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Last-modified: 2018-01-13 (土) 21:57:38

・作中現実のものと違うところがありますがフィクションとして見てください
・キャラの口調と性格が異なる(改変もしくは崩壊)してるところも
・またオリキャラが登場しますが注意をお願いします
・一部物理無視の描写が有るため此方も注意を
・作中の時期は夏です(重要?)
以上の内容が苦手の方はスルーをお願いします

 

第2ラウンドが始まった
ロイはオープニングラウンドを75%のペースで回って行き、一周でコースの攻略の感覚を
体感しつつ
またこのラウンドをクリアするラインを走りながら探っている
第2ラウンドは600クラスはセカンドチーム(所属チームの下位クラス)ながら世界で活躍するプロがおり
われ先と上位を目指し、優勝の第一歩を着実のものにせんと早くも最速のタイムを更新してゆく
ロイも負けじと挑むが、今限られた時間の中で上位を目指すのは分が悪く
下手をすればマシンを傷めてしまい、仮に最終ラウンドを走るも
本調子を出せずじまいになりかねない
ゆえにロイは第2ラウンドを80~90%のペースで上位を目指さんとしていく
監督にも事前に話し合うと、今後のことを考えてOKをくれた
ロイは自分でリミッターを設けて走ってゆく
最終コーナーを抜けロイはアタックを始める
(一周走って見たが、頭の中でシミュレートしたラインで行こう)
「監督、タイムアタックはじめます!」
「OKロイ、本領発揮出来ないが通過点(8位以上)を目指してくれ」
ホームストレートを210Km/hで行き、第1第2コーナーを道路の中央線をアウトに見立てながら
マシンを流してゆく
ペースを落としている分マシンをインのギリギリまで攻め込む、というよりは安全運転みたいなものだ
全力を出せばそうは行かず、一瞬のミスも許されない状況で無謀な駆けをするのは本番でしかない
予選は優勝へのパーツの大事な土台だ

 

ロイやデニムが引っかかった”あり地獄の曲がり角”を抜け後半セクションのダウンヒルへの
コーナーの入り口で青旗(後続より速い車が来てる合図)が振られた
合図を確認するとアクセルを戻し、後続の速いマシンに道を譲ろうとアウト側に寄せる
後続のマシンをサイドミラーで確認する、そこにはあの男が所属するチームのマシンが写った
(あれはオズのチームの・・・いや、第1ラウンドでオズは走ってなかったから
 オズのようだ、あれは)
(おやおや、あれは腰巾着君じゃありませんか。・・・!フッ、いい事思いついた)
ロイの後姿が見えたオズは、獲物を見るかのように下種めいた笑みを浮かべつつ追い抜いた
そんなことを露知らず後続を譲り終えた後ロイは再びアクセルを回し始め
自分のペースを維持しながら、マシンを駆け出してゆく
しかし、前に出たオズのマシンはロイが来るであろうシケインの入り口を抜けた所で速度を緩め
進入してきたロイの前にぴったりと速度にあわせ、またロイのノーズより5mの位置に
ロイを待っていたかのように前にくっついた
(オズ・・・僕の前に出たのにペースを落とした。それに、態々僕の前に・・・
 ・・・挑発のつもりでのブロック行為か?)
挑発行為に、ロイは鼻で息を吐き、デニムはモニタ越しに舌で音を鳴らす
スピードを落とした相手を無視するように、自分のペースで描くラインを走ろうとする
だがその矢先、オズはロイがインに入ろうとするも閉めるようにインに入ってゆく
(ブロックか)
またアウトに抜けようとするもまた閉めるように向こうもアウトへ脱出する
まさに妨害行為スレスレでロイ達をイライラさせてミスを誘おうとしてる
(まずい、オズは僕にミスさせようと苛立ちや焦りを募らせようとしてる
 それに第2ラウンドまであと数分しかない)
彼是連れず離れずの走行で回り始めて数十分経過している
現在11位というポジションにおり、このままでは最終ラウンドに出場できなくなる
スピードを落としたら意味は無く、上げてしまえばその後に影響する
こうしてる間にも時間は刻々と過ぎてゆき、終了までの時間がもう無い
最早ここまでかと思いメンバーは目を曇らせてゆく

