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Last-modified: 2017-05-09 (火) 10:16:06

・原作に関わる独自設定、スレの世界での独自設定あり
・属性(支援の)は一重まぶた二重まぶたとか血液型とかと同列の個人の先天的素質で周知されている
・封印でロイと支援のある女性は現状に限りなく近く、しかしまだ他者と支援A(封印基準)になっていない過去パラレル的な位置
・模擬でもギャグでもない戦闘あり
・セシリアさんごめんなさい

 

土曜日の朝
マルスの部屋
朝食後、ボードゲームで対決するロイとマルス。
ロイ「パラディンをeの8へ」
マルス「……詰み、か。普段からなんとなく賢いとは思っていたけど、まさかロイが僕を下すとはね。
    頭を使うことには自信があるつもりだったし、ちょっとショックだな」
ロイ「いや、このゲームは五分だった。一手の間違いが勝敗を決める戦いだったよ。
   総合戦績じゃマルス兄さんが大幅に勝ち越してるし、ぼくはまだまだだ」
マルス「僕を相手にそのレベルまで持ち込む時点で凄いって言ってるんだけれど……
    いや、考えてみれば当然かもしれない。難関のエトルリア中学の入試をパスしたんだしね」
ロイ「二年生の春にゼフィールさんの回転に教員が巻き込まれる事故があって一部生徒をリキア中・オスティア中に移すことになって、結局リキア中に通うことになったんだけどね」
マルス「それだって確か、成績優秀で選ばれ他校で学生の模範として〜、とかいう話だったじゃないか。
    考えてみればすごいことだよね。さぞモテてるんじゃない?」
ロイ「別にそういうわけでもないよ。女友達はいるけど、モテてるって感じではないと思う」
マルス「嘘を言ってるわけじゃなさそうだけど、ロイのことだからなあ……」
マルス(しかし最近はめっきりそういう話を聞かなくなったのも事実。
    入ってくる情報じゃエフラム兄さんに流れそうとか聞くし、睨み合う女子が減ってきたなら何か動きがあってもいいと思うんだけど……
    本当にモテてないなんてわけではないだろう。ロイはガリ勉じゃない、剣もできる本物の優等生だ。
    ましてリキア中はそれ自体の学区は大したことないけどマンモス校のオスティア中と密接な関係にあって交流は盛んだし相手には事欠かない。
    これが必然ならば何がそうさせる?恣意ならば誰が得をする?逆にロイが学生同士恋をして困るのは誰だ?
    ……まさか)

 

時を同じくして
カナス魔道書店〜古代魔道解析・新魔道開発承ります〜
一人の男が小さな包みを持って、小さな古書店にやってきた。
彼はその店の主カナス。優れた闇魔道の才を持ちながら、力ではなく知を求めて日々魔道書と戦っている。
これからシャッターを上げて開店というところだったのだが……
カナス「おはようございま……あれ?先週ご注文下さった方ですよね?」
セ???(待ちに待ったオーダーメイド魔道書の完成と聞いて、いてもたってもいられなくて開店時間前に来てしまったようね)
?シ??「ごきげんよう、注文の品はできたかしら?」
カナス「できましたよお客様、槍のみ装備可能なロードにたとえ面識がなかろうと必殺級に惚れる魔道、名付けて【キューピッド】です!
    ……高い前払い報酬と知的好奇心に目がくらんでつい一週間で作ってしまいましたが、
    本当に悪用はしないんですね?」
??リ?「さすがは【山の隠者】の跡取り息子さんね。安心して、この魔道で誰も傷つけないと誓うわ」
カナス「ならいいんですが……ではこちらをどうぞ。くれぐれも悪用はしないでくださいね」
???ア(多少時間はかかるけど、これで一人ひとり消していけば私の一人勝ちは確実。
     最近は授業中も熱い視線を感じるし……
     待っていてねロイ!もうすぐ迎えに行けるわ!)
カナス(本当に大丈夫かなぁ……)

 

数十分後
白夜高校体育館・選手控え室
マシュー「ってなところを見ちまいまして……槍使いのロードで男って若のご兄弟だけっすよね。
     つうことでご報告にあがりやした」
ヘクトル「試合合間の休憩時間に天井から降ってきてする話がそれかよ。まあ、ご苦労さん」
マシュー「ああそうそう、その本を買った女ってのが、いやに着込んでましたが、俺らが中房の頃にエトルリア中の美人教師ってリキアオスティアまで聞こえてた先公っぽかったんですよね。今リキア中にいるんだったかな」
ヘクトル「うん?リキア中といや、ロイの行ってるとこか。……なんかやな予感がするな。エフラム兄……じゃダメだな。マルスにメール打っとけ」
マシュー「はいよ」
ヘクトル(ま、あいつならうまくやんだろ)

 

