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Last-modified: 2014-01-13 (月) 15:40:06

イリオスVSオルエン?

 

イリオス「はあ…働けど働けど我が暮らし楽にならざり…っと、くそ…弱小会社はつらいねえ…」
俺の給料は安い。時給に換算したら悲惨な金額になっちまうだろうな。
あのクソ社長め!
今日も駅の立ち食いそばで晩飯をすませて家路につく。
イリオス「ちくしょー!やってられっか!」
悪態をつきながら空き缶を蹴飛ばす。
そもそも俺の人生計画では、今頃貴族になってるはずだったのにどこで間違えたんだ?
俺の野望は出世して貴族になる事だ。
そのためにガキの頃から文武に励んできた。そこらの連中を見てみなよ。
FEのマップに展開する兵隊たちは大半がスキルすらないだろ?
それからすれば祈りと太陽のスキルを持ち、
さらに指揮レベル3(敵軍時のみ)の俺がどんだけ優秀かわかるはずだ。

思えば俺の人生のつまづきはあの時だった。
必死こいて勉強して超名門の私立フリージ大付属高校に入学した時だ。
生徒の9割以上が貴族の子女のこの学校で、連中と人脈を作れば将来の出世の近道になる。
初めてクラスの自分の席に着き、まずはクラスの連中の顔と名前を覚えようと周囲を見た。
その時隣の席から声を掛けられたんだ。
オルエン「貴方が隣の席の方ね、私はシュターゼ家のオルエン、貴方のお名前を教えてくださる?」
イリオス「俺はイリオスだ。よろしく頼む!」
オルエン「イリオスね。よろしく!…ところでどちらの家名の方なのかしら?」
平民の俺に苗字なんぞない。この女痛いところを突きやがって!
だが、口ごもる俺を怪訝な目で見てやがる。仕方なく俺は口を開いた。
イリオス「あー…家名はだな…これから得る予定というか…まあ、今はまだないんだ」
奴は一瞬だけ驚いたようだが、微笑んでこうほざきやがった。
オルエン「まあ、平民の方だったのね。ごめんなさい、私ったらてっきり貴族の方だと勘違いしてたわ。
よろしくね平民のイリオス!」
……いや、多分奴に悪気はなかったんだろうよ…だが空気読まずにでかい声で平民言いやがって!
おかげでクラスの俺のあだ名は3年間「平民君」だった…orz

貴族連中ってのは体面を気にするからな。そんなあだ名のついた俺と付き合おうなんて奴はいなかった。
これが第1のつまづきだ。

だが、例外はいるというか…奴はなにかと俺にかまってきたな。俺が一人で昼飯食ってるとよく声をかけてきた。
オルエン「こんな隅っこで食べてないで向こうで皆と食べましょうよ♪…あれ?どうしてお弁当を隠しているの?」
イリオス「…こ、これはだな…と、とにかく俺に構うな!ほっといてくれ!」
だが奴は無遠慮に俺の弁当を覗き込んできやがる!…俺の弁当はいわゆる日の丸弁当だ、貧乏で悪かったな!
だが箱入りのお嬢様にそんな事はわかりゃしねえ。
オルエン「どうしてオカズが入ってないの?あ、そうかメイドが入れ忘れたのね…可哀想…
私のオカズ分けてあげようか?」
イリオス「だあっ、大きなお世話だ!」
俺は弁当を持って逃げ出した。奴はなんで俺が逃げたのか判らず小首をかしげてやがったな。
こちらを馬鹿にしてくるなら喧嘩のしようもあるが、奴の場合善意で言ってくるからタチが悪い。
一つ言えることは奴が教室内ででかい声でほざいたせいで、俺の日の丸弁当が皆に知れ渡り、
同じ平民からすら貧乏人のレッテルを張られた事さ…orz

その後も修学旅行とか文化祭とか、色んなイベントのたびに奴とは縁があって同じ班になる。
その都度俺は奴の空気読めない発言で同じような目に会うわけだ。
くそったれが!お陰様でクラスの皆から「平民君」と馬鹿にされ、
人脈作り計画は完全に失敗したじゃねぇか!

