外伝・第02話【異世界からの兵達】

Last-modified: 2009-05-18 (月) 13:32:48

AM3:28
なのはは目を醒ました。
体を起こそうとするが、全身に走る痛みがなのはに動くなと警告する。
痛みを我慢したせいか、冷や汗が額に滲んだ。
「う…ん…。」
声がしたので頭を動かして横をみると、ヴィヴィオがなのはの手を握り眠っていた。
布団をかけてやろうと思ったが、体をろくに動かすことができない。
それに少しイラついた。
天井を見つめるなのは。月が出ていないせいか、室内にはほとんど光がない。
不安が加速する。
(まさか、歩けなくなるなんてことはないよね?)
なのはは足に力を入れてみた。
「ん……。」
ちゃんと痛みがあり、布団が持ち上がった。
ほぅっと盛大に息を吐く。
なのはは安堵し、再び眠りに落ちた。

11月02日 AM9:00
「なのは?」
ドアの向こうから病室に響きわたる声。声から察するにフェイトだろう。
なのははベッドに座って教科書を眺めているヴィヴィオの髪をいじりながら返事をする。
「フェイトちゃん、どうぞ~!」
入ってきたのはフェイト、ヤマト、千歳の三人だった。
「調子どうだ?」
「もう起きて大丈夫なの?」
折り畳み式の椅子を開き、座るフェイトと差し入れを机の上に置くヤマトに頷くなのは。
「じゃあ、その花、私がかけておくから。」
千歳は花瓶と、フェイトが持ってきた花束を持って、病室に入ってきたばかりだというのにそそくさと再び外へと出ていった。
「千歳さん……、気にしてるのかな?」
なのはは音を立てスライドし、閉じられていくドアを見ながら呟いた。
JS事件でその犯罪の一部に手をかしていた犯罪者。
もちろん、本人には明確な悪意などがあったわけではなく、心神喪失という理由で管理局に協力することを条件に早いうちに釈放された。
「すぐにってわけには行かないんだろう。千歳さんも……。」
持ってきた果物のなかから林檎を選び、果物ナイフで皮を向きながらヤマトが答える。
「自分の意思じゃないにしてもあんなことになったんだし……。」
シャリシャリと綺麗に果物ナイフの刃が林檎の皮を裂いていく。
「そうだね…、すぐにってわけにはいかないよね。」
フェイトがそう返し、なのはも納得したようで、ヤマトが綺麗にカットした林檎を摘んだ。
もちろん、ヴィヴィオもだ。
その林檎はとてもみずみずしくておいしかった。
なのはの容体と生体細胞の動きは平常であった。GNハイメガランチャーの直撃は喰らったものの、レイジングハートに付いていた真紅色の粒子を調べたら普通の濃度である事が判明した。

孤児院施設屋上。
メイは一人そこにいた。
一望できる風景は高層ビル、マンション、入り来んだ道路。
西暦、宇宙世紀、CEの統合世界の風景とはまた違った発展した都市の姿が広がっていた。
外は体をすっかり冷やしてしまうほど寒いが、この季節、室内特有のムワッとした空気に耐えきれず出てきたのだ。
深呼吸すると冷たい、けれども新鮮な空気が入り込んでくる。
「風邪ひくよ?」
背後からかけられた声に振り向けば私服姿のはやてが立っていた。
「はやて…どうしたの?その格好?」
メイの驚いた表情を見てはやては頬を膨らませた。
「もっと他に言い方あると思うんやけどね?」
暫くの間をおいて
「え~と…似合ってるよ、はやて…。」
「ほんとにぃ~?ちゃんとそう思うて言うてくれてるんか?」
疑いの眼差しを、口には笑みを浮かべメイの正面まで近付いてくる。
「う、うん…。似合ってる…似合ってるよ。」
「そうかそうか。ところで、メイちゃん、今日は休みなんやろ?」
メイが面倒を見ている子どもたちはエリオやキャロのいる自然保護区へと一泊二日の旅行に行っている。
付き添いはべつの人だ。というけで、今日、メイは捜査官なくでは孤児院の関係者としての久しぶりの休みだった。
「特に予定はないけど…、はやてもその格好だと今日は休み?」
「うん、たまには休めって上の人が一日やけど、休みをくれたんよ。ヤマト君もオフもらっとるし」
「そう…。」
「そんでな、もしよかったらこれからなのはちゃんのお見舞いついでに遊びにいかん?ヤマト君とフェイトちゃん達も来てるんよ」
「うん、いいよ。丁度、なのはのことは気になってたから…。」

