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Last-modified: 2017-08-21 (月) 23:55:00

兄弟家が何事もなかったかのように時を過ごしていたその間……ラクズ連合はついに、ベグニオングループの元老院率いるベグニオン軍と戦いを始めていた……
ただし、一家の中でもアイクはライの頼みもあり、この抗議抗争に参加していた。だが、エリンシアや他の兄弟達の身を案じて家では一切そのことを口に出さなかったのである……

 

スクリミル「ラクズの誇りの為!この戦いは絶対に勝つ!!勝つ!!勝ぁぁーつ!!」
\ウォォォォォ!!/\スクリミル様バンジャーイ!/\シンダベグニオンダケガ、イイベグニオンダー!/

 

ティバーン「しっかし、よくお前ら鴉が協力してくれる気になったもんだな。」
ネサラ「……今回は事情が事情だからな。リュシオンやリアーネのこともあるし……」
ティバーン「つっても同族の協力ってのはありがてえ。いつもこういう風に、そっちがアッサリ手を組んでくれりゃこっちとしてもキルヴァスともう少しうまくやっていけると思うんだがな。」
ネサラ「……へえ、そいつはありがたいお言葉で。……でもそんなにホイホイ俺を信用してるとな……コロッと寝首をかかれるかもしれねえぞ……」
ティバーン「ハッ、冗談を。せっかく同族が結束しようってんだ。仲良くやろうぜ。お前とラフィエルとリュシオン、それにリアーネはなんだかんだで昔馴染みなんだしよ。」
ネサラ「……」
ライ「……それで、作戦はどうする?」
アイク「そうだな、いい策を頼めるか?セネリオ。」
セネリオ「野獣どもに知恵を貸すのは癪ですが……アイクの頼みですから、仕方ありませんね。まずは……」

 

ティバーン「……やっぱ持つべきは同族ってやつだな……なあリュシオン?」
リュシオン「……ティバーン……ちっと歯ぁ食いしばれや!」(ゴッ!)
ティバーン「……」(シーン)
リュシオン(ぺキッ)「……今ので、私の拳の骨にヒビが入りましたね。ですがこれは、心優しい弁当屋さんの痛みですよ。」
ティバーン「……くだらねえ……一時のお遊びがなんだってんだ……たかだか弁当で、俺がベオクの小娘なんざに……」
リュシオン「では、貴方のその手にある空の弁当箱は何なのですか?」
ティバーン「……くっ……!」
リュシオン「本当にくだらないと思っているのであれば、そんなもの捨ててしまえばいいんですよ。勿論私はずっと持っています。」ついかついアルミ弁当箱
リアーネ\ワタシモー/つピンクの花柄弁当箱
ヤナフ「俺もだ!」つジャー式弁当箱
ウルキ「……自分も同じく。」つまげわっぱ弁当箱
二アルチ「わしもですじゃ。」つ漆塗り弁当箱
リュシオン「みんなまた、あの弁当を食べたいと思っているんです。特に貴方は……!それがどうしてなのかは、貴方自身がよーくわかっているはずですよ。」
ティバーン「……クソッ……!!」(バタンッ!)

 

リュシオン「全く、この期に及んでなかなか素直になりませんね。あーやだやだ、歳くった男の意地っぱりはみっともないもんですわ〜。あっ、ミストさん優しく治療お願いします。」つ
ミスト「ほんとにね!……リュシオンさん?ちょっとどこ触ってるのかな〜?」(メキメキメキ)
リュシオン「あばばばば(ry」
ヤナフ「でもまあ、あいつも王子の言葉でちょっとは堪えたんじゃねーのかな。この戦いに決着つきゃあ、何かしら行動は起こすと思うね。」
ウルキ「……だといいがな……」
リュシオン「ねえリアーネ!私かっこよかった!?男らしかった!?ねえねえ!」
リアーネ「……う……ん。」(……もう、こういうことを言わなきゃいいのに……)

 

ティバーンつ空の弁当箱「……」
『私、ずっと憧れてたんです!空を自由に飛べる鳥さんに!』
『鷹のお兄ちゃん!私はお兄ちゃんのことが好きになってしまったんです!……私を、お兄ちゃんのお嫁さんに……』
ティバーン「ったく、何なんだ……十年ぽっち経って、俺好みのいい女になってまた目の前に現れやがってよ……」
『いけませんか?ベオクが、ラクズの市場でお買い物をするのは……』
『みんなが……仲良くお弁当を広げられる……そんな世の中に……』
ティバーン「……俺は……俺だって十年の間ずっと待ってっ……くっそおおおッ!」(ガンッ!!)

