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Last-modified: 2014-02-03 (月) 23:00:34

今日も子供達のはしゃぎ声が響く玩具屋。
小学生くらいの少年少女達が流行のカードゲームを楽しんだり、
買ったセットからレア物が出たといって喜んでいる。
そんな微笑ましい光景が見られる片隅にどうみても世代の違う男が一人いた。
店の隅で束のように百G玉を積み上げてガシャポンに勤しんでる二十台後半の男。
その名は我らがシグルド兄さんである。

シグルド「出ない…出ないぞ…!KINNIKUウォーリアが出ない!」

いつもなら足を運ぶような場所ではないのだが…
ふと子供の頃に嵌っていた消しゴムの玩具の復刻版が出ると聞いて彼は玩具屋に足を運んでいた。
子供の頃は300Gしかお小遣いが貰えずに友達が集めたコレクションを羨ましそうに見ていたシグルド兄さん。
そんな少年時代を思い出し、ほとんど衝動的に大人買いに走ってしまったのだ。
だがそんな彼を誰が笑えるだろうか。
大人の男と少年の違いは玩具の値段の違いだけ、なんて名言もあるんだし。
そしてもう一人の男が…

アルヴィス「シグルドよ!安月給はさもしいな。私などラジコンを買ってしまったぞ」
シグルド「ぬううアルヴィス!嫌味か貴様!」

少年にはできない金の使い方ができる大人だが、その大人の中にも経済格差はある。
玩具屋で童心に戻ったのかアルヴィスはいつもならしないような自慢をしてはしゃいでいる。
ゆうに2万Gは超えるであろう高価な玩具だ。
アルヴィス「みよ、レバー操作一つで月光のモーションをするのだぞ。この重厚な金属感。まさに玩具業界の革命的ラジコンだな。
       ラジコン盤漆黒は。ふふふん、今度は高価な飛行系ラジコンも楽しんでみようか」
ぶっちゃけ羨ましいシグルド兄さんだがそれを言うのは悔しい。
シグルド「ええいやかましい!そんなもんすぐ壊れるわ!無駄金使ったと悔しがって泣け!」
アルヴィス「ふん、貧乏人の羨望が心地よいな」

いい歳したおっさんが二人で喚いているのを見て子供たちはポカンとしている。
ある幼女は
エイミ「かわいー♪」
といい、ある少年は
ユベロ「いい大人があれはちょっと…」
と言った…

二十年後に彼らのうちの何人かが子供の心を忘れずにいるかそれはさだかではない。