62-343

Last-modified: 2017-07-13 (木) 23:51:27

アルム村

 

アルム「さて、もうすぐお昼かな?」
ジャンヌ「お疲れ様です、アルム君」
エフィ「お弁当、作って来たよ」
アルム「ありがとう、とても楽しみだよ」
ジャンヌ「もうすぐシルクさんとセリカさんも来ますから」
エフィ「そしたらみんなで食べよう」
アルム「ああ」
ロビン「大変だ!」
アルム「ん?ロビン、どうした……って、その背負っている人は!」
ロビン「森の近くで倒れてたんだ、まだ息はあるけど早く治療しないと危ねぇ!」
アルム「すぐ家に運んで!それでシルクとセリカをつれて来て!」
エフィ「わかったよ!」
アルム「オグマさん……誰がこんな酷いことを……」

 

30分後

 

オグマ「うぅ……」
アルム「気がつきましたか?」
オグマ「お前は……アルム?ここは……?」
アルム「僕の村です、オグマさんはこの近くで傷だらけで倒れてたんですよ」
オグマ「倒れて………!そうだ、ユミナ!……ぐぅ!」
アルム「いきなり起きちゃだめですよ!まだ治療したばかりで」
オグマ「だが……このままじゃ、ユミナが……」
アルム「ユミナって、グルニアの?オグマさん、何があったんですか?」

 彼を落ち着かせるためにセリカに淹れてもらった薬湯をだす。
 その内に様子を見るため他のメンバーも集まってきた、そして、落ちついた彼から事情を聞く。

 

アルム「そんな、あの子が……」
オグマ「ああ、情けないことだが、まんまとやられてしまった」
ジャンヌ「それにしても盗賊ですか、この辺りは大体駆逐して安全になったと思うんですが」
オグマ「盗賊……か」
アルム「オグマさん?」
オグマ「戦ってみてわかったが相手は盗賊にしては統制が整い過ぎていた。
    まるでどこかの軍のような……それに」
シルク「何かあったのですか?」
オグマ「相手の装備に、紋章が縫い付けられていた」
エフィ「紋章?」
オグマ「ああ、十字……なんだがもっと鋭角的なもので、むしろ、鏃に近かったな」
セリカ「!!!」
エフィ「セリカ、どうしたの?」
セリカ「………ひょっとして、こんな紋章でしたか?」右掌を見せる
オグマ「!!……そうだ、その紋章だ」
シルク「その紋章は確か……」
セリカ「ええ、バレンシア地方南部、このソフィアを治める、リマ家の紋章よ」
エフィ「何でセリカがその紋章を?」
セリカ「解らないわ、私達兄弟、何人か聖痕が浮かんでいる人はいるけど、理由迄は………」
アルム「僕も左手の甲にあるけど、調べたらリゲルのルドルフ家の紋章らしいし、クロム兄さんも左肩にイーリスの紋章が浮かんでるしね」
ジャンヌ「そうなると、拐った首謀者はリマ家という事ですか?」
シルク「そうだと思います、現当主、リマ4世は非常に好色で、手段を選ばないそうです」
セリカ「過去にはミラ教シスターを拐ったそうだけど、自身の権力で揉み消したらしいわ」
オグマ「そんな……ユミナ」
アルム「そんな事を、助けなきゃ!!」
クレーベ「いや、それは許可できない」

 

 声に振り向くと入り口にクレーベや他の村人が立っていた、騒ぎを聞き集まったらしい。

 

