62-386

Last-modified: 2017-07-17 (月) 22:45:14

ミネルバ「マリアー夕食の時間で……あ……」

 

戸を開けると部屋はすっからかんだった。
もう荷物も運びだしている。

 

ミネルバ「そ…そうだった。お嫁に出したんだった…な…ふぅ…」
わかってはいるがつい妹が家にいた時のくせが抜けない。
わかりやすく肩を落としながらミネルバ様は食卓に戻ると隅っこでフォークをスープに突き出し始めた。
スプーンと取り違えているのに気づいていない。
ミシェイル「……おい…なんだその陰気極まりない面は…」
ミネルバ「ふぅ……はぁ……」
ミシェイル「聞いているのか。おい」
ミネルバ「なんだ兄上…マッケバーガーに挟む肉ならマケドニア産以外認めんぞ。安いからって他所の土地の物など」
ミシェイル「この石頭め!価格競争の難しさがなぜわからん!…じゃなくてだな。
      飯がまずくなるわ。溜息ばかりつくな!」
そんなに顔に出てただろうか。
出ていたのだろうなあ……ああ、妹分が足りない……
切ない……これが寂しいという気持ちか……
すっかり凹んだミネルバ様は部屋に戻ってベッドに突っ伏すとちょっとだけ泣いた。
シクシクシクシクシク………
妹の結婚喜ぶ気持ちはあるのだが、まさか小学生で嫁に行くとは思わなかったし。
早い。早いよマリア!急ぎすぎ!…がくっ……

 

だがそんな彼女にも癒しというものはあって。
セリス「おはようございまーす♪」
ミネルバ「ああ、おはよう」
朗らかだ。可愛い。なんていい子なんだ。
きっと優しい姉に見守られて育った良い妹なのだろう。
明るい挨拶に心が和んだミネルバ様はついセリスちゃんを撫でた。
頭一つくらい背の低い彼女(?)はマリアよりは長身だがそれでもミネルバ様の撫でやすい位置に頭がある。
セリス「?えへへ♪」
笑顔だ。ああ…きゅんとくる…妹分が補充されていく。
今日も頑張れそうだ。はやく立ち直らないといかんな。

 

マケドナルド 終業時

 

エスト「お疲れ様、姉様達」
カチュア「ええ、お疲れ様」
パオラ「今日の売上も好調だったわね」
エスト「〜〜♪」
カチュア「随分嬉しそうね」
エスト「うん!この後アベルと2人で夕食に行くんだ!」
カチュア「あら、それは良かったわね」
パオラ「カチュアの方はどうなの?」
カチュア「ええ、みなさんと仲良く出来ています」
パオラ「それなら良かったわ」

 

ミネルバ「みんな、お疲れ様」
パオラ「あ、ミネルバ様、お疲れ様でした」
カチュア「お疲れ様です」
エスト「お疲れ様〜」
ミネルバ「随分盛り上がっていたな」
カチュア「ええと……終業後の予定を話していまして」
ミネルバ「そうか……みんな愉しい時だから解るが、あまり浮かれ過ぎない様にな」
エスト「わかりました〜」
パオラ「あ、あのミネルバ様……今日なのですが……」
ミネルバ「ん……ああ、兄上からも聞いている、2人で出掛けるのだろう、気にするな」
パオラ「ありがとうございます」
ミネルバ「ああ、あんな兄だが、よろしく頼む」
パオラ「は、はい、それでは、また明日に」

 

ミネルバ「ふぅ………」
セリス「ミネルバさん、お疲れ様です」
ミネルバ「おや、セリス、まだ帰っていなかったのか?」
セリス「はい……その……お手洗いに……///」
ミネルバ「ああ、そうか、恥ずかしい事を言わせてすまない」
セリス「い、いえ、そんな」
ミネルバ「……ああ、セリス、この後時間はあるか?」
セリス「え?はい、この後は家に帰るだけですから」
ミネルバ「そうか、ならせっかくだから、一緒に夕食を食べに行かないか?勿論私が奢ろう」
セリス「え?そんな、前にも奢って貰ったのに」
ミネルバ「いいんだ、今日は兄上がパオラとデートなのでな、1人の食事よりはと誘わせて貰ったんだ」
セリス「あ……そうなんですか?」
ミネルバ「それに、お前がここで働いてくれてからこの店は大繁盛、間違いなくお前のお陰だ。
     正直言えばこのまま働いて欲しい、それこそ、学校を卒業した後正社員としても」
セリス「あ、その……とても光栄です」
ミネルバ「だから、そんなお前とできる限り縁を取り持って置きたいと思ってな。
     まぁ、経営者の小狡い政策だと思ってくれ」
セリス「そ、そんな、そこまで僕を買ってくれて嬉しいです。それじゃあ、今夜はお供させて下さい」
ミネルバ「ああ、ありがとう」
セリス「じゃあ少しだけ待ってて下さい、家族に連絡しますので」
ミネルバ「構わない、誘ったのはこちらだからな」

 

 そして電話をしに向かうセリスを見送り

 

ミネルバ「ふふ、優しくて気遣いも出来て、本当に良い子だ、やはりあの子は癒しだな、これからも頑張れる」

 

 更に輝く笑顔で食事を食べる彼に癒され、翌日もまた元気に働くミネルバの姿があった。

 

家族に電話中

 

リーフ「はいはーい、兄弟家です」
セリス『もしもーし、セリスだけど。今バイト終わったんだけど』
リーフ「うん」
セリス『ミネルバさんと夕飯食べてくるから、だから僕の分は準備しなくていいからね』
リーフ「ち、ちょっとまったあ!?」
セリス『え、何?』
リーフ「どういうことさ!?巨乳凛々しいミネルバおねいさんとなにいつの間にフラグ建ててるのさ!?」
セリ『何言ってるかよくわかんないんだけど…誘ってくれたんだよ♪えへへ、嬉しいよねっ!あ、待たせてるから切るね。じゃ』
リーフ「………僕も…僕もいっそジェミーに葉子ちゃんにしてもらえばミネルバさんに妹萌えしてもらえるのかな…」

 

リーフ「変態ってね。なろうと思ってなるものじゃないんだ。気が付いたらなっているものなんだよ。
    そもそもどうして剥がさなくてはならないんだい?変態も僕という人間を形作る大切な要素だよ」
ナンナ「…リーフ様の胞子×野菜=リーフ野菜、これすなわちリーフ野菜はリーフ様の子供。
     私たち…野菜さんに負けたんですね。野菜さんはリーフ様のお嫁さんなのですね。もう童貞ではらっしゃらないんですね」
ミランダ「え…え?…そ、そういう解釈成立するの?」
リーフ「やめてよ!?僕の大切な初めてがそんな形でもう終わっていただなんて!?」