第27話【真実と勝利の栄光者】

Last-modified: 2009-08-17 (月) 14:31:15

「キャロはシグナムを…、レプリカヤマトは我とエリオが食い止める。行けるな?エリオ?」
「はい!!」
ザフィーラとエリオは自分よりも上空で見下ろすレプリカヤマトを見上げた。
左右のレプリカファーウェルの銃口が向けられた。
「ぬえりぇぁぁぁあああ!!」
「ストラーダ!」
『スピーアアングリフ』
ストラーダから消費されたカートリッジが勢いよく弾けとび、レプリカヤマトへと二人がかりで向かって行く。
ザフィーラの拳を後退しながら、エリオの突撃を宙返りで避け、左右のレプリカファーウェルで狙いをつける。
銃口から溢れ出す光が増幅リングによって輝きが瞬時に増大。
その閃光を中心として展開される環状魔法陣からなのはのディバインバスター級の奔流が放たれる。
攻撃が終わった二人に同時射撃。ザフィーラ、エリオは障壁を展開。
「うぁッ!!」
エリオの障壁に亀裂が生まれ砕け散った。
バランスを崩し、地上へと堕ちて行くエリオにレプリカヤマトは追い討ちをかけた。
急降下。
『サーベル・モード』
「(ここでエリオを無力化する!)」
レプリカヤマトがサーベルを振り上げた。
「なんで…。」
何とか落下を避けようとストラーダをコントロール。推進機構を利用して逃げようとするが、
「は、早い、逃げ切れ…ない!」
自分のすぐ後ろまで迫ってくるレプリカヤマト。ザフィーラはレプリカヤマトのさらに後方にいる。
「(エリオ!!退いて!!)」
「(スバルさん!?)」
エリオの前方から伸びる青い道、ウィングロード。
そのウィングロードを疾走してくるスバルの姿が徐々に大きくなってくる。
「(ここだ!)」
スバルとぶつかる、ぶつからない、その寸前で方向転換。
「リボルバーー!!!」
「ッ!?」
急制動をかけるレプリカヤマト。目の前にはリボルバーナックルをふりかぶったスバルの姿。
「くっ!!何だ!」
レプリカヤマトはスバルがつき出すリボルバーナックルにタイミングを合わせ、右足の蹴りでカウンターを合わせた。

「うわぁぁあ!」
ウィングロードから脱線。落下するスバル、直後、スバルの遥か後方から放たれる
「アクセルシューター・シュート」
「アクセルシューター・シュート」
桜色と青色の魔力弾。
「どう、なのは?俺のアクセルシューターは?」
「すごいよ!威力同じだ」
と感心している場合ではない。
「チィッ!!!」
レプリカヤマトはサーベルで八発のうち、二発を切り裂き、背後から迫り来るザフィーラを一気に引き離してなのはとヤマトへと向かっていった。
「なのはちゃん、ヤマト君下がって!!」
純白の魔法陣を展開。
「うがて!!ブラッディー・ダガー!!」
「ッ!?ファーウェル!シールド!!」
向かってくる赤い閃光がレプリカヤマトに着弾し、破裂
「当たった?」
したかに見えたが、煙を突き破ってくる蒼い閃光。
「まだだよ、はやてちゃん。ディバイン…」「ディバイン…」
なのはとヤマトは、はやての前にで、腕の痛みを堪え、レプリカヤマトに向けて
「バスター!!×2/ツインバスターライフル!!」
同時に放たれる二色の奔流。桜と二つの蒼の反応、爆発を起こし、相殺。
「バスターライフルで相殺!?」
「フリード!ブラストレイ!」
レプリカヤマトの頭上を覆う影。キャロのケリュケイオンから供給される魔力。
フリードの口から膨大な量の炎が吐き出される。
廃棄都市街の建造物の間を縫い、地表すれすれを低空飛行、ブラストレイの追撃を逃れる。
と、地面から白い魔力の刃がレプリカヤマトを狙う。

「ッ!?」
「鋼の軛!!うぉぉおお!!」
レプリカヤマトを串刺をしようと狙う純白の刃が無数に飛び出してくる。巧みに飛翔魔法をコントロールし、レプリカヤマトは急上昇。
「はぁッ!!!」
その先ではシグナムが待ち構えていて、横一閃。
レプリカヤマトは体を低く沈ませかわす。
左のレプリカファーウェルサーベルモードを逆手に持ちかえ、逆袈裟一閃。
半身ずらしてかわすシグナムは返す刀でレプリカヤマトを地上へとシールドの上から叩き落とした。
ビルの壁を突き破り、その姿をレプリカヤマトは瓦礫の中に消した。