人混みの中を歩くはやてとメイ。
なのはが入院しているのはあの場所から一番近かったミッドチルダ西部の病院だ。
なので、中央にいるメイとはやてはレールウェイを使って病院へ向かおうとしている。
「はい、メイちゃん、切符。」
「ありがとう、ところではやてはもう朝御飯食べたの?
私は食べてないんだけど…。」
切符を受取りながらメイ。
「ううん、まだやけど…。」
「じゃあ先に乗って待っててね!」
メイははやてに背を向け人混みに姿を消した。

列車のコンパートメント。
はやてとメイは向かい合って座り、会話しながら駅弁にしたづつみをうっていた。
流れて行く風景。
とは言っても、田園風景や緑などではなく、幾つもの高層ビルが見えるだけだ。
「はやてがどうかはしらないけど、私はこう言うのは初めてだよ…。」
「そうなんか?
残念やねぇ、これが私の出身世界やったら少しは綺麗な景色がみれたかもしれんなぁ…。」
タタン、タタンと一定の間隔でリズムを刻む列車。
ボトルのキャップを外し、はやてはお茶を一口含んだ。
「ところで、なのはを撃墜した相手については何かわかったの?」
「う~ん…まだ詳しいことは判ってへんけど、北部の管理施設を破壊、なのはちゃんの撃墜をしたのは三人組で2人は男、1人は女。
それから、新型のガジェットとみられる正体不明の魔導機械が数十体。」
「正体不明?」
ボトルのキャップを閉め、頷くはやて。
「うん、詳細についてはまだよく分かってへんけど…。」
空間モニターを展開しようとはやてが空間を手でなぜようとした瞬間。
激しい揺れと、金属の擦れあう不快で甲高い音がメイとはやてを襲った。
室内が赤い非常灯で照らされ、エマージェンシーと文字が写っていた。
「一体…何?」
はやては打ち付けた額を手で押さえ、顔をあげると目の前にメイの顔があった。
「大丈夫?はやて…。」
「…うん…。」
コンパートメントの外が想像しくなり、係員が落ち着くように呼び掛けている。
「ちょっと、私聞いてくるから、はやてはここで待ってて。」
「ううん、私も行くよ。」
二人はコンパートメントと通路をしきる扉を開け、係員のもとへと向かった。

管理局地上東部管轄施設周辺市街地。
「半蔵!」
「分かっている!!F90-2!!!」
『ファンネル』
十の白色の光が半蔵が両手に持つ円筒状の口から放たれる。
象と蟹を彷彿とさせる二種類のガジェット。さらに旧ガジェットⅠからⅣ型までが突如として現れ、管理局施設にむかって攻撃を開始してきていた。
その対処に追われるスバルと半蔵。

張られた結界も特殊なもので、AMFを用いた結界。
市街地の人々は管理局員が現在避難させている。
半蔵とスバル他、航空部隊、地上部隊が事態の対処に当たっている。
また、先程応援を要請した際にフェイト、ヤマト、千歳も合流してくれるとのことだ。
「フェイトさん、ヤマト、千歳さんが来るまでに何とか民間人の避難だけでも…」
スバルが振り抜く拳がガジェット一型を粉砕する。
地上部隊のサポートへ向かう半蔵の前に立ち塞がる新型ガジェット。
半蔵はその形に見覚えがあった。