 

しかしそうは起きなかった

 

オズがロイがもうあきらめてる姿を見て、第2ラウンドも終了の数刻のときだ
『オズ、お前は何をしている!』
オズの所属するチームから通信が入った、そこから来たのは怒鳴り声だ
「監督・・・。一体なんですかこっちは」
『今オフィシャルから注意勧告が出たぞ、モニター越しでお前が妨害スレスレの行為も見てるぞ
 これ以上今の行為をすればグリッド降格だ。
 遊んでないでさっさと、ペースを上げて順位も上げて来い!』
監督とオフィシャルからの注意によりその指示を受けざるを得なかった
いくら彼でも、落ちてゆくことは流石にごめんである
監督の注意を受けたせいか、オズは通信が終わると表を出さずに舌打ちをする
しけた面をヘルメット越しでやると、いやいやながらグリップを回し始めた
スピードを上げ始めた様子を見てロイは理解した、どうやら注意勧告があったみたいだと思い
ロイはアクセルを強く回し、遅れたぶんを取り戻そうとする
『ロイ、今遅れた分を取り戻すのか?やるのは構わんが
 あまり無茶するなよ、着実に上げていくのも大事だからな』
「わかりました監督。残り時間行けるとこまで行ってみます」
イーライからの通信を受け、ロイは第2ラウンドを切り抜けると伝える
11位から何とか基準順位の8位を目指そうとし、速いラインを考えて描く暇も無いため
再び攻め始めてゆく
焦りが募り、コーナーでオーバースピードやアンダーコーナリングが出ることもあった
それでもロイはあきらめず、第2ラウンドを抜けるために力を入れてゆく

 
 

第2ラウンド終了にてチームの順位は8位に終わり、間一髪最終ラウンドへ持ち込めた
ピットに戻ったロイは、ヘルメットを脱ぎスタッフ達に頭を下げた
「すいません皆さん、引っかかってこんな結果になってしまって・・・」
「気にしないでロイ、何とか持ち込めたことにホント感謝してるよ」
「そうだ、最終ラウンド開始まで10分ある。
 少し休んで対策を作れる時間には十分だ、ロイ」
「最終ラウンド頭は俺が出るから次はお前に任せるさ」
イーライやスタッフはむしろ感謝するといわんばかりだ、デニムからも激励をやってくる
最終ラウンドの時間は1時間とあり、600クラスは二人のドライバーが交代ヶヶでアタックを仕掛ける
ルールとなっている
また1000クラスは惜しくも9位という結果に終わり最終ラウンドへは持ち込めなかった
いまスタッフは600クラスに集中し少しでも順位を上げようと、マシンのチェックに取り掛かってゆく
「デニム、ロイ、最終ラウンド目標はポールポジションを目処に目指せ
 ここまで着たからには必ず優勝を目指すぐらいの気概で行け。」
「はい」「了解」
予選最後の指令を出すイーライは、二人に気合を注入させるほどの気でいた
無論二人もここにいる以上、負けるわけには行かないと気を引き締めていく
デニムは最初に走るためマシンの状態をスタッフと話し合い、細かい調整をスタッフに指示する
そして調整が終わると、マシンにまたがり深呼吸をしていく
ロイは次に走るため、第2ラウンドでの自分のタイムを参考にさらに走った感覚を
思い出しながらイメージトレーニング、さらにタイヤの状態をチェックしてゆく

 