「……はぁ…はぁ…。」
息を荒げるシグナムによって行くはやて。
「シグナム、大丈夫か?」
「大丈夫です。ただ、レプリカヤマトがこれほどの力を持っているとは思いませんでした。」
シグナムの言葉を聞いて一安心のはやては、今更だが、シグナムの姿が違うことに気付いた。
「シグナム…、その格好は?」
「力強い味方がついてくれました。アギト、こちらが我が主、八神はやてだ。
(………よろしく…。)」
アギトは小さな声で言う。
「そうか、アギトも力貸してくれるんか?ありがとな…。
みんなはうちの大事な仲間や、何よりこの世界での家族はうちら八神家やからな。
アギト、よろしくな。」
それから集まってきたなのは、スバル、フリードに乗ったキャロとエリオ、全員に向け言う。
「さぁ、疲れとるとは思うけど、ここが正念場や。
皆の力合わせて、レプリカヤマトを倒そう!」
「出来損ないのレプリカヤマトは本物の俺が倒す!」
全員が返事をした。

とあるビル、屋上。
メイ、ティアナ、半蔵、シャマルはそこにいた。
『なのは隊長とヤマト指揮官とヴィータ副隊長の魔力の回復出来ますか?シャマル先生。』
「うん、とりあえずまず先にメイとティアナを回復させるわ。
でも、一体何が?ゆりかごの駆動炉の破壊とヴィヴィオの救出は出来て、ゆりかごを軌道ポイント到達前に破壊できるってヴィータが…。」
シャマルはメイの回復をし終え、今度はティアナを呼び寄せた。
モニターに写るシャーリーは続ける。
『その…スターズのヤマトが…やはりスカリエッティに…。
今は、フェイト隊長、それからメイ、ティアナ以外のメンバーで応戦中です。』
モニターに写るのはレプリカヤマトの姿。航空魔導士を次々と無力化している姿だ。
そして、シグナムと戦う姿。
半蔵はそのモニターを見て違和感を覚えた。
戦闘中、恐らくはヤマトが絶対に見せない表情。
モニター越しのレプリカヤマトは笑っていた。

半蔵はゆっくりと立ち上がり、シャマルに向け言った。
「すまないが…これを解いてはくれないか?」
これ、つまりシャマルがかけた拘束魔法。記憶をそうさされていたとは言え、一応は罪人だ。
簡単に解くわけにもいかず、暫しの沈黙が流れた。

「いいね…いいよ、さすがはシグナムさん…強いなぁ…。」
ガシャッ、ガシャッ。
左右のレプリカヤマトのマガジンが廃ビルの床に落ちる。
新しくカートリッジを一組とりだすと、再び装填した。弾け、次々と金属音を立てて転がっていく。
「ファーウェル、インフィニティモード。ターゲット…マルチロック。」
『マルチロックウィンドウを展開します。インフィニティモード展開。
バリアジャケット、ヴァリアブルフェイズシフト』
空間に開かれる空間モニター。スバル、エリオ、キャロ、フリード、シグナム、はやて、なのは、、ヤマト、ザフィーラを赤い枠が囲んだ。
「インフィニティモード!?なんで、こいつが!?」
本人のレプリカを見て驚きを隠せないヤマトである。

『はやて部隊長!離れてください!!魔力反応、急速上昇!!恐らく、フルバーストが撃たれます。』
「不味いな、皆なのは隊長とヤマト指揮官とザフィーラの後方へ、キャロはなのは隊長とヤマト指揮官の障壁強化。」
「はい、ケリュケイオン!!」
『Boost Up Shield Power』
『GN Force Field』
なのはの貼るラウンドシールドの輝きが増し、ヤマトの張るドーム状の障壁の輝きも増す。
「ザフィーラ、頼むで!」
「御意!!」
『フルバースト、来ます!!』

