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Last-modified: 2017-05-21 (日) 20:08:53

迷いの森の奥深く。目立たぬ者たちの村、アルム村。
各地の目立たぬ者が集まったこの地だがとりわけバレンシア…ソフィア出身者が多かったりする。
そんなこの地に珍しく…よそ者が訪れていた。
珍しさのゆえか村の広場に集まってきた村人たちを一瞥してその男は傲然と胸を張った。

 

ベルクト「ふん、ソフィアの田舎者どもが集まって村を作ったというから来てやったが…まさに田舎そのものだな」
グレイ「おう悪かったなリゲル野郎」
ロビン「ここまでたどり着けたって事はあんたも影薄に…まあバレンシア人はそうなりやすいけど…」
ベルクト「黙れ平民が。今日は我々リゲルが貴様らソフィアよりどれだけ都会派で優れてるか教えてやる。おいそこの小娘」
エフィ「え…私?」
ベルクト「お前らは村を出て他所に出かける時どうしている?」
エフィ「え、ええっと…あんまり村を出る機会も無いけど…獣道を5、6時間くらい歩く…かな」
ベルクト「はーっはっはっはっは!俺もここに来る時身を持って味わったがまさに田舎だな!
      くくく…教えてやろう…リゲルにはな…なんと駅があるのだ!そしてなんと2時間に1回電車が来るのだ!どうだすごいだろう!」
ロビン「な…な…なんだってぇーっ!?」
クリフ「そ、そんなもの見た事も無いよ!?聞いた事くらいしか…」
グレイ「し…信じられねぇ…隣のリゲルはそんなに都会だったのか…」
エフィ(この人、わざわざ自慢しにこんな森の奥深くまで大変な思いして来たのかなあ)
ベルクト「ふふふ…もう一つ…くく…おい、そこの八重歯!」
デューテ「え?ボク?」
ベルクト「貴様ら、生活に必要なものはどこから買っている?」
デューテ「自給自足みたい。お兄ちゃんが慣れない畑仕事してたっけ。足りない物は物々交換したり」
ベルクト「ははは!信じられん前近代性だな!聞いて驚け田舎者共!リゲルでは…最近酒屋の親父が店をコンビニに改装したのだ!
      なんと10時〜19時まで営業する上にな。週刊少年ジャンプまで入れてるんだぞ!サンデーとチャンピオンは無いがな!」
ルカ「そ…そんな……コンビニなんて我々は入った事すら無いのに…」
グレイ「す…凄すぎる…も、もしかして…ビル…なんてのもあったりすんのか?」
ベルクト「当然だろう。役場が3階立てだ。信じがたい大建築だろう。お前ら田舎者は平屋くらいしか入った事無いだろうがな」
グレイ「や、やばい!このままじゃ勝ち目がねぇ!」
アルム「こんな時こそ主役の出番さ。僕らの村だってそう捨てたものじゃ……」
クレア「なんですの平民が集まって騒々しい事、あら、隣町の貴族のドラ息子じゃありませんの。ごきげんいかが?」
グレイ「おっ!クレア!」
ロビン「村一番の都会派が来てくれた!これで勝つる!」
デューテ「すごいや頼れるや期待してるや!わーい♪」
ベルクト「ちっ……田舎もんには無い気品を持ってきたか。だが俺には及ばんな。ふふふ」
アルム「……………………」
エフィ(クレア華やかだもんね。同時に出たら霞むよね。皆の注目も全部持っていかれたねアルム。いいんだよ。そんな影の薄いところも私、大好きだから)
クレア「それで?何をしにいらしたのかしら?」
ベルクト「お前ら田舎者にリゲルの都会っぷりを教えてやりにきたのだ。ふふん、電車走ってるんだぞ。凄いだろう」

 

