第03話【鐘を鳴らして】

Last-modified: 2009-03-20 (金) 10:49:16

077年 五月 治安維持局・訓練所

治安維持が正式設立して早2日目
「そこ、反応が少し遅いぞ!」
ヤマトの指示が飛ぶ。
2機のガジェットが同時にマイトを攻撃する。
「はい!ヤマトさん」
ウイングロードを展開して回避。
ここまでは毎回のように同じだ。
だがここからが違う。
彼女は回避を終えるとすぐさまガシェットを追いかける。
が、左右の路地に隠れていることに気がつかず、
「しまった!?」
囲まれてしまった。
数は5体。
囲まれた彼はAMFのせいでか攻撃が出来ないようだ。
「マリア!」
マイトは彼女に援護を頼むが援護が来ない。
「あ~あ、先行し過ぎたのが駄目だったな。マイト」
それも当然である。
マイトは先行しすぎたせいで孤立してしまったのだ。
しかも先程、マリアもガシェットに囲まれて動けない状態になっていた。
「ならクリス達は……!」
が、こちらからも来ない。
彼等は運悪くガシェットの大群に接触、交戦中だ。
「そんなぁ馬鹿な………」
マイトは力無くつぶやきながらも戦闘体勢をとるが、数の差にAMFの状況下。
圧倒的に不利である。
これでまだ2日目である。
2日でこれは正直辛いんじゃないだろうか………
と、その時、
『ヤマト空威ぃ………』
マイトからの思念通話がヤマトを呼んだ。
恐らく援護要請であろうが、
「駄目だ!なのはから援護要請しても来ないようにと言われたから。自分で切り抜けろ!」
この訓練は護衛対象となるビルを守りながら敵と交戦し、10分後の増援部隊--この場合、増援は俺だが………--の到着まで守り抜いた後、増援部隊と協力して敵を殲滅するものである。
しかし現在訓練開始から5分程しかたっていない。
「闇雲に突撃するマイトが悪いんだぞ。」
『すいません………』
沈むマイト。
そこに、
『だから言ったじゃないの!』
マリアが喝を入れるために会話に入ってきた。
『すみません空尉!』
さらに謝罪。
「まだなんとかなる。持ち直してみるんだ。」
『はい!』

『マイトはどう?』
『突撃が多いな…もっと改善させてみるよ』
「マイト、突撃せず、仲間の援護は期待するな。自力で解決するんだ。」
『ハイ・…』
ヤマトはマイトは突撃が多すぎる、仲間の連携を重点にやれればいいがと思った。
とそこになのはがバリアジャケットのまま降りてきた
「どう彼達は?」
「筋はいいけど、問題は連携やチームワークかな」
隣に下りてくるのを見守りつついう。
「なら今日は連携を視野に入れながら……かな?」
そういってモニターを開きスケジュールに付け加える。

10:00~12:00、14:30~16:00
連携を視野に入れた訓練。

「彼らのチームワークを改善してくれればいいと思う」
「まだ二日目だけどね~」

12:30 治安維持局・隊舎の食堂。
一足先に戻ったヤマトは食堂にいた。
昼なので人はたくさん集まっている。
日替わり定食のチケットを買って、それを受け取って空いている席に座る。
(ヤマトさん来たよ。)
ヤマトの近くのテーブルにマイト、ランド、マリア、クリスがいる。ヤマトの行動を探ろうとしていた。
「…ヤマトか…」
聞き覚えのある女性の声がヤマトを呼ぶ。
「シグナムさん、お久しぶりです」
「JS事件以来だな」
シグナムはヤマトの向かいの椅子に座る。
(ヤマトさんの向かいの人は誰だろう?彼女?)
(バカ、ヤマトさんにはなのはさんがいるだろ)
シグナムとは闇の書事件では敵として立ち阻み、時には共同戦線で味方として共闘した。JS事件ではフォワード陣の一員として共闘。
「訓練はいいのか?」
「俺は午後から警察本部のお偉いさんに呼ばれて、本部のミーティングに参加します。だから早く切り上げたんですよ。あとはなのはとメイに任せられますし」
ヤマトは警察本部の課長から指名があり、犯罪撲滅や防犯の強化のついてのミーティングだ。だから初任務の解決がいい功績を残してで呼ばれたのだろう。

