シャボン玉少女の不思議な体験

Last-modified: 2011-02-26 (土) 11:43:03

たまに、考えることがある。
何故、私はシャボン玉が好きなのか?
何故、あのふわふわ感がたまらないと感じているのか?
何故、割れないシャボン玉を抱きしめてみたいとかシャボン玉に包まれて空をふわふわと浮遊したいなどという夢見たいなことを妄想しているのか?

 

これは、そんな私の夢のような不思議な体験の話

 

私、一橋 柚香(いちはし ゆか)はごく普通の高校1年生である。
とある1つのあり得ないくらいな趣向を除けば...

 

キーンコーンカーンコーン
4限目終了のチャイムが鳴る。
先生の“今日はここまで”の言葉とともにクラスの生徒のほとんどが学食へと走り出す。
うちの学校はお弁当を持ってきてもいいが主流は学食となってるため、生徒のほとんど(特に男子)は学食へと席取りの為、猛ダッシュするのである。
そんな中、私はお弁当を持ってくるようにしている。
人が多いところが嫌いなのともう1つあることをするためにある場所に行くからだ。
私はいつものようにお弁当を持ち、屋上へと向かった。
昼休みの屋上...それは私にとって至福のひと時なのだ。
誰もいない屋上で1人、お弁当を食べる。
1人というものは淋しいけれど、どうしてもしたいことがあるから仕方がない。
私はお弁当を食べ終わると、ポケットに入れてあったあるものを取り出した。
「よっし、今日もとばすぞぉ~。」
ストローを自家製の液につけ、それを口にくわえてそぉ~と息を吹く。
ふわふわと浮かび上がる無数のシャボン玉。
「今日もぜっこうちょ~、いいとびっぷりだね。デヘヘ~...」
思わず涎が出てしまう。
そう、私はとてつもないくらいにシャボン玉を愛している女子高生なのだ。
私はそんな自分をシャボン玉フェチと称している。
もちろん、家族にすら秘密にしているため、私自身以外誰も知らないわけだが。
「よぉ~し、もっともっととばすぞぉ~。」
そう言って、再びシャボン玉をとばそうとした瞬間だった。
ズド~ンっという音とともに、目の前に少女が降ってきたのだ。
「えっ、何?何?てか、誰?あ~、じゃなくて大丈夫?」
少女は恐らく5歳くらいで園児服を着ていた。
気がついたのか、その少女は私に声をかけてきた。
「ここはどこじゃ?お主は誰じゃ?」
「ここは横井高校。で、私は市橋 柚香。てか、人に名前聞くときってまず自分の名前言うもんじゃないかな?」
「高校...ということは学校だからここが地球か...」
「ちょっと、聞いてる?」
「あぁ~、すまんすまん、ワシはダラインというものじゃ。信じがたいかもしれんが異世界からきたものなんじゃ。」
「異世界ねぇ...」
「なんじゃ、反応薄いのう...」
「あっ、いやあまりに突飛過ぎて。」
「まぁ、それもそうかの。ところで、さっきとばしてたあれって...」
「シャボン玉のこと?」
「やっぱりシャボン玉なのか!」
「えっ?シャボン玉知ってるの?」
「知ってるも何もこっちの世界にもあるからのう。しかも、ものすごく大きくて弾力もあるわい。」
「えっ、何々?すごく気になるんだけど。」
「まぁ、慌てなさんな。確か、ここに...」
そう言って、ダラインはポケットから小さいビンを取り出した。
中には薄い青色をした液が入ってる。
「ちょっとストロー貸してもらえるか?」
「ぜひぜひ。」
嬉しそうに目をキラキラさせながら右手に持っていたストローをダライン渡した。
今は、大きくて弾力があるというシャボン玉が楽しみで楽しみで仕方がない。
「じゃ、行くぞ。」
ダラインは大きくすぅ~っと息を吸い込み、ストロー口にくわえた
「ふぅ~~~~~~~~」
声が出るくらいに勢いよくストローを吹くと、シャボン玉がどんどんと大きくなっていった。
直径1メートルくらいになったところでシャボン玉はストローから離れふわふわと辺りを漂う。
「ほれ、完成じゃ。ちょっと触ってみるかい?」
そんな言葉を聞きもせず、私は漂っているシャボン玉を突っついて楽しんでいた。
「すご~い、大きいし全然割れなぁ~い。ちょっとくらいなら割れないシャボン玉ってのはあったし、自分でも作ったことあるけど、こんなに大きくて割れないシャボン玉は初めて。しかもぷよぷよしてて気持ちいいし、ってあれ?」
大きなシャボン玉に頭からよりかかろうとした瞬間だった。
ぷにっ、ぽよん。
という音とともに不思議な感覚に包まれていた。
「えっ、何これ?えっ?え~~~~~~?」
身体が浮いたままだった。
そう、私はシャボン玉の中に入ってしまったのだ。
「すごいじゃろ?」
「すごい、なんてもんじゃないよ。まるで、夢見てるみたい...」
嬉しさと驚きが上限を超えてしまうくらいに跳ね上がってる。
顔はにやけっぱなしで、口は涎でいっぱいになり、思わずたれそうになってしまう。
「あんた、相当のフェチなんじゃな...」
「う、うるさい(汗)。いいじゃない、好きなもの好きなんだから仕方ないでしょ。あぁ~、ダメだやっぱり気持ちいい...」
怒ろうとしても顔のにやけはおさまらない。
何よりシャボン玉の中が気持ちよすぎて仕方ない。
ふわふわしてて触るとぽよんぽよんなって、なんか満たされていく...
「じゃったら、もっと悦らせてみるかの(笑)。」
ダラインはそう言うと、私が入ってるシャボン玉に近づき、指でシャボン玉をふにゅっとついた。
シャボン玉は波のように右から左に波紋を広げていく。
それとともに私の身体も右の方から左へと揺れが伝わる。
「何...これ...なんかよく...わか...な...け...きもち...いい...」
「実はの、こっちの世界のシャボン玉はの不思議なもんで、シャボン玉をつつくと中に入ってる人までシャボン玉と同じような感覚を体感できるんじゃよ。誰がいつ発明したのかは知らんがの。」
そう言いながら、ダラインはシャボン玉を指で何回もつつく。
「すご...い...いやっ...ダメ...やめ...ちょっ...あっ...」
止まらない快感に襲われ続け我を失いかけていく。
「どうじゃ?気持ちいいじゃろ?」
「ああっ...ダメ...って...言って...でも...きもち...いい...はぁっ...もう...だ...め...」
シャボン玉の中で気持ちよさに蕩けていく...
身体がとろとろになってまるで自分がシャボン玉になってるような気がしていく。
私は今、シャボン玉なんだ...
気持ちいい...な...
なんか目も蕩けてきちゃった...
ふぁ~~~~~...

