新感覚!シャボン玉風呂

Last-modified: 2010-03-12 (金) 00:15:51
 
  • 注意!このSSには性的な表現や、コアな表現が含まれています
     
     
     
    「お風呂沸きましたよーっ」
     
     と言いながら留美ちゃんと結奈さんが、一緒に部屋へ戻ってきた。
     ・・・何故二人?
     
    「ちょっと仕込むのに時間がかかりましたけど、面白いものができましたね」
    「はいっ」
     
     面白いもの?
     
    「では、紅葉さんから先にどうぞ!」
     
     そしていきなり、紅葉さんがトップバッターすか。
     
    「え、俺?」
    「はい、女の子になってから入ってくださいね」
    「え?あ、ああ」
    「あと上がる前にシャワー浴びておいてくださいね」
    「??」
    「そして必要になったら頭まで浸かってくださいね」
    「……頭?」
     
     一体どんなお風呂なんだ?と、紅葉さんが首をかしげながら部屋から出て行く。
     
     
     
     3日前ぐらいに、留美ちゃんとビデオチャットで話している時に、学校の関係で1週間ほど休みになるという事を話したら、その間泊まり込みで紗樹との訓練をやってみないかとあっちが提案してきた。留美ちゃんがどんな生活してるのかとかも気になったし、何しろ私も早くS.Fを使いこなせるようになりたい。そういうわけで、私は留美ちゃん達の家でS.F訓練合宿に挑んでいるのだった。
     
     三十分後、私達は紅葉さんの部屋でイメージトレーニングを続け、先ほど教えてもらった、かつて超能力の代名詞と呼ばれていたメタルベンディングというS.Fを成功させてガッツポーズを決めた直後、当の紅葉さんが部屋に戻ってきた。
     
    「ふぃー、なかなか」
    「おかえりなさい、如何でしたか?」
     
     結奈さんがベッドに腰をかける紅葉さんの隣に座り、感想を伺う。
     
    「面白い事考えるもんだな」
    「胡桃さんでも考えなかったものですよ」
    「よく思いつくなー。フェチの賜物ってやつ?」
    「かもしれませんね」
     
     「さて、効果の程は…」と言いながら、結奈さんは紅葉さんの両頬をつまんで軽く引っ張る。
     
    「いっ」
    「う~ん、やっぱり胡桃さんに弄られてから、このほっぺたの触り心地がたまりませんね」
    「おいあえおわわ」
     
     多分「おいやめろ馬鹿」と言っているのだろうが、まともに喋れていない。結奈さんはすごく楽しそうだが、紅葉さんは"スイッチ"が入ってないのか、結構クールな感じがする。未だに紅葉さんの"スイッチ"が入ったところを見た事が無いけど、留美ちゃん曰く、「超がつくほどかわいい」とかなんとか。
     
    「では、あとりさんもどうぞっ」
     
     私の隣にいる留美ちゃんがゴーサインを出す。
     
    「お、先に良いの?」
    「はい、どうぞお楽しみください」
    「OKOK、じゃあ遠慮なく」
     
     洗面用具を取り出して、いざ1階の更衣室へ。
     
    「あ、何も無くて大丈夫ですよ」
    「え?」
    「とりあえずバスタオルだけ持ってってください」
    「え、あ、わかった」
     
     何も無くて良い・・・だと?
     
     
     
     とりあえず、何も持たないまま風呂場の前までやってきた私は、服を脱いで脱衣カゴに放り込む。全裸になった私は、思い切って浴室のドアを開ける。開けた先には……。
     
    「あ…れ?」
     
     浴室は多くの人が住んでいるためか、一般の家よりも少し広めになっているみたいだ。浴槽は3人がギリギリ同時に入れる程度で、シャワーは二つ付いている。換気扇が回っていて、湯気が……無い?
     
    「え、蓋でもしてる……わけじゃないし。…ん?」
     
     浴槽は沢山の泡が浮かんでいる。泡風呂か。
     でも、その泡は結構大きめで、ハンドボールぐらいはある。これじゃ泡じゃなくてシャボン玉。まあ留美ちゃんの好みって感じかな。
     が、そう考えた直後、私は気付いてしまった。
     
    「まさか……!」
     
     思い切って、浴槽に腕を突っ込む。
     予想通り表面のシャボン玉は留美ちゃん謹製の割れないやつで、厚めの膜がぽよぽよしてて面白い。それだけじゃなく、腕を突っ込んでもそのぽよぽよ感が奥まであるということは、この浴槽には全部シャボン玉が入っているんだ。
     というか、何故か温かい。普通のお風呂のお湯と同じぐらいの温度を感じる。
     
    「は…ははは」
     
     あまりにも凄すぎて失笑してしまった。いや、呆れているわけじゃなく現実離れしている点が。
     
     とりあえず入ってみよう。お湯をかけたい所だけど、浴槽が全部シャボン玉ではかけようが無い。仕方ないのでそのまま脚をゆっくりと入れてみる。
     
    「……んっ」
     
     予想通りの感触。むにゅ、というかぷるん、というか、言葉に表しようのない感触が私の脚を包み込んでいく。しかも温かいという点が私の興奮を高めていく。性的な意味じゃなくフェチ的な意味で。あ、どっちも同じ意味なのか。
     そのまま太腿まで両脚を入れると、まるで全身をゆるくマッサージされてるかのような感覚になる。興奮も相まって、脚全部を愛撫されているような感じになってくる。やばい、気持ち良い。
     