(午後の訓練はヤマトさんいないか。ちょっと嬉しいな)
少しほっとするクリス
ヤマトは4人の存在に気付いたかのように
「そこの4人!話は聞いているぞ!」
マイトが代表で謝罪する。
「すみません、ヤマトさん。盗み聞きはしたのは認めます。」
3人もごめんなさいと謝罪した。
「ヤマト、この者達は?」
「彼らは俺の部隊のフォワード陣のメンバーですよ」
「そうか、お前の部隊の…」
ヤマトは1人ずつ紹介した。
「順番にマイト・ランドール、マリア・ベネット、クリス・シルヴィア、ランド・ヴォルス。みんな二等空士です。」
「私は独立治安維持部隊「ガーディアン」の副隊長・シグナムだ。話は主から聞いている」
「ハッ」
4人はシグナムに向けて敬礼をした。
「若いな…この調子で頑張れよ」
話していると訓練の時間が近づいている。4人は食堂を後にした。
ヤマトとシグナムは談話を再開した。
「なのはにテスタロッサ、主はやてに…ヤマトにメイ…」
「俺だってオーバーSランクですよ。4人はまだなりたてのBランク…あなた達守護騎士もいい戦力だ」
ちなみにヤマトは空戦魔導師ランクはS+の能力限定2.5ランクダウンのAAランクだ
そしてシグナムに「考えすぎでは」と言われた。

ヤマト1人は訓練をなのはとメイに任せ、警察本部に向かった。

ミーティングも無事に終わり、治安維持局に帰ると7時が過ぎており、あたり一面が闇に包まれていた。
「魔導師の協力も必要になるな。前のデパート火災事件でも消防も警察もほとんど手も足も出なかった。だからこそ、魔導師の助けがいる」
ヤマトは治安維持局の隊舎に戻ると訓練帰りのフォワード陣の4人に出会った。
「ヤマトさん!」
マイトがヤマトに立ち寄って来た
「お前たちか、訓練、さっき終わったのか?」
「はい。なのはさんとメイさんの訓練も厳しいです…」
と本音を吐くクリス。
「そんな事を言うなよ。明日からは俺も指導する。メイは臨時の教導官だ」
えーと言うクリスの前にヤマト。
クリスみたいにふくれる姿も可愛い。
「早く、寝ろよ。明日も早朝訓練があるからな」

ヤマトは戦技教導官の仕事をしながら、フォワード陣の副隊長として子分を育てる、部隊長として政治に参加など大変なこともある。
それはヤマト自身が決めた事だから

翌日の早朝

なのはとヤマトはバリアジャケットを装備し、デバイスを持ちながら、空中からフォワード陣の訓練を見ていた。
「あと少しで終わりだ。なのは、アレやる?」
「いいよ。準備して」
「了解」
訓練終了

本日の早朝訓練、ラスト1本、みんな、まだ頑張れる?」
皆体中汚れだらけで、肩で息をしている。
そのような状況でも、フォワード陣はそろって「はい!」と答えた。
すると彼女は、
「それじゃ、シュートイベーションをやるよ。」
といった。
シュートイベーションとは、教官となる人物自らが的となり、実戦のような戦いをすることをいい、主に射撃攻撃の対抗訓練に使われる。
無論、攻撃は手加減無しだ。
「じゃあヤマト。」
「ああ。」
そういって前に出る。
実はこのためにフル装備であったのだ。
「ヤマト副隊長にクリーンヒットを与えるか、5分間攻撃に堪え切るか………」
彼女は上空にあがり、皆を見据えた。
ジャッジをするつもりなのだろう。
「手加減はしない。そのつもりで」
ヤマトは自分のデバイスを構える。
ここでの模擬戦で初めてフォワード陣との戦闘だ。
「誰か一人でも被弾したら始めからだよ。」
そういって彼女は左手をあげた。
皆に緊張が走る。
「レディ………」
皆が身構え、そして、

「ゴー!!!!」

始まった。

「5分でヤマトさんの攻撃を耐えきれる自信ある?」
マリアの言葉にない!という3人。
「ドラグーンで十分だな。」
『ドラグーン』
ヤマトの翼から5の小型機械を射出。
手加減をする予定のヤマト
「全員絶対回避!2分以内で決めるわよ!」
クリスは皆にそう命令を出す。
だが、
「たった5発なら大丈夫!!」
そういってマイトは突撃した。
「マイト!馬鹿!」
マリアの制止を聞かずにウイングロードで走っていった。
確かになのはの訓練は5発10発どころでは無い数を出して攻撃してくる。
それに比べれば5発等と思ったのだろう。
しかしこの5発こそが最大の敵である。
マリアはこの誘導弾の恐ろしさを知っているのだ。

「ハイグリード………!」
杖を構え、ヤマトを狙う。
が、

ヒュン!