第2のつまづきは大学進学の時だな。私立フリージ大付属高校は大学付属だ。
当然大学に進むには外からくる受験者よりも、高校から上がるほうが圧倒的有利だ。
そしてこの大学は名門フリージ家が出資しており、卒業者はほとんどがフリージ家に仕官したり、
フリージ系の企業に採用される。まさしく出世のチャンスだ。

一応高校から上がる連中にも試験はあんだが俺は成績よかったしな。なんの心配もなかった。

オルエン「おはようイリオス!今日は入学試験ね!自信はどう?」
…正直コイツに関わるとロクな事がねぇ…俺は適当にあしらうことにした。
イリオス「心配ねぇよ、余裕だぜ。じゃあな」
立ち去ろうとした俺だが奴は付いてくる。考えてみりゃ奴も試験受けるんだな。
オルエン「ところで今日はなんの日だか覚えてる?」
イリオス「だから入学試験だろ?」
オルエン「今日は2月14日、バレンタイン!さ、どうぞ♪」
イリオス「あ…ああ…あんがとよ…」
そういや何の気まぐれやら毎年くれてよこすんだよなコイツ。去年は平民には縁のない高級ブランドのチョコだった。
まあ、親しい人間には渡してたみてえだからな。ただの義理だろうがよ。

奴とは別の試験会場だったからな。廊下で別れた。
俺は会場で参考書を読む。万が一の事があっちゃいけねえ。
その時ふっと眠気がきた。
昨日あんまり寝てねぇからな。
糖分は脳のエネルギーだ。俺はオルエンからもらったチョコを食うことにした。
包みを開ける。見るからに高級そうなチョコだ。
ひとつつまんで食べる。…美味え…と思ったらこの味は…
ウイスキーボンボンじゃねぇか!?
俺は酒が死ぬほど弱い。
焦って水道で吐き出そうとしたが時すでに遅し。頭がクラクラしてきやがった。
どうにか試験会場に戻る。

…数日後、あれほどの絶望はなかったね…見事落第だ!畜生!
酩酊状態で受けた試験結果はボロボロだ!
オマケに飲酒とみなされて卒業間際に停学までくらっちまった!
卒業写真の右上に一人だけうつる気持ちがわかるか!

その後どうにか定員割れの3流大学の2次募集に引っかかったがよ。
ちなみにオルエンのヤツは見事首席入学だった。原作じゃ将軍なのに指揮レベルゼロの癖に…

その後は大学も別ということで奴と会う機会はほとんどなかったね。…つーか俺が避けていた。
だってよぉいくら奴に悪気がなかったって言ってもよぉ…
分かるだろ?

3流大学を優秀な成績で卒業したおれはカスラックに入った。
給料はよかったしな。なんだかんだいっても公務員みたいなもんだ。
ここで出世してやる!と意気込んだのもつかの間、あるトラブルでクビになっちまった。
トラブルについては保管庫のキャラ別の俺の項目を見てくれ。

そしてFETVに拾われ今に至るってわけだ…。
絶対に這い上がって貴族になってやる!…だがよぉその糸口すらねぇ…
イリオス「もう少し今の会社が大きければなぁ…
あのヘボ社長じゃ駄目だ!まずは俺が社長になって…」

そんなことをボヤきながら家路を急ぐ俺の前に高級車が止まった。
イリオス「あん?」
怪訝に思う俺。車から出てきたのは…
オルエン「まあ、やっぱりイリオスね!お久しぶり!」
イリオス「げえっ!オルエン!?」
オルエン「もう、貴方ときたら全然連絡もくれないんだもの!
でも会えて嬉しいわ!そうだ、今日はお友達同士、旧交を温めあいましょう!」
奴は俺が返事する前に高級車に引っ張り込みやがった。
相変わらず人の話を聞かないっつーか。強引な奴だ。

そして俺が連れて行かれたのは…

オルエン「そ~してき~みは~♪た~ちあが~った~~♪ ち~にそま~った~あかいまぁ~とに~♪」

カラオケボックスだった。…箱入りお嬢様のコイツが来るようなトコじゃねぇと思うんだが…
ついでに若い女が歌うような歌じゃねぇよな。
やっぱり貴族様ってのはどっかずれてやがる。

俺が歌ってる間ヤツは手を叩いてはしゃいでたな。そのうちウイスキー注文しやがった!
オルエン「イリオスは何飲む?」
イリオス「…俺は明日も仕事だからな…飲めねぇんだ」
オルエン「え?明日は土曜日よ?」
イリオス「TV局ってのは忙しいんだよ」
オルエン「そう?じゃあウーロン茶ね」

週休2日の職場に勤められる事がどんだけ幸福かわかってんのかコイツ?
聞けばフリージ財閥に勤めているという。俺とはえらい違いだ!ちくしょう!

数時間後…

オルエン「でねぇ~そのケンプフって奴がひどいのよぉ~きいてるぅ~?」
イリオス「だあ~!しがみ付くな!俺は酒の匂いが苦手なんだ!」
オルエン「わたひはよってませぇ~ん!きゃははははは!」

…酒癖悪いなコイツ…
つーか上司とソリ合ってないのか。意外と苦労してんのか?

