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Last-modified: 2017-08-15 (火) 21:06:33

この作品は『若獅子の屈辱 後編』の続き(直後の物語)です

 

作中現実のものと違うところがありますがフィクションとして見てください
キャラの口調と性格が異なる(改変もしくは崩壊)してるところも
またオリキャラが登場しますが注意をお願いします
一部物理無視の描写が有るため此方も注意を
また越境のカップリング的の描写もあります

 

以上の内容が苦手の方はスルーをお願いします
では投下します

 

まだ雨が降り行くお昼ごろ
ロイはサーキットでの走行練習を済ませた後、空腹を満たそうとある場所へ向かった

 

『アンナのデパート』

 

紋章町中央の中で一際大きいショッピングモール
このモールは兄弟家・竜王家・白暗夜家につづく大家族勢力である、アンナ大姉妹が経営しているお店だ
アスク家が所属する特務機関『ヴァイス・ブレイヴ』の隊長であるアンナも彼女ら姉妹の一人でもあるが
彼女は公務員であるため商業の加入はできない
余談だが兄弟家四姉のカムイの持つカムイグループもアンナ大姉妹と商業取引も行っている

 

彼女達が経営するモールは平日はもちろん休日でも常に多くの客が足を運んでおり
連日大忙しの状態だ
雨もあってか駐車場には車やバイクがあふれており予備の駐車場も満車かつ渋滞である
無論モール内は人があふれかえって居る事も一目瞭然だ
ロイは何とかスペースを見つけ出し厳重にロックを施した後にモール内へ入ると
見渡す限り人、人、人とにぎやかな雰囲気で自由と混沌の紋章町とは程遠いものである
その雰囲気を楽しみながらロイはフードコーナーへ足を運び腹を満たそうと行く

 
 

フードコーナーについたロイはやっぱりかと思い苦い顔をする
お昼ごろというのもあって周りは満席、かつ順番待ちが数多であった
敢え無く席が空くことを待つか別の場所で食べようと考えるが、ロイは15分待って再度訪れようと考え
別の階にある本屋でお目当ての雑誌の購入かつ時間つぶそうとする
15分経って漸く席を獲得したロイ、昼食を注文するも時間がかかるため席にて順番を待つ
待機中で周りを見渡すと、一緒にご飯を食べる子連れの家族、一緒にゲームをしてる子供や大人
食べながら会話する恋人達、ふと見れば自分は今日一人でここへ来ている
(家族や友人、そして恋人か・・・。そういえばここ最近みんなと一緒にすごすことがなかったな)
ここでふとロイは学友達を思い出す

 

いつも平日休日に一緒に遊ぶチャド・レイ・ルゥはここ最近学校の教師である白暗夜家の次女(?)ヒノカの
補講を受けている、ヒノカはロイと同年代もしくはその前後の生徒に人気の教師である
おそらく彼らはヒノカ先生が大好きであろうとロイは思った
女性といえば女友達であるリリーナをはじめとしたクラスメイト
昔は一緒に登下校はあったもののここ最近もまた彼女達との登下校もなくなった
また彼女達はいつも何かあれば喧嘩をしている、あるときはフォルブレイズやアポカリプスが跳んだり
あるときはマルテやミュルグレが来たりと、またあるときは究極の蹴りが来たりとであった
原因は何なのと思い彼女達の喧嘩をとめることあったが、何なのか判らず仕舞いであった
だがある日彼女達の喧嘩がなくなりそしてさらに彼女達に変化が起きた

 

ソフィーヤとエフラムの結婚だ

 

その日を境にロイはソフィーヤの義姉となり、喧嘩が起きた彼女達は仲良くなった
またロイとしても喜ばしいことだが、同時にすこし靄もかかった
ロイはソフィーヤを友人として好きであるが、ソフィーヤはまた別なものなのかと結婚を境に思いはじめた
そして、同じく友人であるスーもマルスと結婚をしたのだ
スーの結婚もうれしいものだがこれもまた思い悩んだのだ
彼女も自分のことが好きなのかという疑問を持っていく
あれやこれやを悩んでると、注文の品のベルがなり品を取りにいく