 

その後、ラクズ連合軍はセネリオの策で順調に勝利を収めていったかのように見えた……
しかし、首都シエネに迫ろうという時……中央軍に奇襲を仕掛けたティバーン率いる鳥翼族の軍勢は、ネサラ率いるキルヴァスの裏切りによってあわや壊滅の危機に瀕した。
無論、キルヴァスもベグニオングループによる元老院の根回しによって、国民全員を人質に取られたという事情があったが、その代償がティバーンの留守中のフェニキス地区への集中攻撃とあっては、許されたものではなった……
そして、そこからの度重なる追撃によってガリア地区まで撤退を余儀なくされたラクズ連合軍は、迫るべグニオン軍とクリミア市を挟んでの拮抗状態が続いていたのであった……

 

ジョフレ「エリンシア様……」
エリンシア「あら、なあに?ジョフレ。深刻そうな顔をして。」
ジョフレ「以前から頻繁にフェニキスへ行かれておられるようですが……今後はもうやめた方がよろしいかと……」
エリンシア「……!!」
ジョフレ「その……巷で……特にラクズの者の間では、エリンシア様がフェニキスの鷹王を誑かして懐柔し、ベグニオンに従属させようとしているのだと……よくない噂が……」
エリンシア「……っ……!」
ジョフレ「ラクズ連合の抗議抗争のこともありますし、エリンシア様のためにも、今後ラクズの方とは関わられない方が……」
エリンシア「どうしてジョフレまでそんなことを言うの?……私は、私はただ……」(ポロポロ)
ジョフレ「あっ」
エリンシア「……みんな……みんな酷いです……!!」(ダダダッ)
ジョフレ「お、お待ち下さいエリンシア様!!私は貴女のことを思って……その……」(オロオロ)
ルキノ「よくもエリンシア様を泣かせてくれたなこのドヘタレ愚弟よ……」(ゴゴゴゴゴ)
ジョフレ「ね、姉さん……」(ガクガクブルブル)
ルキノ「もはや姉とは呼ばせないわ……貴方なんてこうなってしまえばいいのよ!」つエリート+銀の槍
ジョフレ「姉さんやめてくれ!それは俺の命(ry」\アーッ!/

 

エリンシア「ううっ……ぐすっ……ひっく…ひっく……」
ミカヤ「……エリンシア……」
エリンシア「ミ、ミカヤ姉様!?……な、なんでもないんですよ?ちょっとお洗濯を失敗しちゃって……」
ミカヤ「……もう自分に嘘をつかないで。ほら、よしよし。」(ポンポン)
エリンシア「……」(ウッウッ)
ミカヤ「なーに?お弁当の配達、やめちゃったわけ?あんなに楽しそうだったのに。」
エリンシア「……迷惑……だったんです……ぜんぶ……私の……押し付け、だったんですよね……」(クスンクスン)
ミカヤ「……そうかしら?だったら、貴方にあの鷹王が優しくしたり、果物やら魚やらどっさりくれるはずがないと思うんだけどなー。」
エリンシア「でも……私がやることなすこと、全てティバーン様のご迷惑になってしまいます……もう、何もしない方が……」
ミカヤ「そうそう、どうでもいいことかもしれないけど……ラクズ連合とベグニオン軍がクリミア市でにらみ合ってるらしいわよ。」
エリンシア「!!」
ミカヤ「このままじゃ、ルキノさんたちがいるクリミア市に血の雨が降るわね。両軍ただで済むとも思えないし……でも、あんたにはもう関係ないかしら……」
エリンシア「……」
ミカヤ「騎士様と私のところに、とりあえずベオク側のベグニオンの応援をしてこいってディン市から要請がきてるんだけど……さて、どうしよっかなー。」
エリンシア「……ミカヤ姉様……私……行ってまいります!」(ダダッ)
ミカヤ「全く、家の子達は世話が焼ける子ばっかりなんだから。」(フウ)