管理局地上西部管轄周辺市街地。
「メイちゃんは係員の方々と一緒に乗客の避難をサポート。
空の三人は私が押さえる!」
はやてはコートを脱ぎ、近くのコンパートメントへと投げ入れた。
市街地上空に突如として現れた三人の魔導士。
管理局の建物を次々と攻撃し、管轄の部隊が市民の避難と防衛に対処。
しかし、三人の魔導士は包囲網を容易く打ち破り、五十はいたであろう航空魔導士は半分にまでその人数を減らしていた。
「待って!」
列車の乗車口からでようとするはやてをメイが引き留めた。
「私が行くよ…。」
「ッ!?」
「代わりに、はやてが地上本部に連絡を取って。
その方が効率もいいはずだから…。
はやては後から応援部隊と一緒に来た方がいい。
だから、ファフニールを私に……。」
差し出されるメイの手。一瞬、はやては戸惑う。
渡していいのだろうか。
また、メイを撃たねばならなくなるという事態が起こらないとも限らない。闇の書事件やJS事件のようにはなりたくはない
「でも……。」
「私は、大丈夫だよ。頑丈だけが取り柄だから」
そっとはやての手を引っ張るメイ。それから優しく、はやてを抱き締めた。
「もうあんなことにはならないし、ならせはしない。
だから、私のデバイスを返して……。ヤマトにファーウェルを返して私だけにファフニールを返さないって不公平じゃん」
メイが腕をほどくと、はやてはポケットから真紅の剣の形をしたキーホルダーを取り出した。
「私は心配性のお節介やね…。」
メイは首を振る。
「ありがとう。」それから「はやて、指示は?」メイははやてに指示を仰ぐ。
「現状、むやみに戦うわけにもいかん。AMFを用いた結界も広範囲に張られとる。
せやから、メイちゃんは一般市民の避難が終わるまであの三人を引き付けて。」
了解、メイはそう返事を返すと列車から外へでて駆け出した。

地響きに次いで爆音。崩落する建物の瓦礫。
大衆はパニック襲われ、局員の誘導もままならない状況。
航空部隊が主力とみられる魔導士に攻撃をしかけるもそれを用意に受け、かわし、そして次の瞬間には反撃。
次々と撃墜されていった。
「みんな、無くなっちゃえばいいのに♪」
ワインレッドの色をした髪の少女、ネーナが場に不似合いな笑みを浮かべ
『GN Missile』
真紅の魔法陣を展開する。
しかし最後の一人となった航空魔導士は目の前のネーナの醜悪に歪んだ顔に思考を奪われ、微動だにできなかった。
形成されゆく魔力スフィア。
やがてそれは大きさを増し、魔力の粒子が飛び散り、放たれんとした刹那
『ヴァリアブルメガランチャー』
赤い閃光がネーナを吹き飛ばした。
ネーナは公園の噴水の中へ盛大に突っ込み、派手に水しぶきをまいあげる。
「ネーナ!!!」
「ッ!?」
ミハイルが叫び、ヨハンは奔流が放たれた方向へと視線を向けた。
視線の先には真紅の騎士服、灰色に黒と銀のラインが入ったマントを風にはためかせ、左右各五枚、計十枚の翼を持つシルエット。
右手には漆黒の逆U字型の筒で出力を高めれば刃渡り100センチいくであろうの魔力刃だが、今は魔力節約(アイドリング・リミッター)のために最小限に発生しているおり、左手には散弾、収束、連射の三つのモードが可能な真紅の万能型ライフル。
その女性、一条寺メイの姿があった。
「1対3で何かできるかな?」
「よくもネーナを!!」
落ちついた態度で冷静に笑うヨハンと異常なまでに妹をやられたことに腹をたてるミハイル。
『メイちゃん!まだ地上には人がおる。せやから避難が完了するまでその三人を引き付けて!
人的被害はなるべく抑えたい。できるか?』
「出来るだけやってみる。」
はやてとの通信を終えたと同時、怒声が響いた。
「何すんのよ!!!!!」
『シザーズアンカー』
キュボゥッ!!!
と路面にタイヤが擦れるような音をたて発射される魔力の鎖でつながるサーベル。
メイは放たれたそれを飛翔魔法をコントロール。
やや後退しかわした。
「(……何?どういうことなの?)」
瞬きした一瞬にフラッシュバックする記憶。
今の攻撃、メイには見覚えがあった。
「きゃぁあああ!!!」
上がる悲鳴。
キラが視線をやると管理局の救護班がヨハンに襲われているところだった。
「ちっ!!」
赤い光が弾け、一直線に矢のごとくヨハンへと向かい、その背後からワインレッドの閃光、ダークオレンジが続いた。