 

雑誌を広げながら昼食のバーガーを食べるロイ、目に映るのバイクのパーツの項目だ
彼がバイクに乗って10ヶ月経ち、いつも大切に扱う相棒のパワーアップを考えている
前は主にドライブに使っていたが、最近ではレースやジムカーナに参戦しており
併合してあちこちへ走っていってる
パーツ(主にタイヤ)もドライブ用とレース用に分けて購入をしており
また、パーツやオイル交換を自力で交換している
ただしエンジンのほうは中身をいじったらいやな予感しかしないためプロに任せている
下手にいじられればアマチュアレースの参戦条件から外されてしまうのだ
アマチュアレースは足回りとマフラーのみでありそれ以外は禁止されている
といっても主に洗浄やパーツの状態の確認をお願いしている

 

(このパーツ性能いいけど価格が高い、かといって安いものを買って張りぼてはいやだな
 それに先月オイルやタイヤを買ったはよかったが、
 トレカやゲームを買ったせいで如何せんこれを買える金がないな)
ロイは小遣いをもらって入るが、パーツを買う予算が足らない
自分の趣味で何割かは費やしており
またあちこちサーキットにも入ってるためその費用やガソリン代も馬鹿にならない
さらに増額を欲しようとするとかえって迷惑をかけてゆくと思い
朝に配達のバイトを一週間5日、夜にゲームセンターのバイトを1週間に3日入って
予算を手に入れようとしてる
平日も休日も忙しい一日を送るがロイはそれが楽しいのと思っている

 

「あれ?ロイ様奇遇ですね、今ご飯ですか?」
食事中に物思いにふけながら食べてるとどこか聞きなれた声がした
見上げるとそこにはロイの学友であり幼馴染でもある若草色の髪の少年がいた
「ウォルト?奇遇だねこんなところで会うなんて。君も食事?」
「えぇちょっと買い物が終わったのでこれから食事を・・・」
これから食事を取ろうとするウォルトにロイは彼の手を見た
それは大量の食材がぎゅう詰めされており、重さ10キロは超えてる量だ
力の足りないウォルトでも持てる量だが如何せん限度がある
「ちょっと待って、どうしたのその荷物!?
 一体何があったの?まさか脅されたとか・・・」
「あ、これですかそんなのじゃないですよこれはですね・・・」
「ごめんウォルト君、荷物持ち任せてきつかったかな・・・って君はロイ君?」
あまりの量の多さにロイはウォルトがいじめられてるかと思った
ウォルトはこの事情を話すと、後ろから女の子の声がした
紫色のシャツを着たショートカットで華奢でありながらどこか力強さを感じる
剣士特有の手が見えた
ロイはその少女に見覚えがあった
「あなたは・・・確か、セリス兄さんの友人の」
「ラクチェです、こんにちは」
長兄シグルドの知人が経営してるお店『流星軒』の店主アイラの娘、ラクチェである
本来関係のなかった二人が付き添いという思わぬことにロイは目を見張るのみであった

 

空いた席に座り一緒に食事を取る三人、ロイの目には二人が小さな輝きが見えるような感じだ
黙々と食べてると質問を述べてみる
「ところでさウォルト、ラクチェさんとどうやって知り合ったの?
 それからその荷物は?」
「ラクチェさんと知り合ったのはついさっきですよ。」
「さっき?どう言うことなの」
「それはですね・・・」
事のあらましをラクチェが答えようとする
事の発端はラクチェの買い物だ、流星軒はこの日夕方まで休業だったため
アイラは買い物に出かけようとした、流星軒の食材は本来発注であるが
この日は頼みの車が渋滞であったため急遽発注主のところへ車を出そうとした
また家にはラクチェが居たため、家の分の食材を買いにいくようにとアンナのデパートへ
向かわせた
アイラが書いたメモが大量だったため買い物を終えた後食事を取ろうとするも
あまりの重さにふらふらしていったのだ
いくら彼女が鍛えても持てる者に限度がある
そんな彼女の様子を見て手を貸してくれたのがウォルトだ
彼女の持つ荷物の半分以上を持ってくれたのだ
それから彼からご飯の誘いがあったため一緒にとろうとして今に至る