 

ベグニオン軍\ゾロゾロ……/

 

レニング「……」
ユリシーズ「……此度のご決断は、致し方がありますまい……クリミア市は元々、ベグニオン市から分離した地区……クリミアでの流血沙汰を避けるには、こうするしか……」
レニング「……だが、このままでは姉妹都市のガリアを裏切ることになる……」
ユリシーズ「……カイネギス王は聡明な方。こちらの事情もきっとわかって下さる筈です。」
レニング「……本当に、こうするしかなかったのだろうか……」

 

ティアマト「ベグニオン軍がクリミア市内に入ったですって!?」
スクリミル「……何だと!?クリミアはガリアとの同盟を裏切ったのか!?」
アイク「待て、事情があるはずだ。クリミア市長はそんなことをするような人じゃない。」
スクリミル「……だが!!」
ティバーン「……ベグニオンには逆らえん、そういうことか……」
セネリオ「そういうことですね……クリミア市は、元々ベグニオン市だったのですから。ベグニオングループの元老院はベグニオン地区全体にパイプがあります。流血を避けるため、致し方なく、ということなのでしょうね。」
スクリミル「どうする!?我らは黙って見ていろというのか!?」
セネリオ「……こちらから仕掛けるのは得策ではありません。ですが、向こうが仕掛けてきた場合は、致し方がありません。……応戦しましょう。」
アイク(エリンシア姉さん……一体何をしているんだ!!姉さんの大好きなクリミア市がこのままでは……!!)

 

\バサッバサッ/
レテ「ベオクの天馬?あれは、確かアイクの……」
ゼルギウス「……何だ、あの天馬は?」
レニング「エ、エリンシア!?何故ここに!?」
アイク「……エリンシア姉さん!……大きな包みを抱えて……何をするつもりだ?」

 

エリンシア「ごきげんようみなさん。私は、紋章町・兄弟家の主婦エリンシア。ベグニオン軍・ラクズ連合軍両軍の皆様。私は、種族の隔てない友好を望む者です。よって、この地を血で染めるような戦いを見過ごすことは出来ません!」
ティバーン「……エリンシア……」
エリンシア「ですから、ラクズ連合・ベグニオングループ軍の両軍に……この市より立ち去ることを希望いたします!」
バルテロメ「兵を退けですって!?馬鹿馬鹿しい!だいたいいっぱしの主婦に何の権限があると?誰が引くものですかこの老け顔(ry……モゴモゴ」
ゼルギウス「バロなんとかさんはちょっと黙ってて下さいよ。」(お前が喋るといちいちものっそいムカつくんじゃああああ!)
エリンシア「……ラクズ連合軍は、いかがですか?」(チラッ)
ティバーン「……単騎で、この殺気立った戦場の真っ只中に飛び込んできた意気は買おう。……だがな、その理想論に付き合って一方的に攻め込まれるんじゃあ割に合わんな。」
エリンシア「……それが、双方の回答なのですね。」

 

エリンシア「ならば、これが私の回答です。」
そう言うと、エリンシアはアミーテをそっと地に置いた。この殺気立った戦場の中で、エリンシアは武器を置き、こともあろうか自ら丸腰になったのである。
エリンシア「私の決意は変わりません。私は武力ではなく、生身の手を持って両軍の戦いを止めてみせます。」つ大きな包み
ゼルギウス「!!」
バルテロメ「な、な、な……!!」
ティバーン「!?」
そう言ってエリンシアが解いた大きな包みの中には、大量の弁当が並べられていた。血生臭い臭いが支配するはずであった戦場に、食欲をそそるいい香りが広がる。
その美味そうな匂いに、両軍の兵士たちは思わず唾を飲み込んだ。

 