クレア「…どのくらい人が乗っておいでかしら?」
ベルクト「何?……む……ま、街の病院に出かけるじいさんばあさんが2〜3人くらい…か…」
クレア「…満員電車ってご存知?乗った事ありまして?駅員さんが電車に乗りきれない人の背中を押して無理に詰め込むんですのよ。
    わたくし、都会のアパート暮らしでAKJに出勤するときに何度も何度ももみくちゃになりながら必死に背伸びしてつり革につかまりまして。
    あなたにそんな経験がありまして?」
ベルクト「な…なんだと!?そんなにたくさん人が乗る電車など想像もつかんぞ!?」
グレイ「…と、都会でそんな壮絶な経験をしてきたってのか…」
クレア「しかも逃しても次の電車が五分後に来ます。あなたのところは?乗り遅れたら次は2時間待ちでしょう?」
ベルクト「む…むう…その通りだ……」
クレア「さらにコンビニがどうとか言っておいででしたが…わたくしの住むアパートの近くにはコンビニが歩いて5分以内に3件はありますわ」
ベルクト「なんだとぉー!?か、過剰だろう!そんなにあってどうするんだ!」
クレア「しかも24時間営業ですわ。夜中に急にアイス食べたくなっても買いに行けます」
ベルクト「そ…そんな!?夜は寝るものだろ!なんでそんな時間に…」
クレア「こちらからも伺いましょう。リゲルはTVは映りまして?」
ベルクト「ふ…ふん!当然だ!公共放送一局だけとはいえ映る!…一度くらいFETV見てみたい…ん、お、お前らは電波すら届くまいがな。くくく」
ルカ「そ…その通りです…ここじゃTVなんて見られません」
クレア「…わたくしのアパートはTV12局見られるうえにインターネットまでできます」
ベルクト「…ぐおおおおおおおおおっ!?俺が…この俺が…生まれてからずっと常勝を宿命づけられたこの俺が…
     貴様のような小娘ごときにぃぃぃ敗れるなんて認めないいいいい!!!」
クレア「おーっほっほっほっほっほ♪敗者の遠吠えが耳に心地よいこと!
    …ソフィアを愚弄すること許しませんわ…この…田舎者っ!!!!」
ベルクト「お、お、お…覚えてろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!この借りは必ず返すぞ小娘!」
クレア「ふん、いつでもいらっしゃい」
エフィ(小者みたいな捨て台詞残して行っちゃった…)
グレイ「やったぜざまあみろ!さすが俺たちのクレアだ!」
ロビン「ソフィアの力思い知ったか!」
デューテ(クレアが一人暮らししてる紋章町の真ん中あたりが都会なだけで、ここいらが田舎なのは事実なんだけどなあ)
クレア「ふふふふ、もっともっと褒め称えなさい!おーっほっほっほっほっほ♪」
アルム「…彼…ほんとは僕のライバルポジなのに……全部持ってかれた…」
クレア「あら、お礼なんていいんですのよ。ソフィアの者が困っていたんですもの」
アルム「あ…うん…そ、そうだね…別に誰が撃退したっていいもんね…」
クレア「でも、どうしてもとおっしゃるなら…ふふ、一度くらいわたくしの閨にいらっしゃいな。グレイやロビンも交えて愛を交わし合ってみたいですわ」
アルム「…よ、よしてよそういう事言うの!?ブバアアアとかなったらリーフの仲間になっちゃうし!」
グレイ「そ、そりゃないだろクレア!?俺らだけじゃ満足できないのかよ!?」
ロビン「そうだよ!僕らだって精一杯クレアを愛してるんだよ!」
クレア「もう、言ってみただけじゃありませんの。キスで機嫌直してくださいな。ん」
グレイ「…む…////]
ロビン「お、俺も」
クレア「…ちゅっ…」
ロビン「ちゅ…/////」
デューテ「わお、だいたーん」
アルム(こ…これがリア充…なのかな?…グレイたち幸せそう…ぼ、僕もキスしてもらいたいってちょっと思っちゃった…)
エフィ「…アルム…セリカが兄妹なのにフラグフェードアウトしない…そしてジャンヌだってあんなに…クレアだって今みたいに…でも私は逆らわないよ。
    アルムが別の子と童貞無くしてもずっと見てるよ」
アルム「……う…うん……その…なんていうべきか…」

 
 

ベルクト「んくやじいいいいいいいいっこの俺が敗北感だとおおおおおお!」
リネア「相変わらず挫折に弱い…」