 

「・・・ということなんですよ」
一通りはなしが終えた後ロイは、ウォルトの行動に感心を示した
「すごいねウォルト。ラクチェさんの手助けを自分からするなんて」
「ロイ様も家族の皆さんと同じく困ってる人を助けるのは大事なことなので
 手助けしてやっただけですよ」
「でも私は助けてくれてホントうれしいよ、あいつ等だったら
 断固拒否してるからね」
彼女の言うあいつらというのはヨハン、ヨハルヴァの二人である
彼らが下心を持って助けに来るのが目に浮かんだためだ
そんな3人で会話を弾んでると、ラクチェの携帯から電話が鳴った
母アイラが迎えに来てくれるのだ
ご飯がまだ残ってるのを最後まで平らげるウォルトとラクチェは、その場を後にしようとする
最後までラクチェの手伝いをウォルトは行ってゆく
「それじゃロイ様、月曜日に」「じゃあねウォルト」
「さよなら、流星軒にも寄ってきてくださいね」「時間が取れればね」
別れの挨拶を済ませた後、ロイは残ってるバーガーを平らげようする

 

しかし、食べるとなぜか味が感じなくなったのだ
彼らの会話を聞いてると、ウォルトはラクチェの気持ちに答えたというのだ
ここでロイは思い出した、過去リリーナ達が喧嘩した原因が何なのかを
それは『彼女達の気持ちに答えなかった』というのだ
(さっき・・・ウォルトはラクチェさんの気持ちに答えたから仲良くなれたんだ
 僕は、リリーナたちを『友人』と見たせいで彼女達は離れてしまいそれぞれの道へ・・・
 いや違う、離してしまったのは僕のほうだ)
ロイは思った、リリーナたちも女の子だ恋の一つや二つはしたいのだ
それをロイは彼女達の思いをスルーしてしまった、いや蔑ろにしてしまったと思った
いわば彼女達を『泣かせてしまった』のだ。
ロイは自分の鈍さを恨んだ、自分の知らなさに悔やんだ、自分の愚かさに怒った
そしてロイは、女を蔑ろした自分は『恋をする』『愛を語る』資格はなく
おごまかしい考えだがたとえ彼女達(若しくはいずれか)と『仲良くする』のは出来ても
『恋人になる』資格はないのだと
女の人の身を守ることはできても、心を通じることが出来てないのだ
そう考えるとロイの頬に雫が伝わった、目が暑くなり視界がぼやけていく
(リリーナ・・・シャニー・・・スー・・・ララム・・・セシリア先生・・・
 ソフィーヤ・・・ギネヴィア校長・・・ごめん、皆・・・ごめん)
ここに居ない彼女達へ頭を下げる気持ちで今満たされており
ロイは平らげた後机に顔を伏せてゆく、誰にも悟られないようにただ声を上げず
涙を流していった

 
 
 

(・・・あれ、いつの間に僕寝てしまったようだ)
涙を流し終わった後ロイは3時間は横になっていた
携帯のタイマーを見ると午後六時になっていた、急いで帰ろうと思ったのだが
今の自分の状態が不安定だと理解し、帰ろうと思っても余計な事故を起こしかねないため
少しだけ時間をつぶすためまた気を紛らわせるためにに別の階のゲームセンターに向かった

 

