最終話【交錯する想い】

Last-modified: 2009-08-17 (月) 14:29:47

ズドォンッ!!!!
音がした。
耳をつんざくような轟音。フェイトは目を閉じ、障壁を展開。
なのはの砲撃を耐えきり、勝つつもりでいたが、しかし、いつまでたっても、展開した障壁に負荷がかかることはなかった。

「なのはぁ!!!!」

メイの声が響く。
フェイトが固く閉じていた瞼を開けてみると、なのはが海へと落下して行くところだった。
何故か分からず、とりあえずフェイトはなのはを受け止め、海中への落下を阻止した。
「さぁ、フェイト…、ジュエルシードを受け取って、母さんの元へ帰ろうか。」
「えっ…でも…。」
決着は、フェイトによるものではない。
『エピオンシステム Set Up』
「ヤーマートー!!」
『エリケナウス』
無数の朱色の閃光が、ヤマトとフェイトを襲う。
「フェイトは行って!ここは僕が引き受ける!!」
『サーベルモード・ZERO Shift』
片方だけのフリーダム銃口付近に環状魔法陣が発生。そこから巨大な蒼い魔力刃が発生する。
『サーベルフォーム・EPION Shift』
メイも同様、連結させていたサーベルハルバート形態を解除。先端より環状魔法陣が発生、二刀の巨大な魔力刃が姿を現す。
「あなたが…なのはをぉ!!!」
全力で振るう大剣は音をたてて空を斬る。ヤマトは半身をずらして縦一閃をかわすと、横一閃を見舞おうとする。
しかし、もう片方の大剣によって防がれた。

フェイトはなのはを公園のベンチに寝かせ、ヤマトを援護するために再び海上へと飛翔を開始する。
しかし、目の前に立ちはだかるようにして現れたクロノ・ハラオウンによりそれは阻止される。
バルディッシュを構えるフェイト。
クロノもストレージデバイスS2U、黒い杖を構える。そして打ち合い、魔力を消費していたフェイトが敗北した。
クロノがジュエルシードを回収しようとしたとき、別次元からプレシアがジュエルシードだけでも回収しようと転送魔法を使う。
なんとか食い止めようとクロノが喰らい付き、なのはとフェイト、二人が集めたジュエルシードの半分を奪うことに成功した。

メイと戦うヤマト、呼吸は荒く、肺が破裂しそうな感覚に襲われる。
それでも、攻撃をやめるわけには行かなかった。負けるわけにはいかなかった。
乱れる呼吸、痛みをます呼吸器管の感覚を意識の隅においやり、引金を引く。
『ライフルモード・ZERO Shift』
放たれる極大の奔流を、極大の魔力刃できりさき、メイがエリケナウスを咆哮とともに放つ。
ヤマトも同様にエリケナウスで対抗。
同時にバラエーナとクスィフィアスを放つと、メイもそれに合わせ、ハイパーフォルティスとアムフォルタスを放つ。
どちらも一歩も引かず、両者の放った数多の奔流は全て相殺となった。
「(ヤマト、戻りなさい。)」
メイと睨みあいをヤマトが続けているところへ入るプレシアからの念話。
「(フェイトは無事に戻れましたか?)」
「(いらないわよ、あんな失敗作。それに、あの子は管理局に捕まったわ。)」
「(じゃあ僕がフェイトを…)」
「(あなたはすぐに戻りなさい。あんな子の為に駒を犠牲にするわけにはいかないわ。)」
「(……分かりました。)」
メイの斬撃、砲撃をかわしながら、念話を切り上げ、
『High MAT Full Burst METEOR Shift ZERO System』
射出される魔力の翼、ドラグーン。ヤマトの周囲に現れる無数の魔力弾エリケナウス。
腹部カリドゥス、両腰部クスィフィアス、両肩部バラエーナ、G-バード
そして、二つの収束砲撃魔法と、フリーダム本体から放たれる収束砲撃。
「…あれだけの数を…撃つの?」
メイは動きをとめた。まさか、コントロール仕切れるはずがない。
「当たれぇぇええ!!!」
しかし、そのあまりに多すぎる魔力の塊をコントロールし、メイへ向け放った。
避けきれないと判断したメイは転送魔法を使用。
自分をアースラへと転送した。

管理局時空間航行船アースラ医務室。
メイは医務室でなのはとフェイトを看ていた。
「あ、メイちゃん。」
「大丈夫?なのは…。」
体を起こそうとするなのはを助け、座らせてやる。
「メイちゃんは?」
自分のことよりもメイを心配するなのは。
「…大丈夫だよ。」
と言い切るメイ。
「でも…、あの、ヤマトくんはメイちゃんの妹さんなんでしょ?」
「…まぁ…そうなんだけど…。」
「説得しなくていいの?」
「…説得はしたよ。…それでも…ヤマトは…。」
なのはから顔を背けるメイ。悲痛な表情がなのはからも容易にみてとれた。
「諦めちゃ駄目だよ!!メイはそれでいいの!?」
「いいわけないでしょ!!
ヤマトは私のかけがえのないお兄さんだっただった…私より強くて、優しくて、器用で…。
小さい頃に離れ離れになって…次に会ったときは敵だった。説得は聞かない、なら戦うしかないじゃないの!!!」
一時の沈黙が場を支配する。メイは思い直し、
「すまない…。」
と言って医務室を出ていった。
閉まるドアを見つめながら、なのははひとり呟いた。
「そんなの…悲しすぎるよ…。」

「はぁっ…はぁっ…。」
乱れた呼吸が収まらない。お陰で喉は痛いし、肺も痛い。しまいには横っ腹も痛み出してきた。
ヤマトは壁づたいに通路を歩き、自分の部屋へと向かって体を引きずるようにして歩いていく。
部屋へたどり着くと、粉薬を蒸せながら水で無理矢理流し込み、床に力なくへたりこむ。
「くそ、あんなのに従っていたら、命がいくらあっても足りない…ハァハァ…俺は母さんいやプレシアの捨て駒に過ぎないのかな…」
十分ぐらいたつと、薬が効いてきたのか、少しだけ落ち着く。
ふとモニターが開き、プレシアの姿が映った。
『ヤマト、管理局の連中がもう時期、ここにやって来るわ、アルハザードへ行く準備が出来るまで時間を稼いでもらえないかしら?』
ヤマトは平静を装って答えた。
「はい。」
(管理局に自粛したい…一からやり直したい…)

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