「えーっと、この状況、何?」
戸惑うミカヤを取り囲むのは、アイクの嫁一同とエリンシア。
面子からして、アイク関連なのは分かるが、それ以外はさっぱりだ。
「分かりませぬか? 義姉上」
「分からないから聞いているんだけど……アイクに何かあったの?」
「とぼけているわけでは、なさそうですね」
「自覚がない、ということでしょう」
「それはそれで、どうなのかしら」
何やら、散々な言われよう。
だが、言われたように、特にこんな包囲される覚えは無い。
「うーん……一緒にお風呂に入ったのは、結構前が最後だし……」
「……罪状……1つ追加です」
「え」
自爆というか自供であった。
「あーもう! 本当に身に覚えがないのよ! なんなのこの状況!」
天を仰ぎ降参するミカヤに対し、エルフィとカゲロウが事情を説明する。
その最中にも何度か騒ぎがあったが、要約すると。
「カミラさんに抱き締められたアイクが、お嫁さんのみんなか私にしてもらう方が好み、って?」
「はい」
「つまり」
「ここ最近」
「アイクさんを」
「抱きしめた」
「覚えは?」
「………………………………あ、先週の……って! 無言で武器を構えるのやめて!?
説明! 説明するから! ね!?」
周囲の威圧感に狼狽しつつ、必死に弁明を図るミカヤ。
正直に言って、彼女達の集中攻撃を受けたら、塵も残らない。
「工務店の業務で、作業中に竜を近付けさせないっていう、いつもの仕事があるでしょ?
アイクったらその時に、竜に一切ダメージを与えず抑える、なんて無茶したらしくて」
「あー、あったねー」
「セルジュさんとの約束なんだっけ?」
「……竜のステーキ……食べたかったです……」
「駄目よ」
「…………残念……」
人外すぎるアイクの所業を、普通に受け入れている嫁一同。
常識とか色々どっかに飛んでいっている。
「とにかく、さすがのアイクも疲れたみたいでね?
帰ってシャワー浴びてすぐ、倒れそうになっちゃったのよ。
受け止めようとしたんだけど、体格的に無理があって……。
あ、完全に倒れる前にアイクが持ちこたえてくれたから、怪我はなかったわよ」
ふむふむ、と静聴する周囲。
とりあえず、話を聞くことにしたらしい。
「それから、『少し休ませてくれ』って、久しぶりアイクが甘えてきたから、懐かしくなってゴロゴロとーー
「体勢は?」
「へ?」
「その時の、2人の、体勢は?」
威圧感、再び。
「……アイクの頭を抱きしめたまま、畳に寝転がってました。1時間くらい」
判決はーー
「有罪、ですわ、ミカヤ姉様」
ーー許されなかった。
このスレのアイクって、「ミカヤ姉さんの匂いが1番落ち着く」とか思ってそう (・ω・)