最終ラウンドが始まる1分前、デニムはピットレーンへ向かっていき準備を整える
するとオズのチームから一台デニムの間近でマシンを止めるライダーがいた
無論何度も見てるそのスーツに、デニムは目を細めていく
(お出ましのようだな・・・オズ)
学生時代から今にかけて何度も戦った仇敵、最早今の彼にとっては見飽きたぐらいの清算すべき相手だ
デニムはヘルメット越しに彼の姿を睨み見つめていき、オズも格下の相手を見下し睨み返してゆく
互いが互いに黒い火花を散らしながら、だ
『デニム、出番だぞ』
「了解」
イーライからデニムの出番を伝えた後、スタート位置につく
シグナルが赤になり、アクセルを回しながらエキゾーストやエンジンを高ぶらせてゆく
またコースの正面に一点集中し、自分を高めようと静かに待っている
赤から青に点灯し、力強くアクセルを回し、第一コーナーへ駆けて行く
一周周りタイムアタックが始まると、ギアを上げてホームストレートを後にした
第一ラウンドと同じくアウトインアウトを意識しながら旋回、つづく90°の2連続も同じく
立ち上がった後も100km/h前後をキープしながら続くコーナーへ進入してゆく
また第1セクションを抜けた後はマイナスコンマ3秒上回り1位に躍り出た
『いい調子だ、このままキープして攻めろ!』
「了解、・・・いけるこのままなら」
このままの勢いで第2セクションに入り、ギアを上げスロットルを限界までまわそうとした
しかし後方より追い上げてきた2台のマシンが、デニムに迫ってゆく
「あれは、オズ!?そして1000クラスのあいつのマシン!?
 どうやって追い上げてきたんだ!?」
サイドミラーからオズの所属するチームが差し迫って来ており、またその2台の内
1000クラスがデニムを追い抜いた、そしてオズは後ろに張り付き
まるで背後霊のようプレッシャーと寒気で精神攻撃していく
なぜかと疑問に思いつつもデニムは前に目を向けて、攻め続けていく
”アリ地獄の曲がり角”ではトラップに掛からなかったが、逆に少しずつ差を縮められていく
離そうとするも離れない状況に、徐々に焦りが募っていき始めた
(くそっ、離れない!まるで背中に銃を向けるかの様なプレッシャーだ
 まさに「射程圏内に・・・入ったぜ!」と言わんばかりに!)
サイドミラーを見る回数がシケインに入るまでコーナーを抜けるたびに確認していくも
その姿に気味悪さと同じく、オズの強さを肌身に震え始めてきた
このままで終わるのかと思いもはじめた
しかし
(ここまでの苦渋を山ほど味わってきたんだ
 いまさら引き返せるか!やれるものやら、やってみろオズ!)
逆に恐怖を克服することを大事とし屈辱を味わってきたデニムは、彼のプレッシャーをはねのけ
サイドミラーを確認しながら前へ集中した
ダウンヒル最後のコーナーを抜けアクセルを命いっぱい回していく
6速全開、230km/hで駆ける陸橋下の最終コーナーへつづるバックストレート
ここからが勝負と思い、デニムはストレートエンドの間近でブレーキレバーを硬く握り締め
ペダルを踏み抜くぐらい掛け、ギアを5,4,3,2とタイミングよく落とす
そして体重を傾け進入していく
だが、ここでデニムは目を見張ってしまった
それは、オズが同じくフルブレーキングを掛けるが、デニムよりさらに内側へ攻めて行った

 

デニムがオーバーテイクされてしまった

 

(ふっ、負け犬が・・・)
(・・・くそっ、ダメか!?)
オーバーテイクで順位が入れ替わり、オズが前に出るのは最早必然であったのを確認した
だが、ここでオズのほうに異変が起きた

 

(・・・!何だ!?オーバースピードッ・・・!?)
最終コーナーの脱出時にオズはオーバースピードを出したせいかなのか、オズはアウト側に膨らみ
かつそのスペースが空けられてゆく
またその反動もあって、マシンが壁ギリギリまで迫ってきており
思わずブレーキを壁にぶつからないように刻みながら掛けてゆく
(あいつが滑った・・・?今なら!)
これを好機と思いデニムはスロットを軽く回し、オズにオーバーテイク返しを行った
デニムを横目になぜ追い抜かれたかを模索すると一つの答えが浮かんでゆくオズ
(クソッ、タイヤが完璧に温まってなかったか、
 その上どうやら微量のオイルがイン側に落ちてたからこんなことになったか)
オズはデニムに追いつく前に、同じチームの1000クラスのマシンでスリップストリームに入り
タイヤを十分に温めなく追いつこうとしてた
予選最終ラウンドでタイヤウォーマーをレース前に着用したが、まだ温まってないこともあってか
十分に性能を発揮しなその一例だ
またオイルがあった事も気づかないまま、インに閉め、それに乗っかったため滑ったのだかった
オズも、タイヤが温まってなかったことを悔いつつ、オイルに気づかなかったことにも歯軋りをする
前に出たデニムを見るともう一度抜き返そうと試みる
(たかが抜き返しただけでいい気なるな
 こっちはベテランチームの技術が乗っかってるマシンなんだだ
 そんな、3流品のマシンと桁の違いを今見せてやる!)
2台がホームストレートのセンターラインを抜けたとき、タイムはすさまじいものだ
オズはトップとの差は1秒近くに縮められ、デニムはオズのタイムをコンマ5秒を上回った
予選でありながら二人のバトルはまるでレース決勝のように白熱したものだ
二人だけの因果があるだけに、今この時の中心は彼らである
そんな様子を固唾を呑んで見守るスタッフとロイ、彼らのクリアラップ合戦は20分も続いた