 

........................

 

「...か。...柚香。柚香ってば!」
「...ふぇっ?...なにぃ~...どぉしたのぉ~...」
「『どうしたの?』じゃないわよ!とっくに授業始まってるよ!」
「えっ(汗)、ホントだ(汗々)。すぐ行く~。」
「ホントにもう、何してたんだか...じゃ、教室戻ってるからね。先生カンカンよ。」
「マジでぇ~~~?」
気がついたのは友達に起こされた時だった。
ダラインはいつの間にか消えていて、シャボン玉も全くとんではいなかった
(夢...だったのかな?)
そう思いながら立ち上がろうとすると、ポケットに違和感を感じた。
ポケットを探ると小さなビンと紙が入っていた。
小さなビンには薄い青色の液が入っていた。
そして、手紙にはこう書いていた。
『楽しい時間をありがとう。久々にあんなに驚いて楽しそうな顔を見たよ。こっちの世界じゃあんなのが当たり前になってて今じゃ誰もあんなに驚いたり楽しんだりしないからの。それに今じゃワシくらいしかシャボン玉で遊ぶこともなかったし。それは、遊んでくれたお詫びじゃ。よかったらまた楽しんでくれ。P.S.ワシはこう見えても55歳じゃからの。口のきき方には気をつけなされ。まぁ、楽しかったから構わんがの。』
「55歳だったんだ...どおりで話し方が年寄りくさいと思った。」
『なんか言ったかの?』
「えっ?」
一瞬、声が聞こえたような気がしたけど、きっと気のせいだろう...
(ありがとう、ダライン...)

 

あれから、何年経っただろう...
私はシャボン玉パフォーマーとしていろんなところを回っている。
あの時、ダラインが残していったシャボン液を研究して、人を包んだままふわふわと浮かぶシャボン玉が作れる液を開発した。
ダラインの持っていたほどではなく1分ほどで割れてしまうが、ふわふわ感はほとんど変わらない。
それが子供たちだけでなく大人にも大好評で、いつしか私はシャボン玉の魔女と呼ばれるようになっていた。
皆、気持ちよさそうにふわふわとシャボン玉に包まれて浮かんでいるのが楽しいみたいだ。
今日も私はふわふわとシャボン玉をとばしている。
あの時、ダラインと出会ったあの場所で...

 
 
 

たまに、考えることがある。
何故、私はシャボン玉が好きなのか?
何故、あのふわふわ感がたまらないと感じているのか?
何故、割れないシャボン玉を抱きしめてみたいとかシャボン玉に包まれて空をふわふわと浮遊したいなどという夢見たいなことを妄想しているのか?

 

体験したからこそわかった。
私はとてつもないくらいにシャボン玉を愛している。
ふわふわした感じが、ぽよぽよした弾力感が素敵で堪らないと本能で感じている。
シャボン玉の中はすごく気持ちよくてふわふわしてて気持ちいい。

 

私は、超がつくほどにシャボン玉フェチなのだ。

 
 

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