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Last-modified: 2017-09-29 (金) 23:50:39

夕の次は夜です(犯行予告
闇リザイア(意味深

 
 

「ソフィーヤおねーちゃん! おかえりー!」
「お帰りなさい、ソフィーヤ……」
「ただいま、帰りました……ファ、イドゥン姉さん……」
 兄弟家の離れ、神将家や女帝家ではなく、覇王家の方に帰宅したソフィーヤを、ファとイドゥンが迎える。
 ちょうど花壇に水やりをしていたらしい。庭には、ゼラニウムだけでなく、ネフェニーに育て方を習った、様々な花が植えられている。
 エリーゼやサクラなど、他の姉妹たちも積極的に手伝っているおかげで、花壇には雑草1本、小石1つない。
「ソフィーヤは、お買い物……?」
「ごはん!?」
「あ……これは……。お料理の……練習、を……。イドゥン姉さん……教えて……くれます、か……?」
「ええ……。もちろん……」
「ファも! あじみやくー!」
「ありがとう……」
 無表情ながら嬉しそうに目を輝かせるイドゥンと、元気に応援してくれるファ。
 姉妹の暖かな返答に、ソフィーヤもまた、他人から見ると僅かな変化だが、顔を綻ばせる。

「あたしたちもお手伝いするよ!」
「一緒にお料理できる方が増えて、嬉しいです」
「料理は……愛情……」
 家事手伝いかお菓子作りくらいしか使わなかったエプロンを着け、髪を纏めていると、気合いに満ちたエリーゼ、サクラ、セツナが登場。
 気合いについては、エリーゼとサクラはともかく、セツナの表情は読めないが、台詞的には、多分。
「……えっ、と……よろしく、お願い、します……」
 本日の覇王家キッチンは、普段に比べても賑やかだ。

 

「む? 夕飯の支度か? いつもより早いな」
「カレーの匂いがしますです」
「訓練の後にこの香りは、お腹に来るねー」
「まったく2人とも……あたしもお腹空いたけどさ」
「わたしもです……疲れました……」
「みんな、訓練よお頑張ったけえねえ」
「……あ……エフラムさん……みんなも……」
「ソフィーヤお姉ちゃん! 袖が燃えちゃう!」
「火の近くで余所見は駄目です! ソフィーヤ姉様!」
「……! ご……ごめん、な、さい……!」
「落ち着いて、ソフィーヤ……」
「ソフィーヤおねーちゃんファイトー!」
「心はほっとに……頭はくーるに……」
 途中、エフラムたちが訓練を終えて顔を見せた際に一騒動あったが、何とか無事に、ソフィーヤの料理教室は終了。

 

 夕食に出されたカレーは、たまに不揃いに切られた野菜が混じっていたものの、それを指摘する者はなく、美味しくいただかれた。

 

 それ以降、覇王家における家事組の中に、ソフィーヤの姿が見られるようになる。

 
 

 なお、過去ネタで『料理を練習中』とあったミルラだが、訓練組と二足のわらじは不可能なため、家事組からは外された。
「ま、また……先を越されたというんですか……!」
 マジごめん。
 訓練がない日はミルラも家事に加わっていると思う。多分。
「取って付けたように……!」