エリンシア「このお弁当を、皆さんどうぞ召し上がってみてください。」
アイク「この通り、毒など入っていない。お前たちが食わないなら俺が全部食う。」(ガツガツモグモグハグハグウマウマ)
バルテロメ「はああ!?何を言っているのですか!そのような下賎で怪しい食べ物など口にするはずが……」
ゼルギウスつ弁当「パカッ」
ルベール「ゼルギウス将軍!?まさかその弁当を食べるとでも!?」
ゼルギウス「君は、このような武装した兵が居並ぶ中で、武器を手放し―――あまつさえ弁当を振舞うことなど……できるか?」
ルベール「わかりま……いえ、おそらくできません。」
ゼルギウス「私たちですら難しいことを、ただの主婦がやってみせたのだ。ここは、彼女に敬意を表そう。」つ箸(ってか最近ディンとの掛け持ちでもはや過労レベルで飯食えてねーし俺は美味い飯が食いたいんじゃオラア!)
バルテロメ「……ま、待ちなさい!ゼルギウスに弁当を食わせるなーッ!!」
ゼルギウス「いいやっ!限界だ待たないっ!食うねっ!!」(パク)

 

次の瞬間―――
ゼルギウスは、美しいエメラルドグリーンの南洋の海の上にいた……
海鳥たちのさえずりと共に温かな南風が吹き抜け、潮の香りが鼻をくすぐる……そう、ここは南海のフェニキス……
舌の上でほどけるホクホクの程よい焼き加減の魚は、まるでさざ波の寄せる白い砂浜の柔らかさ……

 

エリンシア「そちらは、フェニキスで水揚げされた新鮮なお魚を使った塩焼きです。」
アイク「煮付けもいいがやっぱり塩焼きが一番美味い。」(モグモグ)

 

ゼルギウスは食欲の赴くままに箸を進める。ほどよく出汁の染みた煮しめを口にすると、目の前にのどかな田園風景が広がり始めた―――
そこは豊かな作物実る、クリミアの農村。肥えた土の香りと流れる清らかな水の音は、心地良い癒しとなって出汁と共にゼルギウスの胃に染みこむ……

 

ネフェニー「そいつは、オマ村で採れたカボチャじゃけえの。」
チャップ「ニンジンもあるけえ!」
メグ「大根とサトイモも忘れんでね!」

 

出汁の隠し味は、ピリリと辛い唐辛子。ガリアの密林の湿った空気と香木の香りが獣牙族の足音と共に駆け抜ける―――

 

ライ「フェニキスの魚もだが、ガリアのスパイスたっぷりの名物肉料理も美味いぜ!」

 

そして、丁寧に握られたおむすびに口をつけると……
―――ゼルギウスはベグニオンの実家の中にいた。懐かしい匂いと母が台所で料理の支度をしている音が聞こえる……
家具が自分より大きく見える……そう、彼の体と記憶は―――少年時代へと回帰していた……

 

ゼルギウス(ポロポロ……)
ゼルギウス母「まあどうしたの、ゼルギウス。……また学校で苛められたの?」
ゼルギウス「うわあーん……ママぁ……みんな、みんな僕のことを×××だって……×××はベオクの学校に来るなって……ヒックヒック……」
ゼルギウス母「よしよし、泣かないの。お前は強い軍人さんになるのでしょう?大丈夫よ、周りが何と言おうとお前は母さんの自慢の息子なのですからね。……ほら、母さんのおにぎりをおあがり。」
ゼルギウス「うん……えへへ、美味しいよママ……」

 

ゼルギウス「……マミィ……ダディ……」(ツツー)

 

―――"美味い"―――ゼルギウスだけではない、その弁当を口にした者達は全員そう感じた。ある者は故郷を思い出し、またある者は未知の味に思いを馳せた。
その感情は単純でありながらも種族人種を超え、紛れもなくいがみ合っていた者達の心を一つにしたのだ―――

 

