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Last-modified: 2014-01-22 (水) 18:27:28

─グレイル工務店:休憩室

ミスト  「…今年も来ちゃったね」
ワユ   「来たねぇ、バレンタイン…」
イレース「来てしまいました…」
ミスト  「でも今年はどうしよう。お兄ちゃんが振り向きそうなネタなんて思い浮かばないよ」
ワユ   「三年前は普通にチョコ渡したけど、義理だと思われてたんだよねぇ」
イレース「二年前は、肉を渡しました。……あれは、もう少しだと思ったのに…」
ミスト  「抜け駆け反対!そして去年は……」
??? 「ここにいたか、ミスト達」
三人娘 「え?」

三人が振り返ると、そこにいたのは三人の想い人でもあるアイクだった。手から大きめの袋ぶら下げている。

ミスト 「お兄ちゃん?どうしたの?」
アイク「ああ、お前達に渡したい物があってな。これだ」

無造作に袋の中に入ってた物を取り出し、三人に渡す。小さな箱だったが、開けると歪だがチョコレートが入っていた。

ミスト  「…え?えぇ!?」
アイク  「チョコを作るなんて初めてだったんでな。形はアレだが味は問題無い。セリスのお墨付きだ」
ワユ   「いや、そーじゃなくて今日バレンタインだよね?何で大将がチョコ持ってくるの?」
アイク  「マルスに男から女に渡す逆チョコと言うものがあると聞いた。
     バレイタインと言うのは、普段世話になっている異性にチョコを渡すそうだからお前達に渡したくなってな」
ミスト  「(何か違うけど…)」
ワユ   「(ここは黙っておこうよ)」
アイク  「しかしこれを作るのに何度も失敗してな。量が少なくなってしまった。イレースにとっては全く物足りないだろうが」
イレース「い、いえ…!アイクさんから、チョコを貰えるだけでも…嬉しいです……」
アイク  「そうか、すまないな。さて、俺は行く。まだティアマト達にも渡さないといけないからな」

そう言ってアイクは休憩室から出て行った。立ち去った後もぼけーっと去った場所を見つめている三人。

ミスト  「…完全にしてやられたね」
ワユ   「うん。でもこういう所があるから大将は好きなんだよね」
イレース「アイクさんのチョコ…おいしいです…」
ミスト  「あっ!だから抜け駆けはダメだって!」
─その日の夜:兄弟家

マルス 「予想通りと言うか、『愛しの彼がフラグクラッシャー』スレが凄まじい勢いで進んでいるね」
リーフ  「てかレテさんらしき書き込みがあるけど、ツンツンなんだがデレデレなんだかよく分からないことになってるよ」
ロイ   「あ、ララベルさんかなこれ?セネリオさん通して渡したんだ。直接渡したら曲解された噂が流れそうだしね」
アルム 「サナキ社長自重。これだとホワイトデーに婚姻届持ってきそうだよ。エフラム兄さんみたいにロリコンになるよ」
エフラム「誰がロリコンだ!テメェ!」
マルス 「エフラム兄さん、どっかのカリアゲみたいな口調になってるよ。ってそういや、誰か足りないような…」
ユンヌ  「そうよ!何でこのユンヌちゃんにはアイクの愛の篭ったチョコレートが来ないのよ!」
マルス 「ちょ、急に沸いてくんな!」
リーフ  「いや、そもそもアイク兄さんまだ帰ってきてnやっぱりとばっちり食らうのかよこの人でなしー!」
ユンヌ  「いいもんいいもん!どうせ私は負の女神だもん!邪神扱いだもん!モッコスだもん!愛されなくていいもん!!」
マルス  「あーもーうるさいなー。そろそろメダリオンの中にでも…」
??? 「何の騒ぎだこれは?」

後ろを振り返ると、そこには帰ってきたアイクが立っていた。

ロイ  「あ、アイク兄さんお帰り」
マルス「タイミング良いんだが悪いんだが…」
ユンヌ「うぇーん!アイクゥー!!私が邪神だからチョコくれないんでしょー!!!」
マルス「だぁー!うっさい!もうメダリオンの中に帰って…」
アイク「…何だか良く分からんがユンヌ、遅くなったがアンタに渡す物がある」

そう言ってユンヌの小さな掌の上に、チョコが入った箱をポンッと置く。

ユンヌ「え…」
アイク「アンタには本当に、世話になっているからな。遅くなったが受け取ってくれ。
    そしてこれからも俺達を見守ってくれないか?」
ユンヌ「アイク……う、うん…っ!」
リーフ「(で、出たァーッ!アイク兄さんのミマモッテクレナイカタノムスマイル!これで何人の女性が落ちたことか)」
マルス「(メダリオンに追い返そうかと思ったけど、ユンヌさん凄く嬉しそうだし、ここは目瞑っておくか)」

こうしてユンヌはアイクから貰ったチョコを幸せそうに頂きましたとさ。

嫁候補 「そういえばチョコ渡してない!」
ライ   「何か酷いオチが付いたぞ」
セネリオ「ひどい有様です」

<糸冬>