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Last-modified: 2017-10-18 (水) 22:42:08

セリス「ごめんなさい、遅くなりましたか?」
ミネルバ「いや、呼んだのはこちらなのだ、それに約束の時間には間に合っているぞ」
セリス「そうですか、でもいいんですか?こんなに何回も食事に誘ってもらって……」
ミネルバ「ああ、前にも話したが、お前は有望だ、そんな相手とは交流を図っておきたい、自然だろう?」
セリス「ありがとうございます♪ それで……これなんですが……」ゴソゴソ
ミネルバ「? なんだそれは?」
セリス「いつも誘ってくれるのでお礼のクッキーです、召し上がって下さい」
ミネルバ「ひょっとして、これはセリスの?」
セリス「あ、はい、お菓子作り得意なんです」
ミネルバ「そうか、本当に優しい子だな、君は」
セリス「そうですか?」
ミネルバ「ああ……丁度他の者も来たようだな」
セリス「え? 他に呼んでたんですか?」
ミネルバ「ああ、来てくれ、此方だ」
ラナ「失礼致します」
ユリア「こんにちは、セリス様、ミネルバさん」
マナ「こんにちは、よろしくお願いします」
セリス「ユリア! ラナにマナも、ミネルバさん、3人と知り合いだったんですか?」
ミネルバ「ああ、少し前に仲良くなったんだ」
セリス「そうなんですか」
ミネルバ「それで本題なのだが、まずはセリス、今まですまなかった」
セリス「え!?何でいきなり謝るんですか?」
ミネルバ「彼女達から聞いた、少し前まで、私はお前を女の子と思っていたんだ」
セリス「あ……そうだったん………ですか」
ミネルバ「男でありながら女の子扱いされるのはとても悔しかったと思う、本当に申し訳ない」
セリス「いいえ、気にしないで下さい……もう、よくある事ですから。
    それに、僕、顔がこんなだし、可愛い物大好きだし、間違われても仕方ないなって思うところ、よくあるんです」
ミネルバ「しかし……」
セリス「それに、今とても嬉しいです」
ミネルバ「何?」
セリス「間違っていたと言っても、それが間違っていたことに気付いて、訂正して、謝ってくれたの、ミネルバさんが始めてなんです」
ミネルバ「そうか」
セリス「だから、ミネルバさんの謝罪、受け入れます。
    そして、ありがとうございます、僕に気付いてくれて」
ミネルバ「私の独力じゃない、この3人が教えてくれた事だ」
セリス「それでもです、それとみんなもありがとう」
ユリア「いいえ、セリス様の正しい姿が見られるのは嬉しいですから」
ミネルバ「それで、お前を男として、伝えたい事があるんだ」
セリス「? 何ですか?」
ミネルバ「私は………お前が男として、好きだ!」
セリス「……………え?」
ミネルバ「突然何をいっているかと思う、だが、私のこれは私の偽りなき想いだ」
セリス「……ど、どうしてなんです?」
ミネルバ「お前は常に一生懸命に働いていて、気遣いもできる子だ。
     勝手ながら、お前の事を我が店の天使だと思ってた、そしてお前を男性だと知ってから、お前が欲しい、お前の側にいたいと思ったんだ……」
セリス「そ、その……」
ユリア「その、私達からも良いでしょうか?」
セリス「え? 何?」
ユリア「セリス様、私も……いえ、私達も、セリス様の事、好きです!」
セリス「え……ええ!?」
ユリア「今まで幼馴染として、ずっと側にいました。
セリス様は妹の様に見られていましたが、私は……時を経る毎に、男性として貴方への想いを募らせていました」
ラナ「私もです、常に頑張っている凛凛しい姿にずっと惹かれておりました。」
マナ「私も……私みたいな地味な平民娘が思っては迷惑と思っていますが、抑えることはできません。
   セリス様、私も貴方を、愛してます」

 

ミネルバ「突然で戸惑っているかもしれない……お前は、どうだろうか?」
セリス「……………」ポロポロ
ユリア「せ、セリス様!?」
ミネルバ「セリス……その、泣くほど嫌だったのか?」
ラナ「そ、そんな……」
マナ「……セリス様」
セリス「ヒクッ……ご、ごめんなさい……嫌じゃなくて……僕、嬉しいんです。
    さっきも言ったけど、僕、こんなだから、女の子に見られてばかりで、彼女なんて絶対にできないって思ってたから……」
ラナ「そんな……」
セリス「だから僕、男同士の友達と遊ぶ方をしようと思ってたけど、男の子もそう見てきて……唯一ちゃんと男として見てくれたの、ユリウスだけだったから……」
ユリア「だからお兄様と……」
セリス「だから、こんな事言われたの始めてでつい……ごめんなさい、こんな泣き虫な情けない姿を見せて……」
ミネルバ「セリス……頑張ったな」ギュ
セリス「ふぇ!?」
ミネルバ「お前の深い悩みを誰にも言えず一人で考えて、自分なりにやれることをやって、頑張ったな」
セリス「ミネルバさん……」
ユリア「それに、セリス様が情けないなら、私もそうです」
セリス「え?」
ユリア「さっきも言ったように、私はずっとセリス様が好きだったのに、言い出せずにいた弱虫です。
    それで、セリス様をずっと苦しめてしまいました」
ラナ「この際ですから告白しますが、私達はそんなユリウスに嫉妬しており、貴方に好かれる彼に八つ当りすることもありました。
   その醜さと比べれば、セリス様はずっと清らかです」
セリス「そう……だったんだ……ごめん、僕が勇気を出せなくて」
マナ「セリス様のせいではありません、私達が……」
セリス「でも……」

 

ミネルバ「みんな、少し落ち着け、話がずれて来てるぞ、目的は謝り合うことじゃないだろう」
4人『あ……』
ミネルバ「改めて言おう、セリス、私達はお前が好きだ、私達の事をどう……思っている?」
セリス「その……さっきも言いましたけど……僕、みんなにそう言ってもらえて嬉しいです。
    でも、僕は誰か選ぶことは……」
ユリア「セリス様、私達は、セリス様に思って頂けるなら、4人みんなでも構いません」
セリス「そ……それって兄さん達みたいに……みんなは、それでいいの?」
ミネルバ「セリス、私の妹のマリアのことは、知ってるだろう?」
セリス「あ……その、彼女は、マルス兄さんに……」
ミネルバ「今になって、あの子の気持ちが解ったよ、本当に好きなら、何をしてでも側にいたい、だから私は、お前の側にいられるなら、5人で一緒でも構わない」
ユリア「私もです。私も、みんな一緒でも、愛する貴方の側にいたいです」
ラナ「私も、そう思っています」
マナ「私も、ミネルバ様と、ユリア様と、ラナ様と共に、セリス様のお側に……」
セリス「みんな……ありがとうございます……
    ミネルバさん、ユリア、ラナ、マナ……僕も、みんなが大好きです、どうか、僕と、お付き合いしてください」
ユリア「セリス様……喜んで、お請けいたします」
ラナ「ずっと、その言葉を待っておりました。」
マナ「貴方の事、永久に、愛し続ける事を誓います」
ミネルバ「私も、側にいて、お前を守ろう、セリス」

 

 4人より愛の言葉を受けた彼は、必ず彼女達を守り通すと誓った。その顔は、誰よりも凛凛しい、男の顔であった。

 

終わり