(ダメだ・・・10連敗、ホント今日はだめだ)
ゲームセンターに行ったロイは対戦ゲームをやるも
心が痛み続いてるせいか今までの通りの腕前にならず、大敗を喫した
今の自分が情けなく感じ、ロイはゲームセンターを後にする
気づけば午後7時半、もう夕ご飯の時間は過ぎてしまったのだ
涙を隠しながら帰路へ行くロイ、外の雨が彼の憂鬱を流してくれる様もなく
逆に彼に深い悲しみを無理やり背負わされてゆき、衣類に重石を乗せてゆく
途中事故もなく兄弟家につき、バイクを倉庫へしまってゆく
しかし家へ入る足取りは重く逆に行きたくない気持ちも生まれていくようなものだ
それでも踏み込んで扉をあけてゆく
「・・・ただいま・・・」
「お帰り、遅かったなロイ、心配してたぞ」
覇気の無いロイの声に心配を掛けてきたのは太い声をする男の声が聞こえた
「遅くなってごめんなさい。シグルド兄さん」
顔を上げると兄弟家の大黒柱の一柱である長兄シグルドが玄関で待ってたのだ
遅れたことで謝罪するロイ、上がろうとするとシグルドが顔に手を当て覗いた
「どうしたんだロイ、目が真っ赤で涙の後が見えるのだけど
 なんかあったのか?」
「あ、これ?帰ってる途中にごみが入ったみたいで目が真っ赤になってしまったのかな
 よくわからないのだけど」
ロイの顔を見るとひどい顔であったのに気づくシグルド
ロイに何かあったのかと心配するも、咄嗟の嘘をつき心配かけまいと思いロイは答えた
「そっか、気をつけるんだぞ。それが原因で事故も置きかねないからな
 乗用車の交通事故や人身事故は自分だけじゃなく相手も不幸にさせてしまうからな」
シグルドは納得する様子で返答した後、ロイに事故を起こさないように走ってほしいと
注意を促そうと諭す
「ありがとう兄さん心配してくれて、後それからご飯は今日はいいよ
 帰る途中で食べてきたから」
ロイはシグルドからの注意を返答した後、またも嘘をつき食事をパスする
「わかったお風呂はもう沸いてるから入っていいぞ、雨でずぶぬれになってるからな
 あと洗濯物は私が預かるからな」
「お願いします兄さん、後カメラは洗濯機に入れないでくださいね
 壊れたら元の子も無いですから」
「ははは、気をつけるよ」
ロイはシグルドに荷物を預けて、お風呂へ入ってゆく
今日の分の疲れと、自分の心に突き刺さった痛みを洗い流すように

 

お風呂に浸かってるロイは自分の行為を改めて思い返した
(女の子の気持ちを踏みにじる行為・・・背徳だな
 背徳・・・、ハハッ、よりによって自分がこの名前を皮肉をこめて
 つけようと思うなんてね、クロム兄さんやリン姉さんリーフ兄さんと
 似たような名前をつけるなんてね・・・『背徳の炎』という名前を)
ロイは彼ら三人が『三喪』と言うのを聞いたことを思い出した
もてないから、いい人に現れないからと、進展がうまくいかないという愚痴を言ってゆく三人が
作り出したというグループだ
そして今の自分が背徳者であることに悲観すると
自分が彼らと同じような行為をしてることに気づいた
背徳という言葉を聴いて思い出した、ロイが好きである創作上の名前と同じ二つ名を
皮肉をこめてつけることにした

 

「ねぇどうして私に白馬の王子様が現れないのよもう」
「僕も巨乳のお姉さんにめぐり合えないのは何でかな」
ある日、二人の男と女の声が恋愛事情に愚痴をいつものように言う会話が聞こえた
五女のリンと十男のリーフである
リンの求める男性はイケ面の白馬の王子様、リーフは巨乳の年上を求めていた
そんな彼らの会話がくだらなくも楽しく見えたロイは入ろうとする
「ねぇ僕も入れてよ、自分もどうしてもてないのかわからないよ」
イケ面と巨乳に飢えてる二人はロイが喪入りすることに関して、呆れた様子だ
しかしロイは自分は自分がモテてたのはわかっていながら入っていった
その心をここにいる二人は知らない
ロイが恋愛心に仮面(ペルソナ)をしてあることに

 
 

若獅子の落涙 了