さらに数十分後
路上
(BGM:聖魔の光石中ボス戦「強敵現る」)
マルス「はぁ、はぁ、……見つけましたよ、リキア中学のセシリア先生!」
セシリア「あら?あなたは……ロイのお兄さんの、マルスくんだったかしら。どうしたの?そんなに息を切らせて」
マルス「【キューピッド】の魔道書を捨てて下さい。あなたのやろうとしていることは間違っている。
    明らかに正気ではない!」
セシリア「……どこから聞きつけたか知らないけれど、間違ってなんているはずないわ。
     考えてみて、エフラムくんは自分を慕ってくれる娘を拒んだりしない。
     これを使った娘は今抱えている悩みから解放されて、みんな幸せになるのよ。
     どう?完璧でしょう?」
マルス「……噂は所詮噂、と思っていたんですが……まさかここまでとは。
    ロイの兄として。ここであなたを止める!」シャキン
セシリア「ギガスカリバー」ギィン!フォンフォン ザクッ!
マルス「ぐっ……!?」ザクザク バタッ
マルス(そ、そんな……僕がレイピアを抜いたとはいえ、こんなに容赦なく、殺す気で最高位魔道を撃ってくるなんて。
    そうでなくてもこの魔力、ナメていたと言わざるを得ない、かな……)
セシリア「他愛もないわね。さて、まずはソフィーヤ辺りで【キューピッド】の試し撃ちといきましょうか」
マルス(立てない……片手動かすので精一杯だ。せめて携帯で通報を……な、ない!?
    ファルシオンがあるから死にはしないとはいえ、これじゃ警察も呼べないじゃないか……!
    くっ、どうすれば……!)

 

間もないころ
別の路上
セシリア「ごきげんよう、ソフィーヤ」
ソフィーヤ「あ……こんにちは、セシリア先生」
セシリア「これからどこに?」
ソフィーヤ「書店で……闇魔道の本を……」
セシリア「なるほどね。でも、あなたはすぐにその気をなくすわ」
ソフィーヤ「……?」
セシリア「あなたはこれから想い人のところへ走るのよ」
セシリアは【キューピッド】の魔道書を手に、呪文を唱えようとする――

 

バチバチ シャキンッ

 

セシリア「? 何の音……」クルッ

 

(BGM:誰がための戦い(ゼフィール戦))
ゼフィール「 警 察 だ 」(エッケザックス変形完了)

 

セシリア「? ……!?!!?」
ゼフィール「王者の(バシリオス)……」ぐるんぐるんぐるんぐるん
セシリア「ぎ、ギガス――」
ゼフィール「劫渦(ディーネー)!!!!」バァァアアン(必殺音)

 

セシリア「つ、つよすぎる・・・」バタッ

 

ゼフィール「ロイ、不審者の通報感謝する。被害者が出る前に迅速に拘束できたのはおまえのおかげと言う他あるまい。
      しかし聞けば、明らかな奇行に走ったのは今日突然ということだが、どうしてこうも手際よく通報できたのだ?」
ロイ「先生、一週間くらい前から様子がおかしかったんです。それで何かあったんじゃないかと気になっていたんです。
   今日突然兄さんが携帯を忘れて飛び出して、画面に表示されてたメールに先生が生徒をヘンな魔道書の実験台にしようとしているって書いてあって」
ゼフィール「なるほど。して、居所はどうして掴んだ?急行できたのはおまえが通報の際に場所を告げたからだぞ」
ロイ「セシリア先生とはよくお話するので、今日のような日にどの辺りにいるかは……えっと、なんとなく、ですけど……予想がついていたんです」
ゼフィール「ほう、驚いたな。実際そうであった以上、曖昧な予想で云々とは言わぬ。
      しかし、むしろそれならばより自信を持って道を示すべきであったな。
      おまえは炎属性でありながら、賢明さと恐れ、博愛と孤独が表裏一体となった氷竜のような危うい気を内に秘めている。
      清廉であることは結構だが、過ぎたればそれがおまえの愛する人々を傷つけるのだ」救出→セシリア
ロイ「は、はあ……」
ゼフィール「ふっ……人を愛することだけでなく愛されることを知るためには、ナンパでもしてみるがよかろう。では、さらばだ」

 

この一週間ほどのち、ラズワルドがロイを伴ってナンパをする姿があちこちで目撃され噂になり、
ロイ支援対象の女性たち(正気に戻ったものの全治6ターンの重傷で入院中のセシリア除く)の争いは加熱したそうな。
なお、当日中に通りすがりのリンダに救護されたマルスは無事自宅へ届けられた後シーダから詰問に遭っていた。

 

事件から二日後の月曜日 学校にて
ウォルト「セシリア先生の様子がおかしいのは確かだったけど、どうしてだろう」
ロイ(一週間前ってちょうどセシリア先生がヴァロール島にあるネルガル博士の研究所への出張から帰った日なんだよね。
   闇魔道は人を狂わせるって話も聞いたことあるけど気のせいだと思いたかったなあ……
   ……ナンパかあ……)

 

終わり