐食性を確保。
補助装甲材として焼結タングステンやジュラルミンを使用して剛性を高め、
カーボンファイバー、ケプラー、アモルファスファイバー等の特殊繊維によって衝撃を吸収・拡散、
機能性高分子ゲルによる断熱、衝撃拡散…等、
多岐に渡る素材の組み合わせが提言され、その思想は研ぎ澄まされている。

 

また、この装甲は単に複数の素材を組み合わせるだけでなく、
組み合わせ方や、接着等の技術を組み込む事によって、
単純に複数の素材を組み合わせた場合よりも強靭となるケース等も研究されている。

 

この装甲を形成する上で最大のネックとなるコストの問題も、
唯一機である蒼龍卿の装甲を形成する、という命題においては問題となり得ない。

 

むしろ、蒼龍卿という“帝國最後の剣”の鎧となる以上、
如何なる死地においても生還を期すだけの頑強さと、
その動きをわずかでも妨げない軽さと機能性が求められるのである。

 

よって、まずは宰相府、及び蒼龍卿から許諾が得られる範囲での装甲データをフィードバック、
分析を行い、可能な限りその性能に近づける組み合わせが模索された。
その上で、更に機動性等を損ねないレベルで装甲機能の付加が行われたのである。

 

これによって、本体となる機体フレームと装甲部だけでも、
通常の帝國製I=Dとは比較にならない程強固な機体として完成したのである。

 

/バリアシステム/

 

そして、“もう一つの装甲”と表現し得る装備が、
蒼龍卿に搭載されていた“バリアシステム”である。

 

装甲下部に搭載されたこのシステムは、高密度の電磁層を形成する事で、
光学兵器であれば乱反射させ、熱や電磁力による影響は撹乱・拡散される事を利用した、
防御システムとして開発されている。

 

また、出力を増強する事で疑似的な斥力を発生させる事も可能となっているが、
さすがにそこまでの超高出力を維持しながらの戦闘機動は不可能となっており、
基本的に実弾系の攻撃は、装甲か回避頼みとなっている。

 

しかし、それとても熱や電磁波、
光学兵器に対する一定の防御力が機体出来る事は大きなアドバンテージであり、
特に大気圏内や大気圏離脱・再突入時のウインドシールドとして、
或いは宙域戦闘において多用される光学兵器への防御装置としては、高い信頼性を誇る物であった。

 

但し、バリアシステム展開中は、
内側からの光学兵器や電磁波も撹乱・拡散される事に注意が必要である。

 

/各種兵装/

 

また、この本体部分は帝國I=Dとしての特性として、
星鋼京が開発した“増加燃料装備”や“フライトユニット”を始めとする、
帝國製I=D増加パーツと高い親和性を持つよう設計されており、
全装備状態においてもその性能を遺憾無く発揮出来るように構成されている。

 

他に、特徴的な余剰装備装着用のウエポンベイとして設定されているのが腰部周辺であるが、
これは蒼龍卿の追加武装コンテナを搭載する事を目論んだ部分となっている。
但し、追加コンテナ専用という訳ではなく、他に追加武装を搭載する事も可能である。

 

これら追加兵装とは別に、主兵装としてこの機体が搭載する事となるのが、
肩部から背部にかけて、騎士が纏う重鎧やマントを想起させる“大型シールドバインダー”と、
大推進力の源となる“大型ブースターユニット”である。

 

“大型ブースターユニット”とは、読んで字の如く、
この機体の主推進力を担う、巨大なブースターユニットである。

 

これは、フェイクトモエリバー3、
エバーライトと宇宙用を見据えた巨大推進力を研鑽してきた、
帝國製ブースター開発技術の集大成と言える巨大ブースターに、
蒼龍卿が搭載していた宇宙・大気圏内両用の高出力ブースター技術のフィードバックが為された、
現行の帝國領内でも最高性能のブースターであると断言して良い仕上がりとなっている。

 

その性能は、燃焼速度・エネルギー効率・推進効率のいずれを取っても比肩し得る物は無く、
大型・重武装I=Dとなった蒼龍卿であっても、
天を舞うかのように、軽やかな機動性を約束する物であった。

 

また、ブースターは大型のプロペラントと一体になっており、プロペラント容量分がある内は、
本体部のジェネレーターからエネルギーを供給する必要が無く、
その分、大幅に航続距離を延ばす事に成功している。

 
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“大型シールドバインダー”とは、
機体全長とほぼ同じサイズを持つ、一見すると巨大な盾を思わせる肩部装甲である。