「うわっ!?」
体勢を崩して撃てなくなってしまった。
上下から計4発の誘導弾が飛んできて近くをかすめたのだ。
だが、
「まだーっ!」
誘導弾が外れたのでさらに突撃を続ける。
ドラグーン利点は追尾性、機動性が優れているので例え死角が出来てもドラグーンには通用しない。
だが、マイトはドラグーンを見切り、ヤマトの背後に回っていた。
「うおぉぉぉっ!」
「間合いの詰めが甘いな!」
マイトによる左手の拳の攻撃を難なく見切るヤマト。

しかし、
「まだまだぁーっ!」
さらに突撃してくるマイト。
「ハイグリード………!」
彼女は構えるがヤマトは何も動かない。
「シュートッ!!!!」
打ち出した弾丸がヤマトに向かう。
が、
「無駄だ!」
その弾丸はドラグーンに撃ち落とされた。
「!?」
「マイト!」
マリアが彼女を呼び戻そうと叫ぶ。
マイトは急いで後退しようと素早くターンをするが、ローラーブーツに無理な負荷をかけながらターンしたせいか、わずかによろける。
その瞬間をヤマトは見逃さなかった。
「悪いけど、当たれ!」
2発のドラグーンがマイト目掛けて飛んでいく。
なんとか回避するが、その誘導弾の弾道が不可思議に動く。
「何だ!?これ!」
カーブをするわけでもなく方向転換するわけでもなく直角に素早く飛んでくるのだ。
これがヤマト特有のドラグーンの派生技、「ドラグーンシュート」である。
かつてドラグーンで攻撃していたときの感覚での攻撃のため、初めて接触した敵は対応できないままやられるのが大半である。
さらには発動キーとしてその技名を叫ぶのだが、彼の場合、特に何も言わないでも発動するので、隙が少ないのだ。
それを知っていたためマリアは回避を優先したのだったが、
「うわわわっ!」
マイトには伝わらなかったようだ。
なんとか正面からの攻撃をよけ安心するマイトだったが、その2発の弾はさらに彼女を追撃する。
反撃も出来ず逃げるしかなく「うわぁぁぁ!!」と情けなく叫びながらウイングロードで逃げ回るのであった。

「マイトの突撃癖始まったよ…」

わわわっ!」
背後からやってくる誘導弾は、確実に、かつ正確にピッタリとついてくる。
回避は絶望的だ。
『マイト馬鹿!何で言うこと聞けないの!』
マリアからの思念が入ってくる。
声だけでも怒っているのがわかる。
「ゴメン!」
謝ったが今はそんなことをしている暇はない。
その間にも誘導弾は私を狙い、腕をかすめた。
『待ってなさい、今撃ち落とすから………』
その状況を見てか、マリアは私を助けてくれるようだ。
が、

魔力が杖の先端でチャージされ、狙いをつけてトリガーを引く。
そして弾丸が打ち出される。
筈だったが………

ガキン!

「えぇ!?」
軽い金属音と共に魔力弾は消えた。
いわゆる「弾詰まり」を起こしたのだ。。
「わぁ~!マリア援護だ~!!」
マイトの悲痛な叫び声が思念でなく聞こえてきた。
恐らく近くまで来たのだろう。
「この肝心なときに!!」
イライラしながらも急いでリロードする。
修理を考えていた途端にこれだ。
リロードを終え構えて狙い、撃つ。
今度はうまく撃てたが、またいつなることやら………

