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Copyright © CCP 1997-2009
原文はCCPに著作権があります
[[初出>http://blog.goo.ne.jp/evemococo/]]
#br
#ref(http://www.eve-online.com/bitmaps/img/weekly/kypit.jpg,center,nolink)
''Kyonoke Pit.''
''Kyonokeの大穴''
#br
Taisy星系の最縁部に「Kyonokeの大穴」と呼ばれる棄て置かれた採鉱ステーションがある.この採鉱ステーションは,40年前にCaldariの探鉱会社の一つであるHyasyoda社によって建設された.このステーションは建設当時,星間通信デバイスの中核部品であるTASC(*1
(*1 twin atomic superconductor crystal)
#br
建設されてから数年間,採掘作業は非常に順調であった.Kyonokeの採鉱ステーションは,すぐにHyasyoda社にとってなくてはならない有益な拠点の一つとなった.採鉱ステーションは巨大なアステロイドの上に建設されていたが,採掘作業が進むにつれ,次第にアス
#br
5年前,惑星Taisy Prime衛星軌道上の管制タワーがKyonokeの採鉱ステーションからの緊急信号を受け取った.何か疫病のようなものがステーション内で蔓延し始め,作業員が次々に死んでいるという.この緊急通信を受けたわずか数分後,Kyonokeの採鉱ステーション
#br
すぐさま何が起こったのかを調べるための調査船が派遣された.調査船がステーションがあるはずのアステロイドの周回軌道に入っても,地上には一つの明かりも見えず,またいかなる生命兆候も検知できなかった.
厳重な防護スーツで装備した緊急対策チームが降下した採鉱ステーションで見たものは,ぞっとする様な光景だった.採掘作業員たちはステーション内の至る所でそのまま息絶えており,その屍骸は腐り堕ちていたのである.屍骸はどれも赤黒い斑点に覆われていて浮
#br
緊急対策チームは調査船に彼等が発見した状況を詳細に報告しながらステーション内の探索を続けた.しかしチームが地上に降下してから約2時間後,彼等は次々に体調の不調を訴え始めた.調査船の艦長はすぐさま帰投命令を出したが,チームのメンバは帰還作業中
・・・すなわち,最新鋭の防護スーツを着用していたにも関わらず,彼等もまた恐るべき死病に襲われたことは明らかだった.調査船の艦長は残りの乗務員の(そして自分の)安全性を懸念し,ステーション内で死に逝く緊急対策チームを残したまま,この大穴を離脱し
#br
これが,人類が宇宙で遭遇した中でも最も不可解かつ致命的な悪性疫病の一つ「Kyonokeの伝染病」の最初の顛末である.
#br
Caldari国家当局はこの出来事から数時間後,Kyonokeの大穴の封鎖を決定した.
当局は封鎖の後,細心の注意を払って原因の究明に勤めたが,その結果は実はあまり芳しくない.生物学的には,タンパク質に非常に似通った「バイオ粒子」がこの疫病の原因であることが判明している.この微粒子は大気中から呼吸器を介して体内に侵入し,血液循
#br
これ以外にも,このバイオ粒子は休眠状態のものも発見されている.休眠状態の微粒子は,苛酷な条件の環境下でも何年もの間生存することが確認されている.これらの休眠微粒子は一度生物内に進入すると活動状態に変性しはじめるが,必ずしも直ぐに変性するとは
「死のタンパク質」とも言えるバイオ粒子のこういった性質は,人類にとって非常に不可解なだけでなく,非常に危険でもある.
#br
このバイオ粒子がKyonokeの大穴の奥から「偶然にも」発掘されたというのは至極真っ当な推測と言える.しかし,この微粒子がKyonokeの大穴の奥で果たして本当に「偶然にも」生まれたのかどうかという点に関しては非常に疑わしい.この微粒子は人類が持つ正常な
ともあれ,検出や感染経路の追跡が非常に難しく,また100%の致死率を誇るこのバイオ粒子は当然,軍事研究者やテロリストなどから渇望されることとなった.
#br
かつてKyonokeからの最後の通信を受けたTaisy Prime衛星軌道上の管制タワーは,今や巨大な研究施設になっている.この研究施設で,Caldari国家当局はバイオ粒子の全てを手中にしようと熱心に研究を繰り返している.「Kyonokeの大穴」自身は当局によって厳密に
#br
今日では,大穴から流出した大小の残骸や屍骸が周囲に浮遊しており,この廃墟に安全に船が近づくことは難しい.このことに加え,Caldari政府が監視体制を更に厳重にしたことにより,今では大穴に侵入することは大変困難になっている.