ゼルギウス「退くぞ……久々にマミィの味が懐かしくなってしまった……」(グスッ)
ルベール「はい……私も故郷の母の手料理を食べたくなってしまいました……」(ズズッ)
バルテロメ「ちょっ……お前ら何を勝手に感傷に浸ってるんですか!ラクズ連合を攻撃しなさいよ!!」
ゼルギウス「だが断る。……このセルギウスが最も好きな事のひとつは……ド無能なくせに自分が偉いと思ってるクソ上司に「NO」と断ってやる事だ……ッ!! 」
ベルテロメ「」

 

ティバーン(バサッバサッ)
エリンシア「……ティバーン様……」
ティバーン「……ふ……ははははははははっ!」
アイク「……」
ティバーン「アイクよ、予想のつかん行動は、お前個人の特性かと思っていたが……そうでもないみたいだな?」
アイク(フッ)「まあな。」
ティバーン「……面白え…………惚れ直したぜ……」(ギュッ)
エリンシア「えっ……そ、そそそそれはどういう……////」
ティバーン「……話は後でな。スクリミル!ここはエリンシアと弁当に免じて退くとするか?」
スクリミル「当然だ。無抵抗の者は手にかけられん。全軍、引き上げるぞ!」
\オオー!/\グスグスヒック……/\カアチャンノメシ、クイタイヨー!/

 

スクリミル「……ところで……おいライ!貴様今までこんな美味い弁当の存在をこの俺に隠していたのか!?」
ライ「何言ってんですか!?前に脆弱なベオクの弁当なんかいらんって言ったの忘れてます!?」

 

ベルテロメ「……きいいい〜っ!なんですかこのフザけた状況は!!……そこの!弁当を食べていない者達!!あの弁当女を襲いなさい!あの小娘は、我がベグニオングループの反逆者です!!」
ライ「……おい、やばいぞ!ベグニオン軍の一部隊が怪しい動きを……!狙いは兄弟家のエリンシアだ!!」

 

\ゴオオオオオン!!/
ライ「お、おい……あれを見ろ……」
アイク「神竜家の……ゴルドア一族!?」
クルト「えー、我々はゴルドアの者ですー。これより弁当屋さんを攻撃する者にはもれなくブレス攻撃のお仕置きが決行されまーす。消し炭になりたくない方は直ちにここから大人しく立ち去りなさーい。繰り返しまーす。」つメガホン
バルテロメ「」

 

クルト「ふう、我々もこの美味しい弁当を失いたくありませんからね。」つお子様ランチ弁当
イナ「私も、この美肌弁当にお世話になっています。」つコラーゲンたっぷり美肌弁当
ナーシル「ちなみに私は、精進料理弁当。」つ身体に優しい精進料理弁当
デギンハンザー「そうだとも、私もこのハゲが治るまで……このワカメ昆布特製弁当を食べたいと思う!」つ重箱
クルト「父上、残念ですがワカメと昆布はハゲには効かないってだいぶ前に証明されたらしいですよ。」
デギンハンザー「えっマジで」
ラジャイオン「情報古いですよ父上ー。海藻類は確かに髪の毛にはいいですけど、生えてはきませんよー。」(サラッサラ〜)
デギンハンザー「今度お前の頭バリカンで丸坊主にすっからな、マジで!」(怒)

 

ユリシーズ「ふう、ゴルドアへの根回し……間に合ったようですな。」
ジョフレ「ゼヒューゼヒュー」つ弁当
ルキノ「ヘタレながらよくやったわ弟よ。」(モグモグ)
ジョフレ「ね、姉さん……俺にも……その甘鮭弁当を……」
ルキノ「ダメよ。これはエリンシア様から選ばれし者にしか食べさせてもらえない特製弁当。貴方にはまだまだ、十年早いわ。この塩鮭弁当で、後悔の味を噛み締め奮起するといいわ。」つ塩鮭弁当
ジョフレ「く、くぬううう〜〜〜〜……塩鮭弁当……しょっぱいです……」(ワッシワッシ)

 