救護班に向け長身の砲台を構えているヨハン。冷たい鉄の砲台の銃口が太陽光を反射し、鋭く光る。
『Warnning!』
スローネアイン・ファランクスが警戒を促す。
『ソードモード』
ファフニールの黒い筒から溢れ出す長身の真紅の魔力が刃を形成。左のファフニール・ショットライフル・ソードモードで縦一閃を見舞う。
ヨハンが跳躍、ファフニールの刃は地面を叩き割った。
『GN Launcher』
空へと逃げながら砲台の銃口をメイへと向ける。
弾け跳ぶ薬莢。尖端の両脇に展開される真紅色の魔法陣。
放たれたそれは一直線にメイを狙う。
メイは刹那の判断で跳躍してかわし、カートリッジを消費。救護班と着弾点の間に障壁を張った。
「兄貴!!!どこ狙ってんだ!!!」
怒声と共に爆煙から姿を現したミハイルとネーナ。
キラを中心に正面にヨハン、背後にミハイルとネーナという配置。
「あんた、おもしろいよ!」
ワインレッドのバリアジャケットを纏ったネーナが笑った。

管理局地上東部管轄施設周辺市街地。
「スバル!」
半蔵が名を叫ぶ。
「了解!!」
散開する十の白色の魔力光。一つ一つの魔力スフィアに発射体リング、機動用環状魔法陣、散弾リングの付属したスフィアが複数のエレファンテ、ガンクリジョを同時に狙う。
エレファンテの正面に展開されるAM撹乱幕(アンチ・マギリンク・かくらんまく)。
数多の奔流を容易く防ぎきる。まるで魔力を受け流しては鮮やかな光を発するのではないか
キィィンッ!!!
鋭い音が響き、一本の青い光の道がエレファンテの背後に突き刺さった。
「リボルバァァアア!!シュートォ!!!」
不可視の衝撃波がエレファンテを破壊。同じ様にしてガンクリジョをも破壊する。
「AMFを範囲は狭いけど高濃度の霧で展開するなんて…はぁ…見たこともない。」
AM撹乱幕、半蔵とスバルがそう呼んでいるのだが、相当厄介な代物だった。
JS事件時のものとは違い、高濃度に圧縮され、フィールドではなく霧として存在しているため力で強引に撃ち落とせない。せめてもの救いは発生面が狭いこと。
『Warnning!』/『Caution!』
スバルの視界の隅に入るダークブルー色。
「スバル!!」
半蔵がスバルを突き飛ばす。
「シールド!!!」
半蔵の左腕の鉄甲から波状に噴射される緑色の障壁。
「ハン!やるね!」
左腕が跳ね上がり、障壁があらぬ方向へと展開される。灰色の光が晴れ、見えたのはダークブルーのバリアジャケットに身を包んだ女性、レズン・シュナイダー。
腹部に二度走る衝撃。
「ぐ…あ…。」
蹴りだと判断するのに数瞬の時間を要し、くの字に折れ曲がる半蔵の体。
「ロンド・ベルは鈴を鳴らせばいいのさ!!」
『シールドグレネードランチャー』
バランスを崩したまま障壁を張る半蔵。
しかし、踏ん張ることは出来ず、吹き飛ばされていった。

「半蔵!!」
スバルが叫ぶ。しかし
『ファンネル、当たって!』
八つの黄土色の発射体がスバル目がけて奔流を放つ。
スバルはウイングロードを使って回避に成功する。
黄土色のバリアジャケットに身を包んだコバルトブルーの少女、クェス・パラヤ。
『ワイヤーキャノン』
彼女の両肩から魔力のワイヤーが出現。ワイヤーに連結している砲台から無数の魔力弾を発射。
「サイコミュで引っ張ってくれてるから、逃がしゃしないよ!」
「プロテクション!!」
プロテクションで防ぐスバル。
「スバル!!!」
横合いから今しがた現場に到着したフェイトが手を出そうとするが
「クェスの邪魔をするなら容赦はしない!!」
『ヒートナイフサーベル』
「ッ!?」
間に割って入ろうとしたフェイトは後退を余儀なくされる。
金と青のバリアジャケットに身を包んだ少年、ギュネイ・ガス。