 

「・・・すまんロイ、イーライ、熱くなりすぎた」
「お前はホント何やってんだ、せっかくの作戦がぱぁになったぞ」
「あんな状態じゃ仕方ありませんよ監督、デニムさんお疲れです。
 それじゃ、行ってきます」
残り30分になりデニムはピットに入り、ロイと交代していった
ロイは準備万端であり、タイヤ交換と給油を終えた後、ピットレーンへ走り出しりだした
先ほどのバトルでデニムは3位、オズは4位というタイムに終わった
予選のタイヤはロイとデニムのを合わせて4セットあるが、決勝も使うことも考えて
互いに1セットを使用することにしたが、先ほどのバトルでせいでタイヤを2セットも消費して
しまったため、ロイは息を吐くのをこらえていった
予選と決勝のタイヤはクラス全般と合わせて本数はそこまで多くなく
タイヤやマシンのことを考えて走っていくのが肝となっている
前半のバトルで、マシンを全開にさせたデニムはやりすぎたと思いロイが走り去っていくのをみると
スタッフからなじられながら、モニターを見つめてゆく
デニムはロイの走りを何度も見てきたが、最終ラウンドもあってかいつも以上にペースを
あげているように見えた
また、自分との走りの違いや、コントロールをこの目でしかと見ようと目力を入れてゆく

 

(走ってもう20分、一向にタイムが伸びないな
 ・・・といってももう現在クリアタイム6位だからか、きびしくなってきた)
ロイは現在のタイムを電光板を見て確認するが、トップとの差は1.4秒のタイム差がある
現段階で行けば、決勝は4位スタートとなるが優勝へ手を伸ばすためには
より上の順位を目指すしかない
またこの15分でオズのチームはポールポジションに躍り出た、デニムというお邪魔虫が消えたことと
ロイという三下がいるおかげでのびのびとタイムを伸ばして着てきた
残り10分だが向こうも頭打ちか、積極的なアタックはしてこなかった
彼らに自分達は最早眼中に無いという感じだ、しかしロイはそれと同時に作戦の一つを考えてると見ている
(向こうはピットに入ってマシンの温存か、クリアラップが出ない以上
 決勝に向けての策を考えてるな、こっちも温存を考えていたが
 ここは、最後の足掻きをやってみよう)
そう認識したロイは、決勝のために温存を考えようと思ったが
デニムやイーライをはじめチーム全員の必勝を築き上げたいと思い、残りの時間で勝負に出た

 

「あぁくそっ、あいつらがトップに・・・」
「まだ残り7分あるよ、ロイがどう出るかによって自分達も変わるからね」
「ここはあの子に期待するしかないな」
デニムはオズがトップに躍り出たのを見ると、指爪をかんでゆく
その様子に周りのスタッフはなだめてロイに、期待を向ける
デニムは今、彼に頼らざるを得なくなる状況だ。それと同時にデニムは期待されていくロイに
指爪をさらに強く噛んでゆく
一方、ガレージにマシンを戻し、ヘルメットを脱ぐオズ
汗ばむ顔をタオルでぬぐうと、監督と会話をする
「オズ、どうしたんだ?」
「これ以上のクリアタイム取ったら、マシンに影響が来るので
 温存を考えて戻りました」
自分にとって最善を考えての行動を取ったオズに、監督は理解を示してゆく
しかし、今彼の目先にあるのはモニター、しかもロイの走る姿だ
「どうやら、足掻きをやろうとするやつが来るぞ」
その台詞に、オズはピットウォール越しにコントロールラインを駆けるロイを見下すような見た
(足掻くか、無駄なことだな・・・)
そう思いながらオズはガレージのほうへ歩いていった

