「ソファーヤ! 一緒にお昼食べよ!」
「はい……」
ララムに誘われて、昼休みの定位置になっている席へ。
既に、いつものメンバー、シャニーとスーも待っているが、リリーナが居ない。
不思議に思いつつ席に着くと、何やら暗い表情のリリーナがやって来た。
「ふふふふ……男友達と食べるから、ですって……うふふふふ……」
察した。
「その……元気……出し、て……?」
「……ロイ君……結ばれた後のフラクラはキッツいよ……」
「他の女の子に誘われたから、とかじゃないだけ、マシ、なのかな……?」
「ロイ君は鈍感……少しマルスを見習うべき……」
リリーナの様子に、かつて争っていたとは言っても、同情する4人。
しかし、ソファーヤとしては、聞き逃せない発言があった。
「……エフラムさんも……こちらが、何を求めているか……感じ取って、くれます……。見習うなら……エフラムさん、です……」
「ん……確かに、エフラム義兄さんも、ソファーヤたちを大事にしている……。でも、マルスだって負けてない」
「むむむむむ……! た、たいちょーだって! ぶ、ぶきよーな優しさに愛があるっていうか……!」
自分の彼氏が1番コンテスト、開催。決着がつくことはない、周囲に砂糖を撒き散らすだけの、災害である。
「ねえ、リリーナ……あたし、疲れたよ……」
「ゴンザレスたち自慢であの中に飛び込む元気もないわ……」
「そう言えば、あんた女王だったわ。同情して損した。彼氏欲しい」
「頑張って探しなさいよ……ロイ以外を……」
「分かってるわよ……」
気力を無くした2人を余所に、学校有数の美少女たちによる旦那自慢は白熱し、教室の独り身は轟沈。
儚げで普段は大人しいソファーヤが、エフラムのKINNIKU語りまで始めたことは、伝説となった。その話題に限り、リリーナも復活。
なお、昼休み中ずっと議論し続けたソファーヤたちは、昼食を取り損ねた。争いとは不毛である。
授業中、ふと、進路について考える。
エフラムとソファーヤの年齢差は3つ。高校は入れ違い。同じ大学に進学しても、一緒の期間は1年間。
特になりたい職業もなければ、中卒専業主婦も1つの道だろうか。
今は家には大体イドゥンが居るが、来年度エフラムと同時に大学を受験すると言っていた。
羨ましい……。それはともかく、そうなれば家を常に守る者は居なくなってしまう。ヴェロニカは家事をしない。
なら、ちょうどエフラムとイドゥンが大学に行く直前に中学を卒業するソファーヤが、代わりに家を守るのは、好都合ではないか。
考えれば考えるほど、専業主婦が良さそうに思えてくる。
エフラムは、せめて高校は出るように言うかも知れないが、ここは紋章町。
幼女が看護師として働く町。大抵の仕事は、学歴無用。
もしも、なりたい仕事ができて、それに学歴が求められる場合も、その時に、イドゥンのように大学に進めば良い。
なら、ソフィーヤが今からするべきことは、家事力の修得、そして向上。
放課後早速、お小遣いで材料を買って、料理の練習をしよう。
「ソフィーヤ……! ソフィーヤ……! 問題当てられてる……!」
「……あ……はい……専業主婦に……なりたい、です……」
「ソフィーヤさん、それ、今のところ独身な先生への当て付けかしら?」
この後ソフィーヤは、現在プロポーズ待ちらしいセシリアに、メチャクチャ説教された。
どんな進路を選ぶにしても、ちゃんと卒業はできるよう、授業は集中して受けること。ぐうの音も出ない正論だった。
しかし、『愛しています(意訳)』と言い合った相手が、なかなか求婚に踏み切ってくれない愚痴は、生徒に聞かせる話ではないと思う。
ファ「わぁい遊んで遊んでー!」
ソフィーヤ「はい…じゃあサイファしましょう…」
アクア「ソフィーヤは面倒見がいいわね。きっといいお母さんになるわ」
カザハナ「うん、主婦向けなのかも知れないね」
ンン「生活力の怪しい母もいますが」
ノノ「ひどーい!その分子供作る方は得意だよ!」