「来た!」
甲高い発砲音と共にオレンジ色の弾が飛んできた。
マイトは助かったかのように声をあげた。
さらに援護弾とともに2発のドラグーン。
ヤマトを狙って追尾を始める。
「やるね………」
1発目を軽く受け流すと、2発目が真上に迫っていた。
だがこれを近くのドラグーンで撃ち落とす。
無駄もなく正確に。
だが、
「行くぜ」
背後からランドの銃撃。
「チィ………」
素早く障壁を張る。
ランドの存在を忘れていた彼は不意の攻撃に防御するしかなかった。
左手でシールドをはりながらなかなか消えない炎を防ぐ。
「クリス!今だ!」
だがその隙を狙われた。
気がつけば、背後にランドの魔法で加速のついたクリスが飛んで来ていた。
「いっけぇぇぇ!!!!」

とてつもない爆音と共に周囲は煙に包まれた。
「きゃあぁぁっ!」
その爆発に弾かれるようにクリスは吹き飛ばされた。
「クリス!」
「外した!?」
マイトはクリスを心配し、マリアは驚愕とともに驚きを隠せないでいた。
確かに直撃だったはず。
左手でランドの攻撃を防いで、その時に背後からクリスの攻撃。
直撃以外はありえないと思ったのだ。
そのまま爆煙を見る。
すると、
「してやられたよ………」
ヤマトは無傷の状態で出てきた。
小さく笑いながら現れた彼を見た4人は絶望に似た心境だった。
なぜならこのボロボロの状態でまだシュートイベーションが続くのだ。
彼女達はデバイスを構える。
だが、
《Mission Complete》
「お見事!ミッションコンプリート。」
レイジングハートとなのはがゆっくり下りてきながらそういった。
「ホントですか!?」
クリスが驚きの声をあげた。
確かに手応えはあったが、吹き飛ばされたので防がれたと思ったのだ。
「本当だ。」
「やられたのが悔しかったけど、でもお見事だよ。合格」
そういってヤマトは自分の右脇腹を指差す。
ジャケットがダメージで黒くなっている。
それを見て皆の顔が明るくなった。
「じゃ、今朝はこれまで。いったん集合しよ。」
「「はい!」」
こうして今朝の訓練は無事に終わる、
……はずだった………

皆が整列する。
なのはとヤマトはバリアジャケットから制服になって、フォワード4人の評価をしていた。
なのはは皆が段々とチーム戦に馴れてきたと褒め、ヤマトがマイトの突撃、マリアの命令を無視したことを叱る。
まさに飴と鞭の状況だ。
とその時、
「…?……ランドどうしたの?」
クリスがランドの行動に疑問を持った。
それに対してエリオが、
「何か焦げ臭いような………」
と言うと、マリアが気付いた。
「あ、マイト、あなたのローラー………」
「ん?」
足元を見ると、一筋の黒い煙を上げスパークを起こしているシューズの姿。
「あぁっ!うわヤバッ!!」
そういって素早く外す。
「さっきの戦いで無理な回避をしたからだろう。」
冷静に分析するヤマト。
回避の時に負荷をかけすぎたのだろう。
「あっちゃ~……」といいながらローラーを両手で抱き抱える。
「後でメンテスタッフに見てもらおう?」
「はい……」
なのははそうマイトに言うとマリアを見て、
「マリアの長杖も、さっき見てたかぎりではキレが悪かったような気がする………」
「あーはい……騙し騙し使ってますし………」
と話した。
手作りのデバイスでは壊れるのも早く、故障も多い。
当然2人も例外ではない。
「そろそろ実戦用の新デバイスに切り替えるべきじゃないかな?これじゃマシな訓練もできないし」
ヤマトはなのはにそう切り出した。
「そうかなぁ………」
そういってなのはは腕を組みながら考える。
するとマリアは「新……デバイス………?」と聞き返した。
「俺は騎士カリムと会談すべく、聖王教会に行ってくる。午後の訓練は俺の代わりにメイが指導する」
「分かった、行ってくるといいよ」
ヤマトは訓練所を後にした。

ヤマトは聖王教会に行くべく、フェイトが待っているところへ行った。
「ヤマト、どうだった?早朝訓練?」
「まあまあだったよ。後で新デバイスの披露もあるんだ。そこはなのはに任せている」
ヤマトはフェイトの車の助手席に乗って、訓練スケジュールを閲覧し、不在で指導できないので自分の名をメイに変えた。
「行こうか、聖王教会へ」
「そのまえにみんなに会わないとな」
フェイトもそれに同意し、治安維持局のエントランスゲート前に行った。