 

(もう時間が無い、100、いや120%の走りで行くしかない!
 頼んだよ『レウス』、君の心臓が頼りなんだ)
残り2分、ロイはこれがラストチャンスと思い本気の足掻きを始めてゆく
今走るマシンを自分でつけた名前で呼んでゆく
ホームストレートを230で抜けると、そのまま第一の高速コーナーをアウトインで入ると
出口のアウトをオズの脱出時のタイミングより1テンポ速めに脱出した
脱出の際目の前に壁が迫るも、アクセルを微調整しながらコーナーワークしたこともあってか
外側の縁石より3センチの位置まで寄せてきた
「おわっ、ラインギリギリ」
「高速コーナーをあそこまで、あいつ頭のねじをはずし始めてるのか!?」
ガレージにいるデニムとスタッフは今のところに目を見張ってゆく
第一コーナーを抜けたところのギャラリーも思わず後退りした
90°の2連続、エンブレを使いながらブレーキング、5,4,3とギアを落としていくと
今度はヘルメットがフレンチキスするぐらいインのギリギリまでラインを狭めて行き
立ち上がりにも同じくボディにくっつかんばかりに抜けていった
「・・・おいおい完全に本気になってきたよあいつ
 おいロイ、マジになりすぎて大事なマシンと自分をぶっ壊すなよ
 それから、やれるとこまて思いっきり行って来い」
「了解」
中速コーナーを攻略中にイーライからの通信が入り反応するロイ
その言葉を聴き、ロイは足のつま先に力を入れてゆく
第一セクションを抜ける、タイムはオズよりコンマ3秒速く抜けて行った
「な、何ぃ!?」
モニターのタイムを見て思わずわれを疑う、自分より速いやつがいることに
そして、思わず奥歯をかみ締める、自分よりしたなやつに負けることに
第2セクションのダウンヒルに入りアクセルを回す、やがてシケインの入り口に入りかけるとき
70m手前でブレーキを仕掛けた
ギアを落としエンジンが高鳴る、体を倒し入っていく
だが後ろはどこか離れていくような感覚を感じた、リアタイヤのグリップが落ちてる
それでも、マシンをコントロールをする、インはまたも壁より2cmの進入
シケインでは観客やスタッフはまるで直線ドリフトのようにまっすぐ入っていく
この地点でオズはコンマ7秒差に広げた
思わず観客も驚きの声も上げてゆく、彼のすばやい走りに誰もが注目してる
1000クラスがメインの耐久レースに600クラスの特異点が登場した
ロイは第3セクションに入ると前方より青旗が見えた
瞬きで後方を確認するも、該当車両は居らずおそらく前方だと想定しスプーンをアウトへ進入する
すると前方のアウトにスローダウンしたマシンが存在した
大方予測したとおり、ロイはインへ旋回して譲ったマシンに軽く会釈をする
そしてダウンヒルも終わり、最終コーナーへの陸橋下のバックストレートでスロットルに力を入れる
最終コーナーアウトから入り体を傾ける、ブレーキレバーとペダルをを旋回中に刻みながら入れ
まるで多角形のような感じでまわっていく
脱出した後再び全開にまわし、上り坂をマシンをしがみつくかの如く
空気抵抗を極力減らすような感じだ
コントロールラインまであと100m、ロイは限界を超えるつもりでまわした

 

コントロールラインに金属と風が走った、最終ラウンドの終わりの鐘がなった
ロイのタイムが電光板に鈍く照らし出された
一人は驚きを示した、一人は笑みを浮かべた、一人は奥歯をかみ締めた
そして観客は彼のタイムに歓声を沸かせた

 

2:32.102

 