「何だ、コイツ!!!」
ヤマトのチョパムアーマーがパージされた。
目の前の大男の左手のハンマーらしき物が当たった瞬間、シールドを貫通。チョパムアーマーに直撃、爆破された。
青と黒を混ぜ合わした髪で髭を生やした大男、バーンズ・ガーンズバック。
「何をやっているんだ!ヤマト。」
千歳の声。
「千歳さんこそ、目の前の敵に集中してよ!!!」
「言われなくても!!」
『F90-1 サポート+クイックタイプ』
バリアジャケットが紫からコバルトブルーに変わり、防御力を犠牲に機動力向上のQ(クイック)と長距離支援型のS(サポート)で、スピードを一気に引き上げる。
連続して放たれるシルバーの閃光をかいくぐり、
『クルージングミサイル』
多数の魔力弾を放つ。だが、ライトパープルに白色のバリアジャケットを纏った女傭兵。ローズマリー・ラズベリーは容易にそれらをかわし、両腕のニードルガンで反撃。
『シールド』
F90一号機から瞬時に展開される障壁がそれらを防いだ。

管理局地上西部管轄施設周辺市街地上空。
「落ちろぉぉぉお!!!」
『GN Handgun FullPower』
放たれる真紅色の奔流。
メイはそれを円を描くようにして回避する。
「1人で我々をここまで追い込むとは敵ながら見事だ。あの白い魔導師とほぼ互角の能力…」
『ツヴァイモード・GN Fang』
脚のユニットから四基の牙らしき発射体を発射。四つまとめて真紅色の粒子を撒き散らしながらメイへ向かう
『ドラグーン』
メイの背中から発射される漆黒の八つの発射体。ドラグーンがファングを撃墜する。
「逃げてんじゃねぇぞ、女!!ファング!!!」
またもやファングを射出ミハイル。メイは一定の距離を取り、回避行動を取る。
先程からメイは逃げの一手、反撃はごくたまに、それは決まって三人が攻撃対象をメイ以外に変えたときだ。
チーム・トリニティの三人はそれがメイの余裕だと今は思っている。
だが実際はそうではない。
メイにははやてによるいくつかの制約があった。
まず反撃は極力避けること、しかし、逃げには徹せず相手を引き付ける。
攻撃を回避するときは背後に建物があるときはシールド防御で対応。
これによりメイはチーム・トリニティ、三人よりも高い位置にいることが条件とされる。
低い位置で戦うことになればメイはその攻撃全てをシールド防御しなければならなくなってしまうからだ。
「…ぐっ!」
表情には出さないが、メイは相当な焦りを感じていた。
一つのファングがメイの頬を霞める。
「こいつ!!!ヤマトかフェイトさえいれば!」
『サーベルモード』

ミハイルへと一閃を叩き込もうと加速するメイ。
「ネーナの方がもっとかわいいんだぜ!!!」『GNバスタードソード』
『シールド』
メイを爆煙が包み込んだ。
「ううっ……。(はやて、そろそろ限界だよ!応援部隊は?避難はまだ?)」
GNミサイルを後退して避け、GNランチャーを上昇してかわし、GNバスタードソードをサーベルで弾く。
青空、雲、ヨハン、高層ビル、走る真紅色の大型の奔流、粒子ばら撒く魔力弾、ネーナ、地上、大型の実体剣、ミハイル。
めまぐるしくも飛ぶように視界を流れていく景色と現状。
激突する大型サーベルと大剣、メイを狙うGNランチャーをかわし、背後のネーナに蹴りを放つ。
「(避難完了、えぇよ、メイちゃん!!!ヴィータがもうすぐ駆け付ける!それまで持ち堪えて!!)」
「ファフニール!!!!」
ミハイルのGNファング二発をサーベルで切り裂き、
『Funnelmissile』
メイのシールドとファフニールから幾十の小型発射体が出現。
このミサイルはメイの脳波でコントロールでき、命中率も高い。
「当たってぇぇ!!」

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