 

そのルーツは、姉妹機である決戦号に搭載された物にも見る事が出来、
“帝國騎士”としての威容に、更なる重厚な彩りを加える物となっている。

 

もちろん、それは見た目だけの物ではない。
本体装甲部以上に強靭かつ堅牢な装甲部は、宇宙機としての性能を加味し、
耐熱性、耐久性を強化する事で、
前述の通り高速巡航形態におけるウインドシールドとして使用する事も可能な上、
蒼龍卿が従来から可能としていた、
単独大気圏離脱・再突入時にも対応できる装甲として仕上げられている。

 

実際の高速巡航・大気圏離脱・再突入時には、
バリアシステムを併用して運用する事になる事が想定されているが、
その出力を低減させ、機体への負荷を大幅に低くする事が可能となっている。

 

また、装甲それ自体としても極めて強固な構造となっている。
焼結タングステンカーバイドを始めとする装甲材は、
バリアシステムを使用せずとも、生半可な攻撃では傷すら付ける事は叶わない。
これは、大型騎として先陣を切り、
或いは矢面に立ち、ある時は単騎で死地を疾走し、
時には敵陣深くへ切り込む事にも対応すべく、
蒼龍卿の積載量が許す限りにおいて強固な装甲にする必要があった事に加え、
この“大型シールドバインダー”そのものが、蒼龍卿の専用武器格納庫になっている事もあり、
その強度については十二分な物が必要と考えられた為でもあった。

 

その強度は機体重量を支える事も、データ上は可能であるとされ、
白兵戦時には機体重量を掛けて突貫、
敵機を叩き潰す“シールドバッシュ”と呼ばれる戦術を使用する事も可能であるとしている。
その派手さから、帝國騎士の間では人気が高い戦術である。もちろん、推奨はされないが。

 

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また、“大型シールドバインダー”は、決戦号から受け継いだ仕様として、
内部に武装を格納する事が出来る。

 

格納される武装は主兵装として、
大型反陽子キャノン、46cm単装砲“Kanone”、
収束バリアフィールド発生装置搭載可能超高硬度巨太刀、
同・白兵戦仕様突撃衝角、ビットシステム、コンテナミサイルランチャー等となっている。

 

/大型反陽子キャノン/

 

蒼龍卿に搭載されていた主砲である、反陽子砲を改修し、
取り回しの利く主兵装の一つとした物。

 

長砲身の大型砲で、基本的なシステムはそのまま流用されているが、
射出時の出力強化や、安定したエネルギー供給を可能とするラインについて、
破城槌デバイス等に採用された技術が導入されている。

 

これによって、エネルギーラインの効率化が10%程度図られ、
宙域戦闘における超長射程にも安定して対応が可能となった。
出力比で換算すると、火力は15%程度向上している。

 

装着時は、腕部に固定され、手部マニュピレーターは射出タイミングのコントロールに用いられる。
これは、反動制御という観点もあるが、
この兵装に関しては、むしろ手部マニュピレーターが戦闘中に破損しても、
ダイレクトコントロールでの射出に切り替える事が出来るという利点が優先している。

 

/46cm単装砲“Kanone”/

 

帝國が、トモエリバー系列のI=Dと共に進化させてきた、
その象徴とも言える火器が“Lance”である。
第7世界の言語において、古の騎士が扱ったとされる巨大な馬上槍を語源とするそれは、
名実共に帝國I=Dの“槍”として、今に至るまでその戦線を支え続ける原動力である。

 

その、一つの極点が、この“Kanone”であると言えるだろう。
その名からは、ついに槍の名が消え、武骨な砲の名が冠せられている。

 

開発者は、このネーミングで大そう悩んだと言われる。
なぜなら、馬上槍とは古来騎士が使用した武器の中で最も巨大な武装であり、
これを越える更なる大型兵器とは、破城槌のような攻城兵器しか無かったのである。

 

そう、その火力は最早、槍という概念を越えるレベルである。

 

46cm砲とは、第7世界において過去存在した戦艦の主砲に搭載されたクラスの口径であり、
その破壊力は、爆撃に等しい物である。

 

基本的な仕様としては“トモエリバー系列”から受け継がれた“Lance”シリーズを引き継ぎ、
マガジン式の給弾機構を備え、このサイズの砲としては考えられないレベルの連射が可能。
故に、地上戦においては直接砲撃による直射武器としての仕様の他、
制圧砲撃による遠距離砲撃支援も可能とされる。

 