トップのオズの2:33.769を上回りトップに躍り出た
「うおおおおおやったああああっ!」
「すげぇよロイ、トップに出たよ」
「しかもトップとの差が1.5秒上回ったよ!」
チームのスタッフ達も驚愕と歓喜を分かち合った、嘘ではない事実に
「やったなロイ、トップだ!」
「・・・え、本当ですか!?・・・ぃよし!」
通信越しのイーライからの報告にロイは左手でガッツポーズを突き出した
だがここでマシンをふらふらさせてしまいあわててブレーキをかけ体制をもどす
(あ、危ない危ない・・・)
思わず苦笑いをこぼしていき、ペースを落としてガレージへ戻っていく
ピットレーンへはいりガレージに入るロイ
メンバーがわっとなってロイに駆け寄った
喜びの興奮が冷めやらぬせいかスタッフや他のライダーからの
ひっぱたきで思わずたじろぎ、こけていった

 

「痛いですよ皆さん!」
「だってこの状況を喜ばずに入らるかよ!?」
叩かれて大声を出していくロイ、喜びの感情を抑えられないスタッフ達は最早歯止めが利かない
するとレーンの方から、手を叩く音がした
「はいはいそこまでにしとけ、今喜ぶのはわかるが
 勝負は明日明後日だ、はしゃぎすぎて浮かれるなよ」
イーライがはしゃぐ様子ととめると同時にスタッフ達に注意をしていく
するとロイの方へ歩み寄り、肩を叩いていく
「よくやったなロイ、まずは大金星だな」
「いえ、ここまで後押ししてくれた皆さんのおかげですよ」
「謙遜するなっってぇ!」
「・・・痛いですよ監督!」
イーライから強く背中を叩かれて、またも大声でとめようとする
そんな彼らと喜びを分かち合い、ロイはデニムに向かった
「デニムさん、やりましたよ
 後は優勝に向けて勝ちに行きましょう」
ロイは笑顔でデニムに握手を交わそうとする、だがデニムはどこか空ろな表情で
ロイを見ていた
「・・・デニムさん?」
一向に反応のないデニムに声を掛けるロイ、それに気づいたのかデニムは顔をはっとさせた
「!あ、すまないロイちょっとぼさっとしてた
 ・・・決勝勝とうな」
「えぇ」
互いに笑顔で握手を交わす二人、しかしデニムだけは心此処に在らずの眼差しをしていた

 

トップに躍り出たことで、オズは顔をこわばらせた
オズにとっては屈辱以外の何者でもない
(あんな、あんな雑種ごときに遅れをとるなんて!!!)
手に持っていたドリンクを強く握り締める、思わずその中身もこぼれていった
まわりは思わぬ出来事にスタッフ達は反応し、目を見開いてゆく
ガレージを後に電話を取り出して行く、会話を終えたオズは口から血をこぼしていった
(ロイ、デニム・・・貴様ら虫けらを必ず潰してやる!
 完膚なきまでにな!)

 

今日までの出来事を思い出していくロイは、真新しくも懐かしい印象に残るものばかりだった
最早後は優勝の二文字を手に入れるだけだ、スタッフをはじめライダーも集まった
全員が円になっていく、そして一人ひとり手を重ねてゆく
重なる手に黎明の光が差し込んできた
「よし行きましょう!皆さん」「「応ッ!!」」
ロイが合図を全員が答え互いに勝利を目指して掛け声をしてゆく
しかし此処にある人物がいなかった
(デニムさんがいない・・・、やっぱりまだ・・・)
ロイは表情を出さないように、デニムの安堵を確かめていた

 

ホテルの一室でデニムは右腕を押さえていた、右腕の皮膚は青く今でもそこからの痛みが治まらない様子だ
「ぐぅっ・・・!!・・・右腕が、まだ痛む・・・
 行かなくちゃ、みんなのところに行かなくては」
部屋にある氷を袋につめた、あざが出来てるところに当て、包帯をその上から巻いて固定させていく
呼吸が荒い状況でデニムは患部を保護したところからテープを巻いていく
そして変な文字がかかれてあるテープを巻いていく

 

66スレ

 

応急処置を済ませるデニムは急ぎホテルを後にして
チームのところへ向かった

 
 
 
 

若獅子の激走 続