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Last-modified: 2014-01-22 (水) 14:54:58

幼女の旗の下に

 

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5 サラ案を採用する    ……………いいのか?

エフラム 「……まぁ…なんだ…そこまでせんと進展しない気がするしな…」
マルス  「原作の電撃結婚が嘘のようですよね」
ミカヤ  「長男なんだし、もういい年なんだから身を固めてもらわないとねー」
サラ   「お・ま・か・せ……うまくいったらご褒美ちょうだいね…」
エフラム 「うまくいったらな」
ターナ  「ご褒美って?」
サラ   「この間はキスしてもらったから…次はなにがいいかな?」
ターナ  「ずるいエフラムばっかり!!!こ…今度は私がサラに…はっいやななななんでもないのっ!?」
エフラム 「そ…そうか?」
サラ   「じゃあ両方…」
ヒーニアス「よくわからんが話はまとまったようだな」
マルス  「カオス空間が発生してますけどね…」
ミカヤ  「…シグルドの事がまとまったらエフラムを更生させないと…」

かくしてサラが媚薬をディアドラに盛ることとなった……
翌日…サラのマンションは異様な妖気に満たされることとなる…
グツグツと煮えたぎる大鍋…しゃれこうべを模した蝋燭立て…
山羊の頭の剥製が恨めしい視線を虚空に放っている…

マンフロイ「の…のうサラや…何をしておるんじゃ?」
サラ   「ちょっとしたお仕事よ、今日の私は恋のキューピッド…」
マンフロイ(どうみても魔女にしか見えん…)
サラ   「取り出したりますは真っ赤な真っ赤なザクロの実、これにイチジク、サフランを合わせてすり潰して
      鍋に放り込みます。
      さ、おじいさま、かき混ぜて」
マンフロイ「う…うむ」
サラ   「煮だってきたら不純物を取り除きながらサテュリオンと刻んだマンドラゴラを少々…
      そして甘い恋の魔法をかけます…エロイムエッサイムエロイムエッサイム…」
マンフロイ(だれにむかって解説しておるんじゃろ…)
サラ   「呪…祝福された中身を瓶に移して封をします。これを山羊の首の口の中に入れて三日三晩保存します。
      この間………が来るので注意。部屋の外から声をかけられても決して出てはいけません」
マンフロイ「なんじゃっ!?なにが来るんじゃ!?」
サラ   「ですがご安心、こちらにあら素敵、完成品が…というわけで出かけてくるわおじいさま。
      3日間気をつけてね」
マンフロイ「ちょ…完成品があるなら作る必要ないじゃろ!?何!?何がくるのじゃ!?」

だがサラはもはやマンフロイなど一顧だにせずに出かけていった…

103

ガドゥス公邸…その一室でルカンは葉巻を嗜みながら、部下の報告を受けていた。
贅の限りを尽くしたその部屋は、初めて入る者に緊張感を与えずにはおかない…

従者  「バーハラ党のクルト殿が熱心に大統領の下を尋ねております…
     手の者の報告では、レプトール派への対策を講じるつもりのようで…」
ルカン 「馬鹿げたことよな。自ら危ない橋を渡るつもりらしい…
     レプトールの曲者ならともかく、あのような若造にどれほどのことができるやら…
     適当に揺さぶりをかけてやれ」
従者  「はっ…」
ルカン 「他党の状況で他に動きはあるか?」
従者  「AKJ、南トラキア、幼女党は当面の目標を失い、事実上連立体制は崩れた模様です。
     トラバントの党では強硬派の食い詰め者たちが北部資本への批判を強めており、
     ベルン署が警戒を強めています」
ルカン 「足のひっぱりあいだな。トラキアの愚民どもめ。バカなやつらよ。
     キュアンの党もトラバントの党もこの気に潰してしまえるやもしれん。
     引き続き情報を収集せよ」
従者  「ははっ」

一礼して従者が退室すると、ルカンは葉巻を灰皿に押し付けた…
あの老いぼれが大統領の椅子に座っているのもそう長い間ではあるまい…
それまでに議席を8割は確保したいものだ…そして元老院の力はそれを可能にしうる…
唯一の対抗馬たるバーハラが滅びるのもそう遠くはないだろう…

104

グランベル社…シグルドは係長のデスクでぼんやり座っていた。
引継ぎの用意は済んだ…後は期間内にヴェルダンへ赴任するだけだが、早く行く気になどさっぱりなれない。
かといっていてもすることがないのだ。
当然だが、当面の仕事は他の課員に割り振られている。
アレク達が忙しくしてるのをちょこちょこと手伝ったりもしてみたが、
そういった雑用を上司にさせるのもアレク達にとってみればかえって居心地が悪い。
自分が気を使われていると悟ったシグルドは、あまり気を使わせてもすまない…と考えて屋上でぼんやり雲を眺めることにした。
早退も考えたが一応勤務時間内くらいは社内にいないといけないだろうし…
シグルド 「あ…あの雲…ディアドラに似てる…」
流れ行く雲を見てると、今までの忙しさが嘘のようだ。
遠方への単身赴任とあって…正直に言えば転職も考えた。
大手たるグランベル社で万年係長を勤めたのだし、探せば転職先はあるだろうが…
やはり中途の不利や給与面を考えると踏み切れなかったのだ。
左遷されるといっても給料が下がるわけではないし、遠隔地手当てがつくので若干ではあるが収入も増える。
…もっとも、今後は昇進や昇給とは無縁になるのだが…
シグルド 「はぁ…駄目だな…やはりどうしても考えてしまうな…」
少し気分を入れ替えねば…とは思うのだが…
ディアドラとの事もシグルドの頭痛のタネであった。
もちろんディアドラを熱烈に愛しているシグルドではあるが、シグルドも成熟した大人である。
愛情だけで幸せになれるわけではない事はわかっている。
シグルド 「二人の気持ちが同じなら恐れるものなどないはずだ!
      …その気持ちに違いはないが…原作通り私が貴族だったらなぁ…はぁ…」
昇給も無しに今の給料でディアドラを養っていくことを考える…
しかも、実家たる兄弟家にも当然これまでどおりの金額を入れるとして…
シグルド 「…だめだ…生計が立たない…共働きと仮定して…うぅ…ディアドラにもパートとかに出てもらわなきゃならないよな…
      さらに子供が出来たとすると…」
本当ならそれは嬉しいことなのだが…将来に希望が持てない……
そういった生活にディアドラを一生添い遂げさせていいのか…と思ってしまう。
シグルド 「…ああ…そして弟妹たちのなかから何人かは大学に行きたがるだろうな…
      エリウッドとかエイリークあたりは…奨学金をとってもらうしかないか…」
頭痛がしてきた…このところあまりよく眠れてないのだ…