バルテロメ「私が負けたというのか……!み、認めませんっ認めませんよ!!」
ゼルギウス「……どこまで愚かなのか貴方は……無能なくせに私に向かって偉そうにするわ……集団で非武装の女性を襲うわ……ベグニオングループの一員の行動とは思えませんな。」(ゴゴゴゴ)
バルテロメ「あなたさっきから好き放題言いますね!ゼルギウス!この場でお前を処刑しまフガモゴ(ry」
ゼルギウス「いいからおめーは弁当食ってろッ!!」
―――そして弁当を口にしたバルテロメは……
故郷の母に尻を叩かれていた……
バルテロメ母「お前という子は!いっつもいっつも!人様に迷惑をかけて!!」(ペシッペシッ!)
バルテロメ「ごめんよお〜ママァ〜〜もう悪いごど、じないよお〜〜〜」(ダバダバ)

 

エリンシア「……ありがとうございます……」
ティバーン「言っておくが、あくまでも一時的なもんだろう。ラクズ連合とベグニオン軍の諍いが完全に収まったわけじゃねえ。」
エリンシア「……はい……わかっています……それでも、私にできることをしたかったんです……」
アイク「……姉さんらしいな。おかげで無駄な戦いをせずに済んだ。やっぱり、姉さんの弁当は世界一だ。」(ニコ)
ティバーン「……全くアイクと揃いも揃って無茶苦茶しやがるんだからな。……今回は流石に肝が冷えたぜ……」
エリンシア「……ふふふ……また、ご迷惑を……おかけして……ごめん、なさ……」(フラリ)
ティバーン「おいっ!エリンシア!?しっかりしろ!」

 

ミカヤ「……何百人分という分の弁当を大急ぎで作ったんだもの。そりゃ、倒れるわよね〜。」
ルキノ「私どもクリミア市民もお手伝いさせていただきましたが……アミーテを振りかざしながらの二刀流包丁裁きは迫真でしたね。」
ミカヤ「ほんとほんと。んじゃ、色々と片付いたみたいだし、後は二人に任せて解散〜!」(パンパンッ)
ジョフレ「ずびびびびびび」(ダバア〜ダバア〜)
ルキノ「ジョフレ、とりあえずハンカチ貸してあげるから涙をお拭きなさいな。人は負けて強くなるものよ。」

 

エリンシア(……ムクッ)
ティバーン「……よう、気がついたか?」
エリンシア「……ティバーン様……私……」
ティバーン「……たいしたもんだよ、お前は。アイクもそうだが、俺達にはできんことを平気でやってのけちまうんだからな。……その、何だ……礼を言う……」
エリンシア「……私は、自分のやりたいことをやり通しただけです。……ティバーン様こそ、フェニキスが大変な目に遭われましたのに、よく軍を退いてくださいました……」
ティバーン「……」
エリンシア「……」
#
ティバーン「……あー、俺も……一息ついたら腹が減っちまったな……なんだか、またお前の弁当が食いたくなっちまった……」(ポリポリ)
エリンシア「……えっ……」
ティバーン「……お前がいいなら……なんだけどよ……////」
エリンシア「……そんな!勿論ですわ!楽しみにしていてください!」つ弁当箱
ティバーン「まあ俺としては、弁当以上に欲しいものもあるんだがな?」(ギュッ)
エリンシア「あっ……////」
ティバーン「ったく、この俺を十年待たせやがって。……俺を本気にさせた責任は取ってもらうぜ?」
エリンシア「そ、そそそそれは!どどどどどどういった意味で……////」
ティバーン「バ、馬鹿野郎!恥ずかしいこと言わせんな!要はお前に十年前から惚れてたんだよ!!////」
エリンシア「……はい……////」
ティバーン(そしていっそこのまま……って思ってたんだが……)
エリンシア「ティバーン様のあっつい胸筋KINNIKU……ハア……ハア////」(鼻血ビッチャビッチャ)
ティバーン(……ハア……こいつと"つがい"になるのは当分、先になりそうだなこりゃ……)

 

