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Last-modified: 2017-09-30 (土) 21:43:35

爺たちが派遣したモブメイドとか諜報員に決まっています(断定

 
 

「以上で今月の報告を終わります」
「御苦労、下がって良い」
 ガロンの指示を受け、覇王家に派遣されたメイドが退室。ここは、紋章町の何処とも知れぬ会議室。
「順調に、義息子たちは励んでいるようだな。うむ、実に良い。早よ孫」
「そればかりだな貴様は……」
「待ち遠しい気持ちは皆同じでしょう、黒竜王殿」
「キヌたちも幸せそうだし、時間の問題かな」
「ベロアも、色々と溜め込まなくてよくなってるみたいだしな。次の発情期を待たずにできちまうかも」
「本人たちが良ければ、好きにすれば良いと思いますがねぇ。後は私を手合わせに巻き込まないでくだされば……」
 白暗夜家ガロン、竜王家デギンハンザー、ロプト教団マンフロイに加え、キヌの兄ニシキ、ベロアの兄フランネル、ミタマの兄アサマ。
 覇王家妻の父兄御一同様である。
「新たな義娘も増え、これで20人。良いぞ。素晴らしいな」
「エンブラ家の娘まで惹き付けるとは、まこと、あの男には驚かされる……」
「我が教団でも家族構成すら掌握できぬ、閉ざされた一族……奇縁ですなぁ」
「一族で引きこもり気質かい? それにしても、奥さん20人とはね」
「カムイの兄なんだし、驚くほどのことでもねーだろ?」
「普通に驚きますが、カムイ様の兄だから、と言われると、納得してしまいそうですよ」
 自分たちの娘、孫あるいは妹について、メイドの報告を踏まえ、見聞きした情報を交換し合うための場。
 女帝の婿でもある3人にとっては、彼女に頼まれた情報収集の機会とも言える。
 そして、それは同時に、三勢力に加えて、カムイ・グループ総帥率いる女帝家もまた、彼らと連携を密にしている証。
 他の勢力に対する、無言の示威行為。

 

 実態はともかく。

 

「ンンが可愛くて仕方がない。ジェロームも鍛えがいがある。シャンブレーはリンと結ばれ孝行者だ」
「言っておくが、ンンはうちの子だからな」
「エリーゼもサクラもアクアもセツナもカザハナも、早く授からんものか……エルフィとカゲロウもだな。
 リョウマやタクミやレオンも。カムイに婿入りした者や、ラズワルトとピエリもか」
「まだ幼い者も居るだろう。……イドゥンや大人になったチキは、そろそろか……ソフィーヤもかも知れん。
 …………ベビー用品を揃えておかねば……。ニニアンは……夫の体調次第だな……」
「うむ、楽しみだ。本当に楽しみだ」
 ガロンとデギンハンザーが爺馬鹿を炸裂させたり。

 

「教団の情報部が、過労をEドリンクで誤魔化し、ハイテンションで仕事しておる有り様でのぉ」
「よその宗教さんは大変だねー」
「宗派は関係なさそうですがねぇ。あと、うちもお稲荷さまたちから、神社を移転してほしいなんて無茶ぶりされていますよ」
「うん? 良いんじゃない? 好きな人の傍を離れたくないなんて、キヌもそういうこと言えるようになったんだね」
「確かになあ。ベロアも、昔は俺にべったりだったのに、すっかり旦那の方に行っちまってよー」
「寂しいのかい? フランネル」
「そんなわけねーだろ。好きな相手見つけて番になるのが、1番いいんだからよ」
「まったくじゃまったくじゃ。そしてそのまま婿殿と幸せになってたまに曾孫の顔を見せに来てくれるくらいに……」
「マンフロイさん、何か別の感情が混じってませんかねぇ。
 まあ、うちの妹の場合、働かなさすぎたのが嫁入り以降は多少仕事をするようになりましたが」
「キヌもだね。遊んでばかりだったあの子が、稲荷神のお勤めを果たしているのを見た時は、驚いたよ」
 兄3人組にマンフロイが混じり、雑談したり。

 

 今日も紋章町は、フリーダム&クレイジーでカオスで、割りと平和である。