天狗の八衢 (同人)

古より宕山で暮らす山の民、その長が死んだ。

生涯を山中で過ごし、神通力を持ち、人よりはるかに長命の彼らは、一息の跳躍で山を越える姿から天狗と呼ばれた。
亡骸を残すことなく、元から存在しなかったかのように天狗は死ぬ。

近辺の山々で行者が死亡するという事件が繰り返し起こっていた矢先の凶事に山の者達は皆悲しむが、先代の二人の息子を次の長候補としてあげた。
本来長子である彪彦（あやひこ）が引き継ぐはずのその席に、弟の玖珠見（くすみ）の名前が加えられた事から物語は始まる。
突然振って沸いたかのような話に彪彦も玖珠見もただただ面食らうが、ずっと二人と共に育ってきた山犬の阜生（ふき）は一人（一匹）怪訝に思っていた。

その頃、所を移して海を隔てたとある孤島では、流罪に処せられていた嵯門が、宕山を含む三上野連山で起こっている不穏な事件を解決すれば、罪を許されると持ちかけられていた。

やがてそれぞれの運命が絡み合い、大きな一つの流へと収束する。

• 彪彦(あやひこ)　cv：ボイスなし
  宕山の民の長の第一子。意思表示がはっきりとしている。少し落ち着きに欠ける部分がある。
  　　「舌を噛んだぞ、お前！」
  　　「――人が肉魂を残すのは土に還る為ではないのか」
• 玖珠見(くすみ)　cv：ボイスなし
  長の第二子。長の弟の息子で、両親が死んだ折に宕山にやって来た。万事控えめで大人しく、彪彦と阜生の後についていくような性格。
  　　「阜生、兄者は大丈夫でしょうか」
  　　「……引き返してください。今は山が人を拒んでいます」
• 阜生(ふき)　cv：ボイスなし
  大峯坊に拾われて宕山で育てられた山犬。人の形に変化する事ができる。冷静。たまに説教臭くなる。
  　　「……」
  　　「俺ではお前の問いに答える事は出来ん。根本からお前とは異なる存在だ」
• 嵯門(さもん)　cv：ボイスなし
  人々に慕われ、尊敬されていた行者。呪術なども使う事が出来る。流罪に処され、孤島に住んでいる。
  　　「……私は弟子はもうとらない。私に教えられる事など、何もない」
• 大峯坊(だいほうぼう)　cv：ボイスなし
  宕山の民。阜生を拾って自分の子供のように育てた。
  　　「古くは人もわしらも同じものであったという」