30-95

Last-modified: 2014-01-21 (火) 10:24:53

綺麗なお姉さんは好きですか?

 

身体が怠い…何だかぼーっとするし…どうやら風邪を引いたようだ。
なんとか重い身体を奮わせて布団から起き、1階へ風邪薬を探しに向かう。
やけに静かだな…と思っていたら家には誰もいなかった。
どうやらみんなそれぞれ出掛けたらしい…普段なら喜べるがこの状況では辛い。
ふらふらな身体で居間中を探し、体温計と風邪薬を発見した。水で用量を守り服用する。
すぐに部屋に戻り体温計で熱を測る。38度5分…か。
とりあえず薬を飲んだのだから寝るのが1番だろう。今日は寝ることにする。

何者かの気配を感じて目が覚めた。何故か額が冷たくて気持ちいい。
目を開くと僕の目の前では見たこともないお姉さんがいた。
「目が覚めた?今薬とお粥を持ってくるから待っててね」
長くて綺麗な薄紫の髪のお姉さんはそういって僕の部屋から出ていく。
どこかで見たことのあるような気もするがそもそも僕にお姉さんは来ない。
いったいいつの間にフラグを立てたのか…そんなことを考えていると再びドアが開かれる。
先程のお姉さんがお盆に水とお粥、薬を持ってやって来たのだ。

「はい、あーん」
「じ、自分で食べれますからいいですよ」
普段の僕なら喜んでいるだろうが頭がついていかない今日はただ恥ずかしい。
絶対治ったら後悔するのだろうが断ってしまう。皿を受け取り食べはじめる。
「あ…美味しい」
エリンシア姉さんが作るお粥とはまた違った味がする。どこか優しい味だ。
「よかった」
お姉さんも嬉しそうにこちらを見てくる。僕は皿のお粥を平らげて薬を貰う。
貰った薬を渡された水で飲む。そういえば少し楽になった気がする。
ちょうど落ち着いたこともあるので先程から気になっていたことを尋ねる。
「あの…失礼ですがあなたはどなた様でしょうか?」
その質問にお姉さんは笑顔でこう答えた。
「リーフが知っている人よ。でも秘密…またいつか会えるわよ」
そう答えたお姉さんは杖を取り出した。それは…
「おやすみリーフ…またね。スリープ」
そこで僕の意識は途絶えたのだった…

目が覚めたらエリンシア姉さんが隣にいた。窓の外は赤く、時刻は夕方だとわかる。
「あ、大丈夫リーフちゃん?今日は気がつかなくてごめんなさい」
「別に大丈夫だよ。みんなも出掛けてたしね。それにもう治ったし」
「今お粥を持ってきますから…しっかり寝てるのですよ」
エリンシア姉さんはそういって部屋を去る。すぐにお粥を持って帰ってくる。
「うん…美味しい。さっき食べたお粥とはまた違うね」
「え?お粥を自分で作ったの?おかしいわね…朝と米の量も変わってないのに」
「…なら夢だったのかもしれない…熱もあったしね」
「そうですか。まあ今日は安静にして寝てください。おやすみ」
「わかったよ。ありがとうエリンシア姉さん」
夢…だったのかな。そうだよね…あんなに綺麗なお姉さんが看病なんて。
でも…おでこを触っていたあの手の感触とお粥は本物みたいだったなぁ…
もし本当だったら誰だったんだろうなぁ…また会えるといいなぁ…

「ありがとうございました。お返しします」
「あれ、もうあの薬はいらないの?まだたっぷりあるのに」
「本当のリーフにはそういうのはあまり意味がなかったの」
「ははは、まあリーフ君はああ見えて意外と誠実だからね」
「そうね。明日からまたいつも通りにするわ。じゃあまた」

終わり