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Last-modified: 2017-10-15 (日) 22:14:48

ミネルバ「すまない、待たせたか?」
ユリア「いいえ、時間通りです」
ラナ「突然の呼び立てに応じて頂き、感謝します」
ミネルバ「大丈夫だ、ちょうど都合もついたからな、えーと……」
ユリア「ああ、そうですね、先に自己紹介させて頂きます。私は竜王家のユリアと申します」
ラナ「私はユングヴィ家のラナ」
マナ「ラナ様にお仕えしているシスターのマナと申します」
ミネルバ「そうか、呼び立てた以上知っていると思うが私はマケドニア家のミネルバだ、それで、私を呼んだ理由だが……」
ユリア「そちらで働いております、セリス様の事です」
ミネルバ「セリスの……君達は一体……」
マナ「私達は……セリス様の、学友です」
ラナ「単刀直入に聞くが、ミネルバさんはセリス様をどう思っておられますか?」
ミネルバ「成程……あの子は、素直で、優しく、働き者でとても良い子だ……私個人の感情で言えば、妹にしたい位だな」
ユリア「妹……ですか」
ミネルバ「む……何かあったか?」
ラナ「そうだな……セリス様を妹に、流石に無理な話です」
ミネルバ「それはわかっている、あの子には大切な家族がいるのだから」
マナ「それもありますが、問題はそこでは無いんです」
ユリア「セリス様は妹にはなれません、セリス様は……男性ですから」
ミネルバ「は?」
ラナ「混乱するのも無理はない……確かに可愛いらしいお方だが、あの方は、歴とした男性だ」
ミネルバ「え……な……?」

 

 混乱しながら色々考える、だがその内に脳裏に浮かぶものがあった。
 大元はとある事情から此方からの依頼で雇った彼だが、形式として履歴書は書いて貰っていた。
 その履歴書の性別欄……よくよく思い出せば男性に○がついていた。それにそのため始めは男性用の制服が支給されてたのだ、それが変わったのはいつの頃からか……
 ………思い出した、丁度その頃、エストがおふざけで可愛らしい彼に女性用の制服を着せたのだ。
 そしてその頃に店を視察し彼と顔を会わせたため勘違いしてしまいそのまま続いてしまったのだ。
 そのように考えが纏まってきた頃……

 

ユリア「気持ちは落ち着かれましたか?」
ミネルバ「待っていてくれたのか」
ラナ「あの方の性別を知った者は大抵混乱するか貴女の様によくよく記憶を探るか、或いは頑なに現実を認めぬ愚か者も多くいる」
ミネルバ「成程……取り敢えず纏める時間をくれたことを感謝する」
マナ「いいえ、それでそれを知っての結論は出ましたか?」
ミネルバ「そうだな……」

 

 目を閉じ再び考える、彼女……いや、彼が男性と言うことは確かに驚いた。
 だが、それが彼の見方を変える理由になるだろうか?……いやない。
 彼が素直で優しく、働き者で気遣いもできる可愛らしい少年……いや、言ってしまおう、マリアとはまた別の天使であることには変わりが無いのだ。

 

ミネルバ(………あれ?)

 

 そしてそれを自覚した途端生まれた想い……再び思い出す。
 笑顔で働く彼、お客にナンパされ赤面し戸惑い、それでも一生懸命対応しようとする彼、そして疲れ、荒む自分に気遣ってくれる彼。
 そんな彼の姿を思いだし考えていくうちに自身の胸が暖かくなる、同時に顔が熱くなっていくのを自覚した。

 

ミネルバ「こ……これは……この感じは……///」
ユリア「ミネルバさん……やはり、貴女も、セリス様を?」
ミネルバ「そ……そんな……」

 

 信じられない思いが強い、先程彼の性別を自覚したばかりなのだ。
 今まで妹扱いしていた、そんな相手に?自分は、そんなチョロい女だっただろうか?

 

ラナ「無理もありません、突然のことでしょうから」
マナ「それでも、その想いは、私達は自然だと思いますよ?」
ミネルバ「そ、そうなのか?」
マナ「はい、今までセリス様を妹にしたいと思っていた……それは自分のものにしたい思いがあったのですよね」
ミネルバ「そ、そうだな」
マナ「それが男性相手に変わったならば……それは弟扱いに変わるか、その想いが好意に変わるかだと、私は思います」
ミネルバ「そうか……だが、事実なのだろうな、私は、あの子が、好きだ」

 

ユリア「……やはり、大人としての余裕でしょうか?
    素直に、想いを出せるのですね」
ミネルバ「む……それは、君達も?」
マナ「はい、私達も、セリス様をお慕いしております……しかし……」
ラナ「あの方を前にするとちゃんと想いが出せずに……そのためあの方からは友達としてのまま進展できませんでした」
ユリア「その結果、以前はお互いで争う事も多く、その間に、私の兄の方がセリス様に近かった程です」
ミネルバ「成程………それで、何故それを私に聞かせるんだ?」
ユリア「お願いです……私達と共に、あの方への想いを伝えて下さい」
ミネルバ「………何故だ?君達にとってみれば私はライバルだろう?」
ラナ「先程話した様に争うだけでは最早不毛な段階に来ています。
   私達もそこから脱却するつもりであの方に想いを伝えようと思っていました。
   その際、貴女の噂を聞いたのです、そして、できるなら、共に伝えられるよう、話をさせて頂いた次第です」
ミネルバ「そうだったのか……………好きな人を共有する……か、マリアも、こんな気持ちだったんだな」
マナ「やはり……ダメ……ですか?」
ミネルバ「いや、すまない、しっかり考えていたんだ……
     君達の提案、受けよう、私も、君達と共に、あの子への想いを伝えよう」
ユリア「い………良いのですか!?」
ミネルバ「ああ、今回君達と話し合って、君達となら、あの子を共に愛しても良いと思った。だから、これからもよろしくたのむ、ユリア、ラナ、マナ」
ラナ「あ、ありがとうございます」
マナ「ありがとうございます、ミネルバ様」
ミネルバ「ああ、そうなると機会だな、近い内にまた彼を食事に誘うとしよう、その際にみんなで告白することで良いか?」
ユリア「は、はい、そこまでして頂いて、ありがとうございます」
ミネルバ「構わない、代わりに君達も、しっかりと伝えるんだぞ」
3人『わかりました』

 

 想いを留めていた者達が今動き出す。

 

リーフ「僕もそろそr(除草剤

 

サラ「え!? セリス義姉様の方も動いた!?」
メイドX「はい。竜王家メイドが、ユリア様がミネルバ様を呼び出された件を噂しており、調査したところ」
サラ「あの3人が……特に、ユリアとラナが手を組むなんてね……。
   周りがどんどん先に行って、覚悟を決めたのかしら」
メイドX「おそらくは。……ファ様や、同じ争い合う状況だったソフィーヤ様、ニニアン様の進展も大きいかと」
サラ「何にせよ、この機を逃す手はないわね。不安要素は全て排除しなさい。
   告白当日にユリウスがフォレオと会うよう調整を急いで。リーフがミネルバ目当てで近付いたら、実力行使で構わないわ」
メイドX「武装及びスキルの制限は、如何いたしますか?」
サラ「当然、無制限よ。錬成クリスナイフ四牙蛇毒死の吐息滅殺、全て許すわ。
   失敗は再訓練、と総員に周知しておきなさい」
メイドX「全力を以て任務完遂いたします!」