鶏が先か卵が先かみたいな話だが。
ジェミーがリーフを苛める→リーフが仕返しに嫌がらせする→怒りのジェミーがリーフを苛める→戦禍の連戦…
と、いうべき状況。
だが常識が大きくぶっとんでいるとはいえリーフもあれで正義感が無いわけでもない。
どっかでこれを断ち切りたいとリーフは思った。苛められるのも嫌だし。
そこでリーフは前に間違って盗んでしまい、持て余していたジェミーのパンツを返して詫び入れる事にした。
なのでリーフはジェミーに会うべくエレブ中に出向いた。
本音を言うとあまり会いたくない相手ではあったが。
エレブ中、覇者組の教室
ジェミー「だっるぅ〜〜、はやく放課後になんねーかなー」
椅子にもたれ掛かり机に脚投げ出してだらける姿は褒められたものではない。
不良やってて評判の悪い彼女には同級生はあまり寄り付かない。
しょっちゅうウォルト苛めてるし。
だがそれはわりとジェミーには快感だった。周りの奴らが自分にビビってるって事だし。
ジェミー「…ん…?…なんか青臭い…イカ臭い…この香り…げっ!?」
リーフ「やあこんにちは」
ジェミー「な、何しに来たし!?人の教室まで!?」
リーフ「パンツ返しにきたよ。とっちゃってごめんね」
そう言ってリーフは服の内ポケットからジェミーのパンツを取り出した。
懐に収めて人肌で生暖かくなったそれをあっけにとられたジェミーに握らせる。
なお、別に懐に入れてハァハァしてたわけではない。何も考えずにそこに入れてただけである。受け取る側の反応はまったく考慮してなかった。
…パンツの授受は同級生たちの目撃するところとなった。
周りからひそひそ話が聞こえてくる…
生徒A「……え…ジェミーさんって…こんなとこで堂々とパンツの受け渡しを…なんなの…?」
生徒B「あれって紋章町特A級危険人物の…変態こと葉っぱだよね……そんなあられもない淫行を…もしかして彼氏?」
生徒C「うわ…趣味悪っ……」
周りにビビられるのは気持ちいいがドン引きされるのは正直辛い。
同級生たちの視線に耐えられなくなったジェミーはリーフの手を掴んだ。
ジェミー「ち、ちょっとこっち来やがれバカ!」
葉っぱを教室から引っ張り出す背中に、茶化すような口笛が聞こえたのは気のせい…ではないようだ…
人のいない用具室
これで人の視線から逃げられた…
ジェミー「なんの真似よ。この変態!」
リーフ「なんの真似って…とったものを返してごめんなさいしたんだけど。いや、もう喧嘩も嫌だし和解できたらなーって」
ジェミー「ふざけんなバカ!あんなとこで堂々とこんなん渡す奴がいるか!」
怒りに任せてパンツを床にたたきつける。
リーフ「え、いらないの?君のなのに」
ジェミー「てめーの手に一回渡ったものなんかキモくていらんわあああああああ!?」
リーフ「でも僕だって貰っても困るよ!?君のじゃハァハァできないし自家発電もできないし!?」
ジェミー「鳥肌立つこと言うな!潰れて死にやがれ!」
膝が飛んでくる。細身の剣を狙って。
だが何度もやられているのでその狙いがわかったリーフはそれを回避した。
FEにおいて敵に攻撃躱されるのは結構イラッとくる。ましてジェミーはただでさえ短気で粗暴だ。
ジェミー「逃げるなコラァ!」
リーフ「うわっ!?ちょっと!?」
とはいえ狭い用具室の事。手を伸ばせば届く距離にいる相手。
ジェミーが強く襟首掴んだ拍子にリーフはすっころんだ。ボタンが取れてシャツがはだける。
こういう時の喧嘩の基本はマウントを取る事。要は馬乗りだ。相手の抵抗封じてかなり有利な位置取りだ。
リーフのお腹の上に座ったジェミーはさあどうしてやろうと嗜虐的な笑みを浮かべる。
鼻にストローでもつっこんでやろうか。それともチョークでも食わせてやろうか。なんてひどいやつだろう。
ガラッ
ウォルト「セシリア先生に頼まれてたホワイトボードってここにあるのかな…あ…」
リーフ「あ…」
ジェミー「え…」
彼が見たものは、仰向けに寝転んだリーフと、彼に馬乗りになってシャツの襟首掴んで服を剥いでる(ように見える)ジェミーだった。
傍からは何をしてるように見えるかは…まあナニだろう…
ウォルト「ご…ごゆっくり…」
そう言って彼は去った。
ややあって…
ジェミー「ちちち、違うんだってばああああ!?」
彼女の叫びが響く頃にはエレブ中にはあらぬ噂が広がっていた。
ジェミー「ぜんぶてめーのせいだ!許さねーぞ葉っぱぁぁぁ!?」
リーフ「え、これ僕が悪いの!?」
おしまい