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Last-modified: 2017-07-03 (月) 22:37:23

シーダに許しを貰えた、しかしそれでも困難が終わった訳ではない。
 カチュア、リンダ、マリーシアの3人は本人が好意を示しており、家族も「喪になるより」と理解している。
 残りはマリアとスー、今回はスーだ、彼女は他の者と違いマルスへの好意は示していない。
 これは未だ続くロイへの思慕もあるが、自身が関わりながら好意を見せなかったのも原因である。
 その為先ずは第一段階彼女への告白から始めたのだった。

 

マルス「スー、ごめん、突然呼び出して」
スー「構わない、今日は仕事ももう終わった……それで、何?」
マルス「スー………///」

 

 何とか言おうとするも中々言葉が出ない、自分はこんな奥手だっただろうか?
 彼女が小首を傾げる、ああ……そんな姿も可愛い……じゃなくて……一度大きく深呼吸ししっかり彼女を見据えた。

 

マルス「スー………僕は君が好きだ」
スー「??……………!!!///」

 

 始めは何を言われたか解らない様に呆け、しばし考え、意味を理解すると驚愕の表情を浮かべた。

 

スー「どうして?………マルスには、彼女がいたはず」
マルス「始めは、最初に遭難したのを助けられたとき、姉さんに似てると思ってた。
    それから、君と関わる様になって……君の強さとか、それで居て儚い雰囲気とか、意識し始めた」
スー「……………」
マルス「今まではシーダがいたから、この想いは抑えるつもりだったんだ。
    だけど、もうダメなんだ………最低ではあるけど僕はシーダを手放せない、でも、君も、欲しいと思ってる!」
スー「マルス………」

 その言葉を聞き、やっと繋がった。何度か会いに来た彼、葉っぱからいつも助けてくれた彼。
 彼のこれ迄の行動の意味をやっと理解できた、しかし……

 

スー「ごめんなさい……」
マルス「!!………そうだよね、やっぱり、虫が良すぎたよね」
スー「そうじゃない……彼女……シーダと一緒が嫌な訳ではない」

 

 そもそも町は空前のハーレムブームだ、今まで一人に迷っていたものはあっさり複数と言うのは珍しくない。
 それを差し引いてもそもそも草原の文化は一夫多妻、スーもその意識が強かった、だから、それに忌避感はない、問題は……

 

スー「マルスの気持ちはとても嬉しい、でも、私はまだロイ君が好き……」
マルス「……そう……だよね、ごめんね、困らせて」
スー「ごめんなさい………
   …………でも、兄さんに認められたなら、もしかしたら」
マルス「え?………」

 

兄弟家

 

マルス「ただいま………」
リン「あ、おかえりなさい………て、マルス!何物凄く落ち込んでるのよ!?」
マルス「別に………姉さんに関係ありませんよ………」
リン「それはそうかも知れないけど、家族が落ち込んで、そんな泣きそうになってるの放っとける訳無いでしょうが!」
マルス「姉さん………姉さん……」ギュ

 

 正直驚いた、今まで生意気な弟が泣きながらしがみついて来たのだ。
 だが其のために理由に更に驚くことになる。
 自分の親友の一人であるスー、そんな彼女に彼が恋慕していたこと、その想いを伝えた事による。
 その時は末弟ロイを理由に断られたようだが彼女の最後に言った台詞……草原好きの自分だから気付けた台詞だ。その言葉の意味するところは……

 

リン(スー、揺れているのね……)
リン「マルス、スーは『兄さんが認めたなら』と言ったのね」
マルス「は、はい……」
リン「ねぇ、マルス、彼女の為なら、どれだけの困難でも、受け入れる覚悟はある?」
マルス「え?」
リン「答えなさい」
マルス「………はい、あります」
リン「そう、なら、方法はあるわ」
マルス「え!?ど、どうすれば?」
リン「あんたは羊と馬を一頭ずつ用意しなさい」
マルス「………へ?」
リン「今は言うことを聞きなさい!他の用意はこっちでするわ」
マルス「は、はい!」

 

サカ草原 クトラ族の集落

 

ラス「スー、リンから手紙が届いた」
スー「何?」
ラス「ブフの申し込みだ」
スー「!!!」
ラス「相手は本気の様だな、スー、お前はどう思っている?」
スー「………正直、よく解らない」
  (でも、嫌な気持ちじゃない?)
ラス「そうか、相手は俺がするからな」
スー「わかった……」

 

続く