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Last-modified: 2017-07-08 (土) 21:50:52

「はあ……」
とある自警団の天幕。その中で一人の少女がため息をついた。
「兄弟家のマルスさんは確実に前に進んでるのに…。でもあの二人は……。」

 

リズを悩ませているのはイーリス地区の自警団団長クロムとその半身ルフレについてだ。
クロムとルフレの仲はもはや自警団のみならず兄弟家やルフレ家でも公認といってもよい。
本人たちも時期が来れば結婚するつもりだろう。
しかしこのクロムという男、ルフレに会うたびに彼女にラッキースケベをかましてしまう。
そのたびにルフレもクロムにトロンをかましている。そのためいまいち二人の仲が前進しないのである。

 

まるで中学生のような初心な恋愛を応援するのにここまで大きなため息はつかない。
リズを悩ませているのはクロムとルフレの仲が進まないために自警団の他のカップルがなかなか結婚に踏み出せずにいることだ。

 

特に自警団副団長であるフレデリクは「クロム様より先に私が結婚をするなど恐れ多い」といい恋人のスミアをずっと待たせている。
スミアはそんなフレデリクの気持ちを尊重してはいるがやはり早く結婚して娘のシンシアに会いたいという思いを持っていることを先日のお茶会で吐露していた。

 

そのほかにもオリヴィエとロンクー、ソワレとソールなどクロムとルフレの結婚を待ち望んでいるカップルは大勢いる。
やはり団長を差し置いて自分たちが先に結婚に踏み切るわけにはいかないという。
リズはクロムとルフレをずっと応援してきただけに彼らに早く幸せになってほしいと強く望んでいる。

 

「はやく二人の結婚式に出席できる日が来ればいいなあ……。」
リズの望みが叶う日はいったいいつになるのだろうか。

 

エメリナ「あえて言いましょう。後先なんて気にすることはないのです。先に結婚していいのです。むしろその方がクロムの背中を叩く事になるでしょう」
ゼフィール「…いきなりなんだ。署同士の会議だぞ」
エメリナ「既婚者が増えれば仕事にも張りが出ると思いまして。家族のために頑張るものですから」
ゼフィール「…くだらん。たわけた事を言っておらんで変態葉っぱ対策を強化するのだ」
エメリナ「待ってください。変態といえども人間。話せばわかるかも知れません」
ゼフィール「そうしてルパンダイブされてぶっとばしたのはどこの誰だったか」

 

 薄暗い部屋に2人の女性が座っている。
 どちらも長い黒髪でやや陰のある雰囲気ながら美人、その肢体は極上と言えるほど豊満なのもそっくりでその2人を見分ける部分は衣装。
 片方は和装、片方は踊り子のようなセクシーな衣装だ。
 2人の内和装の少女は相手を睨むように鋭く見つめもう片方は拗ねたようにそっぽを向いている。

 

シャラ「………わかっているでしょう、姉さん?
    姉さんの我儘で、あの2人だけじゃない、職場のそれだけの人達が迷惑してるの」
サーリャ「そんなの知らない、あの人達が勝手にしてるだけ、あんなの放って置いて勝手に結婚すればいいのに」
シャラ「それだけその人達が優しいの、それを考えて、そもそも大好きな人に迷惑をかけてなにやってるの?」
サーリャ「私は迷惑なんて……」
シャラ「現時点で好きな人と結ばれない様にしている以上迷惑でしょう」
サーリャ「ルフレは私の物……あんな屍王になんて……」
シャラ「既にルフレ♂と恋人になっているでしょう?
    相手の思いをねじ曲げて両方手に入れる必要ないでしょう……
    私だってカムイ♀だけでなく♂の方も好きよ。
     だけど彼はゼロを選んだ、2人の幸せそうな姿をみたら引き剥がすなんてできなかったわ。
     そうしたら、彼の笑顔が失われそうだったから」
サーリャ「……………」
シャラ「だから姉さんも………」
サーリャ「うるさい………もう、放っておいて……」
シャラ「………わかった、でもこれだけはいっておくわ、姉さん、もう少し相手の様子を見てみたら?彼女は、笑えてる?」
サーリャ「フン………」