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Last-modified: 2017-09-24 (日) 23:38:57

兄弟家を中心にそれぞれフラグが立っていますがここでルキナが生まれる日のことを投下させていただきます。
妊娠・出産に関する記述が正確でない部分があると思いますがご容赦ください。

 

姉ルフレ「妹ちゃんのお腹ももうだいぶ大きくなってきたわねえ。本当にそろそろ生まれるんじゃない?」
ルフレ♀「はい、最近はお腹がとても重くて…」
ロリルフレ「あんまり無理しちゃだめよ、ちい姉さん」
ルフレ♀「ふふ、ありがとうございます。でもここにはユミナさんをはじめ信頼できる看護師さんたちがおられますから。それにサーリャさんも毎日様子を見に来てくださいます」
ロリルフレ「サーリャはクロム以上にここに入り浸ってるわね」
姉ルフレ「本当に誰が妹ちゃんの旦那なんだか」
ルフレ♀「あら、クロムさんもお仕事の終わりにいつも必ず寄ってくれますよ」(クスッ
姉ルフレ「あらま。お熱いこと。まあ、安定期過ぎてからもできる範囲でお楽しみだったものね」
ルフレ♀「姉さん!///」

 

ルフレ♀「……?」
ロリルフレ「? どうしたの? ちい姉さん」
ルフレ♀「実は…さっきから少しお腹が張っていたんですけど、それがだんだんきつく…ううっ」
姉ルフレ「もしかして陣痛が始まったのかしら? エーディン先生やユミナちゃんを呼んでくるわ」
ロリルフレ「了解。私はクロムや父さんたちに連絡するわ」

 

イーリス署

 

prrrr……
クロム「はい、イーリス署生活安全課…何っ?! わかった。すぐに行く!」
リズ「どうしたの?」
クロム「ルフレの陣痛が始まったらしい。悪いが今日はこのまま帰らせてほしい」
エメリナ「もちろんです。残りの仕事は他の署員たちで何とかします。リズ、あなたもついて行ってあげなさい。シスター見習いのあなたも一緒なら何かと安心でしょう」
リズ「うん! 任せてお姉ちゃん!」
クロム「すまん! 頼む!」

 
 

ルフレ♀「クロムさんは…」
ロリルフレ「大丈夫。今からこっちに来るって言ってたわよ」
姉ルフレ「父さんや他の兄弟たちももうすぐ着くみたいよ…あら」

 

ルキナ「お母さま!」
マーク♂「母さん!」

 

姉ルフレ「心強い子たちが来てくれたわね」
ルフレ♀「ルキナ…マーク…ありがとうございます」
ルキナ「お母さま、大丈夫ですか? 分娩室にそろそろ移動できるみたいです。私たちも一緒にサポートします」
マーク♂「母さん、僕たちの肩につかまってください」
ルフレ♀「ありがとうございます。こんなに頼りになる子供たちを産めるなんて…私は幸せ者ですね…ふふふ」

 

ルキナ「お母さま…(この時代の私が生まれた後にお母さまたちに黙って出ていこうとしていたなんて…私はなんて愚かだったのでしょう…)」

 
 

クロム「くっ…このままでは間に合わん!」
リズ「お兄ちゃん! 私がワープで先に送ってあげる! 私も後から追いかけるから!」
クロム「すまん! リズ、頼む!」

 

イーリス病院

 

ルフレ♂「クロム…遅いな。間に合うのか…?」
サーリャ「もし間に合わないなんてことがあったら…呪ってやるんだから…」
姉ルフレ「大丈夫よ。クロムは必ず間に合うわ」

 

ワープ

 

クロム「着いたのか…?!」
ロリルフレ「! クロム! こっちよ!」

 

分娩室

 

ユミナ「ここから先はクロムさんだけ入るの?」
クロム「ああ、俺がルフレを支える!」
姉ルフレ「あまり大勢で入るのもよくないもの。クロム、妹ちゃんを頼んだわよ」
ルキナ「お父さま、お願いします…!」
マーク♂「父さん、頑張ってください!」
クロム「ああっ!」

 

ルフレ♀「クロムさん…よかった…来てくれたんですね」
クロム「もちろんだ。お前ひとりに苦しい思いはさせない。痛みは分かち合えないがルキナを二人そろって迎えてやろう!」
ルフレ♀「ふふ…ありがとうございます」

 

ユミナ「クロムさん、ルフレさんの手を握ってあげて」
クロム「ああ、わかった!」

 

ルフレが痛みと闘っているあいだ、クロムはルフレと初めてであったときから今までのことについてまるで走馬灯のように思い出していた。

 