〜ベグニオングループ社長室〜
サナキ「……わたしが謹慎中の間、ようも好き放題やってくれたそうじゃの?」(ゴゴゴゴゴ)
シグルーン(にっこり)
ゼルギウス「ムッシャムッシャ」つ弁当
元老院一同「」(ダラダラダラダラ)
サナキ「おぬしらの悪行をぜーんぶ告発して、ベルン刑務所へぶち込んでもらっても構わんのじゃが……」
ゼフィール「……」つ手錠
ミレディつ鎖ジャラジャラ
サナキ「……それではつまらぬのでな〜……そうじゃな、おぬしら全員、本日をもって便所掃除に降格じゃ!」
元老院一同「」
サナキ「あと、ついでに給料と退職金大幅カット。しばらくは我がグループの社畜として身を粉にして働くがよい!」(ゴゴゴゴゴゴ)
元老院一同\ヒィィィィィ/

 

この出来事の後、ラクズ連合軍とベグニオン軍は再び衝突を余儀なくされてしまうのだが……
その際アスタルテとユンヌが超くだらない姉妹喧嘩をしてテリウス地区が滅びかけたせいでラクズとベオクが一致団結する羽目になり、おかげでラクズとベオクがちょっとだけ和解することになったりもした。
だがそれはまたこれとは別の話である―――

 

そうして数々の戦いの後、鳥翼族は復興したセリノスへ終結し、フェニキス海運を親会社に、キルヴァス海運とリュシオンが運営するセリノス観光事業部を組み込み鳥翼連合グループを結成。志を新たに再スタートを切り今に至る―――

 

それから、エリンシアはそれから兄弟家にクロムやカムイが加入したことで再び忙しくなったために、弁当配達はお休みすることになったが……周囲には秘密でティバーンにだけ特別な弁当を届けている。
ティバーンつ弁当「パカッ」
ほぐした鮭で大きなハートマークが描かれている、愛情たっぷりの甘鮭弁当。勿論、二段で下にはスタミナたっぷりの焼肉弁当が詰まっている。
控えめに添えられたお口直しの刻み生姜は、エリンシアの愛情の証。鳥翼族一族を率いる鷹王様は、この弁当を糧に今日も頑張っているのである―――

 

リリーナ「お姉様にそんな壮大な愛の物語があったなんて……」(グスグス)
デジェル\イイハナシダナー/(ダバア)
リリーナ「……純粋で真っ直ぐな愛は、種族さえも超えるのね……」(ウンウン)
ティバーン「……ひゃい////」(ベロンベロン)
リリーナ「……とりあえず要点を纏めると、1.男はまず、飯でハートを掴むべし2.幼い頃の約束をそれとなく出してみるべし3.とにかく押して押して押しまくる!こういうことね!!」(グッ!)
デジェル「ええ!?ちょっ……どこをどうやったらそういう解釈になるの!?」
リリーナ「……フフフ、まずはお姉様にロイの好物を徹底リサーチし、お弁当の作り方をご指導いただかなくては……ククク……ロイよ、そなたは余のものになるのだ……」
デジェル「……まずはその魔王モードをやめた方が……」(でも、ご飯かあ……私もジェロームに……お弁当ぐらい作ってあげよっかな……)
ティバーン「エヘヘエ……////エリンシア……らいしゅき////」(グデエ〜)

 

ミカヤ「……ねえエリンシア?」
エリンシア「なんでしょう?」
ミカヤ「久しぶりに、私もあんたのお弁当食べたくなっちゃったな〜。」
エリンシア「まあ、急にですわね。どうなさったの?ミカヤ姉様。」
ミカヤ「ん、ちょっと昔を思い出してね。そうそう、みんな落ち着いてきて暇になってきたんだし……お弁当屋さん再開したら?」
エリンシア「……そう言われてみれば……そうですわね。リンちゃんもやっと素敵な殿方ができましたし、それもいいかもしれませんわね。」(にこ)
ミカヤ「じゃ、決まりね!お店の名前は……そうねえ……あの日のことを記念して、"お弁当ショップクリミア"なんてどう?」
エリンシア「う〜ん、なんだか少し安直すぎる気がしないでもありませんが……そうですね、それがよろしいですわね。ふふ、久しぶりに腕が鳴りますわ。」(ウフフ)

 

\ピロロロ〜ン♪/兄弟家1Fに、エリンシアのお弁当屋さんがオープンしました▼