グレイ「お、ちょうどいいとこに来たなアルム、セリカ」
聞き慣れた声の方を向くと、かなり念入りに武装した村人トリオが立っていた。
アルム「どうしたんだ?なんだか物々しい格好だけど……」
ロビン「実はな、つい最近アカネイア地区で広大な地下迷宮が見付かったんだってよ!」
クリフ「手付かずの財宝、きっと眠っ
てると思うんだよね〜」
グレイ「って訳で、お二人さんも協力してくれると助かるんだよな。噂じゃ古代の亡霊やら、竜まで見た奴もいるらしいんだ」
セリカ「ちょっと、考えてみたらそれって盗掘じゃない?」
グレイ「何言ってんの!こういうのは早い者勝ちでしょ!」
アルム「うーん……もしかしたら、家計の足しになるかもしれないし、僕は行くよセリカ。」
セリカ「……確かにそうね、私もアルムと一緒なら行くわ」
ロビン「決まりだな。じゃあ早速出発するか」
……アカネイア地区・テーベ地下遺跡
クリフ「広大とは聞いてたけど、これほどとはね……」
グレイ「へへ、こりゃ期待出来そうじゃね!?」
セリカ「地下遺跡だけあって、とっても暗いわね」
アルム「うん、でもだんだん目が慣れてきたよ。そこらじゅうに壺や木箱が有る!」
セリカ「テンション上がって来たわ!」
ロビン「おいおい、あいつら凄まじいやる気じゃねえか……」
アルム・セリカ「ふっ!はあっ!せりゃあ!てぇい!!!」ドガバキャパリィン!ドゴメキャキャ!バシャァァン!!!
時間にして5分もかからずに、周囲の壺や木箱は一つ残らず粉砕された……
グレイ「いやあ、あの二人連れてきて正解だったな」
クリフ「何でかわからないけど、僕らじゃああいう風に壊せない気がするもんね」
アルム「ん〜銀貨の袋に……なんだか見た事もない香辛料もあるね。」
セリカ「あっ、私の大好きなニンニクも有るわ!」
ロビン「食べ物……先に来た冒険者の落とし物なのかな?」
ヌチャ
アルム「うお、まさか生肉まで落ちているのか……!?」
グレイ「う〜ん、さすがにこんな所に落ちてる生肉は、食えないんじゃあないか」
セリカ「いいえ。どんな食べ物でもミラ様から頂いた大切な恵みです。私達が持って帰るわ!」
クリフ「ねえねえ、ところであの壁……なんだか壊せそうだよ」
グレイ「確かに怪しいな。アルム、一発頼むぜ」
でえぇい!ドゴン!
渾身のタックルで壁に大穴を開けたアルムだったが、その先に待ち受けていたのは……
ゴ ゴ ゴ ゴ
火竜「ゴガアアア!!!!!」
ロビン「マジかよ。。。噂は本当だったのか!」
グレイ「なあ、竜のウロコって高く売れるかね?」
ロビン「んな事考えてる場合か!」
セリカ「どうしよう……アルム……?」
アルム「…………てったあああい!!!」
ダダダダダ
グレイ「いやはや、アルムが叫んだと思った途端に、遺跡から抜け出していたな……まるでワープでもしたかのような」
クリフ「う〜ん僕はもうちょっとドラゴンを観察したかったよ」
ロビン「まあ、みんなケガもなかったし銀貨や金貨もけっこう拾えて、冒険は大成功だったな。ここらでお開きにするか!」
セリカ「さあアルム、お金も食べ物もいっぱい拾えたし、家に帰りましょ」
アルム「そうだねセリカ。きっとみんな……喜んでくれるよ!」
そして、その晩の食卓……
ヘクトル「うお!?なんだ今日は滅茶苦茶豪華じゃねえか!!」
アイク「ステーキに、焼き肉に、肉がたっぷり入ったシチューに、ミートパイ……肉だらけで素晴らしいな」
エフラム「アルムとセリカが作ってくれたのか。ありがとう」
エリウッド(おかしいな、ウチにこんな大量の肉は無かったはずだが……?)
ガツガツモグモグ……
ヘクトル「うん、美味え!!牛肉でも豚肉でも無い味だが、こりゃ良いぜ!」
リン「ん〜羊肉でも、鹿肉でもない感じね?あら、アルムは食べないの?」
アルム「いいえ、僕は遠慮しておきます。」
セリカ「ニンニク、おいひぃわ☆」
ロイ「なんだろう……美味しい料理を食べてるのに、妙に不安な気分だ」
果たしてその肉は、何の肉なのか……真相を知る者はいない……
マルス「まさかカダインの辺境にあんな地下神殿があるとはね…マリクやウェンデルさんも驚いてたよ」
アルム「あんなにも形を遺してる神殿ってだけでも価値がありそうだよね…でもテーベって確か」
マルス「うん、暗黒魔導の使い手が集まる古代都市があってその都市名がテーベだったかな…その神殿も元は暗黒魔導師が使ってた工房だったのかもしれないね、中にいた魔物や竜も暗黒魔導の副産物かも」
アイク「深部にはかなり強い魔物がいそうだな…いい修行になるかもしれん、アルム、次に行くときは俺も呼んでくれ」