早朝訓練後、休みとなったので全員で六課に戻っていた。
「一端寮に帰って、シャワー浴びてからロビーに集合ね?」
「「はい!」」
そんな会話を見て思う。
フォワード4人は体中にすすやら泥やらの汚れ。
「あの車って………」
マリアが前から来た黒塗りの車を見つけた。
その言葉に合わせて皆がそちらを見る。
「挨拶に来た」
「フェイトさん!ヤマトさん!」
車はあっという間にオープンカーの用になって、2人の姿をさらした。
「ヤマト部隊長達はどこへお出かけになられますか?」
クリスの質問にフェイト続いてヤマトが答えた。
「うん、ちょっと6番ポートまで」
「6番ポートは…」
「聖王教会本部で騎士カリムと会談するんだ」
フォワード陣は敬礼しながら、なのはは普通の顔で見送った。
「夕方前には帰ってくるから」

治安維持局・隊舎

シャワー室を利用するフォワード陣4人だったが、マイトとランドは女性陣が終わるまで退屈していた。
「あ~あ、ヤマトさんがいてくれれば、JS事件のこと聞きたかったのに」
「それはよくないぞ、ランド。彼はここの部隊長、易々と話を聞かせてくれないし」
2人の前に見覚えがあり、凛とした女性が通りかかった。
メイだった。
メイはシャーリーに頼まれて、彼女のデバイス・ファフニールのデータのコピーをシャーリーに届けて、なのはに報告するところだった。
「すみません、メイ副隊長」
「何、ランド君に、マイト君?」
ランドが騎士カリムについて質問をする。
「あなた達、隊長陣は騎士カリムとはどういう関係ですか?」
「カリムは聖王教会騎士団の魔導騎士で本局の理事官をやっているわ。私たち隊長陣は付き合いが長い」
「「理事官!?」」
その言葉を聞いた二人は目を丸くした。
「まぁ、あなた達にはまだ分からないよ」
時間が経つと女性2人が戻って来た。
「ごめん、待った?」
「少し待ちくたびれたかな」
マイトは言う。
クリスはメイの持っている書類に目を着ける。
「メイ副隊長、あなたの持っている書類は何ですか?」
メイの持っている書類はファフニール、本人たちの許可でレイジングハート、バルディッシュ、ファーウェルのデータそして新デバイスのマニュアルだった。
「秘密厳守でメカニックマイスターと隊長陣、開発陣以外の閲覧は禁止されているの」
「見せてくださいよ。ちょこっとだけ」
クリスが駄々を捏ねる口調で言った。
そこでランドが仲裁する。
「申し訳ありません。副隊長。クリスが大変失礼な事をしました」
メイは無言で部隊長室へ向かった。
「私、悪い事でもした?マリア?」

ヤマトとフェイトは今、聖王教会の大聖堂に来てカリムとクロノとあっていた。
「お久しぶりです。騎士カリム、クロノ提督」
「お久しぶりです」
クロノとカリムは場の雰囲気を和むように普通に喋ってもいいと言われた2人
「何ヶ月ぶりかな、お兄ちゃん」
「また、お兄ちゃんか…いつになったら兄上とかで呼ぶんだ?お互い、20代行っているのに…」
「兄妹に歳の差は関係ないよって言ってたよ、私」
ヤマトはクロノにからかう発言をした。
「クロノも隅に置けないなぁ。まだお兄ちゃん?」
「ヤマトまで…勘弁してくれ…」
3人の談話を聞いたカリムは微笑んでいた。