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原文はCCPに著作権があります
[[初出>http://blog.goo.ne.jp/evemococo/]]
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#ref(http://www.eve-online.com/bitmaps/img/weekly/kypit.jpg,center,nolink)
''Kyonoke Pit.''
''Kyonokeの大穴''
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Taisy星系の最縁部に「Kyonokeの大穴」と呼ばれる棄て置かれた採鉱ステーションがある.この採鉱ステーションは,40年前にCaldariの探鉱会社の一つであるHyasyoda社によって建設された.このステーションは建設当時,星間通信デバイスの中核部品であるTASC(*1
(*1 twin atomic superconductor crystal)
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建設されてから数年間,採掘作業は非常に順調であった.Kyonokeの採鉱ステーションは,すぐにHyasyoda社にとってなくてはならない有益な拠点の一つとなった.採鉱ステーションは巨大なアステロイドの上に建設されていたが,採掘作業が進むにつれ,次第にアス
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5年前,惑星Taisy Prime衛星軌道上の管制タワーがKyonokeの採鉱ステーションからの緊急信号を受け取った.何か疫病のようなものがステーション内で蔓延し始め,作業員が次々に死んでいるという.この緊急通信を受けたわずか数分後,Kyonokeの採鉱ステーション
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すぐさま何が起こったのかを調べるための調査船が派遣された.調査船がステーションがあるはずのアステロイドの周回軌道に入っても,地上には一つの明かりも見えず,またいかなる生命兆候も検知できなかった.
厳重な防護スーツで装備した緊急対策チームが降下した採鉱ステーションで見たものは,ぞっとする様な光景だった.採掘作業員たちはステーション内の至る所でそのまま息絶えており,その屍骸は腐り堕ちていたのである.屍骸はどれも赤黒い斑点に覆われていて浮
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緊急対策チームは調査船に彼等が発見した状況を詳細に報告しながらステーション内の探索を続けた.しかしチームが地上に降下してから約2時間後,彼等は次々に体調の不調を訴え始めた.調査船の艦長はすぐさま帰投命令を出したが,チームのメンバは帰還作業中
・・・すなわち,最新鋭の防護スーツを着用していたにも関わらず,彼等もまた恐るべき死病に襲われたことは明らかだった.調査船の艦長は残りの乗務員の(そして自分の)安全性を懸念し,ステーション内で死に逝く緊急対策チームを残したまま,この大穴を離脱し
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これが,人類が宇宙で遭遇した中でも最も不可解かつ致命的な悪性疫病の一つ「Kyonokeの伝染病」の最初の顛末である.
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Caldari国家当局はこの出来事から数時間後,Kyonokeの大穴の封鎖を決定した.
当局は封鎖の後,細心の注意を払って原因の究明に勤めたが,その結果は実はあまり芳しくない.生物学的には,タンパク質に非常に似通った「バイオ粒子」がこの疫病の原因であることが判明している.この微粒子は大気中から呼吸器を介して体内に侵入し,血液循
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これ以外にも,このバイオ粒子は休眠状態のものも発見されている.休眠状態の微粒子は,苛酷な条件の環境下でも何年もの間生存することが確認されている.これらの休眠微粒子は一度生物内に進入すると活動状態に変性しはじめるが,必ずしも直ぐに変性するとは
「死のタンパク質」とも言えるバイオ粒子のこういった性質は,人類にとって非常に不可解なだけでなく,非常に危険でもある.
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このバイオ粒子がKyonokeの大穴の奥から「偶然にも」発掘されたというのは至極真っ当な推測と言える.しかし,この微粒子がKyonokeの大穴の奥で果たして本当に「偶然にも」生まれたのかどうかという点に関しては非常に疑わしい.この微粒子は人類が持つ正常な
ともあれ,検出や感染経路の追跡が非常に難しく,また100%の致死率を誇るこのバイオ粒子は当然,軍事研究者やテロリストなどから渇望されることとなった.
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かつてKyonokeからの最後の通信を受けたTaisy Prime衛星軌道上の管制タワーは,今や巨大な研究施設になっている.この研究施設で,Caldari国家当局はバイオ粒子の全てを手中にしようと熱心に研究を繰り返している.「Kyonokeの大穴」自身は当局によって厳密に
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今日では,大穴から流出した大小の残骸や屍骸が周囲に浮遊しており,この廃墟に安全に船が近づくことは難しい.このことに加え,Caldari政府が監視体制を更に厳重にしたことにより,今では大穴に侵入することは大変困難になっている.
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