宙域戦闘においては、物理的破壊を目的とした直射武器としての活躍が見込まれている。

 

弾頭も“Lance”シリーズに倣い、
APFSDS(装弾筒付翼安定徹甲弾)と、HE(榴弾)の2種類が開発されている。

 

装着方式は、反陽子キャノンと同様に、腕部に直接固定する方式が取られている。
こちらは、反動によるマニュピレーター損壊の恐れを考慮してのものであった。

 

/収束バリアフィールド発生装置搭載可能超高硬度巨太刀/

 

非常に長い名称を持つが、有り体な表現をするのであれば、鞘と太刀である。
収束バリアフィールド発生装置、と言うのが鞘に相当し、
セットの超高硬度巨太刀に被せられた状態で格納されている。

 

しかし、その意味は実際の鞘と太刀とは、大きく異なる。
収束バリアフィールド発生装置とは、蒼龍卿本体に搭載されていたバリアシステムを改良、
その収束範囲をごく小さく絞り込む事により、常に高い展開圧を維持、
そこから発生する斥力を武器に転用出来ないかという考えに基づいて開発された物である。

 

結論から言うと、この考えは成功した。
薄い刃状に展開したバリアフィールドは、
触れた物を“切り開き”、“分割する”刃として機能したのである。
切れ味という点では、実際の剣等には劣るものの、
刃こぼれする事も無く、エネルギーが続く限りにおいて無尽蔵の強度を持つこの刃は、
実践に耐え得ると判断されたのである。

 

これにより、鞘状の発生装置を実装、搭載する運びとなったのである。

 

ただもちろん、内部の巨太刀も、ただの飾りとして搭載されたのではない。
帝國騎士の誇りを体現する、槍と並ぶ誇りこそ剣である。
それ故“Kanone”の砲身を鋳造した技術と並ぶ、
現在における最高の鍛造・精錬・金属加工技術を以てして作られた巨太刀であった。

 

見た目こそ、シンプルな騎士剣を思わせる太刀であるが、
蒼龍卿の手に収まった時の威容は、帝國騎士であれば奮い立たずにはいられない程に、
美しく、畏怖を思い起こさせるものである。

 

その切れ味を一言で表す銘を与えるのであれば、
“斬艦”とでもいう所であろうか。

 

/白兵戦仕様突撃衝角/

 

白兵戦仕様突撃衝角とは、衝角、即ち機体全重量と速度を乗せて、相手に叩きつける武器である。
これも、元をたどるとそのルーツは決戦号の武装の中に見る事が出来る。

 

但し、決定的に異なる仕様があった。
それが、太刀にも搭載された、収束バリアフィールド展開システムであった。

 

これに搭載された収束バリアフィールドは、太刀のそれを更に収束し、
衝角の頂点というごく狭い範囲にまで収束する事で、
その斥力を極限まで圧縮、絶対物理防壁とまでは行かないものの、
並み大抵の材質であれば、穿ち抜ける程の“硬度”を得るに至った物である。

 

その仕様上、蒼龍卿自身の零距離突貫を必要とする、
極めて危険度が高く、かつ使い勝手の悪い兵器ではあったが、
破壊力だけは折り紙付きであり、機動性の低い代わりに装甲が強大な超大型兵器や、
要塞等の攻城兵器としては、利用価値が認められ得る装備であった。

 

そして、やはりと言うべきか、ビジュアル面では大層人気があったと言われる。

 

/コンテナミサイルランチャー/

 

その名の通り、コンテナミサイルを射出する機構である。
つまり、本義となるのは射出されるコンテナミサイルの方、という事になる訳であるが、
このコンテナミサイルとは、コンテナ状の弾倉に、
無数の誘導型小型ミサイル
(と言っても、蒼龍卿のサイズでの事なので、通常型I=Dのミサイル程度)
を装填した物を、コンテナごと射出、一定距離を飛行した後全弾射出する、
というシステムを搭載したものである。

 

特に乱戦時や密集隊形を取る敵に効果を発揮し、
近距離での迎撃から撹乱、牽制、小型~中型目標の殲滅と、
ビットと並ぶ使い勝手の良い武器として、搭載が決定したものである。

 

但し、弾幕が効果的に展開されるには一定の射出距離が必要とされる事から、
有効射程距離は遠距離、もしくは対空用途に限定される事が欠点となっている。

 

/ビットシステム/

 

蒼龍号決戦仕様の独自装備。
蒼龍号に搭載されていたビットシステムを原形とし、
過去の戦歴データ、戦術ロジック等をフィードバック、
これによって得られた単機毎の要求性能に合わせ、
最適化されたビットを新たに開発した。