クロム(ルフレと初めてであったのは…俺がイーリス署で自警団を結成してすぐの頃だったな。フレデリクとリズと一緒にイーリスの森を巡回していたときに気を失って倒れていた)

 

当時ルフレは一人前の軍師になるために一人修業のため各地を巡っていた。その際イーリスの森で行き倒れていたところをクロムに保護されたのである。
それから不思議な縁もありルフレは自警団に軍師として入団。その中でクロムとの絆を深めていった。
イーリス地区の自警団にペレジア地区出身者が入団することに異を唱える者も少なくはなかったが、ルフレの軍師としての実力と聡明な人柄、また自警団の仲間たちの支えもありそうした声は次第に小さくなっていった。
そしてクロムはその小さな身体に大きな運命を背負った少女に次第に惹かれていった。ルフレもまた同様だった。二人が互いの想いを伝えあうまでにそう時間はかからなかった。
しかし、すべてが順風満帆というわけでもなかった。夫婦として結ばれるまでに幾多の試練ともいえる出来事があった。互いに別の人物から好意を寄せられることもあった。言葉が足りず相手を怒らせることもあった。
それでも尚、愛を貫きその愛の結晶ともいえる娘をルフレはその身に宿してくれた。
その愛しい相手が今、新たな命を産み落とすために闘っている。
痛みを共有することはできないが、せめて想いは分かち合いたい。そう思った。

 

ユミナ「! エーディン先生! 頭が見えてきました!」
エーディン「よし、あと一息よ。ルフレさん、がんばって」

 

ルフレ♀「ううっ! ああっ…!」
クロム「ルフレ…! がんばれ…!」

 

ユミナ「もう少し…! クロムさん! ルキナちゃんが生まれる瞬間をよく見ててね!」

 

………

 

ほぎゃあ!ほぎゃあ!ほぎゃあ!

 

クロム「産まれた…!!」
ルフレ♀「クロムさん…! ルキナ…!」

 

エーディン「母子共に健康ね。おめでとう」
ユミナ「おめでとうございます!」

 

ほぎゃあ!ほぎゃあ!ほぎゃあ!

 

姉ルフレ「どうやら無事に産まれたみたいね」
ロリルフレ「よかった…ちい姉さん…」
サーリャ「ルフレ…よかった…」
ルフレ♂「サーリャ、今は泣いていいよ。恥ずかしかったら僕が隠してあげるよ」

 

ルキナ「お母さま…! お父さま…! 私を産んでくださってありがとうございます…!」
マーク♂「姉さんが無事に産まれてきてくれて本当によかったです…!」
ファウダー「娘よ…よくやってくれた。婿殿にも感謝せねばな…」
姉ルフレ「何よ…父さん泣いてるの?」
ファウダー「それはお前とて同じだろう。ここにいる者みな、泣いているではないか」
ロリルフレ「今だけは仕方ないでしょ。みんなお互い様よ」

 

リズ「ちょっと遅くなっちゃったみたいだけど…無事に産まれたみたいだね! よかった…」

 

こうして兄弟家及びクロルフ一家に新たな家族が加わった。
出産に立ち会ったクロムだけでなく、ほかの兄弟たちや自警団の仲間たちもルキナの誕生を祝った。
未来から来たルキナもまた、自分の誕生がこれほどまでに祝われたことに感激し、この先も両親とともに生まれたばかりの自分を守ろうと決意した。
弟のマークもそんな姉を支えることを己の心に誓った。
そしてなにより母になったルフレの顔は今まで以上にたくましく慈愛に満ちていた。
クロムとルフレの愛の物語に今、一つの絆が新たに結ばれた。

 

リーフ「ミカヤ姉さんが小躍りしている」
シグルド「一族が増えるっていうのは嬉しいものだよ。エフラムに嫁が増え、クロムに子供が増え…
     …昔はね。君たち下の兄弟が生まれるたびにああして喜んだものさ」
クロム「心配だ…」
リーフ「へ、何が?」
クロム「ルフレの娘だぞ!そして将来は今のルキナになるんだぞ!悪い虫がつかないだろうか!」
リン「生まれて早々なんの心配してんのよ…もう」
ヘクトル「親父になったんだからどっしり構えてろよ」
エフラム「兄上、なら一足先に父になった俺が父としての心構えを説き…む…ンンには父ではなく夫として接してるからわからん…」
エイリーク「ノノにこの時代のンンができるのも時間の問題でしょうけど」

 

クロルフファミリーに幸あれ

 

以上でルキナの誕生を終わらせていただきます。
長くなりましたが読んでいただきありがとうございました。
今後のクロルフ一家をどうか見守ってあげてください。