『HighMAT Full Burst DRAGOON Plus...』
蒼一色の激流14本が廃棄都市街にそびえたつ建造物を飲み込み砕きながら白いベルカ式の障壁と桜色の障壁と緑色の障壁を飲み込んだ。
凄まじい障壁、レイジングハートの尖端が跳ね上がるのを必死で押さえ付けるなのは。
ファーウェルの刀身を押さえるヤマト
ザフィーラの腕には凄まじい数の血管が浮き出ている。
「うぉぉぉぉぉ!!!!」
「頑張って、ザフィーラ!」
「ザフィーラ!!」
「ザフィーラさん!!」
はやてとシグナムがザフィーラに力を貸すため、障壁に触れる。腕が持っていかれそうなほど衝撃。
「ッつ!?」
「うっ!?」
痛みに怯んだ瞬間、レイジングハートとファーウェルが跳ねあがった。
しまった、そう思った瞬間、スバルがレイジングハートを、エリオがファーウェル掴み、元の位置へと戻す。
「スバル…。」
「なのはさん!!」
必死に耐えるスバルの顔、
そうだ、弱音を吐いてる場合じゃない。後輩が見てるじゃないか。
管理局のエースオブエースは伊達じゃないところを見せてやれ。
「エリオ…」
「ヤマトさん!諦めないでください!!!」
自分のピンチを助けてもらった同志がいるじゃないか
疾風の一機当千のパイロットそしてタクティカルリーダーは伊達じゃないところを証明するんだ
「あぁぁぁぁぁ!!」
「うぉぉぉぉ!!!」
自分に渇を入れるために、なのはとヤマトは咆哮をあげた。

「私の判断では…何とも…。」
シャマルが困ったような表情で言う。
「せめてもの償いに…、あいつをヤマトの手助けの協力させてほしい…。」
真剣な眼差しで、半蔵はシャマルを見つめた。
「ですから…私は…」
再びモニターが開き、現れたのはシャーリー。
『シャマル先生まだですか?』
さらに割り込んだモニターには蒼い奔流が写っていた。必死に耐える皆の姿。
『せめてなのはさんとヤマトさんだけでも全快にさせないと…。
シャマル先生!』
シャマルは通信を切った。
「取りきれない責任かもしれないけど…、責任は私が取ります。
メイはスカリエッティアジトに向かってフェイト隊長を連れてきて!
ティアナは私と行きます!」
半蔵へと向き直る。砕け散る拘束魔法。シャマルから手渡されるダブルオー。
「信じてくれてありがとう。」
半蔵は漆黒の目を細めシャマルに微笑んだ。

半蔵は漆黒色の目を細めシャマルに微笑んだ。
「仏像面の半蔵が笑うわけないじゃない?」
メイが半蔵をおちょくってやるつもりで言ったが
「安心しろ…、メイとヤマトは俺が守る。」
(もっとも、パイロットは生きているし…、魔法とはなんの関係もないけどね。)
「行くぞ、ダブルオー!」
ワインレッドを貴重としたバリアジャケットを身に纏う。
『Ok, Master!バリアジャケット、トランザム、ダブルオーライザー Set Up』
トランザムをしたダブルオーライザーではなく、トランザムライザーとともに、半蔵は飛びさった。

ほとばしる奔流の勢いが弱くなり、やがて障壁に負荷がかからなくなった。
ザフィーラの右腕から血が滲んでいる。そして、なのはとヤマトの顔にも、疲労の色が見え始めていた。
「ひとかたまりになっとたらあかんな、砲撃が終わった今がチャンスや。
反撃…」