オルエン「アンタなんか兄上と張り合えるわけないのに~、私にまで当たってさ~ふ~んだ」
散々愚痴ったあげくに寝てしまう。
オルエン「く~~」
…男とカラオケ入って酔って寝ちまうって…どんだけ世間知らずなんだコイツ?
それとも俺が男として見られてないのか?

やべえ…そんな事考えてたら変な気分になってきた…
コイツ結構可愛いのな、今までコイツの事そういう目で見たことなかったからな…
つーか、これだけ俺に構ってくるのも俺に気があるんじゃねぇか?
それにコイツと結婚すればシュターゼ家の婿養子に入って貴族になれる。
やべえやべえやべえ!何考えてんだ俺!?
いままで野望に励んでばかりで女とは無縁だったからな。女慣れしてねぇのか俺?
年齢=彼女いない暦=童貞暦だ!文句あるか!
それによぉ…コイツの世間知らずに付け込むみたいでよぉ…
なんつーか…

俺の心の葛藤とは無縁に俺の体は勝手に動く。
コイツの柔らかそうな唇に顔を寄せていく。
ぎゃぁぁぁぁぁ!!!何してんだ俺!?誰か止めてくれ!
コイツの唇に俺の唇が触れようとする寸前!

俺の首筋に冷たい刃先が当たった。
フレッド「貴様、お嬢様に何をしている…」
イリオス「へ!?アンタ高級車の運転手!?車で待ってるはずじゃ…」
正直ほっとしたね。チキン言うな!
フレッド「私はお嬢様のボディガードも兼ねている。お嬢様には内密で常にお側に潜んでいる」
見ると壁の柄の布が落ちている。忍者かコイツは!?
フレッド「お嬢様に不埒な行いをする輩め!成敗してやる!」
つ 必殺 雷の剣
イリオス「ぎえええええええ!!!!」
この野郎、オルエンが近くにいるもんで必殺率が上がってやがる!

それから俺はあのフレッドの野郎にシュターゼ家の地下拷問部屋に連れ込まれ、お仕置きされるはめになった。
お陰で土曜日の仕事には出れず、セーラやユアンには文句言われるわ、シャナム社長には
欠勤分の給料削られるわ散々だった。
やっぱオルエンの奴に関わるとロクな事がねぇ!
あいつ俺に不幸をもたらす星の下に生まれたんじゃねぇか?
まあ、俺も悪いんだけどよ。
もっとも早々会うこともねえだろ。

イリオス「くそ、仕事溜まってやがる」
でかいTV局なら下請けの製作会社に仕事回せるんだが、弱小は何から何まで自分でやらねえといけねえ。
シャナム「お~い、お客さんだ、お茶入れてくれ」
イリオス「茶ぐらい自分で入れろボケ!」
悪態を付きながら茶を粗末な応接室に運んでやる。

そこにいたのは…
オルエン「まあ、イリオス?貴方の会社ってここだったの?」
イリオス「うげえ!オルエン!?」
シャナム「バカモノ!このお方はフリージ財閥の広報の方だぞ!
このたび我が社の番組のスポンサードを検討して下さると話を持ってきて下さったのだ!
申し訳ございません!この平民野郎が無礼な真似を!平にご容赦を!」

バカ社長のヤツ、俺の頭をつかんで土下座させやがった!自分もペコペコ平謝りだ。
なんて卑屈な奴だ。

オルエン「お気になさらないで下さい、私と彼はお友達ですから、
それとスポンサーの件は前向きに検討します。
CM作成の際は私も立会いますので…イリオス、貴方と会う機会も多くなりそうね、よろしくね!」

……コイツがフリージ側の担当……
そりゃ会う機会も増えるだろうな…
今、この部屋にはフレッドの野郎が隠れているはずだ…
冷たい殺気を感じる…
それに部屋の外にはセーラ、ドロシー、ユアンの気配がする。
後で根掘り葉掘り聞かれるだろうな。特にセーラからは
「平民風情が貴族の友達!?身の程を知れい!」とか言われるに決まってる!

うわぁやっぱコイツに関わるとロクな事がねぇ!
これから俺はどんな不運に見舞われるんだ!?

終わり

マシンの不調で小刻み投下になってしまった。
申し訳ありません。

オルエンが仲間にいると、イリオスが入らないのはなんでだろ?
と想像してたらこんなネタが浮かびました。
ほんとになんでだろ?