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Last-modified: 2017-04-27 (木) 08:15:37

ラグドゥ遺跡
マギ・ヴァルエリアのロストン付近、闇の樹海の奥に存在する遺跡
其処は、強者が腕試しの為に訪れる修行スポットであるが
中は強力な魔物が存在し、如何なる強者でも一瞬のミスで敗者になってしまうものだ
兄弟家のアイク、ヘクトル、エフラムはほぼ無傷で制覇したがその道程はとても長かったことが窺える

 

さて、今日此処に訪れたのは兄弟家の一人の少年である
「ここがラグドゥ遺跡、本当に薄暗いな」
少年の名はロイ、兄弟家末弟である
彼が何故来たのかは、兄達が修行スポットで来てるのが判ってるため自分もと思い一人来たのだ
「しかし緊張するな、たった一人で来たのはいいけど
無事帰ってこれるかな?」
今のロイはたった一人であり、仲間が今居ない状態だ
誰にも告げず己一人で来たため、今頼りになるのは己自信だ。加えて彼はいつも戦闘の時に持つあの剣を持ってきてないのだ

 

封印の剣
ロイの愛剣、担い手の意思に反映する剣
エレブエリアに伝わる神将器を超える神器とも云われてる

 

彼が持ってこなかった理由は、かつて神器が本体と嘲笑われお前の力はまやかしだと蔑まれる事があった
その時は気に止める事はなかったが、いざ自分だけが戦うとなると不安でしかたがなかった
また彼は自分は弱いのではないかと思ってしまうのだった
そう思い彼は今日此処へ一人来たのだ

 

人から見れば安っぽい物であるかもしれないが
、彼は十分・十二分な理由である
ミカヤ・シグルド・エリンシア・クロムの様に家族を守る力がない
アイク・エリウッド・ヘクトル・カムイ・エフラム・エイリークの様に愛する人達の力がない
マルス・アルム・セリカの様に秘めし力がない
リン・セリスの様に自然体な力がない
リーフの様にふざけながらもあらゆるものを自在に出来る力がない
そんな事を考える内に彼は力を欲しようとラグドゥへ来たのだ

 

ロイが一歩踏み出すと、空気が震え始め物音がした
ロイ「来たか」
魔物が現れた、魔物はロイに目標を定め仕掛けす寸前だ
ロイは野太刀を抜き左手を前に両手で構える
カムイやリン、セリスから学んだ刀剣術を試そうと刀を持ってきたのだ
予備の武器はまだあるが今はやらんとするのを行おうとしてる
ロイ「よし・・・、行くぞ!」
一呼吸置いてロイが魔物の群れに踏み込む

 

その後ロイは魔物の群れを着実に倒して行き
二層、三層、四層と駆け上がって行く
途中罠や盗賊にも出くわすが回避・撃破してゆく
彼自身気づかないが、彼は彼なりにちからがあるのだ
かつてナバタ砂漠にて飛ばされたときバーサーカー100体を相手にしたり
ゼフィール署長の強行手段を仲間の力を借りるもたった一人で止めたりしたことがある
されど彼は其は運が良かったのと仲間の力で出来たと自分の力ではないという
故に彼はラグドゥ遺跡を駆け上がって行くのだ
自分に力を着けるために

 

五層
遺跡の折り返し地点に到着するロイ、其処でも魔物の群れを倒して行く
だが彼の不安が大きくなったのだ
一人で来たせいで武器、予備も含め消耗が大きくなったのだ
また回復薬が切れてしまってるのだ
此のままだと武器は使い物にならなくなり魔物の攻撃でやられてしまう
此の場を切り抜け撤退をするしかないと思えど、魔物達の攻撃が怒濤となり受け手に回るざるを得なかった
さらに体力の消耗も大きくなりロイは満身創痍になりかねない状態である
最早絶体絶命である
だがそれでもロイは諦めてない
生き残らなければ、帰還しなければの言葉が頭の中で浮かび上がっているのだ
されど目の前に迫る敵、力がない事に悔やむ己、そう考えながらも彼の中から
何かが叫んで行く

 

力を、もっと力を!

 

魔物はロイの前に迫った、一撃で仕留めると思い得物を両手にもち、力強く振り落とす
最早勝ったも同然であった
が、その手応えに違和感があった
魔物が見る、なんと握り拳で得物での攻撃を止めたのた
ロイは咄嗟の判断で敵の攻撃の軌道をよみ懐の死角に入り右手で止めたのだ
思いもよらぬ行動に魔物達は下がって行く
また彼のバンダナがハラリと落ち、呟きに似た言葉を聞く

 

ロイ「...power
more...power...

 

I need more Powerrrrr!!」

 

やがで呟きは叫びに獅子の咆哮が如く彼は、仕掛け行く
魔物はロイの咆哮におののきたじろぐ
されど向かってくる身の程知らずに一泡吹かせようとこちら側も仕掛ける
だか魔物の目の前に迫ってきたのはロイの右の拳だ
響く鈍い音、反動で後ずさりする魔物、立て直し仕返しをするも次に来るは
加速を殺さぬ捻り跳躍と斬撃、防御が間に合わず魔物は斬られる
魔物を仕留めたロイは次の魔物を標的としさらに次々と迫って行く

 

魔物も後一体となり最後を仕留め行く
最後の一体になった魔物は最早恐怖に震えていた
あれは最早人間ではない、獅子や龍に似た化け物であると
もう後がない魔物は一子報いんと咆哮上げロイに迫って行く
対するロイも迫る魔物に迫って行き、加速が付いた時に高く跳躍する
跳躍すると下は仕留めるべき魔物、ロイは野太刀を高く構え降下の加速と同時に振り降ろす
ロイ「でぃぃぃぃぃやッ!」

 

魔物はロイの一撃を受け止めようと得物を盾に防御を取る
高鳴る音、一瞬止まった思ったも束の間、加速する一撃が得物を砕き魔物は仕留められた

 

ロイの勝利である

 

辛くも勝利に終わったロイは悔し顔であった
ロイ「糞ぉ!」
自分の野太刀が最後の一撃で折れてしまったのだ、最早これ以上は戦えない
自分の力が足りないまた兄達に全く及ばないと色んな悔しさが残り行き、そして遺跡を降り行く
遺跡を後にするロイ、暫くすると雨が降ってきた
身体中の汗や浴びた魔物の血を落としてゆく様に降り注ぐ
ある程度落ちた後、ロイはローブを羽織帰路へ着く

 

家に着いたロイ、されど明かりはなかった
ロイ「ただいまー、誰かいる?」
呼び掛けても反応がなかった、それが彼に寂しさを与えたようだ
濡れた衣服を洗濯機にいれ新たに羽織り、床に転がる
ロイは唯々悔しがるしかなかった、もっと力があれば
そしてロイはこう思ったのだ

 

獅子は最早落伍者なりや、と

 
 

「ただいまー」「イヤー濡れたね」
玄関より二人誰かの声が聞こえたロイは出迎えにゆく
「お帰りなさい、ミカヤ姉さん エリンシア姉さん」
「「ただいまー」」
買い物から急ぎ帰って来た二人の姉ミカヤとエリンシアを笑顔で迎えた

 

唯心の中に悔しさをしまいながら