「クスッ、油断大敵ってね…。」

はやては目を疑った。レプリカがいるであろう建造物。そこに発生している13の魔法陣。

『HighMAT Full Burst DRAGOON Plus, Rush』

「皆、避けてぇ!!!!!」

「エリオ!!」
「分かってます!!キャロ!」
キャロの手をとるエリオ。

「でも、フリードが…」
悲しそうなキャロの視線から目をそらし、迫り来る奔流との距離を瞬時に判断する。
(ソニックムーブで何とか避けられる。)
「主!ザフィーラ!!」
シグナムが二人を連れフルバーストの射線軸から待避しようとするが
「間に合わない!」
二人を抱えてはシグナムのスピードが落ちてしまう。シグナムの手を振りほどいたザフィーラ。軽くなり移動速度があがった。
「あかん、ザフィーラ!!!シグナム!戻って!!!」
「なりません、主。」
「(主、我は盾の守護獣ザフィーラ。主をお守りし、盾となるのが我の役目です。)」
スバルとなのは、エリオとキャロ、シグナムとはやては射線軸から回避した。
1面青空にでもなったような錯覚を起こす。
「ザフィーラァァァ!!!」
はやてが叫んだ。
ザフィーラを、フリードを奔流が飲み込まんとした刹那
『Type Power SEED Burst,マジックキャリーシールド』
デバイスの音声が目を閉じたザフィーラの耳に飛び混んできた。ほとばしる奔流が各方向へと散っていた。
「トランザムライザー!」
『Ok,GNアルティメットビームサーベル・スタンバイ』
奔流が途切れたのとほぼ同時、二つの魔力スフィアから放たれる二本の剣より発生する朱色の奔流。
レプリカヤマトは跳躍してそれを避けた。
「お前は……。」
シグナムが目を見開く。
「もうすぐそなた達に援護が来る、ここは俺に任せて…。
あなた達は休んでてくれ!」
『GNビームサーベル・ツインモード』
リア部から白い筒を抜刀、柄尻を連結。レプリカヤマトから放たれる二本の奔流の間を縫い、ダブルオーライザーを構えて向かっていく。
「おぉぉぉ!!!」
「半蔵!負けるな!男の意地を見せてやれ!嫁探しに失敗してもすぐに立ち直れる、不屈の精神があるじゃないか」
半蔵を応援するヤマト。
通常射撃を連射しながら後退するレプリカヤマトを執拗におっていく半蔵。
「あの時は負けたけど、今度はそうは行かないからね…。」
レプリカヤマトは向かってくる半蔵に向け、笑みを浮かべつつ魔法陣を展開。
『ヴェスバー』
『ビームマシンガン・バースト』
反応して爆発を起こす二つの魔法、煙と閃光の中、何度もぶつかり合う光。
「呆けてる場合じゃない。まだ戦えるやつは?」
シグナムが言う。シグナム、キャロ、スバル、エリオ、はやてが手をあげる。
「この腕じゃ、あんまり大きいのは撃てないけど…。」
なのはも手を上げた。
「バカ正直な友が戦っているのに見ていられるのはまっぴらゴメンだ。俺も加担する」
ヤマトも同意。
「ほんなら、私となのは隊長とヤマト指揮官は中距離支援、キャロはフルバック。スバル、シグナム、エリオで前線、行くよ!」
はやてが言うと、彼方で何度もぶつかり合う蒼と朱色の光へと向かうシグナム、エリオ、スバル。
「竜鬼召喚・ボルテール!!」
キャロのもう一匹の召喚獣が姿を現す。全体は黒。猛々しく咆哮をあげたそれは四枚の翼を持ち、直立だった。
「エリオくん!フリードを!!」
デバイスで飛ぶエリオに追い付くフリード。
「ありがとう、キャロ!!
行くよ、フリード!!」
フリードに跨るエリオ。

「何か凄いの出してきたね…。けど、」
『ドラグーン・アームズシフト』
散開する十の翼が向かってくる半蔵の進撃を妨げる。
「ぬっ、くっ!!」
正面のドラグーンは盾を使って防ぎ、逃げ道を作った。
背後から狙い来るドラグーンに対応しようと振り返った瞬間
『クスィフィアス3』
背中に走る衝撃。パージされるバリアジャケット。
半蔵が怯んだ瞬間、ドラグーンをコントロール、小回りの効かないフリードを狙う。
手綱を操り、奔流の嵐をかいくぐる。桃色の光がフリードの口に集束。
「フリード、ブラストレイ!!」

エリオの掛け声を合図に灼熱の炎が吐き出される。レプリカヤマトが避けると、
「アギト!!(炎熱加速!飛竜一閃!!)飛竜一閃!!」
炎を纏った竜がレプリカヤマトを襲う。
『Long-range Canonn Shift』
連結ファーウェルから放たれる奔流で迎撃。背後に気配。
スバルのリボルバーナックルがレプリカヤマトを襲う。だが、姿が消えた。
何故!?
宙返り、いつのまにか背後をとられてしまったスバル。
『サーベルモード』
スバルのマッハキャリバーを狙うレプリカヤマト。しかし、桜色と青色の魔力弾がそれをさせない。

「チッ!!」
『CIWS』
レプリカヤマト周辺に現れる魔力弾を後退しながら放ちアクセルシューターを破壊。
爆煙に姿を消すレプリカヤマト。
その煙の中から半蔵、エリオ、シグナム、スバルへと奔流が放たれる。
かわす四人。
煙を突き破ってはやてとなのはとヤマトへと向かって行く。
「石化の刃、ミストルティン!!」
反時計回りに放たれる白刃をタイミングを合わせて避ける。
「ボルテール!」
両翼から放たれる膨大なエネルギー。
「何て大きさだ。」
レプリカヤマトは驚きつつ、ボルテールに向けて通常射撃を放つも奔流が障壁によって弾かれる。
「……ファーウェル、いい頃合いだよね?」
『Yes,ドラグーンをこのまま破棄します。インフィニティモード最大速度まで後、一分です。
現在、五割の速度まで出すことが出来ます。』
レプリカヤマトの背中から溢れだす暗黒のオーラ。激しく燃える炎のようなその翼。
「行くよ!」
空気が破裂した。

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