外は綺麗な青空。
窓辺でお茶を楽しみながら会話をしている。
「まぁ、こんな話は置いといて、本題に行きましょうか」
ヤマトがそういうとヤマト以外のの表情が硬くなる。
真剣な話のようだ。
彼女は手元のモニターをいじり、カーテンを閉じる。
先ほどの青空は完全に見えなくなり、真っ暗になった。
途端にヤマトの表情も強張る。
カリムが続けてモニターをいじると大きなモニターが現れる。そこに写っていたのは、
「ガジェット………の再発」
そう、彼女達の敵となっている機械の兵士の姿。
ガジェットが犯罪に使われていること。銀行強盗・工場襲撃・大災害の促進など。
犯人は複数で首謀者から金でガジェットを入手している。
Ⅰ型もⅡ型、Ⅲ型と量産型Ⅳ型(ステルス機能はない)が確認されている。
「工場襲撃もガジェットが使われていましたし、この件に関して今は警察所属の魔導師の力だけで解決しています」
ヤマトは説明をした。
「いつか、大量生産されると大変なことになりますな、騎士カリム」
「私たち時空管理局、警察、レスキューも対応しなければならないわ」
カリムがモニターを弄り、別の映像に変わった。
「これはなんでしょうか?」
フェイトが質問をする。
映し出されたのは緑色に塗装されたガジェットらしき物。
だが画像が荒く、上手く写せてないようだ。
これを見せてカリムは、
「……さらに人型のガジェットが確認されたの。」
「人型!?」
そういってその灰色のシルエットを見る。
確かにガジェットに見られる目らしき物が頭に一つ。頭の頂点にトサカらしきものがある。
そこから身体、身体から四肢らしい影。
「試作段階みたいで、すぐに撤退したんだけど………」
「これはZGMF-1017、ジン!」
ヤマトはこのシルエットを知っている。元の世界で成り行きで初めてモビルスーツ・GAT-X105・ストライクガンダムを乗って、初めて戦った相手である。
「ヤマト、知っているの?」
「ああ、元の世界でモビルスーツと呼ばれた機械の一つだ。ジンタイプのガジェットとは…」
ヤマトは疑問に思う…
ジェイル・スカリエッティではこれを作るのにかなりの時間が要すると思う。これを作ったものは相当な技術の持ち主だ。
「騎士カリム、できれはこのデータは持ち帰りたいものです。」
「クロノに治安維持局、お願いできるかしら?」
「「「了解!!」」」)

治安維持局・デバイス研究・開発室

「うわぁー!」
「すごい………」
「これが…」
「僕たちのデバイス…」
フォワード陣の皆が揃って声を上げた。
目の前には4つのデバイス。
そう、完成したのだ。
マイトの目の前にはエメラルドのようなブレスレット。
フォースソードと新しいローラーブーツ、マッハキャリバー。
マリアの目の前にはサファイアのような指輪。
ロングスタッフを新たに組み上げたウロボロス。
ランドの目の前には新たにグレードアップされた2丁のマグナム
クリスの目の前には装いも新たに変わったグングニル
マイトは質問をしねシャーリーから答えが返ってくる。
「そーでぇーす!設計主任私。協力、なのはさん、フェイトさん、、ヤマトさん、レイジングハートさん、ファーウェルさん、リィン曹長です。ヤマトさんとファーウェルさんは全面的に協力してもらいました!」
ヤマトとファーウェルによる協力でデバイスらしいデバイスができた。

「四機は六課の技術スタッフたちが技術と経験を合わせて完成させた最新型。
部隊の目的に合わせて、ランドやクリス、スバル、ティアに合わせてつくられた文句なしに最高の機体です。」
ドアが開き、なのはがようやく、姿を現した。

「ごめん、ごめん、待ったぁ?」
「なのはさ~ん」
なのはに向かって飛んでいくリィンフォース。
「丁度よかった。じゃあ、使用方法説明しますね?」シャーリーの言葉に六人が頷く。
「まず、この子たちには何段階かにわけて出力リミッターがかけられてるのね?
最初はそんなにびっくりするほどのパワーがでるわけじゃないから、まずは、それで扱いを覚えていって。」
「で、各自が今の出力を扱えるようになったら、私やフェイト隊長、各副隊長、リィンや、シャーリーの判断で対処していくから」
「はい…。」
シャーリーをなのはが引き継ぎ、
「丁度、他四機はみんなと一緒にレベルアップしていく感じですね。」
なのはをリィンが引き継ぐ。
「出力リミッターっていうと、なのはさんたちにもかかってますよね?」
リミッターの話で思い出したのか、マリアが口を開いた。
「あぁ、私たちはデバイスだけじゃなくて…、本人にもだけどね。」
「「「「えぇ?」」」」

ランド、クリス、マイト、マリアの四人は驚く。
「能力限定って言ってね。うちの隊長と副隊長はみんなだよ。
私とフェイト隊長、ヤマト副隊長とメイ副隊長、それからはやて部隊長やヴォルケンズにもだよ。」
「知らなかった…」

すると

室内に警報が鳴り響いた。
「これって、一級警戒体制!?」

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