 

武装カテゴリこそ"ビット"となっているが、
既に"簡易I=D"と読んで差し支えない火力と機動性を備えている。

 

これには、星鋼京で培われた"モジュール交換型I=D"の思想が醸成された事により、
希望のモジュールを組み合わせる事で、
簡易にI=D様の機動兵器を設計出来るようになった事が大きい。

 

但しここで組まれたビットは、搭乗者を要する機体としては到底実戦に耐える物ではない。
その証拠に、火力こそそれなりであるが、装甲等は生産性向上の為、
兵器としての外装を形作る、必要最低限の物に留まっている。
更に、ビット用の物はコックピットすら搭載していない。
蒼龍卿が直接操縦する為、不要だからである。
あくまで、蒼龍卿決戦仕様専用の補助武装として開発された物である事が、
はっきりと見て取れる代物であった。

 

その為、宙域戦闘において限界性能を発揮する蒼龍卿にはとても追随出来ず、
展開しても無線誘導範囲から外れる恐れもある為、
用途としては大気圏内における戦闘補助・機体周囲の迎撃が主な用途となっている。

 

原則的には本体である蒼龍卿の無線操縦によって運用されるが、
自律行動も可能な程度の索敵・観測システムも搭載している。
これは、主に本体の索敵補助、ビット攻撃時の火器管制目的として搭載されており、
蒼龍卿(DAIAN)にデータをリアルタイムフィードバックする事により、
蒼龍卿決戦仕様の死角を完全にカバーするほど、
高精度・広域・柔軟性の高い索敵を実現するに至っている。

 

但し前述の通り、このビットシステムは“蒼龍卿の無線操縦”によって運用される。
即ち、これらの膨大な情報を処理、運用する事を前提として求めている。
自動操縦による兵器運用を原則的に禁ずる動向から導き出された、
一見すると苦肉の策とも取れる仕様である。

 

…余談だが、開発者の意図としては“蒼龍卿の性能ならば最大の性能を引き出し得る”という、
ある種の信頼めいた意図があったというとか、言わないとか…。

 

また、安全装置として本ビットシステムは、
蒼龍卿(DAIAN)のリアルタイムフィードバックから外れた場合、
即時機能停止・自爆する仕様となっている。
この原則から外れ得る唯一の例外は、
蒼龍卿の戦術オペレーションにより、ビットによる特攻戦術が指定された時のみである。
このオペレーションが指定された時は、
ビットのリアルタイムフィードバックが停止され、
指定目標へ向けた自律行動による突撃を敢行する事になる。
この場合、極めて単純な(目標を追尾するのみ)行動以外は取れない仕様となっている他、
蒼龍卿の戦術オペレーションによる制止も可能である。
以上のように、暴走への危機管理は、最大限の物が払われている。

 

結句

 

以上が、仮称、蒼龍卿決戦型舞踏装備、プロダクトネーム・ドレスの各種仕様である。

 

この機体は、現在開発計画が持ち上がっている、
決戦号・リファインモデルのプロトタイプとして設計されており、
原則的には蒼龍卿…DAIANによる単独戦闘を可能とした機体とされている。
ビットシステムを併用した戦闘など、人間業とは到底言えない戦術が確立されている辺りは、
その片鱗を垣間見る物であると言えるだろう。

 

その一方で、バディであるポレポレ・キブルゥ氏の搭乗を前提とされる設計も組み込まれており、
なおかつ、氏の搭乗如何に関わらず、最高性能が常に発揮される仕様となっている。

 

それは、設計者が考えた、現在開発中の姉妹機“決戦号・リファインモデル”との、
双璧を為す事になるであろう、思想に基づくものである。

 

蒼龍卿は、幾多の戦術経験を積む事で“帝國の剣”としての性能を極めんとしている。
それによって、恐らく蒼龍卿を越える性能の無人機を作った所で、易々と勝利して見せる事だろう。
経験の昇華――。
それは、ハードウェアの性能を打ち破る、強力な武器であり、
ハードウェアの性能を、限界を越えて引き出し得るファクターである。

 

そして、ポレポレ氏というバディ…ヒューマンファクターである。
これらは成長する可能性であり、常に“未知”という領域を秘めているからこそ、
AIと人、その両者が手を携えた時、
ハードウェアとしての性能の、限界を越えた物を垣間見せるのではないか――。

 

そんな、祈りにも似た思いが込められた思想であった。