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Last-modified: 2014-01-06 (月) 15:40:38

ある晴れた昼下がり―

エリンシア「みなさん、出来ましたわよー。」
アイク「おおっ、これは―」
リーフ「エリンシア姉さんの伝家の宝刀―」
マルス「エリンギのバター炒めだね。」
ロイ「急にどうしたの?エリンシア姉さん。いきなりこんな高価(?)な物を作ったりして。」
エリンシア「いえ、今日は何だかこれを作らなきゃいけない気がしていましたから…」
ロイ「ふーん。何だかよく分からないけど、こんな何でも無い日にエリンシア姉さんのエリンギのバター炒めを食べられるなんて、僕らは幸せだなぁ。」
エリンシア「まぁ、ロイったら。そんな事を言っても何も出て来ませんわよ。」
ミカヤ「今ここに居ない子達には申し訳ないけど、冷めない内に頂きましょう。」
アイク「そうだ。それがいい。早く喰ってしまおう。胃よだれが止まらん。」
リーフ「い、胃よだれって何だよアイク兄さん…」
マルス「まぁ、アイク兄さんは常人離れしてるからね。よだれも普通じゃないんだよ、きっと。」
エリンシア「それでは、みなさん。頂きま…」

   ピンポーン

アイク「ぐっ…、何もこんな時に…!」
リーフ「全く、空気を読んで欲しいなぁ。」
マルス「リーフ、キミにそんな事が言えるのかい?」エリンシア「まぁまぁみなさん、そうおっしゃらずに。私が出ていきますから、少し待っていて下さいね。」
アイク「くっ、仕方がない…。

だが構わん!」
  ゴスッ!
ミカヤ「だが構わんじゃないでしょ。子供じゃないんだから大人しく待ってなさい!」
アイク「…面目ない。」
リーフ(うわっ、本の角でブン殴ってるよ…。しかも全然堪えてないし…)
マルス(まぁ、アイク兄さんだしね)
ロイ「…あっ、姉さんだ。」
エリンシア「さぁさぁ、どうぞお上がりになって下さい。
お口に合うかは分かりませんが、エリンギのバター炒めがありますので、ゆっくりしていって下さいね。」
?「フフッ、そんなにお気遣いなさらないで下さい。主人公家のみなさん、お久し振りですな。」
マルス・ロイ(こ、この声は…!)
?「フフッ、みなさん私を覚えてますか?地区対抗格闘技大会会長の櫻井雅弘です。」
ミカヤ「あら、もうこの時期が来たのね!確か去年の優勝者は茸区の御姫様だったわね。」
リーフ「自分の部下を盾に使う人でなしだったよね、確か。」
櫻井「フフッ、マルス君、ロイ君。元気そうで何よりだねぇ。こりゃ今年も期待出来そうだなぁ~」
ロイ「えっ!?今年も出させてもらえるんですか!?」
マルス「ええっ~!!今年も出なきゃいけないんですか!?」
ロイ「マルス兄さん?」
マルス「い、いやいや何でもないさ…」
櫻井「フフッ、二人とも気が早いですねぇ。
もちろん今年も大会は行いますが、今日は偶然ここを通りかかったので少し立ち寄ってみようかなと思っただけなんですよ。
…んんっ、なかなかイケますな。このエリンギ。」
リーフ「ああっ、滅多に食べられないエリンギ…アッー!どんどん無くなって行く…!」
アイク「……」
リーフ(うわぁ、アイク兄さんプルプルしてるよ…)

  ダンッ!

一同「!!」
アイク「…櫻井氏、よく来てくれた!俺はあんたを待っていた!今年こそは…今年こそは是非俺を出してくれ!
ほらっ、エリンギならまだまだ沢山ある。遠慮せずにどんどん食べてくれ!!」リーフ(あ、あのアイク兄さんが他人に食べ物を譲るなんて…)
櫻井「フフッ、キミはアイク君でしたね。
…なるほど。いい体をしていますね。考えておきますよ。」
アイク「そうか!ありがとう!」
櫻井「…んんっ、しかし本当においしいですね。このエリンギは。」
リーフ「ああっ、滅多に食べられないエリンギのバター炒めがついに全て平らげられてしまった…。
この人でなしーー!!」
アイク「リーフ!口を謹め!エリンギぐらいで騒ぐな!!」
リーフ「ハ、ハイーー!!」
櫻井「(…ふぅ。おいしかった。)
フフッ、ではそろそろ帰りましょうかねぇ。」
エリンシア「ええっ!?そんな…。どうかもっとごゆっくりなさって下さい!」櫻井「フフッ、これ以上家族の団欒を邪魔するわけにはいけませんからねぇ…。」
リーフ(一人でエリンギ全部食べておいてよく言うよ…)
ロイ(それにしてもエリンシア姉さん、何だか必死だね。)
マルス(そりゃ、賞金が破格だからね。参加賞で5万G、優勝すれば500万G。
自分が痛い目をみずに最低でも10万G稼げるんだから、そりゃ必死にもなるさ。)
ロイ(そんな言い方しなくても…。参加するだけで普段お世話になってるミカヤ姉さん達に恩返しが出来るんだから…)
マルス(それとこれとは話が別だね。
僕はもう、青いマッチョのオッサンに燃やされたり、緑のトカゲに食べられたり、二人組の子供にハンマーでリンチされたりするのは嫌なんだ!
ああっ、どうか僕の代わりにアイク兄さんが選ばれます様に…)
ロイ(逃げ腰の割には、ちゃっかり「五強」って言われる程活躍してるんだよな、この人。
今年は僕がそう呼ばれる様に頑張らないと。)
櫻井「フフッ…っと。帰る前にマルス君とロイ君に一言だけ言っておこうかな。」
マルス・ロイ「!!」
櫻井「フフッ、マルス君。君のおかげで去年の大会は大盛り上がりでしたよ。
君のその爽やかな声に特定のファンが大勢ついちゃってさ。君を出さないと色々大変なんですよ。
だから今年もほぼ確実に出られると思いますから、安心して下さいね。」
マルス「…うっ!は、はい……」
櫻井「フフッ、では次にロイ君。」
ロイ「は、はいっ!!」
櫻井「フフッ、君にはこの一言だけ。正直、微妙ですねぇ…」
ロイ「…えっ!!そ、そんな……」
櫻井「フフッ、ではごきげんよう。エリンシア君、ごちそうさまでした。
それではみなさん、今年の大会を楽しみにしてて下さいね。」
エリンシア「ああっ、櫻井様!私の天馬で送ってさしあげますわ!」
櫻井「フフッ、お気遣いなさらなくても結構ですよ。」
アイク「櫻井氏、それなら俺が家までかついで…」

マルス・ロイ「……」
ミカヤ「二人とも、いい加減に元気出してよ。ねっ?」
マルス「嫌だ…もう嫌だ……」
ロイ「うううっ…、どうせ僕なんて……」
リーフ「ちくしょー!あの人絶対エリンギ目当てでここに来たんだ!あの人でなしめーー!!」

ユンヌ「…全く、カオスな人ね。」

  fin…