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Last-modified: 2017-07-22 (土) 02:16:12

ヒノカは悩んでいた。12人もの少年たちが慕ってくれるのは素直にうれしい。
しかしこと恋愛となるとまた話は別だ。どないしよう。
…まぁ子供の背伸びというか…そういう受け止め方もできるが、さりとて流すとか躱すとかそれも不実に思う。
なぜなら彼女は子供に真っ向から向き合う教師だからだ。
と、言っても年齢=彼氏いない歴のヒノカ的には少年たちと経験的なアドバンテージはさして変わらない。
恋愛以外の面なら話は別なのだが。
ああ、どうしよう。
ヘンリーはあけっぴろげで恥ずかしげが無い。あとちょっとズレてる。
当たり前のように好意を示し、何度かキスもされちゃったりした。
ユアンのバカ者はセクハラしてくる。何度も制裁したのだが。
ロスははつらつとしてるがこちらには奥手だ。ちょっとおずおずしながらも、それでも男らしくリードしようという意識が見てとれる。
リヒトはまともなよい子だ。そして頑張り屋だ。背伸びしたがりなのがちょっと心配だ。
デューは盗品をプレゼントしてきたので説教した。根はよい子なのだから真人間に導かねば。
ルゥとレイは双子だ。タイプは違うがそれぞれに慕ってくれる。そしてニノの弟だ。結婚したらニノが義姉になるのか…いや、何を考えてる。
チャドは孤児だ。デューもそうだが身が立つようにしてやりたい。
ライアンは地味だ。このままじゃアルム村暮らしになるだろうかと本人悩んでた。あそこはあそこでいいところらしいが行ったことはない。
ニルスは竜だ。笛も上手い。音楽家気質だ。
アスベルは…友達を選べと言ってやりたいが…リーフも更生の余地は…あるのだろうか…
最近一番頑張ってるのはユベロだ。姉のユミナに彼氏ができたことに刺激を受けたようだ。
しかも大人の階段上ったようだ。大人の私がまだなのだが…こほん。それはとにかく。
セシリアは時々仲間を見るような目で見てくる。しょたこんではないと言いたい。

 

ヒノカ「ふぅぅぅぅぅぅ……ほんと…どうしたらよいのだろう……」

 

周りを見ると歳の差かっぷるも多いのだが。
しかし教師と生徒で…というのはいかんとも思うし。さりとてどう答えを出すにせよ向き合うには真剣でありたいとも思う。
それでいて…いやしかし…ヒノカは真面目である。そして思考は真面目さゆえにるーぷに囚われる。
こないだなど数年後の夢までみた。美青年に育ったみんなに囲まれて思考がしょーとする夢だった。
そんなときの事…

 

ユベロ「先生!僕のお嫁さんになってください!」

 

ガチで告られた。生まれてこの方なかった事だ。
ちょっとテンパりかかるが大人として落ち着いて答えねばならない。
深呼吸深呼吸…い、いかん。ドギマギする。生まれて初めて告られたゆえか?

 

ヒノカ「…そういうことは大人になってから…なんて答えるのは逃げなのだろうな。
    だが、お前はまだそんなに多くの人と出会ってきたわけじゃない。もっと…」
ユベロ「僕、先生がいいんです。他の人なんて考えられません!」
……どないしよう。何も言えなくなった。
というか…その…ちょっとドキっとした……な、なんなんだろう。これは。
ヒノカ「そうか…ユベロが真剣に考えて…想ってくれたのは伝わったぞ。
    私などを好きになってくれてありがとうな…」
気が付いたら腕の中に少年を抱きしめていた。
あ、これ……脳みそテンパってるばかりじゃない。
ま、まずい。ほっぺ超赤い。い、いやまて。相手は10くらい年下だし背もずっと低いし、それに!
などと心の中でばたばたしてたら…
ロス「あーっ!?てめっ!抜け駆けだぞユベロ!」
…と、快活そうなフィジカル系少年が姿を見せた。校舎裏だっちゅうのに。なんということ。
ユベロ「ち、ちょっと!割って入らないでよ!?」
ロス「俺だって先生の事、ずっとずっと大好きだ!お前には負けねえ!」
ちと暴走も入ったのかも知れない。張り合うようにして駆けつけたロスは…少しだけ背伸びをして…時々ヘンリーがしてくるのを真似たのだろう。
少年の大事なふぁーすときすをぷれぜんとしてくれた。あのなあお前ら。こっちの事も考えなさい。それができないあたりはまだ子供なのだろうなあ。
しかし…その…きすとはこうも柔らかいものなのか…いかん、何を考えて…
ユベロ「ぼ、僕だって…先生…」
ヒノカ「お、落ち着けお前ら…とにかく…むっ!?」
今度はユベロとちゅう。私…どうすりゃええの…もう目覚めてもいいんですかね…
好意は半ば強引とも言えるがヒノカはけっこう受け気質かもしれない。
それに少年らしいがむしゃらさ、一直線さは…嫌いじゃないのだ。
二人を宥めて…それからああ結局逃げてもうた。向き合わなきゃならんのに。

 

ヒノカはその晩、二人とのちゅうを思い出して布団の上で一晩中ごろごろ転がって悶えていた…