    「ふぅ…ふぅ…、次は…」
     
     次は上半身を埋めていく。あえてゆっくりと脚を曲げていって、浴槽の中に座っていく。顔がすこしにやけているのに気付くが、今の私だったら無理も無い。
     そして頑張って(?)頭以外の全身を、シャボン玉風呂の中に埋めることに成功した。ぷるぷる?ぽよぽよ?正体不明な感触が全身を包み、一気に昇天しかけるけど、そこは我慢する。この不思議な感触以外はいつものお風呂と同じ感覚で入っていられるため、普通に温まっているのが凄い。しかし、動く度に浴槽の大量のシャボン玉が擦れたり動いたりするので、私の快楽度がどんどん上がっていくのは間違い無い。
     
    「ど…、どんなプレイなんすか…!」
     
     思わず呟いてしまう。
     でも、そろそろ冷静で居られなくなる。このままエロビデオみたいに、アンアンと喘ぎ声を漏らしてしまうのだろうか。いやいやそれはまだ個人的に許せない。
     
     
     色々動いたりして感触を楽しんでいると、ふと身体が入浴剤入りのお風呂に入っている時同様、すべすべした感じになっているのに気付いた。このシャボン玉は触れているだけでそんな効果まで発揮するのか。
     関心しているところで、ふと後ろを見ると壁面に何か透明なフィルムのようなものが張りついている感じがした。
     
    「ん?これは」
     
     どうやら業務用の有機EL液晶POPのようだ。確かに、フィルムの下に内容を表示するための機械が付いている。スイッチが入っていないので、電源を入れると。
     
     
      【●泡が身体を勝手にキレイにしてくれるので特に何もすることはありません】
      【●加えてスキンケアまでするので一石二鳥!頭まで浸かってくださいねっ】
      【ルミ】
      【P.S 途中で何かが染み込んでくる感じがしますが、異常ではないので大丈夫です。】
      【いやとっても気持ちいいはず…!】
     
     
     なんと御丁寧に。留美ちゃんって、結構仕込みに力入れるタイプだってよく思う。
     ということは、このシャボン玉風呂に入っているだけで身体全部も洗えるし、スキンケアまで成り立つ。何この万能風呂。
     
    「んひゃっ!?」
     
     突然、全身の皮膚から何かが侵入してくるような感覚に襲われ、私はおかしな悲鳴を上げてしまう。
     
    「あ、ああ、あああっ!」
     
     毛穴からどんどん何かが入り込んでくる感じで、痛くはなく、液晶POPに書いてあった通り気持ちいいというよりは、全身の体毛を逆撫でされているような、ぞくっとした感じが混ざっている。
     
    「ちょ、ちょ、ちょぉっ!?」
     
     足指の間、股間、臍、腋、首筋、あらゆる場所を弄られている!
     抵抗もできず、そのまま体勢を崩して頭まで引きずり込まれてしまった私は、完全にシャボン玉風呂の中に取り込まれてしまった。遂に全身がシャボン玉群に捏ね回され、何がどうなっているのか分からなくなってきた。
     
    (ひっ、ちょやめっ!)
     
     耳の穴まで泡が入り込んで、その部分までざわざわと逆撫でされていく。更には自分の性器の浅い部分にまで侵入してきて、同じように撫で回される。もう気持ちいいのか気色悪いのか、果てはくすぐったいのか分からなくなってきて、終いには発狂してしまいそうになる。
     
     と、限界を感じ始めた途端に、シャボン玉風呂の撫で回しがピタリと止まった。
     
    (あ…あれ?)
     
     急に蠢きが止まったので、身体の感覚がすごくおかしくなっている。自分自身の境目みたいなものが曖昧で、急に止められると全身がジンジンとする。
     が、そう思った直後。
     
    (あ……)
     
     そのジンジンする身体から、内側へかけて何かが浸透していくような感じが私を襲う。
     
    (ふぇ…ふぇぇぇぇ……)
     
     摩訶不思議な感覚に、私は気の抜ける声を心の中で上げた。
     このまま何かが私の中を満たしていって、自分もこのシャボン玉風呂と同化してしまうんじゃないかと錯覚する愛撫だ。
     
    (とけ…とけちゃぅぅ…)
     
     最早私に考えられる思考のリソースは残っていなかった。色々と強烈すぎるシャボン玉風呂のもてなしに、私は気を失うしか無かった。
     
     

 
 

「あれって、俺が胡桃から貰った封筒に入ってたやつか?」

 

 俺はルミに一応聞いてみる。
 胡桃の所で「お土産」と言われたものが何なのか気になって、さらに先ほどのシャボン玉風呂を体験したため、こんな凝った趣向のS.Fを組むのは奴しかないと思ったからだ。

 

「はい、その通りですよ」
「やっぱりか。俺があいつの家でやられたのと似た感じがしたんだよ」
「それでも、私のアレンジは施してるんですよ?」
「ほー、どんな」
「シャボン玉自体が自律して動くんですっ」

 

 ああ、確かに勝手に動き回って捏ね回されてる感じだった。俺からすれば、少女の時は優しくしてくれれば何だって良いため、あのシャボン玉風呂は結構面白いし気に入っている。今でも思い出すと顔がとろんとして、身体がふわふわする程だ。やっぱり、普通の人間とは感覚が違うな、俺。

 

「今までも、シャボン玉を自律して動かすことは難しくなかったんですけど、あの大量のシャボン玉を自律活動させるようアレンジするのは楽しかったですよ」

 

 そう言って、頭を抱えにやけ顔で想像にふけるルミ。おい、シャボン玉発生してるぞ。

 

「それよりも」
「はい」
「胡桃って、どんだけ濃い体調管理してるんだろうな……」
「恐らく、私達とは比べ物に」
「ならないんだろうな……」

 

 俺とルミはお互い苦笑しあって、遅いあとりの帰りを待っていた。

 
 
 

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