アルム「クレーベさん、何でですか!!」
クレーベ「話は聞かせて貰ったが、彼女を拐ったのが盗賊なら治安維持のため動く事も許可出来た。
     だが相手がリマ家となると話は別だ、彼らに対し、その領民である私達が行ったらそれは『反乱』なんだ。
     これが個人なら自己責任という形になるが、アルム、君はこの村の村長だ、君の行動は村人全員に影響が出るんだぞ」
アルム「そうですか……なら、僕を村長から解任して下さい」
クレーベ「アルム……何を言っている」
アルム「村長としての僕がダメなら、個人として、ただのアルムとして、彼女を助けに行きます」
クレーベ「アルム、早まるな、何も完全に放置する訳じゃない。
     今まではバレンシアの民に手を出してたから揉み消せたが、今回は他の地区の人間に手を出した以上揉み消すのは難しい、ベルン署に連絡すれば……」
アルム「それじゃあ遅すぎる、彼女の身の安全を考えるなら、今から動かなくちゃならないでしょう!」
クレーベ「だが!」
アルム「確かに僕の回りを考えるならこんな方法は良くないと思う。
    でも僕は嫌なんだ、助けを求める、泣いている人を放置するなんて!」
クレーベ「アルム、それは個人的感情だ!君ももっと大局を見て……」
アルム「個人的感情の、何がいけないと言うんだ!」
クレーベ「!!」
アルム「確かにこれが僕1人の意見だ、だがそれは僕という人間を形造る思いだ!
    この思いを否定して、助けを求める声を無視したら、僕は僕で無くなって仕舞う!」
クレーベ「………」
アルム「オグマさん、行きましょう」
オグマ「ああ、助力に、感謝する」
セリカ「待って!」
アルム「セリカ?」
セリカ「私も、行くわ」
アルム「そんな、聞いてただろう?この行動は……」
セリカ「解ってる、でも私も貴方の妹で、貴方の半身よ、貴方が向かうなら、私も一緒に行く!
    それに、私も、そんな相手に対し、許せないから」
アルム「セリカ……」
ジャンヌ「ふぅ、セリカさんにいいところ取られちゃいましたね。
     それでも、私だってアルム君の妻なんですよ?」
エフィ「アルムが行くなら、例え地獄でも付いて行くよ」
シルク「私も、貴方のためなら、戦います」
アルム「ジャンヌ、エフィ、シルク……いいんだね?」
ジャンヌ「勿論です」
アルム「ありがとう」
グレイ「待てよ」
アルム「グレイ、君も止めるつもりなの?」
グレイ「逆だよ、俺達も行くぜ」
アルム「え?そんな……」
グレイ「そんな最低野郎に頭下げて生きるなら反逆者の名前くらい、喜んで背負ってやるさ」
ロビン「そうだぜアルム、お前1人に、いい格好させられるかよ」
クリフ「君も素直じゃないよねぇ、ま、僕もさ、そんな話聞いて、暴れたい気分だからね」
クレア「わたくしも、そんな女の敵、放って置けませんわ」
アルム「みんな……いいんだね?」
グレイ「ああ」
クレーベ「………」
マチルダ「お前の負けだな」
クレーベ「そうだな」
アルム「クレーベさん、マチルダさん?」
マチルダ「すまなかったな、アルム、クレーベが言った通りこの行動は反乱だ。
     それを理解しつつ、お前が動けるか試すため、クレーベはあんなキツい言い方をしてしまっていた。許して欲しい」
アルム「いえ、いいんです、僕も、現実を知る必要はあるから。
    それでも、止まる気はありません、」
クレーベ「思いはわかった、それなら、外に来てくれ」
アルム「え?」

 

 そして家からでると、そこには武器を持った多くの男たちがいた。
 全員、この村の村人である。

 

ベルフ「村長の為に、そして何よりユミナ様の為に、この命をかけて戦います」
ロベルト「この身、存分にお使い下さい」
ライデン「かならずや敵を討ち果たします」
アルム「みんな……」
ルカ「みんな、あのような暴虐な者に怒ってるんですよ」
マイセン「ワシも、かの者に灸を据えるべきと思った頃じゃしな」
デューテ「それに、村のみんなだけじゃ無いんだよ?」
アルム「え?」
リュート「森の外に出てみると良い」

 

 言われるままに外に出ると、十数人の男女、それも彼の見知った者達。

 

アルム「ジークさん、ティータさん!」
セリカ「ノーマ様、コンラート兄さん、みんな!」

 

 そこにいたのはリゲルにいるはずのジークとティータ、そしてノーヴァ修道院の仲間にセリカと共に戦った仲間達

 

ジーク「彼らをこちらに招いたのは私でね、その責任故に……と言うわけでも無いが、助力させて貰おう」
ノーマ「儂もかつて奴が拐ったシスター……リプリカの事を思うと黙っておられんでのう、儂らも戦わせて貰おう」
コンラート「私も、奴には思う処があるのでね、共に戦おう」
セリカ「みんな……」
アルム「みんな、ありがとう」
オグマ「本当に、感謝する」
クレーベ「さぁ、アルム」
アルム「ああ……みんな、集まってくれてありがとう、厳しい戦いになるだろうが共に戦って欲しい。
    そして共に暴虐な領主を打ち倒そう!!」
『応!』

 

 アルム村の村人とエコーズ勢あわせ約100人、リマ家に向け、進撃を開始した。