105

サラ   「こんにちは、隣に座っていいかしらおじさん?」
シグルド 「へ…?ああ…たしかサラだったっけ?…かまわないがおじさんはひどいな…まだ私は20代半ばなんだが」
サラ   「あら、小学生にとっては充分おじさんだわ。それよりも私は貴方の悩みを軽くしてあげられると思うよ?」
シグルド 「?」
いったいこの娘は何を言い出すのだろうか?

サラ   「兄様が心配してたわ…だから私が助けてあげる。
      ディアドラさんと会う予定は?」
シグルド 「ああ…いや…」
まだ決断できていなかった…
会って自分が遠くへ行くことを伝えねばならないのだが…
サラ   「不安になるのも当然ね、貴方の人生の重大な決断だもの。
      遠距離恋愛は大変なもの。でも連れて行くのも難しい。そういうことでしょ?」
シグルド 「ま、まぁそうだが…」
何で知ってるんだろうという疑問を感じるひまもない。
サラ   「でも大丈夫…ライバルが及びもよらないほど強い絆で結ばれてしまえばいいのよ」
言うが早いかサラは、シグルドのポケットからケータイを引っこ抜いた。
シグルド 「あっ何をする!?」
サラ   「…送信っと…ディアドラさんに夕食を申し込んだわ。エレブグランドホテルのレストランよ。
      お金はあるよね?」
シグルド 「………ATM行ってくる…」
何故この幼女の言うままになってるのかわからないが…
それでも一度ディアドラと会って将来の事をキチンと話し合わなければならないのは確かだ。
この際、これはいいきっかけだとシグルドは思いなおした。出費は大きくなりそうだが…

106

AKJ会員A「よろしいのですか? 会長のお許しも無く…」

AKJ本部の一角…とある部屋にて密談が行われている…
ここには強硬派の武装隊幹部5名がAKJの重鎮の一人プリシラに招集を受けて集まっていた。
プリシラ 「構いません。これは義挙です。
      今現在の人間は私たちの行いを、暴走だ、暗殺だテロだと謗るでしょう。
      ですが、未来においては兄妹愛のために正義をなした義挙とされます。
      兄妹愛のため私たちは手を汚す事を恐れず、レプトールらに天誅を下さねばならないのです!」
AKJ会員B「心得ました…準備を進めます。フレイボムを使った車列への襲撃および、
       毒矢、長距離魔法兵を用意します」
プリシラ  「複数のプランを並行して進めなさい。決して討ちもらすような事があってはなりません。
       それと配置各班にワープの杖を持った者を必ず加えるように…
       人選は私の子飼いの兵隊のみで固めなさい。会長や他の幹部…
       とりわけティニーさんに漏れるようなことがあってはなりません」
AKJ会員C「はっ!」

こうして夜は更けていく…

プリシラ  「これが終われば…幹部の皆も会長も以前の決断の誤りを悟るでしょう…
       KINSHINワールドのため…世界のためです…兄様…」
決行は明日の早朝になる。
すでに武装党員の用意を済ませたプリシラは、
控え室で一人休息を取っていたが…無償にレイヴァンが恋しくなった…
プリシラ  「少しの間だけ…兄様から愛情をもらいましょう…レスキュー!」
相手の予定や都合もへったくれもない…
強制的にレイヴァン呼び出されたレイヴァンはまたか…と溜息を漏らすのだった…

エレブグランドホテル…ラウス家が経営する豪華ホテルのロビーにシグルドは佇んでいた。
ディアドラとの待ち合わせ時刻が近い。

なおシグルドは知らないことだが、柱の影にはサラとエフラム…それにミカヤの姿がある。
エフラム  「本当に効くのか?…いや…そもそもいいのか?」
サラ    「大丈夫、ここは全年齢スレだもの…ちょっと恋の後押しをする程度に効果を留めて…いるといいね?」
エフラム  「いろいろと不安なんだが…」
ミカヤ   「でも、それくらいしないと進展ないしね。さー、26スレにして兄弟の結婚第一号がでるのかしら?」

などというやり取りがされているとは知らず、シグルドは緊張した面持ちでディアドラを待つ…
後5分…まさにその時であった!?

シグルド  「ぬぅっ!?KINSHINセンサーに感あり!?この感じはプリシラだな!?
       KINSHINは許さんぞおぉぉぉぉぉっぉぉおぉぉぉぉ!!!!!!!
       …あ…でもディアドラと大事な話が…しかしKINSHIN撲滅はわが使命!?
       ど、どうすればいいんだぁああああああああ!!!!!!」

続く

1 センサーの方向に突撃する KINSHINは許さんぞおぉぉぉぉ!!!!!!!
2 ディアドラを待つ     今日ばかりはディアドラを優先せねば!!!